【解決手段】パージ通路(P73)を、パージゾーン(73)を通過して空気が循環する循環回路(C)により構成し、この循環回路(C)に、パージゾーン(73)への空気流入側に位置するパージ空気冷却器(31)と、空気を循環回路(C)で循環させる循環ファン(32)とを設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の除湿システムでは、吸着側の吸着熱交換器を通過した空気をパージゾーンに供給しているので、パージゾーンを通過した後の空気(再生用空気)の露点温度が高くなる。このように露点温度の高い再生用空気で再生ゾーンを再生するには、再生用空気をヒータで高温に加熱する必要がある。つまり、上記構成では高温再生を行う必要があり、ヒータの消費電力が大きい問題がある。
【0007】
また、パージゾーンを設けずに、吸着ロータを通過した後の除湿空気の一部を加熱して再生ゾーンに供給することも考えられるが、その場合、再生ゾーンの高温の部分がパージゾーンを経ずに直接に吸着ゾーンに遷移してくることになり、温度遷移ゾーンの高湿空気が吸着ゾーンに入ってしまうので、吸着ゾーンを通過した空気の露点温度が所期の値よりも高くなってしまう(除湿能力が低下してしまう)。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着ゾーンと再生ゾーンとパージゾーンを備えたロータユニット(吸着ロータ)を用いたシステムにおいて、吸着ロータの低温再生を可能にするとともに除湿能力の低下を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、空気が流れる空気通路(P)と、該空気通路(P)上に配置された除湿ユニット(10)とを備え、上記除湿ユニット(10)がロータユニット(30)を備え、該ロータユニット(30)がその回転に伴って吸着ゾーン(71)、再生ゾーン(72)、及びパージゾーン(73)の順に切り換わるように区画された吸着ロータ(70)を有し、上記空気通路(P)が、上記吸着ロータ(70)の吸着ゾーン(71)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給されるロータ給気通路(P71)を含む給気通路(P1)と、再生ヒータ(21)で加熱した再生空気を上記吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)に流すロータ再生通路(P2)を含む再生通路(P2)と、再生ゾーン(72)と吸着ゾーン(71)の間に位置する1つのパージゾーン(73)を通過するパージ通路(P73)とを備えた除湿システムを前提としている。
【0010】
そして、この除湿システムは、上記パージ通路(P73)が、上記1つのパージゾーン(73)を通過して空気が循環する循環回路(C)により構成され、該循環回路(C)には、パージゾーン(73)への空気流入側に位置するパージ空気冷却器(31)と、空気を該循環回路(C)で循環させる循環ファン(32)が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この第1の発明では、パージゾーン(73)を通過する空気は、循環回路(C)で構成されたパージ通路(P73)を循環する空気である。また、パージ通路(P73)を通ってパージゾーン(73)へ流入する空気はパージ空気冷却器(31)で冷却された空気であり、水分も少ないので、低露点の空気がパージゾーン(73)へ流入する。このように低露点の空気がパージゾーン(73)を通過するので、水分がパージゾーン(73)に吸着されにくくなる。したがって、パージゾーン(73)から遷移した吸着ゾーン(71)の水分が少なくなるので、該吸着ゾーン(71)を通過する空気の露点温度も低くなる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記ロータ給気通路(P71)には、上記ロータユニット(30)の下流側で分岐した分岐通路(P51)が設けられ、該分岐通路(P51)は、再生ヒータ(21)を介して、上記ロータ再生通路(P72)における上記ロータユニット(30)の上流側に接続されていることを特徴としている。
【0013】
この第2の発明では、ロータ給気通路(P71)においてロータユニット(30)を通過した低露点の空気が再生ヒータ(21)で加熱され、再生ゾーン(72)に供給されて該再生ゾーン(72)の吸着剤が再生される。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記除湿ユニット(10)が、上記給気通路(P1)上で上記吸着ロータ(70)の上流側に配置された吸着部(101,102)を有する前段側除湿ユニット(20)を備え、該前段側除湿ユニット(20)の再生部(102,101)は上記吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)の下流側に接続されていることを特徴としている。
【0015】
この第3の発明では、給気通路(P1)において、前段側除湿ユニット(20)で吸着除湿された空気がさらに吸着ロータ(70)で除湿される。また、再生通路(P2)においては、吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)を再生した空気が前段側除湿ユニット(20)の再生部(102,101)を通過する。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、上記前段側除湿ユニット(20)が、吸着側と再生側とに交互に切り換えられる2つの吸着熱交換器(101,102)を有する熱交換器ユニット(20)であり、上記熱交換器ユニット(20)が、吸着側の吸着熱交換器(101,102)が上記給気通路(P1)上で上記吸着ロータ(70)の上流側に位置するとともに、再生側の吸着熱交換器(102,101)が上記再生通路(P2)上で上記吸着ロータ(70)の下流側に位置するように、吸着側と再生側が切り換え可能であることを特徴としている。
【0017】
