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特開2017-45383コイン選別装置、およびそのコイン選別装置を備えた収容物排出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-45383(P2017-45383A)
(43)【公開日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】コイン選別装置、およびそのコイン選別装置を備えた収容物排出装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 1/02 20060101AFI20170210BHJP
   G07F 11/24 20060101ALI20170210BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   G07F1/02 102A
   G07F11/24 Z
   A63F9/00 512Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-169233(P2015-169233)
(22)【出願日】2015年8月28日
(71)【出願人】
【識別番号】515227981
【氏名又は名称】株式会社Chappy
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豫風 直人
(72)【発明者】
【氏名】浦野 隆之
【テーマコード(参考)】
3E046
【Fターム(参考)】
3E046AA02
3E046BA01
3E046BB05
3E046BB07
3E046CA15
3E046DA07
3E046EB05
3E046FA03
(57)【要約】
【課題】構成および設計を容易にし、かつ利用方法がわかり易いコイン選別装置および収容物排出装置を提供することである。
【解決手段】コインC1が保持された状態で回転体を回転させたときには、コインC1の表面上に退避し、直径がコインC1よりも小さいコインC2が保持された状態で回転体を回転させたときには、コインC2の外周面と第1ストッパーとの間に入って、コインC1が保持されているときと同じ所定量だけ第1ストッパーを外方に押し出して回転体の回転を許容する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入されたコインを保持する保持部を有する回転体と、該回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触して移動可能な接触部を有し該接触部の移動量に応じて該回転体の回転を阻止可能な回転阻止手段とを備えるコイン選別装置であって、
前記回転阻止手段は、前記接触部の移動量が所定量であるときには前記回転体の回転を許容する一方、前記接触部の移動量が前記所定量未満であるときには前記回転体の回転を阻止し、
前記接触部は、接触するコインの直径が所定値であるときに前記所定量移動し、
コイン選別装置は、さらに、前記保持部に保持されているコインの直径が前記所定値よりも小さい値のうち特定値であるときに、前記回転体の回転に伴って前記所定値と前記特定値との差分だけ多く前記接触部を移動させる移動増加手段を備える、コイン選別装置。
【請求項2】
前記移動増加手段は、前記保持部に保持されているコインの外周面と前記接触部との間の所定停止位置に位置するスペーサーを含み、
前記スペーサーは、前記回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触する接触面を有し、
前記接触面には、接触するコインの直径が前記特定値よりも大きいときに、当該コインの外周面と接触することにより前記所定停止位置から前記スペーサーを退避させる傾斜が設けられている、請求項1に記載のコイン選別装置。
【請求項3】
前記移動増加手段は、前記保持部に保持されているコインの外周面と前記接触部との間の所定停止位置に位置するスペーサーを含み、
前記スペーサーは、前記回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触することにより、前記保持部に保持されているコインの厚み方向、および、前記接触部が移動する方向のいずれにも移動可能に設けられている、請求項1または請求項2に記載のコイン選別装置。
【請求項4】
前記回転体は、投入されたコインを前記保持部に保持可能な保持可能回転位置にあるときと、前記保持可能回転位置から所定角度回転された位置であって投入されたコインを前記保持部に保持できない保持不可能回転位置にあるときとがあり、
コイン選別装置は、前記回転体が前記保持不可能回転位置にあるときに前記保持可能回転位置まで前記回転体を回転可能な回転手段を備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコイン選別装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のコイン選別装置と、
