【解決手段】ゴムと、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンをその表面に有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡ポリスチレン系樹脂成形品。ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合しゴム状ラテックス混合物を調製し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆する、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、加熱成形して、発泡ポリスチレン系樹脂成形品を形成し、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、発泡ポリスチレン系樹脂成形品にゴム状ラテックス混合物を被覆する、発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、次いで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
前記ゴム状ラテックスが、合成ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、ワックスエマルジョン又はこれらの2種以上の混合物である、請求項4又は5に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、請求項7又は8に記載の予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子。
前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、請求項11又は12に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、次いで、加熱成形して、発泡ポリスチレン系樹脂成形品を形成し、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、前記発泡ポリスチレン系樹脂成形品に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆することを含む請求項11〜13のいずれかに記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
前記ゴム状ラテックスが、合成ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、ワックスエマルジョン又はこれらの2種以上の混合物である、請求項17に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
前記ゴム状ラテックスにさらにエチルアルコールを混合して、前記ゴム状ラテックス混合物を調製する、請求項17又は18に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
【背景技術】
【0002】
発泡ポリスチレン系樹脂成形品は独立気泡を有しているためすぐれた断熱性と緩衝特性を有している反面、低密度(軽量)のため成形品表面が脆い、機械的強度が低い等の欠点がある。また、ポリスチレン基材が可燃性であるうえ、気泡中の空気や残留する可燃性の発泡剤のため着火源が存在すると燃焼し易いという欠点がある。さらに、ポリスチレンのガラス転移温度(Tg)が105℃でありそれに発泡剤や可塑剤等が含まれると見かけのTgは約70℃以下にまで低下するので発泡ポリスチレン樹脂成形品の耐熱温度は70℃が限界である。また、スチレン系樹脂成形品は静電気が発生し易いために埃が付着し易く、さらに、成形品を摩擦すると不快な軋み音が発生する。従って、これらの欠点を解決してその用途を拡大することが望まれている。
【0003】
これらの欠点を克服する試みとして、本発明者は、表面にゴム状ラテックスを有する発泡性スチレン系樹脂粒子を提案した(特許文献1)が、成形品表面の硬さや機械的強度は向上したものの、耐熱性、難燃性の効果は得られていない。また、本発明者は、ゴム状ラテックスのバインダー機能を活用し無機化合物を含ませることを提案したが(特許文献2)、燃焼性は低減されたものの満足いく耐熱性の効果は得られていない。
【0004】
従来から行われている難燃性を付与するための公知の方法としては、臭素又は塩素を含む有機ハロゲン化合物の単独又は有機過酸化物との混合物を発泡性ポリスチレン樹脂粒子の合成中に含浸させる方法や、スチレン系樹脂と共に押出機にて練り込ませ、次いで発泡剤を注入しシート又はボードにする方法等がある(特許文献3)。しかしこれらの方法は、燃焼ガスとして有毒なハロゲン化合物が発生し、健康被害や環境汚染の原因となる。また、これらの成形品にはハロゲン化合物が含まれておりリサイクルが難しく、廃棄物として燃焼させるには高温燃焼ができる特殊な焼却炉が必要となり、高価な設備投資、莫大なランニングコストを負担しなければならない。
【0005】
さらに、臭素化ポリスチレンを使用する方法(例えば、特許文献4)、臭素化ジフェニル化合物と酸化アンチモンを混合する方法(例えば、特許文献5)、難燃剤として有機リン系の添加剤を含有させる方法(例えば、特許文献6、特許文献7)が提案されているが、これらの材料はいずれも高価であり、健康被害や環境汚染に繋がる要素を含んでいる。
【0006】
耐熱性向上策として、アクリロニトリルモノマとスチレンモノマとの共重合やポリエチレンやポリプロピレンとスチレンモノマとをグラフト共重合させる方法が公知である。しかしこれらの方法は装置が複雑で高度な技術が要求され、製品は高発泡に不向きでありさらに高価である。
【0007】
静電防止には、親水基がアニオン又はカチオンを含む界面活性剤又はノニオン界面活性剤等を含浸させる方法又は成形品に塗布する方法が一般に知られている技術である。しかしこの方法では、界面活性剤が成形品表面から剥離し易く、継続的に静電気を低減させる効果が低い。
【0008】
発泡ポリスチレン系樹脂成形品の摩擦時に発生する軋み音の防止に、成形品の滑り性向上を狙って高級脂肪酸の金属塩等の石鹸を滑剤として発泡性ポリスチレン樹脂粒子に含浸させる方法、又は発泡ポリスチレン樹脂成形品の表面に付着させる方法が行われているが、その効果は充分ではない。また発泡ポリスチレン樹脂成形品の表面に不織布やプラスチックシートを貼り付ける方法が採られているが、工程が増え加工費高騰の原因になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、表面が柔らかく脆く機械的強度が低い。また、燃えやすく、静電気を帯び易く、摩擦すると耐え難い軋み音を発生する。
