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特開2017-45719燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-45719(P2017-45719A)
(43)【公開日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20170210BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20170210BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-144309(P2016-144309)
(22)【出願日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】14/807,835
(32)【優先日】2015年7月23日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511095986
【氏名又は名称】ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・エイチ・ケスクーラ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ピー・アダムス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エル・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサ・ピー・クマラグールー
(72)【発明者】
【氏名】ジンシン・チャン
【テーマコード(参考)】
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA65
5H127BB02
5H127DA20
5H127DB49
5H127DB68
5H127DC08
5H127DC56
5H127DC58
(57)【要約】
【課題】燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】ある実施形態では、燃料電池システムの高周波抵抗応答は複数の周波数で測定され得る。いくつかの実施形態では、時間経過に伴う高周波抵抗応答の変化率は、燃料電池システムにおけるアノード汚染の程度に基づいて、さまざまな周波数で異なり得る。したがって、本明細書において開示されるシステムおよび方法は、複数の測定周波数で得られる高周波抵抗応答を比較してアノード汚染を検出し、かつ燃料電池システムにおいて関連する回復手順を開始することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ、および命令を記憶する通信的に結合された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるシステムによって実行される、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法であって、前記命令が、前記プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で前記燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える前記方法を前記プロセッサに実行させる、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法。
【請求項2】
前記第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数は第2の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数範囲は前記第1の周波数範囲より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は同期的に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は定められたタイムウィンドウ内で非同期的に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値は前記燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アノード汚染は前記燃料電池システムにおける一酸化炭素の汚染を含み、前記回復手順は前記燃料電池システムに酸素を導入して前記一酸化炭素を酸化させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は単一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記燃料電池は単一のセルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料電池は複数のセルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える、前記燃料電池システムにおいて前記回復手順を開始するための方法を前記プロセッサに実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数は第2の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数範囲は前記第1の周波数範囲より高い、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は同期的に測定される、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は定められたタイムウィンドウ内で非同期的に測定される、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記閾値は前記燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記アノード汚染は前記燃料電池システムにおける一酸化炭素の汚染を含み、前記回復手順は前記燃料電池システムに酸素を導入して前記一酸化炭素を酸化させることを含む、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は単一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定される、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記燃料電池は単一のセルを備える、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記燃料電池は複数のセルを備える、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、但しこれに限定するものではないが、本開示は、燃料電池システムの測定された高周波抵抗に基づいて燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]旅客車両は、車両の電気システムおよび駆動系システムのある機構に電力を供給するために、燃料電池(「FC:fuel cell」)システムを含むことがある。たとえば、FCシステムは車両に利用されて、直接的に(たとえば、電気駆動モータおよび同種のものを用いて)、および/または中間電池システムを介して、車両の電気的な駆動系構成要素に電力を供給することができる。FCシステムにおいて用いられ得る可能な燃料の1つは水素である。水素は、FCにおいて電気を効率的に生成するために用いられ得るクリーン燃料である。水素FCシステムは、アノードとカソードの間に電解質を含むことができる電気化学装置である。アノードは水素ガスを受け取り、カソードは酸素または空気を受け取る。水素ガスはアノードで解離されて自由水素プロトンおよび電子を生成する。水素プロトンは、電解質を横断して選択的に伝導され得る。アノードからの電子は電解質を通過することができず、したがって、カソードに送られる前に、負荷を通るように導かれて作用する。水素プロトンはカソードで酸素および電子と反応して、水を生成する。
【0003】
[0003]プロトン交換膜燃料電池(「PEMFC:proton exchange membrane fuel cells」)は、FCを動力源とする車両に用いられることがある。PEMFCは、一般に、ペルフルオロスルホン酸膜などの固体高分子電解質プロトン伝導膜を含む。PEMFCに含まれるアノードおよびカソードは、炭素粒子上に担持され、かつイオノマーと混合された微粉触媒粒子(たとえば白金粒子)を含んでよい。触媒混合物は、膜の両側に堆積され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]動作中、PEMFCは、さまざまな機構および/または過程に起因してアノード電極およびカソード電極において汚染を受けることがあり、このことは、時間経過に伴ってPEMFCの性能を低下させる可能性がある。あるPEMFCの性能損失はPEMFCにおいて回復手順を開始することによって回復可能であり得るが、その他の回復可能でない性能損失(たとえば、電極劣化を原因とする損失)もあり得る。しかしながら、回復可能な損失(たとえば、アノードおよび/またはカソードの汚染による損失)を回復不能の損失と区別することは困難である場合もある。
【0005】
[0005]動作中、FCシステムのアノード電極は、たとえば一酸化炭素を含むさまざまな汚染物質により時間経過に伴って汚染され、それによってシステムの性能を低下させることがある。FCシステムの測定された高周波抵抗(「HFR:high frequency resistance」)に基づいてFCシステムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法が提供される。ある実施形態では、開示されるシステムおよび方法は、アノード汚染を検出すること、およびアノード汚染の検出に応じてFCシステムにおける一定の性能損失を回復させるように構成された回復動作を開始することに関連して用いられ得る。
【0006】
[0006]FCシステムおよび/または構成セルのHFRは、システムおよび/またはセルのアノードおよびカソードの面内インピーダンスを表すことができる。FCの測定されるHFRは、さまざまな要因による影響を受け得る。たとえば、HFRに影響を及ぼすある定常的構成要素は、FCの設計に固有である場合がある。電極の水和は、測定されるHFRにさらに影響を及ぼすことがある。本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、アノード汚染はFCの測定されるHFRにさらに影響を及ぼすことがある。
【0007】
