特開2017-48840(P2017-48840A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産トーソク株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017048840-電動アクチュエータ 図000003
  • 特開2017048840-電動アクチュエータ 図000004
  • 特開2017048840-電動アクチュエータ 図000005
  • 特開2017048840-電動アクチュエータ 図000006
  • 特開2017048840-電動アクチュエータ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-48840(P2017-48840A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20170217BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20170217BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20170217BHJP
【FI】
   F16H25/20 B
   F16H25/24 G
   H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-171954(P2015-171954)
(22)【出願日】2015年9月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真貝 一美
(72)【発明者】
【氏名】金城 秀一
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊晃
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朝華
(72)【発明者】
【氏名】立田 洋
【テーマコード(参考)】
3J062
5H607
【Fターム(参考)】
3J062AA01
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA12
3J062BA31
3J062CD04
3J062CD22
3J062CD57
3J062CG83
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大型化することを抑制しつつ、モータによって作動レバー部を直線的に駆動できる電動アクチュエータを提供する.
【解決手段】電動アクチュエータ10は、軸方向に延びる中心軸J1と平行な方向に延びるモータシャフト21を有するモータ12と、モータシャフト21に連結され、モータシャフト21の回転に伴って軸方向に移動する可動部材40と、を備え、軸方向に沿って可動する車両側連結部CS1を駆動する。可動部材40は、モータシャフト21が通される貫通孔41aを有する本体部41と、本体部41から軸方向と交差する方向に延び、車両側連結部CS1に取り付けられる作動レバー部42と、を有する。モータシャフト21の外周面に位置する螺旋状の溝である第1螺旋状溝21bと、貫通孔41aの内側面に位置する螺旋状の溝である第2螺旋状溝41bとの間に位置する複数の球状のボール44によって、ボールネジ80が構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸と平行な方向に延びるモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転に伴って軸方向に移動する可動部材と、
を備え、軸方向に沿って可動する車両側連結部を駆動する電動アクチュエータであって、
前記可動部材は、
前記モータシャフトが通される貫通孔を有する本体部と、
前記本体部から軸方向と交差する方向に延び、前記車両側連結部に取り付けられる作動レバー部と、
を有し、
前記モータシャフトは、前記モータシャフトの外周面に位置する螺旋状の溝である第1螺旋状溝を有し、
前記本体部は、前記貫通孔の内側面に位置する螺旋状の溝である第2螺旋状溝を有し、
前記第1螺旋状溝、前記第2螺旋状溝、および前記第1螺旋状溝と前記第2螺旋状溝との間に位置する複数の球状のボールによって、ボールネジが構成される、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記車両側連結部は、軸方向に延びる車両側シャフトであり、
前記車両側シャフトは、前記車両側シャフトの外周面に位置し軸方向と直交する方向に延びる第1溝部を有し、
前記作動レバー部の先端は、
軸方向と直交する方向に突出し、前記第1溝部に係合される第1突出部と、
前記第1突出部と並行して延び前記第1突出部との間で前記車両側シャフトを挟む第2突出部と、
