【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図13は、従来技術による同軸プラグの構成を示す縦断面図であり、同軸ケーブルを同軸プラグに接続する前の状態図である。
図14は、従来技術による同軸プラグの構成を示す縦断面図であり、同軸ケーブルを同軸プラグに接続した状態図である。
【0011】
図15は、従来技術による同軸プラグの構成を示す縦断面図であり、
図14に示した状態からシェルの一部及びハウジングの一部を屈曲した状態図である。
図16は、従来技術による同軸プラグの構成を示す縦断面図であり、
図15に示した状態からシェルの一部を同軸ケーブルに圧着した状態図である。
【0012】
図17は、従来技術による同軸プラグの構成を示す側面図である。
図18は、従来技術による同軸プラグが接続されるリセプタクルの構成を示す縦断面図である。なお、本願の
図13と
図14は、特許文献1の
図1と
図4に相当している。又、本願の
図15と
図16は、特許文献1の
図5と
図8に相当している。更に、本願の
図17は、特許文献1の
図9に相当している。
【0013】
図13から
図17を参照すると、従来技術による同軸プラグ9は、外部コンタクトとなる金属製のシェル91、ハウジング92、及び、中心コンタクト93を備えている。
【0014】
図13又は
図14を参照すると、同軸ケーブルCbは、撚線からなる円形の中心導体61、中心導体61の周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘導体62、誘導体62の周囲を囲う編組線などの外部導体63、及び、外部導体63を被覆保護するシース64で構成している。
図13を参照して、同軸ケーブルCbは、各構成部材がそれらの端末から所定の剥離長で予め剥離されている。つまり、同軸ケーブルCbは、端末処理されている。
【0015】
図13又は
図14を参照すると、シェル91は、導電性を有する金属板からなり、円筒部911とC形チェンネル状の折り曲げ片912を有している。円筒部911は、その一方の面を略円形に開口している。折り曲げ片912は、円筒部911の外周の一部が円筒部911の軸方向に延出している。折り曲げ片912の基端部を略直角に折り曲げて、円筒部911の開口と反対側に対向配置できる(
図15又は
図16参照)。
【0016】
図13から
図16を参照すると、円筒部911は、後述するリセプタクル8の外部コンタクト82を構成する円筒部82rを内部に導入できる(
図18参照)。又、円筒部911は、輪帯突起91dを内壁に形成している。輪帯突起91dは、円筒部911の内周から円筒部911の中心に向かって半円弧状に突出している。輪帯突起91dは、後述する円筒部82rの外周に形成した輪帯溝82dに嵌合できる(
図18参照)。
【0017】
図13から
図16を参照すると、折り曲げ片912は、第1のクリンプバレル91a、第2のクリンプバレル91b、及び、第3のクリンプバレル91cを備えている。これらのクリンプバレル91a・91b・91cは、U字状に開口したオープンクリンプバレルである。これらのオープンクリンプバレルが閉じるように圧着することで、同軸ケーブルCb及びハウジング92を保持できる。
【0018】
図15に示した状態から、第1のクリンプバレル91aをハウジング92の肩部92sに圧着することで、シェル91の内部にハウジング92を保持できる(
図16又は
図17参照)。
図15に示した状態から、第2のクリンプバレル91bを外部導体63に圧着することで、シェル91と外部導体63を機械的及び電気的に接続できる(
図16又は
図17参照)。
図15に示した状態から、第3のクリンプバレル91bをシース64に圧着することで、同軸ケーブルCbの端末に同軸プラグ9を固定できる(
図16又は
図17参照)。
【0019】
図13から
図16を参照すると、ハウジング92は、円柱状の本体921と帯板状の折り曲げ片922で構成している。本体921は、導入穴92hを中央部に開口している。導入穴92hには、後述するリセプタクル8の円筒状の中心コンタクト81を導入できる(
図18参照)。又、本体921は、中心コンタクト93を上部に配置している。そして、導入穴92hには、中心コンタクト93に設けた一対の挟持片93c・93cを配置している。
【0020】
図13又は
図14を参照すると、折り曲げ片922は、本体921の外周の一部が折り曲げ片912と略平行に延出している。
図13又は
図14に示した状態から、折り曲げ片922の基端部を略直角に折り曲げると、本体921の上部に固定された中心コンタクト93の固定片93aに向けて、屈曲片93bを折りたたむことができる(
図15又は
図16参照)。そして、固定片93aと屈曲片93bで中心導体61と接続自在に挟持できる(
図15又は
図16参照)。
図15又は
図16を参照すると、ハウジング92は、シェル91と中心コンタクト93を電気的に絶縁できる。
【0021】
図13又は
図14を参照すると、中心コンタクト93は、V字状に開角した一組の帯板状の固定片93a及び屈曲片93bと、一対の挟持片93c・93cを備えている。固定片93aは、一対の挟持片93c・93cを底部側に突出している。