この第4の発明では、給気通路(P1)において、前段側除湿ユニット(20)である熱交換器ユニット(20)の吸着側の吸着熱交換器(101,102)で吸着除湿された空気がさらに吸着ロータ(70)で除湿される。また、再生通路(P2)においては、吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)を再生した空気が熱交換器ユニット(20)の再生側の吸着熱交換器(102,101)を通過する。また、熱交換器ユニット(20)の吸着熱交換器(101,102)は、吸着側と再生側が交互に切り換えられる。
【0018】
第5の発明は、第3の発明において、上記前段側除湿ユニット(20)に対して給気通路(P1)上で下流側に位置するロータユニット(30)にのみ、上記循環回路(C)が設けられていることを特徴としている。
【0019】
この第5の発明では、前段側除湿ユニット(20)に対して後段側に位置するロータユニット(30)において、循環回路(C)で形成されたパージ通路(P73)を用いて吸着ロータ(70)のパージ動作が行われる。
【0020】
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれか1つにおいて、上記ロータ給気通路(P71)には、上記ロータユニット(30)への空気の流入部に露点温度センサ(40)が設けられ、該ロータ給気通路(P71)の露点温度が所定値よりも高い場合に、上記循環回路(C)の循環ファン(32)の回転数が所定回転速度よりも速い回転速度に設定されることを特徴としている。
【0021】
この第6の発明では、ロータ給気通路(P71)におけるロータユニット(30)の空気の流入部の露点温度が所定値よりも高い場合、循環ファン(32)の回転速度が速くなる。このことにより、給気の露点温度を下げることができる(
図2参照)。
【0022】
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれか1つにおいて、上記循環回路(C)のパージ空気冷却器(31)と上記再生ヒータ(21)とがヒートポンプ回路(60)に接続されていることを特徴としている。
【0023】
この第7の発明では、再生空気の温度に応じてヒートポンプ回路(60)の圧縮機の出力が制御される。吸着ロータ(70)の除湿能力に対するパージ空気の温度の影響は小さいため、パージ空気冷却器(31)は成り行きで制御すればよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、パージ通路(P73)を循環回路(C)にするとともにパージゾーン(73)への流入側にパージ空気冷却器(31)を設けたことにより、パージ空気の露点温度を単独で調節できる。したがって、パージ空気の露点を下げることにより、パージゾーン(73)での水分の吸着を防ぎ(パージゾーン(73)を顕熱交換のみに利用し)、ひいては吸着ゾーン(71)の除湿能力を高められる。また、パージゾーン(73)で水分が吸着しにくくなるから、再生ゾーン(72)の再生温度を低くすることも可能となる。したがって、本発明によれば、吸着ロータ(70)の低温再生が可能となる。
【0025】
上記第2の発明によれば、ロータ給気通路(P71)においてロータユニット(30)を通過した低露点の空気を再生ヒータ(21)で加熱し、再生ゾーン(72)に供給することにより、該再生ゾーン(72)の吸着剤を低温で再生できる。
【0026】
上記第3の発明によれば、前段側除湿ユニット(20)とロータユニット(30)の二段階で空気を吸着除湿することにより低露点の空気を生成でき、なおかつ吸着ロータ(70)の低温再生も実現できる。
【0027】
上記第4の発明によれば、前段側除湿ユニット(20)である熱交換器ユニット(20)とロータユニット(30)との二段階で空気を吸着除湿することにより低露点の空気を生成でき、なおかつ吸着ロータ(70)の低温再生も実現できる。また、熱交換器ユニット(20)の吸着熱交換器(101,102)を交互に吸着側と再生側に切り換えることにより、熱交換器ユニット(20)を用いたシステムにおいて連続運転を行う構成を容易に実現できる。
【0028】
上記第5の発明によれば、前段側除湿ユニット(20)に対して後段側に位置するロータユニット(30)において、循環回路(C)で形成されたパージ通路(P73)を用いて吸着ロータ(70)のパージ動作が行われる。パージ動作の効果は低露点側(後段側)の方が大きいので、この発明によればパージ動作を効率よく行うことができる。
【0029】
上記第6の発明によれば、ロータ給気通路(P71)におけるロータユニット(30)の空気の流入部の露点温度が所定値よりも高い場合、循環ファン(32)の回転速度を速くすることにより、吸着ロータ(70)への給気の露点温度を下げることができる。このことにより、室内へ供給する空気の露点温度を確実に下げることができるとともに、低温再生も確実に実現できる。
【0030】
また、上記第7の発明によれば、再生空気の温度によりヒートポンプ回路(60)の圧縮機の出力を制御し、パージ空気冷却器(31)は成り行きで冷やすようにしているので、制御を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、実施形態の除湿システム(1)の構成例を示している。この除湿システム(1)は、空気(この例では、室外空気(OA))を除湿して調湿空間(S0)に供給するものである。この例では、調湿空間(S0)は、室内空間(S1)によって構成されている。室内空間(S1)は、露点温度が低い空気(例えば、露点温度が−50℃以下の空気)の供給を要求されている空間であり、例えば、リチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームである。
【0034】
除湿システム(1)は、空気が流れる空気通路(P)と、該空気通路(P)上に配置された除湿ユニット(10)とを備えている。除湿ユニット(10)は、熱交換器ユニット(前段側除湿ユニット)(20)とロータユニット(30)とを有している。また、空気通路(P)は、給気通路(P1)と再生通路(P2)とを有している。
【0035】
上記熱交換器ユニット(20)は、冷媒回路(100)と、冷媒回路(100)に接続されて吸着側と再生側とに交互に切り換えられる2つの吸着熱交換器(第1吸着熱交換器(101)及び第2吸着熱交換器(102))と、2つの熱交換室(第1熱交換室(S11)及び第2熱交換室(S12))と、2つの吸着ブロック(第1吸着ブロック(301)及び第2吸着ブロック(302))とを有している。
