【課題】急須との着脱が極めて容易で、茶漉し自体と注ぎ口の清掃が容易となるとともに、汎用の急須に適用できるとともに、急須の周壁の形状・大きさが異なる場合にも適用できて製造コストを低減させることができる急須用茶漉しを提供する。
【解決手段】急須用茶漉し5は、支持部30と支持部30に着脱する茶漉し本体10とを有し、茶漉し本体10は、多数の開口部が形成された筒状部12と、筒状部12の一方の開口端部を閉塞する閉じ部20とを有し、支持部30は、テーパ状の筒状を呈するテーパ筒状部32と、テーパ筒状部32の後側の端部から外周側に突出して形成された環状突部34と、テーパ筒状部32の前側の端部から外周側に突出して形成された環状突部36とを有し、筒状部12の外径は、テーパ筒状部32の最小内径よりも大きく形成されている。支持部30は、急須の胴体部に設けられた開口部に装着して使用する。
第1環状突部の前側の面(34a)が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、第2環状突部の後側の面(36e)が、支持部の軸線に対して直角をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の急須用茶漉し。
急須(50)と、該急須に取り付ける急須用茶漉しで、請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9に記載の急須用茶漉し(5)とを有する急須セットであって、
急須が、
茶葉を投入するための胴体部で、上側に上部開口部(58)を有する胴体部(54)と、
胴体部から突設された注ぎ口(60)と、を有し、
胴体部には、注ぎ口側に設けられた開口部である胴体部開口部(56)が形成され、
胴体部開口部に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させて第2筒状部が第1筒状部に支持された状態では、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、胴体部開口部の縁部に接していることを特徴とする急須セット。
第1環状突部と第2環状突部間の隙間で、支持部の軸線方向の隙間の長さにおける最小値が、胴体部開口部の縁部の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の急須セット。
第1環状突部と第2環状突部間の隙間で、支持部の軸線方向の隙間の長さにおける最小値が、胴体部開口部の縁部の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の急須セット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の茶漉し付き急須によれば、茶漉し4を嵌合するための一対の係止片を急須に設ける必要があり、汎用の急須には適用できないという問題がある。また、特許文献1に記載の茶漉し付き急須において、茶漉し4の着脱は可能ではあるものの、急須においては、蓋体を載せるための蓋体装着用座6が内側に突設されているため、実際には、茶漉し4の着脱は困難である。
【0009】
また、特許文献2の急須においては、環状網体2を着脱することはできるものの、環状網体2は、網体の弾性復元力を利用した周方向拡開作用を利用して急須本体内周壁面に圧接保持されているので、実際には環状網体2の取り外しはそれほど容易ではなく、また、急須の周壁の形状・大きいに応じて環状網体2の形状・大きさを定めなければならないため、形状・大きさについて多くの種類の網体を用意する必要があり、コストがかかるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3の茶漉においては、曲折縁鍔1aが取付筒2における周凹溝内に嵌合されていると共に急須注ぎ口孔部に周回凹設されてなる係合条溝5内に、前記取付筒2の被装されている前記漉具1の曲折縁鍔1aが該取付筒2と共に押圧縮状に嵌着されているので、濃具1の取外しは困難であり、結果として、濃具1の着脱が困難となる。
【0011】
また、特許文献4の茶漉においては、取付部材3における周縁鍔部3cと胴体注出孔縁間に形成される周凹溝内に、茶漉4の周縁鍔4aを嵌入係合させるので、この場合も、茶漉し4の取外しは困難であり、結果として、濃具1の着脱が困難となる。
【0012】
特許文献1〜4において、茶漉し(濃具)の着脱が困難であると、茶漉し自体の清掃が困難であるとともに、急須の注ぎ口の内側の清掃も困難であるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、急須との着脱が極めて容易で、これにより、茶漉し自体と注ぎ口の清掃が容易となるとともに、汎用の急須に適用できるとともに、急須の周壁の形状・大きさが異なる場合にも適用できて製造コストを低減させることができる急須用茶漉しを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、急須用茶漉しであって、支持部(30)と、支持部に着脱する茶漉し本体(10)とを有し、支持部が、内周面(32a)の断面が円形を呈する筒状を呈し、一方の開口部側である前側から他方の開口部側である後側にいくに従い内径が大きくなる第1筒状部(32)と、第1筒状部の外周側に突出して形成された第1環状突部(34)と、第1筒状部の外周側に突出して形成され、第1環状突部よりも前側に第1環状突部と間隔を介して形成された第2環状突部(36)と、を有し、支持部が、柔軟性のある材質により形成され、茶漉し本体が、液体通過用の穴部が周面に形成された筒状の第2筒状部で、少なくとも一方の開口部側である前側の端部領域が円筒状に形成された第2筒状部(12)と、第2筒状部の他方の開口部側に設けられ、該他方の開口部側である後側からの茶葉の流入を防止するための閉じ部(20)と、を有し、第2筒状部の該前側の端部領域における外径が、第1筒状部の最小内径よりも大きく形成され、急須における茶葉を投入するための胴体部(54)に形成された開口部である胴体部開口部(56)に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させることにより、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がり、第2筒状部が第1筒状部に支持される(「第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持されることにより茶漉し本体が支持部に支持される」としてもよい)ことを特徴とする。
