【解決手段】本発明の二日酔い予防又は改善剤は、レモングラスを含有する。二日酔い予防又は改善剤はアミノ酸類、糖類、人工甘味料及び機能性素材から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。アミノ酸類としては、各種アミノ酸並びにその水和物、塩、及び誘導体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、糖類は、単糖、ニ糖、三糖以上のオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、機能性素材が葛の花、ウコン及び乳酸菌から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。二日酔い予防又は改善剤がブドウ糖及び/又は塩化ナトリウムを含有することも好ましい。
アミノ酸類がアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、シスチン、システイン、ヒドロキシプロリン、シトルリン並びにこれらの水和物、塩、及び誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、
糖類がグルコース、麦芽糖、還元麦芽糖、イソマルトオリゴ糖、スクロース、フルクトース、ラクトース、スクラロース及びステビアから選ばれる少なくとも1種であり、
人工甘味料がアセスルファムKであり、
機能性素材が葛の花、ウコン及び乳酸菌から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の二日酔いの予防又は改善剤。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を挙げて本発明の剤を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では特に断らない限り、「本発明の剤」という場合、二日酔いの予防又は改善剤、肝機能改善剤、組成物の何れにも該当するものとする。
【0013】
(レモングラス)
本発明で使用するレモングラスの部位としては、葉、茎、花、果実、種子、根茎及び根が挙げられ、葉、茎、花、果実又は種子等、地上部を利用することが好ましい。特に好ましくは、葉及び/又は茎を利用し、とりわけ好ましくは葉及び茎を利用する。
【0014】
本発明の剤は、レモングラスとして、生のレモングラスの植物体を用いてもよく、レモングラスの加工物を用いてもよい。そのような加工物としては、例えば、レモングラスの粉砕物、細片化物、抽出物、搾汁物、乾燥物等が挙げられる。これらは1種のみでもよく、2種以上を組み合わせてもよい。本発明の剤に含まれるレモングラスの形態としては固形状であってもよく液状又は流動状であってもよい。固形状のレモングラスとしては粉末状、顆粒状、塊状、乾燥固体、の何れの形態であってもよい。
【0015】
粉砕物としては、生のレモングラスの植物体又はそれに乾燥、細片化、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施して得られた加工物に粉砕処理を施して得られたものが挙げられる。粉砕後に乾燥、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施したものであってもよい。例えばレモングラスを粉砕及び乾燥処理してなる乾燥粉末等は、後述する乾燥物であり且つ粉砕物でもある。
【0016】
細片化物としては、生のレモングラスの植物体又はそれに乾燥、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施して得られた加工物に細片化処理を施して得られたものが挙げられる。細片化後に乾燥、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施したものであってもよい。なお前述する粉砕物は、おおむね60メッシュを通過するものをいい、細片化物はおおむね60メッシュを通過せず、長さ10mm以下のものが挙げられる。
【0017】
抽出物としては、生のレモングラスの植物体又はそれに粉砕、細片化、加熱、殺菌、搾汁等から選ばれる加工処理を施して得られた加工物に抽出処理を施して得られたものが挙げられる。抽出後に加熱、殺菌、濃縮、精製、乾燥等から選ばれる加工処理を施したものであってもよい。
【0018】