【0036】
また、上記ロータユニット(30)は、吸着ゾーン(71)と再生ゾーン(72)とパージゾーン(73)とに区画された吸着ロータ(70)を有している。パージゾーン(73)は、再生ゾーン(72)の半分程度の面積に設定されていて、再生ゾーン(72)と吸着ゾーン(71)の間に1つだけ設けられている。上記空気通路(P)には、ロータ給気通路(P71)と、ロータ再生通路(P72)と、パージ通路(P73)と、冷却空気通路(P80)とが設けられている。ロータユニット(30)は、吸着ゾーン(71)になっている部分がその回転に伴って再生ゾーン(72)及びパージゾーン(73)の順に切り換わり、その後に吸着ゾーン(71)に戻るように構成されている。
【0037】
<空気通路>
空気通路(P)の給気通路(P1)は、上記吸着ロータ(70)の吸着ゾーン(71)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給される上記ロータ給気通路(P71)を含み、排気通路(P2)は、再生ヒータ(21)で加熱した再生空気を上記吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)に流す上記ロータ再生通路(P72)を含んでいる。また、上記パージ通路(P73)は、再生ゾーン(72)と吸着ゾーン(71)の間にパージゾーン(73)を通過している。
【0038】
給気通路(P1)には、上述したように、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)が流れる。この例では、給気通路(P1)は、室外空間から室外空気(OA)を取り込んで供給空気(SA)を室内空間(S1)に供給するように構成されている。具体的には、給気通路(P1)は、流入端が室外空間に接続される第1給気通路部(P11)と、流出端がロータ給気通路(P71)を介して室内空間(S1)に接続される第2給気通路部(P12)とを有している。この例では、給気通路(P1)の第1給気通路部(P11)には外気冷却器(11)が設けられ、外気冷却器(11)の近傍にはドレンパン(12)が設けられている。
【0039】
外気冷却器(11)は、室外空気(OA)を冷却して除湿する。例えば、外気冷却器(11)は、冷媒回路(図示を省略)の蒸発器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)によって構成することができる。ドレンパン(12)は、外気冷却器(11)において凝縮した水を回収する。例えば、ドレンパン(12)は、外気冷却器(11)において凝縮した水を受け止めることができるように、上面が開口する容器によって構成されて外気冷却器(11)の下方に配置されている。
【0040】
ロータ給気通路(P71)には、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)が流れる。この例では、ロータ給気通路(P71)は、給気通路(P1)の流出端から空気を取り込んで供給空気(SA)を室内空間(S1)に供給するよう構成されている。具体的には、ロータ給気通路(P71)は、その流入端が給気通路(P1)の流出端に接続され、その流出端が室内空間(S1)に接続されている。
【0041】
上記給気通路(P1)には、上記ロータユニット(30)の下流側でロータ給気通路(P71)から分岐した分岐通路(P51)が接続されている。この分岐通路(P51)は、再生ヒータ(21)を介して、上記ロータ再生通路(P72)における上記ロータユニット(30)の上流側に接続されている。
【0042】
再生通路(P2)には、吸着剤を再生するための空気が流れる。この例では、再生通路(P2)は、ロータ給気通路(P71)から分岐した空気がロータ再生通路(P72)を通過した後、その空気が排出空気(EA)として室外空間に排出されるように構成されている。具体的には、ロータ再生通路(P72)は、その流入端がロータ給気通路(P71)の流出端に接続され、その流出端が再生通路(P2)の流入端に接続されている。ロータ再生通路(P72)には、吸着剤を再生するための空気(この例では、ロータ給気通路(P71)から供給された空気)が流れる。
【0043】
再生通路(P2)は、流入端がロータ再生通路(P72)に接続される第1再生通路部(P21)と、流出端が室外空間に接続される第2再生通路部(P22)とを有している。なお、この例では、室内空間(S1)の空気の一部は、室内空間(S1)から室外へ直接、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0044】
上記パージ通路(P73)は、上記1つのパージゾーン(73)を通過する空気が循環する循環回路(C)により構成されている。この循環回路(C)には、パージゾーン(73)への空気流入側に位置するパージ空気冷却器(31)と、空気を該循環回路(C)で循環させる循環ファン(32)が設けられている。上記循環回路(C)は、上記熱交換器ユニット(20)に対して給気通路(P1)上で下流側に位置するロータユニット(30)にのみ設けられている。
【0045】
冷却空気通路(P80)には、冷却および除湿された空気が流れる。この例では、冷却空気通路(P80)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んでその空気を給気通路(P1)の中間部(詳しくは、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が通過する部分)に供給するように構成されている。具体的には、冷却空気通路(P80)は、その流入端が室内空間(S1)に接続され、その流出端が給気通路(P1)の中途部に接続されている。
【0046】
冷却空気通路(P80)には補助冷却器(80)が設けられている。この補助冷却器(80)は、冷却空気通路(P80)を流れる空気(この例では、室内空気(RA))を冷却する。例えば、補助冷却器(80)は、冷媒回路(図示を省略)の蒸発器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)によって構成することができる。冷却空気通路(P80)において冷却された空気は、給気通路(P1)を流れる空気(この例では、除湿ユニット(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気)と合流する。
