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特開2017-43074管ライニング材、管ライニング材の製造方法及び管ライニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-43074(P2017-43074A)
(43)【公開日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】管ライニング材、管ライニング材の製造方法及び管ライニング方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/34 20060101AFI20170210BHJP
   F16L 58/04 20060101ALI20170210BHJP
   F16L 55/162 20060101ALI20170210BHJP
   F16L 1/00 20060101ALN20170210BHJP
【FI】
   B29C63/34
   F16L58/04
   F16L55/162
   F16L1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-169757(P2015-169757)
(22)【出願日】2015年8月28日
(71)【出願人】
【識別番号】591240951
【氏名又は名称】有限会社横島
(71)【出願人】
【識別番号】515237588
【氏名又は名称】ワイオー・ラボ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515237599
【氏名又は名称】株式会社アムダー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横 島 康 弘
(72)【発明者】
【氏名】西 光 敏 幸
【テーマコード(参考)】
3H024
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
3H024EA01
3H024EC15
3H025EB21
4F211AD16
4F211AD20
4F211AG08
4F211AH43
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD01
4F211SD04
4F211SD11
4F211SD18
4F211SD19
4F211SP12
(57)【要約】
【課題】帯状不織布の両端部の結合を確実且つ簡単に行うことができ、しかも良好な強度を保持することができ、複雑な機械設備を不要とした管ライニング材を提供する。
【解決手段】管ライニング材1は、帯状不織布2の両端部を重ね合わせて形成した管状体6の重ね合わせ部5と重ね合わせ部5に対面した対面部7とがニードルパンチ加工によって結合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状不織布の両端部を重ね合わせて形成した管状体の前記重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とがニードルパンチ加工によって結合していることを特徴とする管ライニング材。
【請求項2】
帯状不織布の両端部を重ね合わせて形成した管状体の前記重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合した内側部材と、
前記内側部材を別の帯状不織布で管状に包んだ状態で帯状不織布の両端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合した外側部材とを備え、
前記内側部材のニードル結合部と前記外側部材のニードル結合部とがオフセットした位置となっていることを特徴とする管ライニング材。
【請求項3】
前記ニードルパンチ加工によって結合したニードル結合部が前記管状体を広げることにより解除されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材。
【請求項4】
前記帯状不織布の両端部に斜めにカットされたテーパ部が形成され、前記テーパ部が重ね合わせ部となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管ライニング材。
【請求項5】
帯状不織布の両端部を重ね合わせて管状体を形成し、前記管状体の重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させることを特徴とする管ライニング材の製造方法。
【請求項6】
前記管状体の内部に管状チューブを挿入し、前記管状チューブ内に流体圧を作用させて前記ニードルパンチ加工によって結合したニードル結合部を解除することを特徴とする請求項5記載の管ライニング材の製造方法。
