【課題】軽いふわふわの泡質を維持し、望まれる粘度を維持し、洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させ、乾燥時の髪の指通り性、纏まり感、柔かさ、ハリコシ感等のコンディショニング効果を発現できる毛髪洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)アルキルエーテルサルフェート型アニオン界面活性剤8.0〜20.0質量%(B)式(1)で示される両性又は双性界面活性剤1.0〜5.0重量%(C)カチオン化ガラクトマンナン0.2〜1.0重量%(D)N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩0.2〜2.0重量%(E)中性無機塩0.1〜3.0重量%以上(F)脂肪酸ジエタノールアミドを実質的に含有しないノニオン性界面活性剤を1.0重量%以下(G)精製水残分(組成物全体を100重量%とする量)を含有する毛髪洗浄剤組成物。
(A)アルキルエーテルサルフェート型アニオン界面活性剤 8.0〜20.0質量%
(B)一般式(1)で示される特定の両性又は双性界面活性剤 1.0〜5.0重量%
【化1】
[但し式中 sは0又は1の整数であり、
R
1はsが1の時、炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良く、
R
1はsが0の時、炭素数8〜22の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い。
R
2は炭素数1〜3のアルキレン基であり、水酸基が結合されていても良い。
Q
−は−COO
−基、乃至は−SO
3−基を示す。]
(C)カチオン化ガラクトマンナン 0.2〜1.0重量%
(D)N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩 0.2〜2.0重量%
(E)中性無機塩 0.1〜3.0重量%
(F)脂肪酸ジエタノールアミドを実質的に含有しないノニオン性界面活性剤を1.0重量%以下
(G)精製水 残分(組成物全体を100重量%とする量)を含有する毛髪洗浄剤組成物。
各種シリコーン、シリコーン誘導体及び毛髪ダメージケアケア効果のある油剤から選ばれる少なくとも1種の副コンディショニング剤を含有する請求項1〜2記載の毛髪洗浄剤組成物。
【背景技術】
【0002】
近年、髪を洗髪するとき、クリーミィーで重い泡より、軽くふわふわの泡の方が支持されている。
一般的に毛髪洗浄剤組成物にノニオン活性剤を配合すると泡質がクリーミィーになる事が知られており、軽くふわふわの泡質を実現させるために、あえてノニオン活性剤を配合しなかったり、配合量を抑えた処方が増えてきている。さらに、ジエタノールアミンの問題もあり、ノニオン活性剤低配合、無配合処方が望まれている。
【0003】
しかしながら、ノニオン活性剤の配合量を抑えると、軽くふわふわの泡質にはなるが製品粘度が出にくく、増粘目的で両性界面活性剤/アニオン界面活性剤の併用や増粘性水溶性ポリマーの添加、塩を加える事で粘度をコントロールしている。それらの既知技術の積み重ねにより、軽くふわふわした泡質で、適度な粘度を出す毛髪洗浄剤を調整することは可能であるが、洗髪からすすぎ時の指通り、乾燥後までの髪の滑らかさは不十分で使用感の悪い物になる。特に傷んだ髪では洗い難い性能となる。
【0004】
洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させる目的で、カチオン性高分子を代表とするコンディショニング剤を配合すること開示されている(特許文献1〜2)。
ところで、毛髪洗浄剤組成物の多くは、塗布工程中に毛髪上にコンディショニング剤を十分に付着させない。
塗布工程中にコンディショニング剤の大部分が洗い落とされてしまうため、コンディショニング剤による恩恵はほとんど又は全く得られない。これらの問題を解決するため、近年のシャンプーでは、コンディショニング剤としてカチオン性高分子を配合し、これとアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から形成される複合体が析出するコアセルベーション現象によって、すすぎ時および乾燥後の滑らかさを付与している(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、この方法はノニオン成分であるアルキレンオキシド誘導体をコアセルベーション形成促進剤として必須成分としており、上記したとおり、ノニオン活性剤の増量は泡質が変わってしまう。
【0006】
カチオン化グァーガムは、従来より使用されているカチオン性高分子の一種であり、Nーアシルアミノ酸との併用系に関しては、既に研究されている。(特許文献1〜3)
しかしながら、これらの検討は、界面活性剤の主剤としてN−アシルアミノ酸を用いたシャンプー組成物の改質を目的としているものであり、アルキルエーテルサルフェート+両性界面活性剤+カチオン化グァーガムを配合したシャンプーに一定量のN−アシルアミノ酸を添加した系の検討はなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら従来技術の毛髪洗浄剤組成物には、軽いふわふわの泡質を維持し、望まれる粘度を維持した上に、洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させる目的を両立できていない。