収容物を収容可能な収容部とを備え、
前記回転体が回転することにより前記収容部から収容物を排出する、収容物排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正規なコインが保持されているときに回転体が回転可能となるコイン選別装置、および、コイン選別装置を備えコイン選別装置の回転体が回転することにより収容している収容物を排出する収容物排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収容物排出装置として、玩具等を包装した透明カプセル等の収容物を収納可能であって、投入口から投入されてコイン選別装置に保持されるコインが、非正規なコインであるときには、コイン選別装置の回転体を係止して回転を阻止することにより収容物を排出不能にする一方、正規なコインであるときには、回転体を係止せずに回転を許容し、収容物を排出可能にしたものが知られている。
【0003】
また、このようなコイン選別装置および収容物排出装置として、たとえば、直径が異なる予め定められた複数種類のコイン各々を正規なコインとして選別可能にし、いずれのコインが保持されているときであっても、回転体を係止せずに回転を許容するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−293025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたコイン選別装置および収容物排出装置では、コインの種類毎に、コインを投入する投入口およびコインを保持する保持部を設ける必要がある。また、保持部については、対応する正規のコインが保持されているときに回転体の回転を許容可能にするために、保持部毎にその大きさやコインの入り代(深さ)などを調整する必要がある。このため、コイン選別装置の構成および設計が複雑になり、製造コストが増大してしまう虞があった。
【0006】
また、利用者は、投入しようとするコインの種類に応じた投入口に投入して、当該コインに対応する保持部に保持させる必要がある。このため、利用者にとって利用方法がわかり難くなる虞があった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、構成および設計を容易にし、かつ利用方法がわかり易いコイン選別装置および収容物排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコイン選別装置は、投入されたコインを保持する保持部を有する回転体と、該回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触して移動可能な接触部を有し該接触部の移動量に応じて該回転体の回転を阻止可能な回転阻止手段とを備えるコイン選別装置であって、前記回転阻止手段は、前記接触部の移動量が所定量であるときには前記回転体の回転を許容する一方、前記接触部の移動量が前記所定量未満であるときには前記回転体の回転を阻止し、前記接触部は、接触するコインの直径が所定値であるときに前記所定量移動し、コイン選別装置は、さらに、前記保持部に保持されているコインの直径が前記所定値よりも小さい値のうち特定値であるときに、前記回転体の回転に伴って前記所定値と前記特定値との差分だけ多く前記接触部を移動させる移動増加手段を備える。
【0009】
好ましくは、前記移動増加手段は、前記保持部に保持されているコインの外周面と前記接触部との間の所定停止位置に位置するスペーサーを含み、前記スペーサーは、前記回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触する接触面を有し、前記接触面には、接触するコインの直径が前記特定値よりも大きいときに、当該コインの外周面と接触することにより前記所定停止位置から前記スペーサーを退避させる傾斜が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記移動増加手段は、前記保持部に保持されているコインの外周面と前記接触部との間の所定停止位置に位置するスペーサーを含み、前記スペーサーは、前記回転体の回転に伴って前記保持部に保持されているコインの外周面と接触することにより、前記保持部に保持されているコインの厚み方向、および、前記接触部が移動する方向のいずれにも移動可能に設けられている。
【0011】
好ましくは、前記回転体は、投入されたコインを前記保持部に保持可能な保持可能回転位置にあるときと、前記保持可能回転位置から所定角度回転された位置であって投入されたコインを前記保持部に保持できない保持不可能回転位置にあるときとがあり、コイン選別装置は、前記回転体が前記保持不可能回転位置にあるときに前記保持可能回転位置まで前記回転体を回転可能な回転手段を備える。