本発明は、発泡性、機械的強度、硬度、帯電防止性、耐熱性、難燃性にすぐれ、軋み音が発生しない発泡ポリスチレン系樹脂成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明者は、上記問題点を鑑み鋭意研究を行った結果、発泡ポリスチレン系樹脂成形品にゴム状ラテックスとケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを含ませて製造することにより、従来の発泡ポリスチレン系樹脂成形品が有する優れた断熱性と緩衝特性を損なうことなく、機械的強度、硬度、耐熱性、難燃性、帯電防止性を付与できることを見いだし本発明に至った。即ち、本発明者は、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを分散させたゴム状ラテックス混合物が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子又は発泡ポリスチレン系樹脂成形品との間で密着性が著しく良いことを見いだし、本発明に至った。
【0012】
本発明によれば、以下の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子等が提供される。
1.ゴムと、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを、その表面に有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
2.ケイ酸ナトリウム及びシリコーンをその表面に有する、1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
3.前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
4.ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、次いで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆することを含む、1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
5.前記ゴム状ラテックスにエチルアルコールを混合して、前記ゴム状ラテックス混合物を調製する、4に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
6.前記ゴム状ラテックスが、合成ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、ワックスエマルジョン又はこれらの2種以上の混合物である、4又は5に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
7.ゴムと、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを、その表面に有する予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子。
8.ケイ酸ナトリウム及びシリコーンをその表面に有する、7に記載の予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子。
9.前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、7又は8に記載の予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子。
10.1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させることを含む予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
11.ゴムと、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを、その表面に有する発泡ポリスチレン系樹脂成形品。
12.ケイ酸ナトリウム及びシリコーンをその表面に有する、11に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品。
13.前記ゴムが、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物である、11又は12に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品。
14.1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることを含む発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
15.前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、次いで、加熱成形する、14に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
16.1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を押し出し機で押出して発泡させることを含む発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
17.発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、次いで、加熱成形して、発泡ポリスチレン系樹脂成形品を形成し、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、前記発泡ポリスチレン系樹脂成形品に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆することを含む11〜13のいずれかに記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
18.前記ゴム状ラテックスが、合成ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、ワックスエマルジョン又はこれらの2種以上の混合物である、17に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
19.前記ゴム状ラテックスにさらにエチルアルコールを混合して、前記ゴム状ラテックス混合物を調製する、17又は18に記載の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発泡性、機械的強度、硬度、耐熱性、難燃性、帯電防止性にすぐれ、軋み音の発生しない発泡ポリスチレン系樹脂成形品及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、発泡ポリスチレン系樹脂成形品及びそれらの製造方法について詳細に説明する。
【0015】
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子]
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ゴムと、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンをその表面に有する。
【0016】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られる発泡スチレン系樹脂成形品は、発泡性、機械的強度、硬度、耐熱性、難燃性、帯電防止性にすぐれる。また、軋み音が発生し難くなる。
