(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-42023(P2017-42023A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】電力システムおよびその運用方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20170203BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20170203BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/46
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】書面
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-175158(P2015-175158)
(22)【出願日】2015年8月19日
(71)【出願人】
【識別番号】514298689
【氏名又は名称】株式会社パワージャパンプリュス
(72)【発明者】
【氏名】武谷 要
(72)【発明者】
【氏名】城戸 政美
(72)【発明者】
【氏名】田端 航也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064BA01
5G064CB06
5G064DA05
5G066AA06
5G066HA15
5G066HB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】需要家にとっては電力使用料金を引き下げられ、電力系統においては電力需要と供給の「同時・同量」が容易となる電力システム及びその運用方法を提供する。
【解決手段】電力系統102に接続された需要家103a〜103Nに対し、蓄電設備104a〜104Nを設置して、電力系統からの電力および蓄電設備からの電力を供給可能とする。需要家における平均需要電力PMを決定し、需要家に設定された、電力系統から供給される一定の電力をPLとする。需要家が、電力系統から一定の電力PLよりも大きな電力を供給された場合に蓄電設備に蓄電した電力を供給することで、電力系統からの電力供給を一定の電力PLよりも小さく抑制する放電期間を設けることにより、需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、PLとXの積に一致させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された需要家に対し、蓄電設備を設置して、該電力系統からの電力および該蓄電設備からの電力を供給可能とし、
該需要家における平均需要電力PMを決定し、
該需要家に設定された、該電力系統から供給される一定の電力をPLとし、
該需要家が、該電力系統から該一定の電力PLよりも大きな電力を供給された場合に、該蓄電設備から電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLよりも小さく抑制する放電期間を設けることにより、
該需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該PLと該Xの積に一致させることを特徴とする電力システム。
【請求項2】
該需要家の消費電力が、該一定の電力PLよりも小さい場合に、
該蓄電設備に電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLに合わせる充電期間を設けることにより、
該需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該PLと該Xの積に一致させる、請求項1記載の電力システム。
【請求項3】
該需要家が複数あり(各々需要家1、需要家2・・・需要家N)、該複数の需要家が、少なくとも情報通信系統で互いに接続されて需要家群を構成し、
該需要家各々における平均需要電力(各々P1M、P2M・・・PNM)を決定し、
該需要家各々に設定された、該電力系統から供給される一定の電力(各々P1L、P2L・・・PNL)の和をP(SUM)Lとし、
該需要家群を構成する該需要家のうち、一部を需要家A、
該需要家A以外の該需要家群の少なくとも一部を需要家Bとし、
該需要家Aと該需要家Bに設定された、電力系統から供給される一定の電力を各々PAL、PBLとし、
該需要家Aが、該電力系統から該一定の電力PALよりも大きな電力を供給された場合に、
該需要家Bに対して、該蓄電設備から電力を供給することで、該需要家Bの該電力系統からの電力供給を該一定の電力PBLよりも小さく抑制する放電期間を設け、
かつ、該需要家の消費電力が、該一定の電力PLよりも小さい場合に、