【0015】
第1の構成の急須用茶漉しにおいては、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0016】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【0017】
また、第2には、上記第1の構成において、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面(32b)が、円錐台形状の周面を呈することを特徴とする。よって、外周面部がテーパ状に形成されているので、胴体部開口部の径に差があっても、胴体部開口部の縁部が外周面部に接することができ、胴体部開口部の複数種類の大きさに対応することができる。
【0018】
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、第1環状突部の前側の面(34a)が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈することを特徴とする。よって、急須の湾曲した胴体部における開口部の縁部の内側の面に沿って第1環状突部の前側の面が縁部の内側の面に接しやすく、第1環状突部の前側の面の外側の角部が縁部に対して邪魔となることがない。
【0019】
また、第4には、上記第1又は第2の構成において、第1環状突部の前側の面(34a)が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、第2環状突部の後側の面(36e)が、支持部の軸線に対して直角をなすことを特徴とする。よって、急須の湾曲した胴体部における開口部の縁部の内側の面に沿って第1環状突部の前側の面が縁部の内側の面に接しやすく、第1環状突部の前側の面の外側の角部が縁部に対して邪魔となることがない。また、第1環状突部と第2環状突部間の隙間が外周側にいくほど幅広となり、縁部を第1環状突部と第2環状突部間の隙間に配置するのが容易となる。
【0020】
また、第5には、上記第1から第4までのいずれかの構成において、第2筒状部が全体に円筒状を呈することを特徴とする。よって、穴部を有する板状又はシート状部材を筒状に形成することにより第2筒状部を製造できるので、第2筒状部を低コストで製造することができる。
【0021】
また、第6には、急須用茶漉しであって、支持部(30)と、支持部に着脱する茶漉し本体(10)とを有し、支持部が、内側に円錐台形状の空間を有する筒状の第1筒状部で、一方の開口部側である前側から他方の開口部側である後側にいくに従い内径が大きくなる第1筒状部(32)と、第1筒状部の後側の端部から外周側に突出して形成された第1環状突部(34)と、第1筒状部の前側の端部から外周側に突出して形成され、第1環状突部と間隔を介して形成された第2環状突部(36)と、を有し、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面(32b)が、円錐台形状の周面を呈し、第1環状突部の前側の面(34a)が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、支持部が、柔軟性のある材質により形成され、茶漉し本体が、液体通過用の穴部が周面に形成された円筒状の第2筒状部(12)と、第2筒状部の一方の開口部側である後側の開口部に設けられた閉じ部で、該後側の開口部からの茶葉の流入を防止するための閉じ部(20)と、を有し、第2筒状部の外径が、第1筒状部の最小内径よりも大きく形成され、急須における茶葉を投入するための胴体部(54)に形成された開口部である胴体部開口部(56)に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させることにより、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がり、第2筒状部が第1筒状部に支持される(「第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持されることにより茶漉し本体が支持部に支持される」としてもよい)ことを特徴とする。
【0022】
第6の構成の急須用茶漉しにおいては、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0023】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【0024】
また、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、円錐台形状の周面を呈していて、該外周面がテーパ状に形成されているので、胴体部開口部の径に差があっても、胴体部開口部の縁部が外周面に接することができ、胴体部開口部の複数種類の大きさに対応することができる。
【0025】
また、第1環状突部の前側の面が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈するので、急須の湾曲した胴体部における開口部の縁部の内側の面に沿って第1環状突部の前側の面が縁部の内側の面に接しやすく、第1環状突部の前側の面の外側の角部が縁部に対して邪魔となることがない。
【0026】
また、第2筒状部が円筒状を呈するので、穴部を有する板状又はシート状部材を筒状に形成することにより第2筒状部を製造できるので、第2筒状部を低コストで製造することができる。
【0027】
また、第7には、上記第6の構成において、第2環状突部の後側の面(36e)が、支持部の軸線に対して直角をなすことを特徴とする。よって、第1環状突部と第2環状突部間の隙間が外周側にいくほど幅広となり、縁部を第1環状突部と第2環状突部間の隙間に配置するのが容易となる。
【0028】
また、第8には、上記第1から第7までのいずれかの構成において、閉じ部が、第2筒状部の後側の開口部に着脱自在であることを特徴とする。よって、茶漉し本体を低コストで製造することができる。
【0029】
また、第9には、上記第1から第8までのいずれかの構成において、閉じ部が、第2筒状部の後側の開口部を閉塞することを特徴とする。
【0030】
