特開2017-41597(P2017-41597A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-41597(P2017-41597A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20170203BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 21/321 20060101ALI20170203BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
   H01L27/08 102C
   H01L21/76 L
   H01L27/04 A
   H01L21/82 C
   H01L21/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-163802(P2015-163802)
(22)【出願日】2015年8月21日
(71)【出願人】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】大浦 雅史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康博
【テーマコード(参考)】
5F032
5F033
5F038
5F048
5F064
【Fターム(参考)】
5F032AA34
5F032AA44
5F032AA77
5F032BA08
5F032CA17
5F032CA24
5F032CA25
5F032DA04
5F032DA33
5F032DA78
5F033HH04
5F033QQ48
5F033QQ49
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS15
5F033TT08
5F033VV06
5F033XX01
5F038BG03
5F038CA02
5F038CA17
5F038CA18
5F038EZ09
5F038EZ20
5F048AC01
5F048BA01
5F048BB03
5F048BB05
5F048BB16
5F048BD10
5F048BG13
5F048DA24
5F064CC10
5F064DD02
5F064DD13
5F064DD14
5F064DD26
5F064HH01
5F064HH06
(57)【要約】
【課題】CMPが行われる半導体装置の膜の平坦性を向上する。
【解決手段】異なる高さを有する複数のダミー酸化膜を適切に配置することによって、膜の平坦性を向上する。第1高さのゲート酸化膜および第1高さより低い第2高さのゲート酸化膜を形成する半導体基板に、第1高さのダミー酸化膜および第2高さのダミー酸化膜を配置する。また、任意の領域において、領域の面積を酸化膜が占有する割合をデータ率と呼ぶとき、それぞれの高さについて、高さのゲート酸化膜のデータ率と、高さのダミー酸化膜のデータ率との和に、高さを乗じた積を、高さごとに加えた総和が、任意の領域において一定となるように、ダミー酸化膜を配置する。
【選択図】図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタを構成する、第1高さの第1構造体と、
前記第1高さの第1ダミーパターンと、
第2トランジスタを構成する、前記第1高さより低い第2高さの第2構造体と、
前記第2高さの第2ダミーパターンと
を具備する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1構造体は、前記第1高さの第1ゲート酸化膜であって、
前記第2構造体は、前記第2高さの第2ゲート酸化膜であって、
前記第1ダミーパターンは、前記第1高さの第1ダミー酸化膜であって、
前記第2ダミーパターンは、前記第2高さの第2ダミー酸化膜であって、
前記第1ダミー酸化膜および前記第2ダミー酸化膜は、前記第1ゲート酸化膜および前記第2ゲート酸化膜の間に配置される
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1ダミー酸化膜は、前記第2ゲート酸化膜よりも前記第1ゲート酸化膜の近くに配置され、
前記第2ダミー酸化膜は、前記第1ゲート酸化膜よりも前記第2ゲート酸化膜に近くに配置される
半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1高さより低く、かつ、前記第2高さより高い第3高さの第3ダミー酸化膜
をさらに具備し、
前記第3ダミー酸化膜は、前記第1ゲート酸化膜および前記第2ゲート酸化膜の間に配置される
半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
任意の領域において、前記領域に形成された構造体が前記領域の面積を占有する割合をデータ率と呼ぶとき、
それぞれの高さにおいて、前記高さのゲート酸化膜のデータ率と、前記高さのダミー酸化膜のデータ率との和に、前記高さを乗じた積を、高さごとに加えた総和が、前記任意の領域において一定である
半導体装置。
【請求項6】
半導体基板の主面に、第1高さの第1構造体、前記第1高さより低い第2高さの第2構造体、前記第1高さの第1ダミーパターンおよび前記第2高さの第2ダミーパターンを配置することと、
前記主面に、前記第1構造体および前記第1ダミーパターンを形成することと、
前記主面に、前記第2構造体および前記第2ダミーパターンを形成することと、
前記主面に、前記第1高さより厚い膜を形成することと、
前記主面に、前記膜を平坦化するCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)加工を行うこと
を具備する
半導体装置製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置製造方法において、
前記第1ダミーパターンを配置することは、
前記第1ダミーパターンである第1ダミー酸化膜を、前記第1構造体である第1ゲート酸化膜と、前記第1構造体である第2ゲート酸化膜との間に配置すること
を具備し、
前記第2ダミーパターンを配置することは、
前記第2ダミーパターンである前記第2ダミー酸化膜を、前記第1ゲート酸化膜と、前記第2ゲート酸化膜との間に配置すること
を具備する
半導体装置製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置製造方法において、
前記第1ダミー酸化膜を配置することは、