【0047】
給気通路(P1)には、冷却空気通路(P80)の接続点と、ロータユニット(30)との間に、空気を冷却する第2補助冷却器(85)が設けられている。第2補助冷却器(85)は、例えば、冷媒回路(図示を省略)の蒸発器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)によって構成することができる。なお、この実施形態では、吸着ロータ(70)の吸着ゾーン(71)への入口側に補助冷却器(80)と第2補助冷却器(85)の両方を設ける例を示しているが、実際の製品では、第2補助冷却器(85)を設ける場合には補助冷却器(80)は設けなくてよい。つまり、補助冷却器(80)と第2補助冷却器(85)は何れか一方を設ければよい。
【0048】
また、上記給気通路(P1)には、上記ロータユニット(30)への空気の流入部に露点温度センサ(40)が設けられている。そして、該給気通路(P1)の露点温度が所定値よりも高い場合には、上記循環回路(C)の循環ファン(32)の回転数が所定回転速度よりも速い回転数に設定されるように構成されている。循環ファン(32)の回転数を速くすると、単位時間あたりの風量が増え、それに伴って
図2に示すように露点温度が低下する。
【0049】
さらに、上記循環回路(C)のパージ空気冷却器(31)と上記再生ヒータ(21)とは、ヒートポンプ回路(冷媒回路)(60)に接続されている。
【0050】
<熱交換器ユニット>
第1および第2熱交換室(S11,S12)は、一方の熱交換室を給気通路(P1)の一部として給気通路(P1)に組み込むとともに他方の熱交換室を再生通路(P2)の一部として再生通路(P2)に組み込むことができるように構成されている。具体的には、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々は、第1給気通路部(P11)の流出端と第2給気通路部(P12)の流入端との間に接続されることによって給気通路(P1)に組み込まれて空気(すなわち、調湿空間(S0)に供給するための空気)が流通し、第1再生通路部(P21)の流出端と第2再生通路部(P22)の流入端との間に接続されることによって再生通路(P2)に組み込まれて空気(すなわち、吸着剤を再生するための空気)が流通する。なお、以下の説明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の総称を単に「熱交換室(S11,S12)」と表記する。
【0051】
冷媒回路(100)は、冷媒を循環させて冷凍サイクル動作を実行するものであり、第1および第2吸着熱交換器(101,102)と、圧縮機(103)と、膨張弁(104)と、四方切換弁(105)とを備えている。
【0052】
第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々は、熱交換器(例えば、クロスフィン型のフィンアンドチューブ式の熱交換器)の表面に吸着剤を担持させることによって構成されている。また、第1および第2吸着熱交換器(101,102)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)にそれぞれ設けられている。なお、吸着剤として、ゼオライト,シリカゲル,活性炭,親水性の官能基を有する有機高分子材料を用いてもよいし、水分を吸着する機能だけではなく水分を吸収する機能も有する材料(所謂、収着剤)を用いてもよい。なお、以下の説明では、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の総称を単に「吸着熱交換器(101,102)」と表記する。
【0053】
圧縮機(103)は、冷媒を圧縮して吐出する。また、圧縮機(103)は、コントローラ(図示せず)の制御によって回転数(運転周波数)を変更可能に構成されている。例えば、圧縮機(103)は、インバータ回路(図示を省略)により回転数を調節可能な可変容量式の圧縮機(ロータリー式,スイング式,スクロール式などの圧縮機)によって構成されている。
【0054】
膨張弁(104)は、冷媒の圧力を調整する。例えば、膨張弁(104)は、上記コントローラによる制御に応答して開度を変更可能な電子膨張弁によって構成されている。
【0055】
四方切換弁(105)は、第1〜第4ポートを有し、第1ポートは、圧縮機(103)の吐出側に接続され、第2ポートは、圧縮機(103)の吸入側に接続され、第3ポートは、第2吸着熱交換器(102)の端部に接続され、第4ポートは、第1吸着熱交換器(101)の端部に接続されている。四方切換弁(105)は、上記コントローラによる制御に応答して、第1接続状態(
図1の実線で示された状態)と、第2接続状態(
図1の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0056】
四方切換弁(105)が第1接続状態になっている場合、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって空気を加湿する(すなわち、吸着剤を再生させる)第1冷凍サイクル動作(第1動作)を実行する。一方、四方切換弁(105)が第2接続状態になっている場合、冷媒回路(100)は、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿し第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって空気を加湿する(すなわち、吸着剤を再生させる)第2冷凍サイクル動作(第2動作)を実行する。このように、冷媒回路(100)は、上記コントローラによる制御に応答して、第1および第2冷凍サイクル動作を実行可能に構成されている。具体的には、冷媒回路(100)は、第1および第2冷凍サイクル動作を交互に行うように構成されている。
【0057】
