【解決手段】一対の側壁部10と一対の連結壁部22を備えた基礎ブロック3を発泡樹脂によって構成する。壁部10,22には鉄筋支持部12,22aを形成する。側壁部10を連結壁部22よりも上又は下へ突出させて突出壁部分11を形成する。これによって、一対の側壁部10どうし間の空間部13が、一対の突出壁部分11どうし間の嵩増空間部分13cを含む。
請求項1に記載の基礎ブロックと、前記基礎ブロックの前記鉄筋支持部に支持された鉄筋と、前記基礎ブロックの前記嵩増空間部分を含む前記空間部に打設充填されたコンクリートとを備えたことを特徴とする構造物の基礎。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1をはじめとする従来の基礎ブロックは、コンクリート製である。そのため、重量が嵩み、現場労務の負担が大きい。一方、基礎ブロックを軽重量の材質で形成した場合には、基礎の所要重量の確保が問題となる。
本発明は、かかる事情に鑑み、基礎ブロックの重量を軽くして現場労務を軽減するとともに、基礎の所要重量を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明は、構造物の基礎に設けられる基礎ブロックであって、
互いの間にコンクリートが充填されるべき空間部を形成するように対向する一対の側壁部と、
前記一対の側壁部どうしを連結するとともに、これら側壁部の対向方向と直交する方向に互いに対向する一対の連結壁部と、
を一体に備えた発泡樹脂によって構成され、
前記側壁部及び/又は前記連結壁部には鉄筋支持部が形成され、
さらに、前記各側壁部には前記連結壁部よりも上又は下へ突出する突出壁部分が形成されることによって、前記空間部が、前記一対の側壁部の突出壁部分どうし間の嵩増空間部分を有していることを特徴とする。
この基礎ブロックは、発泡樹脂製であるからコンクリート製とするよりも重量を大幅に軽くでき、構造物の基礎を施工する際の現場労務を軽減できる。また、基礎ブロックの空間部にコンクリートを充填することで、基礎としての重量を確保できる。特に、嵩増空間部分を設けることで、コンクリートを割り増しして充填できるから、基礎としての重量を十分に確保できる。
【0007】
また、本発明に係る構造物の基礎は、前記基礎ブロックと、前記基礎ブロックの前記鉄筋支持部に支持された鉄筋と、前記基礎ブロックの前記嵩増空間部分を含む前記空間部に打設充填されたコンクリートとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基礎ブロックの重量を軽くして、構造物の基礎を施工する際の現場労務を軽減できるとともに、基礎としての所要重量を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
[第1実施形態]
図5及び
図6は、例えば、塀等の外構(構造物)の基礎1を示したものである。
図6に示すように、地面GLに掘削溝2が掘られ、この掘削溝2に外構基礎1が構築されている。外構基礎1は、基礎ブロック3と、立上ブロック4と、鉄筋5,6を備え、
図6と直交する方向へ延びている。
【0011】
<基礎ブロック3>
図1〜
図4に示すように、基礎ブロック3は、一対の側壁部10,10と、一対の連結壁部22,22とを備え、概略四角形の箱状ないしは枠状になっている。基礎ブロック3の材質は、コンクリートではなく、発泡樹脂によって構成され、好ましくは発泡スチロールによって構成されている。
図2に示すように、基礎ブロック3の長さLは、例えばL=350mm〜450mm程度である。基礎ブロック3の幅Wは、例えばW=300mm〜400mm程度である。
図1に示すように、基礎ブロック3の高さHは、一般的なコンクリート製の基礎ブロックより大きく、例えばH=150mm〜300mm程度である。基礎ブロック3の重量は、1.5kg〜2.5kg程度であり、コンクリート製のブロックと比べて極めて軽量である。
【0012】
図1及び
図4に示すように、側壁部10は、概略長方形の板形状になっている。この側壁部10が、短手方向を上下に向けて立設されている。一対の側壁部10,10どうしが、基礎ブロック3の幅方向(
図1において左右方向)に離れて平行に対向している。
片側(
