特開2017-41375(P2017-41375A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリソ電子工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2017041375-コネクタ 図000003
  • 特開2017041375-コネクタ 図000004
  • 特開2017041375-コネクタ 図000005
  • 特開2017041375-コネクタ 図000006
  • 特開2017041375-コネクタ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-41375(P2017-41375A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20170203BHJP
   H01R 12/78 20110101ALI20170203BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
   H01R13/11 K
   H01R12/78
   H01R13/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-162789(P2015-162789)
(22)【出願日】2015年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 雄貴
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB01
5E123AB06
5E123AB31
5E123AC23
5E123BA01
5E123BA08
5E123BB13
5E123CA15
5E123CB19
5E123CB99
5E123CD02
5E123DA05
5E123DB08
5E123DB11
5E123DB25
5E123EA03
(57)【要約】
【課題】挿入力が小さく、小型・薄型のコネクタを提供すること。
【解決手段】第1の平型基材4と、凹部5bを有するハウジング5と、導電性の液体金属を凹部5bに充填した液状接点部7とを有する第1のコネクタ2と、第2の平型基材9と、導電性の突状接点部11とを有する第2のコネクタ3とを備えており、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とは、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とが重ね合わさって、液状接点部7に突状接点部11が入り込んだ状態で導通接続する。これにより、挿入力が小さく、小型・薄型のコネクタを実現することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平型基材と、
該第1の平型基材に設けられ、凹部を有するハウジングと、
導電性の液体金属を前記凹部に充填した液状接点部とを有する第1のコネクタと、
第2の平型基材と、
該第2の平型基材に設けられる導電性の突状接点部とを有する第2のコネクタとを備えており、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタは、第1のコネクタと第2のコネクタとが重ね合わさっており、前記液状接点部に前記突状接点部が入り込んだ状態で導通接続しているコネクタ。
【請求項2】
第1のコネクタと第2のコネクタとを固着する固着部を有する請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
第1のコネクタが前記液状接点部と繋がる第1の回路部を有する請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
第2のコネクタが前記突状接点部と繋がる第2の回路部を有する請求項1〜請求項3何れか1項記載のコネクタ。
【請求項5】
前記液状接点部は、表面に封止部を有する請求項1〜請求項4何れか1項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記突状接点部は、前記封止部を突き破った状態で液状接点部に入り込んでいる請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記封止部は、液状金属に形成された酸化皮膜である請求項5又は請求項6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記突状接点部が、略錐体形状である請求項1〜請求項7何れか1項記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突状接点部が、前記凹部の開口を略塞ぐ大径の基部と、基部から突出する尖頭部とを有する請求項5〜請求項8何れか1項記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1の平型基材が柔軟なシート材である請求項1〜請求項9何れか1項記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第2の平型基材が柔軟なシート材である請求項1〜請求項10何れか1項記載のコネクタ。