四方切換弁(105)が第1接続状態になると、第1ポートと第3ポートとが連通するとともに第2ポートと第4ポートとが連通する。これにより、圧縮機(103)によって圧縮された冷媒は、四方切換弁(105)を通過して第2吸着熱交換器(102)に流れ込む。第2吸着熱交換器(102)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第2吸着熱交換器(102)において放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(104)によって減圧された後、第1吸着熱交換器(101)に流れ込む。第1吸着熱交換器(101)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第1吸着熱交換器(101)において吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(103)に吸入されて圧縮される。
【0058】
四方切換弁(105)が第2接続状態になると、第1ポートと第4ポートとが連通するとともに第2ポートと第3ポートとが連通する。これにより、圧縮機(103)によって圧縮された冷媒は、四方切換弁(105)を通過して第1吸着熱交換器(101)に流れ込む。第1吸着熱交換器(101)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第1吸着熱交換器(101)において放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(104)によって減圧された後、第2吸着熱交換器(102)に流れ込む。第2吸着熱交換器(102)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第2吸着熱交換器(102)において吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(103)に吸入されて圧縮される。
【0059】
切換機構(200)は、上記コントローラによる制御に応答して、第1および第2熱交換室(S11,S12)と給気通路(P1)および再生通路(P2)との接続状態を、第1通路状態(
図1の実線で示された状態)と第2通路状態(
図1の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0060】
第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2給気通路部(P11,P12)の間に接続されて給気通路(P1)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2再生通路部(P21,P22)の間に接続されて再生通路(P2)に組み込まれる。
【0061】
第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2再生通路部(P21,P22)の間に接続されて再生通路(P2)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2給気通路部(P11,P12)の間に接続されて給気通路(P1)に組み込まれる。
【0062】
また、切換機構(200)は、四方切換弁(105)が第1接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態に設定し、四方切換弁(105)が第2接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態に設定する。このように、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器が設けられた熱交換室が給気通路(P1)の一部として組み込まれ、凝縮器となっている吸着熱交換器が設けられた熱交換室が再生通路(P2)の一部として組み込まれるように、冷媒回路(100)の冷凍サイクル動作の切り換えと連動して第1および第2熱交換室(S11,S12)と給気通路(P1)および再生通路(P2)との接続状態を切換可能に構成されている。すなわち、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0063】
第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成されている。例えば、第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、構造体(具体的には、ハニカム構造を有する構造体)の表面に吸着剤を担持させることによって構成されている。また、第1および第2吸着ブロック(301,302)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)にそれぞれ設けられる。なお、以下の説明では、第1および第2吸着ブロック(301,302)の総称を単に「吸着ブロック(301,302)」と表記する。
【0064】
第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。換言すると、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に配置されている。
【0065】
これと同様に、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。換言すると、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図1の破線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に配置されている。
【0066】
以上のように、本実施形態の熱交換器ユニット(前段側除湿ユニット)(20)は、上記給気通路(P1)上で上記吸着ロータ(70)の上流側に位置する吸着部(吸着側の吸着熱交換器)(101,102)を有している。また、この熱交換器ユニット(20)の再生部(再生側の吸着熱交換器)(102,101)は、上記吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)の下流側に接続されている。
【0067】
つまり、上記熱交換器ユニット(20)は、吸着側と再生側とに交互に切り換えられる2つの吸着熱交換器(101,102)を有し、吸着側の吸着熱交換器(101,102)が上記給気通路(P1)上で上記吸着ロータ(70)の上流側に位置するとともに、再生側の吸着熱交換器(102,101)が上記再生通路(P2)上で上記吸着ロータ(70)の下流側に位置するように、吸着側と再生側が切り換え可能になっている。