搾汁物としては、生のレモングラスの植物体又はそれに粉砕、細片化、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施して得られた加工物に搾汁処理を施して得られたものが挙げられる。搾汁後に乾燥、加熱、殺菌、精製、濃縮等から選ばれる加工処理を施したものであってもよい。
【0019】
乾燥物としては、生のレモングラスの植物体又はそれに粉砕、細片化、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施して得られた加工物に乾燥処理を施して得られたものが挙げられる。乾燥後に粉砕、細片化、加熱、殺菌等から選ばれる加工処理を施したものであってもよい。
【0020】
なお抽出処理を経たものは抽出物に含まれ、粉砕物、細片化物、乾燥物に含まないこととする。
【0021】
粉砕処理としては、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼等を用いて当業者が通常使用する任意の方法により粉砕する処理が挙げられる。粉砕されたレモングラスは必要に応じて篩にかけられる。
【0022】
乾燥処理としては、乾燥後の水分含量が30質量%以下、特に20質量%以下となるように乾燥する処理であることが、風味が良く、色鮮やかな乾燥物が得られるため好ましい。この乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥等の当業者に公知の任意の方法により行われ得る。また乾燥処理には焙煎処理も含まれる。
【0023】
細片化処理としては、レモングラスの植物体をスライス、破砕、切断、細断、スラリー化等する処理であり、当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。
【0024】
搾汁処理としては、生のレモングラス又はその加工物を圧搾するか、又は、レモングラスの細片化物を遠心又は濾過する方法を挙げることができる。代表的な例としては、ミキサー、ジューサー等の機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過等の手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法があげられ、具体的には、特開平08−245408号公報や特開平09−047252号公報に記載の方法が挙げられる。
【0025】
また、抽出処理としては、当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出する方法を挙げることができる。抽出処理における抽出溶媒としては極性溶媒が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらのうち、水、メタノール、エタノールが好ましい。なお、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。抽出処理は溶媒1000mlに対して、レモングラスを乾燥質量で0.5g以上20g以下投入して行うことが好ましく、1g以上10g以下投入して行うことがより好ましい。
【0026】
抽出溶媒として水を使用する場合には、有効成分の抽出効率の観点から、抽出温度80℃以上、好ましくは85℃以上で行うことが好ましい。抽出時間は1分以上20分以下が好ましく、3分以上10分以下がより好ましい。
【0027】
極性溶媒にて抽出する場合、その抽出方法は特に限定されず、例えば、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出等任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。抽出物は、必要に応じて濃縮してもよい。
【0028】
加熱処理とは、レモングラスの茎葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、加熱処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理等が挙げられる。殺菌処理とは、通常、温度・圧力・電磁波・薬剤等を用いて物理的・化学的に微生物細胞を殺滅させる処理である。
【0029】
本発明では、レモングラスとして、レモングラスの加工物を用いることが好ましく、レモングラスの乾燥物、粉砕物、細片化物又は抽出物から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、乾燥物又はその抽出物を用いるか、粉砕物、細片化物又は抽出物を用いることが好ましい。特に、乾燥物又はその抽出物として、乾燥状態の粉砕物若しくは細片化物又はこれらの抽出物を用いることが好ましい。乾燥状態の粉砕物としては乾燥粉末が挙げられ、乾燥状態の細片化物は茶葉として販売されている市販品を含む。なお、本発明では、レモングラスの加工物として、発酵処理を経た加工物を用いてもよく、発酵処理を経ていない加工物を用いてもよい。その場合の発酵処理としては、具体的には液状態やスラリー状態のレモングラスに対して乳酸菌、酵母菌、麹菌などを処理するものが挙げられる。