[0007]FCの測定されるHFRに影響を及ぼすさまざまな要因(たとえば、定常的構成要素、加湿、アノード汚染など)のために、単一のHFR測定値だけに基づいてさまざまな要因を区別することは困難であり得る。たとえば、FCにおいてHFRに影響を及ぼすアノード加湿の変化とアノード汚染の変化とを、単一のHFR測定値だけに基づいて区別することは困難な場合がある。
【0008】
[0008]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCのHFR応答は複数の周波数で測定され得る。ある実施形態では、時間経過に伴うHFR応答の変化率は、FCにおけるアノード汚染の程度に基づいて、さまざまな周波数で異なり得る。したがって、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、FCシステムにおけるアノード汚染を検出するための方法は、第1の周波数で燃料電池システム(たとえば、単一のセルおよび/または複数のセル)の第1の高周波抵抗応答を測定すること、および第1の周波数とは異なる第2の周波数で燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定することを含んでよい。ある実施形態では、第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含んでよく、第2の周波数は第1の周波数範囲より高い第2の周波数範囲の周波数を含んでよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の周波数は200ヘルツ以上(たとえば1キロヘルツ)の周波数を含むことができ、第2の周波数は6キロヘルツ以下の周波数を含むことができる。第1の周波数応答および第2の周波数応答は、定められた時間内および/または別のイベントウィンドウ内(たとえば、単一の動作期間または同種のものの間)で同期的および/または非同期的に測定されてよく、また、同一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定されてよい。
【0010】
[0010]第1の高周波抵抗応答と第2の高周波抵抗応答との差異が判断され得、この差異は閾値と比較され得る。いくつかの実施形態では、閾値は、燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含むことができる。差異が閾値を超えるという判断に基づいて、燃料電池システムにおいて回復手順が開始され得る。ある実施形態では、回復手順は燃料電池システムに酸素を導入して一酸化炭素を酸化させることを含んでよい。
【0011】
[0011]ある実施例では、前述の方法は、FC制御システムおよび/または任意の他のコンピューティングシステムによって実行されてよく、かつ/または関連する実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を用いて実施されてよい。
【0012】
[0012]本開示の非限定的かつ非包括的な実施形態は、図を参照して、本開示のさまざまな実施形態を含んで記述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本明細書において開示される実施形態に整合する、車両に含まれるFCシステムを示す図である。
図2】[0014]本明細書において開示される実施形態に整合する、複数の測定周波数におけるFCのHFR応答を示すグラフである。
図3】[0015]図3Aは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電流を測定するための例示のチャネルの構成図である。[0016]図3Bは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電圧を測定するための例示のチャネルの構成図である。
図4】[0017]本明細書において開示される実施形態に整合する、燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するための例示の方法の流れ図である。
図5】[0018]開示されるシステムおよび方法のさまざまな実施形態を実施するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019]以下において、本開示の実施形態に整合するシステムおよび方法の詳細な記述がなされる。いくつかの実施形態について記述されるが、本開示はいかなる一実施形態にも限定されず、むしろ、多数の代替形態、修正形態および同等形態を包含するものであることを理解されたい。加えて、本明細書において開示される実施形態の完全な理解を可能にするために多数の具体的な詳細が以下の記述で述べられるが、これらの詳細の一部またはすべてなしに実施され得る実施形態もある。さらに、明確にする目的で、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、関連技術において知られているある技術的材料について詳細には記述されていない。
【0015】
[0020]本開示の実施形態は、同様の数字によって同様の部分が示され得る図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書の図において一般的に記述および図示されるような、開示される実施形態の構成要素は、種々さまざまな異なる構成で配置され、設計され得る。したがって、本開示のシステムおよび方法の実施形態についての以下の詳細な記述は、特許請求される本開示の範囲を限定する意図ではなく、単に本開示の可能な実施形態を表しているにすぎない。加えて、特別の定めのない限り、方法のステップは、何らかの特定の順序で実行されること、または連続的に実行されることでさえ必ずしも要せず、また、ステップは一度限りで実行されることを要するものでもない。
【0016】
[0021]本明細書において開示されるシステムおよび方法は、複数の周波数で測定されたFCのHFR応答に基づいてFCシステムにおけるアノード汚染を検出することに関連して利用されてよい。詳細には、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。
【0017】
[0022]ある実施形態では、FCにおけるアノード汚染と関連した性能損失は、FCシステムにおいて電圧回復手順を開始することによって回復可能な場合がある。しかしながら、ある回復手順は、FCシステムに最小限の回復不能の劣化をもたらす可能性がある。したがって、回復手順は、回復不能の劣化を減少させるように電圧損失の回復が効果的に実現され得る場合に開始されてよい。開示されるシステムおよび方法の実施形態は、FCシステムにおけるアノード汚染の発生を正確に検出し、これに応じて回復手順を開始するのに利用され得る。
【0018】
[0023]図1は、本明細書において開示される実施形態に整合する、車両100に含まれるFCシステム102を示す図である。車両システム100は、自動車、海上船舶、航空機および/または任意の他の種類の車両であってよく、また、本明細書において開示されるシステムおよび方法を組み込むための任意の適切な種類の駆動系を含んでよい。開示されるシステムおよび方法のさらなる実施形態は、たとえば定置型FCシステム(たとえば、建物用のバックアップ電源および/または同種のもの)を含む任意の他の種類のFCシステム102に関連して利用されてよい。
【0019】
[0024]車両100は、ある実施形態において、高電圧(「HV:high−voltage」)電池システム(図示せず)と結合され得るFCスタック112を含むFCシステム102を含むことができる。HV電池システムは、車両100の電気的な駆動系構成要素(図示せず)に電力を供給するために用いられ得る。さらなる実施形態では、FCスタック112は低電圧電池と結合されてよく、また、たとえば照明システム、空調システムおよび同種のものを含むさまざまな車両100のシステムに電気エネルギーを供給するように構成されてよい。さらなる実施形態では、FCシステム102は、ある車両システムに直接的に電力を供給するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、FCシステム102は単一のセルを備えることができ、または、図示のようにスタック構成で配置される複数のセル114を含むことができる。
【0020】
[0025]FCスタック112は、FC制御システム104に関連付けられ得る。FC制御システム104は、FCスタック112のある動作を監視および制御するように構成され得る。たとえば、FC制御システム104は、調整可能な性能パラメータを監視および制御し、かつ/または、FCスタック112の充放電動作を管理するように構成され得る。ある実施形態では、FC制御システム104は、1つまたは複数のセンサ106(たとえば、電圧センサ、電流センサおよび/または同種のものなど)、ならびに/またはFC制御システム104がFCスタック112および/もしくはその構成セル114の動作を監視および制御できるように構成された他のシステムと通信的に結合され得る。
【0021】
[0026]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCスタック112と通信するセンサ106は、FC制御システム104、および/または他のシステム(たとえば、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110)に、さまざまな周波数でFCシステムのHFR応答を測定するため、および/またはこれに基づいてアノード汚染を検出するために用いられ得る情報を提供することができる。FC制御システム104は、車両100に含まれる他のシステムに情報を提供し、かつ/または車両100に含まれる他のシステムから情報を受信するようにさらに構成され得る。たとえば、FC制御システム104は、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110と通信的に結合され得る。
【0022】
[0027]制御システム104は、内部制御システム、外部制御システム、ならびに/または任意の他の車両制御システムおよび/もしくはコンピュータシステムを備えることができる。さらなる実施形態では、制御システム104は、車両100に含まれる他のシステムおよび/または車両100の操作者に情報を提供し、かつ/または車両100に含まれる他のシステムおよび/または車両100の操作者から情報を受信するように構成されてよい。単一の制御システム104との関連で図示されているが、開示されるシステムおよび方法の実施形態は、複数の適切な制御システムおよび/またはコンピューティングシステムを用いて実施され得ることが理解されよう。
【0023】