【0012】
本発明に係る収容物排出装置は、上記コイン選別装置と、収容物を収容可能な収容部とを備え、前記回転体が回転することにより前記収容部から収容物を排出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保持部を共通としながらも移動増加手段を備えることにより、直径が所定値のコインのみならず直径が特定値のコインでも、接触部を所定量移動させて回転体の回転を許容させることができる。その結果、構成・設計を容易にするとともに、利用方法をわかり易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】収容物排出装置を説明するための図である。
図2】コイン選別装置を説明するための図である。
図3】回転体、第1ストッパー、および第2ストッパーの動作について説明するための図である。
図4】コイン選別部品を説明するための図である。
図5】コイン選別部品の動作について説明するための図である。
図6】回転ハンドルを初期位置に戻す機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。
[収容物排出装置の概要について]
図1(a)は、収容物排出装置1の正面図を示し、図1(b)は、図1(a)中のA−Aに沿った断面図を示している。収容物排出装置1は、箱型の筐体2を有している。筐体2の上面には、収納ケース3が設けられている。収納ケース3は、たとえば玩具等を包装したカプセル等の収容物Xを収容する収容部を形成する。収納ケース3は、蓋体4を有し、当該蓋体4を開いて収容物Xを収容可能に構成されている。
【0016】
筐体2の上面には、回転台11が回転可能に載置されている。回転台11には、収容部に収容されている収容物Xのうちのひとつを排出用の収容物として確保するための排出確保部が複数個(たとえば4つ)設けられている。また、筐体2の上面には、収容物Xを自重により下方へ落下させるための排出孔12が設けられている。
【0017】
回転台11は、筐体2の上面において回転することにより、排出確保部が排出孔12に対応する位置を通過するときに当該排出確保部において確保されているひとつの収容物を落下させて排出可能となるように形成されている。収納ケース3に大きさの異なる収容物(たとえば、径が50mm、65mm、75mmなどのカプセル)が混在して収容されている場合であっても、排出確保部は、そのうちのひとつを排出用の収容物として確保可能となる形状に形成されている。また、排出孔12の上方には、棒状の弾性部材が取り付けられている。棒状の弾性部材は、排出孔12に対応する位置を排出確保部が通過しようとするときに、当該排出確保部が確保した収容物の上に重なる他の収容物を排出確保部の外へ弾き出す。このため、一度に複数の収容物を落下させてしまうことを防止できる。
【0018】
筐体2の前面には、前面カバー部材5が取り付けられており、その下方には排出孔12から落下した収容物を取り出すための収容物取出口16が設けられている。前面カバー部材5は、筐体2に対して取り外し自在に設けられている。前面カバー部材5には、図1(a)において模様が付されているように、任意のデザインを施すことが可能であって、収容物排出装置1を設置する場所や環境などに応じて変化させることができる。
【0019】
前面カバー部材5の後面側には、コイン選別装置6が取り付けられる。コイン選別装置6は、コイン投入口17、返却ボタン21、および回転ハンドル20を有している。コイン投入口17は、コインを投入するための投入口である。返却ボタン21は、投入したコインを返却させるためのボタンである。回転ハンドル20は、収容物Xを収納ケース3から排出させるために操作する操作部である。前面カバー部材5には、コイン選別装置6が有するコイン投入口17、返却ボタン21、および、回転ハンドル20を前面に突出可能な開口が設けられている。
【0020】
回転ハンドル20の後面側には、図1(b)に示されるように、回転軸22の一端が取り付けられている。回転軸22の他端には、歯車23が取り付けられている。回転軸22の断面は、D字状となるように形成されている。また、回転台11の外周下端部には、歯車13が形成されている。歯車13は、回転台11を筐体2の上面に載置させたときに回転台11の最も手前の位置(回転ハンドル20に近い位置)において歯車23と噛み合うように構成されている。これにより、回転ハンドル20を矢印T方向に回転(以下、正回転ともいう)させると、回転力が回転軸22、歯車23、および歯車13を介して回転台11に伝達され、収容物排出装置1を上方から見下ろした場合に回転台11を反時計回りに回転させることができる。
【0021】
収容物排出装置1は、回転ハンドル20からの回転力を回転台11に対して伝達させる機構として、歯車の噛み合わせが1個所となる機構を採用している。これにより、歯車の噛み合わせが複数個所に及ぶ機構と比較し、軽い力で回転ハンドル20を回転させることができ、たとえば非力な子供でも容易に回転させることができる。