【0030】
本発明の剤は、上記レモングラス以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような成分としては、種々の賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤等を挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の剤の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0031】
特に本発明の剤は、アミノ酸類、糖類、人工甘味料及び機能性素材から選ばれる少なくとも1種を含有すると、後述する実施例の記載から示される通り、レモングラスと組み合わせて用いることで肝細胞を相乗的に活性化させることができる。このような本発明の剤は、肝機能を強化でき、二日酔いの予防又は改善を効率よく図ることができるため好ましい。
【0032】
アミノ酸類としてはアミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物が挙げられる。アミノ酸類の例としては、人体等の動物の体のたんぱく質に残基として含まれるアミノ酸、及びたんぱく質に含まれないが天然に存在するアミノ酸の両方が挙げられる。たんぱく質に残基として含まれるアミノ酸としては、たんぱく質合成時に遺伝情報として連結されるアミノ酸、及び、たんぱく質合成後の修飾により残基としてたんぱく質内に含まれることとなるアミノ酸が挙げられる。たんぱく質合成時に遺伝情報として連結されるアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、システイン、バリン等が挙げられる。またたんぱく質合成後の修飾により残基としてたんぱく質内に含まれることとなるアミノ酸としては、シスチン、ヒドロキシプロリン等が挙げられる。更に、たんぱく質に含まれないが天然に存在するアミノ酸としては、シトルリン、オルニチン、クレアチン等が挙げられる。本明細書中、アミノ酸とはアミノ酸の水和物、塩又は誘導体を含むものである。塩としては、塩酸塩やナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、セシウム塩、またはカルシウム塩が挙げられる。誘導体としては、アミノ酸中の水素原子がアシル基で置換されたものや HYPERLINK "http://nomenclator.la.coocan.jp/chem/text/amino.htm" \l "amide" アミドで置換されたものが挙げられる。アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、システイン、シスチン、ヒドロキシプロリン及びシトルリン並びにこれらの水和物、塩又は誘導体から選ばれる少なくとも1種であることが、レモングラスと組み合わせた場合の肝機能向上及び二日酔い予防及び改善効果が高い点から好ましい。アミノ酸類は、アミノ酸を含有する天然素材から抽出等の手法を用いて入手してもよく、工業的に製造されたアミノ酸を用いてもよい。本発明の剤としては、アミノ酸を添加して得た剤を挙げることができ、例えば、通常の食品と比してアミノ酸含有量を増加させた剤や、アミノ酸を通常含まない食品に対して該アミノ酸を添加した食品が含まれる。
【0033】
糖類としては、単糖、2糖、3糖以上のオリゴ糖、及び糖アルコールその他の糖誘導体が挙げられる。単糖としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、フコース等が挙げられる。2糖としては、マルトース、スクロース、ラクトース等が挙げられる。3糖以上のオリゴ糖としては、3糖以上10糖以下のオリゴ糖が挙げられ、例えば、3糖ないし10糖のマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ビートオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖等が挙げられる。