また、第10には、急須(50)と、該急須に取り付ける急須用茶漉しで、第1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9の構成の急須用茶漉し(5)とを有する急須セットであって、急須が、茶葉を投入するための胴体部で、上側に上部開口部(58)を有する胴体部(54)と、胴体部から突設された注ぎ口(60)と、を有し、胴体部には、注ぎ口側に設けられた開口部である胴体部開口部(56)が形成され、胴体部開口部に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させて第2筒状部が第1筒状部に支持された状態では、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、胴体部開口部の縁部に接していることを特徴とする。
【0031】
第10の構成の急須セットにおいては、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0032】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【0033】
また、第11には、上記第10の構成において、第1環状突部と第2環状突部間の隙間で、支持部の軸線方向の隙間の長さにおける最小値が、胴体部開口部の縁部の厚みよりも大きいことを特徴とする。よって、胴体部開口部の径に応じて、縁部が外周面部と接する位置を調整することができる。
【0034】
また、第12には、急須(50)と、該急須に取り付ける急須用茶漉し(5)とを有する急須セットであって、急須が、茶葉を投入するための胴体部で、上側に上部開口部(58)を有する胴体部(54)と、胴体部から突設された注ぎ口(60)と、を有し、胴体部には、注ぎ口側に設けられた開口部である胴体部開口部(56)が形成され、急須用茶漉しが、支持部(30)と、支持部に着脱する茶漉し本体(10)とを有し、支持部が、内側に円錐台形状の空間を有する筒状の第1筒状部で、一方の開口部側である前側から他方の開口部側である後側にいくに従い内径が大きくなる第1筒状部(32)と、第1筒状部の後側の端部から外周側に突出して形成された第1環状突部(34)と、第1筒状部の前側の端部から外周側に突出して形成され、第1環状突部と間隔を介して形成された第2環状突部(36)と、を有し、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面(32b)が、円錐台形状の周面を呈し、第1環状突部の前側の面(34a)が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、支持部が、柔軟性のある材質により形成され、茶漉し本体が、液体通過用の穴部が周面に形成された円筒状の第2筒状部(12)と、第2筒状部の一方の開口部側である後側の開口部に設けられた閉じ部で、該後側の開口部からの茶葉の流入を防止するための閉じ部(20)と、を有し、第2筒状部の外径が、第1筒状部の最小内径よりも大きく形成され、胴体部開口部に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させることにより、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がり、第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持された状態では(「第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持されることにより茶漉し本体が支持部に支持され、茶漉し本体が支持部に支持された状態では」としてもよい)、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、胴体部開口部の縁部に接していることを特徴とする。
【0035】
第12の構成の急須セットにおいては、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0036】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【0037】
また、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、円錐台形状の周面を呈していて、該外周面がテーパ状に形成されているので、胴体部開口部の径に差があっても、胴体部開口部の縁部が外周面に接することができ、胴体部開口部の複数種類の大きさに対応することができる。
【0038】
また、第1環状突部の前側の面が、外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈するので、急須の湾曲した胴体部における開口部の縁部の内側の面に沿って第1環状突部の前側の面が縁部の内側の面に接しやすく、第1環状突部の前側の面の外側の角部が縁部に対して邪魔となることがない。
【0039】
また、第2筒状部が円筒状を呈するので、穴部を有する板状又はシート状部材を筒状に形成することにより第2筒状部を製造できるので、第2筒状部を低コストで製造することができる。
【0040】
また、茶漉し本体が支持部により支持された状態では、第1筒状部における第1環状突部と第2環状突部間の外周面が、胴体部開口部の縁部に接するので、支持部と縁部の間に隙間が形成されない。
【0041】
また、第13には、上記第12の構成において、第1環状突部と第2環状突部間の隙間で、支持部の軸線方向の隙間の長さにおける最小値が、胴体部開口部の縁部の厚みよりも大きいことを特徴とする。よって、胴体部開口部の径に応じて、縁部が外周面部と接する位置を調整することができる。
【0042】
また、第14には、上記第12又は第13の構成において、第2環状突部の後側の面(36e)が、支持部の軸線に対して直角をなすことを特徴とする。よって、第1環状突部と第2環状突部間の隙間が外周側にいくほど幅広となり、縁部を第1環状突部と第2環状突部間の隙間に配置するのが容易となる。
【0043】