即ち、現在に至るまで充分満足できる毛髪洗浄剤組成物は開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、軽いふわふわの泡質を維持し、望まれる粘度を維持した上に、洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させるため、鋭意検討した結果、アルキルエーテルサルフェート+両性界面活性剤+カチオン化ガラクトマンナンを配合したシャンプーに、一定量のN−アシル−N−メチル−β−アラニンを添加する事で解決できる事を見出し本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(A)アルキルエーテルサルフェート型アニオン界面活性剤 8.0〜20.0質量%
(B)一般式(1)で示される特定の両性又は双性界面活性剤 1.0〜5.0重量%
【化1】
[但し式中 sは0又は1の整数であり、
R
1はsが1の時、炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良く、
R
1はsが0の時、炭素数8〜22の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い。
R
2は炭素数1〜3のアルキレン基であり、水酸基が結合されていても良い。
Q
−は−COO
−基、乃至は−SO
3−基を示す。]
(C)カチオン化ガラクトマンナン 0.2〜1.0重量%
(D)N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩 0.2〜2.0重量%
(E)中性無機塩 0.1〜3.0重量%
(F)脂肪酸ジエタノールアミドを実質的に含有しないノニオン性界面活性剤を1.0重量%以下
(G)精製水 残分(組成物全体を100重量%とする量)を含有する毛髪洗浄剤組成物に関する。
【0011】
カチオン化ガラクトマンナンとしてはカチオン化グァーを使用することがより好ましい。
【0012】
副コンディショニング剤として、各種シリコーン、シリコーン誘導体及び毛髪ダメージケアケア効果のある油剤から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明、毛髪洗浄剤組成物により、軽いふわふわの泡質を維持し、望まれる粘度を維持した上に、洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させ、乾燥時においても髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感等のコンディショニング効果を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明毛髪洗浄剤組成物のA成分はアルキルエーテルサルフェートである。起泡性、粘度構築の要になる本発明毛髪洗浄剤組成物の主剤である。本発明の求める軽いふわふわの泡質を考慮すると、エチレンオキサイド1モル付加品が特に望ましい。本発明毛髪洗浄剤組成物においてアルキルエーテルサルフェートは、8.0〜20.0重量%配合されるが、8.0重量%未満の配合量では、極端に起泡力が落ちるため好ましくなく、20.0重量%を超えて配合された場合、他成分との組み合わせによりゲル化が発生するなどの問題があり好ましくない。最適配合量としては起泡量、系の粘度安定性を考え10重量%以上配合することがより好ましい。
アルキルエーテルサルフェートは広く流通しており、エチレンオキサイド1モル付加体を中心に所有するアルキルエーテルサルフェートとしては、エマール170J(花王社製)が挙げられる。
【0015】
本発明毛髪洗浄剤組成物のB成分は一般式(1)で示される特定の両性又は双性界面活性剤である。
【化2】
[但し式中 sは0又は1の整数であり、
R
1はsが1の時、炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良く、
R
1はsが0の時、炭素数8〜22の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い。
R
2は炭素数1〜3のアルキレン基であり、水酸基が結合されていても良い。
Q
−は−COO
−基、乃至は−SO
3−基を示す。]
B成分である一般式(1)で示される特定の両性又は双性界面活性剤は広く流通しており、具体例としては、
ソフタゾリンCPB,ソフタゾリンLPB,ソフタゾリンLSB,ソフタゾリンCPB−R,ソフタゾリンLPB−R,ソフタゾリンPKPB,ソフタゾリンLSB−R(川研ファインケミカル社製),アンヒトール20AB,アンヒトール20BS,アンヒトール24B,アンヒトール55AB,アンヒトール86B,アンヒトール20HD(花王株式会社製)等が挙げられる。
【0016】
B成分は本発明毛髪洗浄剤組成物において1〜5重量%配合される。系の粘度構築の為2重量%以上の配合が好ましい。5重量%を超えて配合されると泡質に影響を与え、本発明の目指す「軽いふわふわの泡質」を実現できなくなリ、泡質がクリーミーになるため好ましくない。
【0017】
本発明毛髪洗浄剤組成物のC成分はカチオン化ガラクトマンナンである。カチオン化ガラクトマンナンは、ガラクトマンナンをカチオン化することにより得られる。ガラクトマンナンは.ガテクトースとマンノースを構成糖とする中性の水溶性植物ヘテロ多糖類の総称で.とくにマメ科植物の種子に多く含まれる。マンノースとガテクトースの縮合様式は.マンノースがβ−1,4結合によって直線的につながったβマンナンの主鎖骨格にガラグトースが置換基としてα−1,6結合した短鎖分岐構造を持つ。
【0018】