糖アルコールとしては、これらの単糖、2糖又はオリゴ糖を工業的に還元処理して得られるものが挙げられ、例えば、マルチトール(還元麦芽糖)、ラクチトール、還元イソマルツロース、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。糖の誘導体としては、甘味料として用いられているものが挙げられ、その例としては、ショ糖のヒドロキシル基を塩素で置換したスクラロースや、いわゆるステビアと呼ばれるステビオールを疎水性アグリコンとする配糖体等が挙げられる。なお前記の配糖体には、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、ズルコサイド並びに、これらに1又は2以上の単糖を付加した構造のものがあげられ、市販品としては、日本製紙製のSKスイートシリーズとして上市されているものが挙げられる。
【0034】
また人工甘味料としては、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。
【0035】
機能性素材としては、肝機能向上作用を有する葛花、ウコン等や菌類として乳酸菌等が挙げられる。
【0036】
葛花としては、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii )、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)等を例示でき、これら1種又は2種以上を混合して用いることができる。葛花としては、具体的にはこれらの生花、葛花に加工を施した処理物等が挙げられる。葛花は蕾から全開した花までの段階で採取した花を含む。特に、蕾を用いることが好ましい。ウコンとしては、ショウガ科ウコン属植物のククルマ・ドメスティカ・バル(Curcuma domestica Val)の処理物を用いることができる。ここでこれら植物体の処理物としては、乾燥物や抽出物が挙げられる。乾燥物とは、上記植物体を乾燥して得られたもの、植物体を乾燥後破砕して得られた乾燥粉末等をいう。抽出物とは、植物体の搾汁、植物体から抽出された抽出液、これらの搾汁又は抽出液を濃縮した濃縮液、これらの搾汁又は抽出液を乾燥して得られる乾燥粉末(抽出物粉末)等をいう。なお、葛花の加工物及び/又はウコンの加工物として、発酵処理を経た加工物を用いてもよく、発酵処理を経ていない加工物を用いてもよい。その場合の発酵処理としては、具体的には液状態やスラリー状態の葛花及び/又はウコンに対して乳酸菌、酵母菌、麹菌などを処理するものが挙げられる。
【0037】
また乳酸菌としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ( Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・サーモフィラス( Streptococcus thermophilus),ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)(エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)と称されることがある)及びバチルス・コアギュランス(Bacillus coagullans)、ペディオコッカス・アシドラクティシ(Pediococcus acidilactici)等が用いられる。これらの乳酸菌は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記乳酸菌の性質としては、特に制限はなく、本発明の剤の剤形や求められる効果のレベル等に応じて適宜選択することができ、例えば、耐熱性、耐酸性、耐糖性、耐塩性、有胞子性等が挙げられる。前記乳酸菌の入手方法としては、特に制限はなく、例えばヨーグルトやマッコリ等の乳酸菌飲料野菜等の食品から単離された乳酸菌や市販品を用いてもよい。乳酸菌は生菌及び死菌の何れであってもよい。
【0038】
更に、本発明は、塩化ナトリウム及びブドウ糖の何れか一方を含有する場合、二日酔い予防又は改善効果を一層効果的に得られるために好ましく、塩化ナトリウム及びブドウ糖の両方を含有することが更に好ましい。またブドウ糖及び/又は塩化ナトリウムを果糖及び/又はアミノ酸類と組み合わせることも好ましい。
【0039】
アミノ酸類、糖類、人工甘味料、機能性素材、塩化ナトリウム又はブドウ糖が本発明の剤に含まれる場合、その形態としては固形状であってもよく液状又は流動状であってもよい。固形状としては粉末状、顆粒状、塊状、乾燥固体、の何れの形態であってもよい。またアミノ酸類、糖類、人工甘味料、機能性素材、塩化ナトリウム及びブドウ糖は、含水液中に溶解又は分散していてもよい。