前記第1ダミー酸化膜を、前記第2ゲート酸化膜よりも前記第1ゲート酸化膜の近くに配置すること
を具備し、
前記第2ダミー酸化膜を配置することは、
前記第2ダミー酸化膜を、前記第1ゲート酸化膜よりも前記第2ゲート酸化膜の近くに配置すること
を具備する
半導体装置製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置製造方法において、
前記第1高さより低く、かつ、前記第2高さより高い第3高さの第3ダミー酸化膜を、前記第1ゲート酸化膜および前記第2ゲート酸化膜の間に配置すること
をさらに具備する
半導体装置製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載の半導体装置製造方法において、
前記配置することは、
前記主面の任意の領域において、前記領域の面積を酸化膜が占有する割合をデータ率と呼ぶとき、
それぞれの高さについて、前記高さのゲート酸化膜のデータ率と、前記高さのダミー酸化膜のデータ率との和に、前記高さを乗じた積を、高さごとに加えた総和が、前記主面の任意の領域において一定となるように、前記第1ダミー酸化膜および前記第2ダミー酸化膜を配置すること
を具備する
半導体装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびこれを製造する方法に関し、例えば、異なる高さを有する複数種類の構造体を含む半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスの微細化が進むに伴い、膜厚ばらつきの影響が顕著になっている。その要因として、研磨時間や研磨圧力などのCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)プロセスに係る要因が知られている。また、他の要因として、ゲート酸化膜厚が異なる複数の構造体が同一ショット内に配置されていることによって、表面形状が不均一な状態で成膜やCMP加工を行うことも挙げられる。また、レイアウト密度によっては、ディッシングやエロージョンなどが発生する場合があり、その影響も膜厚ばらつきの要因の一つである。
【0003】
CMPダミーパターンを配置する方法として、例えば以下の2つの方法が知られている。第1の方法として、その領域のデータ率に応じてショット内にダミーパターンを配置する。第2の方法として、ウェハ外周部にダミーパターンを配置する。これらの方法は、いずれも、高さが同一のダミーパターンを用いてCMP時の圧力を均一化することによって、平坦性の向上を狙うものである。
【0004】
しかし、上記の方法では、酸化膜などの被膜時の表面凹凸が考慮されていない。つまり、高さが異なる複数の構造体を有する領域では、構造体の高さおよび密度に応じた被膜構造の表面凹凸が形成されるが、上記の方法はこれに対応していない。
【0005】
上記に関連して、特許文献1(特開2002−198419号公報)には、半導体装置の製造方法および設計方法に係る記載が開示されている。特許文献1では、複数のトレンチにより区画されるダミーパターンが素子分離領域に配置された半導体基板上に被研磨膜を形成する。これをCMPで平坦化することで、ディッシングおよびエロージョンを抑制し、高い平滑性を実現する。この公知例では、複数のダミーパターンの上面積および複数のトレンチの幅を、被研磨膜の凸部の上面積の総和が周辺領域の平面積に占める割合(周辺領域における被研磨膜の占有密度)に基づいて設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−198419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CMPが行われる半導体装置(100)の膜(13、17)の平坦性を向上する。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
一実施の形態によれば、異なる高さを有する複数のダミーパターン(103、104)を適切に配置することによって、膜(13、17)の平坦性を向上する。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、CMP加工の平坦性を向上させ、成膜時の表面均一性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の半導体装置の一構成例を示す断面図である。
図2図2は、本発明を適用可能な第1の半導体製造方法の工程を例示するフローチャートである。
図3A図3Aは、半導体基板の初期状態を示す断面図である。
図3B図3Bは、STIのトレンチを形成した後の状態を示す断面図である。
図3C図3Cは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。
図3D図3Dは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図3E図3Eは、SiN層を除去した後の状態を示す断面図である。
図3F図3Fは、LV用酸化膜、MV用酸化膜およびHV用酸化膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図3G図3Gは、ポリシリコン層およびサイドウォールを形成した後の状態を示す断面図である。
図3H図3Hは、層間膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図3I図3Iは、層間膜を形成してCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図4図4は、本発明を適用可能な第2の半導体製造方法の工程を例示するフローチャートである。
図5A図5Aは、半導体基板の初期状態を示す断面図である。
図5B図5Bは、LV用酸化膜、MV用酸化膜およびHV用酸化膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図5C図5Cは、STIのトレンチを形成した後の状態を示す断面図である。
図5D図5Dは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。
図5E図5Eは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図5F図5Fは、SiN層を除去した後の状態を示す断面図である。
図5G図5Gは、ポリシリコン層およびサイドウォールを形成した後の状態を示す断面図である。