【請求項7】
前記管状体の内部に液状の熱硬化性樹脂を注入して前記帯状不織布に熱硬化性樹脂を含浸させると共に、前記液状の熱硬化性樹脂によって前記管状体を拡径して前記ニードル結合部を解除することを特徴とする請求項5記載の管ライニング材の製造方法。
【請求項8】
帯状不織布の両端部を重ね合わせて管状体を形成し、前記管状体の重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させて内側部材を形成し、
その後、前記内側部材を別の帯状不織布で管状に包んだ状態で帯状不織布の両端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部が前記内側部材の重ね合わせ部とオフセットした位置とし、このオフセット位置で重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させて外側部材を形成することを特徴とする管ライニング材の製造方法。
【請求項9】
前記帯状不織布の両端部を斜めにカットしてテーパ部を形成し、前記テーパ部を重ね合わせて重ね合わせ部とすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の管ライニング材の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管ライニング材の外面をプラスチックシートで気密状に覆い、前記帯状不織布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後、既設管路内に挿入し、流体圧によって既設管路の内壁面に密着させ、この状態で前記熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする管ライニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した既設管を修復するために用いる管ライニング材とその製造方法及び管ライニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した農業用水路、水道管、下水管、ガス管等の管路の修復には、従来より管ライニング材が用いられている。管ライニング材は帯状の不織布を管状に成形することにより作製されるものであり、この管ライニング材を修復が必要な既設管路内に挿入し、流体圧によって管ライニング材を既設管路の内壁に押し付け、この押し付け状態で不織布に含浸している熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより既設管路の内面にパイプ状の樹脂硬化物を形成して管路の延命を図っている。
【0003】
特許文献1〜4には、従来の管ライニング材が記載されている。これらの公報は、いずれも帯状不織布の両端部を横並び状に揃えることにより管状体とし、揃えられた両端部を長さ方向に沿って縫合したり、溶着、接着、ニードル結合することにより管ライニング材とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−235736号公報
【特許文献2】特開平4−59227号公報
【特許文献3】特表昭56−501355号公報
【特許文献4】特開昭48−24468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に記載されるように、帯状不織布の両端部を横並び状に揃えた状態で縫合して管状に加工する方法では、縫合部分が弱点となる。ライニングの施工では、管ライニング材を加圧して管状に拡径するため、縫合部分が開いた状態となり、この状態で硬化させると、開いた縫合部分には不織布がなく縫合糸だけとなるため、極部的な強度低下が発生するばかりでなく、硬化した管状体全体の強度低下となる。このため、不織布の両端部を縫合した後、縫合部分にリボン状の補強用不織布を貼り付ける必要がある。このため、管ライニング材の製造が面倒となる問題を有している。
【0006】
一方、縫合ではなく溶着、接着、ニードル結合等による結合を行う場合、帯状不織布の両端部を横並び状に揃えて管状にする揃え工程と、揃えた両端部を結合させる結合工程とを同時に進行させる必要がある。このため、作業者に熟練さが要求される問題がある。作業者による人力ではなく機械によって行う場合であっても、揃え工程と結合工程とを同時に進行させるためには複雑な機械設備が必要となる問題がある。又、径が300mmを超える管状体の作製では、重量が大きくなり、それなりに大型化した機械設備が必要となっている。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、帯状不織布の両端部の結合を確実且つ簡単に行うことができ、しかも良好な強度を保持することができ、複雑な機械設備を不要とした管ライニング材及び管ライニング材の製造方法並びに管ライニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の管ライニング材は、帯状不織布の両端部を重ね合わせて形成した管状体の前記重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とがニードルパンチ加工によって結合していることを特徴とする。
