【解決手段】上面に座面2sを有する基台部2と、正面に第1の背凭れ面3sを有し、基台部2に立設される第1の背凭れ部3と、表面に第2の背凭れ面4sを有し、第1の背凭れ部3に設けられた枢支部50によって第1の背凭れ部3に対し回動可能に取り付けられる第2の背凭れ部4であって、第2の背凭れ面4sが第1の背凭れ面3sに沿う座椅子位置Jと、第2の背凭れ面4sが第1の背凭れ面3sに対し突出する腰掛け位置Kとの間を回動可能である第2の背凭れ部4と、第2の背凭れ部4を腰掛け位置Kに保持する保持手段とを備える。
前記座部クッション材は、前記基台フレームを覆う主部と、前記主部の正面側へ張り出して設けられる延長部とを有し、該延長部は、前記主部との境界部に沿って折り曲げ可能である請求項1または2に記載の椅子になる座椅子。
前記第1の背凭れ部は、前記枢支部より上方の予め定められた折り曲げ位置において、該折り曲げ位置よりも上方の部分が正面側へ折り曲げ可能である請求項1〜3のいずれか1つに記載の椅子になる座椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べたように、座椅子は多機能化、高機能化が図られており、高齢者などが和室で座椅子に座って過ごすときには、きわめて快適に過ごすことができるように工夫されている。しかし、食事をダイニングテーブルなど高さのある食卓でする家庭では、高齢者は座椅子から離れて、ダイニングテーブル用の椅子に座って食事をしなくてはならない。この種の椅子は、座椅子に比べると、座面や背凭れ面のクッション性、座面の広さ、寒冷期に冷たさを感じさせる材質などの点で、高齢者には不満の生じやすい製品が多かった。そこで高齢者が、快適な座椅子での食事を希望するならば、他の家族とは別の座卓などで食事をしなくてはならず、団欒を味わえなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、和室などでは快適な座椅子として使用することができ、食事などの際には快適な椅子として機能させることが可能な製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が、前記目的を達成するために創案した椅子になる座椅子の特徴とするところは、
上面に座面を有する基台部と、
正面に第1の背凭れ面を有し、基台部に立設される第1の背凭れ部と、
表面に第2の背凭れ面を有し、第1の背凭れ部に設けられた枢支部によって第1の背凭れ部に対し回動可能に取り付けられる第2の背凭れ部であって、第2の背凭れ面が第1の背凭れ面に沿う座椅子位置と、第2の背凭れ面が第1の背凭れ面に対し突出する腰掛け位置との間を回動可能である第2の背凭れ部と、
第2の背凭れ部を前記腰掛け位置に保持する保持手段とを備えることである。
【0008】
また本発明に係る椅子になる座椅子の特徴は、
前記基台部は、剛性を有する基台フレームと、基台フレームの表面を覆う柔軟性を有する座部クッション材とを備え、
前記第1の背凭れ部は、前記第2の背凭れ部を回動可能に支持する枢支部が設けられた剛性を有する第1背凭れフレームと、第1背凭れフレームの表面を覆う柔軟性を有する第1背凭れクッション材とを備え、
前記第2の背凭れ部は、前記枢支部に回動可能に取り付けられる剛性を有する第2背凭れフレームと、第2背凭れフレームの表面を覆う柔軟性を有する第2背凭れクッション材とを備え、
前記枢支部は、前記保持手段を兼用するものであって、前記第2の背凭れ部を、前記座椅子位置と前記腰掛け位置との間の予め定められる回動途中位置に停止させることが可能であることである。
【0009】
また本発明に係る椅子になる座椅子の特徴は、前記座部クッション材は、前記基台フレームを覆う主部と、前記主部の正面側へ張り出して設けられる延長部とを有し、該延長部は、前記主部との境界部に沿って折り曲げ可能であることである。
【0010】
また本発明に係る椅子になる座椅子の特徴とするところは、前記第1の背凭れ部は、前記枢支部より上方の予め定められた折り曲げ位置において、該折り曲げ位置よりも上方の部分が正面側へ折り曲げ可能であることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る椅子になる座椅子によれば、基台部に固定された第1の背凭れ部に対し、回動可能な第2の背凭れ部を設け、この第2の背凭れ部を第1の背凭れ面に対し突出する方向に保持することによって、第2の背凭れ部で腰掛け用の座部を構成し、椅子としての機能を発揮させることができる。