また、第15には、急須(50)と、該急須に取り付ける急須用茶漉し(5)とを有する急須セットであって、急須が、茶葉を投入するための胴体部で、上側に上部開口部(58)を有する胴体部(54)と、胴体部から突設された注ぎ口(60)と、を有し、胴体部には、注ぎ口側に設けられた開口部である胴体部開口部(56)が形成され、急須用茶漉しが、支持部(30)と、支持部に着脱する茶漉し本体(10)とを有し、支持部が、内周面(32a)の断面が円形を呈する筒状を呈し、一方の開口部側である前側から他方の開口部側である後側にいくに従い内径が大きくなる第1筒状部(32)と、第1筒状部の外周側に突出して形成された第1環状突部(34)と、第1筒状部の外周側に突出して形成され、第1環状突部よりも前側に第1環状突部と間隔を介して形成された第2環状突部(36)と、を有し、支持部が、柔軟性のある材質により形成され、茶漉し本体が、液体通過用の穴部が周面に形成された筒状の第2筒状部で、少なくとも一方の開口部側である前側が円筒状に形成された第2筒状部(12)と、第2筒状部の他方の開口部側に設けられ、該他方の開口部側である後側からの茶葉の流入を防止するための閉じ部(20)と、を有し、第2筒状部の一方の開口部側の円筒状における外径が、第1筒状部の最小内径よりも大きく形成され、胴体部開口部に支持部を第1筒状部における前側を胴体部の外側にするとともに該胴体部開口部の縁部(57)を第1環状突部と第2環状突部の間に位置させて取り付け、さらに、第2筒状部の前側を支持部の第1筒状部に第1筒状部の後側から挿通させた状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がり、第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持された状態では(「第2筒状部が第1筒状部に支持され、第2筒状部が第1筒状部に支持されることにより茶漉し本体が支持部に支持され、茶漉し本体が支持部に支持された状態では」としてもよい)、第1環状突部が縁部の内側の面に接しているとともに第2環状突部が縁部の外側の面に接していることを特徴とする。
【0044】
第15の構成の急須セットにおいては、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0045】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【0046】
また、茶漉し本体が支持部により支持された状態では、第1環状突部が縁部の内側の面に接するとともに第2環状突部が縁部の外側の面に接しているので、縁部の端部と支持部の第1筒状部の外周面と隙間があってもよく、開口部の複数種類の大きさに対応することができ、急須用茶漉しの製造コストを低減させることができる。
【0047】
また、第16には、第15の構成において、第2筒状部が第1筒状部に支持された状態では、縁部の端部と第1筒状部の外周面との間に隙間が設けられていることを特徴とするものとしてもよい。
【0048】
また、第17には、上記第15又は第16の構成において、閉じ部が、第2筒状部の後側の開口部に着脱自在に設けられ、該後側の開口部を閉塞することを特徴とするものとしてもよい。
【0049】
また、第18には、上記第10から第17までのいずれかの構成において、急須には、胴体部の上部開口部を開閉するための蓋部(70)が設けられていることを特徴とするものとしてもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明に基づく急須用茶漉し及び急須セットによれば、茶漉し本体を支持部に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体を着脱することができる。茶漉し本体が支持部に支持された状態では、第1筒状部における最小内径の部分が外周側に広がって第1筒状部が第2筒状部を支持するので、第2筒状部が支持部にしっかりと固定される。
【0051】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた胴体部開口部が支持部が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明に基づく急須用茶漉し5は、急須に装着して使用するものであり、
図1〜
図17に示すように、茶漉し本体10と、急須に取り付けるとともに、茶漉し本体10を支持する支持部30とを有している。
【0054】
茶漉し本体10は、
図1〜
図4に示すように、多数の穴部が形成されるとともに一方の端部が閉塞された筒状を呈していて、筒状部12と、閉じ部20とを有している。
【0055】
ここで、筒状部(第2筒状部)12は、
図5〜
図7に示すように、多数(「複数」としてもよい)の穴部(液体通過用の穴部)(「開口部」としてもよい)13が周面に形成された筒状部材(具体的には、円筒状部部材)であり、筒状部12の両側の端部が開口して形成されている。この筒状部12は、板状の穴あきメタル(板状のパンチングメタルとしてもよい)やメッシュシートを筒状に形成して端部同士を溶接等により接合させて形成したものである。つまり、筒状部12は、周方向の両側の端部が接合する接合部12aを有している。筒状部12は、金属製(例えば、ステンレス製又はチタン製)である。筒状部12の周面に設けられた穴部は、急須50内の茶葉が通過できない大きさに形成され、円形に形成されている。なお、筒状部12を合成樹脂により成形して、多数の穴部が形成された筒状に形成してもよい。筒状部12の周面に設けられた穴部は円形であるとしたが、他の形状であってもよい。
【0056】
なお、筒状部12を板状の穴あきメタル(板状のパンチングメタルとしてもよい)やメッシュシート等の穴部を有する板状又はシート状部材を筒状に形成することにより製造できるので、筒状部12を低コストで製造することができる。
【0057】
また、閉じ部20は、筒状部12の一方(後側)の開口端部を着脱自在に閉塞するいわばキャップであり、
図8〜
図12に示すように、本体部22と、本体部22から連設された挿入部24とを有している。この閉じ部20は、合成樹脂(例えば、シリコン樹脂)により全体に一体に形成されている。
【0058】
ここで、本体部22は、円形の平板状を呈する板状部22aと、板状部22aの周端から連設され、環状を呈する環状部22bとを有し、本体部22の外径L22は、筒状部12の外径L12a以上の長さに形成されている。
【0059】
また、挿入部24は、環状部22bの端部(板状部22a側とは反対側(X1側)の端部)から連設され、環状部22bから連設された筒状(具体的には、円筒状)の本体部24aと、本体部24aの外周面に沿って形成された複数の突状部24bとを有している。突状部24bは環状を呈し、その断面は、X1側が軸線方向Jに対して傾斜した略直角三角形を呈し、突状部24bの外径L24は、筒状部12の内径L12bよりも若干大きく形成され、挿入部24を筒状部12に挿入した際に、突状部24bと筒状部12の内側の面が接触して、挿入部24が筒状部12から容易には外れないようになっている。
【0060】
茶漉し本体10においては、筒状部12における閉じ部20を取り付けた側とは反対側の先端部12−1が開口している。