図5H図5Hは、層間膜を形成した後、かつ、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。
図5I図5Iは、層間膜を形成してCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図6図6は、本発明を適用可能な第3の半導体製造方法の工程を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、半導体基板の初期状態を示す断面図である。
図7B図7Bは、HV用酸化膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図7C図7Cは、STIのトレンチを形成した後の状態を示す断面図である。
図7D図7Dは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。
図7E図7Eは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図7F図7Fは、SiN層を除去した後の状態を示す断面図である。
図7G図7Gは、LV用酸化膜およびMV用酸化膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図7H図7Hは、ポリシリコン層およびサイドウォールを形成した後の状態を示す断面図である。
図7I図7Iは、層間膜を形成した後の状態を示す断面図である。
図7J図7Jは、層間膜を形成した後にCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
図8A図8Aは、従来技術による半導体装置製造方法における、STIのトレンチを形成してCMP加工を行った後の状態を例示する断面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態による半導体装置製造方法における、STIのトレンチを形成してCMP加工を行った後の状態を例示する断面図である。
図9A図9Aは、従来技術による半導体装置製造方法において、半導体基板の主面に、異なる高さの複数種類のゲート酸化膜と、1種類の高さのダミー酸化膜とを配置した領域の一配置例を示す上面図である。
図9B図9Bは、本発明の一実施形態による半導体装置製造方法において、半導体基板10の主面に、異なる高さの複数種類のゲート酸化膜およびダミー酸化膜を配置した領域の一配置例を示す上面図である。
図10図10は、ダミーパターンの高さの違いが層間膜の厚さに及ぼす影響を例示する断面図である。
図11A図11Aは、構造体の高さは同じでデータ率は異なる複数の領域において形成された層間膜の厚さの違いを例示する断面図である。
図11B図11Bは、データ率は同じで構造体の高さが異なる複数の領域において形成された層間膜の厚さの違いを例示する断面図である。
図12A図12Aは、高さが異なる複数のダミーパターンのデータ率を調整する前の、すなわちダミーパターンを1種類しか用いていない従来の層間膜の表面の状態を例示する断面図である。
図12B図12Bは、異なる高さの複数のダミーパターンのデータ率を調整した後の、層間膜の表面の状態を例示する断面図である。
図13図13は、本発明の一実施形態によるレイアウトツールの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明による半導体装置および半導体装置の製造方法を実施するための形態を以下に説明する。
【0013】
本発明では、半導体装置に含まれるトランジスタを構成する構造体を形成すると同時に、CMPの平坦性を向上させるためのダミーパターンを形成する。この構造体は、トランジスタ自体であっても良いし、これに含まれるゲート酸化膜であっても良い。また、ダミーパターンは、トランジスタ全体に対応する構成であっても良いし、ゲート酸化膜に対応する構成であっても良い。
【0014】
図1は、本発明の半導体装置100の一構成例を示す断面図である。図1の半導体装置100は、半導体基板10と、第1トランジスタ101と、第2トランジスタ102と、第1ダミーパターン103と、第2ダミーパターン104とを含んでいる。ここで、第1トランジスタ101と、第2トランジスタは、高さが異なる。また、第1ダミーパターン103と、第2ダミーパターン104も、高さが異なる。第1トランジスタ101と、第1ダミーパターン103とは、同じ第1高さを有しており、第2トランジスタ102と、第2ダミーパターン104とは、同じ第2高さを有している。図1の例では、第2高さは、第1高さより低い。なお、ここでは、半導体装置100に含まれる各構造体の高さを、半導体基板の厚さ方向における、各構造体の上面の位置として定義する。トランジスタの場合は、そのゲート電極としてのポリシリコン層の上面の位置として定義しても良い。
【0015】
本発明では、半導体基板10の上に、異なる高さを有する複数種類の構造体を形成するとともに、同じ高さを有する複数種類のダミーパターンを形成する。高さが異なる複数のダミーパターンを、高さが異なる複数の構造体の配置に応じて、適宜に配置することによって、CMPの平坦性を向上する。
【0016】
また、本発明では、半導体装置を製造する際に複数回行うCMP加工のうち、2つの工程に注目する。2回のCMP加工は、半導体製造プロセスによって行うタイミングが異なる。そこで、まずは合計3種類の半導体製造プロセスについて、2回のCMP加工が行われるタイミングを確認する。その後、1回目のCMP加工に係るダミーパターンの配置方法を、第1実施形態として説明する。さらにその後、2回目のCMP加工に係るダミーパターンの配置方法を、第2実施形態として説明する。
【0017】
その前に、異なる高さを有する複数種類の酸化膜を含む半導体装置について説明する。
【0018】
例えば、液晶ディスプレイドライバの場合は、1.5V(ボルト)程度の比較的低い電圧で駆動する論理回路と、30V程度の比較的高い電圧で駆動する液晶駆動回路と、5V程度の中間的な電圧で駆動し、論理回路に制御されて液晶駆動回路を制御する昇圧回路とが、同一の半導体基板上に形成されている。
【0019】
ここで、低電圧で駆動するトランジスタはゲート酸化膜の厚さが薄く、高電圧で駆動するトランジスタはゲート酸化膜の厚さが厚く、中間的な電圧で駆動するトランジスタはゲート酸化膜の厚さが中間的であることが好ましい。なお、これらのゲート酸化膜においては、厚さのみならず、幅や長さも、駆動電圧に応じて異なることが好ましい。