【0022】
図15又は
図16を参照して、後述するリセプタクル8の中心コンタクト81を導入穴92hに導入すると(
図18参照)、一対の挟持片93c・93cで中心コンタクト81を挟持できる。そして、同軸プラグ9の中心コンタクト93とリセプタクル8の中心コンタクト81を電気的に接続できる。
【0023】
次に、従来技術による同軸プラグ9の組立方法を説明する。最初に、
図13を参照して、同軸ケーブルCbの中心導体61を固定片93aと屈曲片93bの間に向かって進行する(図中矢印A参照)。次に、
図14に示すように、中心導体61を固定片93aと屈曲片93bの間に配置する。
【0024】
次に、
図14を参照して、折り曲げ片912と折り曲げ片922を円筒部911及び本体921に向かって折り曲げる(図中矢印B参照)。これにより、
図15に示すように、固定片93aと屈曲片93bが中心導体61を挟持して、中心導体61と中心コンタクト93を確実に接続できる。
【0025】
次に、
図15に示した状態から、
図16又は
図17に示すように、第1のクリンプバレル91a、第2のクリンプバレル91b、及び、第3のクリンプバレル91bを圧着することで、同軸ケーブルCbの端末に同軸プラグ9を固定できる。
【0026】
次に、従来技術による同軸プラグが接続されるリセプタクルの構成を説明する。
図18を参照すると、従来技術によるリセプタクル8は、円筒状の中心コンタクト81、円筒状の外部コンタクト82、及び、誘電体からなるハウジング83を備えている。
【0027】
図18を参照すると、中心コンタクト81は、円筒状の本体部81bとリード部81rで構成している。本体部81bは、先端部が半球状に閉塞され、内部が中空になっている。リード部81rは、本体部81bの底部から外周方向に帯状に延びている。リード部81rは、その底面をプリント基板7pの信号ライン(図示せず)にハンダ接合できる。
【0028】
図18を参照すると、外部コンタクト82は、円筒部82rと複数の鍔部82fで構成している。円筒部82rは、上面を開口している。又、円筒部82rは、中心コンタクト81の本体部81bを囲うように、同軸上に内部に配置している。鍔部82fは、円筒部82rの底部から三方向に帯状に延びている。複数の鍔部82fは、それの底面をプリント基板7pのグラウンドパターン(図示せず)にハンダ接合できる。
【0029】
図18を参照すると、ハウジング83は、矩形の板状に形成している。ハウジング83は、中心コンタクト81及び外部コンタクト82を一体成形することで、中心コンタクト81と外部コンタクト82を固定している。円筒部82rの内部では、中心コンタクト81と外部コンタクト82を電気的に絶縁するように、ハウジング83で充実している。
【0030】
図18を参照すると、ハウジング83は、五つの矩形の溝83dを底面から穿設している。五つの溝83dの内、三つの溝83dは、本体部81bを三方から囲うように配置されている。五つの溝83dの内、二つの溝83dは、リード部81rを挟むように配置されている。これらの溝83dは、空気層を含み、ハウジング83の比誘電率を実質的に変えることができる。
【0031】
図17又は
図18を参照して、同軸プラグ9をリセプタクル8に接続すると、同軸ケーブルCbに内在する中心導体61を中心コンタクト81に接続でき、同軸ケーブルCbに内在する外部導体63を外部コンタクト82に接続できる。そして、同軸ケーブルCbから高周波信号をプリント基板7pに伝送でき、プリント基板7pから高周波信号を同軸ケーブルCbに伝送できる。
【0032】
このように、従来技術による同軸コネクタは、一組の同軸プラグとリセプタクルを用いて、同軸ケーブルをプリント基板に接続している。
【0033】
しかし、60GHz程度までの高周波数を同軸ケーブルで伝送しようとすると、同軸コネクタは、小型のほうが有利である。
【0034】
図13から
図18に示した従来技術による同軸コネクタ、特に、同軸プラグは、組み立てる部品点数も多く、φ0.48mm程度の細径の同軸ケーブルに対応すべく、小型化するには限界があると考えられる。
【0035】
図13から
図18に示した従来技術による同軸コネクタは、同軸ケーブルからプリント基板に至る信号の伝送路に不連続点が多く、伝送周波数が高周波になると、特性インピーダンスを整合させることが困難になるという問題がある。
【0036】
又、伝送周波数が高周波になると、波長が短くなり直進性が強くなる。
図13から
図18に示した従来技術による同軸コネクタは、信号ライン及びグラウンドパターンを形成したプリント基板の面と直交する方向から同軸プラグを接続しているので、伝送路の直進性が損なわれるという問題がある。
【0037】