[0028]いくつかの実施形態では、制御システム104、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110は、制御システム104、ならびに/または内部車両コンピュータシステム108および/もしくは外部コンピュータシステム110によって実行されるときに、システム104、108および/または110に開示されるシステムおよび方法の実施形態を実施させるモジュール116を備えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、モジュール116は、システム104、108および/または110に、さまざまな周波数でFCシステムのHFR応答を測定させ、かつ/またはこれに基づいてアノード汚染を検出させることができる。さらなる実施形態では、検出されたアノード汚染に少なくとも部分的に基づいて、モジュール116は、システム104、108および/または110に、FCシステムにおいて回復手順を開始させることができる。
【0024】
[0029]図1に関連して示されるアーキテクチャ、関係および例に対して、本発明の範囲内で多くの変形が加えられ得ることが理解されよう。たとえば、前述のある装置および/またはシステムの機能性は、単一の装置および/もしくはシステム、ならびに/または装置および/もしくはシステムの任意の適切な組合せに、任意の適切な構成で統合されてよい。同様に、開示されるシステムおよび方法のある実施形態はFC制御システム104によって実施されるものとして記述されるが、内部車両コンピュータシステム108、外部コンピュータシステム110および/または任意の他のコンピュータシステムが、本明細書において開示される実施形態を実施してもよいことが理解されよう。したがって、図1に関連して示されるアーキテクチャ、関係および例は例証および説明の目的で示され、限定ではないことが理解されよう。
【0025】
[0030]図2は、本明細書において開示される実施形態に整合する、複数の測定周波数におけるFCのHFR応答206、208を示すグラフ200を図示する。図示されるグラフ200では、x軸202はFCシステムの動作ランタイムを表し(たとえば時単位での測定)、y軸204はFCシステムの測定されたHFRを表す(たとえばΩcm単位での測定)。
【0026】
[0031]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCシステムにおけるアノード汚染は、複数の周波数で測定されたFCのHFR応答206、208に基づいて検出され得る。いくつかの実施形態では、HFR測定値は、設定された電流密度(たとえば1.5A/cm)、動作温度(たとえば87C)および/または相対加湿のレベルで得られてよい。ある実施形態では、HFR測定値は1キロヘルツ(たとえばHFR応答206)および6キロヘルツ(たとえばHFR応答208)の測定周波数で得られてよいが、開示される実施形態に関連して他の測定周波数が用いられ得ることが理解されよう。たとえば、HFR測定値は、200ヘルツ以上および6キロヘルツ以下の周波数で得られてよい。HFR応答は、たとえば、FCスタックにアクセスする特定の周波数の信号および/または複数の信号の注入に応じるインピーダンスを測定することによる方法を含むさまざまな方法で測定され得る。
【0027】
[0032]ある実施形態では、時間経過200に伴うHFR応答206、208の変化率は、FCにおけるアノード汚染の程度に基づいて、さまざまな周波数で異なり得る。したがって、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答206、208を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。たとえば、図示の通り、HFR周波数応答206と208との差異210が特定の閾値を超える場合、アノードの汚染が閾値レベルに達していること、およびアノード汚染回復手順が開始され得ることが判断され得る。ある実施形態では、FC特性化試験または同種のものによって取得され得る閾値は、参照テーブル、および/または、さまざまな周波数でのHFR周波数応答の差異と回復手順を始動させるアノード汚染のレベルとを相互に関連させる任意の他の適切な論理に含まれ得る。
【0028】
[0033]図3Aは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電流を測定するための例示のチャネル300aの構成図を図示する。図示の通り、電流測定チャネル300aは積分器および信号調整回路304に結合されるロゴスキーコイルAC電流センサ302を含むことができるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ロゴスキーコイルAC電流センサ302は、非強磁性の電流変換器を備えてよく、大DC電流の存在下でAC信号を識別し、小AC信号を捕捉するように構成され得る。積分器および信号調整回路306は、AC電流信号の帯域幅を統合かつ狭めることができ(たとえば、低域通過フィルタを介して)、デジタル捕捉のためのアンチエイリアシングを軽減させつつ、信号対象となる領域に集中する後処理のために原信号を復元することができる。
【0029】
[0034]積分器および信号調整回路304の出力は、1つまたは複数の通信チャネル308を介して関連するマイクロプロセッサと通信するアナログ−デジタル(「A/D:analog−to−digital)変換器306に提供され得る。A/D変換器306は、受信した信号のレベルを切り替え、この信号をデジタル信号(たとえば16ビットのデジタル信号)に変換するように構成され得る。変換後、A/Dは、この変換信号を1つまたは複数の通信チャネル308を介してマイクロプロセッサに提供することができ、これは次に、所望の周波数で電流の振幅を抽出することができる。
【0030】
[0035]図3Bは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電圧を測定するための例示のチャネル300bの構成図を図示する。図示の通り、電圧測定チャネル300bは、FCスタックの正端子に結合される測定コンデンサ310(負端子は、絶縁基準312に結合される)を備えることができる。この測定コンデンサ310は、DC電圧成分を遮断することができる。増幅器および信号調整回路314は、信号を増幅して信号品質を向上させ、次にこの増幅信号を低域通過フィルタに通してAC電圧信号の帯域幅を対象となっている所望の周波数に狭めることができ、デジタル捕捉のための信号のアンチエイリアシングを軽減することができる。
【0031】
[0036]増幅器および信号調整回路314の出力は、1つまたは複数の通信チャネル318を介して関連するマイクロプロセッサと通信するA/D変換器316に提供され得る。A/D変換器316は、受信した信号のレベルを切り替え、この信号をデジタル信号(たとえば16ビットのデジタル信号)に変換するように構成され得る。変換後、A/Dは、この変換信号を1つまたは複数の通信チャネル308を介してマイクロプロセッサに提供することができ、これは次に、所望の周波数で電圧の振幅を抽出することができる。
【0032】
[0037]本明細書において開示される実施形態は、複数の周波数でのHFR応答の正確かつ安定した測定を利用して、アノード汚染を検出することができる。ある実施形態では、開示されるシステムおよび方法に関連して用いるために測定された応答が効果的に比較され得るように、異なる周波数でのHFR応答の測定は、タイムフレーム内で同期的かつ/または連続的に実行され得る。さらなる実施形態では、測定チャネル300a、300bは、プロセッサの負荷を低減させつつ、複数の周波数での同期的なHFR応答の測定を可能にすることができる。
【0033】
[0038]いくつかの実施形態では、測定チャネル300a、300bは、対象となっている全周波数範囲にわたる線形測定によって、測定点間の測定値の変動および破損の減少をさらに可能にすることができる。ある実施形態では、このことは、測定データの収集を単純化し、単一の収集期間および測定ハードウェアの減少を可能にすることができる。さらなる実施形態では、同期的なHFR応答の測定は、測定値サンプリング過程中に変化する動作条件を原因とする変動を低減させるのに役立ち、それによってアノード汚染の検出を向上させることができる。
【0034】
[0039]図4は、本明細書において開示される実施形態に整合する、FCシステムにおけるアノード汚染を検出するための例示の方法400の流れ図を図示する。いくつかの実施形態では、図示される方法300および/またはその構成ステップのいずれかは、FC制御システムおよび/または任意の他の適切なコンピュータシステムを少なくとも部分的に用いて実行され得る。
【0035】
[0040]方法400は、402において開始することができる。ある実施形態では、方法400は、定められたウィンドウイング法(たとえば、開始時、終了時、あるパワーウィンドウ中など)に基づいて開始し得る。404において、第1の周波数でのFCシステムのHFR応答が測定され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、FCシステムのHFR応答は1キロヘルツで測定されてよい。
【0036】
[0041]406において、第2の周波数でのFCシステムのHFR応答が測定され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、FCシステムのHFR応答は6キロヘルツで測定されてよい。本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、ある実施形態では、404および406で測定されるHFR応答は同期的に取得されてよい。他の実施形態では、これらの応答は非同期的に、但し結果として生じるHFR応答がアノード汚染を識別するために効果的に比較され得る期間の範囲内で取得されてよい。
【0037】
[0042]404において第1の周波数で測定されたHFR応答と406において第2の周波数で測定されたHFR応答とは、これらの応答の差異が閾値を超えるかどうかを判断するために408において比較され得る。いくつかの実施形態では、閾値はFC特性化試験によって取得され得、回復手順が開始されるべきアノード汚染のレベルを示す閾値HFR差異を含むことができる。
【0038】
[0043]この差異が閾値を超えない場合、方法400は406および408に戻ることができ、第1の周波数でのHFR応答および第2の周波数でのHFR応答が比較のために再度取得され得る。一方、異なる周波数で測定されたHFR応答の差異が閾値を超える場合、方法400は410に進むことができ、アノード汚染回復手順が開始され得る。
【0039】
[0044]いくつかの実施形態では、回復手順は、アノードにおいて汚染されたCOを酸化させるように酸素をFCスタックに導入することができるが、アノード汚染と関連した性能損失を回復するように設計された任意の他の適切な回復手順が開示される実施形態に関連して用いられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、バルブはアノードとカソードとを接続することができる。回復手順の間、バルブが開けられるときにアノードに空気(たとえば、21%の酸素)が導入され、それによって汚染物質を酸化させるように、アノード圧力はカソード圧力より低くされてよい。方法400は続いて進んで、412において終了することができる。