【0040】
本発明の剤は、必要に応じて、公知の製剤方法によって、各種の剤形に製剤可能であり、剤形としては、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の各形態が挙げられる。これらの中でも、液剤、ドリンク、ジュースの形態が特に好ましい。具体的には、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰め飲料を例示することができる。これらは手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。また本発明の剤を封入するカプセルの素材としてはゼラチン、デンプン、グリセリン等が挙げられる。カプセルのサイズは、長径が8.5mm以上20.0mm以下かつ、短径が6.0mm以上10mm以下のものが一般的である。ソフトカプセルに封入されるレモングラス及び必要に応じて含有される副材料の形態としては、粉末状、粒状、顆粒状、固形状、丸状、液状、ペースト状、ゲル状等が挙げられる。
【0041】
本発明の効果をより高める観点から、本発明の剤は、レモングラスを、乾燥質量として、0.0001質量%以上配合することが望ましく、0.001質量%以上配合することがより望ましく、0.01質量%以上配合することが特に望ましい。好ましい上限としては10質量%以下、より好ましい上限としては5%以下、最も好ましい上限としては2.5%以下である。また例えばレモングラスの粉砕物又は細片化物を含有する場合には、好ましい上限として100質量%以下、より好ましい上限としては90質量%以下を挙げることができる。例えば本発明の剤の形状がソフトカプセルである場合、本発明の剤におけるレモングラスの割合とは、ソフトカプセルの内容物を分母とした場合の割合である。
【0042】
また本発明の剤がアミノ酸類を含有する場合、アミノ酸類を、乾燥質量として、0.001質量%以上3質量%以下配合することが望ましく、0.01質量%以上2質量%以下配合することがより望ましく、0.1質量%以上1質量%以下配合することが特に望ましい。
【0043】
また本発明の剤が糖類を含有する場合、糖類を、乾燥質量として、0.01質量%以上15質量%以下配合することが望ましく、0.1質量%以上10質量%以下配合することがより望ましく、1質量%以上5質量%以下配合することが望ましい。
【0044】
また本発明の剤が人工甘味料を含有する場合、人工甘味料を、乾燥質量として、0.001質量%以上10質量%以下配合することが望ましく、0.01質量%以上5質量%以下配合することがより望ましく、0.1質量%以上2.5質量%以下配合することが特に望ましい。
【0045】
また本発明の剤が機能性素材を含有する場合、機能性素材を、乾燥質量として、0.01質量%以上20質量%以下配合することが望ましい。特に、葛花を含有する場合は、葛花を乾燥質量として、0.01質量%以上20質量%以下配合することがより望ましく、0.1質量%以上10質量%以下配合することが特に望ましい。特に、ウコンを含有する場合は、ウコンを乾燥質量として、0.01質量%以上10質量%以下配合することがより望ましく、0.1質量%以上5質量%以下配合することが特に望ましい。特に、乳酸菌を含有する場合は、乳酸菌を乾燥質量として、0.001質量%以上10質量%以下配合することがより望ましく、0.01質量%以上5質量%以下配合することが特に望ましい。
【0046】
特に本発明の剤がブドウ糖を含有する場合、ブドウ糖を、乾燥質量として、0.01質量%以上15質量%以下配合することがより望ましく、0.1質量%以上10質量%以下配合することが特に望ましい。本発明の剤が塩化ナトリウムを含有する場合、塩化ナトリウムを、乾燥質量として、0.001質量%以上1質量%以下配合することがより望ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下配合することが特に望ましい。塩化ナトリウムとブドウ糖を併用する場合、ブドウ糖100質量部に対し、塩化ナトリウムは0.001質量部以上20質量部以下が好ましく、0.01質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0047】