【0017】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に存在するゴムは、ゴム層を形成していてもよく、ゴム層は連続層とすることができる。ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンは、ゴムにより、強固に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に付着又は被覆される。
【0018】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の一態様は、ゴム層をその表面に有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、前記ゴム層がケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを含む。
【0019】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、耐熱性と難燃性を改善するために、さらに、表面に、メラミンシアヌレートを含んでもよい。
【0020】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ゴム又はゴム層は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面の一部又は全部を被覆する。ゴム又はゴム層は発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面のほぼ全てを被覆することが好ましい。
【0021】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子におけるゴムの含有量は、本発明の効果が得られる範囲であれば限定されないが、通常、付着の無い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体、単に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子という場合もある)100質量部に対し、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0022】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子におけるケイ酸ナトリウムとシリコーンの含有量は、本発明の効果が得られる範囲であれば限定されないが、通常、それぞれ、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100質量部に対し、0.001〜5質量部であり、好ましくは0.01〜3質量部である。
【0023】
本発明で使用する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレンの粒子、又は、スチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体の粒子である。また、複数の種類の樹脂粒子の混合物であってもよい。本発明において「粒子」とは、単に微細な粒であることを意味し、その形状は特に限定されず、球形状やそれ以外の形状のものも含まれる。
【0024】
スチレンと共重合可能なモノマーとしては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体又はその置換体、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、ブタジエン、アクリル酸ブチル、エチレン及びプロピレン等のオレフィン等が挙げられる。スチレンと共重合可能なモノマーの使用量は、共重合体を構成するモノマーの総量に対して50質量%未満が好ましいが目的によってはこの限りではない。
【0025】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には発泡剤が含浸される。発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。発泡剤を含浸させる方法としては、懸濁重合法又は押出発泡法があり、公知の技術を用いることができる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、市販のものを適宜選択して使用することができるが、公知の技術により製造してもよい。
【0026】
本発明に用いるゴムは、例えば、合成ゴム、アクリル酸エステル共重合体、アクリルゴム、天然ゴム、ワックス又はこれらの2種以上の混合物等である。これらは、それぞれ、合成ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリルゴムエマルジョン、天然ゴムラテックス、ワックスエマルジョン等のゴム状ラテックスから得られる。
【0027】
合成ゴムラテックスとしては、変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、変性アクリル酸エステル・ブタジエン共重合体、変性スチレン・ブタジエン共重合体、変性メタクリル酸エステル・ブタジエン共重合体等のラテックスが挙げられる。変性は、例えば、接着性や耐熱性向上を目的にカルボキシル基変性やアルコキシシリル基変性等が挙げられる。
また、エマルジョンに使用可能な乳化剤は、アニオン、ノニオン又はソープフリータイプのいずれでも構わない。
【0028】
本発明で使用するケイ酸ナトリウムは、SiO
2/Na
2Oモル比が2〜3のものが好ましい。中でもモル比3(JIS K1408に示す3号品)で40%ケイ酸ナトリウム水溶液品が作業性に優れている。
【0029】
本発明で使用するシリコーンとして、例えば、シロキサン結合の重合度により粘度が100〜3000cpのものが使用できるが、作業性の観点から粘度が500〜1000cpのジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が好ましい。
【0030】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、任意に、ブロッキング防止剤、成形サイクル短縮剤、滑剤から選択される1種又は2種以上を含んでいてもよい。これらは表面にゴムと共に付着してもよい。
【0031】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、90%重量以上、95重量%以上、98重量%以上、100重量%が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体、ゴム、及び任意に、メラミンシアヌレート、ブロッキング防止剤、成形サイクル短縮剤、滑剤からなってもよい。
【0032】
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法]
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、次いで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に当該ゴム状ラテックス混合物を被覆して製造できる。
