特開2017-42397(P2017-42397A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-42397(P2017-42397A)
(43)【公開日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】杖
(51)【国際特許分類】
   A45B 3/00 20060101AFI20170210BHJP
   A47G 25/82 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   A45B3/00 B
   A47G25/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-167589(P2015-167589)
(22)【出願日】2015年8月27日
(71)【出願人】
【識別番号】715008090
【氏名又は名称】樋口 孝子
(71)【出願人】
【識別番号】715008104
【氏名又は名称】小川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孝子
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽子
【テーマコード(参考)】
3B104
3K099
【Fターム(参考)】
3B104AA01
3K099BA15
3K099EA05
(57)【要約】
【課題】
使用者が靴を履く際に立ったままの姿勢でその足の踵と靴の間に靴べらを挟みこむ事が容易にでき、かつ、歩行するときには靴べらが足元に当たることがない、簡便性と安全性を兼ね備えた新規な構造の靴べら機構を備えた杖を提供する。
【解決手段】
本発明の杖1は、棒形状の本体2と、本体2の上に取り付けられる持ち手3と、本体2の下に取り付けられる足4と、本体2の下方に配される折り畳み式の靴べら機構7と、本体2に配されて靴べら機構7の靴べら部を着脱自在に保持する保持部5とを備え、歩行するときには靴べら機構7を本体2の底面よりも高い位置に折り畳んで使用し、靴を履くときには靴べら機構7を本体2の底面よりも低い位置に展開して使用する構成である。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒形状の本体と、前記本体の下方に配される折り畳み式の靴べら機構と、前記本体に配されて前記靴べら機構の靴べら部を着脱自在に保持する保持部とを備え、歩行するときには前記靴べら機構を前記本体の底面よりも高い位置に折り畳んで使用し、靴を履くときには前記靴べら機構を前記本体の底面よりも低い位置に展開して使用する構成であることを特徴とする杖。
【請求項2】
前記保持部は樹脂製の環形状であり、前記保持部が部分的に前記本体に固定されていることを特徴とする請求項1記載の杖。
【請求項3】
前記靴べら機構は袋体に靴べらが収納されており、前記靴べら部は前記靴べらと対応しており、前記袋体の前記靴べらが配されていないエリアの一部ないし全部が前記本体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の杖。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴べら機構を備えた杖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、杖は、足の不自由な人や高齢者など足腰が弱い人の必需品である。すなわち、杖は、外出など歩行の際に身体を支える道具として使用されている。
【0003】
外出するために靴を履くときは、健常者は身体を屈ませて靴を履く。しかしながら、足の不自由な人や高齢者など足腰が弱い人は身体を屈ませることは困難であり、また、補助者に靴を履かせてもらう等の補助作業が必要となる。
【0004】
既知の技術として柄の長い靴べらが知られている。しかし、柄の長い靴べらは携帯には不向きであり、杖と靴べらの両方を持ち歩くことは現実的ではない。
【0005】
例えば、杖と靴べらを組み合わせて一体化することができれば便利である。つまり、靴べらの位置を調節可能な機構が杖に備わっていると好都合である。
【0006】
本明細書では、便宜上、靴べらの位置を調節可能な機構を靴べら機構と称する。
【0007】
従来技術としては、特許文献1や特許文献2が文献公知となっている。
【0008】
特許文献1には、靴脱着具兼杖に関し、靴べらと杖を靴の踵を挟む位置に、靴踵内部高さの66%の寸法より短い寸法の水平間隔を開けて対向して立て、踵の上方で靴べらと杖を固定してつなぎ、この構造により杖の上方を靴の後方へ傾けると、靴の踵上部内面の靴べらの両端に接する点(A)と点(B)が、靴べらに内側から外側に向かって押され、この点(A)と点(B)のほぼ中間位置の、靴の踵下部表面(外面)の杖に接する点(C)が杖の下部側面に因って外側から中側に向かって押され、この状態で杖を引き上げると、靴の重みで少なくとも前記三点(A)(B)(C)に働く力が継続し、靴が前向きのまま持ち上がる構造であること(その請求項1)、が記載されている。