本発明の剤は、安価で安全に経口摂取でき嗜好性が高いのみならず、後述する実施例の記載から明らかな通り、レモングラスによる高い二日酔い予防又は防止作用を得ることができる。このため、本発明の剤は、各種の二日酔い症状、例えば飲酒に伴う頭痛、だるさ、吐き気、気分の悪さ、下痢、食欲不振、震え、疲労感、口の渇き、眠気、運動能力低下等の予防又は防止剤として有効である。本発明の剤は、前記の各種の二日酔い症状から選ばれる1以上の症状を予防又は改善するために用いることが可能である。特に本発明の剤は、飲酒に伴う頭痛、吐き気、だるさ及び眠気から選ばれる1又は2以上の症状を予防又は改善するのに有用であり、特に、頭痛、吐き気、だるさ及び眠気を予防又は改善するのに有用である。また、本発明の剤は、特に、ブドウ糖及び/又は食塩を含有する場合、頭痛、だるさ、気分の悪さ、下痢、食欲不振、震え、疲労感、口の渇き、吐き気、眠気、運動能力低下の何れに対してもより一層効果的に改善及び予防できる。ここでいう二日酔い症状としては、例えば、飲酒後、酒の酔いが醒めずに現れる症状が挙げられる。本発明の剤の効果は、後述する実施例の記載から明らかな通り、剤の摂取から3時間後には奏され、二日酔い症状の改善、特に早期の改善に特に効果的なものである。本発明の二日酔い予防又は改善作用には後述する実施例に示される肝細胞活性化効果を含めた肝臓機能改善効果が含まれる。本発明の剤は、肝細胞活性化作用を通じて、アルコールや薬物等の代謝の活性化、脂肪肝や肝炎の予防、改善、治療にも有効である。なお、脂肪肝及び肝炎はアルコール性、非アルコール性の何れも対象となりうる。また本発明は、本発明の剤を摂取させる二日酔いの予防又は改善方法(ただし、医療行為を除く)を提供するものであってもよい。
【0048】
本発明の剤は、飲酒後に摂取してもよく、飲酒前に摂取してもよい。本発明の剤は、そのまま摂取するものであってもよく、温水や熱水等で抽出して得られた液を摂取するものであってもよい。例えば、レモングラスの乾燥物を含有する固形剤であって、そのまま摂取する形態であると、特に飲酒後の頭痛及び吐き気の改善効果が高いため好ましい。
【0049】
本発明の二日酔いの予防又は改善方法としては、上記説明した本発明の剤を摂取させることを特徴とするが、医療行為は含まれない。本発明の二日酔いの予防又は改善剤は、飲酒後に睡眠を取り、その後起床してから3時間以内に摂取させることが望ましい。また飲酒後に睡眠を取り、その後起床してから2時間以内に摂取させることが望ましく、飲酒後に睡眠を取り、その後起床してから1時間以内に摂取させる方法がさらに好ましく、飲酒後に睡眠を取り、その後起床してから30分以内に摂取させる方法が特に好ましい。
【0050】
本発明の剤の1回の摂取量は、好ましくは、レモングラスの乾燥質量として1mg以上100,000mg以下であることが好ましく、10mg以上50,000mg以下であることがより好ましい。また、1日の摂取量は、好ましくは、レモングラスの乾燥質量として1mg以上500,000mg以下であることが好ましく、10mg以上100,000mg以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。
【0052】
〔実施例1〕
レモングラスの乾燥状態の細片化物4gを90℃の熱水500gで5分間抽出して濾過した抽出液500gを得た。この抽出液を500ml容量のペットボトル容器に充填し、密封した容器詰め飲料をサンプルとして以下の評価に供した。
【0053】
<評価1>
健常な成人14名(うち男性11名、女性3名、20代5名、30代5名、40代4名)に、午後7時〜最も遅い場合は午前3時にかけて、アルコールとしてビール、日本酒、焼酎、リキュール等個人の好みにおいて選択させ、二日酔いになる量を摂取させた後、睡眠させた。翌日(又は同日)各自起床後(午前5時半〜12時)に、二日酔い症状に関するアンケートに記入させ、その時点での二日酔い症状の程度を評価した。アンケート実施直後に、上記サンプル500gを経口摂取させた。14名についての飲酒終了後からサンプル摂取までの経過時間は何れも14時間以内であった。
【0054】
アンケートでは、最高点を「0:飲酒をしていない平常時と変わらない」、最低点を「−8:これまで経験したことがないような最悪の感覚」として、各項目について、評価点を記入させた。評価項目は、「頭痛」、「吐き気」及び「眠気」の3項目とした。各被験者について「摂取前のアンケートで得られた評価点」によりグループ分けした。具体的には、評価点が−8点以下のものを「非常に悪い」グループ、評価点が−8点より高く−4点より低いものを「悪い」グループ、評価点が0点のものを「変わらない」グループに分けた。なお、全被験者のうち、「非常に悪い」グループ又は「悪い」グループに該当したのは合計で10人前後であった(後述する実施例2及び比較例1でも同様)。
【0055】