該蓄電設備に電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLに合わせる充電期間を設けることにより、
該需要家群に該電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該P(SUM)Lと該Xの積に一致させる、請求項1または請求項2記載の電力システム。
【請求項4】
該需要家群を構成する該需要家のうち、一部を需要家C、
該需要家C以外の、少なくとも一部の該需要家を需要家Dとし、
該需要家Cと該需要家Dが、各々異なる電力系統に接続されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電力システム。
【請求項5】
該平均需要電力PMが、該需要家の消費電力量を月別に測定または予測することにより得られた、該月別消費電力量が最大となる月の平均需要電力である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電力システム。
【請求項6】
所定時間(単位は時間)をTとすると、該蓄電設備の容量Wが、式(1)で示される、請求項1から請求項5のいずれかに記載の電力システム。
0.5T(PM−PL)≦W≦1.5T(PM−PL) ・・・(1)
【請求項7】
該所定時間Tを24時間とし、該蓄電設備の容量Wが、式(2)で示される、請求項6記載の電力システム。
0.5(PM−PL)≦(W/24)≦1.5(PM−PL) ・・・(2)
【請求項8】
電力系統に接続された需要家に対し、蓄電設備を設置して、該電力系統からの電力および該蓄電設備からの電力を供給可能とし、
該需要家における平均需要電力PMを決定する工程と、
該需要家に設定された、該電力系統から供給される一定の電力をPLとし、
該需要家が、該電力系統から該一定の電力PLよりも大きな電力を供給された場合に、該蓄電設備から電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLよりも小さく抑制する放電期間を設ける工程を有し、
該需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該PLと該Xの積に一致させることを特徴とする電力システムの運用方法。
【請求項9】
該需要家の消費電力が、該一定の電力PLよりも小さい場合に、
該蓄電設備に電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLに合わせる充電期間を設ける工程をさらに有し、
該需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該PLと該Xの積に一致させる、請求項8記載の電力システムの運用方法。
【請求項10】
該需要家が複数あり(各々需要家1、需要家2・・・需要家N)、該複数の需要家が、少なくとも情報通信系統で互いに接続されて需要家群を構成し、
該需要家各々の平均需要電力PM(各々P1M、P2M・・・PNM)を決定する工程と、
該需要家各々に設定された、該電力系統から供給される一定の電力(各々P1L、P2L・・・PNL)の和をP(SUM)Lとし、
該需要家群を構成する該需要家のうち、一部を需要家A、
該需要家A以外の該需要家群の少なくとも一部を需要家Bとし、
該需要家Aと該需要家Bに設定された、電力系統から供給される一定の電力を各々PAL、PBLとし、
該需要家Aが、該電力系統から該一定の電力PALよりも大きな電力を供給された場合に、
該需要家Bに対して、該蓄電設備から電力を供給することで、該需要家Bの該電力系統からの電力供給を該一定の電力PBLよりも小さく抑制する放電期間を設ける工程を有し、
かつ、該需要家の消費電力が、該一定の電力PLよりも小さい場合に、
該蓄電設備に電力を供給することで、該電力系統からの電力供給を該一定の電力PLに合わせる充電期間を設ける工程を有することにより、
該需要家群に該電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、該P(SUM)Lと該Xの積に一致させる、請求項8または請求項9記載の電力システムの運用方法。
【請求項11】
該需要家群を構成する該需要家のうち、一部を需要家C、
該需要家C以外の、少なくとも一部の該需要家を需要家Dとし、
該需要家Cと該需要家Dが、各々異なる電力系統に接続されている、請求項8から請求項10のいずれかに記載の電力システムの運用方法。
【請求項12】
該平均需要電力PMが、該需要家の消費電力量を月別に測定または予測することにより得られた、該月別消費電力量が最大となる月の平均需要電力である、請求項8から請求項11のいずれかに記載の電力システムの運用方法。
【請求項13】
所定時間(単位は時間)をTとすると、
