【解決手段】有端状のテープ12または無端状のテープと、テープ12を折り曲げてなる複数の折曲部23を、少なくとも1つの集約箇所Fで集約する集約手段(第1ジョイント部14、第2ジョイント部15a、15c、と、を備え、集約箇所Fを頂部に含む三次元フレーム構造がテープ12により形成され、集約手段は、テープ12の一部をそれぞれ巻回する2つ以上のローラを用いて、2つ以上の折曲部23を連結するジョイント部(第1ジョイント部14)を含む。
前記ジョイント部は、並列に配置された前記2つ以上のローラと、前記2つ以上のローラをそれぞれ回動可能に連結する連結部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のフレーム構造体。
前記ジョイント部は、直列に配置された前記2つ以上のローラと、前記2つ以上のローラをそれぞれ回動可能に連結する連結部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のフレーム構造体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るフレーム構造体について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、曲げ剛性の異方性がある帯状のテープを用いて長さを測定する巻尺のテープを折り曲げて三次元フレーム構造を形成するフレーム構造体について説明する。
【0014】
(1)第1実施形態
はじめに、
図1から
図5を参照して、第1実施形態に係るフレーム構造体1の基本構造について説明する。
【0015】
(1−1.基本構造)
第1実施形態に係るフレーム構造体1は、
図1に示すように、帯状のテープ12と、テープ12同士を結束する結束部材13と、テープ12の一部を集約する第1ジョイント部14(集約手段)および第2ジョイント部15a〜15cと、テープ12を繰り出し可能に巻き取るための巻取部16から略構成されている。
【0016】
テープ12は、有端状で長さ方向に沿って湾曲させることが可能な金属製の材質で構成されている。このテープ12は、はじめは巻取部16に巻き取られており、先端部21が巻取部16に係合可能に構成されている。まず、テープ12を繰り出し、
図1および
図2に示すように、稜線部22a〜22f(以下、総称して稜線部22ともいう。)と、折曲部23a〜23f(以下、総称して折曲部23ともいう。)と、底辺部24a〜24c(以下、総称して底辺部24ともいう。)を形成する。そして、先端部21を巻取部16に係合し、既に繰り出された先端部21から基端部25までの範囲のテープ12により、角錐の形状(ここでは四面体)の三次元フレーム構造を形成する。
【0017】
より具体的には、
図3に示すように、テープ12の先端部21を繰り出し方向C(矢印C方向)に繰り出して稜線部22a、折曲部23a、底辺部24a、折曲部23b、稜線部22b、折り曲げ部23cを形成する。同様に、繰り出し方向Cに繰り出して稜線部22c、折曲部23d、底辺部24b、折曲部23e、稜線部22d、折曲部23fを形成する。さらに、繰り出し方向Cに繰り出して稜線部22e、折曲部23g、底辺部24c、折曲部23h、稜線部22fを形成することにより、帯状の一本のテープ12により三次元フレーム構造を形成する。なお、折曲部23における曲率あるいは折り曲げ角度は任意(鋭角、鈍角、または直角)である。
【0018】
図1から
図3に示すように、底辺部24は、テープ12が1重に配置されており、稜線部22aと稜線部22f、稜線部22bと稜線部22c、稜線部22dと稜線部22eは、テープ12が2重に配置される。そして、四面体の頂上部Aの近傍と底面頂部Bの近傍の2箇所で結束部材13により結束して互いの稜線部22を平行に成型する。
【0019】
(1−2.第1ジョイント部)
図2および
図4に示すように、第1ジョイント部14は、テープ12により形成された四面体の三次元フレーム構造の頂上部Aに配置されており、折曲部23cと折曲部23fを連結する。この第1ジョイント部14は、並列に配置された2つのガイドローラ41a、41b(以下、総称してガイドローラ41ともいう。)と、ガイドローラ41a、41bをそれぞれ回動可能に連結する連結部材42とから構成されている。なお、
図4は、
図1で示す矢印D方向からの部分拡大平面図である。
【0020】
ガイドローラ41a、41bは、円柱形状を有しており、周面上にテープ12の一部をそれぞれ巻回することにより折曲部23cと折曲部23fを形成する。