【0061】
閉じ部20には、液体が通過するための穴部は形成されていないが、筒状部12に液体通過用の穴部が形成されているので、特に必要ないといえる。なお、閉じ部20における本体部22に液体通過用の穴部を形成してもよい。つまり、該穴部は、急須50内の茶葉が通過できない大きさに形成される。
【0062】
なお、閉じ部20に液体が通過する穴部を形成せずに筒状部12の開口端部を閉塞する構成とした場合には、閉じ部20に液体通過用の穴部を形成する場合に比べて、閉じ部20を低コストで製造することができる。
【0063】
なお、筒状部12は、円筒状であるとしたが、少なくとも前側(先端部12−1側)の端部領域が円筒状に形成されていればよい。例えば、前側の端部領域が円筒状で他の領域が四角筒状であってもよく、その場合には、該筒状部12の他の領域の四角筒状に合わせて、閉じ部20の本体部22や挿入部24は、断面四角形状形成される。
【0064】
また、支持部30は、
図13〜
図17に示すように、全体に略筒状を呈し、テーパ筒状部32と、テーパ筒状部32の周面の後側(X2側)から周状に突出して形成された環状突部34と、テーパ筒状部32の周面の前側(X1側)から周状に突出して形成された環状突部36とを有しており、支持部30は、合成樹脂(特に、柔軟性のある合成樹脂(「柔軟性及び弾力性を有する合成樹脂」としてもよい)、例えば、シリコン樹脂)により全体に一体に形成されている。なお、支持部30の素材として、シリコン樹脂以外にウレタン樹脂、エポキシ樹脂等柔軟性のある材質(「柔軟性及び弾力性を有する材質」としてもよい)であればよい。
【0065】
ここで、テーパ筒状部(第1筒状部)32は、テーパ状の筒状部であり、その外周面が円錐台形状の周面を呈し、その内周面は、面取り部32eを除き、外周面と平行に形成されている。つまり、テーパ筒状部32は、面取り部32eを除き、前側(一方の開口部側)から後側(他方の開口部側)に向けて内径及び外径が大きくなるように形成されている。
【0066】
具体的には、テーパ筒状部32の内側(つまり、内周面部32aの内側)には、円錐台形状の空間が設けられている(つまり、内周面部32aの横断面は円形となっている。)。また、外周面部32bは、円錐台形状の周面を呈し、その内周面部32aと外周面部32bとは互いに平行で(つまり、外周面部32bの横断面は円形となっている)、
図17に示す縦断面図においては、内周面部32aを示す直線と外周面部を示す直線は平行となっている。また、テーパ筒状部32の後面部32cと前面部32dとは平面状に形成され、互いに平行に形成されている。また、テーパ筒状部32における前側の内側の角部は、斜めに(つまり、内周面部32aと前面部32dに対して斜めに)面取りすることにより面取り部32eが形成されている。つまり、面取り部32eの内側には、逆円錐台形状の空間が設けられている。例えば、面取り部32eの内側の辺部は、
図16に示すように、円形となっている。
【0067】
つまり、内周面部32aの前側の端部の径(内径)Laは、内周面部32aの後側の端部の径(内径)Lbよりも小さく形成されている。また、外周面部32bの前側の端部の径(外径)Lcは、外周面部32bの後側の端部の径(外径)Ldよりも小さく形成されている。内周面部32aの前側の端部の径Laは、テーパ筒状部32の最小内径となる。
【0068】
また、環状突部(第1環状突部)34は、テーパ筒状部32の後側の端部から外周側に突出して形成され、環状を呈している。この環状突部34は、テーパ筒状部32の外周面部32bから連設された前面部34aと、前面部34aの外周から後側に連設された側面部34bと、側面部34bの後端から内周側に連設された後面部34cとを有している。環状突部34とテーパ筒状部32の境界は
図17に示す二点鎖線に示す位置となる。前面部34aは、環状突部34の前側の面である。
【0069】
ここで、前面部34aは、円環状を呈し、支持部30の軸線Jに対して外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し(つまり、テーパ状を呈している)、
図17に示す断面図においては、前面部34aは、軸線Jを介して線対称に形成され、内側から外側に向けて後側に傾斜する直線状となっている。この前面部34aが外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈しているのは、急須50の胴体部54の内側の面が略円弧状に湾曲しているためであり、これにより、湾曲した胴体部54における開口部56の縁部57の内側の面に沿って前面部34aが縁部57の内側の面に接しやすく、前面部34aと側面部34bの角部が縁部57に対して邪魔となることがない。つまり、前面部34aが後面部34cと平行に形成されている場合には、縁部57の端部が外周面部32bに接する際に、前面部34aと側面部34bの角部が邪魔となって外周面部32bにおける環状突部34側の領域に接することが困難となるが、前面部34aが上記のように形成されているので、縁部57の端部が外周面部32bにおける環状突部34側の領域に接することができる。
【0070】
また、前面部34aが外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈するので、環状突部34と環状突部36間の隙間(前面部34aと環状突部36の後面部36eとの間の隙間)が外周側にいくほど幅広となり、縁部57を環状突部34と環状突部36間の隙間に配置するのが容易となる。
【0071】
また、側面部34bは、軸線Jを中心とした円柱状の周面を呈し、
図17に示す断面図においては、側面部34bは、軸線Jと平行で軸線Jを介して左右対称の直線状を呈している。また、側面部34bは、平面視においては、
図16に示すように円形となっている。
【0072】
後面部34cは、軸線Jに対して直角をなす円環状を呈し、
図17に示す断面図においては、軸線Jと直角で軸線Jに対して左右対称の直線状を呈している。この後面部34cは、テーパ筒状部32の後面部32cと同一平面状(つまり、面一)を呈している。
【0073】
また、環状突部(第2環状突部)36は、テーパ筒状部32の前側の端部から外周側に突出して形成され、環状を呈している。この環状突部36は、テーパ筒状部32の前面部32dから連設された前面部36aと、前面部36aの外周から連設された面取り部36bと、面取り部36bの外周から後側に連設された側面部36cと、側面部36cの後端から連設された面取り部36dと、面取り部36dの内周から連設された後面部36eと、後面部36eの内周側の端部から連設されるとともに、外周面部32bの前側の端部から連設された傾斜面部36fと、を有している。環状突部36とテーパ筒状部32の境界は