【0020】
以降、低電圧で駆動するトランジスタをLV(Low Voltage:低電圧)用トランジスタと呼び、そのゲート酸化膜をLV用ゲート酸化膜と呼ぶ。高電圧で駆動するトランジスタをHV(High Voltage:高電圧)用トランジスタと呼び、そのゲート酸化膜をHV用ゲート酸化膜と呼ぶ。中間的電圧で駆動するトランジスタをMV(Middle Voltage:中間電圧)用トランジスタと呼び、そのゲート酸化膜をMV用ゲート酸化膜と呼ぶ。
【0021】
また、LV用ゲート酸化膜と同時に形成されて同じ高さを有するダミー酸化膜をLV用ダミー酸化膜と呼び、LV用ダミー酸化膜を含みLV用トランジスタに対応するダミーパターンをLV用ダミーパターンと呼ぶ。MV用ゲート酸化膜と同時に形成されて同じ高さを有するダミー酸化膜をMV用ダミー酸化膜と呼び、MV用ダミー酸化膜を含みMV用トランジスタに対応するダミーパターンをMV用ダミーパターンと呼ぶ。HV用ゲート酸化膜と同時に形成されて同じ高さを有するダミー酸化膜をHV用ダミー酸化膜と呼び、HV用ダミー酸化膜を含みHV用トランジスタに対応するダミーパターンをHV用ダミーパターンと呼ぶ。
【0022】
さらに、LV用ゲート酸化膜およびLV用ダミー酸化膜をまとめてLV用酸化膜と呼び、MV用ゲート酸化膜およびMV用ダミー酸化膜をまとめてMV用酸化膜と呼び、HV用ゲート酸化膜およびHV用ダミー酸化膜をまとめてHV用酸化膜と呼ぶ。
【0023】
次に、異なる高さを有する複数種類の酸化膜を含む半導体装置を製造する3種類の方法について説明する。最初に説明する第1の半導体装置製造方法は、いわゆる標準的なプロセスである。その次に説明する第2、第3の半導体装置製造方法では、STI後作り構造を用いる。第2、第3の半導体装置製造方法で大きく異なる点としては、ダミー酸化膜形成プロセスとSTI形成プロセスの順番が異なる。
【0024】
まず、第1の半導体製造方法について説明する。図2は、本発明を適用可能な第1の半導体製造方法の工程を例示するフローチャートである。図2のフローチャートは、第0ステップS100〜第8ステップS108を含んでいる。図2に例示した各工程における半導体基板の状態について、図3A図3Iを参照して説明する。
【0025】
半導体装置100の製造を始める前の準備として、第0ステップS100において、ダミーパターンの配置を決定する。
【0026】
図3Aは、半導体基板10の初期状態を示す断面図である。この状態において、半導体基板10の主面は平坦である。その次に、第1ステップS101において、トレンチ11の間にSiN(窒化シリコン)層12を形成後、STI(Shallow Trench Isolation:シャロートレンチアイソレーション)を形成する。図3Bは、STIのトレンチ11を形成した後の状態を示す断面図である。
【0027】
その次に、第2ステップS102において、CMP加工を行う。その前段階として、半導体基板10の主面全体にHDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)プロセスによるHDP膜13を成膜する。図3Cは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。図3Dは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。第2ステップS102のCMP加工では、SiN層12がストッパ膜として用いられており、半導体基板10はSiN層12の上面が露出するまで研磨される。
【0028】
その次に、SiN層12が除去される。図3Eは、SiN層12を除去した後の状態を示す断面図である。
【0029】
その次に、第3ステップS103においてHV用酸化膜23を成膜し、第4ステップS104においてMV用酸化膜22を成膜し、第5ステップS105においてLV用酸化膜21を成膜する。ここで、第3ステップS103ではHV用酸化膜23に含まれるHV用ゲート酸化膜33およびHV用ダミー酸化膜43が同時に成膜される。同様に、第4ステップS104ではMV用酸化膜22に含まれるMV用ゲート酸化膜32およびMV用ダミー酸化膜42が同時に成膜される。同様に、第5ステップS105ではLV用酸化膜21に含まれるLV用ゲート酸化膜31およびLV用ダミー酸化膜41が同時に成膜される。図3Fは、LV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23を形成した後の状態を示す断面図である。
【0030】
その次に、第6ステップS106において、ゲート部を加工する。ここで、ゲート部は、ゲート酸化膜としてのLV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23の上面に形成されたポリシリコン層15と、その周囲に形成されたサイドウォール16とを含む。図3Gは、ポリシリコン層15およびサイドウォール16を形成した後の状態を示す断面図である。
【0031】
その次に、第7ステップS107において、層間膜17を形成する。層間膜17は、半導体基板10の主面を全体的に覆う。図3Hは、層間膜17を形成した後の状態を示す断面図である。
【0032】
その次に、第8ステップS108において、再度のCMP加工を行う。図3Iは、層間膜17を形成してCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
【0033】
次に、第2の半導体製造方法について説明する。図4は、本発明を適用可能な第2の半導体製造方法の工程を例示するフローチャートである。図4のフローチャートは、第0ステップS200〜第8ステップS208を含んでいる。図2に例示した各工程における半導体基板の状態について、図5A図5Iを参照して説明する。
【0034】
半導体装置100の製造を始める前の準備として、第0ステップS200において、ダミーパターンの配置を決定する。
【0035】
図5Aは、半導体基板10の初期状態を示す断面図である。この状態において、半導体基板10の主面は平坦である。
【0036】