図1において左側)の側壁部10の上端面には、切り欠き溝状の嵌合段差14が形成されている。嵌合段差14は、側壁部10の全長にわたって延びている。
【0013】
図1及び
図4に示すように、各側壁部10には、縦筋支持部12(鉄筋支持部)が一体に設けられている。縦筋支持部12は、概略直方体形状になっている。
図2に示すように、この縦筋支持部12が、側壁部10の内側面の中央部から他方の側壁部10へ向かって突出している。2つの側壁部10,10の縦筋支持部12,12どうしが、基礎ブロック3の幅方向(
図2において左右)に離れて対峙している。
図1及び
図3に示すように、縦筋支持部12の底面は、側壁部10の底面と面一になっている。縦筋支持部12の上面は、側壁部10の上下方向の中間部に位置している。
【0014】
図1及び
図4に示すように、各縦筋支持部12における他方の縦筋支持部12を向く側の上部には、段差状の切欠部12dが形成されている。切欠部12dに縦筋支持凹部12v,12hが形成されている。縦筋垂直部支持凹部12vは、切欠部12dの垂直面に設けられ、上下に延びている。縦筋水平部支持凹部12hは、切欠部12dの水平な底面に設けられ、縦筋垂直部支持凹部12vの下端部と交差するとともに左右に延びている。
【0015】
図1に示すように、一対の側壁部10,10の間に、一対の連結壁部22,22が設けられている。連結壁部22は、概略長方形の板状になっている。連結壁部22の長手方向は、側壁部10と直交(交差)するように向けられ、短手方向は上下に向けられている。
図2に示すように、一対の連結壁部22,22どうしは、一対の側壁部10,10どうしの対向方向と直交する方向に対向している。連結壁部22の両端部が、側壁部10に近づくにしたがって漸次拡幅しながら、側壁部10と一体に接続されている。連結壁部22の両端部における両側面は、平面視において円弧状の曲面を描きながら側壁部10の内側面に滑らかに連なっている。連結壁部22によって、一対の側壁部10,10どうしが連結されている。一対の連結壁部22,22どうしの間に、縦筋支持部12,12が配置されている。
図1に示すように、連結壁部22の底面は、側壁部10の底面と面一になっている。連結壁部22の上面は、側壁部10の上下方向の中間部に配置されている。連結壁部22の上面の高さは、縦筋支持部12の上面よりも高い。
【0016】
図1に示すように、各連結壁部22の両側部には、一対の横筋挿通凹部22a,22a(鉄筋支持部)が形成されている。横筋挿通凹部22aは、連結壁部22の上面から真っ直ぐに下方へ延びている。横筋挿通凹部22aの下端部は、連結壁部22の上下方向の中間部に配置されている。横筋挿通凹部22aは、正面視において切欠部12dと重なっている。
【0017】
図1に示すように、側壁部10は、連結壁部22の上端部よりも上方へ突出されている。この突出部が突出壁部分11を構成している。一対の側壁部10,10の突出壁部分11,11が、基礎ブロック3の幅方向(
図1において左右方向)に離れて対向している。突出壁部分11の連結壁部22からの突出高さH
11は、例えばH
11=50mm〜150mm程度である。また、突出壁部分11の突出高さH
11は、好ましくは、側壁部10における突出壁部分11より下側の部分の高さH
0の0.4倍〜1.2倍程度である。突出壁部分11の突出分だけ、基礎ブロック3の高さが、一般的なコンクリート製の基礎ブロックよりも大きくなっている。
【0018】
図2及び
図4に示すように、基礎ブロック3の内部には、空間部13が形成されている。空間部13は、主空間部分13aと、側方空間部分13bと、嵩増空間部分13cを含み、基礎ブロック3の上方及び下方、並びに長手方向(
図2において上下)の両側方へ開口されている。主空間部分13aは、一対の側壁部10,10(突出壁部分11,11を除く)と一対の連結壁部22,22とで囲まれた空間であり、下方へ開放されるとともに、後記嵩増空間部分13cを介して上方へ開放されている。側方空間部分13bは、各連結壁部22より外側(
図2において上下)における一対の側壁部10,10(突出壁部分11,11を除く)で挟まれた空間部分であり、側方及び下方へ開放されるとともに、後記嵩増空間部分13cを介して上方へ開放されている。