【0040】
[0045]図5は、開示されるシステムおよび方法のさまざまな実施形態を実施するためのシステム500を示す図である。ある実施形態では、コンピュータシステム500は、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、車載コンピュータ、内部FC制御システム、外部FC制御システム、および/または開示されるシステムおよび方法を実施するのに適切な任意の他の種類のシステムであってよい。さらなる実施形態では、コンピュータシステム500は、たとえばノートブック型コンピュータ、スマートフォンおよび/またはタブレット型コンピュータを含む任意の携帯型電子コンピュータシステムまたは電子装置であってよい。
【0041】
[0046]図示の通り、コンピュータシステム500は、特に、1つまたは複数のプロセッサ502、ランダムアクセスメモリ(「RAM:random access memory」)504、通信インターフェース506、ユーザインターフェース508および非一時的コンピュータ可読記憶媒体510を含むことができる。プロセッサ502、RAM404、通信インターフェース506、ユーザインターフェース508およびコンピュータ可読記憶媒体510は、共通データバス512を介して相互に通信的に結合され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム500のさまざまな構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはこれらの任意の組合せを用いて実装されてよい。
【0042】
[0047]ユーザインターフェース508は、ユーザがコンピュータシステム500と対話できるようにする任意の数の装置を含んでよい。たとえば、ユーザインターフェース508は、対話式インターフェースをユーザに表示するように用いられてよい。ユーザインターフェース508は、コンピュータシステム500と通信的に結合される別個のインターフェースシステムであってよく、または別法として、ラップトップまたは他の同様の装置用の表示インターフェースなどの一体化されたシステムであってよい。ある実施形態では、ユーザインターフェース508は、タッチスクリーン表示上に生成され得る。ユーザインターフェース508はまた、たとえばキーボード、トラックボールおよび/またはポインタ装置を含む任意の数の他の入力装置を含んでもよい。
【0043】
[0048]通信インターフェース506は、他のコンピュータシステム、周辺装置、および/またはコンピュータシステム500に通信的に結合された他の機器と通信することができる任意のインターフェースであってよい。たとえば、通信インターフェース506は、コンピュータシステム500が他のコンピュータシステム(たとえば、外部データベースおよび/またはインターネットに関連付けられたコンピュータシステム)と通信できるようにし、このようなシステムへのデータ転送およびシステムからのデータ受信を可能にすることができる。通信インターフェース506は、特に、モデム、衛星データ伝送システム、イーサネット(登録商標)カード、および/または、コンピュータシステム500がデータベースならびにLAN、MAN、WANおよびインターネットなどのネットワークに接続できるようにする任意の他の適切な装置を含んでよい。さらなる実施形態では、通信インターフェース506はさらに、1つまたは複数のセンサ(たとえば、電流センサ、電圧センサ)、および/または、開示される実施形態に関連して用いられる情報を測定および/または提供するように構成された他のシステムと通信することができる。
【0044】
[0049]プロセッサ502は、1つまたは複数の汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、プログラム可能マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、FPGA、他のカスタマイズ可能またはプログラム可能な処理装置、および/または、本明細書において開示されるシステムおよび方法を実施することができる任意の他の装置または装置の配置を含んでよい。
【0045】
[0050]プロセッサ502は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体510に記憶されたコンピュータ可読命令を実行するように構成され得る。コンピュータ可読記憶媒体510は、所望の通りに他のデータまたは情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読命令は、コンピュータ実行可能な機能モジュール514を含んでよい。たとえば、コンピュータ可読命令は、前述のシステムおよび方法の機能性のすべてまたは一部を実施するように構成された1つまたは複数の機能モジュールを含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体510に記憶され得る特定の機能モデルは、複数の周波数でのFCシステムのHFR応答の測定を調整し、かつ/または別のやり方で複数の周波数でのFCシステムのHFR応答を判断するように構成されたモジュール、測定されたHFR応答間の差異と閾値とを比較するように構成されたモジュール、この比較に基づいて回復手順を開始するように構成されたモジュール、および関連する回復手順を別のやり方で制御するように構成されたモジュール、および/または、任意の他のモジュールすなわち本明細書において開示されるシステムおよび方法を実施するように構成されたモジュールを含んでよい。
【0046】
[0051]明確にする目的で、前述のものはある程度詳細に記述されているが、その原則から逸脱することなく、ある変更および修正が加えられ得ることは明らかであろう。本明細書において開示される実施形態のある特性は、任意の適切な構成または組合せで構成され、かつ/または組み合わされ得る。加えて、本明細書において開示されるあるシステムおよび/または方法は、車両に含まれないFCシステム(たとえば、バックアップ電源電池システムまたは同種のもの)において利用され得る。本明細書において記述される過程および機器の両方を実施する代替方法が多数あることに留意されたい。さらに、2つの周波数でFCシステムのHFR応答を測定し、かつ2つの周波数で得られるFCシステムのHFR応答を比較する観点から考察されているが、開示されるシステムおよび方法の実施形態は任意の適切な数の複数の周波数に関連して利用され得ることが理解されよう。したがって、本実施形態は例証的であって制限的ではないと考えられ、本発明は本明細書において述べられる詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびこれと同等のものの範囲内で修正され得る。
【0047】
[0052]前述の明細書はさまざまな実施形態に関して記述されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなくさまざまな修正および変更が加えられ得ることを理解するであろう。さまざまな動作ステップ、および動作ステップを実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、またはシステムの動作に関連した任意の数の費用関数を考慮して、代替方法で実施されてよい。したがって、ステップの1つまたは複数はいずれも、削除されても、修正されても、または他のステップと組み合わされてもよい。さらに、本開示は制限的ではなく例証的な意味で考えられるべきであり、すべてのそのような修正は本開示の範囲内に含まれるものと意図される。同様に、利益、他の利点および問題の解決策は、さまざまな実施形態に関して前述されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および何らかの利益、利点または解決策を生じさせ、またはより明白にさせ得る要素(複数可)は、決定的な、必要な、または本質的な特性または要素として解釈されるべきではない。
【0048】
[0053]本明細書において用いられる「備える、含む(comprise)」および「含む(include)」という用語ならびにこれらの他の変形は、非排他的な含有を包含するものであることが意図され、その結果、要素の列挙を含む過程、方法、物品または装置はそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、または、これらの過程、方法、システム、物品または装置に固有の他の要素を含むことができる。また、本明細書において用いられる「結合された(coupled)」、「結合する(coupling)」という用語およびこれらの他の変形は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信的接続、機能的接続および/または任意の他の接続を包含するものと意図される。
【0049】
[0054]当業者であれば、本発明の基本原則から逸脱することなく、前述の実施形態の詳細に対して多くの変更が加えられ得ることを理解するであろう。それゆえ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【符号の説明】
【0050】
100 車両、車両システム
102 FCシステム
104 FC制御システム、制御システム、システム
106 センサ
108 内部車両コンピュータシステム、システム
110 外部コンピュータシステム、システム
112 FCスタック
114 セル、構成セル
116 モジュール
200 グラフ
202 x軸
204 y軸
206 HFR応答、HFR周波数応答
208 HFR応答、HFR周波数応答
210 差異
300a チャネル、電流測定チャネル、測定チャネル
300b チャネル、電圧測定チャネル、測定チャネル
302 ロゴスキーコイルAC電流センサ
304 積分器および信号調整回路
306 アナログ−デジタル(A/D)変換器
308 通信チャネル
310 測定コンデンサ
314 増幅器および信号調整回路
316 A/D変換器
318 通信チャネル
400 方法
500 システム、コンピュータシステム
502 プロセッサ
504 ランダムアクセスメモリ(RAM)
506 通信インターフェース
508 ユーザインターフェース
510 非一時的コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ可読記憶媒体
512 共通データバス