高周波信号を同軸ケーブルからプリント基板に伝送、又は、高周波信号をプリント基板から同軸ケーブルに伝送できる同軸コネクタであって、部品点数を削減して小型化すると共に、高周波信号の伝送路の不連続点を削減、及び、高周波信号の伝送路の直進性を向上した同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0038】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減して小型化すると共に、伝送路の不連続点を削減、及び、伝送路の直進性を向上した高周波対応の同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明者らは、プリント基板の一方の面に実装でき、プリント基板の一方の面に沿って配置された同軸ケーブルをプリント基板に直結できるクリップ型の同軸コネクタを考案し、これによりこれらの課題を解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタを発明するに至った。
【0040】
(1) 細径の中心導体、この中心導体の周囲を囲う誘導体、この誘導体の周囲を囲う外部導体、及び、この外部導体を被覆保護するシースで構成した同軸ケーブルの端末をプリント基板の一方の面に電気的に接続自在な同軸コネクタであって、前記プリント基板の一方の面に形成したグラウンドパターンにハンダ接合自在な帯板状の固定片、及び、この固定片の一端部側と屈曲自在に連結し、他端部側を開閉自在に構成した帯板状の可動片と、を有するシェル板と、前記外部導体を圧着により接続した円筒状の鍔部付き圧着スリーブと、を備え、前記固定片は、その外面を露出した状態で一端部側に成形した板状の第1ハウジングを有し、前記可動片は、その他端部側の内面を露出した状態で成形すると共に、前記第1ハウジングと対向配置された板状の第2ハウジングを有し、前記第1ハウジングは、前記中心導体を外周方向から導入自在にU字状に開口し、前記プリント基板の一方の面に向かって下り傾斜した案内溝と、この案内溝の延長側に開口し、前記プリント基板の一方の面に形成した直線状の信号ラインの始端部を露出した逃げ部と、前記逃げ部と反対側に形成し、前記誘導体が突き当たる段差部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記案内溝の底面、及び、前記逃げ部を介して前記信号ラインに近接自在な輪郭を外縁に形成した突条を有し、前記固定片に対して前記可動片を閉じた状態では、前記突条が前記中心導体の先端部を前記信号ラインの始端部に押圧すると共に、前記可動片の他端部側が前記圧着スリーブを前記固定片の他端部側に押圧している、同軸コネクタ。
【0041】
(2) 前記可動片は、前記突条の外縁の輪郭から略等距離に屈曲した屈曲部を一端部側に有する、(1)記載の同軸コネクタ。
【0042】
(3) 前記固定片は、その両側面から起立するように屈曲し、前記第2ハウジングを内部に導入自在に、所定の間隔を設けて対向配置された一対の第1折り曲げ片と、これらの第1折り曲げ片に開口した係止穴と、を有し、前記可動片は、前記第2ハウジングの両側面から突出し、一対の前記係止穴に係合して、前記固定片に対して前記可動片を閉じた状態を維持する一対の突部を有する、(1)又は(2)記載の同軸コネクタ。
【0043】
(4) 前記固定片は、前記圧着スリーブの鍔部に当接して、前記同軸ケーブルの離脱を阻止する一対の第2折り曲げ片を他端部に更に有する、(1)から(3)のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【0044】
(5) 前記圧着スリーブは、前記外部導体を外周方向から均等に圧縮している(1)から(4)のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【0045】
(6) 細径の中心導体、この中心導体の周囲を囲う誘導体、この誘導体の周囲を囲う外部導体、及び、この外部導体を被覆保護するシースで構成した同軸ケーブルをプリント基板の一方の面に電気的に接続自在な同軸コネクタであって、前記プリント基板の一方の面に形成したグラウンドパターンにハンダ接合自在な帯板状の固定片、及び、この固定片の一端部側と屈曲自在に連結し、他端部側を開閉自在に構成した帯板状の可動片を有するシェル板を備え、前記固定片は、その外面を露出した状態で一端部側に成形した板状の第1ハウジングを有し、前記可動片は、その他端部側の内面を露出した状態で成形すると共に、前記第1ハウジングと対向配置された板状の第2ハウジングを有し、前記第1ハウジングは、前記中心導体を外周方向から導入自在にU字状に開口し、前記プリント基板の一方の面に向かって下り傾斜した案内溝と、この案内溝の延長側に開口し、前記プリント基板の一方の面に形成した直線状の信号ラインの始端部を露出した逃げ部と、前記逃げ部と反対側に形成し、前記誘導体が突き当たる段差部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記案内溝の底面、及び、前記逃げ部を介して前記信号ラインに近接自在な輪郭を外縁に形成した突条を有し、前記固定片に対して前記可動片を閉じた状態では、前記突条が前記中心導体の先端部を前記信号ラインの始端部に押圧すると共に、前記可動片の他端部側が前記外部導体を前記固定片の他端部側に押圧している、同軸コネクタ。