【0022】
歯車23と歯車13との減速比は、歯車23が1回転することにより、回転台11に設けられた排出確保部のうちのひとつが排出孔12に対応する位置を通過する角度(たとえば、排出確保部が4つ設けられている場合には、360度÷4=90度)だけ回転台11が回転するように設定されている。このため、回転ハンドル20を1回転させることにより、ひとつの排出確保部に確保されている収容物を排出孔12から排出できる。
【0023】
[コイン選別装置の構成について]
収容物排出装置1は、直径が所定値のコインC1(たとえば、専用コイン)、および、コインC1よりも直径が小さい特定値のコインC2(たとえば、100円硬貨)のいずれをも正規なコインとして判別し、回転ハンドル20の回転を許容するコイン選別装置を備えている。コイン選別装置は、前面カバー部材5の後面側に取り付けられる。
【0024】
ここで、図2を参照してコイン選別装置の構成について説明する。図2は、コイン選別装置6を説明するための図である。図2(a)および(b)は、コイン選別装置6の分解斜視図を示している。
【0025】
コイン選別装置6は、略矩形箱状のコイン選別本体7と、コイン選別本体7の側面上方に取り付けられる返却ボタン21に関する部材と、コイン選別本体7の側面中央に取り付けられる回転ハンドル20に関する部材と、コイン選別本体7の側面下方に取り付けられるアーム部材25に関する部材とを有する。コイン選別装置6は、図2(a)において点線で示される前面カバー部材5の後面側において、コイン投入口17、返却ボタン21、および、回転ハンドル20が前面カバー部材5の開口から突出するように取り付けられる。
【0026】
コイン選別本体7は、図2(b)に示す構成を有している。図2(b)は、回転ハンドル20が取り付けられる側面とは反対の側面上方からのコイン選別本体7の分解斜視図である。コイン選別本体7は、第1ケース体7aと、第2ケース体7bとを組み合わせて形成される。
【0027】
第1ケース体7aの上部には、コイン投入口17から投入されたコインを流下させる流下経路18が設けられている。また、第1ケース体7aには、円形の開口30が設けられている。円盤状の回転体31は、開口30を塞ぐように回転可能に収容される。また、第1ケース体7aの回転体31が収容される外周近傍には、第1ストッパー40と、第2ストッパー45とが設けられる。第1ストッパー40は、回転阻止手段の一例であって、回転体31の正回転を阻止可能である。また、第2ストッパー45は、回転体31の正回転方向とは逆方向の回転(以下、逆回転ともいう)を阻止可能である。
【0028】
ここで、回転体31、第1ストッパー40、および第2ストッパー45について、さらに図2(c)および図3を参照しつつ説明する。図2(c)は、第1ケース体7aに回転体31、第1ストッパー40、および第2ストッパー45が配置された状態を説明するための図である。また、図3は、回転体31、第1ストッパー40、および第2ストッパー45の動作について説明するための図である。
【0029】
回転体31の中心には、回転軸22の断面形状と合致し回転軸22を挿通可能なD字状の挿通孔32が形成されている。また、回転体31の一方側面(図2(b)(c)において示される側面)には、コイン投入口17から投入されて流下したコインを保持可能な保持部としてのコイン保持部33が形成されている。なお、図3(a)の点線は、コインが保持されている状態を例示している。
【0030】
コイン保持部33は、たとえば、直径が所定値以下のコイン(直径が専用コイン以下となるコイン)を適正に保持可能な大きさに形成された凹部である。コイン保持部33は、直径が所定値よりも大きなコインを適正に保持できない。コインが適正に保持されると、コインの下端がコイン保持部33の最下点部(たとえば、図3(a)に示す挿通孔32を形成する壁部のうち平坦面など)に接した状態となる。コイン保持部33は、凹部になっているため、図3(a)などにおいて手前側が開口するが、後述するように、当該手前側にコイン押え部材26が配置されて、コイン保持部33に保持されたコインが落下しないように構成される。
【0031】
コイン保持部33の右上部には、係止片34が形成されている。係止片34は、正回転させたときに第1ストッパー40と係合可能である。さらに、回転体31の外周には、係止片35が複数形成されている。複数の係止片35は、逆回転時に第2ストッパー45と係合可能である。コイン保持部33の略中央には、開口39が設けられている。開口39は、返却ボタン21のコイン返却用の脚部が挿通可能である。さらに、回転体31の他方側面(図2(a)において示される側面)には、突起部36が設けられている。突起部36は、アーム部材25と係合可能である。
【0032】