その次に、第1ステップS201としてHV用酸化膜23を成膜し、第2ステップS202としてMV用酸化膜22を成膜し、第3ステップS203としてLV用酸化膜21を成膜する。ここで、第1ステップS201ではHV用酸化膜23に含まれるHV用ゲート酸化膜33およびHV用ダミー酸化膜43が同時に成膜される。同様に、第2ステップS202ではMV用酸化膜に含まれるMV用ゲート酸化膜32およびMV用ダミー酸化膜42が同時に成膜される。同様に、第3ステップS203ではLV用酸化膜21に含まれるLV用ゲート酸化膜31およびLV用ダミー酸化膜41が同時に成膜される。図5Bは、LV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23を形成した後の状態を示す断面図である。ここで、LV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23のそれぞれの上面の高さをなるべく均一化するために、LV用酸化膜21の下面およびMV用酸化膜22の下面が半導体基板10の主面側表面に乗っている一方で、HV用酸化膜23の下面は半導体基板10の主面側表面より下に位置している。
【0037】
その次に、第4ステップS204においてSTI14を形成する。図5Cは、STI14のトレンチ11を形成した後の状態を示す断面図である。トレンチ11は、LV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23の周囲に形成されている。
【0038】
その次に、第5ステップS205においてCMP加工を行う。その前段階として、LV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23の上面にSiN層12を形成し、半導体基板10の主面全体にHDP膜13を成膜する。図5Dは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。図5Eは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。第5ステップS205のCMPでは、SiN層12がストッパ膜として用いられており、半導体基板10はSiN層12の上面が露出するまで研磨される。
【0039】
その次に、SiN層12が除去される。図5Fは、SiN層12を除去した後の状態を示す断面図である。
【0040】
その次に、第6ステップS206において、ゲート部を加工する。ここでも、ゲート部は、ゲート酸化膜としてのLV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23の上面に形成されたポリシリコン層15と、その周囲に形成されたサイドウォール16とを含む。図5Gは、ポリシリコン層15およびサイドウォール16を形成した後の状態を示す断面図である。
【0041】
その次に、第7ステップS207において、層間膜17を形成する。層間膜17は、半導体基板10の主面を全体的に覆う。図5Hは、層間膜を形成した後の状態を示す断面図である。
【0042】
その次に、第8ステップS208において、再度のCMP加工を行う。図5Iは、層間膜17を形成してCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
【0043】
次に、第3の半導体製造方法について説明する。図6は、本発明を適用可能な第3の半導体製造方法の工程を例示するフローチャートである。図6のフローチャートは、第0ステップS300〜第8ステップS308を含んでいる。図2に例示した各工程における半導体基板の状態について、図7A図7Jを参照して説明する。
【0044】
半導体装置100の製造を始める前の準備として、第0ステップS300において、ダミーパターンの配置を決定する。
【0045】
図7Aは、半導体基板10の初期状態を示す断面図である。この状態において、半導体基板10の主面は平坦である。その次に、第1ステップS301において、HV用酸化膜を成膜する。図7Bは、HV用酸化膜23を形成した後の状態を示す断面図である。ここで、HV用酸化膜23の下面は半導体基板10の主面側表面より下に位置している。
【0046】
その次に、第2ステップ302において、STI14を形成する。図7Cは、STI14のトレンチ11を形成した後の状態を示す断面図である。
【0047】
その次に、第3ステップS303において、CMP加工を行う。その前段階として、HV用酸化膜23の上面と、トレンチ11の間とにSiN層12を形成し、半導体基板10の主面全体にHDP膜13を成膜する。図7Dは、CMP加工を行う前の状態を示す断面図である。図7Eは、CMP加工を行った後の状態を示す断面図である。第3ステップS303のCMP加工でも、SiN層12がストッパ膜として用いられており、半導体基板10はSiN層12の上面が露出するまで研磨される。
【0048】
その次に、SiN層12が除去される。図7Fは、SiN層12を除去した後の状態を示す断面図である。
【0049】
その次に、第4ステップS304においてMV用酸化膜22を成膜し、第5ステップS305においてLV用酸化膜21を成膜する。ここで、第4ステップS304ではMV用酸化膜22に含まれるMV用ゲート酸化膜32およびMV用ダミー酸化膜42が同時に成膜される。同様に、第5ステップS305ではLV用酸化膜21に含まれるLV用ゲート酸化膜31およびLV用ダミー酸化膜41が同時に成膜される。図7Gは、LV用酸化膜21およびMV用酸化膜22を形成した後の状態を示す断面図である。
【0050】
その次に、第6ステップS306において、ゲート部を加工する。ここでも、ゲート部は、ゲート酸化膜としてのLV用酸化膜21、MV用酸化膜22およびHV用酸化膜23の上面に形成されたポリシリコン層15と、その周囲に形成されたサイドウォール16とを含む。図7Hは、ポリシリコン層15およびサイドウォール16を形成した後の状態を示す断面図である。
【0051】
その次に、第7ステップS307において、層間膜17を形成する。層間膜17は、半導体基板10の主面を全体的に覆う。図7Iは、層間膜を形成した後の状態を示す断面図である。
【0052】
その次に、第8ステップS308において、再度のCMP加工を行う。図7Jは、層間膜を形成した後にCMP加工を行った後の状態を示す断面図である。
【0053】
このように、上記に説明した第1〜第3の半導体の製造方法は、いずれの場合も、2種類のCMP加工を含む。すなわち、第1のCMP加工はSTIを形成した後に行われ、第2のCMP加工は層間膜17を形成した後に行われる。本発明では、これら2種類のCMP加工のそれぞれについて、平坦性を向上する。
【0054】
(第1実施形態)
