本発明の目的は、テクトリゲニン類及び6−ヒドロキシゲニステイン 6,7−ジ−O−グルコシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の第1の成分と、カテキン類及び没食子酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の第2の成分とを含有することを特徴とする飲料により解決される。本発明の飲料は、テクトリゲニン類及び/又は6−ヒドロキシゲニステイン 6,7−ジ−O−グルコシドを含有することにより、カテキン類や没食子酸の独特な風味を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の組成物はカテキン類の苦味改善効果が十分ではなく、苦味以外の飲みやすさやのどごしなどの嗜好性については不明確である。
【0007】
そこで、本発明は、カテキン類を含有しながらも、苦味、飲みやすさ、のどごしなどの嗜好性が改善された、カテキン類を成分として含有する飲料を提供することを発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を積み重ね、種々のカテキン類を含有する飲料について試行錯誤したところ、驚くべきことに、カテキン類や没食子酸をテクトリゲニン類や6−ヒドロキシゲニステイン 6,7−ジ−O−グルコシド(6−hydroxygenistein 6,7−di−O−glucoside;6HGDG)と組み合わせることにより、カテキン類に由来する独特な風味を改善することを見出した。この知見は、テクトリゲニン類と同じイソフラボン類に属する大豆イソフラボンは、カテキン類と組み合わせても、カテキン類に由来する独特な風味が改善しなかったという事実から考えれば、予期し得るとは到底いえないものである。そして、本発明者らは、カテキン類と、テクトリゲニン類や6HGDGとを含有する飲料を創作することに成功した。本発明は、このような成功例や知見に基づき、完成された発明である。
【0009】
したがって、本発明によれば、テクトリゲニン類及び6HGDGからなる群から選ばれる少なくとも1種の第1の成分と、カテキン類及び没食子酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の第2の成分とを含有することを特徴とする飲料が提供される。
【0010】
好ましくは、本発明の飲料において、前記第2の成分がカテキン類であり、かつ、前記第1の成分及び前記カテキン類の含有量比(第1の成分:カテキン類)が1:0.01〜50である。
【0011】
好ましくは、本発明の飲料において、前記第2の成分が没食子酸であり、かつ、前記第1の成分及び前記没食子酸の含有量比(第1の成分:没食子酸)が1:0.0001〜1である。
【0012】
好ましくは、本発明の飲料において、前記テクトリゲニン類がテクトリゲニン、テクトリジン及びテクトリゲニン7−O−キシロシルグルコシドである。
【0013】
好ましくは、本発明の飲料において、前記飲料が容器詰め飲料又はインスタント粉末飲料である。
【0014】
本発明の別の側面によれば、テクトリゲニン類と、カテキン類及び/又は没食子酸とを含有することを特徴とする飲料が提供される。
【0015】
本発明の別の側面によれば、テクトリゲニン類、カテキン類及び没食子酸を含有することを特徴とする飲料が提供される。
【0016】
本発明の別の側面によれば、テクトリゲニン類、6HGDG、カテキン類及び没食子酸を含有することを特徴とする飲料が提供される。
【0017】
本発明の別の側面によれば、テクトリゲニン類及び6HGDGからなる群から選ばれる少なくとも1種の第1の成分と、カテキン類及び没食子酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の第2の成分とを含有することを特徴とする還元飲料用粉末、還元飲料用濃縮組成物又はそれぞれの容器詰め製品が提供される。
【0018】
