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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-48760(P2017-48760A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/10 20060101AFI20170217BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20170217BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20170217BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20170217BHJP
   F02M 31/07 20060101ALI20170217BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20170217BHJP
【FI】
   F01M11/10 F
   F01M13/00 K
   F02M35/10 311D
   F02M35/024 521E
   F02M31/06 E
   F02B63/04 B
   F02B63/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-174139(P2015-174139)
(22)【出願日】2015年9月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 勝也
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015AB03
3G015BD12
3G015BD24
3G015CA16
3G015EA37
3G015FB06
3G015FC05
(57)【要約】
【課題】寒冷地での使用によるブローバスガスに含まれる水分の凍結を防止することができるエンジン発電機を提供すること。
【解決手段】ブローバイガスを吸気系に備わるエアクリーナ17の下流側に還流させるガス還流管31を備えるエンジン15をケーシング13内に収容したエンジン発電機11において、エアクリーナ17の上流側に接続され、ケーシング13の外部に開口する外部吸気口41及びケーシング13の内部に開口する内部吸気口42が形成された吸気ダクト40と、外部吸気口41からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替える切替装置45とを有し、内部吸気口42は、ケーシング13内の排気管26付近に配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローバイガスを吸気系に備わるエアクリーナの下流側に還流させるガス還流管を備えるエンジンをケーシング内に収容したエンジン発電機において、
前記エアクリーナの上流側に接続され、前記ケーシングの外部に開口する外部吸気口及び前記ケーシングの内部に開口する内部吸気口が形成された吸気ダクトと、
前記外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替える切替手段とを有し、
前記内部吸気口は、前記ケーシング内の熱源付近に配置されている
ことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項2】
請求項1に記載するエンジン発電機において、
前記切替手段は、外気温が予め設定されている温度以下の場合に、前記外部吸気口からの吸気の取り込みを禁止する
ことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項3】
請求項2に記載するエンジン発電機において、
前記切替手段は、
前記外部吸気口を開閉する開閉部材と、
外気温を検出する外気温センサと、
前記外気温センサの検出値に基づき前記開閉部材を駆動する駆動部と、
を有する
ことを特徴とするエンジン発電機。
【請求項4】
請求項2に記載するエンジン発電機において、
前記切替手段は、
前記外部吸気口に配置されたファンと、
外気温を検出する外気温センサと、
前記外気温センサの検出値に基づき前記ファンを駆動する駆動部と、
を有する
ことを特徴とするエンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローバイガス還流装置を備えるエンジン発電機に関し、詳細には、凍結によるガス還流管の閉塞を防止することができるエンジン発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジン発電機に使用される小型の汎用エンジンにおいては、シリンダとピストンとの間からクランクケース内に漏れ出したブローバイガスをガス還流管を通してエンジンの吸気側、通常はエアクリーナに還流させるブローバイガス還流装置が設けられている。そして、ブローバイガスを吸気側に還流させるガス還流管が、エンジンの外側に引き回されている。このガス還流管を流れるブローバイガスは、燃焼により発生した水分を多く含んでいるため、寒冷地でガス還流管が0℃以下になると、ガス還流管内で凝縮した水分が凍結し、ガス還流管を閉塞してブローバイガスの還流が正常に行われなくなることがある。
【0003】
