【解決手段】バイオマス燃料Bの搬入口A10及び排出口A11を有する貯蔵部A1内に、搬入されたバイオマス燃料Bが載置される載置床A2、A3を有し、載置床A2、A3は、排出口A11の開口方向に沿って、排出口A11側とこの排出口A11と反対側とに交互にスライド自在に支持されていると共に、載置床A2、A3をスライドさせる方向に伸縮する油圧シリンダA20、A30が接続されており、バイオマス燃料Bの塊部分を崩しながら徐々に移動させることで、バイオマス燃料Bの残留水分を飛ばすことができ、燃焼効率を上げることができると共に、不完全燃焼の発生を抑制することができる堆肥(燃料)貯蔵タンクA。
堆肥の搬入口及び排出口を有する貯蔵部内に、搬入された前記堆肥が載置される載置床を有し、前記載置床は、前記排出口の開口方向に沿って、前記排出口側と該排出口と反対側とに交互にスライド自在に支持されていると共に、前記載置床をスライドさせる伸縮部材が接続されている堆肥貯蔵タンク。
【背景技術】
【0002】
家畜糞を主成分とする堆肥は、農作物の肥料の他にも、バイオマス燃料としても利用されており、現在では、様々な堆肥製造装置が提案されており、本出願人が「PCT/JP2014/067148」で提案したように、堆肥製造装置と発電装置とが一体となった再利用システムに組み込まれたものが知られている。
【0003】
この堆肥製造装置は、家畜糞を好気性発酵すると共に、水分調整(乾燥)して、粉状のバイオマス燃料(堆肥)を製造する燃料製造部と、製造されたバイオマス燃料によって作動するボイラで発生した蒸気でタービンを回転させて発電し、この蒸気の熱を燃料製造部での燃料製造に用いるようにされている。
【0004】
また、燃料製造装置で製造されたバイオマス燃料は、燃料貯蔵庫から搬送部(搬送装置)を介して、ボイラの熱源を発生させる燃焼装置へと送られるようにされている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態の堆肥貯蔵タンクAを
図1〜
図4に基づいて説明する。
【0010】
尚、本実施形態では、堆肥貯蔵タンクAを家畜糞の再利用システムSに備えた形態として説明するが、本発明の堆肥貯蔵タンクAは、再利用システムSに備えた形態に限らない。また、本実施形態では、製造される堆肥をバイオマス燃料として利用するもので説明するが、本発明では、製造される堆肥を肥料として利用するものとしてもよい。また、以下で例示する実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0011】
ここで、再利用システムSは、
図1に示すように、堆肥貯蔵タンクA、燃焼装置1、ボイラ2、発電機3、燃料製造部4、熱送出部5等を備え、これらが、建屋H内に配置されている。
【0012】
この再利用システムSは、発酵した完熟堆肥の水分を、燃料製造部4で調整(完熟堆肥を乾燥)してバイオマス燃料(
図4参照)Bを製造する。
【0013】
燃料製造部4は、ロータリキルン40を有しており、ロータリキルン40の上流側にバイオマス燃料Bの原料となる完熟堆肥をロータリキルン40に供給するための供給部41が接続され、下流側にロータリキルン40で製造されたバイオマス燃料Bを堆肥貯蔵タンクAに搬送する搬送部6Aが接続されている。
【0014】
製造されたバイオマス燃料Bは、搬送部6Aを介して堆肥貯蔵タンクAに搬送され、堆肥貯蔵タンクAから搬送部6Bを介して燃焼装置1に供給されて、燃焼装置1で燃焼される。
【0015】
燃焼装置1で生じた燃焼ガスは、配管20を介してボイラ2に供給されて、ボイラ2の熱源として用いられる。
【0016】
燃焼ガスを熱源としてボイラ2が蒸気を作り、この蒸気の勢いによってタービン(図示せず)を回転させると共に、このタービンの回転によって発電機3が発電する。そして、発電された電力は、再利用システムSの各種電気設備の電力、他の場所の各種電気設備の電力、売電用の電力として使用される。
【0017】
また、ボイラ2の蒸気の熱は、熱送出部5を介して、ロータリキルン40に供給され、ロータリキルン40で堆肥を乾燥させるための熱として利用するようにされていている。
【0018】
燃料製造部4は、堆肥をロータリキルン40で撹拌しながら、熱送出部5を介して供給される熱で加熱することによって、堆肥を乾燥(水分調整)させてバイオマス燃料Bを製造するようにされている。
【0019】
熱送出部5は、外気を吸気すると共に、排気する吸排気部50と、吸排気部50の排気側とロータリキルン40とにわたって配管された熱供給パイプ51とを備えている。
【0020】
吸排気部50には、ボイラ2の蒸気を供給する供給パイプ52が接続されており、ボイラ2の蒸気の熱によって、吸気した外気が加熱されると共に、加熱された外気を、熱供給パイプ51を介してロータリキルン40に供給するようにされている。
【0021】
燃料貯蔵タンクAに貯蔵されたバイオマス燃料Bは、この燃料貯蔵タンクAから搬送部6Bを介して、燃焼装置1に搬送され、この燃焼装置1で燃焼するようにされている。
【0022】
すなわち、再利用システムSは、バイオマス燃料Bを製造しながら、このバイオマス燃料Bを燃焼させた熱を、発電及びバイオマス燃料Bの製造に用いるようにしているので、再利用システムS内で、燃料製造・燃料燃焼・発電を一つのサイクルとして連続的に行うことができる。
【0023】
次に、
図2〜
図4に基づいて、堆肥貯蔵タンクAの構成を説明する。堆肥貯蔵タンクAは、後述するように貯蔵されたバイオマス燃料Bを崩しながら搬送する機能を有するものである。