該蓄電設備の容量Wが、式(1)で示される、請求項8から請求項12のいずれかに記載の電力システムの運用方法。
0.5T(PM−PL)≦W≦1.5T(PM−PL) ・・・(1)
【請求項14】
該所定時間Tを24時間とし、
該蓄電設備の容量Wが、式(2)で示される、請求項13記載の電力システムの運用方法。
0.5(PM−PL)≦(W/24)≦1.5(PM−PL) ・・・(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力システムおよびその運用方法に関する。詳しくは製造コスト、発電コストおよび電気料金を抑制できる電力システムおよびその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電力系統においては、時々刻々と変化する電力需要(電力消費量)に対し、発電所の発電量(電力供給量)を追従させることで電力需要と供給の「同時・同量」を図る必要がある。
【0003】
電力需要と供給の「同時・同量」が維持できなくなると、電力系統の周波数の変動を一定範囲内に収めることが困難になる。また、電力系統に予期しない電力が供給された際には、この逆潮流によって配電線末端での電圧が上昇し、電気機器に障害を及ぼす場合がある。
【0004】
このような問題は「電力系統の不安定化」と呼ばれる。
【0005】
よって、発電設備には「要求制御量」と「制御応答性」が必要とされている。
「要求制御量」は、電力需要変化量のことなので、想定電力需要以上の発電能力を有する発電設備を維持、稼働しておく必要がある。
【0006】
「制御応答性」とは電力需要の変動に対する応答スピードなので、応答性の異なる発電設備を維持、稼働しておく必要がある。たとえば変動をあまり考えていないベース発電には、原子力発電や流れ込み水力発電および石炭火力発電が適しており、数十分単位の変動にはLNG火力発電が、数秒〜数分単位の変動には石油火力発電や揚水発電が適している。
【0007】
ただし、LNG火力発電、石油火力発電および揚水発電といった発電設備においても、出力を変動させつつ運転することが発電効率および発電コスト的に好ましくないことは言うまでもない。
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許3591300号広報
【特許文献2】特開2006−320099号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、発電設備を複数種類同時に維持・稼働し、総量として想定電力需要以上の発電能力を有する必要があるために、現在の電力系統(すなわち電気事業者)は高コストであり、そこからの電気料金は高額にならざるを得ない。
【0010】
この問題に対する電気事業者の対応としては、多様な電源設備を適切な比率で設置すること(いわゆるベストミックス)でコスト抑制を図っているが、根本的解決には程遠い。
【0011】
また、需要家側の対応として、たとえば特許文献1に開示されるように、複数の電気事業者と契約して電力を配分することや、電力貯蔵装置(蓄電設備)を用いることにより電気料金を安くしようとする試みがあるが、その効果には限界があった。
【0012】
もう1つの需要家側の対応として、夜間の電気料金が安価な時間帯に二次電池を充電し、昼間の電力需要が大きい時間帯に二次電池から放電する電力システムが知られている(たとえば特許文献2)が、この電力システムの問題点としては、必要な二次電池の容量が大きく、コスト高になる点が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明においては、電力系統に接続された需要家に対し、蓄電設備を設置して、電力系統からの電力および該蓄電設備からの電力を供給可能とし、
需要家における平均需要電力P
Mを決定し、
需要家に設定された、電力系統から供給される一定の電力をP
Lとし、
需要家が、該電力系統からP
L以上の電力を供給された場合に、蓄電設備から電力を供給することで、電力系統からの電力供給をP
L以下に抑制する放電期間を設けることにより、
需要家に電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、P
LとXの積に一致させることを特徴とする電力システムを構成する。
【0014】
好ましくは該需要家の消費電力が、一定の電力P
L以下である場合に、
蓄電設備に電力を供給することで、電力系統からの電力供給を一定の電力P
Lに合わせる充電期間を設けることにより、
需要家に対して電力系統から供給される単位時間Xあたりの電力量を、P