図18に示す一点鎖線に示す位置となる。後面部36eは、環状突部36の後側の面である。
【0074】
ここで、前面部36aは、軸線Jに対して直角をなす円環状を呈し、
図17に示す断面図においては、軸線Jと直角で軸線Jに対して左右対称の直線状を呈している。この前面部36aは、テーパ筒状部32の前面部32dと同一平面状(つまり、面一)を呈している。
【0075】
また、面取り部36bは、円環状を呈し、軸線Jに対して外周側が内周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、
図17に示す断面図においては、面取り部36bは、軸線Jを介して線対称に形成され、内側から外側に向けて後側に傾斜する直線状となっている。
【0076】
また、側面部36cは、軸線Jを中心とした円柱状の周面を呈し、
図17に示す断面図においては、側面部36cは、軸線Jと平行で軸線Jを介して左右対称の直線状を呈している。また、側面部36cは、平面視においては、
図16に示すように円形となっている。
【0077】
また、面取り部36dは、円環状を呈し、軸線Jに対して内周側が外周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、
図17に示す断面図においては、面取り部36dは、軸線Jを介して線対称に形成され、外側から内側に向けて後側に傾斜する直線状となっている。
【0078】
また、後面部36eは、軸線Jに対して直角(略直角としてもよい)をなす円環状を呈し、
図17に示す断面図においては、軸線Jと直角で軸線Jに対して左右対称の直線状を呈している。
【0079】
また、傾斜面部36fは、幅狭の円環状を呈し、軸線Jに対して内周側が外周側に対して後側に傾斜した円錐台状の周面を呈し、
図17に示す断面図においては、傾斜面部36fは、軸線Jを介して線対称に形成され、外側から内側に向けて後側に傾斜する直線状となっている。
【0080】
環状突部34の側面部34bは、環状突部36の側面部36cよりも外周側に位置している。つまり、環状突部34の外径は、環状突部36の外径よりも大きく形成されている。
【0081】
なお、支持部30の大きさと茶漉し本体10の筒状部12の大きさの関係を説明すると、茶漉し本体10を支持部30に装着した際に、筒状部12が支持部30の内周面部32aの前側を外周側に押して、テーパ筒状部32における前側(環状突部36側)の部分がテーパ筒状部32の後側の部分に対して外側に屈曲して、筒状部12を支持部30にしっかりと固定するとともに、外周面部32bを急須50における急須本体52の開口部56の縁部57に密着しやすくするので、内周面部32aの前側の端部の径Laは、筒状部12の外径L12aよりも小さく、また、筒状部12は、支持部30内に挿通するので、少なくとも内周面部32aの後側の端部の径Lbは、筒状部12の外径L12a以下の大きさである。つまり、La<L12a≦Lbとなっている。さらに、筒状部12を支持部30内に挿入しやすくするためには、内周面部32aの後側の端部の径Lbは、筒状部12の外径L12aよりも小さいのが好ましいため、好ましくは、La<L12a<Lbである。
【0082】
また、急須用茶漉し5を取り付ける急須50は、いわゆる一般的な急須であり、
図19〜
図24に示すように、急須本体52と、蓋部70とを有し、急須本体52は、胴体部54と、胴体部54から突設された注ぎ口60と把手部62とを有している。胴体部54の側面部における注ぎ口60が設けられた領域には、開口部(胴体部開口部)56が設けられ、開口部56の縁部57は円形に形成されている。つまり、開口部56は、胴体部54における注ぎ口60側に設けられ、胴体部54内の空間と注ぎ口60内の空間を連通するように形成されている。急須50と急須用茶漉し5とによって急須セットが構成される。
【0083】
ここで、開口部56の大きさと支持部30の大きさの関係を説明すると、開口部56の径の大きさをRとした場合に、支持部30を開口部56に装着した状態では、支持部30のテーパ筒状部32における外周面部32bは開口部56の縁部57と接するので、開口部56の径Rは、外周面部32bの後側の端部の径Ld以下の大きさであり(R≦Ld)、さらに、茶漉し本体10を支持部30に装着した際に、筒状部12が支持部30の内周面部32aの前側を外周側に押して、外周面部32bを開口部56の縁部57に密着させるので、開口部56の径Rは、外周面部32bの前側の端部の径Lcに外周面部32bが外周側に押された分(Lα)を加算した値以上の値となる。ここで、外周面部32bが外周側に押された分(Lα)は、筒状部12の外径L12aから内周面部32aの前側の端部の径Laを減算した値の1/2(つまり、(L12a−La)/2)となるので、開口部56の径Rは、Lc+(L12a−La)/2以上の値となる。つまり、Lc+(L12a−La)/2≦R≦Ldとなる。つまり、テーパ筒状部32がテーパ状に形成されているので、開口部56の径Rに若干の違いがあっても、外周面部32bに接することができ(つまり、径Rが大きい場合には、外周面部32bにおける環状突部34側に接するようにし、径Rが小さい場合には、外周面部32bにおける環状突部36側に接するようにする)、開口部56の複数種類の大きさに対応することができる。
【0084】
なお、茶漉し本体10を支持部30に装着する際に、支持部30自身が縮むことにより、テーパ筒状部32が屈曲しなくても茶漉し本体10を支持部30に装着できることも考えられるが、筒状部12が確実に支持部30に挿通できるようにするために、Lc+(L12a−La)/2≦Rを満たして、テーパ筒状部32が屈曲できるようにするのが好ましい。
【0085】
また、環状突部34と環状突部36間の隙間Lgの長さは、急須50の開口部56の縁部57の厚みL57よりも大きく形成され(Lg>L57)、支持部30を開口部56に取り付けた際に、縁部57の外側の面と環状突部36間と縁部57の内側の面と環状突部34間のいずれか一方又は両方に隙間が形成されるようになっている。なお、厚みL57は、開口部56の軸線J(
図19参照)に沿った縁部57の厚み方向の長さである。これにより、開口部56の径に応じて、縁部57が外周面部32bと接する位置を調整することができる。つまり、開口部56の径が大きい場合には、縁部57が外周面部32bの環状突部34側に接するようにし、開口部56の径の大きさが小さい場合には、縁部57が外周面部32bの環状突部36側に接するようにする。