第1実施形態として、第1のCMP加工における平坦性の向上について説明する。従来技術による半導体装置製造方法では、通常、CMP加工用のダミー酸化膜として、LV用ダミー酸化膜の1種類だけを用いる。その上で、高さが異なる複数種類のゲート酸化膜を形成する場合は、CMP加工時にゲート酸化膜およびダミー酸化膜の間で段差が生じる。この段差は、例えば、図4および図5A図5Iに示した第2の半導体装置製造方法や、図6および図7A図7Jに示した第3の半導体装置製造方法などで生じる。これは、STI形成後のCMP加工を行う前に各種の酸化膜またはその一部の形成を行うからである。
【0055】
なお、このような段差は、図2および図3A図3Iに示した第1の半導体装置製造方法では発生していない。これは、第1の半導体装置製造方法ではSTI形成後のCMP加工を行った後から各種の酸化膜を形成するためである。
【0056】
図8Aは、従来技術による半導体装置製造方法における、STIのトレンチ111を形成してCMP加工を行った後の状態を例示する断面図である。図8Bは、本実施形態による半導体装置製造方法における、STIのトレンチ11を形成してCMP加工を行った後の状態を例示する断面図である。
【0057】
図8Aに示した半導体基板110には、MV用ゲート酸化膜132と、LV用ダミー酸化膜141と、SiN層112と、トレンチ111と、HDP膜113とが形成されている。ここで、3つのLV用ダミー酸化膜141は、2つのMV用ゲート酸化膜132の間に配置されている。トレンチ111は、LV用ダミー酸化膜141またはMV用ゲート酸化膜132の周囲に配置されている。SiN層112は、LV用ダミー酸化膜141およびMV用ゲート酸化膜132の上面に配置されている。CMP加工はSiN層112の上面で止められており、HDP膜113の表面113Aは各SiN層112の上面をつなぐ曲線を描いている。
【0058】
図8Aに示したHDP膜113に注目すると、その表面113Aの高さは、MV用ゲート酸化膜132の周囲では高く、LV用ダミー酸化膜141の周囲では低い。つまり、図8Aに示したHDP膜表面113Aには段差がある。また、CMP加工時にオーバー研磨が発生し、半導体基板110の主面側表面の平坦性が低下してしまう。
【0059】
その一方で、図8Bに示した半導体基板10には、MV用ゲート酸化膜32と、MV用ダミー酸化膜42と、SiN層12と、トレンチ11と、HDP膜13とが形成されている。ここでも、3つのMV用ダミー酸化膜42は、2つのMV用ゲート酸化膜32の間に配置されている。トレンチ11は、MV用ダミー酸化膜42またはMV用ゲート酸化膜32の周囲に配置されている。SiN層12は、MV用ダミー酸化膜42およびMV用ゲート酸化膜32の上面に配置されている。CMPはSiN層12の上面で止まっており、HDP膜13の表面13Aは各SiN層12の上面をつなぐ曲線を描いている。
【0060】
図8Bに示したHDP膜13に注目すると、その表面13Aの高さは、MV用ダミー酸化膜42の高さが周囲と同等であり、もしくは段差が低減されているため、ほぼ平坦であり、したがってCMP加工時のオーバー研磨が抑制される。
【0061】
図8Bに示したように、本実施形態によれば、ダミー酸化膜の高さを周囲に応じて適宜に選択することで、CMP加工に係る平坦性を向上させることが出来る。
【0062】
次に、異なる高さの複数種類のゲート酸化膜が混在する領域における、ダミー酸化膜の高さの選び方について説明する。
【0063】
図9Aは、従来技術による半導体装置製造方法において、半導体基板110の主面に、異なる高さの複数種類のゲート酸化膜131、132、133と、1種類の高さのダミー酸化膜141とを配置した領域の一配置例を示す上面図である。
【0064】
図9Aに示した半導体基板110の主面には、LV用ゲート酸化膜131と、MV用ゲート酸化膜132と、HV用ゲート酸化膜133と、LV用ダミー酸化膜141とが配置されている。ここで、LV用ゲート酸化膜131およびMV用ゲート酸化膜132の間の領域にも、LV用ゲート酸化膜131およびHV用ゲート酸化膜133の間の領域にも、MV用ゲート酸化膜132およびHV用ゲート酸化膜133の間の領域にも、全て、LV用ダミー酸化膜141が配置されている。したがって、異なる高さの複数種類の酸化膜がこのように配置されている半導体基板110の表面にはCMP加工後も段差が生じて、平坦性が低下してしまう。
【0065】
図9Bは、本実施形態による半導体装置製造方法において、半導体基板10の主面に、異なる高さの複数種類のゲート酸化膜およびダミー酸化膜を配置した領域の一配置例を示す上面図である。
【0066】
図9Bに示した半導体基板10の主面には、LV用ゲート酸化膜31と、MV用ゲート酸化膜32と、HV用ゲート酸化膜33と、LV用ダミー酸化膜41と、MV用ダミー酸化膜42と、HV用ダミー酸化膜43とが配置されている。ここで、LV用ダミー酸化膜41と、MV用ダミー酸化膜42と、HV用ダミー酸化膜43とは、以下の条件を満たすように配置されている。
【0067】
条件その1、同じ高さを有する2つのゲート酸化膜の間の領域には、同じ高さのダミー酸化膜を配置する。図9Bの例でも、高さが同じである2つのHV用ゲート酸化膜33の間には、同じ高さのHV用ダミー酸化膜43が配置されている。
【0068】
条件その2、異なる高さを有する2つのゲート酸化膜の間の領域には、一方のゲート酸化膜と同じ高さのダミー酸化膜、他方のゲート酸化膜と同じ高さのダミー酸化膜または2つのゲート酸化膜の中間の高さのダミー酸化膜を配置する。図9Bの例でも、HV用ゲート酸化膜33およびMV用ゲート酸化膜32の間には、HV用ダミー酸化膜43またはMV用ダミー酸化膜42が配置されている。また、MV用ゲート酸化膜32およびLV用ゲート酸化膜31の間には、MV用ダミー酸化膜42またはLV用ダミー酸化膜41が配置されている。さらに、HV用ゲート酸化膜33と、LV用ゲート酸化膜31の間の領域には、HV用ダミー酸化膜43、MV用ダミー酸化膜42またはLV用ダミー酸化膜41が配置されている。
【0069】