【0009】
又、本発明の管ライニング材は、帯状不織布の両端部を重ね合わせて形成した管状体の前記重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合した内側部材と、前記内側部材を別の帯状不織布で管状に包んだ状態で帯状不織布の両端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合した外側部材とを備え、前記内側部材のニードル結合部と前記外側部材のニードル結合部とがオフセットした位置となっていることを特徴とする。
【0010】
この場合、前記ニードルパンチ加工によって結合したニードル結合部が前記管状体を広げることにより解除されているが好ましい。
【0011】
又、前記帯状不織布の両端部に斜めにカットされたテーパ部が形成され、前記テーパ部が重ね合わせ部となっていることが好ましい。
【0012】
本発明の管ライニング材の製造方法は、帯状不織布の両端部を重ね合わせて管状体を形成し、前記管状体の重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記管状体の内部に管状チューブを挿入し、前記管状チューブ内に流体圧を作用させて前記ニードルパンチ加工によって結合したニードル結合部を解除することが好ましい。
又、前記管状体の内部に液状の熱硬化性樹脂を注入して前記帯状不織布に熱硬化性樹脂を含浸させると共に、前記液状の熱硬化性樹脂によって前記管状体を拡径して前記ニードル結合部を解除することが好ましい。
【0014】
本発明の管ライニング材の製造方法は、帯状不織布の両端部を重ね合わせて管状体を形成し、前記管状体の重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させて内側部材を形成し、その後、前記内側部材を別の帯状不織布で管状に包んだ状態で帯状不織布の両端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部が前記内側部材の重ね合わせ部とオフセットした位置とし、このオフセット位置で重ね合わせ部と重ね合わせ部に対面した対面部とをニードルパンチ加工によって結合させて外側部材を形成することを特徴とする。
【0015】
この場合、前記帯状不織布の両端部を斜めにカットしてテーパ部を形成し、前記テーパ部を重ね合わせて重ね合わせ部とすることが好ましい。
【0016】
本発明の管ライニング方法は、以上の管ライニング材の外面をプラスチックシートで気密状に覆い、帯状不織布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後、既設管路内に挿入し、流体圧によって既設管路の内壁面に密着させ、この状態で熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、帯状不織布の両端部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、この重ね合わせ部をニードルパンチ加工によって結合するため、重ね合わせ部が開くことがなく、両端部の結合を確実且つ簡単に行うことができ、しかも強度を保持することができる。又、帯状不織布の両端部の重ね合わせ部と対面部とをニードルパンチ加工するため、両端部の重ね合わせと重ね合わせ部のニードル結合とを同時に進行させる必要がなくなる。このため、機械設備を簡単とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の管ライニング材を示す断面図である。
図2】(A)〜(C)は管ライニング材の製造を工程順に示す断面図である。
図3】ニードルパンチ加工に用いるニードルの一例を示す側面図である。
図4】第1実施形態の別例の管ライニング材を示す断面図である。
図5】管状チューブによってニードル結合部を解除する状態を示す断面図である。
図6】ニードル結合部を解除する状態を示す断面図である。
図7】本発明の第2実施形態の管ライニング材を示す断面図である。
図8】本発明の第3実施形態の管ライニング材を示す部分破断斜視図である。