【0033】
ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンをゴム状ラテックスに混合すると、ラテックスのバインダー特性を活用して、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に付着させられる。
【0034】
ゴム状ラテックス混合物は、例えば、室温にて、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを添加し、一般的に使用されるスクリュウを備えた撹拌槽等で、混合することにより調製できる。
【0035】
ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンの混合比率は、本発明の効果が得られる範囲であれば限定されないが、通常、ゴム状ラテックス100質量部に対し、それぞれ1〜100質量部である。特性及び生産性の面から、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンの混合比率は、ゴム状ラテックス100質量部に対し、それぞれ、好ましくは3〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。
【0036】
ゴム状ラテックス混合物には、目的に応じて改質剤を添加することができる。
例えば、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合する際、ラテックスへの相溶性を高めるため、改質剤として、少量のエチルアルコールを添加してもよい。エチルアルコールの添加量は、例えば、ゴム状ラテックス100質量部に対し、1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部である。
【0037】
ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合し、さらにエチルアルコールを混合することにより、ゴム状ラテックスへの分散性が向上し、ゴム状ラテックスに良く混合することができる。これにより、ゴム状ラテックス混合物を調製する際の混合時間を短縮することができ、生産性が向上する。
【0038】
エチルアルコールは、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子にゴム状ラテックス混合物を被覆し、乾燥した後は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子上には殆ど残留しない。従って、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて製造される発泡ポリスチレン系樹脂成形品にもエチルアルコールは殆ど含まれない。
【0039】
また、ゴム状ラテックス混合物に、耐熱性と難燃性をより効果的に高めるために、メラミンシアヌレートを適宜加えることができる。その添加量は、例えばゴム状ラテックス100質量部に対し1〜20質量部程度である。
【0040】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子にゴム状ラテックス混合物を被覆する方法としては、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とゴム状ラテックス混合物とを、リボンブレンダー、Vブレンダー等のブレンダーや、ヘンシェルミキサー、レデイゲミキサー、コンクリートミキサー等のミキサーにて混合する方法が挙げられる。
【0041】
ゴム状ラテックス混合物は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の各粒子の表面を均一に被覆することが好ましいが、この点で、ヘンシェルミキサー等を用いた高速回転による混合方法が好ましい。
ヘンシェルミキサーは、リボンブレンダー等の他の方法と比較して混合時間が短くてよく生産性を向上することができる。高速回転により発生し得る摩擦熱が材料に伝わることにより、各材料の密着性を高めるとともに、ゴム状ラテックスの水分やエチルアルコールが蒸発しやすいという利点もある。
【0042】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とゴム状ラテックス混合物の混合比率は、本発明の効果が得られる範囲であれば限定されないが、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100質量部に対し、ゴム状ラテックス混合物が0.05〜30質量部である。特性及び生産性の面から、ゴム状ラテックス混合物が0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0043】
上記の方法でゴム状ラテックス混合物を被覆した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡剤が逸散しないことを条件として、ゴム状ラテックス混合物中の水分(液体)を乾燥除去することが好ましい。乾燥方法、条件は、適宜決定することができる。
【0044】
また、ステアリン酸亜鉛等のブロッキング防止剤を、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100質量部に対し、0.1〜1.0質量部、好ましくは0.01〜0.3質量部加えてもよい。
【0045】
その他、アシルトリグリセライド等の成形サイクル短縮剤を、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100質量部に対し、0.005〜1.0質量部加えてもよい。
【0046】
タルク等の滑剤を、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子本体100質量部に対し、0.1〜10質量部加えてもよい。
【0047】
[予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子]
本発明の予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子は、ゴムとケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンをその表面に有する。
本発明の予備発泡ポリスチレン系樹脂粒子は、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて製造できる。予備発泡の方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0048】
使用する各材料は、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について説明したとおりである。
【0049】
[発泡ポリスチレン系樹脂成形品]
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、ゴムとケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンをその表面に有する。