514 機能モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2016年11月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、但しこれに限定するものではないが、本開示は、燃料電池システムの測定された高周波抵抗に基づいて燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]旅客車両は、車両の電気システムおよび駆動系システムのある機構に電力を供給するために、燃料電池(「FC:fuel cell」)システムを含むことがある。たとえば、FCシステムは車両に利用されて、直接的に(たとえば、電気駆動モータおよび同種のものを用いて)、および/または中間電池システムを介して、車両の電気的な駆動系構成要素に電力を供給することができる。FCシステムにおいて用いられ得る可能な燃料の1つは水素である。水素は、FCにおいて電気を効率的に生成するために用いられ得るクリーン燃料である。水素FCシステムは、アノードとカソードの間に電解質を含むことができる電気化学装置である。アノードは水素ガスを受け取り、カソードは酸素または空気を受け取る。水素ガスはアノードで解離されて自由水素プロトンおよび電子を生成する。水素プロトンは、電解質を横断して選択的に伝導され得る。アノードからの電子は電解質を通過することができず、したがって、カソードに送られる前に、負荷を通るように導かれて作用する。水素プロトンはカソードで酸素および電子と反応して、水を生成する。
【0003】
[0003]プロトン交換膜燃料電池(「PEMFC:proton exchange membrane fuel cells」)は、FCを動力源とする車両に用いられることがある。PEMFCは、一般に、ペルフルオロスルホン酸膜などの固体高分子電解質プロトン伝導膜を含む。PEMFCに含まれるアノードおよびカソードは、炭素粒子上に担持され、かつイオノマーと混合された微粉触媒粒子(たとえば白金粒子)を含んでよい。触媒混合物は、膜の両側に堆積され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]動作中、PEMFCは、さまざまな機構および/または過程に起因してアノード電極およびカソード電極において汚染を受けることがあり、このことは、時間経過に伴ってPEMFCの性能を低下させる可能性がある。あるPEMFCの性能損失はPEMFCにおいて回復手順を開始することによって回復可能であり得るが、その他の回復可能でない性能損失(たとえば、電極劣化を原因とする損失)もあり得る。しかしながら、回復可能な損失(たとえば、アノードおよび/またはカソードの汚染による損失)を回復不能の損失と区別することは困難である場合もある。
【0005】
[0005]動作中、FCシステムのアノード電極は、たとえば一酸化炭素を含むさまざまな汚染物質により時間経過に伴って汚染され、それによってシステムの性能を低下させることがある。FCシステムの測定された高周波抵抗(「HFR:high frequency resistance」)に基づいてFCシステムにおけるアノード汚染を検出するためのシステムおよび方法が提供される。ある実施形態では、開示されるシステムおよび方法は、アノード汚染を検出すること、およびアノード汚染の検出に応じてFCシステムにおける一定の性能損失を回復させるように構成された回復動作を開始することに関連して用いられ得る。
【0006】
[0006]FCシステムおよび/または構成セルのHFRは、システムおよび/またはセルのアノードおよびカソードの面内インピーダンスを表すことができる。FCの測定されるHFRは、さまざまな要因による影響を受け得る。たとえば、HFRに影響を及ぼすある定常的構成要素は、FCの設計に固有である場合がある。電極の水和は、測定されるHFRにさらに影響を及ぼすことがある。本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、アノード汚染はFCの測定されるHFRにさらに影響を及ぼすことがある。
【0007】
[0007]FCの測定されるHFRに影響を及ぼすさまざまな要因(たとえば、定常的構成要素、加湿、アノード汚染など)のために、単一のHFR測定値だけに基づいてさまざまな要因を区別することは困難であり得る。たとえば、FCにおいてHFRに影響を及ぼすアノード加湿の変化とアノード汚染の変化とを、単一のHFR測定値だけに基づいて区別することは困難な場合がある。
【0008】
[0008]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCのHFR応答は複数の周波数で測定され得る。ある実施形態では、時間経過に伴うHFR応答の変化率は、FCにおけるアノード汚染の程度に基づいて、さまざまな周波数で異なり得る。したがって、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、FCシステムにおけるアノード汚染を検出するための方法は、第1の周波数で燃料電池システム(たとえば、単一のセルおよび/または複数のセル)の第1の高周波抵抗応答を測定すること、および第1の周波数とは異なる第2の周波数で燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定することを含んでよい。ある実施形態では、第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含んでよく、第2の周波数は第1の周波数範囲より高い第2の周波数範囲の周波数を含んでよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第1の周波数は200ヘルツ以上(たとえば1キロヘルツ)の周波数を含むことができ、第2の周波数は6キロヘルツ以下の周波数を含むことができる。第1の周波数応答および第2の周波数応答は、定められた時間内および/または別のイベントウィンドウ内(たとえば、単一の動作期間または同種のものの間)で同期的および/または非同期的に測定されてよく、また、同一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定されてよい。
【0010】
[0010]第1の高周波抵抗応答と第2の高周波抵抗応答との差異が判断され得、この差異は閾値と比較され得る。いくつかの実施形態では、閾値は、燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含むことができる。差異が閾値を超えるという判断に基づいて、燃料電池システムにおいて回復手順が開始され得る。ある実施形態では、回復手順は燃料電池システムに酸素を導入して一酸化炭素を酸化させることを含んでよい。
【0011】
[0011]ある実施例では、前述の方法は、FC制御システムおよび/または任意の他のコンピューティングシステムによって実行されてよく、かつ/または関連する実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を用いて実施されてよい。
【0012】
[0012]本開示の非限定的かつ非包括的な実施形態は、図を参照して、本開示のさまざまな実施形態を含んで記述される。本発明には、下記の形態が含まれている。
(形態1)
プロセッサ、および命令を記憶する通信的に結合された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるシステムによって実行される、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法であって、前記命令が、前記プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で前記燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える前記方法を前記プロセッサに実行させる、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法。
(形態2)
前記第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数は第2の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数範囲は前記第1の周波数範囲より高い、形態1に記載の方法。
(形態3)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は同期的に測定される、形態1に記載の方法。
(形態4)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は定められたタイムウィンドウ内で非同期的に測定される、形態1に記載の方法。
(形態5)
前記閾値は前記燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含む、形態1に記載の方法。
(形態6)
前記アノード汚染は前記燃料電池システムにおける一酸化炭素の汚染を含み、前記回復手順は前記燃料電池システムに酸素を導入して前記一酸化炭素を酸化させることを含む、形態5に記載の方法。
(形態7)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は単一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定される、形態1に記載の方法。
(形態8)
前記燃料電池は単一のセルを備える、形態1に記載の方法。
(形態9)
前記燃料電池は複数のセルを備える、形態1に記載の方法。
(形態10)
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える、前記燃料電池システムにおいて前記回復手順を開始するための方法を前記プロセッサに実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態11)
前記第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数は第2の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数範囲は前記第1の周波数範囲より高い、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態12)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は同期的に測定される、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態13)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は定められたタイムウィンドウ内で非同期的に測定される、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態14)
前記閾値は前記燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含む、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態15)
前記アノード汚染は前記燃料電池システムにおける一酸化炭素の汚染を含み、前記回復手順は前記燃料電池システムに酸素を導入して前記一酸化炭素を酸化させることを含む、形態14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態16)