第1ストッパー40は、略台形状に形成されており、円弧状の接触部42と、平面部44と、爪部41とが設けられている。接触部42は、回転体31のコイン保持部33に保持されているコインの外周面と接触可能である。平面部44は、接触部42と直交する面である。爪部41は、平面部44の端に設けられており、回転体31の係止片34と係合して当該回転体31の回転を阻止する。
【0033】
第1ストッパー40は、一方端が第1ケース体7aに設けられた軸により軸支され、他方端が回動可能となるように第1ケース体7aに取り付けられている。第1ストッパー40は、弾性体43(たとえば、バネ)によって下底に相当する側面が回転体31の中心方向に付勢される。その結果、爪部41は、回転体31の中心方向に付勢される。これにより、正規なコインが回転体31に保持されていない状態において、正回転させたときには、図3(b)に示すように、係止片34が第1ストッパー40の爪部41と係合して、それ以上の回転が阻止される。
【0034】
一方、正規なコインC1が回転体31に保持されている状態において、正回転させたときには、回転体31の回転に伴って、第1ストッパー40の接触部42にコインC1の外周面が接触して、第1ストッパー40が所定量外方に押し出される。一方、回転体31の係止片34は、第1ストッパー40が所定量押し出されているときに、図3(c)に示すように、爪部41と係合しない位置関係となるように設計されている。このため、正規なコインC1が回転体31に保持されるなどして第1ストッパー40が所定量移動したときには、回転体31の回転を許容させることができる。なお、第1ストッパー40を通過した後は、コイン保持部33が下方位置まで回転したときにコインの保持が解除されて落下し、所定の通路を介して筐体2内のコイン収納ボックスに格納される。
【0035】
正規なコインC1よりも直径が小さいコインが保持されているときには、図3(a)に示す構造だけでは、当該コインの外周面によって第1ストッパー40の接触部42を外方へ所定量押し出すことができない。このため、係止片34が爪部41と係合して、それ以上正回転されることが阻止されることになる。しかし、コイン選別装置6は、コイン保持部33に保持されているコインの直径がコインC1よりもSだけ小さいコインC2であるときに、回転体31の回転に伴ってSだけ多く第1ストッパー40を移動させる。このため、コインC1だけでなくコインC2をも正規なコインとして判別できる。
【0036】
なお、直径がコインC1よりも大きいコインが保持された状態で正回転させたときには、コインの外周面がコイン保持部33を形成する凹部に引っかかり、適正に保持されずにコインの上端が出っ張る。このため、回転体31を回転させたとしても、当該コインの上端が第1ケース体7aの壁部に当接するか、あるいは、第1ストッパー40が回動可能な許容範囲を超えてしまい第1ストッパー40の下底に相当する側面が第1ケース体7aの壁部に当接するなどにより、回転不能となるように構成されている。
【0037】
第2ストッパー45は、略直方体に形成されており、一端に爪部46が設けられている。爪部46は、回転体31の係止片35を係止して当該回転体31の逆回転を阻止する。第2ストッパー45は、一方端が第1ケース体7aに設けられた軸により軸支され、他方端が回動可能となるように第1ケース体7aに取り付けられ、弾性体47(たとえば、バネ)によって回転体31の中心方向に付勢される。その結果、爪部46は、回転体31の中心方向に付勢される。このため、図3(a)に示すように、回転体31の係止片35と、第2ストッパー45の爪部46とが係合し、回転体31の逆回転を阻止できる。また、回転体31の外周には、係止片35が複数設けられおり、回転途中における逆回転をも阻止できる。
【0038】
図2(b)に戻り、第2ケース体7bについて説明する。第2ケース体7bの上部には、十字状のコイン押え部材26を回転体31の側面と接触させるための開口27が設けられ、その下方には回転軸22を挿通して軸支するための軸穴37が形成されている。また、第2ケース体7bには、第1ケース体7aと組み合わせたときに第1ストッパー40の接触部42とコイン保持部33に保持されるコインの外周面との間の領域に対向して開口38が設けられている。また、第2ケース体7bには、開口38を臨むようにコイン選別部品8が取り付けられる。コイン選別部品8は、移動増加手段の一例である。図2(d)は、コイン選別部品8が第2ケース体7bに取り付けられている状態を示す図である。
【0039】
第1ケース体7aと第2ケース体7bとが組合されたコイン選別本体7に対しては、図2(a)に示すように、返却ボタン21に関する部材と、回転ハンドル20に関する部材と、アーム部材25に関する部材とが取り付けられる。
【0040】