そのため、ガス還流管での凍結を防止するために、ガス還流管に断熱材や電熱線ヒータを取り付けて、ガス還流管全体を暖めることが行われている。また、ガス還流管の中間部を両端のガス流入部及びガス流出部より高位置に配置するとともに、ガス還流管の中間部に、板面を鉛直方向に向けてガス還流管内に配置した板材に、ガス還流管の断面積より小さな断面積の通孔からなる絞りを設けて、凍結防止を図っているものもある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−20279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した対策では、寒冷地でエンジン発電機を使用する場合、エアクリーナを通過した冷たい外気(吸気)と、エンジンの燃焼によって暖められたブローバイガスとが、エンジンの吸気行程において混合されるため、冷たい吸気が少しずつガス還流管の流出口(戻り口)にてブローバイガスと混合してブローバイガスに含まれる水分が徐々に凍結してしまう。そのため、最終的にはガス還流管の流出口すべてを塞いでしまうおそれがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、寒冷地におけるブローバイガスに含まれる水分の凍結を防止することができるエンジン発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、ブローバイガスを吸気系に備わるエアクリーナの下流側に還流させるガス還流管を備えるエンジンをケーシング内に収容したエンジン発電機において、前記エアクリーナの上流側に接続され、前記ケーシングの外部に開口する外部吸気口及び前記ケーシングの内部に開口する内部吸気口が形成された吸気ダクトと、前記外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替える切替手段とを有し、前記内部吸気口は、前記ケーシング内の熱源付近に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このエンジン発電機では、切替手段により、吸気ダクトに形成された外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止が切り替えられる。具体的には、外気が温かいとき(例えば、外気が0℃以上の場合など)は外部吸気口からの吸気の取り込みを実行し、外気が冷たいとき(例えば、0℃未満の場合など)は外部吸気口からの吸気の取り込みを禁止する。そして、吸気ダクトの内部吸気口がケーシング内の熱源(例えば、排気管など)付近に配置されている。そのため、冷たい吸気がエアクリーナへ送り込まれることがない。従って、ガス還流管の流出口には、温かい吸気が流れる(冷たい吸気が流れない)ため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを防止することができる。これにより、簡単な構成によって、寒冷地での使用によるガス還流管の流出口における凍結を防止することができる。
【0009】
ここで、上記したエンジン発電機において、前記切替手段は、外気温が予め設定されている温度以下の場合に、前記外部吸気口からの吸気の取り込みを禁止するようにすれば良い。
【0010】
このような構成にすることにより、外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止の切り替えを自動化することができる。なお、設定温度としては、例えば、0〜−10℃を例示することができる。
【0011】
上記したエンジン発電機において、前記切替手段は、前記外部吸気口を開閉する開閉部材と、外気温を検出する外気温センサと、前記外気温センサの検出値に基づき前記開閉部材を駆動する駆動部と、を有することが好ましい。
【0012】
このような構成にすることにより、外気温に応じて自動的に外部吸気口を開閉して、外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替えることができる。なお、外気温センサの検出値に応じて外部吸気口の開度を変更しても良い。例えば、外気温度が高くなるに従って外部吸気口の開度を徐々に大きくすれば良い。これにより、吸気量の制限をできるだけ少なくしつつ、ガス還流管の流出口において、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを防止することができる。
【0013】
また、上記した前記切替手段は、前記外部吸気口に配置されたファンと、外気温を検出する外気温センサと、前記外気温センサの検出値に基づき前記ファンを駆動する駆動部と、を有していても良い。
【0014】
このように、開閉部材の代わりに、ファンを外部吸気口に配置することもできる。このような構成にすることにより、外気温に応じて自動的にファンを駆動して、外部吸気口からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替えることができる。なお、外気温センサの検出値に応じてファンの回転数(風量)を変更しても良い。例えば、外気温度が高くなるに従ってファンの回転数(風量)を徐々に大きくすれば良い。これにより、吸気量の制限をできるだけ少なくしつつ、ガス還流管の流出口において、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエンジン発電機によれば、寒冷地での使用によるブローバイガスに含まれる水分の凍結を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る可搬式エンジン発電機の断面上面図である。
図2】実施形態に係る可搬式エンジン発電機の断面側面図である。
図3図2に示す可搬式エンジン発電機を右側から見た部分断面図である。
図4】切替装置の正面図である。
図5】切替装置の断面側面図である。
図6】第1変形例に係る切替装置の正面図である。
図7】第1変形例に係る切替装置の断面側面図であり、外部吸気口を閉じた状態を示す図である。
図8】第1変形例に係る切替装置の断面側面図であり、外部吸気口を開いた状態を示す図である。
図9】第2変形例に係る切替装置の正面図である。
図10】第2変形例に係る切替装置の断面側面図である。
図11】第3変形例に係る切替装置の正面図である。
図12】第3変形例に係る切替装置の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るエンジン発電機について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態では、可搬式エンジン発電機に本発明を適用した場合について説明する。