本発明において、好ましくは、カテキン類又は没食子酸は、緑茶などの不発酵茶、紅茶などの発酵茶及び烏龍茶などの半発酵茶からなる群から選ばれる少なくとも1種の茶葉又はその抽出物に由来する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の飲料によれば、カテキン類を含有しつつも、テクトリゲニン類及び/又は6HGDGを含有することにより、カテキン類の独特な風味を低減した飲料とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の飲料は、少なくともテクトリゲニン類、6HGDG又はそれらの両方である第1の成分と、カテキン類、没食子酸又はそれらの両方である第2の成分とを含有することを特徴とする。そこで、本発明の飲料の態様としては、テクトリゲニン類とカテキン類とを含有する飲料;テクトリゲニン類と没食子酸とを含有する飲料;テクトリゲニン類とカテキン類と没食子酸とを含有する飲料;6HGDGとカテキン類とを含有する飲料;6HGDGと没食子酸とを含有する飲料;6HGDGとカテキン類と没食子酸とを含有する飲料;テクトリゲニン類と6HGDGとカテキン類とを含有する飲料;テクトリゲニン類と6HGDGと没食子酸とを含有する飲料;テクトリゲニン類と6HGDGとカテキン類と没食子酸とを含有する飲料などが挙げられる。
【0021】
本発明で用いるテクトリゲニン類とは、イソフラボンの一種であるテクトリゲニン、その配糖体又は誘導体、及びそれらの混合物を意味する。テクトリゲニン類は通常知られているとおりのテクトリゲニン類であれば特に限定されないが、例えば、独特な風味を有するテクトリゲニン類が挙げられ、好ましくはテクトリゲニン(tectorigenin)、テクトリジン(tectoridin)及びテクトリゲニン7−O−キシロシルグルコシド(tectorigenin 7−O−xylosylglucoside;TGXG)である。また、本明細書では、6HGDGはテクトリゲニン類に含まれない。
【0022】
テクトリゲニン類及び6HGDGの入手方法は特に限定されない。テクトリゲニン類及び6HGDGは、例えば、当業者に通常知られる方法により合成された合成物、テクトリゲニン類又は6HGDGを含有する天然物、該天然物から抽出した抽出物及びその処理物、テクトリゲニン類又は6HGDGの市販品、該市販品を化学処理、酵素処理、精製処理などに供することによって得られた処理物などが挙げられる。例えば、テクトリゲニン及びテクトリジンは関東化学社から得ることができ、TGXG及び6HGDGも市販品を使用することができる。
【0023】
テクトリゲニン類の含有量は特に限定されず、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して、0.01wt%以上、好ましくは0.05〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%、特に好ましくは0.5〜5wt%である。この場合のテクトリゲニン類の含有量とは、テクトリゲニン、テクトリジン及びTGXGの含有量の総量をいう。
【0024】
テクトリゲニン類のうち、テクトリゲニン、テクトリジン及びTGXGの含有量は特に限定されない。テクトリゲニンは、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して0.001wt%以上、好ましくは0.005〜3wt%、より好ましくは0.02〜1wt%、特に好ましくは0.05〜0.5wt%である。テクトリジンは、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して0.01wt%以上、好ましくは0.05〜5wt%、より好ましくは0.1〜2wt%、特に好ましくは0.3〜1wt%である。TGXGは、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して0.01wt%以上、好ましくは0.05〜15wt%、より好ましくは0.1〜10wt%、特に好ましくは0.5〜5wt%である。6HGDGの含有量は特に限定されず、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して、0.0001wt%以上、好ましくは0.0005〜5wt%、より好ましくは0.001〜3wt%、特に好ましくは0.005〜1wt%である。
【0025】
本明細書におけるカテキン類は、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)及びガロカテキンガレート(GCg)を合わせての総称である。
【0026】
カテキン類の入手方法は特に限定されない。カテキン類は、例えば、当業者に通常知られる方法により合成された合成物、カテキン類を含有する天然物、該天然物から抽出した抽出物及びその処理物、カテキン類の市販品、該市販品を化学処理、酵素処理、精製処理などに供することによって得られた処理物などが挙げられる。カテキン類は、例えば、茶抽出物及びその濃縮物であってもよい。