C成分であるカチオン化ガラクトマンナンは、本発明毛髪洗浄剤組成物の粘度構築に作用すると同時にカチオン性高分子であり、すすぎ時の指通りや乾燥後の滑らかさを向上させるために配合される。成分Cは、成分A、成分B及び成分Dの混合ミセルと複合体を形成し、すすぎ時の希釈によって系内から析出(コアセルベーション現象)し、これが毛髪に吸着することで、すすぎ時の指通りや乾燥後の滑らかさを向上させるコンディショニング効果を付与する。
カチオン化ガラクトマンナンの配合量は、0.2〜1.0重量%であるが、増粘を考慮すると0.3重量%以上が望ましい。カチオン化ガラクトマンナンの溶解性(安定性)を考慮すると0.8重量%以下がより望ましい。
カチオン化ガラクトマンナンとしては、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化カッシアガム等が挙げられるが、水性媒体への溶解ハンドリング性能よりカチオン化グァーがもっとも使いやすく好ましい。
【0019】
本発明毛髪洗浄剤組成物のD成分は、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩である。N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩はアシルアミノ酸系界面活性剤である。本発明毛髪洗浄剤組成物には0.2〜2.0重量%の配合で効果が発生する。
本発明者は、アシルアミノ酸塩添加が「アルキルエーテルサルフェート+両性界面活性剤+カチオン化ガラクトマンナン」基剤の毛髪洗浄剤組成物に与える影響を確認したところ、中性無機塩存在下において、アシルアミノ酸塩添加量以上の官能評価の改善が見られることを確認した。同時にN−アシル−N−メチル−β−アラニン塩以外のアシルアミノ酸であるアシルグルタミン酸塩、アシルアスパラギン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルザルコシン塩は微量の添加でも毛髪洗浄剤組成物の粘度を大きく毀損することが分かった。N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩の添加配合のみ2.0重量%以下の配合量では、毛髪洗浄剤組成物の粘度を毀損しないことを見出した。N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩の添加配合量は、滑らかさ、指通り性を考えると0.5重量%以上が望ましい。粘度維持を考えると1.5重量%以下がより望ましい
N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩の具体例としては、アラノンACE アラノンALE アラノンALTA アラノンAME(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明毛髪洗浄剤組成物のE成分は中性無機塩である。E成分は主にA成分との共働で本発明毛髪洗浄剤組成物の粘度を構築し、コアセルベーションの発生にも影響を与えていると推定される。本発明毛髪洗浄剤組成物においては0.1〜3.0重量%配合される。組成物の増粘を考えると0.3重量%以上の配合が好ましい。1.0重量%を超えて配合するとカチオン化ガラクトマンナンの種類にもよるが、ポリマーの塩析が発生するなどして好ましくない。また、B成分である特定の両性又は双性界面活性剤は、その合成の過程上食塩を複製するが、本発明のE成分に包含された形で中性無機塩の配合比率を計算する。
【0021】
E成分の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、これらの混合物でも良いが、入手の容易さより塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明毛髪洗浄剤組成物のF成分は、任意成分であり、本発明毛髪洗浄剤組成物の粘度、泡質のコントロール剤として、脂肪酸ジエタノールアミドを除くノニオン活性剤を必要に応じて配合する。
増粘効果、泡質改善効果のあるものが好ましいが、脂肪酸モノエタノールアミド グリセリルエーテル 脂肪酸多価アルコールエステル POEアルキルエーテル(末端封鎖型含む) POE脂肪酸エステル(末端封鎖型含む)等が例示される。
【0022】
具体的には、アミゾールCME アミゼット2C アミゼット1PC ビスコセーフLMPE ビスコファインE2C フォーマイト 2E8(川研ファインケミカル社製),アミノーンC−11S(花王株式会社製),リケマールPL−100(理研ビタミン株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
副コンディショニング成分を本発明毛髪洗浄剤組成物に添加すると、乾燥後の髪のまとまり向上でケア効果感が増大するため、0.1〜3.0重量%配合することが好ましい。副コンディショニング剤としては、各種シリコーン、シリコーン誘導体及び毛髪ダメージケアケア効果のある油剤を例示することができ、これらの混合物でも良い。
【0024】
副コンディショニング成分としてシリコーン、シリコーン誘導体に関して述べる。
シリコーン、シリコーン誘導体としては、ジメチコン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコン及びそのエマルジョンが代表的に選択される。
本発明では、ジメチコン、ジメチコノールとして、下式(2)で表される直鎖型のジメチルポリシロキサン化合物が好ましく用いられる。
【化3】
[式中、R
3、R
4は、それぞれ独立してメチル基又は水酸基を示し、aはジメチルシロキサンの平均重合度で、1〜3000の整数である。]