返却ボタン21に関する部材としては、返却ボタン21と、弾性体28a、28bと、コイン押え部材26とを有している。返却ボタン21は、十字状に形成されており、左右および下の端に奥行方向へ延びる脚部を有している。弾性体28a、28bは、返却ボタン21を手前側に付勢する。コイン押え部材26は、返却ボタン21の左右の脚部の後端に対してビス27a、27bにより固定される。返却ボタン21は、通常時において、弾性体28a、28bにより手前側に付勢される。このため、左右の脚部の後端に固定されているコイン押え部材26も手前側に付勢される。その結果、回転体31に接し、当該回転体31の凹部とコイン押え部材26とにより、コイン保持部33が形成される。一方、返却ボタン21が押圧されると、返却ボタン21の下方の脚部が、回転体31の開口39に進入するとともに、コイン押え部材26も後退する。その結果、コイン保持部33にコインが保持されているときには、脚部によりコインが後方に押し出されて、第2ケース体7bの開口27から排出されて、収容物取出口16から返却される。
【0041】
回転ハンドル20に関する部材としては、前述したとおり、回転ハンドル20と、回転軸22と、歯車23とを有している。回転軸22を回転体31の挿通孔32に挿通されて、回転ハンドル20を回転させることにより、回転体31とともに歯車23を回転させることができる。
【0042】
アーム部材25に関する部材としては、アーム部材25と、弾性体32と、アーム止め31aとを有している。アーム部材25は、第1ケース体7aに形成されている軸により先端が回動自在に軸支される。弾性体32は、一旦が第1ケース体7aの所定の固定部32aに係止されアーム部材25の先端を上方へ引っ張る。アーム止め31aは、アーム部材25の回動を所定位置に留めるための部材である。回転ハンドル20が1回転されるときには、回転体31の突起部36と係合するアーム部材25の先端が下方へ押し下げられて、一定角度以上回転したときに突起部36による係合が解除されてアーム部材25が所定位置に戻るように構成されている。
【0043】
[コイン選別部品の構成について]
図4を参照して、コイン選別部品8について説明する。図4(a)〜図4(f)は、コイン選別部品8を説明するための図であり、図4(a)は上面図を示し、図4(b)は、図4(a)に示すB方向からの手前側面図を示し、図4(c)は図4(b)に示すC方向からの下面図を示している。また、図4(d)〜(f)は、各々、図4(a)におけるD〜F各々の断面図を示している。
【0044】
コイン選別部品8は、略スプーン形状のスペーサー70を有している。スペーサー70は、図4(b)に示されるように、スプーンの柄に相当する軸部70aと、スプーンの先端に相当するスペーサー本体部70bとから構成される。スペーサー本体部70bは、スペーサーの一例である。コイン選別部品8は、さらに、ケース71と、軸支ピン72と、付勢部材73とを有している。ケース71は、スペーサー本体部70bが図4(a)において上下方向(接触部が移動する方向)に回動可能となるように軸部70aを軸支する。軸支ピン72は、スペーサー本体部70bが図4(a)において奥行手前方向(コインの厚み方向)に回動可能となるようにケース71を軸支する。付勢部材73は、図4(a)においてスペーサー本体部70bを奥行方向に付勢する。コイン選別部品8は、スペーサー本体部70bを開口38に臨ませ、軸支ピン72を第2ケース体7bの所定の軸受部に嵌め合わせ、ビス74で第2ケース体7bの所定の固定部に固定することにより、第2ケース体7bに取り付けられる。
【0045】
コイン選別部品8のスペーサー本体部70bは、図4(d)〜(f)や図4(b)に示すように、先端から軸部70a側へ向かうに連れて高さが徐々に増すように傾斜面70cが形成されている。また、傾斜面70cは、図4(b)において手前から奥に向けて高さが徐々に増すように傾斜している。つまり、傾斜面70cは、図4(a)において、右下方向から左上方向に向けて下がるように形成されている。図4(b)において、スペーサー本体部70bのうち最も低い位置を最下位置70dと称する。また、図4(b)において便宜的に斜線を付した側面を、コイン接触側面70eと称し、図4(c)においてコイン接触側面70eと対向する円弧状の側面を、ストッパー接触側面70fと称する。傾斜面70cとコイン接触側面70eとは、コインの外周面と接触する接触面に相当する。
【0046】
[コイン選別部品の動作について]
図5を参照して、コイン選別部品8の動作について説明する。図5は、スペーサー本体部70bの最下位置70dを通る断面図を示しており、図5(a)は、コイン選別部品8が第2ケース体7bに取り付けられた初期状態における断面図である。初期状態において、スペーサー本体部70bは、第1ストッパー40の平面部44に対して最下位置70dが接した状態で付勢される。
【0047】
コイン選別部品8は、図2(c)に示すように、回転体31の略接線方向に沿って取り付けられる。このため、初期状態においてコイン保持部33にコインC1を保持させて回転体31を回転させたときには、まず、コインC1の外周面がスペーサー本体部70bの傾斜面70cに接触する。スペーサー本体部70bは、付勢部材73によって付勢されている。このため、コインC1の外周面によって傾斜面70cが外方に押し出されて、ストッパー接触側面70fが第1ストッパー40の接触部42と接触する。