まず、本実施形態に係る可搬式エンジン発電機について、図1図5を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る可搬式エンジン発電機の断面上面図である。図2は、実施形態に係る可搬式エンジン発電機の断面側面図である。図3は、図2に示す可搬式エンジン発電機を右側から見た部分断面図である。図4は、切替装置の正面図である。図5は、切替装置の断面側面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、可搬式エンジン発電機11は、ケーシング13の内部に、発電機14と、該発電機14を駆動するエンジン15と、エアクリーナ17、ラジエータ18、マフラ19などの機器とを収容したものであって、エンジン15とマフラ19との間には、ラジエータ18を装着した仕切り壁20が設けられ、この仕切り壁20によってケーシング13内が,エンジン15や発電機14を収容した機器室21と、マフラ19を収容した排風室22とに区画されている。そして、ケーシング13には、ケーシング13の内部に空気を取り入れるための吸気口23が複数設けられている。ケーシング13内に吸い込まれた空気は、一部がエンジン15に供給され、残部はラジエータファン27の作用でラジエータ18を通過し、エンジン冷却水を冷却した後、排風室22から外部に排出されるようになっている。
【0019】
エアクリーナ17の上流側には、吸気ダクト40が接続されている。この吸気ダクト40は、ケーシング13の外部に開口する外部吸気口41と、ケーシング13の内部に開口する内部吸気口42とを備えている。これら外部吸気口41及び内部吸気口42から吸い込まれた空気(吸気)は、エアクリーナ17から吸気管25を介してエンジン15のシリンダ内に送り込まれる(図1の矢印参照)。そして、シリンダ内で燃料を燃焼させた後の排ガスが、排気管26からマフラ19を通して外部に排出されるようになっている。
【0020】
一方、エンジン15の上部には、エンジン15のクランクケース内からエンジン15の吸気側(エアクリーナ17の下流側)にブローバイガスを還流させるガス還流管31が設けられている。このガス還流管31を介して、クランクケース内と吸気管25とが連通されている。そして、エンジン15の運転中は、吸気管25内が負圧になることから、クランクケース内のブローバイガスは、ガス還流管31の流入口31aから吸引され、ガス還流管31の流出口31bから吸気管25内を流れる吸気空気に吸い込まれてエンジン15のシリンダに送り込まれるようになっている。
【0021】
ここで、外部吸気口41には、図4及び図5に示すように、吸気の取り込みの実行・禁止を切り替える切替装置45が設けられている。この切替装置45は、外部吸気口41を開閉する吸気弁(開閉弁)46と、外気温を検出する外気温センサ47と、外気温センサ47の検出値に基づき吸気弁46を駆動(スライド)する駆動部48とを備えている。
【0022】
このような切替装置45では、外気温センサ47の検出値に基づき駆動部48によって吸気弁46が駆動(スライド)されて外部吸気口41が開閉されることにより、外部吸気口41からの吸気の取り込みの実行・禁止を切り替えることができるようになっている。これにより、外部吸気口41からの吸気の取り込みが実行される(外部吸気口41が開かれる)と、外部吸気口41と内部吸気口42の両方から吸気が取り込まれ、外部吸気口41からの吸気の取り込みが禁止される(外部吸気口41が閉じられる)と、内部吸気口42のみから吸気が取り込まれるようになっている。
【0023】
なお、駆動部48が作動する外気温センサ47の設定温度としては、例えば、0〜−10℃で任意に設定することができる。外気温度が−10℃程度であれば、外部吸気口41から吸い込まれる吸気は、エンジン15の排気管26の近傍に配置されている内部吸気口42から吸い込まれる温かい吸気と混合されてエアクリーナ17に供給されるため、エアクリーナ17を通過した後にガス還流管31の流出口付近では0℃以上になっており、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することはないからである。また、吸気温度が低いほど、エンジン15の性能向上を図ることができる。そのため、本実施形態では、外気温度が−10℃になるまでは外部吸気口41から冷たい吸気を吸い込み、外気温センサ47で検出される温度が−10℃以下になると、駆動部48により吸気弁46が外部吸気口41を全閉するように設定している。
【0024】
上記の構成を有する可搬式エンジン発電機11では、エンジン15の運転中、切替装置45により、吸気ダクト40に形成された外部吸気口41からの吸気の取り込みの実行・禁止が切り替えられる。すなわち、外気温センサ47により検出される外気温度が−10℃よりも高いと、駆動部48により吸気弁46が開方向(図4矢印方向)へスライドされて外部吸気口41が開かれ、外部吸気口41からの吸気の取り込みが実行される。このとき、内部吸気口42からも吸気が取り込まれている。従って、外部吸気口41と内部吸気口42の両方から吸気が取り込まれて混合されたものが、エアクリーナ17を通過した後、ガス還流管31の流出口31b付近に供給される。このとき、ガス還流管31の流出口31b付近では0℃以上になっているため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することはない。また、エンジン15に取り込まれる吸気の温度が0℃以上ではあるが低いため、吸入空気量が増加するためエンジン15の性能が向上して発電効率が良くなる。
【0025】
一方、外気温センサ47により検出される外気温度が−10℃以下であると、駆動部48により吸気弁46が閉方向へスライドされて外部吸気口41が閉じられ(図4の状態)、外部吸気口41からの吸気の取り込みが禁止される。これにより、吸気は内部吸気口42からのみ取り込まれる。そして、内部吸気口42は、ケーシング13内の排気管26の近傍に配置されているため、温かい吸気がエアクリーナ17へ送り込まれる。従って、ガス還流管31の流出口31bには、温かい吸気が流れる(冷たい吸気が流れない)ため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを確実に防止することができる。