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は単一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定される、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態17)
前記燃料電池は単一のセルを備える、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(形態18)
前記燃料電池は複数のセルを備える、形態10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本明細書において開示される実施形態に整合する、車両に含まれるFCシステムを示す図である。
図2】[0014]本明細書において開示される実施形態に整合する、複数の測定周波数におけるFCのHFR応答を示すグラフである。
図3】[0015]図3Aは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電流を測定するための例示のチャネルの構成図である。[0016]図3Bは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電圧を測定するための例示のチャネルの構成図である。
図4】[0017]本明細書において開示される実施形態に整合する、燃料電池システムにおけるアノード汚染を検出するための例示の方法の流れ図である。
図5】[0018]開示されるシステムおよび方法のさまざまな実施形態を実施するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019]以下において、本開示の実施形態に整合するシステムおよび方法の詳細な記述がなされる。いくつかの実施形態について記述されるが、本開示はいかなる一実施形態にも限定されず、むしろ、多数の代替形態、修正形態および同等形態を包含するものであることを理解されたい。加えて、本明細書において開示される実施形態の完全な理解を可能にするために多数の具体的な詳細が以下の記述で述べられるが、これらの詳細の一部またはすべてなしに実施され得る実施形態もある。さらに、明確にする目的で、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、関連技術において知られているある技術的材料について詳細には記述されていない。
【0015】
[0020]本開示の実施形態は、同様の数字によって同様の部分が示され得る図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書の図において一般的に記述および図示されるような、開示される実施形態の構成要素は、種々さまざまな異なる構成で配置され、設計され得る。したがって、本開示のシステムおよび方法の実施形態についての以下の詳細な記述は、特許請求される本開示の範囲を限定する意図ではなく、単に本開示の可能な実施形態を表しているにすぎない。加えて、特別の定めのない限り、方法のステップは、何らかの特定の順序で実行されること、または連続的に実行されることでさえ必ずしも要せず、また、ステップは一度限りで実行されることを要するものでもない。
【0016】
[0021]本明細書において開示されるシステムおよび方法は、複数の周波数で測定されたFCのHFR応答に基づいてFCシステムにおけるアノード汚染を検出することに関連して利用されてよい。詳細には、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。
【0017】
[0022]ある実施形態では、FCにおけるアノード汚染と関連した性能損失は、FCシステムにおいて電圧回復手順を開始することによって回復可能な場合がある。しかしながら、ある回復手順は、FCシステムに最小限の回復不能の劣化をもたらす可能性がある。したがって、回復手順は、回復不能の劣化を減少させるように電圧損失の回復が効果的に実現され得る場合に開始されてよい。開示されるシステムおよび方法の実施形態は、FCシステムにおけるアノード汚染の発生を正確に検出し、これに応じて回復手順を開始するのに利用され得る。
【0018】
[0023]図1は、本明細書において開示される実施形態に整合する、車両100に含まれるFCシステム102を示す図である。車両システム100は、自動車、海上船舶、航空機および/または任意の他の種類の車両であってよく、また、本明細書において開示されるシステムおよび方法を組み込むための任意の適切な種類の駆動系を含んでよい。開示されるシステムおよび方法のさらなる実施形態は、たとえば定置型FCシステム(たとえば、建物用のバックアップ電源および/または同種のもの)を含む任意の他の種類のFCシステム102に関連して利用されてよい。
【0019】
[0024]車両100は、ある実施形態において、高電圧(「HV:high−voltage」)電池システム(図示せず)と結合され得るFCスタック112を含むFCシステム102を含むことができる。HV電池システムは、車両100の電気的な駆動系構成要素(図示せず)に電力を供給するために用いられ得る。さらなる実施形態では、FCスタック112は低電圧電池と結合されてよく、また、たとえば照明システム、空調システムおよび同種のものを含むさまざまな車両100のシステムに電気エネルギーを供給するように構成されてよい。さらなる実施形態では、FCシステム102は、ある車両システムに直接的に電力を供給するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、FCシステム102は単一のセルを備えることができ、または、図示のようにスタック構成で配置される複数のセル114を含むことができる。
【0020】
[0025]FCスタック112は、FC制御システム104に関連付けられ得る。FC制御システム104は、FCスタック112のある動作を監視および制御するように構成され得る。たとえば、FC制御システム104は、調整可能な性能パラメータを監視および制御し、かつ/または、FCスタック112の充放電動作を管理するように構成され得る。ある実施形態では、FC制御システム104は、1つまたは複数のセンサ106(たとえば、電圧センサ、電流センサおよび/または同種のものなど)、ならびに/またはFC制御システム104がFCスタック112および/もしくはその構成セル114の動作を監視および制御できるように構成された他のシステムと通信的に結合され得る。
【0021】
[0026]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCスタック112と通信するセンサ106は、FC制御システム104、および/または他のシステム(たとえば、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110)に、さまざまな周波数でFCシステムのHFR応答を測定するため、および/またはこれに基づいてアノード汚染を検出するために用いられ得る情報を提供することができる。FC制御システム104は、車両100に含まれる他のシステムに情報を提供し、かつ/または車両100に含まれる他のシステムから情報を受信するようにさらに構成され得る。たとえば、FC制御システム104は、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110と通信的に結合され得る。
【0022】
[0027]制御システム104は、内部制御システム、外部制御システム、ならびに/または任意の他の車両制御システムおよび/もしくはコンピュータシステムを備えることができる。さらなる実施形態では、制御システム104は、車両100に含まれる他のシステムおよび/または車両100の操作者に情報を提供し、かつ/または車両100に含まれる他のシステムおよび/または車両100の操作者から情報を受信するように構成されてよい。単一の制御システム104との関連で図示されているが、開示されるシステムおよび方法の実施形態は、複数の適切な制御システムおよび/またはコンピューティングシステムを用いて実施され得ることが理解されよう。
【0023】
[0028]いくつかの実施形態では、制御システム104、内部車両コンピュータシステム108および/または外部コンピュータシステム110は、制御システム104、ならびに/または内部車両コンピュータシステム108および/もしくは外部コンピュータシステム110によって実行されるときに、システム104、108および/または110に開示されるシステムおよび方法の実施形態を実施させるモジュール116を備えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、モジュール116は、システム104、108および/または110に、さまざまな周波数でFCシステムのHFR応答を測定させ、かつ/またはこれに基づいてアノード汚染を検出させることができる。さらなる実施形態では、検出されたアノード汚染に少なくとも部分的に基づいて、モジュール116は、システム104、108および/または110に、FCシステムにおいて回復手順を開始させることができる。
【0024】
[0029]図1に関連して示されるアーキテクチャ、関係および例に対して、本発明の範囲内で多くの変形が加えられ得ることが理解されよう。たとえば、前述のある装置および/またはシステムの機能性は、単一の装置および/もしくはシステム、ならびに/または装置および/もしくはシステムの任意の適切な組合せに、任意の適切な構成で統合されてよい。同様に、開示されるシステムおよび方法のある実施形態はFC制御システム104によって実施されるものとして記述されるが、内部車両コンピュータシステム108、外部コンピュータシステム110および/または任意の他のコンピュータシステムが、本明細書において開示される実施形態を実施してもよいことが理解されよう。したがって、図1に関連して示されるアーキテクチャ、関係および例は例証および説明の目的で示され、限定ではないことが理解されよう。
【0025】
[0030]図2は、本明細書において開示される実施形態に整合する、複数の測定周波数におけるFCのHFR応答206、208を示すグラフ200を図示する。図示されるグラフ200では、x軸202はFCシステムの動作ランタイムを表し(たとえば時単位での測定)、y軸204はFCシステムの測定されたHFRを表す(たとえばΩcm単位での測定)。
【0026】
[0031]本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、FCシステムにおけるアノード汚染は、複数の周波数で測定されたFCのHFR応答206、208に基づいて検出され得る。いくつかの実施形態では、HFR測定値は、設定された電流密度(たとえば1.5A/cm)、動作温度(たとえば87C)および/または相対加湿のレベルで得られてよい。ある実施形態では、HFR測定値は1キロヘルツ(たとえばHFR応答206)および6キロヘルツ(たとえばHFR応答208)の測定周波数で得られてよいが、開示される実施形態に関連して他の測定周波数が用いられ得ることが理解されよう。たとえば、HFR測定値は、200ヘルツ以上および6キロヘルツ以下の周波数で得られてよい。HFR応答は、たとえば、FCスタックにアクセスする特定の周波数の信号および/または複数の信号の注入に応じるインピーダンスを測定することによる方法を含むさまざまな方法で測定され得る。