<ロータユニット>
ロータユニット(30)は上記再生ヒータ(21)を備えている。再生ヒータ(21)は、ロータ再生通路(P72)に設けられ、吸着剤を再生するための空気(この例では、パージ通路(P73)から分岐通路(P51)を通ってロータ再生通路(P72)に供給された空気)を加熱するように構成されている。なお、再生ヒータ(21)における加熱温度は、吸着熱交換器(101,102)の凝縮温度の上限値よりも低い温度(例えば、45℃)に設定されている。
【0068】
上記吸着ロータ(70)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤を担持させることによって構成され、ロータ給気通路(P71)とロータ再生通路(P72)とパージ通路(P73)とに跨って配置されている。そして、吸着ロータ(70)は、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、ロータ給気通路(P71)とロータ再生通路(P72)とパージ通路(P73)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。具体的には、吸着ロータ(70)は、ロータ給気通路(P71)に配置される上記吸着ゾーン(71)と、ロータ再生通路(P72)に配置される上記再生ゾーン(72)と、パージ通路(P73)に配置される上記パージゾーン(73)とを有している。そして、吸着ロータ(70)に担持された吸着剤は、吸着ロータ(70)の回転に伴って吸着ゾーン(71)と再生ゾーン(72)とパージゾーン(73)とを順に移動する。すなわち、吸着ロータ(70)は、吸着ゾーン(71)に位置する部分が再生ゾーン(72)へ移動し、再生ゾーン(72)に位置する部分がパージゾーン(73)へ移動し、パージゾーン(73)に位置する部分が吸着ゾーン(71)へ移動するように回転する。
【0069】
吸着ゾーン(71)は、ロータ給気通路(P71)を流れる空気(この例では、除湿ユニット(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気に冷却空気通路(P80)を通過した空気を混合した空気)を吸着剤と接触させてその空気を除湿するための部分である。吸着ゾーン(71)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0070】
再生ゾーン(72)は、ロータ再生通路(P72)において再生ヒータ(21)の下流側となる位置に配置され、ロータ給気通路(P71)から分岐通路(P51)で分岐した後にロータ再生通路(P72)を流れる空気(この例では、再生ヒータ(21)を通過した空気)を吸着剤と接触させて吸着剤を再生するための部分である。再生ゾーン(72)を通過した空気は、再生通路(P2)に供給される。
【0071】
パージゾーン(73)は、再生ゾーン(72)の排熱(具体的には、再生ゾーン(72)において吸着剤の再生に利用されなかった排熱)を処理するための部分である。具体的には、再生ゾーン(72)に位置する部分(すなわち、再生ヒータ(21)を通過した空気によって加熱される部分)は、吸着ロータ(70)の回転に伴ってパージゾーン(73)へ移動すると、パージ通路(P73)を循環する空気に、パージゾーン(73)から熱(すなわち、再生ゾーン(72)の排熱)が付与される。また、パージゾーン(73)に位置する部分は、パージ通路(P73)を通過する空気に熱を付与して冷却された後に、吸着ロータ(70)の回転に伴って吸着ゾーン(71)へ移動する。
【0072】
−運転動作−
〈除湿ユニットによる除湿運転〉
次に、
図1を参照して、この実施形態の除湿ユニット(10)の除湿運転について説明する。この除湿ユニット(10)は、第1および第2除湿動作を所定の時間間隔(例えば、5分間隔)で交互に繰り返す。
【0073】
《第1除湿動作》
第1除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図1の実線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる第1冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態(
図1の実線で示した状態)に設定する。
【0074】
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、外気冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の中の水分が第1吸着熱交換器(101)の吸着剤に吸着する。また、その吸着の際に生じた吸着熱が第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒に吸熱される。このように、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第1吸着熱交換器(101)によって除湿および冷却された空気は、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、この空気中の水分が第1吸着ブロック(301)の吸着剤に吸着する。これにより、第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気は、第1吸着ブロック(301)によってさらに除湿される。
【0075】
第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過して除湿された空気は、第2補助冷却器(85)を通過し、さらにロータ給気通路(P71)を通過して、室内空間(S1)に供給空気(SA)として供給される。
【0076】
再生通路(P2)には、給気通路(P1)の流出端で分岐通路(P51)へ分流した空気が吸着ロータ(70)で処理されてから流れていく。具体的には、給気通路(P1)の流出端の空気は除湿冷却された空気であり、この空気が再生ヒータ(21)で加熱されてからロータ再生通路(P72)を通って吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)を通過し、吸着剤を再生する。