アンケート実施から3時間後、各被験者に対して再度、アンケートに記入させた。具体的には、「良くなった(+4)」「やや良くなった(+2)」「変わらない(0)」「やや悪くなった(−2)」「悪くなった(−4)」の5段階評価として、その時点での二日酔い症状の状態を評価させた。各グループについて摂取後のアンケートの評価点の平均値を求め、起床時のアンケートの評価点の平均点を差し引くことで、摂取による改善度を算出した。その結果を
図1に示す。
【0056】
〔実施例2〕
レモングラスの乾燥状態の粉砕物として、乾燥粉末1.52gを長さ18mmのゼラチン製のハードカプセルに充填し、カプセル状のサンプル(1個1.58g)を得た。このサンプルについて、実施例1のサンプルとは別日に、実施例1と同様の評価に供した。一人当たりのサンプルの摂取量は、カプセル10個とした。カプセルは水を用いて摂取させた。その結果を
図1に示す。
【0057】
〔比較例1〕
サンプルとして、市販の清涼飲料水を用いた。この清涼飲料水は、水、果糖、砂糖、塩化ナトリウム、果実エキス、酸味料、香料、塩化カリウム、乳酸カルシウム及びビタミンCを含有するがレモングラスを含有しないものである。このサンプルについて、実施例1及び2のサンプルとは別日に、実施例1と同様の評価に供した。その結果を
図1に示す。
【0058】
図1の結果から明らかな通り、「頭痛」、「吐き気」及び「眠気」の各二日酔い症状について、レモングラスを含有する実施例1及び2では、これを含有しない比較例1に比べて高い改善作用が示された。特に、「頭痛」及び「吐き気」について、飲酒による状態悪化の程度の大きい「非常に悪いグループ」における改善度が高かった。また「眠気」についても、実施例2では、「非常に悪いグループ」における改善度が比較例1よりも高く、また実施例1についても、「非常に悪いグループ」及び「悪いグループ」両方の被験者の改善度を平均すると1.1であり、比較例1の0.9を上回った(数値は図示せず)。従って、レモングラスを含有する本発明の剤が、二日酔い改善に高い効果を示し、二日酔い予防又は改善剤として有用であることは明らかである。
【0059】
〔実施例3〕
レモングラスの乾燥状態の細片化物1.3gを内包するティーパックを90℃の熱水500gに入れて5分間静置し、レモングラス抽出液500gを得た。この抽出液に下記に示す副原料を下記に示す終濃度となるように添加、混合した飲料として、実施例3のサンプルを得た。
主材料(抽出)
レモングラス・・・0.26%(1.3g/500mlの割合で抽出したもの)
副材料
ブドウ糖・・・2.50%
果糖・・・0.50%
食塩(塩化ナトリウム)・・・0.1026%
乳タンパク質・・・0.024%
アラニン・・・0.28%
グルタミン・・・0.28%
酸味料・・・0.16%
香料・・・0.13%
【0060】
〔比較例2〕
比較例2のサンプルとして飲料水を用いた。
【0061】
実施例3及び比較例2のサンプルについて、以下の評価に供した。
【0062】
<評価2>
健常な成人52名に、飲酒日の午後8時〜午後11時にかけて飲酒させた後に睡眠させ、翌日起床後にサンプルを摂取させた。その間、
図2に記載のスケジュールの計6回のVAS(Visual Analogue Scale)アンケートを実施させた。このアンケートは、「0」を「経験上、最も悪い」状態、「100」を「経験上、最も良い」状態としたときに、現在の状態が100mmの直線上のどの位置にあるかをアンケート用紙に記入させるものである。評価項目は頭痛、気分の悪さ、下痢、食欲不振、震え、疲労感、吐き気、口の渇きとした。
【0063】
[結果]
飲酒翌日起床時の二日酔い自覚アンケート(VAS2アンケート)結果より、二日酔いの症状がVAS1アンケートとVAS2アンケートとで結果が変わらず、二日酔いの症状がなかった3名を解析から除外した。被験者49名(実施例3のサンプル摂取群:26名、比較例2のサンプルの摂取群:23名)について、VAS3〜6を行った。VAS2〜6それぞれで記入させた数値について各摂取群の平均値を求めた。VAS3〜6の数値の平均値からVAS2の数値の平均値を引いた値として、起床時からのVAS変化量を求めた。各摂取群のVAS変化量の平均値を
図3〜
図6に示す。
【0064】
図3〜
図6に示すように、本試験では、レモングラス及び、特定の副材料を配合した飲料の摂取により、「二日酔い症状」のうち「頭痛」、「下痢」、「気分の悪さ」、「食欲不振」、「震え」、「吐き気」、「疲労感」、「口の渇き」全てで改善傾向が示唆された。従って、レモングラス及び特定の副材料を含有する本発明の剤が、二日酔い改善に高い効果を示し、二日酔い予防又は改善剤として有用であることは明らかである。