【請求項12】
前記凹部が、ハウジングに設けた孔部でなる請求項1〜請求項11何れか1項記載のコネクタ。
【請求項13】
前記凹部が、ハウジングに備わる導電性金属でなる凹状部材に設けられる請求項1〜請求項11何れか1項記載のコネクタ。
【請求項14】
前記液体金属が、ガリウム(Ga)と、インジウム(In)と、スズ(Sn)の共晶合金でなる請求項1〜請求項13何れか1項記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入力が小さく、嵌合作業が容易な薄型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用電子機器、民生用電子機器等の高性能化、多機能化が進むにつれて、搭載される電子ユニットが増加している。また、これに伴って使用される回路が複雑化し、基板あたりの出入力端子数が増加するとともに、基板に実装されるコネクタの多極化が進行している(例として特許文献1)。しかし、コネクタが多極になる程、コネクタ同士を嵌合する際に端子同士が接触して生じる摩擦力が増加し、嵌合作業に要する挿入力が増加する。こうした挿入力の増加はコネクタ同士の半嵌合やこじり等を生じやすくするため、嵌合作業の妨げとなるだけでなく、接続信頼性の低下を引き起こすおそれもある。
【0003】
この問題を解決する方法として、いわゆるZIF(Zero Insertion Force)タイプのコネクタが使用されている。このZIFタイプのコネクタは、一般的にアクチュエータやスライダーを備える。そして嵌合作業時には端子同士が接触しないか、又は軽く接触する程度とすることで挿入力を低減し、嵌合作業の完了時に上記アクチュエータ等を操作することで端子同士を押圧接触させてその状態を維持することができる。こうしたコネクタを使用することで、上記のような半嵌合やこじりの発生といった問題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−120448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記アクチュエータ等を備えることで、コネクタは全体として特に高さ方向で大型化する。また、各部材を高さ方向で小型化することによるコネクタ全体の薄型化にも限界がある。
【0006】
この発明は、こうした従来技術を背景になされたものである。その目的は、コネクタの嵌合作業を容易に行うことができるコネクタを提供することである。また、小型・薄型のコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
すなわち本発明は、第1の平型基材と、該第1の平型基材に設けられ、凹部を有するハウジングと、導電性の液体金属を前記凹部に充填した液状接点部とを有する第1のコネクタと、第2の平型基材と、該第2の平型基材に設けられる導電性の突状接点部とを有する第2のコネクタとを備えており、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタは、第1のコネクタと第2のコネクタとを重ね合わさっており、前記液状接点部に前記突状接点部が入り込んだ状態で導通接続しているコネクタを提供する。
【0008】
本発明のコネクタは、第1のコネクタが第1の平型基材を備えており、第2のコネクタが第2の平型基材を備えており、コネクタ同士を嵌合させる際には第1のコネクタと第2のコネクタとを重ね合わせる。こうして第1のコネクタと第2のコネクタに平型基材を設け、それらを重ね合わせることで、コネクタを全体として薄型化するこができる。またその際には、液状接点部に突状接点部を入り込ませて導通接続させる。そのため、液状接点部と突状接点部との間で十分な接触面積を得ることができ、安定した導通接続が可能となる。また、こうした接続方法を取ることで、突状接点部を液状接点部への挿入方向で長くすることなく十分な接触をさせることができる。よって、接点部同士の十分な接触面積を確保することさえできれば凹部を第1の平型基材の厚み方向で小型化することができるため、ハウジング自体を前記厚み方向で小型化することもできる。さらに、液状接点部が導電性の液体金属で設けられるため、凹部の形状に合わせて液状接点部の形状を容易に変えることができる。そのため、突状接点部との接触面積を十分に確保することができれば、例えば液状接点部の平型基材上の占有面積を大きくしつつ、高さを抑えることで、極限まで薄いコネクタとすることができる。また、設置個所に合わせて三角柱や円柱など、任意の形状にすることもできる。
【0009】