【0086】
また、環状突部34と環状突部36間の隙間Lgの長さは、急須50の開口部56の縁部57の厚みL57よりも大きく形成されているので、縁部57を環状突部34と環状突部36間に位置させやすく、よって、支持部30の縁部57への取付けが容易である。
【0087】
なお、該隙間Lgは、外周面部32bと環状突部34の前面部34aの境界における任意の位置から環状突部36の後面部36eまでの軸線Jに沿った長さであり、環状突部34と環状突部36間の軸線J方向の隙間の長さにおける最小値である。
【0088】
上記構成の急須用茶漉し5の使用方法について説明する。まず、支持部30を急須50の開口部56に取り付ける。すなわち、
図20、
図21に示すように、環状突部36が急須50の外側に向くとともに、環状突部34が急須50の内側に向いた状態で、環状突部34と環状突部36間の位置に縁部57が配置されるようにすることにより、支持部30を開口部56に取り付ける。
【0089】
支持部30の取付けに際しては、急須本体52の胴体部54の内側から環状突部36側を開口部56に挿通して取り付ける。なお、支持部30は柔軟性のある合成樹脂により形成され、また、環状突部36の外径Leは、環状突部34の外径Lfよりも小さく形成されているので、環状突部36の開口部56への挿通は容易であり、支持部30の取付けを容易に行なうことができる。
【0090】
支持部30を開口部56に取り付けた状態では、縁部57の内側には環状突部34が位置し、縁部57の外側には環状突部36が位置しているので、支持部30が縁部57から容易に外れることがない。また、支持部30を開口部56に取り付けた状態では、縁部57が外周面部32bに接するので、支持部30が開口部56に安定した状態で取り付けられる。なお、支持部30を開口部56に取り付けた状態では、外周面部32bは縁部57に接していて、支持部30と縁部57の間には隙間が設けられていない。
【0091】
また、環状突部34は、胴体部54の内側の面の湾曲度合いに応じてテーパ筒状部32に対して後側に湾曲する。例えば、
図20、
図21の場合には、胴体部54の周壁は、横方向の湾曲度合いよりも縦方向の湾曲度合いの方が大きいので、
図20では、環状突部34はテーパ筒状部32に対して湾曲していないが、
図21では、環状突部34はテーパ筒状部32に対して湾曲している。
【0092】
次に、
図22〜
図24に示すように、茶漉し本体10を支持部30に取り付ける。つまり、茶漉し本体10を急須50の胴体部54内に配置し、筒状部12を支持部30に挿通する。その際、筒状部12における閉じ部20が設けられている側とは反対側の端部を支持部30に挿通する。すると、筒状部12が支持部30の内周面部32aの前側を外周側に押して、テーパ筒状部32が前側(環状突部36側)の部分がテーパ筒状部32の後側の部分に対して外側に屈曲して(特に、テーパ筒状部32における最小内径の部分が外周側に広がり)、筒状部12がテーパ筒状部32に支持されて、筒状部12が支持部30にしっかりと固定されるとともに、外周面部32bが開口部56の縁部57に密着しやすくなり、外周面部32bが縁部57に密着することにより、支持部30が開口部56の縁部57にしっかりと固定される。つまり、少なくとも、筒状部12がテーパ筒状部32に支持された状態では、外周面部32bが縁部57に接しているといえる。また、筒状部12の先端部12−1(閉じ部20側とは反対側の端部)は、注ぎ口60の内部に配置される。
【0093】
茶漉し本体10の筒状部12を支持部30に挿通させる長さL12−1(支持部30の後面部34cの位置から筒状部12の先端までの長さ)は、茶漉し本体10が支持されるのに十分な長さとすればよく、必要以上に注ぎ口60側に差し込む必要はない。少なくとも長さL12−1は、筒状部12の軸線方向の長さにおける長さL12−1を減算した長さL12−2よりも短くする。よって、茶漉し本体10は、支持部30から急須本体52の内側に向けて突出した状態で急須本体52に取り付けられる。以上のようにして、急須用茶漉し5が急須50の胴体部54に取り付けられる。
【0094】
急須用茶漉し5が急須50の胴体部54に取り付けられた状態で、急須50の胴体部54内に茶葉を入れるとともに、お湯等の液体を注いで、蓋部70により急須本体52の上部開口部58を閉じた状態とする。
【0095】
その後、把手部62を持って、注ぎ口60を下側にして急須50を傾けることにより、茶飲料が注ぎ口60の先端の排出穴61から排出される。つまり、胴体部54に注がれた液体は、筒状部12の穴部を通過して茶漉し本体10内に至り、さらに、筒状部12の先端部12aから注ぎ口60に至り、排出穴61から排出される。
【0096】
なお、支持部30の外周面部32bは、縁部57に接していて、支持部30と縁部57の間には隙間が設けられていないので、胴体部54内の液体は、支持部30と縁部57の間から流出することがなく、胴体部54内の液体は、茶漉し本体10の筒状部12のみを通って注ぎ口60に至る。なお、胴体部54内の茶葉は、筒状部12の周面の穴部が茶葉が通過できない大きさに形成されており、また、筒状部12の内側の端部は閉じ部20により塞がれた状態となっているので、茶漉し本体10内に入り込むことがない。
【0097】
また、注ぎ口60を下側にして急須50を傾けると、胴体部54内の茶葉が、支持部30側に集まるが、茶漉し本体10は、支持部30から急須本体52の内側に向けて突出した状態で急須本体52に取り付けられているので、茶葉が筒状部12における支持部30よりも内側の部分(長さL12−2の部分)の全てを覆ってしまうおそれがない。つまり、急須50を水平状態にして、茶葉とお湯等の液体を投入した際には、茶葉は胴体部54の底板部に集まっており、その状態から、注ぎ口60を下側にして急須50を傾けると、茶葉は筒状部12の急須50における底部側に移動するので、液体は、筒状部12の底部以外の部分から筒状部12内に流入することができる。また、筒状部12の長さ(軸線方向の長さ)を通常の場合の茶葉の量で筒状部12における支持部30よりも内側の部分を覆うことがない長さに形成することにより、胴体部54内の液体が茶葉に遮られて注ぎ口60から注ぐことができないという事態が生じることがない。
【0098】