【0077】
ロータ再生通路(P72)を通過した空気は、再生通路(P2)を流れ、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、まずは、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、第2吸着ブロック(302)の吸着剤中の水分が空気中に放出され、第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。次に、第2吸着ブロック(302)を通った空気は、凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。このとき、第2吸着熱交換器(102)を通過する空気が第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒によって加熱される。また、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤中の水分が第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の中に放出される。これにより、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤が再生される。このように、凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤から水分を付与されて湿度がさらに上昇するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。第2吸着ブロック(302)および第2吸着熱交換器(102)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0078】
パージ通路(P73)では、循環回路(C)を循環する空気がパージ空気冷却器(31)で冷却されてからパージゾーン(73)を通過する。パージ空気冷却器(31)で冷却された空気は低露点の空気であるから、パージゾーン(73)では水分がほとんど吸着されず(パージゾーンが顕熱交換のみに利用され)、吸着ゾーン(71)の除湿能力が高くなり、吸着ゾーン(71)を通過した空気の露点温度が低くなる。そして、この実施形態では、ロータ吸着通路(P71)から吸着ロータ(30)の下流側で分岐通路(P50)へ分岐した低露点の空気を再生ヒータ(21)で加熱することにより、吸着ロータ(70)の低温再生が可能になる。
【0079】
《第2除湿動作》
第2除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第2接続状態(
図1の破線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる第2冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態(
図1の破線で示した状態)に設定する。
【0080】
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、外気冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。このとき、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第2吸着熱交換器(102)によって除湿および冷却された空気は、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、この空気中の水分が第2吸着ブロック(302)の吸着剤に吸着する。これにより、第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気は、第2吸着ブロック(302)によってさらに除湿される。
【0081】
第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過して除湿された空気は、第2補助冷却器(85)を通過し、さらにロータ給気通路(P71)を通過して、室内空間(S1)に供給空気(SA)として供給される。
【0082】
再生通路(P2)には、給気通路(P1)の流出端で分岐通路(P51)へ分流した空気が吸着ロータ(70)で処理されてから流れていく。具体的には、給気通路(P1)の流出端の空気は除湿冷却された空気であり、この空気が再生ヒータ(21)で加熱されてからロータ再生通路(P72)を通って吸着ロータ(70)の再生ゾーン(72)を通過し、吸着剤を再生する。
【0083】
ロータ再生通路(P72)を通過した空気は、再生通路(P2)を流れ、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、まずは、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、第1吸着ブロック(301)の吸着剤中の水分が空気中に放出され、第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。次に、第1吸着ブロック(301)を通った空気は、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、第1吸着熱交換器(101)を通過する空気が第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒によって加熱される。また、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤中の水分が第1吸着熱交換器(101)を通過する空気に放出される。これにより、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤が再生される。このように、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤から水分を付与されて湿度がさらに上昇するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。これにより、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤が再生される。第1吸着ブロック(301)および第1吸着熱交換器(101)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0084】