LとXの積に一致させる電力システムを構成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電力システムにより、高コストである現在の電力系統を、需要家側と電力系統(電気事業者)側の両者から低コスト化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】平均需要電力P
Mと、蓄電設備容量Wの決定方法の一例を示すグラフ
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一般に「電力系統」とは、発電設備、送電設備、変電設備、配電設備、需要家といった電力の生産から消費までを行う設備全体を指す言葉であるが、本明細書においては都合上、「電力系統」から「需要家」を切り離して表記している。
【0018】
また、本発明における電力系統が有する発電設備としては、一般電気事業者(北海道、東北、東京、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄の10電力会社)が有する発電設備はもちろん、卸供給事業者、特定規模電気事業者等が有する発電設備であっても良く、あるいは自治体、企業、個人が有する発電設備(たとえばゴミ焼却所の余熱を利用した発電設備、製鉄所等の大規模工場における自己発電設備、または大規模太陽光発電設備等)であっても良い。
【0019】
本発明における蓄電設備としては、鉛二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタを有する設備を挙げることができる。なお、本発明における蓄電設備の設置形態は任意であるが、いわゆる据え置き型とすることが好ましい。
【0020】
本発明における需要家としては、一戸の住宅および複数の住宅からなる住宅群、1以上の集合住宅あるいはオフィスビル、およびそれらの組み合わせ等を挙げることができる。
【0021】
以下、本発明の電力システムを、図面を用いて詳しく説明する。
【0022】
(実施形態1)
本発明の第一の実施形態は
図1に示すように、
発電設備101を備えた電力系統102に接続された需要家103に対し、蓄電設備104を設置して、発電設備101からの電力および蓄電設備104からの電力を供給可能とした電力システム100である。
この電力システム100において、需要家103における平均需要電力P
M(単位はワット、キロワット等)を決定し、
需要家103に設定された、電力系統102から供給される一定の電力をP
L(単位はワット、キロワット等)とし、
需要家103が、電力系統102からP
Lよりも大きな電力を供給された場合に、蓄電設備104から電力を供給することで、電力系統102からの電力供給をP
Lよりも小さく抑制する放電期間を設けることにより、需要家103に電力系統102から供給される単位時間Xあたりの電力量を、P
LとXの積に一致させる。
好ましくは、さらに需要家103の消費電力が、P
Lよりも小さい場合に、蓄電設備104に電力を供給することで、電力系統102からの電力供給をP
Lに合わせる充電期間を設けることにより、需要家103に電力系統102から供給される単位時間Xあたりの電力量を、P
LとXの積に一致させる。
【0023】
なお、符号111で示したものは、需要家103の電力需要量(および/または電力需要量予測)、電力系統104から需要家103への電力供給量(および/または電力供給量予測)等の情報を処理し、蓄電設備104の充放電を切り替える管理機器である。
【0024】
すなわち本発明の第一の特徴は、電力系統から需要家に供給される電力を、一定の値とすることである。電力系統からの電力供給を一定にすることで、需要家側においては電気料金を引き下げられ、電力系統側(電気事業者側)においては、電力需要と供給の「同時・同量」が容易となるという利点を有する。
【0025】
もちろん、電力系統側の出力に対して本発明の電力システムを採用する需要家の電力消費量が極めて小さければ、この利点はほとんど生じないが、本発明の電力システムを採用する需要家が増え、大規模になれば、電力系統側の利点(たとえば短時間の変動に対応するための発電設備の縮小・廃止が可能となるなど)が生じることになる。
【0026】
また、本発明の電力システムを採用する需要家がそれほど大規模でなくとも、電力事業者がゴミ焼却所の余熱を利用した発電設備、製鉄所等の大規模工場における自己発電設備など、常に一定出力での発電が行われる発電設備を主として有する場合には、本発明の電力システムを採用する利点が極めて大きくなる。
【0027】
ここで、電力系統から需要家に供給される電力を、一定の値とする期間について説明する。
【0028】
この期間は、電力系統側(電力事業者側)と需要家により、所定期間(たとえば3ヶ月、6ヶ月、1年など)を設定すればよく、さらに、これら期間の設定・変更や、期間終了の際にさらに期間を延長するか否か、延長する際に供給電力を変更するか否か等も設定すればよい。なお、これらの設定は、たとえば管理機器111への指示(電力事業者から送信した信号)により変更可能に設定しておくなどの方法で管理すればよい。