【0019】
さらに、
図1及び
図4に示すように、突出壁部分11,11どうしの間に嵩増空間部分13cが画成されている。これによって、空間部13は、突出壁部分11の分だけ上方へ嵩増しされている。嵩増空間部分13cは、上方及び長手方向両側の側方へ開放されている。かつ、嵩増空間部分13cの下方には主空間部分13a及び側方空間部分13bが一体に連なっている。
【0020】
<外構基礎1>
図5に示すように、外構基礎1は、複数の基礎ブロック3,3…を含む。これら基礎ブロック3,3…が、外構基礎1の延び方向に一列に並べられている。基礎ブロック3の各側壁部10の長手方向が、外構基礎1の延び方向に向けられている。隣接する基礎ブロック3,3の側壁部10,10の対向端面どうしが互いに突き当てられている。
図3において二点鎖線にて示すように、隣接する基礎ブロック3,3の側方空間部分13b,13bどうしが一体に連なるとともに、これら基礎ブロック3,3の嵩増空間部分13c,13cどうしが一体に連なっている。
【0021】
図6に示すように、基礎ブロック3,3…の空間部13,13…には、コンクリート7が現場打ちされて充填されている。コンクリート7の上面は、基礎ブロック3の上面とほぼ面一になっている。
【0022】
コンクリート7の内部に縦筋5の一部及び横筋6が埋設されている。縦筋5は、垂直部5vと、水平部5hを有している。
図5及び
図6に示すように、垂直部5vは、基礎ブロック3よりも上方へ突出されている。垂直部5vの下端部は、片側(
図6において左側)の縦筋支持部12の縦筋垂直部支持凹部12vに挿し込まれている。垂直部5vの下端部に水平部5hが直角に交わっている。水平部5hは、2つの縦筋支持部12,12どうしの間に架け渡されている。水平部5hにおける垂直部5vと交差する側部は、片側(
図6において左側)の縦筋支持部12の縦筋水平部支持凹部12hに挿し込まれている。水平部5hの先端部は、他方(
図6において右側)の縦筋支持部12の縦筋水平部支持凹部12hに挿し込まれている。
【0023】
横筋6は、外構基礎1の延び方向(
図6において紙面と直交する方向)に沿って水平に延びている。2本の横筋6,6が、外構基礎1の幅方向(
図6において左右)に離れて並べられている。これら横筋6,6が、一列をなす基礎ブロック3,3…を貫いている。各横筋6は、横筋挿通凹部22aの下端部まで挿し込まれている。
【0024】
図6に示すように、基礎ブロック3上に複数段(図では2段)の立上ブロック4が積み上げられている。立上ブロック4は、発泡スチロール(発泡樹脂)にて構成されている。基礎ブロック3の直上の立上ブロック4の底面の片側(
図6において左側)の嵌合段差4bが、基礎ブロック3の嵌合段差14と嵌合している。縦筋5の垂直部5vが、立上ブロック4の貫通穴4cを鉛直に貫通している。貫通穴4cにはモルタル8が充填されている。
【0025】
外構基礎1は、次のようにして構築される。
地面GLをパワーショベル等の建設機械によって掘削することで掘削溝2を形成する。掘削溝2の深さは、突出壁部分11の突出量の分だけ、一般的なコンクリート製の基礎ブロックを用いた場合よりも深くする。掘削溝2の幅については、一般的なコンクリート製の基礎ブロックを用いた場合よりも広くする必要がない。これによって、掘削作業性を確保できる。また、納まりを良くできる。
【0026】
次に、掘削溝2の底部に地業(図示省略)を介して基礎ブロック3を設置する。更には、複数の基礎ブロック3,3…を掘削溝2の延び方向に並べる。基礎ブロック3は、極めて軽量であるから、労力を大幅に軽減できる。
次に、縦横の鉄筋5,6を凹部12v,12h,22aに嵌め込みながら配筋する。これによって、鉄筋5,6を基礎ブロック3によって簡単に支持することができる。したがって、別途の鉄筋支持手段を必要としない。よって、施工作業を一層簡易化することができる。
【0027】
次に、コンクリート7を空間部13に打設充填する。基礎ブロック3が型枠の代わりとなるから、別途の型枠を必要としない。これによって、施工作業をより一層簡易化することができる。