液体金属でなる液状接点部に突条接点部を入り込ませて導通接触することで、従来の固体状態の金属でなる接点部同士を導通接触させる場合と比較して、接点部同士を接触させる際に生じる負荷や摩擦力を小さくすることができる。よって、極数が増加した場合であってもこうした負荷や摩擦力の上昇を抑えることができるため、第1のコネクタの液体金属に第2のコネクタの突状接点部が入り込むコネクタ嵌合時の挿入力を小さくすることができる。また、アクチュエータ等の部材を設けることなく挿入力を小さくできるため、コネクタをより小型化・薄型化することができる。
【0010】
前記本発明は、第1のコネクタと第2のコネクタとを固着する固着部を有するものとすることができる。
【0011】
こうすることで、液状接点部と突条接点部とが導通接続している状態で、第1のコネクタと第2のコネクタとを確実に固定することができる。また、例えばこの固着部として接着剤等の液状の固着部材や両面テープ等のテープ状の固着部材を用いることでコネクタ全体をより薄型化することができる。
【0012】
前記本発明の第1のコネクタは、前記液状接点部と繋がる第1の回路部を有するものとすることができる。
【0013】
こうすることで、液状接点部と、液状接点部の外部に設けられる導電路を第1の回路部を介して確実に導通接続することができる。
【0014】
前記本発明の第2のコネクタは、前記突状接点部と繋がる第2の回路部を有するものとすることができる。
【0015】
こうすることで、突条接点部と、外部に設けられる導電路を第2の回路部を介して確実に導通接続することができる。
【0016】
前記本発明の液状接点部は、表面に封止部を有するものとすることができる。
【0017】
こうすることで、液状接点部を形成する液体金属の気化を抑制することができる。そのため、突状接点部と導通接続している状態で液状接点部の体積が減少して、それらが互いに離間して接続が不安定になるといった事態を抑制することができる。
【0018】
前記本発明の突状接点部は、前記封止部を突き破った状態で液状接点部に入り込んでいるものとすることができる。
【0019】
例えば第1のコネクタと第2のコネクタとを重ね合わせるときに突状接点部が封止部を突き破ることで、液状接点部が空気中に露出することなく、突状接点部と導通接続することができる。そのため、突状接点部を液状接点部に入り込ませる際においても確実に液状接点部を形成する液体金属の気化を抑制することができる。また、突状接点部が液状接点部に入り込んだ状態においても、封止部に液状接点部が空気中に露出する間隙が生じないため、確実に液状接点部を形成する液体金属の気化を抑制することができる。
【0020】
前記本発明の封止部は、液状金属に形成された酸化皮膜であるものとすることができる。
【0021】
こうすることで、別部材を用意することなく封止部を設けることができる。よって、封止部として別部材を用意する場合と比較して、部品点数を減らすことができるとともに、コネクタを全体として薄型化することができる。
【0022】
前記本発明の突状接点部が、略錐体形状であるものとすることができる。
【0023】
例えば細軸でなるピン状の端子では、先端側から基部側にかけて断面の外周の長さが略一定である。これに対して突状接点部を略錐体形状で設けると、先端側から基部側に向けて断面の外周の長さが長くなる。そのため、例えば先端形状が互いに同一のピン状の端子と略錐体形状の突状接点部とを同じ長さだけ液状接点部に入り込ませると、錐体形状の突状接点部の方がピン状の端子よりも液状接点部との接触面積が大きくなる。よって、略錐体形状の突状接点部の液状接点部への挿入長さをより短くしても、十分な接触面積を確保することが可能となる。これによりコネクタの低背化が可能となる。
【0024】
前記本発明の突状接点部が、前記凹部の開口を略塞ぐ大径の基部と、基部から突出する尖頭部とを有するものとすることができる。
【0025】
突状接点部が前記凹部の開口を略塞ぐ大径の基部を有することで、液状接点部を形成する液体金属の気化をより確実に抑制することができる。また、突状接点部が尖頭部を有することで、容易に封止部を突き破ることができる。
【0026】
前記本発明の第1の平型基材が柔軟なシート材であるものとすることができる。
【0027】
前記本発明の第2の平型基材が柔軟なシート材であるものとすることができる。
【0028】
柔軟なシート材を材質とすることでコネクタの設置場所に応じて第1の平型基材や第2の平型基材を変形させることができる。よって、他の実装部品が密集している部分に第1のコネクタや第2のコネクタが取り付けられている場合であっても、第1の平型基材や第2の平型基材を変形させることで、容易に嵌合作業を行うことができる。また、シート材の柔軟性を活かして第1の平型基材や第2の平型基材を湾曲させた状態で導通接続することも可能であり、設置スペース、配線スペースの限れた場所でのコネクタ接続や、従来の樹脂製ハウジングを有するコネクタでは実現できない導通接続部が湾曲する新たなコネクタ接続を実現することができる。
【0029】
前記本発明の凹部が、ハウジングに設けた孔部でなるものとすることができる。
【0030】