茶漉し本体10を清掃する場合や新たな茶漉し本体10に取り替える場合には、茶漉し本体10を支持部30から取り外すが、茶漉し本体10を支持部30に対して胴体部54内に向けてスライドさせるのみで茶漉し本体10を支持部30から取り外すことができる。清掃後の茶漉し本体10や新たな茶漉し本体10は、上記と同様に、筒状部12を支持部30に挿通して取り付ければよい。
【0099】
また、茶漉し本体10を支持部30から取り外すとともに、支持部30を胴体部54から取り外すことにより注ぎ口60の内側も清掃することができる。
【0100】
以上のように、本実施例の急須用茶漉し5によれば、茶漉し本体10を支持部30に対して挿脱するのみで着脱できるので、極めて容易に茶漉し本体10を着脱することができる。つまり、茶漉し本体10を取り付ける際には、支持部30に差し込み、茶漉し本体10を取り外す場合には、支持部30から引き抜けばよいので、着脱が極めて容易である。
【0101】
また、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず、胴体部に設けられた開口部56が支持部30が取付け可能な形状・大きさであればよいので、製造コストを低減させることができる。つまり、具体的には、開口部56の形状が円形で、開口部56の径Rが、Lc+(L12a−La)/2≦R≦Ldの式を満たせばよいので、急須の胴体部の形状・大きさにかかわらず(つまり、急須の周壁の形状・大きさにかかわらず)取り付けることができ、急須用茶漉し5の大きさの種類を少なくできるので、急須用茶漉しの製造コストを低減することができる。
【0102】
さらには、開口部56の径Rが、Lc+(L12a−La)/2≦R≦Ldの式を満たせばよいことは、該式を満たすRの大きさの開口部には適用可能であることを示しており、La、Lc、Ld、L12aが特定された急須用茶漉しにおいて、Rの範囲が設けられるので、その範囲内の径Rには適用可能であり、その点でも、急須用茶漉し5の大きさの種類を少なくすることができる。特に、テーパ筒状部32がテーパ状に形成されているので、開口部56の径Rに若干の違いがあっても、外周面部32bに接することができ、開口部56の複数種類の大きさに対応することができるので、急須用茶漉し5の大きさの種類を少なくすることができ、急須用茶漉しの製造コストを低減させることができる。
【0103】
なお、上記の説明においては、支持部30を開口部56に取り付けた際には、開口部56の縁部57が支持部30の外周面部32bに接し、縁部57の外側の面と環状突部36間と縁部57の内側の面と環状突部34間のいずれか一方又は両方に隙間が形成されるとしたが、これには限られず、
図25に示すように、環状突部34の前面部34aが縁部57の内側の面に接するとともに、環状突部36の後面部36eが縁部57の外側の面に接する(つまり、縁部57が環状突部34と環状突部36に接する)構成としてもよい。
【0104】
すなわち、
図25に示す支持部30’のように、環状突部36の後面部36eと前面部36aは、支持部30の軸線Jに対して外周側が内周側に対して後側に傾斜した円環状とし、特に、後面部36eは、環状突部34の前面部34aと平行(略平行としてもよい)とし、支持部30’を開口部56に取り付けた際には、環状突部34の前面部34aが縁部57の内側の面に接するとともに、環状突部36の後面部36eが縁部57の外側の面に接する。筒状部12を支持部30に挿通させた際に、テーパ筒状部32が前側(環状突部36側)の部分がテーパ筒状部32の後側の部分に対して外側に屈曲するので、環状突部36は、縁部57に対して外側に若干スライドする。なお、筒状部12を支持部30に挿通させた状態でも、環状突部34の前面部34aが縁部57の内側の面に接するとともに、環状突部36の後面部36eが縁部57の外側の面に接している。
【0105】
なお、筒状部12を支持部30に挿通させた際に、テーパ筒状部32における前側の部分が外側に屈曲するので、支持部30’を開口部56に取り付けた状態においては(この状態では、茶漉し本体10は支持部30’に取り付けられていない)、縁部57の端部と外周面部32bの間に隙間を形成しておくのが好ましい。つまり、支持部30’を開口部56に取り付けた状態において、縁部57の端部と外周面部32bの間に隙間がない場合でも筒状部12を支持部30に挿通することにより支持部30自体が縮むことによりテーパ筒状部32が屈曲しなくても筒状部12が支持部30に支持された状態とすることもできるが、筒状部12を支持部30に確実に挿通できるようにするには、縁部57の端部と外周面部32bの間に隙間を形成しておくのが好ましい。
【0106】
このように、縁部57が環状突部34と環状突部36に接する構成とすることにより、胴体部54内の液体が支持部30と縁部57の間から流出することがないようにすることができる。つまり、縁部57の端部と外周面部32bの間に隙間が形成されていても、縁部57が環状突部34と環状突部36に接するので、胴体部54内の液体が支持部30と縁部57の間から流出することがない。
【0107】
また、縁部57が環状突部34と環状突部36に接していれば縁部57の端部と外周面部32bの間に隙間がよいので、開口部56の複数種類の大きさに対応することができるので、急須用茶漉し5の大きさの種類を少なくすることができ、急須用茶漉しの製造コストを低減させることができる。
【0108】
また、上記の説明においては、茶漉し本体10を構成する筒状部12と閉じ部20とが別体であるとして説明したが、筒状部12の一方の端部を筒状部12と同じ素材で閉じ部20を形成し、茶漉し本体10を全体に一体に形成してもよい。例えば、
図26に示すように、筒状部12を板状の穴あきメタルを筒状にして形成し、さらに、板状の穴あきメタルを円形(該筒状における径と同じ径の円形)に形成した閉じ部20を該筒状部12の一方の端部に溶接等により固定して茶漉し本体10を構成する。なお、穴あきメタルの代わりに、穴が形成されていない金属製の板状部により閉じ部20を構成してもよい。以上のように、筒状部12と閉じ部20とを有する茶漉し本体10を全体に一体に構成してもよい。
【0109】
なお、穴あきメタルを円形に形成したものを該筒状部12の一方の端部に溶接等により固定する作業はコストが掛かるので、
図1から
図12に示すように、閉じ部20をキャップ状とすることにより、低コストで茶漉し本体10を製造することができる。
【0110】
なお、閉じ部20を筒状部12と同じ素材で筒状部12に固定する場合には、筒状部12の端部ではなく、筒状部12の内側で、先端部12−1と反対側の後端部12−2に近い側(つまり、後端部12−2側)に設けるようにしてもよい。