【0065】
〔実施例4〜6、比較例3、4〕
実施例3において、組成を下記表1のように変更した実施例4〜6、比較例3、4のサンプルを調製した。表1におけるブドウ糖以下の項の数値の単位は質量%である。
【0066】
【表1】
【0067】
<評価3>
実施例4〜6、比較例3、4のサンプルについて上記の<評価2>と同様の評価を行った。なお、健常な成人である45人の被験者を9人ずつ分けさせ、群ごとに実施例4〜6、比較例3、4の異なるサンプルを割り当て、割り当てたサンプルを摂取させるようにした。結果を
図7〜
図10に示す。
【0068】
本試験では、実施例4は「二日酔い症状」のうち「頭痛」、「下痢」、「気分の悪さ」、「食欲不振」、「震え」、「吐き気」、「疲労感」、「口の渇き」全てで改善傾向が示された。実施例5は「二日酔い症状」のうち「頭痛」、「疲労感」、「口の渇き」において改善傾向が示され、その他の項目についても実施例4に劣るものの改善傾向が示された。また実施例6は実施例4、5には劣るが頭痛や疲労感を含めおおむね各項目について改善傾向が見られた。また比較例3,4については頭痛や疲労感についてやや改善傾向が見られるが、その他の評価では全く改善しないか改善が乏しかった。これらのことから、レモングラスと組み合わせる特定の副材料としては、食塩であることがより好ましく、ブドウ糖であることがさらに好ましく、ブドウ糖と食塩であることが最も好ましいことが明らかとなった。従って、レモングラス及び特定の副材料を含有する本発明の剤が、二日酔い改善に高い効果を示し、二日酔い予防又は改善剤として有用であることは明らかである。
【0069】
〔実施例7〜41、比較例6〜39〕
10%FBS−DMEMを用いてヒト肝癌由来細胞(HepG2)を培養し、96wellplateの各wellに4.0×10
4cells/wellで播種した。10%FBS−DMEM培地を用いて24時間前培養後、各wellより培地を除去し、無血清DMEMで所定濃度に調製してフィルター滅菌したレモングラス、表2に示す副材料、又はそれらを組み合わせたサンプルを200μL添加し24時間培養した。培養後Cell Couting Kit−8を用いて細胞活性を測定した。結果を
図11〜
図13に示す。
図11〜
図13のグラフの縦軸はコントロールに対する変化値を示す。後述するようにDMSOを用いていない実施例7〜39、41及び比較例6〜37、39の細胞活性の測定では、コントロールとしてサンプルの代わりに無血清DMEM200μLを添加してこれら実施例及び比較例と同様に培養したものを用いた。またDMSOを用いた実施例40及び比較例38では、コントロールとしてサンプルの代わりに0.25%DMSO含有無血清DMEMを実施例40及び比較例38と同様に培養したものを用いた。なお実施例7〜41において、レモングラスとしては、市販品されている葉及び茎の乾燥品をビーズショッカーにて1回2,300rpmで20秒間の粉砕処理を、計7回繰り返して得た粉末状のものを用いた。実施例39及び比較例37で用いた葛の花としては、葛(学名:Pueraria thomsonii )の花部を熱水で抽出して得られた液状抽出物を乾燥させた粉末を用いた。実施例40及び比較例38で用いたウコンとしてはウコンの根の乾燥粉末(日本粉末薬品社製のウコン末)を用いた。実施例41及び比較例39で用いた乳酸菌としては、マッコリ由来乳酸菌(学名:Pediococcus acidilactici)の死菌の乾燥粉末を用いた。ウコン以外の副材料については無血清DMEMに分散、溶解することにより、所定濃度含ませた。ウコンについては、DMSOに溶解し、DMSOの終濃度が0.5%となるよう無血清DMEMで希釈することにより、所定濃度含ませた。また。その他の副材料である各アミノ酸類、糖類、人工甘味料も、具体的には表2に示す由来、名称のものであって何れも粉末状であり、これらも無血清DMEMに分散、溶解することにより、所定濃度含ませた。また、これらは全てフィルター滅菌を行い、各試験に用いた。副材料単体のサンプルは無血清DMEMと2倍濃度の副材料含有培地を等量混合し、レモングラスとの併用サンプルは2倍濃度の副材料含有培地を等量混合し所定濃度とした。
図11〜
図13に記載の数値の単位はμg/mlであり、当該数値はサンプル中の終濃度を示す。
【0070】
【表2】
【0071】
図11〜
図13に示す結果より、レモングラスと、本発明の特定の副材料とを含有する本発明の剤が、高い肝細胞活性化作用を有することは明らかである。従って、本発明の剤によれば、肝機能が改善され、有効に二日酔いの予防又は改善を図ることができる。