【0048】
さらに傾斜面70cに対し外方へ押し出す力が加わると、スペーサー本体部70bが上方へせり上がる。付勢部材73によりスペーサー本体部70bが付勢される力よりも、弾性体43により第1ストッパー40が付勢される力の方が大きくなるように設定されているためである。その結果、スペーサー本体部70bは、コインC1の外周面と第1ストッパー40の接触部42との間から上方へ退避し、コインC1の表面上に最下位置70dが接した状態となる。その後は、図3(c)と同様に、第1ストッパー40の接触部42にコインC1の外周面が接触して、図5(b)に示すように、第1ストッパー40が所定量mだけ外方に押し出されて、回転体31の回転を許容させることができる。なお、上方へ退避しているスペーサー本体部70bは、コイン通過後、付勢部材73により付勢されるため、再び第1ストッパー40の平面部44に対して最下位置70dが接した状態に戻る。
【0049】
次に、コイン保持部33にコインC2を保持させて回転体31を回転させた場合について説明する。なお、コインC2の直径は、コインC1よりも「S」小さいものとする。コインC2の外周面がスペーサー本体部70bの傾斜面70cに接触し、コインC2の外周面によってスペーサー本体部70bの傾斜面70cが外方に押し出され、ストッパー接触側面70fが第1ストッパー40の接触部42と接触する。
【0050】
スペーサー本体部70bの傾斜面70cは、コインC2の外周面により押し出されてストッパー接触側面70fが第1ストッパー40の接触部42と接触したときの当該コインC2の外周面が当接する箇所が傾斜面70cからコイン接触側面70eに切り替わるような寸法(形状・長さなど)に設計されている。このため、さらに回転体31を回転させたとしても、コインC2の外周面からの力がスペーサー本体部70bをせり上がらせる方向に働かないため、スペーサー本体部70bをコインC2の外周面と第1ストッパー40の接触部42との間に挟んだ状態で、第1ストッパー40を外方へ押し出すことができる。
【0051】
また、スペーサー本体部70bのコイン接触側面70eとストッパー接触側面70fとの間の厚みは、コインC1とコインC2との直径の差である「S」となるように設計されている。このため、コインC2の外周面によりスペーサー本体部70bを介して第1ストッパー40が押し出された場合には、図5(c)に示すように、コインC2の直径分に加えて、スペーサー本体部70bの厚みであるS分多く外方へ押し出される。その結果、第1ストッパー40が所定量mだけ外方に押し出されることになり、回転体31の回転を許容させることができる。
【0052】
図示しないが、直径がコインC1未満であってコインC2よりも大きいコインが用いられたときには、図5(b)と同様に、スペーサー本体部70bが上方へ退避し、当該コインの表面上に最下位置70dが接した状態となる。ストッパー接触側面70fが第1ストッパー40の接触部42と接触したときの当該コインの外周面が当接する箇所は、未だ傾斜面70cとなるためである。また、直径はコインC1未満であるため、第1ストッパー40が当該コインの外周面により押し出される量は、所定量m未満となる。その結果、図3(b)で示したように、回転体31の回転が阻止される。
【0053】
また、直径がコインC2未満のコインが用いられたときには、図5(c)と同様に、当該コインの外周面によりスペーサー本体部70bを介して第1ストッパー40を外方に押し出すことができる。ストッパー接触側面70fが第1ストッパー40の接触部42と接触したときの当該コインの外周面が当接する箇所は、コイン接触側面70eとなるためである。しかし、直径はコインC2未満であるため、当該コインの外周面によりスペーサー本体部70bを介して第1ストッパー40が押し出される量は、所定量m未満となる。その結果、回転体31の回転が阻止される。
【0054】
このように動作するコイン選別部品8を備えるため、コイン保持部33を1個所にして、コイン選別装置6の構成・設計を容易にするとともに、利用方法をわかり易くしつつも、コインC1とコインC2とを正規のコインとして判別させることができる。
【0055】
また、スペーサー本体部70bの傾斜面70cおよびコイン接触側面70eとストッパー接触側面70fとの間の厚みを調整することにより、直径がコインC2とは異なるコインを正規なコインとして判別させることができる。このため、回転体31や第1ストッパー40などの部品を交換せずとも、スペーサー本体部70bを交換することにより、収容物の価値や利用場面などに応じて、コインC2とは異なる他のコインを正規なコインとして判別させることができ、金額的なバリエーションを広げるなど利便性を向上させることができる。
【0056】
[ハンドル戻し機構について]