こうすることで、部品点数を増やすことなく、凹部を容易に設けることができる。
【0031】
前記本発明の凹部が、ハウジングに備わる導電性金属でなる凹状部材に設けられるものとすることができる。
【0032】
こうすることで、凹部に隙間を生じさせ難くすることができるため、凹部から液状接点部が漏れ出るといった事態を生じ難くすることができる。
【0033】
前記本発明の液体金属が、ガリウム(Ga)と、インジウム(In)と、スズ(Sn)の共晶合金でなるものとすることができる。
【0034】
こうした共晶合金の一種であるガリンスタンは、特に常温で液体であり、気化し難いという特徴を有する。よって、上記の特徴を有する液状接点部を有することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、接点部同士を導通接続させる際の負荷や摩擦力が小さく、挿入力が小さいコネクタを提供することができる。よって、コネクタ同士の嵌合作業をより容易に行うことができる。また、本発明によれば、薄型のコネクタを提供することができる。よって、狭くて従来のコネクタの設置が困難な場所であっても容易に取り付け作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態のコネクタの説明図。
図2図1のコネクタを示し、第1のコネクタと第2のコネクタとの嵌合前の状態を示す断面模式図。
図3図2のコネクタを示し、第1のコネクタと第2のコネクタとが嵌合し、接点部同士が導通接続している状態を示す断面模式図。
図4】第2実施形態の第1のコネクタの断面模式図。
図5】第2実施形態の変形例を示す断面模式図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、共通する使用方法、作用効果等についても重複説明を省略する。
【0038】
第1実施形態〔図1図3〕:
本実施形態のコネクタ1は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とが導通接続して形成される。
【0039】
〔第1のコネクタ〕
第1のコネクタ2は、第1の平型基材4と、ハウジング5と、第1の電極6と、液状接点部7と、を備える。
【0040】
第1の平型基材4は、シート状の絶縁性樹脂でなる樹脂フィルムを使用できる。こうした樹脂フィルムとしては、例えばポリイミドやエポキシ樹脂積層板を用いることができる。
【0041】
ハウジング5は、絶縁性樹脂でなり、第1の平型基材4の表面に設けられる。ハウジング5は凹部5bを形成する「孔部」としての貫通孔5aを有する。貫通孔5aには第1の平型基材4が露出し、貫通孔5aの内壁と、貫通孔5aから露出する第1の平型基材4とによって囲まれる凹部5bに後述する液状接点部7を充填する。
【0042】
また、第1の電極6は、凹部5bの内部に露出する第1の平型基材4の表面に設けられ、凹部5bに充填される液状接点部7と導通接触する。さらに、第1の電極6と、第1の平型基材4に配置される第1の導電路6aとを備える「第1の回路部」が形成される。ハウジング5及び第1の電極6は、第1の平型基材4に対して接着剤4aによって固定される。こうした接着剤4aとしては、例えばエポキシ樹脂接着剤を使用することができる。
【0043】
液状接点部7は、常温で液体の導電性金属である液体金属を凹部5bに充填することで設けられる。こうした液体金属としては、電気抵抗がより小さいものが好ましい。また、液体金属としては、通電により発熱してもより気化しにくいものが好ましい。仮に、第2のコネクタ3の突状接点部10が液状接点部7に入り込んで導通接続している状態で液体金属が気化して体積が減少すると、接点部7,10同士が互いに離間して導通不良を生じるおそれがあるためである。こうした特徴を有する液体金属としてガリウム(Ga)と、インジウム(In)と、スズ(Sn)の共晶合金であるガリンスタンを例示することができる。ガリンスタンの沸点は1300℃以上、融点は約−19℃であり、常温では液体である。また、この液体のガリンスタンは空気との接触界面に酸化皮膜7aを形成し、この酸化皮膜7aが「封止部」として液体金属の気化を抑制するため常温で気化し難い。よって、本実施形態の液体金属としてガリンスタンを使用することで、上記のような作用を有する液状接点部7を得ることができる。
さらに、こうした液体金属としては、より粘度が低く、他の接点部を形成する金属や、めっきに対する濡れ性が高いことが好ましい。これにより第1のコネクタ2と第2のコネクタ3との嵌合作業時に生じる負荷や摩擦力を小さくし、接点部との確実な導通接続を得ることができるようにするためである。
なお、ハウジング5と第1の平型基材4との接触部分における、特に凹部5bの内部には、封止材5cを付着させる。こうすることで、万一、ハウジング5と第1の平型基材4との間に間隙が生じていても、その間隙を確実に埋めることができる。よって、液状接点部10を形成する液状金属が第1の電極6や第1の導電路6aを形成する金属に対して特に高い濡れ性を示す場合であっても、液状金属がそうした金属表面を伝って凹部5bから漏れ出るといった事態を生じ難くすることができる。