条件その3、異なる高さを有する2つのゲート酸化膜の間の領域に複数のダミー酸化膜を配置する場合は、一方のゲート酸化膜と同じ高さのダミー酸化膜は他方のゲート酸化膜よりも一方のゲート酸化膜の近くに配置し、他方のゲート酸化膜と同じ高さのダミー酸化膜は一方のゲート酸化膜よりも他方のゲート酸化膜の近くに配置する。図9Bの例でも、HV用ゲート酸化膜33およびMV用ゲート酸化膜32の間の領域に配置されたHV用ダミー酸化膜43およびMV用ダミー酸化膜42のうち、前者はHV用ゲート酸化膜33の付近に配置されており、後者はMV用ゲート酸化膜32の付近に配置されている。また、MV用ゲート酸化膜32およびLV用ゲート酸化膜31の間に配置されたMV用ダミー酸化膜42およびLV用ダミー酸化膜41のうち、前者はMV用ゲート酸化膜32の付近に配置されており、後者はLV用ゲート酸化膜31の付近に配置されている。さらに、HV用ゲート酸化膜33およびLV用ゲート酸化膜31の間に配置されたHV用ダミー酸化膜43およびLV用ダミー酸化膜41のうち、前者はHV用ゲート酸化膜33の付近に配置されており、後者はLV用ゲート酸化膜31の付近に配置されている。また、HV用ゲート酸化膜33およびLV用ゲート酸化膜31間の場合、これらの中間のダミー高さのMV用ダミー酸化膜42をHV用ダミー酸化膜43とLV用ダミー酸化膜41の間に配置しても良い。
【0070】
以上に説明したように、STI形成後のCMP加工に係る平坦性は、異なる高さを有する複数種類のゲート酸化膜の間に、同じ種類の複数の高さを有するダミー酸化膜を、上記の各条件を満たすように配置することで向上させることが可能となる。なお、上記の各条件を満たすように複数種類の高さを有するダミー酸化膜を配置することは、自動計算によっても実現可能であることは言うまでもない。
【0071】
(第2実施形態)
第2実施形態として、第2のCMP加工における平坦性の向上について説明する。前述のとおり、従来技術による半導体装置製造方法では、通常、CMP加工用のダミーパターンとして、LV用ダミーパターンの1種類だけを用いる。その上で、高さが異なる複数種類のトランジスタを形成する場合は、層間膜の形成時に、トランジスタおよびダミーパターンの間で段差が生じる。特に、ダミーパターンの高さが周囲のトランジスタよりも低い領域が多い場合は、層間膜の成膜量が同じであっても、ダミーパターンの高さが低い分だけ成膜後の最表面が低くなる。
【0072】
図10は、ダミーパターンの高さの違いが層間膜の厚さに及ぼす影響を例示する断面図である。図10の左側は、従来技術の半導体装置製造方法において、MV用トランジスタ135が形成される領域に配置されたLV用ダミーパターン142の高さがMV用トランジスタ135よりも低い分だけ層間膜117の表面117Aが低くなることを示している。図10の右側は、本実施形態による半導体装置製造方法において、MV用トランジスタ35が形成される領域には同じ高さのMV用ダミーパターン45を配置することによって、層間膜17の表面17Bへの影響を抑制出来ることを示している。
【0073】
図10では、ダミーパターンの高さが層間膜17の厚さに影響することを説明した。同様の影響が、トランジスタおよびダミーパターンのデータ率の分布によってももたらされることについて説明する。
【0074】
データ率とは、半導体基板10の主面の任意の領域において、この領域の面積を構造体が占有する割合として定義される。ここで、この領域の面積をトランジスタが占有する割合を、トランジスタのデータ率と呼ぶ。また、この領域の面積をダミーパターンが占有する割合を、ダミーパターンのデータ率と呼ぶ。このとき、上記に定義したデータ率は、トランジスタおよびダミーパターンがその領域の面積を占有する割合であるので、トランジスタのデータ率及びダミーパターンのデータ率の合計に等しい。
【0075】
図11Aは、構造体の高さは同じでデータ率は異なる複数の領域において形成された層間膜の厚さの違いを例示する断面図である。図11Aは、MV用低データ率エリア51と、MV用中データ率エリア52と、MV用高データ率エリア53とを示している。ここで、MV用低データ率エリア51は、MV用トランジスタ35およびLV用ダミーパターン44が支配的に形成されて、かつ、データ率が低いエリアである。MV用高データ率エリア53は、MV用トランジスタ35およびLV用ダミーパターン44が支配的に形成されて、かつ、データ率が高いエリアである。MV用中データ率エリア52は、MV用トランジスタ35およびLV用ダミーパターン44が支配的に形成されて、かつ、データ率が中間的なエリアである。このとき、各エリアに形成された層間膜17の高さを比較すると、MV用低データ率エリア51ではMV用中データ率エリア52より低くなり、MV用高データ率エリア53ではMV用中データ率エリア52より高くなる。つまり、他の条件が同じでも、データ率の違いが層間膜17の厚さに影響する。
【0076】
図11Bは、データ率は同じで構造体の高さが異なる複数の領域において形成された層間膜の厚さの違いを例示する断面図である。図11Bは、LV用中データ率エリア61と、MV用中データ率エリア62と、HV用中データ率エリア63とを示している。ここで、LV用中データ率エリア61は、LV用トランジスタ34およびLV用ダミーパターン44が支配的に形成されて、かつ、データ率が中くらいのエリアである。MV用中データ率エリア62は、MV用トランジスタ35およびMV用ダミーパターン45が支配的に形成されて、かつ、データ率が中くらいのエリアである。HV用中データ率エリア63は、HV用トランジスタ36およびHV用ダミーパターン46が支配的に形成されて、かつ、データ率が中くらいのエリアである。このとき、各エリアに形成された層間膜17の高さを比較すると、LV用中データ率エリア61ではMV用中データ率エリア62より低くなり、HV用中データ率エリア63ではMV用中データ率エリア62より高くなる。つまり、図10でも説明したとおり、他の条件が同じでも、酸化膜の高さの違いが層間膜17の厚さに影響する。
【0077】
以上から、酸化膜が形成されているどの領域においても、以下の値Sを一定に保つことで、層間膜17の厚さを、半導体基板10の全域において平坦化出来ることが分かる。
S=H×(D+DLD)+H×(D+DMD)+H(D+DHD
【0078】
ここで、Hは、LV用トランジスタおよびLV用ダミーパターンの高さを示し、Dはその領域におけるLV用トランジスタのデータ率を示し、DLDはその領域におけるLV用ダミーパターンのデータ率を示す。Hは、MV用トランジスタおよびMV用ダミーパターンの高さを示し、Dはその領域におけるMV用トランジスタのデータ率を示し、DMDはその領域におけるMV用ダミーパターンのデータ率を示す。Hは、HV用トランジスタおよびHV用ダミーパターンの高さを示し、Dはその領域におけるHV用トランジスタのデータ率を示し、DHDはその領域におけるHV用ダミーパターンのデータ率を示す。
【0079】
本実施形態では、上記の値Sが、半導体基板10の主面全域で同一の値となるように、各ダミーパターンのデータ率を適宜に調整して、調整されたデータ率にしたがって各ダミーパターンの配置を決定する。
【0080】