【0027】
茶抽出物としては、チャノキ(
Camellia sinensis)の茶葉から製茶された、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶などの緑茶類;総称して鳥龍茶と呼ばれる鉄観音、黄金桂などの半熟程度に発酵させた半発酵茶;紅茶と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカなどの発酵茶から水や熱水、場合によってはこれに抽出助剤を添加したもので抽出したものが挙げられる。具体的な茶抽出物としては、熱水又は水溶性有機溶剤による抽出物が挙げられる。茶抽出物の濃縮物としては、茶抽出物を有機溶剤、カラム、膜などにより濃縮したものが挙げられる。茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状などが挙げられる。
【0028】
茶抽出物及びその濃縮物は市販されているものであってもよい。本発明の飲料においては、茶抽出物及びその濃縮物は、発酵茶又は半発酵茶の抽出物及びその濃縮物であることが好ましく、これらは香料やエキスパウダーなどの形態で市販されている。例えば、半発酵茶に由来する香料及びエキスパウダーとしては、烏龍茶香料や烏龍茶エキスパウダーなどが市販されている。また、発酵茶に由来する香料及びエキスパウダーとしては、紅茶香料や紅茶エキスパウダーなどが市販されている。
【0029】
カテキン類の含有量は特に限定されず、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して、0.01wt%以上、好ましくは0.01〜10wt%、より好ましくは0.05〜8wt%であり、特に好ましくは0.1〜5wt%である。
【0030】
本発明における没食子酸は特に限定されず、没食子酸に加えて、没食子酸の塩を包含する。没食子酸の塩としては、例えば、没食子酸アルカリ金属塩などが挙げられる。没食子酸の入手方法は特に限定されない。没食子酸は、例えば、当業者に通常知られる方法により合成された合成物、没食子酸を含有する天然物、該天然物から抽出した抽出物及びその処理物、没食子酸の市販品、該市販品を化学処理、酵素処理、精製処理などに供することによって得られた処理物などが挙げられる。
【0031】
没食子酸の抽出物としては、例えば、ウルシ科ヌルデ(
Rhus javanica LINNE)に発生する五倍子からの抽出物、ブナ科(
Fagaceae)に発生する没食子からの抽出物、マメ科(
Fabaceae)の植物からの抽出物、茶抽出物などが挙げられる。
【0032】
没食子酸の化学合成品としては、例えば、前記したカテキン類の中のガレート体の加水分解反応生成物が挙げられる。没食子酸を得るための加水分解反応は特に限定されないが、例えば、ガレート体カテキン類を含有する茶葉、生薬及びその抽出物を、硫酸や塩酸などを用いた酸処理、水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いたアルカリ処理、酵素処理、発酵処理などに供することにより生じる加水分解反応が挙げられる。加水分解反応に用いる酵素は特に限定されないが、例えば、タンナーゼ(タンニンアシルヒドラーゼ;EC3.1.1.20)が挙げられる。
【0033】
没食子酸の含有量は特に限定されず、例えば、本発明の飲料の全固形分量に対して、0.00001wt%以上、好ましくは0.00001〜1wt%、より好ましくは0.00005〜0.5wt%、特に好ましくは0.0001〜0.1wt%である。
【0034】
本発明の飲料において、第1の成分及び第2の成分の含有量比は特に限定されない。第1の成分とカテキン類との含有量比(第1の成分:カテキン類)は、例えば、1:0.001〜200であり、好ましくは1:0.005〜100であり、特に好ましくは1:0.01〜50である。第1の成分と没食子酸との含有量比(第1の成分:没食子酸)は、例えば、1:0.00001〜100であり、好ましくは1:0.00005〜10であり、より好ましくは1:0.0001〜1である。
【0035】
また、テクトリゲニン類とカテキン類との含有量比(テクトリゲニン類:カテキン類)は、例えば、1:0.001〜200であり、好ましくは1:0.01〜100であり、より好ましくは1:0.1〜50である。6HGDGとカテキン類との含有量比(6HGDG:カテキン類)は、例えば、1:0.01〜1000であり、好ましくは1:0.05〜500であり、より好ましくは1:0.1〜300である。