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、通常、表面がゴム又はゴム層で被覆され、ゴムにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンが分散して付着している。
【0050】
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、その表面の殆どがゴムで被覆されていることが好ましい。
また、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンが成形品表面と成形品の内部に分散していることが好ましい。
【0051】
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品の一態様は、ゴム層をその表面に有する発泡ポリスチレン系樹脂成形品であって、前記ゴム層がケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを含むものである。
【0052】
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、メラミンシアヌレート、ブロッキング防止剤、成形サイクル短縮剤、滑剤(タルク等)等を含んでもよい。
【0053】
使用する各材料は、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について説明したとおりである。
【0054】
[発泡ポリスチレン系樹脂成形品の製造方法]
本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて製造できる。
【0055】
具体的には、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、次いで、予備発泡した樹脂粒子を所定の型に入れて加熱成形することにより、所定の形状を有する発泡ポリスチレン系樹脂成形品を製造することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を押出機にて押し出し発泡することにより、シート形状又は所定の形状を有する発泡ポリスチレン系樹脂成形品を製造することができる。
さらに、ケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを含むゴム状ラテックス混合物で被覆した、又はこの混合物と混合した、ポリスチレン系樹脂粒子又はペレットを押出機にて押し出しながら発泡剤を圧入することにより、シート形状又は所定の形状を有する発泡ポリスチレン系樹脂成形品を製造することができる。
【0056】
さらに、本発明の発泡ポリスチレン系樹脂成形品は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させ、次いで、加熱成形して、発泡ポリスチレン系樹脂成形品を形成し、ゴム状ラテックスにケイ酸ナトリウム及び/又はシリコーンを混合してゴム状ラテックス混合物を調製し、前記発泡ポリスチレン系樹脂成形品に前記ゴム状ラテックス混合物を被覆して、製造できる。
【0057】
発泡ポリスチレン系樹脂成形品にゴム状ラテックス混合物を被覆する方法としては、例えば、刷毛での塗布、スプレーガンによる吹きつけ、ゴム状ラテックス混合物への成形品の浸漬等の方法が挙げられる。被覆後、室温〜80℃で乾燥することにより、ゴム状ラテックス混合物中の水分を除去することができる。被覆したゴム状ラテックス混合物の膜厚は、乾燥前で通常0.1〜100μmであり、好ましくは5〜70μmである。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で使用した各材料は次の通りである。
(1)発泡性ポリスチレン系樹脂粒子
発泡性ポリスチレン樹脂粒子(VNPS(ベトナム)製、商品名:Expandable polystyren ss)(表中、「EPS」と記載する。)
【0059】
(2)ゴム状ラテックス
変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン製、商品名:Nipol(登録商標)SX1503A、濃度42%)(表中、「AN・B」と記載する。)
変性アクリル酸エステル・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン製、商品名:Nipol(登録商標)SX1105A、濃度45%)(表中、「ST・B」と記載する。)
微カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本エイアンドエル製、商品名:ナルスター(登録商標)SR−107、濃度48%)(表中、「CST・B」と記載する。)
ワックスエマルジョン(日本精蝋製、商品名:EMUSTAR(登録商標)−0135、濃度40%)(表中、「W・E」と記載する。)
【0060】
(3)ケイ酸ナトリウム(昭和化学製、商品名:ケイ酸ナトリウム水溶液No.3)
【0061】
(4)シリコーン(信越化学製、商品名:KF−96 1000CS)
【0062】
実施例1
羽根を備えた2Lフラスコに、攪拌(150rpm)しながら変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス800g、ケイ酸ナトリウム200gを入れ、次いでエタノール50gを加え室温にて10分間混合してゴム状ラテックス混合物(被覆材)を作製した。
【0063】
次いで、発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)に対して、上記のゴム状ラテックス混合物50g(0.5質量部)を添加し、小型ヘンシェルミキサー(表中、「HM」と記載する)で1分間混合し、次いでステアリン酸亜鉛10g(0.1質量部)を添加し、さらに1分間混合した。混合後の発泡性ポリスチレン樹脂粒子は乾いており、ゴム状ラテックス混合物が被覆されていた。
この樹脂粒子を予備発泡機(日立化成テクノプラント製、HBP−500)にて嵩発泡倍数51倍(密度19.6kg/m
3)に予備発泡し、得られた予備発泡粒子を16時間室温にて熟成した。
【0064】
次いで、熟成後の予備発泡粒子を用い、寸法300mm(長さ)×50mm(幅)×20mm(厚み)の平板状の成形品6個取りの金型を取り付けた成形機(ダイセン工業製、VS−500)にて、スチーム圧0.07MPaで成形を行い、嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。この成形品は内部及び表面にゴム、ケイ酸ナトリウムを含んでいた。
【0065】
実施例2
実施例1において、変性アクリルニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス800gの代わりに変性アクリル酸エステル・ブタジエン共重合体ラテックス800gを使用したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0066】
実施例3