【0021】
連結部材42は、金属製の材質で構成されている。この連結部材42は、上面視すると三叉形状を有しており、ガイドローラ41の周面上でテープ12が摺動可能にガイドローラ41の回転軸と連結する軸連結部43と、巻取部16と連結する巻取連結部44とから構成されている。この軸連結部43と巻取連結部44により、2つのガイドローラ41と巻取部16とを連結する。このように、2つのガイドローラ41a、41bに巻回することにより形成された2つの折曲部23と、テープ12を繰り出した巻取部16の3つを連結部材42で連結する。
【0022】
(1−3.第2ジョイント部)
図2および
図5に示すように、第2ジョイント部15a〜15c(以下、総称して第2ジョイント部15ともいう。)は、テープ12により形成された四面体の底面頂部Bにそれぞれ配置されており、テープ12を厚み方向から挟持する一対の駆動ローラ51a、51b、51d、51e、51g、51h(以下、総称して一対の駆動ローラ51ともいう。)と、一対の駆動ローラ51をそれぞれ回動可能に支持する3つの摺動ガイド52a〜52c(以下、総称して摺動ガイド52ともいう。)から構成されている。
【0023】
一対の駆動ローラ51a、51b、51d、51e、51g、51hは、円柱形状を有しており、周面上にテープ12を巻回することにより折曲部23a、23b、23d、23e、23g、23hをそれぞれ形成する。この一対の駆動ローラ51は、上面視すると上下方向に一対配置されるとともに四面体の底面頂部Bに各2つ上下方向に配置されている。
【0024】
また、一対の駆動ローラ51は、モータ(図示省略)により回転駆動が可能であり、駆動ローラ51が回転することによりテープ12の繰り出しおよび繰り込みを行う。
【0025】
摺動ガイド52は、四面体の底面頂部Bに各1つ配置され、一対の駆動ローラ51hと一対の駆動ローラ51aは摺動ガイド52aが、一対の駆動ローラ51bと一対の駆動ローラ51dは摺動ガイド52bが、一対の駆動ローラ51eと一対の駆動ローラ51gは摺動ガイド52cがそれぞれ回動可能に支持する。
【0026】
また、摺動ガイド52は、側面視すると略逆T字形状を有しており、両側面側にテープ12の折曲部22が位置する垂直板部53と、垂直板部53とともに一対の駆動ローラ51を回動可能に支持する水平板部54とから構成されている。この垂直板部53および水平板部54により、一対の駆動ローラ51に繰り込まれるテープ12の折れ曲がりを強制する。
【0027】
(1−4.フレーム構造の変形)
上述したように構成されたフレーム構造体1の三次元フレーム構造は、
図1から
図3に示すように、折曲部23a〜23hが第1ジョイント部14または第2ジョイント部15により集約され、集約された集約箇所Fの全てを頂部(頂上部Aまたは底面頂部B)とする四面体の三次元フレーム構造を構成している。そして、この三次元フレーム構造は変形することが可能である。なお、上述したように構成されたフレーム構造体1の「集約箇所F」は、機械的な固い結合でも緩い結合でもよい。
【0028】
上述したように構成されたフレーム構造体1は、駆動ローラ51が回転することによりテープ12の繰り出しおよび繰り込みが可能であるため、繰り出しおよび繰り込みによりテープ12を移動、第1ジョイント部14および第2ジョイント部15の位置を移動することにより、三次元フレーム構造を所定の形状に変形することができる。たとえば、直稜四面体の形状、垂心四面体の形状、当面四面体の形状等、様々な四面体の形状に形成することができる。
【0029】
また、上述したように構成されたフレーム構造体1のテープ12は、曲げ剛性に異方性があるので、長さ方向に沿って容易に折曲可能である一方、幅方向に沿って折り曲げるのが難しい。つまり、テープ12を折り曲げまたは捻り曲げることにより、三次元フレーム構造を変形自在にすることができる。
【0030】
さらに、上述したように構成されたフレーム構造体1は、第2ジョイント部15の数を増加することにより、四面体のみならず、四角錐の形状、五角錐の形状、六角錐の形状等の様々な角錐の形状にも形成することができる。さらに、立方体を含む、五面以上を有する任意の立体にも形成することができる。
【0031】
次に、
図1から
図3、
図6を参照して、第1実施形態に係るフレーム構造体1の組立、収納および展開方法について説明する。
【0032】
(1−5.組立方法)