なお、理想的には、値Sを全域で完全に同一の値に収めたいが、値Sを定義する3種類の高さH、HおよびHが離散的である以上、ある程度の幅を持つ範囲内に抑えるに留める手法が現実的である。したがって、値Sを一定にすることは、値Sをこのような範囲内に収めることと解釈することが好ましい。
【0081】
図12Aは、高さが異なる複数のダミーパターンのデータ率を調整する前の、すなわちダミーパターンを1種類しか用いていない従来の層間膜17の表面17Bの状態を例示する断面図である。図12Bは、異なる高さの複数のダミーパターンのデータ率を調整した後の、層間膜17の表面17Cの状態を例示する断面図である。
【0082】
図12Aおよび図12Bのそれぞれにおいて、左側の領域ではデータ率が比較的低く、右側の領域ではデータ率が比較的高い。このような場合において、図12Aの左側の領域に配置されたLV用ダミーパターン44の一部を、図12BではMV用ダミーパターン45に変更する調整を行っている。その結果、調整前の図12Aに示す層間膜17の表面17Bと比較して、調整後の図12Bに示す層間膜17の表面17Cは、平坦性が向上していることが読み取れる。
【0083】
図12Aおよび図12Bでは、ダミーパターンの高さを調整することで平坦性を向上したが、ダミーパターンのデータ率を調整することでも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0084】
第1および第2のCMP加工における平坦性を向上させるために行う、ダミー酸化膜またはダミーパターンの配置や調整は、半導体装置の構成を決定するレイアウトツールが、各種構造体の配置を読み取った上で、自動的に行うことが好ましい。このようなレイアウトツールは、一般的なコンピュータが所定のプログラムを実行することで実現可能である。
【0085】
図13は、本実施形態によるレイアウトツール200の一構成例を示すブロック図である。図13に例示したレイアウトツール200は、バス201と、通信装置202と、演算装置203と、記憶装置204と、入力装置205と、出力装置206と、外部記憶装置207とを含んでいる。通信装置202と、演算装置203と、記憶装置204と、入力装置205と、出力装置206と、外部記憶装置207とは、バス201を介して接続されており、相互に通信可能である。さらに、通信装置202は、所定のネットワーク209に接続されている。また、外部記憶装置207は、記憶媒体208から所定のデータを読み込むことが出来る。この記憶媒体208は、情報の書き込みや削除が不可能な非一時的記録媒体であっても良い。
【0086】
本実施形態による半導体装置製造方法のうち、この製造方法に含まれるダミーパターンの配置方法は、所定のダミーパターン配置プログラムを記憶装置204に格納し、演算装置203に実行させることで実現可能である。このダミーパターン配置プログラムは、外部記憶装置207を介して記憶媒体208から読み出されても良い。このとき、ダミーパターン配置プログラムは、トランジスタまたはそのゲート酸化膜の配置情報を読み込むことが好ましい。トランジスタまたはゲート酸化膜の配置情報は、入力装置205から入力しても良いし、通信装置202およびネットワーク209を介して別の計算機から受信しても良い。ダミーパターン配置プログラムの演算結果として得られるダミーパターンまたはそのダミー酸化膜の配置情報は、出力装置206から出力されてれ良いし、通信装置202およびネットワーク209を介して別の計算機に送信されても良い。
【0087】
ここまで、各構造体の高さが、LV用で最も低く、HV用で最も高く、MV用で両者の中間である前提で説明した。しかしながら、各構造体の高さは、各構造体の厚さとは異なる場合があり、すなわち、高さの順位は入れ替わる場合が考えられる。これは、例えば、図5Bなどに示したとおり、HV用酸化膜23の下面の位置を、LV用酸化膜21の下面の位置や、MV用酸化膜22の下面の位置より低くすることが可能あるからである。本発明の各実施形態では、構造体の高さを、半導体基板の厚さ方向における構造体の上面の位置と定義しているので、高さの順位が入れ替わる場合には、各構造体の「LV用」、「MV用」および「HV用」を適宜に読み替えれば良い。
【0088】
また、ここまで、トランジスタ(またはゲート酸化膜)およびダミーパターン(またはダミー酸化膜)が3種類の高さを有する場合について説明したが、高さの種類が2種類であっても、または4種類以上であっても、同様にCMPに係る平坦性を向上できることは言うまでもない。
【0089】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、前記実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 半導体基板
11 トレンチ
12 SiN層
13 HDP膜
14 STI
15 ポリシリコン層
16 サイドウォール
17 層間膜
17A 層間膜表面
17B 層間膜表面
17C 層間膜表面
21 LV用酸化膜
22 MV用酸化膜
23 HV用酸化膜
31 LV用ゲート酸化膜
32 MV用ゲート酸化膜
33 HV用ゲート酸化膜
34 LV用トランジスタ
35 MV用トランジスタ
36 HV用トランジスタ
41 LV用ダミー酸化膜
42 MV用ダミー酸化膜
43 HV用ダミー酸化膜
44 LV用ダミーパターン
45 MV用ダミーパターン
46 HV用ダミーパターン
51 MV用低データ率エリア
52 MV用中データ率エリア
53 MV用高データ率エリア
61 LV用中データ率エリア
62 MV用中データ率エリア
63 LH用中データ率エリア
100 半導体装置
101 第1構造体
102 第2構造体
103 第1ダミーパターン
104 第2ダミーパターン
110 半導体基板
111 トレンチ
112 SiN層
113A HDP膜表面
114 STI
117 層間膜
117A 層間膜表面
131 LV用ゲート酸化膜
132 MV用ゲート酸化膜
133 HV用ゲート酸化膜
134 LV用トランジスタ
135 MV用トランジスタ
136 HV用トランジスタ
141 LV用ダミー酸化膜
142 LV用ダミーパターン
144 差分体積
200 レイアウトツール
201 バス
202 通信装置
203 演算装置
204 記憶装置
205 入力装置
206 出力装置
207 外部記憶装置
208 記憶媒体
209 ネットワーク
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13