パージ通路(P73)では、循環回路(C)を循環する空気がパージ空気冷却器(31)で冷却されてパージゾーン(73)を通過する。パージ空気冷却器(31)で冷却された空気は低露点の空気であるから、パージゾーン(73)では水分がほとんど吸着されず(パージゾーンが顕熱交換のみに利用され)、吸着ゾーン(71)の除湿能力が高くなり、吸着ゾーン(71)を通過した空気の露点温度が低くなる。そして、この実施形態では、吸着ロータ(30)の下流側で吸着通路(P1)から分岐通路(P50)へ分岐した低露点の空気を再生ヒータ(21)で加熱することにより、低温再生が可能になる。
【0085】
なお、本実施形態では、処理空気の静圧がパージ空気の静圧より大きくなるように、循環ファン(32)の回転数が制御される。このようにしておけば、パージゾーン(73)が負圧側になるので、吸着ゾーン(71)を低湿度の状態に維持することができる。
【0086】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、パージ通路(P73)を循環回路(C)にするとともにパージゾーン(73)への流入側にパージ空気冷却器(31)を設けたことにより、パージ空気の露点温度を調節できる。そして、パージ空気の露点を下げることで、パージゾーン(73)での水分の吸着を防ぎ(パージゾーン(73)を顕熱交換のみに利用し)、吸着ゾーン(71)へ遷移したときの水分量を減らすことにより吸着ゾーン(71)の除湿能力を高められる。また、パージゾーン(73)で水分が吸着しないから、再生ゾーン(72)の再生温度を低くすることも可能となる。このように、本発明によれば、吸着ロータ(70)の低温再生が可能になる。
【0087】
また、この実施形態によれば、前段側除湿ユニット(20)である熱交換器ユニット(20)とロータユニット(30)の二段階で空気を吸着除湿することにより低露点の空気を生成でき、なおかつ吸着ロータ(70)の低温再生も実現できる効果を得ることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、前段側除湿ユニット(20)に対して後段側に位置するロータユニット(30)において、循環回路(C)で形成されたパージ通路(P73)を用いてロータのパージ動作が行われる。パージの効果は低露点側(下流側)の方が大きいので、この発明によれば、吸着ロータ(70)の低温再生を効率よく実現することができる。
【0089】
さらに、熱交換器ユニット(20)の吸着熱交換器(101,102)を、交互に吸着側と再生側に切り換えることにより、熱交換器ユニット(20)を用いたシステムにおいて連続運転を行うことができる。
【0090】
さらに、本実施形態によれば、給気通路(P1)におけるロータユニット(30)の空気の流入部の露点温度が所定値よりも高い場合、循環ファン(32)の回転速度を速くすることにより、吸着ロータ(70)への給気の露点温度を下げることができる。このことにより、室内へ供給する空気の露点温度を確実に下げることができるとともに、低温再生も確実に実現できる。
【0091】
また、本実施形態によれば、再生空気の温度に応じてヒートポンプ回路(60)の圧縮機の出力を制御し、パージ空気冷却器(31)は成り行きで冷やすことができるので、制御を容易に行うことができる。なお、再生ヒータ(21)と外気冷却器(11)をヒートポンプ回路で接続する構成も考えられるが、その場合は外気冷却器(11)の温度が給気露点に大きく影響するために成り行きの制御にはできず、再生温度のみに基づいたシンプルな制御にはならないので、本実施形態において容易に制御を行うことができることの効果は大きい。
【0092】
なお、本実施形態とは異なる構成として、吸着ゾーン(71)が再生ゾーン(72)に遷移する部分に第1のパージゾーンを設け、再生ゾーン(72)が吸着ゾーン(72)に遷移する部分に第2のパージゾーンを設けるとともに、第1のパージゾーンと第2のパージゾーンを通過する循環経路(パージ通路)を設けて第2のパージゾーンへの流入側に冷却器を設けることが考えられる。つまり、パージゾーンを本発明の1箇所とは違い、2箇所に設ける構成である。
【0093】
しかしながら、このようにパージゾーンを2箇所に設けると、本実施形態のようにパージゾーン(73)が1箇所の構成よりも吸着ゾーン(72)の面積が小さくなるので、処理空気の露点が上昇する。つまり、本実施形態のようにパージゾーン(73)を吸着ロータ(70)の1箇所だけに設ける構成であれば、パージゾーンを2箇所に設ける構成と比べて吸着ゾーン(71)の面積を大きくできるので、処理空気の露点温度をより低くすることが可能になる。
【0094】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0095】
例えば、上記実施形態では、前段側除湿ユニットとして熱交換器ユニットを設け、後段側にロータユニットを設けた二段の除湿システムについて説明したが、前段側除湿ユニットにも吸着ロータを有するロータユニットを用いてもよい。また、その場合でも、循環回路(C)からなるパージ通路は後段側のロータユニットに設けるとよい。ただし、必ずしも後段側のロータユニットに循環回路(C)(パージ通路)を設ける必要はなく、前段側のユニットに設けてもよい。
【0096】
また、上記構成では、パージ通路のパージ空気冷却器(31)と再生通路の再生ヒータ(21)とをヒートポンプ回路(60)に接続しているが、必ずしもこれらパージ空気冷却器(31)と再生ヒータ(21)をヒートポンプ回路(60)に接続しなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、ロータ給気通路(P71)から分流した空気を再生ヒータ(21)で加熱して再生ゾーン(72)に流すようにしているが、室内の低露点の空気を再生ヒータ(21)で加熱して再生ゾーン(72)に流すようにしてもよい。
【0098】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。