収容物排出装置1は、回転ハンドル20を1回転させることにより収容物を排出する。しかし、利用者によっては、収容物が排出されていることなどに気付かずに、1回転以上回転させてしまう場合が生じる。この状態で放置されたときには、コイン保持部が流下経路からずれた位置となるため、次の利用者がコインを投入しても適正に保持されず回転が許容されない。その結果、故障していると勘違いさせてしまう虞があった。このような不具合を解消するために、収容物排出装置1は、以下に説明するような、回転ハンドル20を初期位置に戻す機構をも備えている。
【0057】
図6(a)は、1回転以上回転させてしまうなどして、コイン保持部33(開口39)が流下経路18を向いておらず流下してくるコインを保持できない回転位置の一例を示し、図6(b)は、コイン保持部33(開口39)が流下経路18を向いており流下してくるコインを保持可能な回転位置の一例を示している。なお、図6(a)の回転体31は、保持不可能回転位置にあるときの一例であり、図6(b)の回転体31は、保持可能回転位置にあるときの一例を示している。
【0058】
図6(a)に示すように、コインを保持できない回転位置にあるときには、弾性体32によりアーム部材25が上方へ引っ張られるため、アーム部材25の上辺に係合する回転体31の突起部36を上方へ移動させる方向に力が働く。その結果、回転ハンドル20から利用者が手を離したときに、図6(b)に示すように、アーム部材25が第1ケース体7aに設けられたアーム止め31aに当接するまで引き上げられ、突起部36も引き上げられて、回転体31をコインを保持可能な回転位置に戻すことができる。これにより、適正にコインを保持できない位置で放置されることを防止できる。また、回転ハンドル20を初期位置に戻す機構は、回転体31のコイン保持部33などが設けられる側面とは反対側面に設けられているため、設計を容易にできる。
【0059】
[その他の変形例などについて]
(1) 移動増加手段として、図4などで示した形状および構造を有するコイン選別部品8を例示した。しかし、移動増加手段は、たとえば、コインC2が保持されてるときでもコインC1が保持されているときと同様に第1ストッパー40を移動させるものであればよく、コイン選別部品8のような形状および構造に限るものではなく、どのような形状および構造を有するものであってもよい。
【0060】
また、移動増加手段は、コインC2と第1ストッパー40との間で動作するものに限らず、たとえば、コイン保持部33の最下点部において動作し、直径がコインC2以下のときにコインC2自体を第1ストッパー40の方向へコインC1との差分である「S」だけ押し出すものであってもよい。また、移動増加手段は、第2ケース体7bに取り付けられる例について説明したが、これに限らず、たとえば、第1ケース体7aに取り付けるようにしてもよい。
【0061】
(2) コイン保持部33は、直径がコインC1よりも大きなコインを適正に保持できない例について説明したが、直径がコインC1よりも大きなコインが保持されても回転不能(たとえば、第1ケース体7aの壁部に当接)に構成されているものであれば、コインC1よりも大きなコインを適正に保持できるものであってもよい。
【0062】
(3) 選別装置としては、正規なコインを選別する例について説明したが、選別対象は、正規な媒体を選別するものであれば、コインに限らず、たとえば、球体のものや、棒状のものなど、どのような形状を有する媒体であってもよい。選別装置としては、たとえば、球体の媒体を選別する場合、その直径に応じて第1ストッパーを押し出し、棒状の媒体を選別数R場合、その長さなどに応じて第1ストッパーを押し出すように構成されたものであってもよい。
【0063】
(4) 収容物は、カプセルに限らず、たとえば箱状のものであってもよい。また、包装対象は、玩具に限らず、また、固定形状のものに限るものでもない。
【0064】
(5) 収容物排出装置は、収容物の自重により落下させて排出させる例について説明したが、これに限らず、回転体31の回転に伴って収容物を外部へ送り出す機構が設けられているものであってもよい。
【0065】
(6) 選別装置は、収容物排出装置に適用した例について説明したが、正規と判別したときに所定の動作あるいは制御を行う装置であればこれに限らず、たとえば、ゲーム装置(正規と判別したときにゲーム開始)や、ドア開閉装置(正規と判別したときにドア開放)など、どのような装置に適用するものであってもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 収容物排出装置、6 コイン選別装置、7 コイン選別本体、8 コイン選別部品、11 回転台、20 回転ハンドル、31 回転体、33 コイン保持部、40 第1ストッパー、45 第2ストッパー、70 スペーサー、70a 軸部、70b スペーサー本体部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6