主空間部分13a及び側方空間部分13bだけでなく、嵩増空間部分13cにもコンクリート7を充填する。基礎ブロック3そのものは、発泡樹脂製であるため軽量であるが、空間部13にコンクリート7を充填することによって、基礎コンクリートとしての重量を確保できる。特に、嵩増空間部分13cを設けることで、コンクリート7を割り増しして充填できるから、基礎としての重量を十分に確保することができる。また、嵩増空間部分13cを基礎ブロック3の上側部分に配置することによって、コンクリート7の打設時に基礎ブロック3が浮き上がるのを防止できる。
【0028】
次に、立上ブロック4を、コンクリート7上ひいては基礎ブロック3上に設置する。貫通穴4cには縦筋5を通す。また、立上ブロック4の片側(
図6において左側)の嵌合段差4bを基礎ブロック3の嵌合段差14と嵌合させる。更に好ましくは、コンクリート7が未硬化の段階で、立上ブロック4を設置することで、コンクリート7の上面に、立上ブロック4の反対側(
図6において右側)の嵌合段差4dに嵌る段差7dが形成されるようにする。
さらに、貫通穴4cにモルタル8を充填する。
その後に、掘削溝2と外構基礎1との間の隙間2aを埋め戻す。
外構基礎1によれば、基礎ブロック3の重量を軽くして現場労務を軽減できるとともに、基礎としての所要重量を十分に確保することができる。
【0029】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態に於いて既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
[第2実施形態]
図7及び
図8は、本発明の第2実施形態を示したものである。
図7に示すように、第2実施形態の基礎ブロック3Bにおいては、一対の側壁部10,10が、連結壁部22よりも下へ突出されている。これによって、突出壁部分15が形成されている。
図8に示すように、突出壁部分15の連結壁部22からの突出量H
15は、例えばH
15=150mm〜300mm程度である。また、突出壁部分15の突出量H
15は、好ましくは、側壁部10における突出壁部分15より上側の部分の高さH
1の0.4倍〜1.2倍程度である。縦筋支持部12及び連結壁部22が突出壁部分15の高さ分だけ底上げされている。
【0030】
一対の突出壁部分15,15どうしの間に嵩増空間部分13dが形成されている。要するに、基礎ブロック3Bにおいては、嵩増空間部分13dが連結壁部22の下側に設けられている。嵩増空間部分13dの上方に主空間部分13a及び側方空間部分13bが一体に連なっている。
基礎ブロック3Bには、上方への突出壁部分11及び上側の嵩増空間部分13c(
図4)が形成されていない。
【0031】
片側(
図7において左側)の側壁部10における嵌合段差14の溝面14aが、連結壁部22の上端面と面一になっている。かつ、反対側(
図7において右側)の側壁部10の上端面が、連結壁部22の上端面と面一になっている。連結壁部22の上端面の中間部には、嵌合凸部22bが形成されている。嵌合凸部22bは、2つの横筋挿通凹部22a,22aどうしの間における、片側(左側)の横筋挿通凹部22a寄りの位置に配置されている。
図8に示すように、基礎ブロック3B上に立上ブロック4を載せた状態で、嵌合段差14が、立上ブロック4の片側(左側)の嵌合段差4bと嵌合されるとともに、嵌合凸部22bが、立上ブロック4の反対側(右側)の嵌合段差4dと嵌合される。
【0032】
基礎ブロック3Bを含む外構基礎1Bにおいては、コンクリート7が、基礎ブロック3Bの主空間部分13a及び側方空間部分13bに加えて、連結壁部22より下側の嵩増空間部分13dに充填される。これによって、基礎コンクリートとしての重量を十分に確保できる。
【0033】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、基礎ブロック3の樹脂材質は、発泡スチロールに限られず、発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレン等であってもよい。
鉄筋支持部が、側壁部10及び連結壁部22の何れか一方だけに設けられていてもよい。
側壁部10が、上方への突出壁部分11と、下方への突出壁部分15の両方を有していてもよい。基礎ブロック3の上下両側部に嵩増空間部分13c,13dが設けられていてもよい。