【0012】
また本発明によれば、第2の背凭れ部を回動途中位置に保持することによって、第1の背凭れ面とは異なる傾斜を第2の背凭れ面に与えることができる。すなわち、使用者の好みに合わせて、第2の背凭れ面の角度調節が可能であるので、座椅子としての快適さを向上させることができる。
【0013】
また本発明によれば、延長部を有するので、座椅子としての使用時に、広い座面を確保することができる。椅子としての使用時には、延長部を折り曲げることにより、第2の背凭れ部に腰掛けた使用者の足元を広くすることができる。
【0014】
また本発明によれば、第1の背凭れ部の上方部分を折り曲げることによって、背の高さを減少させることができる。したがって、延長部を折り曲げた状態と併用することによって、コンパクトな形態となるから、梱包時の体積が小さくなり、その結果、運搬や搬送が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、図(A)は座椅子形態の斜視図、図(B)は椅子形態の斜視図である。
【
図2】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、図(A)は座椅子形態の正面図、図(B)は座椅子形態の平面図、図(C)は座椅子形態の右側面図である。
【
図3】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、図(A)は椅子形態の正面図、図(B)は椅子形態の平面図、図(C)は椅子形態の右側面図である。
【
図4】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、図(A)は内部フレームの斜視図、図(B)は内部フレームの左側面図である。
【
図5A】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、座椅子形態から椅子形態へ変更する最初の手順を示す斜視図である。
【
図5B】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、座椅子形態から椅子形態へ変更する次の手順を示す斜視図である。
【
図5C】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、座椅子形態から椅子形態へ変更するさらに次の手順を示す斜視図である。
【
図5D】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、梱包時の形態への変更後を示す斜視図である。
【
図6A】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、座椅子形態での使用状況を示す左側面図である。
【
図6B】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、座椅子形態での異なる使用状況を示す左側面図である。
【
図6C】本発明に係る椅子になる座椅子の異なる実施形態を示すものであって、座椅子形態での使用状況を示す左側面図である。
【
図6D】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、椅子形態での使用状況を示す左側面図である。
【
図7】本発明に係る椅子になる座椅子の一実施形態を示すものであって、背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図3に、本発明に係る椅子になる座椅子1の一実施形態を示す。
図1の図(A)および
図2は座椅子形態の外観、
図1の図(B)および
図3は椅子形態の外観を示している。
【0017】
本発明に係る椅子になる座椅子1は、上面に座面2sを有する基台部2と、正面に第1の背凭れ面3sを有し、基台部1に立設される第1の背凭れ部3と、表面に第2の背凭れ面4sを有し、第1の背凭れ部3に設けられた枢支部(後述)によって第1の背凭れ部3に対し回動可能に取り付けられる第2の背凭れ部4とを備える。第2の背凭れ部4は、第2の背凭れ面4sが第1の背凭れ面3sに沿う座椅子位置Jと、第2の背凭れ面4sが第1の背凭れ面3sに対し突出する腰掛け位置Kとの間を回動可能である。また、第2の背凭れ部4を腰掛け位置Kに保持するための保持手段が備えられる。本例では、後述するように、枢支部が、保持手段を兼用する構成が採用されている。
【0018】
本例の椅子になる座椅子1は、