【0024】
堆肥貯蔵タンクAは、バイオマス燃料Bの搬入口A10及び排出口A11を有する貯蔵部A1内に、搬入されたバイオマス燃料Bが載置される2つの載置床A2、A3と、この載置床A2、A3の四方を囲む側壁A4〜A7と、天井A8と、載置床A2、A3を往復スライドさせる油圧シリンダ(伸縮部材)A20、A30とを備えている。
【0025】
尚、以下では、排出口A11側を「前」とし、排出口A11側と平面方向で対向する側を「後」という。
【0026】
載置床A2、A3は、前後方向と直交する左右方向で隣り合うように並列し、前後スライド自在に支持されている。
【0027】
載置床A2、A3のスライド自在とする支持構造は、側壁A4〜A7が支持される架台A9に、左右方向の軸を有する複数の回転ローラA40を軸支し、この回転ローラA40で載置床A2、A3を支承することで、載置床A2、A3のスムーズな前後スライドができるようになっている。
【0028】
載置床A2、A3の後端には、油圧シリンダA20、A30が、伸縮方向を前後方向として連結されており、この油圧シリンダA20、A30の伸縮動によって、載置床A2、A3を前後スライドさせるようになっている。
【0029】
また、載置床A2、A3の後方の一部が、後方の側壁A4の下部に設けられた隙間A12から外部へ露出させたスライド連結部A21、A31としており、このスライド連結部A21、A31の後端と架台A9とにわたるように、油圧シリンダA20、A30が連結されている。
【0030】
スライド連結部A21、A31は、載置床A2、A3のスライド中において、常に、側壁A4から露出する前後長さを有するものである。
【0031】
油圧シリンダA20、A30は、互い違いに伸縮するように設定されており、この互い違いの伸縮に伴って、載置床A2、A3が互い違いに前後スライドするようにされている。
【0032】
前方の側壁A5の下端には、側壁A4の左右方向の全域にわたるように排出口A11が開口されており、この排出口A11の前方に、排出されたバイオマス燃料Bを受け止めると共に、受け止めたバイオマス燃料Bを燃焼装置1に搬送する搬送部6Bの一部を構成する搬送オーガ60Bが接続されている。
【0033】
右側の側壁A6には、搬入口A10が開口されており、この搬入口A10に搬送部6Aが接続され、搬送部6Aで搬送されるバイオマス燃料Bを貯蔵部A1内に搬入するようにされている。
【0034】
載置床A2、A3の載置面Cには、スライド方向の全長にわたり、スライド方向に沿って交互に並ぶ凹凸部C1、C2が形成されており、この凹凸部C1、C2は、載置床A2、A3のスライド中において、常に貯蔵部A1内に位置する範囲に形成されている。
【0035】
凹凸部C1、C2は、
図3、
図4に示すように、後方から前方へ向かって厚みが厚くなる(上方向)ように形成された傾斜面部C10と、この傾斜面部C10の頂点部から前方側の傾斜面部C10の最下部に向かって、垂直状に形成された垂直面部C11とからなる形状(
図2において、側面視直角三角形とする鋸刃形状)にされている。
【0036】
このような凹凸部C1、C2によると、載置床A2、A3の前後スライドによる振動で、載置面に載置されたバイオマス燃料Bに含まれる塊部分を崩して細かくすることができると共に、含まれる水分による固形化を防止することができる。
【0037】
また、載置されたバイオマス燃料Bは、載置床A2、A3の前後スライドによる振動で、を、凹部C2から傾斜面部C10を上ると共に、凸部C1を乗り越えて前方の凹部C2に移動する。
【0038】
傾斜面部C10は、10%〜20%程度の勾配とする緩やかな斜面で形成されており、バイオマス燃料Bが上り易いようになっている。また、載置床A2、A3の前後スライドによる振動時に、垂直面部C11がバイオマス燃料Bを前方(傾斜面部C10方向)に押し出して前方へ移動させることができるようになっている。
【0039】
以上の構成とする燃料貯蔵タンクAによると、残留水分によって粉状のバイオマス燃料B同士が凝集されて固形化された部分(塊部分)を、載置床A2、A3の前後スライドによる振動と、載置面に形成された凹凸部C1、C2によって崩して、細かい粉状のバイオマス燃料Bにすることができる。
【0040】
また、同時に、バイオマス燃料Bの塊部分を崩しながら、このバイオマス燃料Bを徐々に排出口A10へ向けて移動させ、排出口A10から搬送オーガに排出することができる。
【0041】
更に、塊部分を崩しながら徐々に移動させる道中において、バイオマス燃料Bの残留水分を飛ばすことができる。
【0042】
したがって、燃焼装置1に供給されたバイオマス燃料Bの燃焼効率を上げることができると共に、燃焼装置1での不完全燃焼の発生を抑制することができる。
【0043】
例示した実施形態では、左右で並列状に二つに分割した載置床A2、A3を備えた形態としているが、本発明では、載置床の分割数は二つに限るものではなく、また、分割されない一つのものとしてもよい。
【0044】
また、凹凸部C1、C2の凹凸形状は、例示したような直角三角形の鋸刃形状に限らず、側面視において直角二等辺三角形や波形等の形状としてもよい。
【0045】
また、凹凸部C1、C2が形成されていない載置面Cとして、載置床A2、A3の前後スライドによる振動のみで、バイオマス燃料Bに含まれる塊部分を崩して、細かい粉状のバイオマス燃料Bにすることもできる。
【0046】
また、本発明の燃料貯蔵タンクAは、例示したように再利用システムSの構成部材の一つとして使用するものに限らない。