実施例1において、変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス800gの代わりに微カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス400gとワックスエマルジョン400gを混合使用したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0067】
実施例4
実施例1において、ゴム状ラテックス混合物を調製する際、ゴム状ラテックス800gを600gに減量し、ケイ酸ナトリウム200gを400gに増量したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0068】
実施例5
実施例1において、ゴム状ラテックス混合物を調製する際、ゴム状ラテックス800gを900gに増量し、ケイ酸ナトリウム200gを100gに減量したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0069】
実施例6
実施例1において、ゴム状ラテックス混合物を調製する際、シリコーン100gを追加したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0070】
実施例7
実施例1において、ゴム状ラテックス混合物を調製する際、シリコーン200gを追加したことを除いては、実施例1と同様にして嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0071】
実施例8
発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)とステアリン酸亜鉛10g(0.1質量部)を小型ヘンシェルミキサーで1分間混合して得られた、表面にゴム状ラテックス混合物を被覆していないものを用いて、実施例1と同様に、予備発泡、成形を行い、嵩発泡倍数50倍(密度20.6kg/m
3)の成形品を12枚得た。この成形品1枚の質量は6.05gであった。
得られた成形品を、実施例1で調製したケイ酸ナトリウムを含有するゴム状ラテックス混合物中に浸漬した後、余分に付着しているゴム状ラテックス混合物を除去し、60℃の乾燥室で2時間乾燥させた。乾燥後の成形品の質量は6.21gであった。
【0072】
実施例9
実施例1で調製したゴム状ラテックス混合物が被覆された発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)、ステアリン酸亜鉛10g(0.1質量部)及びタルク100g(1質量部)を小型ヘンシェルミキサーで1分間混合し、吐出口径5mmの丸ダイを取り付けた40φのL/D24の発泡用押出機(田辺プラスチック社製)にて、ダイ温度120℃で発泡倍数15倍(66.7kg/m
3)の白色の直径50mmの丸棒へと押し出した。押し出し中に異臭等は発生しなかった。
【0073】
比較例1
発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)とステアリン酸亜鉛10g(0.1質量部)を小型ヘンシェルミキサーで1分間混合して得られた、表面にゴム状ラテックス混合物を被覆していないものを用いて、実施例1と同様に予備発泡、成形を行い、嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0074】
比較例2
小型ヘンシェルミキサー内に、発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)、変性アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス50g(0.5質量部)及びステアリン酸亜鉛10g(0.1質量部)を添加し1分間混合した。得られた被覆発泡性ポリスチレン樹脂粒子を用いて、実施例1と同様に予備発泡、成形を行い、嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0075】
比較例3
小型ヘンシェルミキサー内に、発泡性ポリスチレン樹脂粒子10kg(100質量部)、ケイ酸ナトリウム10g(0.1質量部)及びシリコーン10g(0.1質量部)を添加し2分間混合した。得られた被覆発泡性ポリスチレン樹脂粒子を用いて、実施例1と同様に予備発泡、成形を行い、嵩発泡倍数50倍(密度20.0kg/m
3)の成形品を12枚得た。
【0076】
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られた発泡性ポリスチレン樹脂粒子及び発泡ポリスチレン樹脂成形品について、各特性を以下の通りに評価した。ただし実施例9は丸棒であるため耐熱性は測定しなかった。結果を表1に示す。
【0077】
(1)曲げ強度
成形品の曲げ強度[N/cm
2]を、JIS−A−9511、JIS−K−7220に準じて測定した。
【0078】
(2)表面硬度
成形品の表面硬度は、吉田精機製ポリスチレンフォームテスターPFT−2のセンサーを成形品表面に押圧し、その指示値で示した。硬度の数値が小さいほど硬くて好ましいことを意味する。硬度の最小値は20、最大値は80である。
【0079】
(3)帯電防止性
デジタル式静電気測定器(MODEL2050、ヒューグルエレクトロニクス製)を用いて、成形品の帯電量[V]を測定した。
【0080】
(4)発泡性
発泡性ポリスチレン樹脂粒子を100℃の沸騰水に5分間浸し、発泡直後と24時間後の発泡倍数[倍(ml/g)]を測定した。
【0081】
(5)軋み音
同じ実施例又は比較例で得られた成形品同士を摩擦し、その際に発生する軋み音を聞いて評価した。評価は、◎:軋み音無し、○:音はするが不快ではない、×:不快音とした。
【0082】
(7)耐熱性
耐熱性は、成形品を90℃及び95℃に保持した後の寸法の変化(収縮率)により評価した。
成形品をニクロム熱線により長さ方向において3等分して、99mm×50mm×20mmの試験片とし、長辺(99mm)、短辺(50mm)、厚み(20mm)、及び、長辺と短辺により形成される面の対角線の寸法をノギスで測定した。試験片3個を恒温器(藤本科学会社製、形式:DEN400)中に同時に入れ、90±2℃で22時間静置した後、取り出して、それぞれの寸法を測定した。厚みは寸法変化が無かったため、長辺と短辺により形成される面の二本の対角線寸法を乗し、この値をさらに加温前の元の寸法を乗した積で除した値(n=3の平均値)を収縮率[%]とした(表1中「90℃収縮率」)。
同様に、別の試験片3個を95±2℃で22時間静置した後、寸法を測定して収縮率[%]を算出した(表1中、「95℃収縮率」)。
収縮率の数値が100%に近いほど試験片の収縮が少ない。即ち、耐熱性に優れていることを意味する。
【0083】
(8)難燃性
成形品の難燃性をJIS−A−9511に基づき評価した。着火源を試験体から離してから3秒以内に試験体の火が消えるものを「自消性」とし、3秒以内に試験体の火が消えないものを「燃焼性」とした。表中、0秒は、着火源が離れたときに試験体に火がつかなかったことを示す。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例1〜9の発泡スチレン系樹脂成形品は、ゴム状ラテックスのみを使用した比較例2と比べて、曲げ強度を維持し、かつ、表面硬度、耐熱性、難燃性、帯電防止性においてすぐれた結果が得られた。