図4に示す内部フレーム10と、この内部フレーム10の表面を覆うクッション材C1〜C3(
図1参照)とから構成される。なお
図4は、椅子形態のときの内部フレーム10を示している。内部フレーム10は、鉄、ステンレス鋼などの金属製パイプなどの剛性を有する部材を組み合わせて製作され、基台部2を構成する基台フレーム20と、第1の背凭れ部3を構成し、枢支部50が設けられた第1背凭れフレーム30と、第2の背凭れ部4を構成し、枢支部50に回動可能に取り付けられる第2背凭れフレーム40とを備える。
【0019】
基台フレーム20は、矩形の枠部21と、枠部21内に配設された補強部22とを有する。
【0020】
第1背凭れフレーム30は、枠部21および補強部22に固定される脚部31と、脚部31に直角に連接された柱部32と、柱部32の上端に回動部34を介して設けられる上方折り曲げ部33とを有する。また、適所に、補強部材35,36,37が設けられる。柱部32は、基台フレーム20に対しわずかに傾斜するように立設される。基台フレーム20と柱部32とが成す正面側の角度αは約100度に設定するのが好ましい。柱部32における回動部34よりも下位の適所には、第2背凭れフレーム40が取り付けられる枢支部50が設けられる。上方折り曲げ部33は、柱部32の長手方向に沿って連続する初期位置Mから、回動部34を回転軸として、正面側へ約90度程度折り曲げられる折り曲げ位置Nまで回動することが可能である。回動部34は、上方折り曲げ部33を、初期位置Mおよび折り曲げ位置Nそれぞれにおいて固定するロック機構を有してもよい。
【0021】
枢支部50は、従来公知の座椅子に使用されているリクライニングギアを用いることができる。この種のリクライニングギアは、金属パイプどうしを接続するとともに、使用者がいずれか一方の金属パイプに回動方向への力を加えることによって、所定の角度ピッチ(例えば16度)ごとの回動位置まで金属パイプを回動させ、その回動位置で保持する多段階ロック機能(例えば6段階)を有するものである。この機能により、接続した金属パイプどうしの交差角度を多段階(例えば6段階)に変更可能な構成となっている。また、金属パイプどうしの交差角度が予め定めた角度を超えると、ロック機能が解除され、金属パイプどうしの交差角度を初期状態に復帰させることができるように構成されている。このように本例では、枢支部50にリクライニングギアを適用することによって、枢支部50が、第2の背凭れ部4を腰掛け位置Kに保持する保持手段の機能を兼ね備える。
【0022】
なお本発明に使用するリクライニングギアは、次のような条件を満たすことが望ましい。
1)第2の背凭れ部4を腰掛け位置Kまで回動させて椅子にする際に、座面となる第2の背凭れ面4sが保持される角度が分かりやすいこと。
2)第2背凭れ面4sの傾斜状態を解除する際の解除位置が分かり易いこと。例えば、傾斜角度を段階的に変更するときの回動角度(例えば16度)に比べて、解除時の回動角度を大きく(例えば27度)設定することによって、解除時の回動角度幅を広くして、解除位置が分かり易くなっていること。
3)腰掛け位置Kに在る第2の背凭れ部4に使用者が腰掛けたときの荷重を支持し得るだけの耐荷重強度を有していること。
これらの条件に適合する製品として、本例では、向陽技研株式会社製の「KDS−6 1.6ストッパー」(直径19.1mm、T−1.6mm、240Nm)を枢支部50に採用した。このギア製品は、国産で最大級のギア耐荷重を有するものであり、安全性も高い。上記リクライニングギアを使用すれば、腰掛け位置Kに在る第2の背凭れ部4に、静荷重試験にて300kg程度の耐荷重強度を保持させることができる。
【0023】
第2背凭れフレーム40は、枢支部50に基端部が接続されたコ字形の回動枠部41と、回動枠部41に固定された肘掛け枠部42とを備える。前述のように、第2背凭れフレーム40は、枢支部50が有する多段階ロック機能によって、回動枠部41が第1背凭れフレーム30の柱部32とほぼ平行になる座椅子位置Jから、回動枠部41が柱部32に対し突出する腰掛け位置Kまでの間で、所定の角度ピッチ(例えば16度)ごとに回動角度を変更させた途中位置に停止させることが可能である。したがって、第2背凭れフレーム40は、第1背凭れフレーム30に対する傾斜角度を調節することができる。なお、第2背凭れフレーム40が腰掛け位置Kに在るときにおける回動枠部41の基台部20に対する角度βは4〜6度に設定するのが好ましい。角度βをこの範囲に設定することによって、腰掛け位置Kに在る第2の背凭れ部4に使用者が座った時に、座面(第2の背凭れ面4s)をほぼ水平に保つことができる。