はじめに、
図1から
図3を参照して、フレーム構造体1の組立方法について説明する。フレーム構造体1の組立方法は、まず、巻取部16に巻き取られたテープ12を
図3に示す繰り出し方向Cに繰り出して、稜線部22aから駆動ローラ51aに巻回することによって折曲部23aを形成し、折曲部23aから底辺部24a、底辺部24aから駆動ローラ51bに巻回することによって折曲部23bを形成し、折曲部23bから稜線部22b、稜線部22bからガイドローラ41aに巻回することによって折曲部23cを形成する。
【0033】
同様に、繰り出し方向Cに繰り出して、折曲部23cから稜線部22c、稜線部22cから駆動ローラ51dに巻回することによって折曲部23dを形成し、折曲部23dから底辺部24b、底辺部24bから駆動ローラ51eに巻回することによって折曲部23eを形成し、折曲部23eから稜線部22d、稜線部22dからガイドローラ41bに巻回することによって折曲部23fを形成する。
【0034】
さらに、繰り出し方向Cに繰り出して、折曲部23fから稜線部22e、稜線部22eから駆動ローラ51gに巻回することによって折曲部23gを形成し、折曲部23gから底辺部24c、底辺部24cから駆動ローラ51hに巻回することによって折曲部23hを形成し、折曲部23hから稜線部22fを形成し、基端部25が繰り出された巻取部16に先端部21を係合することにより四面体の三次元フレーム構造を形成する。
【0035】
図1および
図2に示すように、折曲部23cはガイドローラ41a、折曲部23fはガイドローラ41bの周面上にテープ12の一部を巻回することにより形成し、ガイドローラ41が回動することによりテープ12の一部がガイドローラ41の外周上を摺動する。
【0036】
また、折曲部23a、23b、23d、23e、23g、23hは、一対の駆動ローラ51の周面上にテープ12を巻回することにより形成し、一対の駆動ローラ51が回動することによりテープ12が一対の駆動ローラ51の外周上を摺動する。このため、巻取部16からテープ12の先端部21を繰り出してガイドローラ41や駆動ローラ51に巻回することにより、容易に折曲部23を形成しながら基端部25を繰り出し続けて四面体の三次元フレーム構造を形成することができる。
【0037】
そして、テープ12が2重に配置されている稜線部22aと稜線部22f、稜線部22bと稜線部22c、稜線部22dと稜線部22eをそれぞれ結束部材13により結束して互いの稜線部22を平行に成型する。
【0038】
(1−6.収納方法)
次に、
図1から
図3、
図6を参照して、第1実施形態に係るフレーム構造体1の収納方法について説明する。フレーム構造体1の収納方法の一例では、
図6に示すように、底辺部24a〜24cの両端から略等距離にある点を折り曲げ、三次元フレーム構造を縦方向(矢印E方向)に引き伸ばすことにより、四面体の三次元フレーム構造を縦長状に折り畳む。
【0039】
上述したように、テープ12の曲げ剛性には異方性があるため、
図1に示す底辺部24を折り曲げることができ、また、ガイドローラ41や一対の駆動ローラ51の周面上をテープ12が摺動するため、四面体の三次元フレーム構造を縦長状に変形し、筒状容器に収納することができる。
【0040】
また、フレーム構造体1の収納方法の他例では、底辺部24a〜24cの長さを短くして三次元フレーム構造を縦方向(矢印E方向)に引き伸ばすことにより、四面体の三次元フレーム構造を縦長状の三次元フレーム構造に変形することができる(図示省略)。
【0041】
さらに、フレーム構造体1の収納方法の他例では、上述した巻取部16の巻取ボタン(図示省略)を押圧することによりテープ12を巻き取り、四面体の三次元フレーム構造を巻取部16の内部に収納する。この収納方法の場合、上記した展開方法の場合と逆の手順に従って収納できる。
【0042】
なお、結束部材13を外し、ガイドローラ41や一対の駆動ローラ51の周面上に巻回されたテープ12を解いてから、一気にテープ12を巻き取ることも可能である。
【0043】
図1および
図2に示すように、折曲部23cと折曲部23fは、ガイドローラ41a、41bの周面上にテープ12に一部を巻回することにより形成している。また、折曲部23a、23b、23d、23e、23g、23hは、一対の駆動ローラ51の周面上にテープ12の一部を巻回することにより形成している。このため、ガイドローラ41や一対の駆動ローラ51の周面上に巻回されたテープ12を解くことにより、形成した折曲部23を含むテープ12を容易に巻取部16の内部に巻き取ることができる。