図9】本発明の第4実施形態の管ライニング材を示す部分破断斜視図である。
図10】本発明の第5実施形態の管ライニング材を示す部分破断斜視図である。
図11】補強材を用いた形態の管ライニング材を示す断面図である。
図12】本発明の第6実施形態の管ライニング材を製造する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1図4は、本発明の第1実施形態を示す。図1はこの実施形態の管ライニング材1を示し、帯状不織布2の両端部を重ね合わせることにより管状体6が形成され、この管状体6における両端部の重ね合わせ部5をニードルパンチ結合させることにより管ライニング材1が形成されている。
【0020】
帯状不織布2はプラスチックファイバー、ガラスファイバー等のファイバー(糸)をニードルパンチ加工することにより帯状に作製される。目付(1m当たりの重さ)は100g/m〜2500g/mであり、厚さは0.5mm〜10mm程度、幅は500mm〜2200mm程度で作製される。幅は管ライニング材1のサイズに合わせて設定されるものである。なお、帯状不織布2としては、プラスチックファイバー織布・ガラスマット・ガラスクロス・カーボンクロス・ガラス繊維織布等とニードルによって複合された1層の帯状不織布を用いることもできる。
【0021】
図2は管ライニング材1の製造を工程順に示している。帯状不織布2における本体部3の厚さが3.0mm以上の場合、(A)で示すように、幅方向の両端部を斜めにカットしてテーパ部4を形成する。斜めカットは例えば、ベルトカッター皮剥機を用いることができる。このようなテーパ部4を形成することにより管ライニング材1の外面に凹凸部分がなくなるため、既設管路への密着性を向上させることができる。
【0022】
(B)は帯状不織布2の両端部(テーパ部4)を重ね合わせることにより管状体6とした状態を示す。管状体6は円形ではなく、フラットな長円形状となるように両端部(テーパ部4)が折り畳まれて重ねられる。この場合、両端部(テーパ部4)が上部に位置するように重ね合わせられる。符号5は両端部の重ね合わせ部である。なお、重ね合わせの際には、図示を省略するが、針と糸、ホットメルト接着剤、アップリングパンチャー等によって重ね合わせ部5をスポット的に仮止めすることが好ましい。これに限らず、不織布・織布又は織布/不織布複合体からなるリボンテープを重ね合わせ部5に接着又は溶着することにより仮止めしても良い。符号7は重ね合わせ部5と対面した対面部であり、この実施形態では、重ね合わせ部5及び対面部7にかけてニードルパンチ加工を行う。
【0023】
(C)はニードルパンチ加工を示す。重ね合わせ部5が上部に位置するように管状体6をパンチング台10上に載置してセットする。符号11はニードル8を複数本取り付けたニードル板であり、このニードル板11を下降させてニードル8を重ね合わせ部5に突き刺す。ニードル8は重ね合わせ部5と対面した対面部7まで突き刺さるようにニードル板11が下降する。例えば、ニードル8は3〜20mm程度の深さまで突き刺さるようにニードル板11が下降する。このときのニードル8のパンチング速度は100〜3000回/分の間でコントロールされる。
【0024】
図3はニードルパンチ加工に用いるニードル8の一例を示し、太さ(d)が0.8mm以下で長さが100mm以下のものが好ましい。図示したニードル8は本体部8aに複数の刺部8bが形成されているが、刺部8bを省略したニードル8であっても良い。
【0025】
図4は厚さが3.0mm以下の場合の帯状不織布2によって作製された管ライニング材1を示す。帯状不織布2が厚くないため、帯状不織布2の両端部を斜めにカットすることなく、そのままの厚さの両端部を重ね合わせて重ね合わせ部5を形成する。この重ね合わせ部5及び重ね合わせ部5と対面した対面部7に対し、ニードルパンチ加工を行うことによりニードル8を重ね合わせ部5及び対面部7に突き刺して管ライニング材1を作製する。
【0026】
図11図1で作製した管ライニング材1に対し、補強材17を設けた形態を示す。補強材17はニードル8の突き刺し部分の上部を覆うように配置されており、これにより重ね合わせ部5に補強材17がオーバーラップするため、強力に結合させることができる。かかる補強材17は重ね合わせ部5と同時にニードルパンチ加工することにより配置しても良い。
【0027】
以上の手順により、帯状不織布2の両端部が結合して管状樹脂吸着材としての管状体6が作製される。管状樹脂吸着材としての管状体6のサイズは径が75mm〜2500mmの範囲で適宜選定することができる。
【0028】
帯状不織布2の両端部がニードルパンチ加工によって結合したニードル結合部12は、帯状不織布2の重ね合わせ部5とこれと対面する対面部7とに糸が絡まって結合した状態となっている。この状態では管状体6が管状に広がることができず、管ライニング材1として機能させることができない。このため、ニードル結合部12の結合を解除する必要がある。図5及び図6はこの解除操作を示す。