【0036】
さらに、テクトリゲニン類と没食子酸との含有量比(テクトリゲニン類:没食子酸)は、例えば、1:0.00001〜100であり、好ましくは1:0.00005〜10であり、より好ましくは1:0.0001〜1である。6HGDGと没食子酸との含有量比(6HGDG:没食子酸)は、例えば、1:0.0001〜100であり、好ましくは1:0.0005〜50であり、より好ましくは1:0.001〜30である。
【0037】
本発明の飲料が粉末飲料の場合、第1の成分とカテキン類との含有量比(第1の成分:カテキン類)は、例えば、1:0.001〜50であり、好ましくは1:0.005〜10であり、特に好ましくは1:0.01〜5である。また、テクトリゲニン類とカテキン類との含有量比(テクトリゲニン類:カテキン類)は、例えば、1:0.001〜100であり、好ましくは1:0.005〜50であり、より好ましくは1:0.1〜10である。6HGDGとカテキン類との含有量比(6HGDG:カテキン類)は、例えば、1:0.01〜100であり、好ましくは1:0.05〜50であり、より好ましくは1:0.1〜10である。
【0038】
本発明の飲料において、テクトリゲニン類、6HGDG、カテキン類及び没食子酸が、それらを含有する天然物やその加工物である場合、テクトリゲニン類、6HGDG、カテキン類及び没食子酸は以下の方法により測定することができる。
【0039】
テクトリゲニン類及び6HGDGは、「食品中の大豆イソフラボンアグリコン(アグリコン当量)の試験方法」(大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取り扱いに関する指針について(別紙)、食安発第0823001号、平成18年8月23日)を準用し定量することができる。また、カテキン類及び没食子酸は、高速液体クロマトグラフィーを用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムを装着し、カラム温度40℃でグラジエント法で行い、移動相A液は0.1M酢酸水溶液、B液は0.1Mアセトニトリル溶液とし、UV検出器波長は280nmの条件で行うことができる。
【0040】
本発明の飲料は、第1の成分及び第2の成分に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB
1、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類;ゼラチン、コラーゲンペプチド、植物由来タンパク質などのタンパク質;アルギン酸、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、グアーガム、グアーガム加水分解物、グルコマンナン、ペクチン、ポリデキストロース、カラギーナンなどの水溶性食物繊維;ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、スクロース、ラクトース、マルトース及びシクロデキストリンなどのオリゴ糖;カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類;N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類;乳、発酵乳、脱脂粉乳などの乳製品;豆乳、豆乳粉末などの豆乳製品;レモン、リンゴ、明日葉、ケール、甘藷、甘藷茎葉、じゃがいも、ニンジン、カボチャ、ニガウリ、トマト、グリーンピース、モロヘイヤ、スピルリナ、抹茶などの植物又は植物加工品;乳酸菌、納豆菌、酪酸菌、麹菌、酵母などの微生物などが挙げられる。さらに必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖(マルトース)、果糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール、でんぷんなどの糖類;ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、ソーマチン、還元麦芽糖などの甘味料;クエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸などの酸味料;酸化チタンなどの着色料;アラビアガム、キサンタンガムなどの増粘剤;シェラックなどの光沢剤;タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウムなどの製造用剤などを配合することもできる。その他の成分としては、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は特に限定されず、使用者の嗜好性などに応じて適宜選択することができる。