【0027】
[0032]ある実施形態では、時間経過200に伴うHFR応答206、208の変化率は、FCにおけるアノード汚染の程度に基づいて、さまざまな周波数で異なり得る。したがって、複数の測定周波数で得られるHFR周波数応答206、208を比較することによって、FCにおけるアノード汚染は検出され得る。たとえば、図示の通り、HFR周波数応答206と208との差異210が特定の閾値を超える場合、アノードの汚染が閾値レベルに達していること、およびアノード汚染回復手順が開始され得ることが判断され得る。ある実施形態では、FC特性化試験または同種のものによって取得され得る閾値は、参照テーブル、および/または、さまざまな周波数でのHFR周波数応答の差異と回復手順を始動させるアノード汚染のレベルとを相互に関連させる任意の他の適切な論理に含まれ得る。
【0028】
[0033]図3Aは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電流を測定するための例示のチャネル300aの構成図を図示する。図示の通り、電流測定チャネル300aは積分器および信号調整回路304に結合されるロゴスキーコイルAC電流センサ302を含むことができるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ロゴスキーコイルAC電流センサ302は、非強磁性の電流変換器を備えてよく、大DC電流の存在下でAC信号を識別し、小AC信号を捕捉するように構成され得る。積分器および信号調整回路304は、AC電流信号の帯域幅を統合かつ狭めることができ(たとえば、低域通過フィルタを介して)、デジタル捕捉のためのアンチエイリアシングを軽減させつつ、信号対象となる領域に集中する後処理のために原信号を復元することができる。
【0029】
[0034]積分器および信号調整回路304の出力は、1つまたは複数の通信チャネル308を介して関連するマイクロプロセッサと通信するアナログ−デジタル(「A/D:analog−to−digital)変換器306に提供され得る。A/D変換器306は、受信した信号のレベルを切り替え、この信号をデジタル信号(たとえば16ビットのデジタル信号)に変換するように構成され得る。変換後、A/Dは、この変換信号を1つまたは複数の通信チャネル308を介してマイクロプロセッサに提供することができ、これは次に、所望の周波数で電流の振幅を抽出することができる。
【0030】
[0035]図3Bは、本明細書において開示される実施形態に整合する、HFR応答の判断に関連して電圧を測定するための例示のチャネル300bの構成図を図示する。図示の通り、電圧測定チャネル300bは、FCスタックの正端子に結合される測定コンデンサ310(負端子は、絶縁基準312に結合される)を備えることができる。この測定コンデンサ310は、DC電圧成分を遮断することができる。増幅器および信号調整回路314は、信号を増幅して信号品質を向上させ、次にこの増幅信号を低域通過フィルタに通してAC電圧信号の帯域幅を対象となっている所望の周波数に狭めることができ、デジタル捕捉のための信号のアンチエイリアシングを軽減することができる。
【0031】
[0036]増幅器および信号調整回路314の出力は、1つまたは複数の通信チャネル318を介して関連するマイクロプロセッサと通信するA/D変換器316に提供され得る。A/D変換器316は、受信した信号のレベルを切り替え、この信号をデジタル信号(たとえば16ビットのデジタル信号)に変換するように構成され得る。変換後、A/Dは、この変換信号を1つまたは複数の通信チャネル318を介してマイクロプロセッサに提供することができ、これは次に、所望の周波数で電圧の振幅を抽出することができる。
【0032】
[0037]本明細書において開示される実施形態は、複数の周波数でのHFR応答の正確かつ安定した測定を利用して、アノード汚染を検出することができる。ある実施形態では、開示されるシステムおよび方法に関連して用いるために測定された応答が効果的に比較され得るように、異なる周波数でのHFR応答の測定は、タイムフレーム内で同期的かつ/または連続的に実行され得る。さらなる実施形態では、測定チャネル300a、300bは、プロセッサの負荷を低減させつつ、複数の周波数での同期的なHFR応答の測定を可能にすることができる。
【0033】
[0038]いくつかの実施形態では、測定チャネル300a、300bは、対象となっている全周波数範囲にわたる線形測定によって、測定点間の測定値の変動および破損の減少をさらに可能にすることができる。ある実施形態では、このことは、測定データの収集を単純化し、単一の収集期間および測定ハードウェアの減少を可能にすることができる。さらなる実施形態では、同期的なHFR応答の測定は、測定値サンプリング過程中に変化する動作条件を原因とする変動を低減させるのに役立ち、それによってアノード汚染の検出を向上させることができる。
【0034】
[0039]図4は、本明細書において開示される実施形態に整合する、FCシステムにおけるアノード汚染を検出するための例示の方法400の流れ図を図示する。いくつかの実施形態では、図示される方法400および/またはその構成ステップのいずれかは、FC制御システムおよび/または任意の他の適切なコンピュータシステムを少なくとも部分的に用いて実行され得る。
【0035】
[0040]方法400は、402において開始することができる。ある実施形態では、方法400は、定められたウィンドウイング法(たとえば、開始時、終了時、あるパワーウィンドウ中など)に基づいて開始し得る。404において、第1の周波数でのFCシステムのHFR応答が測定され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、FCシステムのHFR応答は1キロヘルツで測定されてよい。
【0036】
[0041]406において、第2の周波数でのFCシステムのHFR応答が測定され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、FCシステムのHFR応答は6キロヘルツで測定されてよい。本明細書において開示される実施形態と矛盾することなく、ある実施形態では、404および406で測定されるHFR応答は同期的に取得されてよい。他の実施形態では、これらの応答は非同期的に、但し結果として生じるHFR応答がアノード汚染を識別するために効果的に比較され得る期間の範囲内で取得されてよい。
【0037】
[0042]404において第1の周波数で測定されたHFR応答と406において第2の周波数で測定されたHFR応答とは、これらの応答の差異が閾値を超えるかどうかを判断するために408において比較され得る。いくつかの実施形態では、閾値はFC特性化試験によって取得され得、回復手順が開始されるべきアノード汚染のレベルを示す閾値HFR差異を含むことができる。
【0038】
[0043]この差異が閾値を超えない場合、方法400は404および406に戻ることができ、第1の周波数でのHFR応答および第2の周波数でのHFR応答が比較のために再度取得され得る。一方、異なる周波数で測定されたHFR応答の差異が閾値を超える場合、方法400は410に進むことができ、アノード汚染回復手順が開始され得る。
【0039】
[0044]いくつかの実施形態では、回復手順は、アノードにおいて汚染されたCOを酸化させるように酸素をFCスタックに導入することができるが、アノード汚染と関連した性能損失を回復するように設計された任意の他の適切な回復手順が開示される実施形態に関連して用いられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、バルブはアノードとカソードとを接続することができる。回復手順の間、バルブが開けられるときにアノードに空気(たとえば、21%の酸素)が導入され、それによって汚染物質を酸化させるように、アノード圧力はカソード圧力より低くされてよい。方法400は続いて進んで、412において終了することができる。
【0040】
[0045]図5は、開示されるシステムおよび方法のさまざまな実施形態を実施するためのシステム500を示す図である。ある実施形態では、コンピュータシステム500は、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、車載コンピュータ、内部FC制御システム、外部FC制御システム、および/または開示されるシステムおよび方法を実施するのに適切な任意の他の種類のシステムであってよい。さらなる実施形態では、コンピュータシステム500は、たとえばノートブック型コンピュータ、スマートフォンおよび/またはタブレット型コンピュータを含む任意の携帯型電子コンピュータシステムまたは電子装置であってよい。
【0041】
[0046]図示の通り、コンピュータシステム500は、特に、1つまたは複数のプロセッサ502、ランダムアクセスメモリ(「RAM:random access memory」)504、通信インターフェース506、ユーザインターフェース508および非一時的コンピュータ可読記憶媒体510を含むことができる。プロセッサ502、RAM504、通信インターフェース506、ユーザインターフェース508およびコンピュータ可読記憶媒体510は、共通データバス512を介して相互に通信的に結合され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム500のさまざまな構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはこれらの任意の組合せを用いて実装されてよい。
【0042】
[0047]ユーザインターフェース508は、ユーザがコンピュータシステム500と対話できるようにする任意の数の装置を含んでよい。たとえば、ユーザインターフェース508は、対話式インターフェースをユーザに表示するように用いられてよい。ユーザインターフェース508は、コンピュータシステム500と通信的に結合される別個のインターフェースシステムであってよく、または別法として、ラップトップまたは他の同様の装置用の表示インターフェースなどの一体化されたシステムであってよい。ある実施形態では、ユーザインターフェース508は、タッチスクリーン表示上に生成され得る。ユーザインターフェース508はまた、たとえばキーボード、トラックボールおよび/またはポインタ装置を含む任意の数の他の入力装置を含んでもよい。
【0043】