を有する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記車両側シャフトは、前記車両側シャフトの外周面に位置し軸方向と直交する方向に延びる第2溝部を有し、
前記第2溝部は、前記車両側シャフトを挟んで前記第1溝部と逆側に位置し、
前記第2突出部は、前記第2溝部に係合される、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2突出部は、板バネである、請求項2または3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記第2突出部は、前記車両側シャフトの外周面に沿った部分を有する、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記可動部材の軸方向の位置を検出する位置検出センサと、
前記位置検出センサを軸方向に移動させる移動部と、
を備え、
前記移動部は、
前記位置検出センサの軸方向一方側の端部に接触し軸方向に移動可能な可動部と、
前記位置検出センサの軸方向他方側の端部に接触するバネと、
を有し、
前記バネは、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側に向かって前記位置検出センサを付勢する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記可動部材は、前記本体部から前記作動レバー部と逆向きに突出する凸部を有し、
前記凸部の少なくとも一部は、軸方向において、前記作動レバー部と同じ位置にあり、
前記位置検出センサは、前記凸部と対向する位置に配置され、かつ、前記凸部の軸方向の位置を検出する、請求項6に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記可動部材を収容するアクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジングに保持され前記モータシャフトを回転可能に支持するベアリングと、
をさらに備え、
前記ベアリングは、軸方向において、前記可動部材よりも前記モータシャフトの先端側に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記可動部材を収容するアクチュエータハウジングと、
前記アクチュエータハウジング内に収容され前記モータシャフトの径方向外側を囲むカバーと、
を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項10】
前記カバーは、ベローズを含む、請求項9に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のクラッチ等の切り換えを行う装置が知られている。例えば、特許文献1のクラッチ操作装置においては、電気モータによってスクリューが回転され、スクリューにねじ結合されたナットブロックが直線移動することで、作動ロッドが直線移動する。これにより、クラッチの切り換えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−112515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような装置においては、スクリューの回転をナットブロックの直線移動に変換する効率が比較的低い問題があった。この問題により、作動ロッドを直線移動させるのに十分な力を得るために、電気モータを大型化してスクリューに伝達される回転トルクを大きくする必要があった。したがって、装置全体が大型化する問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、大型化することを抑制しつつ、モータによって作動レバー部を直線的に駆動できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様の電動アクチュエータは、軸方向に延びる中心軸と平行な方向に延びるモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転に伴って軸方向に移動する可動部材と、を備え、軸方向に沿って可動する車両側連結部を駆動する電動アクチュエータであって、前記可動部材は、前記モータシャフトが通される貫通孔を有する本体部と、前記本体部から軸方向と交差する方向に延び、前記車両側連結部に取り付けられる作動レバー部と、を有し、前記モータシャフトは、前記モータシャフトの外周面に位置する螺旋状の溝である第1螺旋状溝を有し、前記本体部は、前記貫通孔の内側面に位置する螺旋状の溝である第2螺旋状溝を有し、前記第1螺旋状溝、前記第2螺旋状溝、および前記第1螺旋状溝と前記第2螺旋状溝との間に位置する複数の球状のボールによって、ボールネジが構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、大型化することを抑制しつつ、モータによって作動レバー部を直線的に駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、車両側シャフトを示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態の可動部材を示す正面図である。