【0044】
(1−7.展開方法)
次に、
図6を参照して、第1実施形態に係るフレーム構造体1の展開方法について説明する。フレーム構造体1の展開方法の一例として、
図6に示すように、底辺部24a〜24cの両端から略等距離にある点を折り曲げ、四面体の三次元フレーム構造を縦長状に折り畳むことにより収納した場合は、テープ12の復元力により展開することができる。また、テープ12を巻き取ることにより四面体の三次元フレーム構造を巻取部16の内部に収納した場合は、上述した組み立て方法と同様に展開する。
【0045】
(2)第2実施形態
次に、
図7から
図10を参照して、第2実施形態に係るフレーム構造体100の基本構造について説明する。なお、第2実施形態では、無端状のテープ112を用いて三次元フレーム構造を形成する場合について説明する。また、第2実施形態は、上述した第1実施形態に係るフレーム構造体1の構成のうち、第1ジョイント部14と第2ジョイント部15の構成に改良を加えたものであり、その他の部分の構成は同様である。そこで、以下では、第1実施形態に係るフレーム構造体1と同等の構成等については説明を省略するものとし、第1実施形態に係るフレーム構造体1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0046】
(2−1.基本構造)
第2実施形態に係るフレーム構造体100は、
図7から
図10に示すように、無端状で長さ方向に沿って湾曲させることが可能な金属製の帯状のテープ112と、テープ112の一部を集約する第1ジョイント部114(集約手段)および第2ジョイント部115a〜115cから略構成されている。
【0047】
なお、上述した第1実施形態のフレーム構造体1は、巻取部16を備えている場合について説明したが、第2実施形態のフレーム構造100では、巻取部16を省略して説明する。しかし、当然にフレーム構造体100においても巻取部16を備えていてもよい。
【0048】
フレーム構造体100は、複数の稜線部22と、複数の折曲部23と、複数の底辺部24a〜24cを形成することにより帯状の一本のテープ112が多重に配置され、角錐の形状(ここでは四面体)の三次元フレーム構造を形成する。なお、折曲部23における曲率あるいは折り曲げ角度は任意である。
【0049】
(2−2.第1ジョイント部)
図8および
図9に示すように、第1ジョイント部114は、テープ112により形成された四面体の三次元フレーム構造の頂上部Aに配置されており、3つの折曲部23を連結する。この第1ジョイント部114は、直列に配置された3つのガイドローラ141a〜141c(以下、総称してガイドローラ141ともいう。)と、ガイドローラ141a〜141cをそれぞれ回動可能に連結する連結部材142とから構成されている。
【0050】
ガイドローラ141は、円柱形状を有しており、上面視すると120度ずつ、すなわち等角度間隔で配置される。そして、ガイドローラ141の周面上にテープ112の一部を巻回することにより3つの折曲部23を形成する。
【0051】
連結部材142は、弾性を有する材質で構成されている。この連結部材142は、上面視すると環状形状を有しており、ガイドローラ141の外周上でテープ112が摺動可能にガイドローラ141の回転軸同士を連結する。このように、3つのガイドローラ141a、141bに巻回することにより形成された3つの折曲部23を連結部材142で連結する。
【0052】
(2−3.第2ジョイント部)
図7および
図10に示すように、第2ジョイント部115a〜115c(以下、総称して第2ジョイント部115ともいう。)は、テープ112により形成された四面体の底面頂部Bにそれぞれ配置されており、テープ112を幅方向から挟持する一対の駆動ローラ151と、一対の駆動ローラ151をそれぞれ回動可能に支持する3つの摺動ガイド152から構成されている。
【0053】
一対の駆動ローラ151は、円柱形状を有しており、周面上にテープ112を巻回することにより折曲部23を形成する。この一対の駆動ローラ151は、上面視すると前後方向に一対配置されるとともに四面体の底面頂部Bに各2つ配置されている。
【0054】
また、一対の駆動ローラ151は、モータ(図示省略)により回転駆動が可能であり、駆動ローラ151が回転することによりテープ112の繰り出しおよび繰り込みを行う。
【0055】