【0029】
次に、本発明の第二の特徴は、電力系統から需要家への電力供給量を、上記「単位時間X」で示した時間範囲で見れば、あらかじめ設定した一定の電力量(P
LとXの積)と一致させるという点である。
【0030】
すなわち、需要家の電力需要がP
L以上に増加した時点から蓄電設備の電力供給開始までの間、および需要家の消費電力が一定の電力P
L以下となった時点から蓄電設備への電力供給開始までの間に時間差があるとはいえ、単位時間Xの範囲(たとえば数分〜30分程度。好ましくは30分)で見れば、電力系統から需要家への電力供給量の変動を抑制できている。このことから明らかなように、本発明における放電期間および充電期間は、単位時間X以下の時間範囲となる。
【0031】
なお、本発明における「一致」とは、「あらかじめ設定した一定の電力と単位時間Xの積」で表される電力量と、その時間範囲での実際の供給電力量とのズレが、±2%の範囲内、好ましくは±1%の範囲内であることをいう。
【0032】
(実施形態2)
本発明の第二の実施形態は
図2(a)、
図2(b)に示すように、
需要家103が複数あり、それらの需要家1(103a)、需要家2(103b)、需要家3(103c)・・・需要家N(103N)が、少なくとも情報通信系統110で互いに接続されて需要家群を構成した電力システム200、220である。
【0033】
なお、
図2(a)に示す電力システム200においては複数の需要家103a、103b、103c・・・103N各々が個別に電力系統102に接続されており、
図2(b)に示す電力システム220においては複数の需要家103a、103b、103c・・・103Nが一体となって電力系統102に接続されている態様を示す。
また、本実施形態2においては、各管理機器111同士を通信ケーブル等(情報通信系統110に相当する)で互いに接続した態様を示す。
この場合、たとえば情報通信系統110の任意位置に設置された管理機器111Xに表示機器(図示せず)等を設置して、状況の確認等を行う態様が考えられる。
【0034】
このような電力システム200、220において、需要家各々の平均需要電力P
M(単位はワット、キロワット等であり、各々P1
M、P2
M・・・PN
Mとする)を決定し、
需要家各々に設定された、電力系統102から供給される一定の電力(単位はワット、キロワット等であり、需要家各々に対し、各々P1
L、P2
L・・・PN
Lとする)の和をP
(SUM)Lとし、
需要家群を構成する需要家のうち、一部を需要家A、
需要家A以外の該需要家群の少なくとも一部を需要家Bとし、
需要家Aと需要家Bに設定された、電力系統102から供給される一定の電力を各々PA
L、PB
L(単位はワット、キロワット等)とし、
需要家Aが、電力系統102から一定の電力PA
Lよりも大きな電力を供給された場合に、需要家Bに対して、蓄電設備104から電力を供給することで、需要家Bの電力系統102からの電力供給を一定の電力PB
Lよりも小さく抑制する放電期間を設け、
かつ、需要家の消費電力が、一定の電力P
Lよりも小さい場合に、蓄電設備104に電力を供給することで、電力系統102からの電力供給を一定の電力P
Lに合わせる充電期間を設けることにより、需要家群に電力系統102から供給される単位時間Xあたりの電力量を、P
(SUM)LとXの積に一致させる。
【0035】
本実施形態2においても、上記実施形態1における第一、第二の特徴および、それらの利点が存在する。
【0036】
また、このような電力システムにおいては、複数の需要家間で擬似的な電力融通が可能となる。
【0037】
「擬似的」とは、実際に上記需要家Aと需要家Bの間に(電力系統やそれ以外の配電線を介した)実際の電力融通は行われていないことを意味しており、擬似的とは言え電力融通が可能であることから、需要家群全体として見れば、電力系統からの電力供給を、少なくとも単位時間Xの範囲でみれば、常に一定にできる。
【0038】
このことは、電力系統に想定外の電力需給がないことを意味しており、電力系統の不安定化を抑制できる効果を生じる。
【0039】
(実施形態3)
本発明の第三の実施形態は、
図3(a)、
図3(b)に示すように、管理機器111を情報通信系統としてのインターネット110Xで接続して情報共有している態様(電力システム300、320)である。
【0040】
本実施形態3においては、各管理機器111同士を通信ケーブル等で互いに接続していないので、そのコスト削減が可能となると共に、需要家103同士の距離が離れていてもコスト的に、および運用上問題がない。
【0041】
たとえば
図3(b)に示すように、各々発電設備101、201を備えた、異なる電力系統102、202に接続された需要家(たとえば