【0029】
図5においては、管状体6の内部に気密性の高い管状チューブ13を挿入し、管状チューブ13に流体圧を供給して膨らませることにより結合状態を解除している。図6においては、管状体6の外面を気密性の高い管状フィルム(管状チューブ)14によって覆うことにより管ライニング材1を作製し、この管ライニング材1を反転させた後、管状フィルム14内に流体圧を供給してニードル結合部12を解除する。これらの操作により、管状体6を管ライニング材として機能させることができる。
【0030】
(第2実施形態)
図7は本発明の第2実施形態を示す。この実施形態の管ライニング材(管状樹脂吸着材)1は、外側部材21の内部に内側部材22が配置された多層構造となっており、外側部材21及び内側部材22はいずれも管状に形成される。外側部材21及び内側部材22はいずれも帯状不織布2が用いられる。この帯状不織布2の両端部を重ね合わせて重ね合わせ部5を形成し、この重ね合わせ部5と重ね合わせ部5と対面した対面部7とをニードルパンチ加工によって結合させることにより作製される。重ね合わせ部5は第1実施形態と同様に斜めにカットされたテーパ部4となっている。
【0031】
多層構造の管ライニング材1においては、外側部材21のニードル結合部12と内側部材22のニードル結合部12とがオフセットしたずれた位置となっており、ニードル結合部12が重ならないようになっている。
【0032】
以下、図7に示す管ライニング材1の製造を説明する。まず、内側部材22を第1実施形態と同様にして作製する。以下、符号を図1に習って説明する。すなわち、帯状不織布2の両端部(テーパ部4)を重ね合わせて管状体6を形成し、この管状体6の重ね合わせ部5と重ね合わせ部5と対面した対面部7とをニードルパンチ加工によって結合させてニードル結合部12を形成することにより内側部材22を作製する。
【0033】
次に、内側部材を別の帯状不織布2で管状に包み、別の帯状不織布2の両端部(テーパ部4)を重ね合わせる。この重ね合わせ部5は内側部材22の重ね合わせ部5とオフセットした位置となるように調整する。そして、重ね合わせ部5と重ね合わせ部5と対面した対面部7とをニードルパンチ加工によって結合させてニードル結合部12を形成することにより外側部材21を作製する。
【0034】
このような多層構造の管ライニング材1においては、その板厚を調整することができるため、厚さが10mm以上必要な場合に対しても好適に適用することができる。
【0035】
(第3実施形態)
図8は本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態及び後述する第4実施形態(図9)、第5実施形態(図10)では、既設管路(図示省略)に対して適用される管ライニング材31、41、51を説明する。これらの管ライニング材31、41、51においては、管状体6の外面をプラスチックシート32、42、52で気密状に覆い、管状体6を構成する帯状不織布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂等を使用することができる。そして、この状態で既設管路に対しての適用が行われる。
【0036】
第3実施形態の管ライニング材31においては、プラスチックシートとしてプラスチックフィルムコーティングフェルト32を用いている。このプラスチックフィルムコーティングフェルト32によって管状体6の外表面を包み、同フェルト32の両端部34を縫合して結合させることにより縫合部33を形成する。縫合部33を気密状にシールした後、上述した液状の熱硬化性樹脂を含浸させる。そして、この状態で流体圧を作用させて既設管路内に反転挿入させ、既設管路の内壁面に密着させる。その後、含浸させた熱硬化性樹脂を硬化して既設管路を修復する。
【0037】
(第4実施形態)
図9は本発明の第4実施形態を示す。この実施形態の管ライニング材41では、プラスチックシートとして管状のプラスチックチューブ42を用いている。
【0038】
この実施形態では、管状のプラスチックチューブ42内に管状体6を挿入し、この挿入の後、プラスチックチューブ42内を減圧して負圧にする。この状態で外部を加熱してプラスチックチューブ42を管状体6に外面に密着させて管ライニング材41を形成する。そして、管状体6の帯状不織布2に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後、既設管路内に引き込んで既設管路内に管ライニング材42を配置する。その後、別の管ライニング材を反転挿入し、加圧して2つの管ライニング材を合わせた状態として既設管路の内壁面に押圧させて密着させ、熱硬化性樹脂を硬化する。これにより既設管路を修復することができる。