摺動ガイド152は、四面体の底面頂部Bに各1つ配置され、複数の一対の駆動ローラ151をそれぞれ回動可能に支持する。
【0056】
また、摺動ガイド152は、両側面側にテープ112の折曲部22が位置する傾斜板部153と、傾斜板部153とともに一対の駆動ローラ151を回動可能に支持する水平板部154と、テープ12の繰り出し方向をガイドする方向ガイド155から構成されている。この傾斜板部153、水平板部154、方向ガイド155により、一対の駆動ローラ151に繰り込まれるテープ112の折れ曲がりを強制する。
【0057】
方向ガイド155は、摺動ガイド152にそれぞれ一対設けられており、一対の方向ガイド155は駆動ローラ151の外側にそれぞれ平行に設けられている。そして、駆動ローラ151の周面上にテープ112を巻回することにより形成された折曲部23から底辺部24への方向を適正な方向へとガイドする。
【0058】
(2−4.フレーム構造の変形)
上述したように構成されたフレーム構造体100の三次元フレーム構造は、
図7および
図8に示すように、折曲部23が第1ジョイント部114または第2ジョイント部115により集約され、集約された集約箇所Fの全てを頂部(頂上部Aまたは底面頂部B)とする四面体の三次元フレーム構造を構成している。そして、この三次元フレーム構造は変形することが可能である。なお、上述したように構成されたフレーム構造体100の「集約箇所F」は、機械的な固い結合でも緩い結合でもよい。
【0059】
上述したように構成されたフレーム構造体100の三次元フレーム構造は、駆動ローラ151が回転することによりテープ112の繰り出しおよび繰り込みが可能であるため、繰り出しおよび繰り込みによりテープ112を移動、第1ジョイント部114および第2ジョイント部115の位置を移動することにより、三次元フレーム構造を所定の形状に変形することができる。
【0060】
また、上述したように構成されたフレーム構造体1のテープ112は、曲げ剛性に異方性があるので、長さ方向に沿って容易に折曲可能である一方、幅方向に沿って折り曲げるのが難しい。つまり、テープ112を折り曲げまたは捻り曲げることにより、三次元フレーム構造を変形自在にすることができる。
【0061】
さらに、上述したように構成されたフレーム構造体100は、第2ジョイント部115の数を増加することにより、四面体のみならず、四角錐の形状、五角錐の形状、六角錐の形状等の様々な角錐の形状にも形成することができる。なお、立方体を含む、五面以上を有する任意の立体にも形成することができる。
【0062】
なお、上述した本発明の第2実施形態に係るフレーム構造体100の組立、展開および収納方法についても上述した本発明の第1実施形態に係るフレーム構造体1の組立、展開および収納方法と概ね同様の方法であるため説明を省略する。
【0063】
(3)作用効果
以上のようなフレーム構造体1、100は、有端状または無端状のテープ12、112と、テープ12、112を折り曲げてなる複数の折曲部23(23a〜23h)を、少なくとも1つの集約箇所Fで集約する集約手段(第1ジョイント部14、第1ジョイント部114)と、を備え、集約箇所Fを頂部に含む三次元フレーム構造がテープ12、112により形成され、集約手段は、テープ12、112の一部をそれぞれ巻回する2つ以上のローラ(ガイドローラ41a、41b、141a〜141c)を用いて、2つ以上の折曲部23を連結するジョイント部(第1ジョイント部14、第1ジョイント部114)を含む。
【0064】
そして、上述したフレーム構造体1、100によれば、折曲部23同士がジョイント部(第1ジョイント部14、第1ジョイント部114)を介して相互に連結されるため、簡易な構成でありながら、集約箇所F(すなわち、頂部)にて十分な強度や剛性が得られる。また、テープ12、112の曲げ剛性の異方性により三次元フレーム構造を容易に変形可能な外力作用方向が存在することとなる。そして、外力作用方向を利用することにより、フレーム構造体1、100の組立、収納および展開が簡便となるため、フレーム構造体1、100の運搬効率を向上させることができる。
【0065】
また、フレーム構造体1は、ジョイント部(第1ジョイント部14)は、並列に配置された2つ以上のローラ(ガイドローラ41a、41b)と、2つ以上のローラ(ガイドローラ41a、41b)をそれぞれ回動可能に連結する連結部材42とを有するため、複数のローラ(ガイドローラ41a、41b)を並列に配置することで、頂部の集約箇所Fを小面積化することができる。