すなわち、特許文献1記載の杖は、靴べらは杖の下方側に固定されているが、靴べらの先端は杖の接地面よりも常に高い位置にある。
【0009】
特許文献2には、靴べら兼用杖に関し、靴べらに設けられた回転板部を杖の上端に回動自在に取り付けており、前記靴べらを前記杖に対して直角に回動することにより該靴べらを前記杖の把持部とし、また前記靴べらの先端を前記杖に沿って真直ぐに伸ばした状態に回動することにより前記杖を柄として前記靴べらを使用するようにしたこと(その請求項1)、が記載されている。
すなわち、特許文献2記載の杖は、靴べらは回動可能であるが、靴べらは杖の柄の代わりに付設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−286383号公報(特許第4788933号公報)
【特許文献2】実用新案登録第3104366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載の杖は、靴べらの先端は杖の接地面よりも常に高い位置にある。そのため、使用者が靴を履く際に立ったままの姿勢でその足の踵と靴の間に前記靴べらを挟みこむ事は非常に難しい。特に踵の低い靴の場合は不可能である。さらには、歩行するときには前記靴べらが足元に当たりやすく、前記靴べらが足に当たって歩行時バランスが崩れる事もあり、安全性に欠くという問題がある。
【0012】
また、特許文献2記載の杖は、使用者が靴を履く際には前記杖を反転させなければならず、反転させて前記杖の接地面側を掴むことになるから、不衛生かつ掴み難い。また、前記杖の持ち手はそもそも靴べらであるから、握り易い形状とはなり難く、使い勝手が悪いという問題点がある。
【0013】
そこで本発明の目的は、使用者が靴を履く際に立ったままの姿勢でその足の踵と靴の間に靴べらを挟みこむ事が容易にでき、かつ、歩行するときには靴べらが足元に当たることがない、簡便性と安全性を兼ね備えた新規な構造の靴べら機構を備えた杖を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の杖は、棒形状の本体と、前記本体の下方に配される折り畳み式の靴べら機構と、前記本体に配されて前記靴べら機構の靴べら部を着脱自在に保持する保持部とを備え、歩行するときには前記靴べら機構を前記本体の底面よりも高い位置に折り畳んで使用し、靴を履くときには前記靴べら機構を前記本体の底面よりも低い位置に展開して使用する構成であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、使用者が靴を履くときには前記靴べら機構が前記本体の底面よりも低い位置に展開されるので、立ったままの姿勢でその足の踵と靴の間に靴べらを挟みこむ事が容易にできる。また、歩行するときには前記靴べら機構が前記本体の底面よりも高い位置に折り畳まれるので、靴べらが足元に当たることがない。よって、簡便性と安全性を兼ね備えた新規な構造の靴べら機構を備えた杖となる。
【0016】
本発明は、前記保持部は樹脂製の環形状であり、前記保持部が部分的に前記本体に固定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記靴べら部を着脱自在に保持することが容易な構成となる。
【0018】
本発明は、前記靴べら機構は袋体に靴べらが収納されており、前記靴べら部は前記靴べらと対応しており、前記袋体の前記靴べらが配されていないエリアの一部ないし全部が前記本体に固定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記靴べら部を展開すること、及び前記靴べら部を折り畳むことが容易な構成となる。
【0020】
前記靴べらの材質としては、樹脂、金属、木材、繊維、またはこれらの組み合わせが挙げられる。前記靴べらとしては、復元力の高い樹脂が好ましい。
【0021】
前記袋体は、樹脂、金属、またはこれらの組み合わせが挙げられ、織物又は編物が採用される。優れた弾性力で折り畳みと展開を繰り返すことが容易にできるからである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の杖によれば、握り直す等の余計な動作を減らした最小の動作で靴を履く事ができ、また、歩行するときには前記靴べらが足元に当たることがない。よって、身障者や高齢者が、安全かつ気軽に活動できることの一助となり、さらに高齢者の、健康寿命に寄与する、安価な杖が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態の杖であり、靴べら機構を折り畳んだ状態を示す右側面図である。
図2】上記実施形態の杖を示す正面図である。
図3】上記実施形態の杖を示す背面図である。
図4図2に示す杖のA-A線断面図である。
図5】上記実施形態の杖であり、靴べら機構を展開した状態を示す右側面図である。
図6】上記実施形態の杖を示す正面図である。
図7】上記実施形態の杖を示す背面図である。
図8図6に示す杖のA-A線断面図である。
図9】上記実施形態の杖に係る靴べら機構を示す正面図である。
図10図9に示す靴べら機構のB-B線断面図である。