【0039】
(第5実施形態)
図10は本発明の第5実施形態を示す。この実施形態の管ライニング材51はプラスチックシートとしてプラスチックチューブ52を用いている。
【0040】
この実施形態では、管状体6を拡径させることにより管状体6の対面部7からニードル8を退避させて重ね合わせ部5と対面部7との結合を解除する。そして、この管状体6をプラスチックチューブ52内に挿入した後、管状体6の内部に別のプラスチックチューブ(図示省略)を反転挿入する。内部に挿入したプラスチックチューブを加圧して拡径した状態で外側のプラスチックチューブ52と管状体6の間を減圧してプラスチックチューブ52を管状体6に密着させ、この密着状態でプラスチックチューブ52を加熱して同チューブ52を管状体6の外面に溶着させる。図10はこの状態を示している。
【0041】
その後、管状体6の帯状不織布に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、この状態で既設管路内に反転挿入する。既設管路内への反転挿入の後、加圧することにより既設管路の内壁面に密着させ、この状態で加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより既設管路を修復することができる。
【0042】
(第6実施形態)
図12は本発明の第6実施形態を示す。この実施形態では、液状の熱硬化性樹脂を利用してニードル結合部の解除を行う形態について説明する。
【0043】
まず、第1実施形態と同様に帯状不織布2の両端部の重ね合わせ部5及び重ね合わせ部5の対面部7に対しニードルパンチ加工を行うことによりニードル8によってニードル結合部12を形成して管状体6を作成する。この管状体6を管状のプラスチックチューブ42内に挿入した後、管状体6の一端側から液状の熱硬化性樹脂61を内部に注入する。
【0044】
図12はこの状態を示し、プラスチックチューブ42で覆われている管状体6の一端側に注入ノズル62を臨ませる。又、注入ノズル62と反対側の管状体6の他端部には、プラスチックチューブ42を貫通するバキュームパッド63を連結する。バキュームチューブ63はバキュームポンプ64に接続されており、バキュームポンプ64によって管状体6の内部の空気を抜いて内部を負圧にする。一方、注入ノズル62から規定量の液状の熱硬化性樹脂61を注入する。
【0045】
注入された液状の熱硬化性樹脂61は帯状不織布2に均一に含浸されながら管状体6の内部に流入するため、管状体6には熱硬化性樹脂61が含浸した含浸部55が形成される。このとき液状の熱硬化性樹脂61は含浸部55から徐々に未含浸部57に移動する。含浸部55と未含浸部57の境では、負圧の作用で未含浸部57は閉じているが、含浸部55では閉じる作用が消失しており、液状の熱硬化性樹脂61が管状体6を拡径させるように作用する。これにより液状の熱硬化性樹脂61がニードル結合部12を解除するように作用する。このとき未含浸部57には、負圧が作用しているため、熱硬化性樹脂61の含浸が進行しない限り管状体6は閉じ状態を維持する。これにより液状の熱硬化性樹脂61の含浸とニードル結合部12の解除とを均一に進行させることができる。以上のような熱硬化性樹脂61の含浸とニードル結合部12の解除とを良好に進行させるためには、例えば、未含浸部57の負圧が0.03MPa以上、熱硬化性樹脂61の粘度が7dpa・s程度に選択される。
【0046】
以上説明したように、本発明によれば、帯状不織布2の両端部を重ね合わせニードルパンチによって重ね合わせ部5を結合しているため、重ね合わせ部5が開くことがなく、両端部の結合を確実且つ簡単に行うことができ、しかも強度を保持することができる。又、帯状不織布2の両端部の重ね合わせ部5と対面部7とをニードルパンチ加工するため、両端部の重ね合わせと重ね合わせ部5のニードル結合とを同時に進行させる必要がなくなる。このため、機械設備を簡単とすることができる。この場合、重ね合わせ部5と対面部7との結合は簡単に解除することができるため、管ライニング材の機能を損なうことはない
【符号の説明】
【0047】
1 31 41 51 管ライニング材
2 帯状不織布
4 テーパ部
5 重ね合わせ部
6 管状体
7 対面部
8 ニードル
12 ニードル結合部
13 管状チューブ
14 管状フィルム
21 外側部材
22 内側部材
32 プラスチックフィルムコーティングフェルト(プラスチックシート)
42 52 プラスチックチューブ(プラスチックシート)
61 熱硬化性樹脂
図1
図2
図3
図4
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図12