【0066】
さらに、フレーム構造体100は、直列に配置された2つ以上のローラ(ガイドローラ141a、141b、141c)と、2つ以上のローラ(ガイドローラ141a、141b、141c)をそれぞれ回動可能に連結する連結部材142とを有するため、複数のローラ(ガイドローラ141a、141b、141c)を直列に配置することで、頂部の集約箇所Fを低背化することができる。
【0067】
また、フレーム構造体1、100は、三次元フレーム構造は角錐の形状(ここでは四面体)を有し、ジョイント部(第1ジョイント部14、第1ジョイント部114)は、角錐の頂上部Aに配置されているため、フレーム構造体1、100を配置する際に、ジョイント部(第1ジョイント部14、第1ジョイント部114)のローラ(ガイドローラ41a、41b、141a〜141c)が地面に接触しないため、テープ12、112を摺動させながら円滑に繰り出すことができる。
【0068】
さらに、フレーム構造体100は、ジョイント部(第1ジョイント部114)は、3つ以上のローラ(ガイドローラ141a〜141c)を有し、3つ以上のローラ(ガイドローラ141a〜141c)は、上面視にて等角度間隔で配置されているため、三次元フレーム構造を形成するテープ112の各稜線22に伝わる力を均等に分配可能となり、三次元フレーム構造の頂上部近傍の機械的強度を安定させることができる。
【0069】
(4)他の実施形態および変形例
以上、フレーム構造体1、100を図示して実施形態に基づいて説明したが、フレーム構造体1、100はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。以下、他の実施形態におけるフレーム構造体および第1ジョイント部41の変形例について説明する。
【0070】
(4−1.フレーム構造体の他の実施形態)
上述した本実施形態に係るフレーム構造体1、100では、稜線部22の結束がそれぞれ2箇所である場合を図示して説明したが、平行に成型する稜線部22に対して少なくとも1箇所で結束されていればよく、強度の確保のため2箇所以上で結束されていてもよい。
【0071】
また、上述した本実施形態に係るフレーム構造体1では、テープ12を繰り出しおよび巻き取る巻取部16は、四面体の頂上部Aに配置されている場合を図示して説明したが、フレーム構造体の重心を安定させるため、四面体の底面側に配置してもよい。
【0072】
さらに、上述した本実施形態に係るフレーム構造体1、100では、駆動ローラ51、151は、モータ(図示省略)により回転駆動する場合について説明したが、駆動ローラ51、151のうちの少なくとも1つの一対の駆動ローラ51、151がモータにより回転駆動するように構成してもよい。さらに、一対の駆動ローラ51、151のうち一方の駆動ローラ51、151のみがモータにより回転駆動するように構成してもよい。このように構成しても三次元フレーム構造を容易に変形することができる。
【0073】
そもそも、モータ(回転アクチュエータ)を設けなくともよく、この場合、手動によりテープ12、112の繰り出しおよび繰り込みを行う。
【0074】
また、上述した本実施形態に係るフレーム構造体1、100では、連結部材42は、金属製の材質で構成され、連結部材142は、弾性を有する材質で構成されている場合について説明したが、連結部材42、142の材質は適宜変更が可能である。
【0075】
さらに、上述した本実施形態に係るフレーム構造体1では、複数の折曲部23a〜23hが第1ジョイント部14または第2ジョイント部15により集約され、集約された集約箇所Fの全てを頂部(頂上部Aまたは底面頂部B)とする四面体となっている場合について説明したが、折曲部23(23a〜23h)のいずれかが集約箇所Fに集約していなくてもよく、集約箇所Fの全てが頂部とならなくてもよい。なお、集約箇所Fは、上述したように、機械的に固い結合でも緩い結合でもよい。
【0076】
(4−2.フレーム構造の変形例)
上述した本実施形態に係るフレーム構造体1、100では、四面体の三次元フレーム構造を構成する場合について説明したが、上述したように、この三次元フレーム構造は変形することが可能である。たとえば、
図11に示すフレーム構造体101のように、無端状のテープ112を折り曲げて、稜線部22a〜22hと、折曲部23a〜23lと、底辺部24a〜24dを形成することにより四角錐の形状にすることができる。さらに、五角錐の形状、六角錐の形状等その他の任意の角錐にも変更することができる。