【0025】
ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンにポリエーテル変性基が導入された化合物であり、側鎖変性タイプであるペンダント型ポリエーテルシリコーン、ブロック変性タイプであるABn型ポリエーテル変性シリコーン、末端変性タイプである末端ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。ポリエーテル変性基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン基が挙げられる。具体的には、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体等が挙げられる。本発明では、側鎖変性タイプであるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンが好ましく用いられる。
【0026】
ジメチコンとしては、SH200シリーズ、BY11−007、BY11−026、BY25−320、BY22−007、BY22−080、BY22−029、BY22−050A、BY22−083、BY22−034、BY22−055、BY22−060、FZ−4150、FZ−4188(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KF−96シリーズ(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0027】
ジメチコノールとしては、1503Fluid(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805、FZ−2222、FZ−2250、FZ2231、FZ2233(以上、東レ・ダウコーニング社製)、SILSOFTシリーズ、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460、TSF1188A(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KF−6011、KF−6015、KF−6012、KF−615A、KF−945(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0028】
アモジメチコン、アモジメチコンエマルジョンとしては、SM8904Cosmetic Emulsion(アモジメチコン40%含有:東レ・ダウコーニング社製)、SILSTYLE 401((ビスブチロキシアモジメチコン/PEG−60)コポリマー21.5%含有:東レ・ダウコーニング社製)、SILSTYLE 104((ビスイソブチルPEG−14/アモジメチコン)コポリマー:東レ・ダウコーニング社製)、SILSTYLE 201((ビスイソブチルPEG−14/アモジメチコン)コポリマー:東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0029】
副コンディショニング成分として毛髪ダメージケア効果のある油剤に関して述べる。
毛髪ダメージケア効果のある油剤としては、分岐脂肪酸誘導体、液状植物油などが挙げられる。
【0030】
液状植物油としては、マカデミアナッツ油、ホホバ油、サフラワー油、米胚芽油、小麦胚芽油、アボカド油、アルモンド油、ゴマ油、ツバキ油、ブドウ油、月見草油、シソ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、メドフォーム油、ローズヒップ油、アプリコット油、アルガン油(アルガニアスピノザ核油)、オリーブ油およびオリーブスクワランが例示される。
【0031】
分岐脂肪酸誘導体としては、ラノリン脂肪酸、18-メチルエイコサン酸、14-メチルペンタデカン酸、14-メチルヘキサデカン酸、16-メチルヘプタデカン酸、16-メチルオクタデカン酸が挙げられる。
【0032】
更に本発明の毛髪洗浄剤組成物には、必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、抗老化薬剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種毛髪栄養剤、香料、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等を適宜配合することができる。
【0033】
配合できる成分の具体例を示せば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパルミ、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤。
【0034】
あるいは、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、アロエベラエキス、オウゴン根エキス、オタネニンジンエキス、カキタンニンエキス、カニナバラエキス、カミツレ花エキス、セイヨウオドリギソウエキス、センチフォリアバラエキス、チャ葉エキス、トウセンカエキス、ハマメリスエキス、フユボダイジュエキス、マグワエキス、ヤグルマギクエキス、ユズエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ウコン抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、シリカ被覆酸化亜鉛、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸時パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