【0041】
本発明の飲料において、第1の成分及び第2の成分の合計量は特に限定されないが、例えば、1食分あたり5〜1000mg、好ましくは10〜800mg、より好ましくは20〜500mgである。そのうち、第2の成分は、合計で、0.01〜800mgであることが好ましく、0.05〜600mgであることがより好ましく、0.1〜400mgであることが特に好ましい。
【0042】
本発明の飲料が粉末飲料の場合、第1の成分及び第2の成分の合計量は特に限定されないが、例えば、1食分あたり5〜300mg、好ましくは10〜200mg、より好ましくは20〜150mgである。そのうち、第2の成分は、合計で、0.01〜200mgであることが好ましく、0.05〜150mgであることがより好ましく、0.1〜100mgであることが特に好ましい。
【0043】
第1の成分及び第2の成分を混合する方法は特に限定されず、例えば、すべて粉末状である第1の成分及び第2の成分又はそれらの抽出物若しくはその加工物、並びに上記したその他の成分を均一になるまで物理的に攪拌及び混合する方法などが挙げられる。別の方法として、例えば、これらの原材料のうちいずれか1種又は2種以上を液状物として、原材料を溶解、攪拌及び混合する方法などが挙げられる。
【0044】
本発明の飲料の形態は特に限定されないが、例えば、飲料が密封された容器に充填された容器詰め飲料、又は水や湯などの水性溶媒を用いて液体状の飲料にする前の粉末状態のインスタント粉末飲料であることが好ましい。本発明の飲料の容器は特に限定されず、例えば、紙、プラスチック、アルミなどからなる袋、瓶、缶、プラスチックボトルなどの容器が挙げられる。
【0045】
容器詰め飲料は、希釈せずに飲用するものが好ましい。容器詰飲料としては、殺菌又は静菌性の処方又は処理をするのが好ましく、低粘度の液性又はゼラチンなどの増粘剤を併用したジェル状など高粘度の液性を有するものが挙げられる。飲料としては、乳酸飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、果汁飲料などが好ましく、そのpHは25℃で2〜8、好ましくは3〜7、より好ましくは3〜5.5のいわゆる酸性容器詰飲料又は6〜7のいわゆる中性容器詰飲料とする方が、味及びカテキン類の化学的安定性の点で好ましい。
【0046】
粉末飲料の場合、上記した容器に、大容量を詰めたスプーンで計量する形態や1回分の分包タイプの形態などの粉末飲料が挙げられる。容器の材質は酸素及び湿度透過性の低いものの方が粉末飲料の品質を維持する上で好ましく、窒素ガスを充填するとより好ましい。アルミ袋などの大容量に詰められた粉末飲料をカップ式自動販売機やディスペンサーなどで使用してもよい。粉末飲料は、粉末状の形態であることから腐敗を防ぎ長期保存に適するものである。また、粉末飲料を水性溶媒と混合した液状体となし、該液状体を飲用するなどの経口摂取することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口摂取してもよい。
【0047】
粉末飲料を飲用する際に使用する水性溶媒は特に限定されず、例えば、水、湯、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、ヨーグルト、ホットケーキミックスなどが挙げられる。粉末飲料を飲用する方法は特に限定されず、例えば、気温や好みなどに応じて、常温下にある、又は加温した水性溶媒を粉末飲料に加え、マドラーなどを用いて攪拌及び混合した後に飲用する方法などが挙げられる。
【0048】
本発明の飲料は、一般飲料としてだけではなく、第2の成分、すなわち、カテキン類や没食子酸の生理活性を期待した特定保健用食品、栄養機能食品、保健機能食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメント、美容飲料、その他の健康飲料、医薬用部外品として用いてもよい。
【0049】
本発明の飲料は、第1の成分としてテクトリゲニン類や6HGDGを含有し、さらに第2の成分としてカテキン類や没食子酸を含有することにより、カテキン類や没食子酸に由来する独特な風味を低減したものであり得ることから、味や香りに優れるため、美味しく摂取でき、嗜好性が高いものである。