【0044】
〔第2のコネクタ〕
第2のコネクタ3は、第2の平型基材8と、第2の電極9と、突状接点部10とを備える。
【0045】
第2の平型基材8は、シート状の絶縁性樹脂でなる樹脂フィルムを使用できる。こうした樹脂フィルムとしては、第1のコネクタ2の第1の平型基材4と同様に薄膜状のポリイミドやエポキシ樹脂積層板を使用できる。また、第2の平型基材8は柔軟で変形可能なものとして設けられるため、設置場所に応じて容易に変形させることができる。さらに、柔軟に変形させて第1のコネクタ2に重ね合わせることができるため、狭い場所でも嵌合作業を容易に行うことができる。
【0046】
第2の電極9は第2の平型基材8に対して、例えばエポキシ樹脂接着剤によって固定することができる。また、このような接着剤によらない方法としては、例えばCOF(チップオンフィルム)等によって、第2の電極9を平型基材8に対して固定する方法を用いることもできる。こうして、第2の電極9と、第2の平型基材8に配置される第2の導電路9aとを備える「第2の回路部」が形成される。
【0047】
突状接点部10は、第2の電極9上に固定される。この突状接点部10は、基部10a側から先端側に向けて先細る略錐体形状でなる。そして、基部10aは凹部5bの開口を略塞ぐ大径でなる。また、先端側には基部10aから突出する尖頭部10bが設けられる。突状接点部10としては、例えば金(Au)でなる導線を引き千切って生じる突起からスタッドバンプを形成することができる。また、他の導電性金属線を同様に引き千切って形成されるスタッドバンプに金めっきをしたものを用いることもできる。
【0048】
〔使用方法の説明〕
続いて本実施形態のコネクタ1の使用方法について説明する。
まず、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを重ね合わせる。第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを可能な限り密着させて間隙が生じないようにすることで、コネクタ1全体の薄型化を確実に実現することができる。その際に、突状接点部10を液状接点部7に入り込ませることで、液状接点部7と突状接点部10とを導通接続する。
【0049】
液状接点部7を形成する液体金属は空気との接触界面に酸化皮膜7aを形成する。この酸化皮膜7aが「封止部」として液体金属の気化を抑制することができる。こうした酸化皮膜7aを封止部として用いるため、他の部材を封止部として用意する必要が無い。よって、部品点数を増やす必要が無く、コネクタ1全体の薄型化が可能となる。しかし、この酸化皮膜7aは電気抵抗が高いため、液状接点部7と突状接点部10との接続信頼性を高めるためには、酸化皮膜7aを破り、内部の液状接点部7と突状接点部10とを導通接続する必要がある。そこで、本実施形態の突状接点部10に尖頭部10bを設ける。突状接点部10を液状接点部7に入り込ませる際に尖頭部10bが酸化皮膜7aを突き破ることで、容易に液状接点部7と導通接続することができる。こうした尖頭部10bを突状接点部10に設けることで、嵌合作業時においても液状接点部7を空気中に露出することなく、突状接点部10と導通接続することができる。また、突状接点部10が液状接点部7に入り込んで導通接続している状態においても、突状接点部10と液状接点部7との接触端部分が酸化皮膜7aで封止されるため、確実に液状接点部7を形成する液体金属の気化を抑制することができる。よって、液状接点部7を形成する液体金属の気化を確実に抑制することができる。
【0050】
その後、固着部11を用いて第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを固着して、液状接点部7と突状接点部10との導通接続状態を維持することができる。本実施形態では、第1のコネクタ2のハウジング5と、第2の平型基材8の間に固着部11を設けてハウジング5と第2の平型基材8とを互いに固着する。固着部11としては、液状接点部7と突状接点部10との導通接続を維持した状態で第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを固着することができればどのようなものでも良い。具体的には、例えば接着力のある固着部11を第2のコネクタ3の第2の平型基材8に接着させ、第1のコネクタ2のハウジング5に接着することができる。例えば両面テープのような薄型の感圧接着剤による固着部材を固着部11として用いることで、より薄型化したコネクタ1とすることができる。こうした固着部11を用いることで、例えばリテーナやアクチュエータを使用する場合と比較して、コネクタ1を全体として薄型化することができる。
【0051】