【実施例】
【0035】
本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
表1及び表2記載の配合比率に従ってサンプルを調整した。
調製した毛髪洗浄剤組成物は下記各種測定法により、性能評価した。
【0036】
(性能評価方法)
1.泡質の比較を以下の実験にて評価を行った。
実施例、比較例に記載されている処方を調整し、10倍希釈した液を100mL調整する。
ナショナル製ミキサー(MX-X47)に投入し、30秒間撹拌後、内容液をすべて1000mLのメスシリンダーに移す。
5分間放置後、離水した液を取り除き、泡の容量を測定する。さらに、残った泡の重量を測定し、泡比重を求めた。
【0037】
2.使用感の測定
・評価方法
日本人女性の毛髪をブリーチ処理し、ダメージ毛を作成した。この毛髪を50g(約15―20cm)束ねた毛束を使用した。
まず、毛束を十分濡らし、2ccの評価溶液で洗浄し洗浄中の指通りを評価した。
さらにすすいでいる時の指通り、
乾燥後の指通りを評価した。
評価は専門パネラー10名が官能評価し、以下の基準で判定し、平均値を算出した。
・評価基準
5:全く引っかからず指が通せる
4:僅かに引っ掛かりを感じるが容易に指が通せる
3:引っ掛かりを感じるが絡まずに指が通せる
2;指に引っかかり髪が絡みやすく、指通りが悪い
1:髪が引っかかり、指が通らない
【0038】
3.液の粘度の測定
各サンプルを25℃恒温器に6時間静置した後、B型回転粘度計にて25℃の粘度を測定した。
【0039】
【表1】
※1 花王社製;エマール170J
※2 花王社製;エマール20C
※3 川研ファインケミカル社製;ソフタゾリンCPB―R
※4 花王社製;アンヒトール20HD
※5 三晶社製;JAGUAR C-17
※6 日本ルブリゾール社製;SENSOMER CT−400
※7 川研ファインケミカル社製;アラノンALE
※8 旭化成社製;アミノサーファクトACDS-L
※9 旭化成社製;アミノフォーマーFLDS-L
※10 東邦化学社製;ネオスコープ CN-30
※11 川研ファインケミカル社製;ソイポンSLE
※12 川研ファインケミカル社製;アミゾールCME
※13 東レ・ダウコーニング社製;BY11−026
※14 東レ・ダウコーニング社製;1503Fluid
※15 クローダジャパン社製;18MEA
※16 横関油脂社製;精製椿油
※17 日光ケミカル社製;アルガンオイル
【0040】
【表2】
【0041】
表1の性能評価に関して、本発明毛髪洗浄剤組成物の範囲内で調製された実施例1〜16は、目的とする「軽いふわふわの泡質」であることは泡比重が比較的小さい値でまとまっていることから実証でき、官能評価によるコメントにも「軽い泡質」という表現が使用されていた。また、洗髪、すすぎ、乾燥後を通して指通り使用感が高いスコアでまとまっている。また調整サンプルの粘度は2000〜5000mPa・sの範囲内にあり、ハンドリング性に優れる処方となっており本発明の解決課題をすべて満たしていることが分かる。
【0042】
一方、表2の比較例群と表1の評価を比べた際、
比較例1は実施例4に対してN−アシル−N−メチル−β−アラニン塩を配合しなかった場合であるが、この場合泡質及び粘度は満足いくものの使用感の評価が悪い。
比較例2は、本発明の範囲を超えてN−アシル−N−メチル−β−アラニン塩を配合した場合は、泡質、使用感には満足できるがこれらの、粘度が2000mPa・s未満となり、ハンドリング性に不満が残る結果となった。
比較例3〜6は、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩以外のN-アシルアミノ酸を配合し例であるが、泡質、使用感は充分に満足できるものであったが組成物の粘度が崩れており、粘度が2000mPa・s未満となり、ハンドリング性に不満が残る結果となった。これらのサンプルはノニオン界面活性剤の添加や水溶性増粘高分子を添加することによりハンドリング性は改善できるが、前述したとおりその場合「軽い泡質」を実感できなくなってしまう。
【0043】
比較例7は、実施例1〜3記載の処方中のノニオン性界面活性剤が本発明の範囲を超えて配合された例である。粘度、使用感は満足いくものであったが、泡密度が急激に上昇し前述したとおりその場合「軽い泡質」を実感できなくなってしまった。
【0044】
比較例8は実施例4から特定の両性又は双性界面活性剤が範囲外になった物であるが、泡質、使用感は満足できるが、粘度構築できていない。
【0045】
比較例9は実施例4から中性無機塩が範囲外になった物であるが、泡質は満足できるが、使用感、粘度が満足できない。このことは本発明において中性無機塩が粘度構築のみならず、コアセルベーションの発生にも影響を与えていることを示唆する。
【0046】
比較例10は実施例4からカチオン化ガラクトマンナンが範囲外になった物であるが、コンディショニング成分を失っているので使用感が悪い。
【0047】
以上の様に本発明は、きわめて限定された範囲内ではあるが、解決の課題としていた「軽いふわふわの泡質を維持し、望まれる粘度を維持した上に、洗髪からすすぎまでの滑らかさ、指通り性を向上させ、乾燥時においても髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感等のコンディショニング効果を発現できる毛髪洗浄剤組成物」を充分に実現させていることが判明した。