【0024】
内部フレーム10は、必要な強度を確保するため、第1背凭れフレーム30の脚部31や補強材35、第2背凭れフレーム40の回動枠部41など、要所を2重パイプで構成してもよい。
【0025】
前記のように構成された内部フレーム10の表面をクッション材で覆うことによって、本実施形態の椅子になる座椅子1を製作することができる。クッション材は、発泡ポリウレタンなどから成るスポンジマットのような柔軟性と弾力性とを有し、かつ比較的厚みを有するものを用いるのが望ましい。またクッション材の表面を、布、不織布、皮革、人工皮革などの肌触りが良い材質から成るカバー材で被覆することがより望ましい。さらに、カバー材とクッション材とは一体化させてもよい。この場合、
図7に示すように、椅子になる座椅子1の背面側において、カバー材及びクッション材にファスナー等で開閉できる開口部Gを設け、この開口部Gから内側へ、内部フレーム10を収納することが考えられる。
【0026】
図1に示すように、クッション材は、基台フレーム20を覆う座部クッション材C1と、第1背凭れフレーム30を覆う第1背凭れクッション材C2と、第2背凭れフレーム40を覆う第2背凭れクッション材C3とを備える。これら座部クッション材C1、第1背凭れクッション材C2および第2背凭れクッション材C3は、一体に連結してもよい。
【0027】
座部クッション材C1は、基台部2の主部2aを構成する基台フレーム20を覆う部分と、主部2aの正面側へ張り出して設けられる延長部2bとを有する。延長部2bは、主部2aとの間の境界部2cに沿って、主部2aの座面2sへ向かって折り曲げ可能である。なお延長部2bは、
図1の図(B)に示す如く、折り曲げたときに底面が上面側に露出し汚れやすいので、この露出する延長部2bの底面2dの全体または一部を、塩化ビニルなどの汚れが付着しにくい素材で被覆してもよい。また、主部2aのうち、第1の背凭れ部3より後方へ突出する後方突出部2eについては、クッション材の厚みを薄くしてもよい。
【0028】
第1背凭れクッション材C2は、胴部3aを構成する第1背凭れフレーム30の柱部32を覆う部分と、頭部3bを構成する上方折り曲げ部33を覆う部分とを有する。胴部3aを覆うクッション材については、正面側の基台部2に近い領域に凹部3dを形成し、座椅子として使用する際の座り心地を向上させている。第1背凭れフレーム30の上方折り曲げ部33が、回動部34において正面側へ折り曲げ可能であるので、第1背凭れクッション材C2も、回動部34によって規定される折り曲げ位置3cにおいて折り曲げ可能である。
【0029】
第2背凭れクッション材C3は、第2背凭れ面4sを有する回動背凭れ部4aを構成する第2背凭れフレーム40の回動枠部41を覆う部分と、肘掛け部4bを構成する肘掛け枠部42を覆う部分とを有する。肘掛け部4bは、使用者が直に触れることが多い箇所であるので、肘掛け部4bの全体または一部4cを、塩化ビニルなどの汚れが付着しにくい素材で被覆してもよい。
【0030】
本発明に係る椅子になる座椅子1の外形寸法は、座椅子としても椅子としても快適に使用できるように設計される。
図2および
図3に示す各寸法の一例を下に挙げる。なお、下記の数値は例示であり、実施の状況に応じ適宜変更することが可能である。
【0031】
全体の高さ H1:840mm
基台部2の幅W1:550mm
基台部2の奥行きD1:850mm
基台部2の座面の奥行きS1:510mm
基台部2の高さT1:120mm
基台部2の後方突出部2eの厚みT2:40mm
基台部2の後方突出部の長さD2:70mm
第1の背凭れ部3の高さH2:680mm
第1の背凭れ部3の椅子形態時の背凭れ面の高さH3:440mm
第1の背凭れ部3の幅W2:400mm
第1の背凭れ部3の厚みT3:70mm
第2の背凭れ部4の幅W3=W2
第2の背凭れ部4の第2の背凭れ面4sの幅W4:380mm
第2の背凭れ部4の肘掛け部4bを含めた幅W5:560mm
第2の背凭れ部4の奥行きS2:330mm
第2の背凭れ部4の厚みT4:80mm
第2の背凭れ部4の椅子形態時の第2の背凭れ面4sの高さH5:440mm
肘掛け部4bの奥行きL:310mm
肘掛け部4bの高さH4:250mm
肘掛け部4bの厚みT5:70mm
基台部2の延長部2bを折り曲げたときの奥行きD3:600mm
第1の背凭れ部3の頭部3bを折り曲げたときの高さH6:560mm
【0032】