ここで、仮に突状接点部を細軸のピン状の端子で形成し、液状接点部7と導通接触させることとする。ピン状の端子は先端側から基部側にかけて断面の外周の長さが略一定である。この場合、接触面積を増やすためにはハウジング5を第1の平型基材4の厚み方向で大型化することで、凹部5bを深く設けて液状接点部7を厚み方向で長く形成し、さらにピン状の端子の突状接点部をより深く液状接点部7に入り込ませる必要がある。これに対し、本実施形態では、突状接点部10を略錐体形状として設ける。錐体形状は先端側から基部側に向けて断面の外周の長さが長くなる。よって、先端形状が互いに同一であるピン状の端子と、第1の平型基材4の厚み方向で同じ長さだけ略錐体形状の突状接点部10を液状接点部7に入り込ませると、略錐体形状の突状接点部10の方がより液状接点部7との接触面積が大きくなる。そのため、突状接点部10を略錐体形状とすることで、突状接点部10を第1の平型基材4の厚み方向で高くすることなく液状接点部7との十分な接触面積を確保することができる。また、接点部7,10同士の十分な接触面積さえ確保することができれば、ハウジング5を第1の平型基材4の厚み方向で小型化し、凹部5bを前記厚み方向で小型化することもできる。そのため、ピン状の端子を使用する場合と比較して、コネクタ1を低背にすることができる。また、こうした形状とすることで、突状接点部10を液状接点部7の内部に僅かに深く入り込ませるだけで、ピン状の端子と比較して大幅に接触面積を増やすことができる。よって、突状接点部10と液状接点部7との接続信頼性を高めやすくすることができる。さらに、ピン状の端子は通常、基材を貫通して基材に対して固定されているため、基材にはピン状の端子を支持できる程度の厚みや硬さが求められる。これに対して突状接点部10は基部10a側が先端側よりも大径でなり、第1の平型基材4の表面に載置して容易に固定することができる。よって、第1の平型基材4を柔らかく薄膜状に設けても突状接点部10を固定できるため、コネクタ1を全体として薄型化することができる。こうして第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを互いに固着することで、嵌合作業が完了する。
【0052】
上記のように、第1の平型基材4と第2の平型基材8とをシート材とすることで、その柔軟性を活かして平型基材4,9を湾曲させた状態で第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを導通接続することが可能である。よって、設置スペース、配線スペースの限れた場所でのコネクタ2,3の接続や、従来の樹脂製ハウジングを有するコネクタでは実現できない導通接続部が湾曲する新たなコネクタ接続を実現することができる。また、液状接点部7が導電性の液体金属で設けられるため、凹部5bの形状に合わせて液状接点部7の形状を容易に変えることができる。そのため、ハウジングの形状をコネクタの設置場所に合わせて自由に設計することもできる。
【0053】
上記のように、従来の固体でなる導電性金属同士を導通接続するコネクタと比較して、本実施形態のコネクタ1は、接点部7,10同士の導通接続時に生じる負荷や摩擦力を減少させることができる。よって、挿入力が小さく、嵌合作業が容易なコネクタ1とすることができる。また、従来のリテーナやアクチュエータ等の部材をハウジングに備えるZIFコネクタとは異なり、本実施形態のコネクタ1はそうした別部材を備えないため、さらなる薄型化が可能となる。
【0054】
第1実施形態の変形例:
凹部5bを形成する「孔部」として、ハウジング5に設け、第1の電極6が露出する貫通孔5aを示した。これに対して、液状接点部7と第1の電極6とを導通接続する手段を設けることができれば、ハウジング5を貫通しない「孔部」を形成することで、凹部5bを設けることができる。
【0055】
第2実施形態〔図4〕:
前記第1実施形態では、ハウジング5に孔部でなる凹部5bを設ける第1のコネクタ2を示した。これに対して、ハウジング5に導電性金属でなり、第1の電極6と導通接続する凹状部材13を設け、凹状部材13が凹部13aを有する第1のコネクタ12とすることができる(図4参照)。凹部13aに液状接点部10を充填するものとすることで、ハウジング5と第1の平型基材4との接触部分に封止材5cを付着させて隙間を埋めるといった作業を行うことなく、液状接点部10の漏れをより確実に防止することができる。また、凹状部材13を形成する金属としては、液状接点部7を構成する液体金属による濡れ性がより高いものを使用することができる。こうすることで、液状接点部7を凹状部材13の表面に対して相対移動させ難くすることができる。よって、仮にコネクタ12が振動を受けたり、第1の平型基材4の厚み方向を鉛直方向に対して傾けた状態でコネクタ12を設置した場合であっても、液状接点部7が凹部13aの開口13a1側に流れてこぼれ出るといった事態を生じ難くすることができる。こうした金属としては、特に上記液体金属による濡れ性が、ハウジング5に対する濡れ性よりも高いものを用いることが好ましい。なお、凹状部材13を前記液体金属による濡れ性が高くない金属で形成し、この金属に前記濡れ性が高い金属でめっき加工することでも、上記と同様の作用を得ることができる。