図4図4は、本実施形態の電動アクチュエータの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本実施形態の他の一例である可動部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、図1に示す軸方向に延びる中心軸J1と平行な方向とする。Z軸方向は、Y軸方向と直交する方向であって図1における上下方向とする。Y軸方向は、Y軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0010】
本明細書においては、X軸方向における図1の右側(+X側)を「前側」と呼び、左側(−X側)を「後側」と呼ぶ。また、Z軸方向における図1の上側(+Z側)を単に「上側」と呼び、下側(−Z側)を単に「下側」と呼ぶ。なお、前後方向および上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示さない。また、中心軸J1に平行な方向(X軸方向)を「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
図1に示すように、電動アクチュエータ10は、車両Cの車体BDに取り付けられる。電動アクチュエータ10は、車両Cの車両側連結部CS1を駆動する。車両側連結部CS1は、軸方向に沿って可動する。車両側連結部CS1は、例えば、軸方向に延びる車両側シャフトである。以下、車両側連結部CS1を、車両側シャフトCS1と呼ぶ。
【0012】
車両側シャフトCS1は、例えば、車両Cのクラッチの切り換えに用いられるシャフトである。図2に示すように、車両側シャフトCS1は、第1溝部CSaと、第2溝部CSbと、を有する。第1溝部CSaおよび第2溝部CSbは、車両側シャフトCS1の外周面に位置する。第1溝部CSaおよび第2溝部CSbは、車両側シャフトCS1の外周面から、車両側シャフトCS1の車両側中心軸J2に向かって窪む。
【0013】
第1溝部CSaおよび第2溝部CSbは、軸方向と直交する方向、すなわち図2および図3の例では上下方向に延びる。第2溝部CSbは、車両側シャフトCS1を挟んで第1溝部CSaと逆側に位置する。第1溝部CSaの内部の形状および第2溝部CSbの内部の形状は、上側から視て略矩形状である。なお、第1溝部CSaの内部の形状および第2溝部CSbの内部の形状は、上側から視て、半円形状であってもよいし、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0014】
図1に示すように、電動アクチュエータ10は、アクチュエータハウジング30と、中心軸J1と平行な方向に延びるモータシャフト21を有するモータ20と、ベアリング70と、可動部材40と、複数の球状のボール44と、センサユニット50と、カバー60と、モータ駆動装置11と、制御装置12と、通信装置13と、を備える。
【0015】
アクチュエータハウジング30は、下側に開口する箱状である。アクチュエータハウジング30は、車体BDの上面である車体上面BDaに固定される。アクチュエータハウジング30の下側の開口は、車体BDを上下方向に貫通する取付孔部BDbと連通する。アクチュエータハウジング30は、可動部材40を収容する。
【0016】
アクチュエータハウジング30は、前側の壁部である前側壁部31と、前側壁部31から後側に突出する筒状のベアリング保持部32と、後側の壁部である後側壁部33と、を有する。
【0017】
モータ20は、アクチュエータハウジング30の後側壁部33の後側の面に固定される。モータシャフト21は、後側壁部33を前後方向に貫通するシャフト貫通孔33aを介して、アクチュエータハウジング30の内部に突出する。図4に示すように、モータ20は、モータ本体20aと、回転センサ20bと、を有する。モータシャフト21は、モータ本体20aに設けられる。回転センサ20bは、モータ本体20aのモータシャフト21を有するロータの回転位置を検出する。
【0018】
図1に示すように、モータシャフト21は、ネジ軸部21aを有する。ネジ軸部21aの外周面には、螺旋状の溝である第1螺旋状溝21bが設けられる。すなわち、モータシャフト21は、モータシャフト21の外周面に位置する第1螺旋状溝21bを有する。モータシャフト21は、中心軸J1回りに回転する。
【0019】