図2(b)における103a、103b、103cを需要家C、103Nを需要家Dとする)において、各々の管理機器111をインターネット110Xで接続した態様であっても良い。
【0042】
このような態様であっても、上記のように需要家間の(擬似的な)電力融通が可能であり、本発明の目的が達成できる。
【0043】
(実施形態4)
本発明の第四の実施形態は、
図4に示すように、複数の需要家で蓄電設備104Xを共有し、それらを送電線401によって接続する態様(電力システム400)である。
【0044】
本実施形態4は、需要家群がマンション等の集合住宅であり、各需要家がその集合住宅に居住する各々の家庭である場合等に、好ましく適用できる。
【0045】
(実施形態5)
本発明における平均需要電力P
Mの決定方法および、蓄電設備容量Wの決定方法の一例を以下に示す。
【0046】
まず、需要家の消費電力量を月別に測定または予測することにより、月別消費電力量が最大となる月を見出す。
【0047】
たとえば、
図5における折れ線501は、ある需要家の使用電力のグラフであり、月別消費電力量が最大となる月の、1日あたりの使用電力の変動を平均したものである(横軸は時刻、縦軸は使用電力)。
【0048】
この需要家が電力系統以外から電力供給を受けていない場合には、この折れ線501が示す値が需要電力となる。
【0049】
これをさらに平均すると平均需要電力P
M(単位はワット、キロワット等)502が得られる。
【0050】
これとは別に、この需要家に電力系統から供給される一定の電力P
L(単位はワット、キロワット等)503を設定する。この際、一定の電力P
Lは平均需要電力P
Mよりも小さい値とする。
【0051】
図5においては横軸範囲が24時間なので、502、503および、24時間間隔の時間軸(504a、504b)で囲まれた四角形505の面積が、24時間あたりに使用する平均需要電力量(平均需要電力P
Mと時間の積)と、電力系統から供給される電力量の差(単位はワット時、キロワット時等)となる。
【0052】
この場合に好ましく使用できる蓄電設備の容量W(単位はワット時、キロワット時等)は、上記24時間あたりに使用する平均需要電力量と電力系統から供給される電力量の差の0.5倍以上1.5倍以下とすることができ、好ましい数値としては0.8倍以上1.2倍以下、特に好ましい数値としては1.0倍とすることができる。
【0053】
すなわち、ある所定時間T(単位は時間)を定めた場合に、蓄電設備の容量Wは、下記の式(1)で示される。
0.5T(P
M−P
L)≦W≦1.5T(P
M−P
L) ・・・(1)
【0054】
好ましい態様として所定時間Tを24時間とした場合には、蓄電設備の容量Wは下記の式(2)で示される。
0.5(P
M−P
L)≦(W/24)≦1.5(P
M−P
L) ・・・(2)
【0055】
また、本発明の電力システムにおいては、需要家の少なくとも一部に、太陽光発電設備などの分散型発電設備(図示せず)が設置されていても良く、この場合には需要家の電力使用量から、それら分散型発電設備の発電量(測定値または発電期待値)を除くことで、平均需要電力P
Mを算出または予測できる。
【0056】
なお、夜間に二次電池を充電し、昼間に二次電池から放電する従来の電力システムにおいて、昼間の使用電力を夜間の充電電力で全て賄おうとすると、必要な蓄電設備容量は
図5における502より下のすべての面積で表されることが分かる。現実的には昼間の使用電力を夜間の充電電力で全て賄うのではなく、一部電力系統からの電力を使用するので、502より下のすべての面積で表される蓄電設備容量が必要になることは略ないが、それでも比較的大きな蓄電設備容量が必要になる。
【0057】
これに対し、本発明においては上記のようにP
MとP
Lを定めることにより、必要な蓄電設備容量を比較的小さく抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
100 第一の実施形態における電力システム概略図
101 発電設備
102 電力系統
103 需要家
104 蓄電設備
110 情報通信系統(110Xは情報通信系統としてのインターネット)
111 管理機器
200、220 第二の実施形態における電力システム概略図
300、320 第三の実施形態における電力システム概略図
301 101とは異なる発電設備
302 201とは異なる電力系統
400 第四の実施形態における電力システム概略図
401 送電線
501 使用電力のグラフ(ここでは需要家の需要電力と同じ)
502 平均需要電力P
M
503 本発明において、電力系統から供給される一定の電力P
L
504a、504b 24時間間隔を表す時間軸
505 平均需要電力量と電力系統から供給される電力量の差