【0056】
凹部13aの底部13a2側に第1の電極6を直接接触させて凹状部材13と導通接続することができる(図4参照)。凹部13aの底部13a2を第1の電極6に対して半田付けすることで、凹状部材13と第1の電極6とを確実に導通接続させることができる。
【0057】
こうした凹状部材13としては、液状接点部7を形成する液体金属と金属間化合物を作り難い金属で形成することができる。こうすることで、液体金属の組成を安定させて、変性、劣化やそれに伴う突状接点部10との間での接続信頼性の低下等を生じ難くすることができる。また、凹状部材13を金属間化合物を作りやすい金属で形成し、これに上記の性質を有する金属でめっき加工をすることによっても、同様の作用を得ることができる。凹状部材13にめっき加工する金属としては、例えばニッケル(Ni)を用いることができる。
【0058】
また、凹状部材13は、例えばハウジング5に凹状部材13の外形に合わせて形成した取付箇所に圧入したり、インサート一体成形したりすることで第1の平型基材4やハウジング5に対して取り付けることができる。
【0059】
第2実施形態の変形例〔図5〕:
凹状部材13と第1の電極6とを導通接続する方法としては、凹状部材13に第1の電極6と導通接続する接続片13bを設けることもできる(図5参照)。第1の電極6との接続用の接続片13bを凹部13aを形成する部分とは別に設けることで、第1の電極6との確実な導通接続を得ることができる。接触片13bを第1の電極6に対して半田付けすることで、凹状部材13と第1の電極6とを確実に導通接続させることができる。なお、接続片13bと凹部13aとの間でハウジング5に設けられる接続片固定部14を挟持するようにすることで、凹状部材13をハウジング5に対して固定することができる。接触片13bを第1の電極6に対して半田付けする場合には、ハウジング5における半田(図示略)の逃げ部14aを設けても良い。こうすることで、逃げ部14aに半田を回り込ませることができるため、接触片13bを第1の電極6に対してより確実に固定することができる。
【0060】
前記各実施形態の変形例:
前記各実施形態では、液状接点部7を形成する導電性の液体金属として、ガリンスタンを例示した。これに対して、第2のコネクタ3の突状接点部10に対する濡れ性が高く、気化し難い金属であれば、他の液体金属を使用しても良い。また、こうした導電性の液体金属としては、常温では固体であるが、突状接点部10との接触作業時に加熱することで固体から液体に状態変化させ、突状接点部10との導通接続作業を行うこととしても良い。そのため、例えば第1の平型基材4、第1の電極6、ハウジング5を劣化や変形などさせない程度の温度が融点である導電性金属であれば、液状接点部7を形成することができる。
【0061】
また、液状接点部7を構成する導電性の金属としては、液体状態から固体状態に状態変化した場合であっても体積が減少するといった事態が生じないものを使用することができる。仮にこの液体金属が固体化することで大幅に体積が減少するものであるとすると、突状接点部10と液状接点部7とが導通接触している状態で液体金属が固体化した場合に、接点部7,10同士が互いに離間して導通接触できなくなるといった事態が生じるおそれがあるためである。よって、例えば液体状態の密度よりも固体状態の密度が低い金属を用いることで、そうした事態の発生を抑制することができる。
【0062】
前記各実施形態では、固着部11として感圧接着剤や両面テープ等の接着力のある部材を示した。これに対し、例えば第1のコネクタ2と第2の平型基材8にそれぞれ互いに係合する凹凸を設けるものとしても良い。こうした機械的な固着方法が可能な固着部11を有することで、部品点数を減らすことができる。また、一度固着した後、離間してから再度、固着し直すといった作業が行える固着部11とすることもできる。
【0063】
前記各実施形態では、第2の平型基材8を薄膜状の樹脂フィルムで形成し、柔軟で変形可能なものとして設けた。これに対して、第1の平型基材4のみ、又は平型基材4,8の双方を薄膜状の樹脂フィルムで形成し、柔軟で変形可能なものとして設けることもできる。こうすることで、第1の平型基材4の厚み方向で狭い場所や、基板上の実装部品が密集している箇所など、使用箇所をより自由に選択することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 コネクタ(第1実施形態)
2 第1のコネクタ
3 第2のコネクタ
4 第1の平型基材
4a 接着剤
5 ハウジング
5a 貫通孔
5b 凹部
5c 封止材
6 第1の電極
6a 第1の導電路
7 液状接点部
7a 酸化皮膜
8 第2の平型基材
9 第2の電極
9a 第2の導電路
10 突状接点部
10a 基部
10b 尖頭部
11 固着部
12 第1のコネクタ(第2実施形態)
13 凹状部材
13a 凹部
13a1 開口
13a2 底部
13b 接続片
14 接続片固定部
14a 逃げ部
図1
図2
図3
図4
図5