【0077】
(4−3.第1ジョイント部14の変形例)
上述した本実施形態に係るフレーム構造体1では、第1ジョイント部14は、ガイドローラ41と連結部材42とから構成され、連結部材42は、軸連結部43と巻取連結部44とから構成されている場合について説明したが、第1ジョイント部14の形状を他の形状とすることができる。
【0078】
たとえば、上述した第1ジョイント部14は、連結部材42は金属製の材質で構成されている場合について説明したが、連結部材242がパイプ状の部材で構成されていてもよい。たとえば、
図11に示すように、無端状のテープ112で四角錐の三次元フレーム構造を形成する場合、連結部材242が複数の折曲部23(23c、23f、23i、23l)を連結する四叉路状のパイプであってもよい。連結部材242が四叉路状のパイプの場合、複数のガイドローラ(
図11では図示省略)同士の連結部分の強度を高めることができる。
【0079】
また、上述した第1ジョイント部14は、連結部材42により2つのガイドローラ41と巻取部16を連結する場合について説明したが、
図12(a)に示すように、第1ジョイント部314は、3つのガイドローラ41a〜41cと、連結部材342とから構成され、連結部材342により3つのガイドローラ41a〜41cをそれぞれ回動可能に連結してもよい。
【0080】
さらに、第1ジョイント部314は、3つのガイドローラ41a〜41cの端面にそれぞれ設けられたフランジ部345と、フランジ部345とガイドローラ41a〜41cを固定するローラ固定部材346をさらに備えてもよい。
【0081】
フランジ部345は、ガイドローラ41a〜41bの直径よりも大きい板状の部材で構成されており、テープ(
図12では図示省略)の繰り出しや繰り込みをする際、テープがガイドローラ41a〜41cから外れることを抑制する。なお、フランジ部は、ガイドローラ41a〜41cと一体に形成されていてもよく、ガイドローラ41a〜41cと別体に形成されていてもよい。
【0082】
ローラ固定部材346は、連結部材342に対してガイドローラ41a〜41cやフランジ部345が移動するのを抑制するため、ガイドローラ41a〜41cの端面側からそれぞれ固定する。
【0083】
また、
図12(a)では、連結部材342により3つのガイドローラ41a〜41cをそれぞれ回動可能に連結する場合について説明したが、さらに、第1ジョイント部314は、
図12(a)に示す第1ジョイント部314の矢印G方向側または矢印G方向と反対方向側のうち、いずれか一方側が開放した形状であってもよい。
【0084】
たとえば、
図12(b)に示すように、第1ジョイント部414は、
図12(a)に示す矢印G方向側の結点が開いた形状を有しており、
図12(c)に示すように、第1ジョイント部514は、
図12(a)に示す矢印G方向と反対方向側の結点が開いた形状を有している。第1ジョイント部414、514のように、いずれか一方側の結点が開いた形状を有していることにより、連結部材442、542の一方側が自由端となり、テープ(
図12では図示省略)の繰り出しや繰り込みをする際、フレーム構造の変形に追従し易くなる。
【0085】
なお、
図12(b)および
図12(c)に示す連結部材442、542は、一方側の結点が開いた形状を有しているため、
図12(b)に示すように、ローラ固定部材346でガイドローラ41a〜41cを固定することにより、自由端となった側からガイドローラ41a〜41cが抜けるのを防ぐことができる。
【0086】
また、
図12(c)に示すように、連結部材542の自由端にそれぞれ抜け防止部材347を設けることにより、ガイドローラ41a〜41cが連結部材542から抜けるのを防ぐことができる。なお、抜け防止部材347を設ける場合、ガイドローラ41a〜41cの内部を連結部材542が貫通することにより回動可能に連結する貫通孔(
図12(c)では図示省略)よりも大きい球状などの形状とすることにより、ガイドローラ41a〜41cが連結部材542から抜けるのを防止することができる。
【0087】
上述した第1実施形態に係るフレーム構造体1、第2実施形態に係るフレーム構造体100、他の実施形態に係るフレーム構造体101は、様々な用途で使用することができる。たとえば、空間演出、デザイン家具、舞台装置、建築、産業機械、宇宙産業等で使用することができ、用途は問わない。