図11】上記靴べら機構に係る靴べらであり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
図12】本発明の一実施形態の杖の使用態様であり、靴を履くときの状態を示す図である。
図13】上記実施形態の杖の使用態様であり、歩行するときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための具体的な形態について図面を用いて説明する。
【0025】
(本発明の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態の杖1であり、靴べら機構7を折り畳んだ状態を示す右側面図である。図2は杖1の正面図である。図3は杖1の背面図である。図4は、図2に示す杖1のA-A線断面図である。
本実施形態の杖1は、棒形状の本体2と、本体2の上に取り付けられる持ち手3と、本体2の下に取り付けられる足4と、本体2の下方に配される折り畳み式の靴べら機構7と、本体2に配されて靴べら機構7の靴べら部を着脱自在に保持する保持部5とを備える(図1図2)。符号2、3、4は市販の杖を適用することができる。符号2、3、4はオーダーメイドの杖とする場合がある。
【0026】
前記靴べら機構7の一部は、接着部材6を介して本体2に固定されている(図1)。接着部材6は、接着剤層、面ファスナー、両面テープ、その他市販の接着手段が適用できる。または、接着部材6に代えて、結束バンドや縛り紐等の固定手段を適宜用いる場合がある。
【0027】
前記保持部5は樹脂製の環形状であり、保持部5の内側が部分的に本体2に固定されている(図1図4)。これによって、靴べら部71を着脱自在に保持することが容易な構成となる。または、保持部5は、環形状に代えて、C形状やU形状とする場合がある。前記保持部5をゴム質材とすることで靴べら部71の着脱が容易となる。
【0028】
図5は、本実施形態の杖1であり、靴べら機構7を展開した状態を示す右側面図である。図6は杖1の正面図である。図7は杖1の背面図である。図8は、図6に示す杖1のA-A線断面図である。
本実施形態の靴べら機構7は、靴べら部71と固定部72があり、P1-P1線を境目として靴べら部71が上方向に折り畳まれて保持部5にて保持され(図2)、また、P1-P1線を境目として靴べら部71が下方向に展開される(図6)。
【0029】
図9は、本実施形態に係る靴べら機構7を示す正面図である。図10は、図9に示す靴べら機構7のB-B線断面図である。図11は、前記靴べら機構7に係る靴べら711であり、図11(a)は正面図であり、図11(b)は側面図である。
前記靴べら機構は袋体721に靴べら711が収納されている(図10)。靴べら711は、例えば軟質プラスチック製であり、袋体721の半分ほどの長さである。袋体721は、例えば弾性パイル生地を縫い合わせて形成される。前記靴べら部71は靴べら711と対応しており、袋体721の前記靴べら711が配されていないエリア72の一部ないし全部が前記本体2に固定されている(図6図9)。
【0030】
(使用態様)
図12は、本実施形態の杖1の使用態様であり、使用者M1が靴K1を履くときの状態を示す図である。
本発明によれば、前記靴べら機構7の靴べら部71を指で摘んで下方向に引っ張ると前記本体2の底面(足4の接地面)よりも高い位置に折り畳まれる。つまり、靴べら部71の先端は、杖1の足4の接地面よりも地面E1-E1から遠い位置にあり、本体2に沿うように配される(図13)。よって、使用者M1が歩行するときには前記靴べら機構7を本体2の底面よりも高い位置に折り畳んで使用するので、靴べら部71が足元に当たることがない。したがって、本発明によれば、簡便性と安全性を兼ね備えた新規な構造の靴べら機構7を備えた杖1となる。
【0031】
上述の実施形態は本発明の一実施形態を示すものであるが、本発明はこれに限定されず、適宜設計することができる。
上述の説明では、靴べら711は袋体721の半分ほどの長さであるとしたが、これに限定されず、前記袋体に丁度入る大きさの折り畳み式靴べらとしてもよい。または、前記袋体を省いて、折り畳み式靴べらを前記靴べら機構として採用してもよい。前記折り畳み式靴べらとしては、例えば複数の部材を組み合わせた蝶番構造が適用可能である。
また例えば、プラスチック製靴べら自体の弾性復元力を利用して展開状態と折り畳み状態を繰り返させる構造とすることが可能である。
さらには、前記折り畳み式靴べらとして、伸縮構造を採用することが可能である。つまり、伸縮式ロッドアンテナや折り畳み傘のように、例えば複数の部材を組み合わせて靴べらを伸ばすことや縮めることが可能な構造としてもよい。
このように、本発明は、その趣旨を変更しない範囲内で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 本発明の杖、
2 本体、
3 持ち手、
4 足(杖の足)、
5 保持部、
6 接着部材、
7 靴べら機構、
71 靴べら部、
72 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13