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0051】
1.飲料用組成物の調製
テクトリゲニン類、カテキン類、6HGDG、没食子酸及び大豆イソフラボンが下記表1〜8になるように、組成1−1〜8−5の組成物を調製した。表中のテクトリゲニン類及び6HGDGは市販品である葛の花由来のものを使用した。表1及び表5中のカテキン類には市販品である紅茶エキスパウダー、緑茶エキスパウダー及び紅茶香料を使用した。表2及び表6中のカテキン類には市販品である烏龍茶エキスパウダー及び緑茶エキスパウダー及び烏龍茶香料を使用した。表3及び表7中の没食子酸としては上記の紅茶エキスパウダー及び緑茶エキスパウダーを用い、香料として市販品である紅茶香料を使用し、表4及び表8中の没食子酸としては上記の烏龍茶エキスパウダー、緑茶エキスパウダー及び烏龍茶香料を用いた。また、組成1−1〜8−5の粉末飲料には、賦形剤として2,030.00〜2,455.00mgのデキストリンを含有する。表1及び表2ではテクトリゲニン類:カテキン類比、表3及び表4では6HGDG:没食子酸比、表5及び表6では6HGDG:カテキン類比、表7及び表8ではテクトリゲニン類:没食子酸比を算出した。なお、テクトリゲニン類の代わりに大豆イソフラボンを用いた場合は大豆イソフラボンとの比率を算出した。
【0052】
2.飲料用組成物の官能評価
組成1−1〜8−5の飲料用組成物について、官能評価を実施した。各飲料用組成物を、水100mlに懸濁して、各被験試料を得た。被験者として、健常な成人10名を無作為に選出した。
【0053】
上記被験者のそれぞれに対し、各被験試料を経口摂取させ、官能に関する評価を評点法により実施した。評価項目は、「美味しさ」、「香りの良さ」、「にがみの感じ易さ」、「えぐみ」、「しぶみ」、「飲みやすさ」、「すっきり感」、「舌触り」及び「のどごし」の9項目とした。
【0054】
官能評価の各項目について、以下の評価指標により、評点をつけた。なお、各表中、組成1−1、2−1、3−1、4−1、5−1、6−1、7−1及び8−1についての各項目の評点を5とした。
1 最高に悪い
2 非常に悪い
3 悪い
4 やや悪い
5 どちらでもない
6 やや良い
7 良い
8 非常に良い
9 最高に良い
【0055】
各項目の評点の平均値をとった官能評価の結果について表1〜8に示す。
【0056】
表1〜8が示すとおり、カテキン類や没食子酸と、テクトリゲニン類や6HGDGとを含有する飲料用組成物は、テクトリゲニン類、6HGDG、カテキン類及び没食子酸のいずれか1種の成分のみを含有するものに対して、官能評価が優れていた。また、驚くべきことに、大豆イソフラボンとカテキン類とを組み合わせても風味の改善が認められなかったが、テクトリゲニン類とカテキン類とを組み合わせることにより、風味の改善が認められた。
【0057】
以上の結果から、テクトリゲニン類や6HGDGを含有しながらも、これらとカテキン類や没食子酸とを組み合わせることにより、テクトリゲニン類及び6HGDGの独特な風味を低減することができた。特に、大豆イソフラボンとカテキン類や没食子酸との組み合わせでは風味の改善が得られなかったのに対し、テクトリゲニン類や6HGDGとカテキン類や没食子酸とを組み合わせることにより風味を改善できたということは、本発明者らによって初めて見出された驚くべき事実である。以上のとおり、テクトリゲニン類又は6HGDGと、カテキン類又は没食子酸とを含有する粉末飲料は、飲食において嗜好性に優れるものであった。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
以下、本発明の組成物の具体的態様に係る配合例を示すが、本発明はこれら配合例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【0067】
(配合例1:ブレンド茶)
【表9】
【0068】
(配合例2:スポーツドリンク)
【表10】
【0069】
(配合例3:カルシウム強化飲料)
【表11】
【0070】
(配合例4:ブレンド茶飲料)
【表12】
【0071】
(配合例5:フレーバーティー)
【表13】
【0072】
(配合例6:PET飲料)
【表14】
【0073】
(配合例7:PET飲料)
【表15】
【0074】
(配合例8:PET飲料)
【表16】