ベアリング70は、ベアリング保持部32に保持される。すなわち、ベアリング70は、アクチュエータハウジング30に保持される。ベアリング70は、モータシャフト21を回転可能に支持する。より詳細には、ベアリング70は、モータシャフト21の先端部21cを支持する。ベアリング70は、軸方向において、可動部材40よりもモータシャフト21の先端側(+X側)に配置される。
【0020】
可動部材40は、本体部41と、車両側シャフトCS1に取り付けられる作動レバー部42と、凸部43と、を有する。図1および図3に示すように、本体部41は、モータシャフト21が通される貫通孔41aを有する筒状である。貫通孔41aは、本体部41を軸方向に貫通する。貫通孔41aの内側面は、中心軸J1を中心とする円筒状である。
【0021】
本体部41は、第2螺旋状溝41bを有する。第2螺旋状溝41bは、貫通孔41aの内側面に位置する螺旋状の溝である。第1螺旋状溝21bと第2螺旋状溝41bとの間には、複数の球状のボール44が位置する。
【0022】
第1螺旋状溝21b、第2螺旋状溝41b、および複数のボール44によって、ボールネジ80が構成される。これにより、可動部材40は、モータシャフト21に連結され、モータシャフト21の回転に伴って軸方向に移動する。
【0023】
モータシャフト21と可動部材40との連結部がボールネジ80であるため、モータシャフト21と可動部材40との間の摩擦力を小さくできる。これにより、モータ20の回転トルクを効率よく可動部材40の軸方向の駆動力に変換できる。したがって、モータ20の回転トルクが比較的小さい場合であっても、作動レバー部42を介して車両側シャフトCS1に伝達される軸方向の駆動力を十分に得ることができる。これにより、モータ20を小型化することができ、結果として電動アクチュエータ10を小型化できる。
【0024】
また、モータシャフト21と可動部材40との間の摩擦力を小さくできるため、摩擦によって第1螺旋状溝21bと第2螺旋状溝41bとが損耗することを抑制できる。したがって、モータシャフト21と可動部材40との連結部が損耗することを抑制でき、結果として電動アクチュエータ10の耐久性を向上できる。
【0025】
また、モータ20の回転トルクを比較的小さくできるため、モータ20の消費エネルギを低減することができる。
【0026】
また、モータシャフト21は、ベアリング70によって支持されるため、モータ本体20aとベアリング70とによって、モータシャフト21を、可動部材40の前側と後側とで両持ち支持できる。したがって、モータシャフト21を軸精度よく安定して回転させることができる。その結果、可動部材40を軸方向に安定して移動させることができる。これにより、モータシャフト21と可動部材40との間の摩擦力をより小さくすることができ、結果としてモータ20をより小型化できる。
【0027】
ボールネジ80において複数のボール44は、第1螺旋状溝21bと第2螺旋状溝41bとが対向して構成される螺旋状の螺旋状通路80aを通る。螺旋状通路80aにおいて複数のボール44は、第1螺旋状溝21bの内側面および第2螺旋状溝41bの内側面に接触する。複数のボール44は、転がりながら螺旋状通路80aに沿って周方向に移動する。複数のボール44が転がりながら螺旋状通路80aを移動することで、モータシャフト21の回転を可動部材40の軸方向の移動に変換できる。
【0028】
図1に示すように、ボールネジ80は、例えば、ボール循環部81を有する。ボール循環部81は、本体部41に設けられる。ボール循環部81は、螺旋状通路80aの両端を繋ぐ通路である。螺旋状通路80aの一端へ到達したボール44は、ボール循環部81内を通り、螺旋状通路80aの他端へと移動する。これにより、ボール44は、螺旋状通路80a内を循環可能である。
【0029】
なお、本明細書において、ボールネジとは、上述した構成のボールネジに限られず、いかなる公知のボールネジであってもよい。
【0030】
作動レバー部42は、本体部41から軸方向と交差する方向に延びる。より詳細には、作動レバー部42は、例えば、本体部41から軸方向と直交する方向のうち、上下方向に延びる。
【0031】
図3に示すように、作動レバー部42は、作動レバー部本体42aと、第1突出部45と、第2突出部46と、を有する。作動レバー部本体42aは、本体部41の下端から下側に突出する略直方体状である。
【0032】
第1突出部45および第2突出部46は、略四角柱状である。第1突出部45および第2突出部46は、作動レバー部本体42aの下端から下側に突出する。言い換えると、作動レバー部42の先端は、軸方向と直交する方向(Z軸方向)に突出する第1突出部45および第2突出部46を有する。
【0033】
第1突出部45は、第1溝部CSaに係合される。第2突出部46は、第1突出部45との間で車両側シャフトCS1を挟む。これにより、作動レバー部42が車両側シャフトCS1に取り付けられる。車両側シャフトCS1に対する作動レバー部42の軸方向の位置は、第1突出部45が第1溝部CSaに係合することで固定される。
【0034】