【0026】
このように、可搬式エンジン発電機11では、ブローバイガスに含まれる水分がガス還流管31の流出口31b付近で凍結することを防止することができる。これにより、ガス還流管31の凍結による閉塞を防止することができるため、可搬式エンジン発電機11を極寒地で使用する場合でも、安定した状態でエンジン15を作動させることができ、電力供給を確実に行うことができる。
【0027】
ここで、切替装置の変形例について、図6図12を参照しながら説明する。図6図8が第1変形例に係る切替装置を示し、図9及び図10が第2変形例に係る切替装置を示し、図11及び図12が第3変形例に係る切替装置を示す。なお、以下では、上記の切替装置45との相違点について説明し、同様の構成については同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0028】
まず、第1変形例に係る切替装置45aは、図6図8に示すように、吸気弁46を開閉するために伸縮シリンダ50が設けられている。これにより、切替装置45aでは、伸縮シリンダ50が伸びたときに吸気弁46が外部吸気口41を閉じ(図7の状態)、伸縮シリンダ50が縮んだときに吸気弁46が外部吸気口41を開く(図8の状態)。そして、外気温センサ47で検出される温度が−10℃以下になると、伸縮シリンダ50が伸びて吸気弁46により外部吸気口41が全閉となる。これにより、寒冷地において使用しても、ガス還流管31の流出口31b付近には、極低温の吸気が供給されないため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを確実に防止することができる。
【0029】
次に、第2変形例に係る切替装置45bは、図9及び図10に示すように、吸気弁46の代わりに電動ファン51が設けられている。これにより、電動ファン51が停止状態で外部吸気口41が閉じられ、電動ファン51が作動状態で外部吸気口41が開かれることになる。そして、外気温センサ47で検出される温度が−10℃以下になると、電動ファン51が停止して外部吸気口41が閉じられる。このとき、外部吸気口41は全閉にならないが、外部吸気口41から取り込まれる極低温の吸気は非常に少ない。そのため、寒冷地において使用しても、ガス還流管31の流出口31b付近には、極低温の吸気が供給されないため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを確実に防止することができる。
【0030】
そして、切替装置45bでは、外気温センサ47の検出値に応じて電動ファン51の回転数(風量)を変更しても良い。例えば、外気温センサ47で検出される外気温が高くなるに従って電動ファン51の回転数(風量)を徐々に大きくすれば良い。これにより、吸気量の吸入制限をできるだけ少なくしつつ、ガス還流管31の流出口31b付近において、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを防止することができる。
【0031】
最後に、第3変形例に係る切替装置45cは、図11及び図12に示すように、吸気弁46を開くために電磁弁52とスプリング53が設けられている。これにより、切替装置45cでは、電磁弁52の電磁力がなくなった(無効化された)ときに、スプリング53の作用により吸気弁46が外部吸気口41を開ける。そして、切替装置45cでは、外気温センサ47で検出される温度が−10℃より高くなると、電磁弁52が無効化される。従って、切替装置45cでは、外気温度が−10℃以下であれば、外部吸気口41が吸気弁46によって閉じられる。これにより、寒冷地において使用しても、ガス還流管31の流出口31b付近には、極低温の吸気が供給されないため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを確実に防止することができる。
【0032】
以上、詳細に説明したように本実施形態に係る可搬式エンジン発電機11によれば、切替装置45(45a〜45c)により、外気温センサ47が検出する外気温が−10より高い場合は外部吸気口41からの吸気の取り込みを実行し、−10℃以下の場合は外部吸気口41からの吸気の取り込みを禁止する。そして、吸気ダクト40の内部吸気口42がケーシング13内の排気管26付近に配置されている。そのため、冷たい吸気がエアクリーナ17へ送り込まれることがない。従って、ガス還流管31の流出口31bには、温かい吸気が流れる(冷たい吸気が流れない)ため、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することを防止することができる。これにより、簡単な構成によって、寒冷地での使用によるガス還流管31の流出口31bにおける凍結を防止することができる。
【0033】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。上記した実施形態では、切替装置45,45a,45b,45cとして、外気温センサ47を備え、外気温センサ47の検出値に基づき、外部吸気口41からの吸気の取り込みを実行・禁止するものを例示したが、切替装置はこのような構成に限られることはない。例えば、外気温度センサを備えていなくても良いし、自動的に外部吸気口を開閉しなくても良い。具体的には、エンジン発電機の運転時の気温に基づき手動で外部吸気口を蓋などで塞ぐようにすることができる。
【符号の説明】
【0034】
11 可搬式エンジン発電機
13 ケーシング
15 エンジン
17 エアクリーナ
23 吸気口
25 吸気管
26 排気管
31 ガス還流管
31a 流入口
31b 流出口
40 吸気ダクト
41 外部吸気口
42 内部吸気口
45 切替装置
46 吸気弁(開閉弁)
47 外気温センサ
48 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12