[0048]通信インターフェース506は、他のコンピュータシステム、周辺装置、および/またはコンピュータシステム500に通信的に結合された他の機器と通信することができる任意のインターフェースであってよい。たとえば、通信インターフェース506は、コンピュータシステム500が他のコンピュータシステム(たとえば、外部データベースおよび/またはインターネットに関連付けられたコンピュータシステム)と通信できるようにし、このようなシステムへのデータ転送およびシステムからのデータ受信を可能にすることができる。通信インターフェース506は、特に、モデム、衛星データ伝送システム、イーサネット(登録商標)カード、および/または、コンピュータシステム500がデータベースならびにLAN、MAN、WANおよびインターネットなどのネットワークに接続できるようにする任意の他の適切な装置を含んでよい。さらなる実施形態では、通信インターフェース506はさらに、1つまたは複数のセンサ(たとえば、電流センサ、電圧センサ)、および/または、開示される実施形態に関連して用いられる情報を測定および/または提供するように構成された他のシステムと通信することができる。
【0044】
[0049]プロセッサ502は、1つまたは複数の汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、プログラム可能マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、FPGA、他のカスタマイズ可能またはプログラム可能な処理装置、および/または、本明細書において開示されるシステムおよび方法を実施することができる任意の他の装置または装置の配置を含んでよい。
【0045】
[0050]プロセッサ502は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体510に記憶されたコンピュータ可読命令を実行するように構成され得る。コンピュータ可読記憶媒体510は、所望の通りに他のデータまたは情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読命令は、コンピュータ実行可能な機能モジュール514を含んでよい。たとえば、コンピュータ可読命令は、前述のシステムおよび方法の機能性のすべてまたは一部を実施するように構成された1つまたは複数の機能モジュールを含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体510に記憶され得る特定の機能モジュールは、複数の周波数でのFCシステムのHFR応答の測定を調整し、かつ/または別のやり方で複数の周波数でのFCシステムのHFR応答を判断するように構成されたモジュール、測定されたHFR応答間の差異と閾値とを比較するように構成されたモジュール、この比較に基づいて回復手順を開始するように構成されたモジュール、および関連する回復手順を別のやり方で制御するように構成されたモジュール、および/または、任意の他のモジュールすなわち本明細書において開示されるシステムおよび方法を実施するように構成されたモジュールを含んでよい。
【0046】
[0051]明確にする目的で、前述のものはある程度詳細に記述されているが、その原則から逸脱することなく、ある変更および修正が加えられ得ることは明らかであろう。本明細書において開示される実施形態のある特性は、任意の適切な構成または組合せで構成され、かつ/または組み合わされ得る。加えて、本明細書において開示されるあるシステムおよび/または方法は、車両に含まれないFCシステム(たとえば、バックアップ電源電池システムまたは同種のもの)において利用され得る。本明細書において記述される過程および機器の両方を実施する代替方法が多数あることに留意されたい。さらに、2つの周波数でFCシステムのHFR応答を測定し、かつ2つの周波数で得られるFCシステムのHFR応答を比較する観点から考察されているが、開示されるシステムおよび方法の実施形態は任意の適切な数の複数の周波数に関連して利用され得ることが理解されよう。したがって、本実施形態は例証的であって制限的ではないと考えられ、本発明は本明細書において述べられる詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびこれと同等のものの範囲内で修正され得る。
【0047】
[0052]前述の明細書はさまざまな実施形態に関して記述されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなくさまざまな修正および変更が加えられ得ることを理解するであろう。さまざまな動作ステップ、および動作ステップを実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、またはシステムの動作に関連した任意の数の費用関数を考慮して、代替方法で実施されてよい。したがって、ステップの1つまたは複数はいずれも、削除されても、修正されても、または他のステップと組み合わされてもよい。さらに、本開示は制限的ではなく例証的な意味で考えられるべきであり、すべてのそのような修正は本開示の範囲内に含まれるものと意図される。同様に、利益、他の利点および問題の解決策は、さまざまな実施形態に関して前述されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および何らかの利益、利点または解決策を生じさせ、またはより明白にさせ得る要素(複数可)は、決定的な、必要な、または本質的な特性または要素として解釈されるべきではない。
【0048】
[0053]本明細書において用いられる「備える、含む(comprise)」および「含む(include)」という用語ならびにこれらの他の変形は、非排他的な含有を包含するものであることが意図され、その結果、要素の列挙を含む過程、方法、物品または装置はそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、または、これらの過程、方法、システム、物品または装置に固有の他の要素を含むことができる。また、本明細書において用いられる「結合された(coupled)」、「結合する(coupling)」という用語およびこれらの他の変形は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信的接続、機能的接続および/または任意の他の接続を包含するものと意図される。
【0049】
[0054]当業者であれば、本発明の基本原則から逸脱することなく、前述の実施形態の詳細に対して多くの変更が加えられ得ることを理解するであろう。それゆえ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【符号の説明】
【0050】
100 車両、車両システム
102 FCシステム
104 FC制御システム、制御システム、システム
106 センサ
108 内部車両コンピュータシステム、システム
110 外部コンピュータシステム、システム
112 FCスタック
114 セル、構成セル
116 モジュール
200 グラフ
202 x軸
204 y軸
206 HFR応答、HFR周波数応答
208 HFR応答、HFR周波数応答
210 差異
300a チャネル、電流測定チャネル、測定チャネル
300b チャネル、電圧測定チャネル、測定チャネル
302 ロゴスキーコイルAC電流センサ
304 積分器および信号調整回路
306 アナログ−デジタル(A/D)変換器
308 通信チャネル
310 測定コンデンサ
314 増幅器および信号調整回路
316 A/D変換器
318 通信チャネル
400 方法
500 システム、コンピュータシステム
502 プロセッサ
504 ランダムアクセスメモリ(RAM)
506 通信インターフェース
508 ユーザインターフェース
510 非一時的コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ可読記憶媒体
512 共通データバス
514 機能モジュール

【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ、および命令を記憶する通信的に結合された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えるシステムによって実行される、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法であって、前記命令が、前記プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で前記燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える前記方法を前記プロセッサに実行させる、燃料電池システムにおいて回復手順を開始するための方法。
【請求項2】
前記第1の周波数は第1の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数は第2の周波数範囲の周波数を含み、前記第2の周波数範囲は前記第1の周波数範囲より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は同期的に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は定められたタイムウィンドウ内で非同期的に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値は前記燃料電池システムにおけるアノード汚染の閾値レベルを示す閾値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アノード汚染は前記燃料電池システムにおける一酸化炭素の汚染を含み、前記回復手順は前記燃料電池システムに酸素を導入して前記一酸化炭素を酸化させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の高周波抵抗応答および前記第2の高周波抵抗応答は単一の電流測定チャネルおよび電圧測定チャネルを用いて測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記燃料電池は単一のセルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料電池は複数のセルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行される場合に、
第1の周波数で燃料電池システムの第1の高周波抵抗応答を測定するステップと、
第2の周波数で前記燃料電池システムの第2の高周波抵抗応答を測定するステップと、
前記第1の高周波抵抗応答と前記第2の高周波抵抗応答との差異を判断するステップと、
前記差異を閾値と比較するステップと、
前記差異が前記閾値を超えることに基づいて前記燃料電池システムにおいて回復手順を開始するステップとを備える、前記燃料電池システムにおいて前記回復手順を開始するための方法を前記プロセッサに実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】
2017045719000001.pdf