次に、本実施形態の椅子になる座椅子1の使用態様を、
図5A〜
図5Dおよび
図6A〜
図6Dを参照して説明する。椅子になる座椅子1を座椅子として使用する場合、
図6Aに示すように、第2の背凭れ部4の第2の背凭れ面4sを、第1の背凭れ部3の第1の背凭れ面3sに沿う座椅子位置Jに配置した、座椅子形態とする。本例の椅子になる座椅子1は、座椅子形態のとき、基台部2の座面2sが広く、また第1の背凭れ部3の第1の背凭れ面3sの高さが高いので、着座時の安定感に優れ、座り心地が快適であり、使用者Pにくつろぎを与えることができる。
【0033】
第2の背凭れ部4は、保持手段を兼ねる枢支部50によって回動可能に支持されるとともに、第1の背凭れ部3に対し傾斜する位置に保持することができる。そこで
図5Aに示すように、使用者Pが、座椅子位置Jにある第2の背凭れ部4の下端側を持ち、予め定められた角度だけ回動させることによって、
図6Bに示すように、第2の背凭れ部4の姿勢を、第1の背凭れ部3に対し傾斜させた姿勢に変更することができる。したがって使用者Pの好みに応じて、第1の背凭れ面3sの傾斜角度とは異なる角度に調整した第2の背凭れ面4sを使用できるから、快適さを向上させることができる。
【0034】
さらに、第2の背凭れ部4を
図6Cの位置まで回動させて停止させ、第2の背凭れ面4sを、第1の背凭れ面3sに対し大きく傾斜する姿勢に保持することによって、使用者が、第2の背凭れ部4を利用して、背筋を伸ばすストレッチ運動を行うことができるという使用態様も考えられる。
【0035】
本例の椅子になる座椅子1を椅子として使用する場合、
図5Bに示すように、第2の背凭れ部4を、枢支部50を中心として、第1の背凭れ面3sに対し突出する腰掛け位置Kまで回動させて椅子形態とする。第2の背凭れ部4は、枢支部50に設けたリクライニングギアなどの保持手段の機能によって、腰掛け位置Kに保持される。使用者Pは、
図6Dに示すように、腰掛け位置Kに保持された第2の背凭部4の第2の背凭れ面4sを着座面として、腰掛けることができる。したがって本例の椅子になる座椅子1は、ダイニングテーブル60などで食事をする際のダイニングチェアとして機能することができる。また必要に応じ、基台部2の延長部2bを主部3aに向かって折り曲げることにより、第2の背凭れ部4に腰掛けている使用者Pの足元を広くすることができる。
【0036】
このように本例の椅子になる座椅子1は、椅子形態のとき、第1の背凭れ部3の頭部3bが背凭れとして機能するから、安定した座り心地を提供できる。また本例の椅子になる座椅子1は、内部フレーム10の表面をクッション材で覆う構成であるので、椅子形態で使用する際も、このクッション材による柔軟性、弾力性などの快適さを享受することができる。
【0037】
本例の椅子になる座椅子1は、
図5Cおよび
図5Dに示すように、基台部2の延長部2bを折り曲げることによって、奥行き寸法を縮小することができるとともに、第1の背凭れ部3の頭部3bを折り曲げることによって、高さ寸法を低減させることができる。本例では、延長部2bを折り曲げた状態の基台部2の先端が、腰掛け位置Kに在る第2の背凭れ部4の先端と、ほぼ同じ正面位置に位置するように設定され、また、頭部3bを折り曲げた状態の第1の背凭れ部3の上端が、第2の背凭れ部4の肘掛け部4bの上端位置を超えないように設定される。このような構成により、
図5Dに示すように、延長部2bおよび頭部3bを折り曲げれば、コンパクト化が可能なので、梱包時の容積が小さくなり、運搬および搬送を容易化できるという利点がもたらされる。
【0038】
さらに本実施形態の椅子になる座椅子1は、強度上重要な構成部材である脚部31および柱部32(
図4(A)参照)を、回動部34の位置まで二重パイプ構造にすることによって、従来パイプで得られる強度よりも大きい強度を確保している。この構成を採用することによって、本実施形態では、強度を保持するための鋼材の本数を低減し、軽量化を達成しているため(本体重量9.6kg)、部屋間を移動させる際に運搬が容易であるという利点がもたらされる。
【0039】
[その他の実施形態]
本発明に係る椅子になる座椅子は、前述の実施形態に限定されるものではない。例えば、肘掛け部4bは、省略してもよい。第2の背凭れ部4は、回動角度を段階的に変更可能としたが、座椅子位置Jと腰掛け位置Kの2つの位置だけ選択できるように構成してもよい。基台部2の延長部2bは、必ずしも折り曲げ可能でなくてもよい。その他、実施の状況に応じて、種々変更することが可能である。