例えば、車両側シャフトを作動レバー部に固定した後に、車両側シャフトが取り付けられた電動アクチュエータを車両に取り付ける場合がある。この場合、車体内に設けられる車両側シャフトを取り出して、電動アクチュエータの作動レバー部に固定する必要があるため、電動アクチュエータの取付作業性が低下する問題があった。また、車両側シャフトを作動レバー部に固定する構造が複雑で、組み立てに手間が掛かる問題があった。
【0035】
これに対して、本実施形態によれば、取付孔部BDbを介して作動レバー部42を車体BD内に挿入し、第1突出部45を上側から第1溝部CSaに係合させることで、作動レバー部42を車両側シャフトCS1に取り付けることができる。これにより、車両側シャフトCS1を車体BD内から取り出すことなく、可動部材40を車両側シャフトCS1に容易に取り付けることができる。したがって、車両側シャフトCS1と作動レバー部42との組み立てに手間が掛かることを抑制しつつ、電動アクチュエータ10を車体BDに取り付ける取付作業性を向上できる。
【0036】
また、作動レバー部42の軸方向の位置と第1溝部CSaの軸方向の位置とにずれが生じた場合、取付作業者は、作動レバー部42の軸方向の位置を第1溝部CSaの軸方向の位置に合わせる必要がある。このとき、モータシャフト21と可動部材40との連結部がボールネジ80であるため、モータシャフト21と可動部材40との間の摩擦力が比較的小さく、モータシャフト21に対して可動部材40を軸方向に移動させるために必要な力が比較的小さい。そのため、取付作業者は、作動レバー部42の軸方向の位置を、手動で第1溝部CSaの軸方向の位置に容易に合わせることができ、作動レバー部42を車両側シャフトCS1に容易に取り付けることができる。
【0037】
第2突出部46は、第2溝部CSbに係合される。そのため、第1突出部45と第2突出部46とがモータシャフト21に係合され、作動レバー部42をモータシャフト21に対してより安定して取り付けることができる。
【0038】
第1突出部45は、第1傾斜面45aを有する。第1傾斜面45aは、第1突出部45の下端における第2突出部46側(+Y側)の端部に配置される。第1傾斜面45aは、下側に向かうに従って、第2突出部46から離れる向きに傾斜する。
【0039】
第2突出部46は、第2傾斜面46aを有する。第2傾斜面46aは、第2突出部46の下端における第1突出部45側(−Y側)の端部に配置される。第2傾斜面46aは、下側に向かうに従って、第1突出部45から離れる向きに傾斜する。
【0040】
第1傾斜面45aと第2傾斜面46aとが設けられることで、作動レバー部42の下端において、第1突出部45と第2突出部46との間隔を大きくできる。これにより、作動レバー部42を上側から車両側シャフトCS1に近づけて取り付ける際に、第1突出部45と第2突出部46とで車両側シャフトCS1を挟みやすい。
【0041】
凸部43は、本体部41から作動レバー部42と逆向き(+Z向き)に突出する。図3では、凸部43は、本体部41から上側に突出する。凸部43は、本体部41の上端に配置される。図1に示すように、凸部43の少なくとも一部は、軸方向において、作動レバー部42と同じ位置にある。図1では、凸部43の全体は、作動レバー部42と上下方向に重なる。凸部43は、四角柱形状である。なお、凸部43の形状は、特に限定されず、半球状であっても、多角柱形状であってもよい。
【0042】
センサユニット50の外形は、軸方向に延びる略直方体形状である。センサユニット50は、モータ20の上側に配置される。センサユニット50は、センサカバー51と、位置検出センサ52と、移動部53と、蓋部56と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、センサカバー51と、位置検出センサ52と、移動部53と、蓋部56と、を備える。
【0043】
センサカバー51は、軸方向に延び、後側に開口部51bを有する角筒状である。センサカバー51の前側の部分は、アクチュエータハウジング30の内部に配置される。センサカバー51は、アクチュエータハウジング30の内側面に固定される。開口部51bには蓋部56が嵌め合わされる。
【0044】
位置検出センサ52は、可動部材40の軸方向の位置を検出する。位置検出センサ52は、凸部43と上下方向に対向する位置に配置される。位置検出センサ52は、凸部43の軸方向の位置を検出する。
【0045】
上述したように凸部43の少なくとも一部は軸方向において作動レバー部42と同じ位置にあるため、凸部43の軸方向の位置を検出することで、作動レバー部42の軸方向の位置を検出できる。これにより、可動部材40の軸方向の位置を、位置検出センサ52によって精度よく検出しやすい。
【0046】
位置検出センサ52は、例えば、ホール素子等の磁気センサである。この場合、凸部43には、センサマグネットが設けられる。
【0047】
移動部53は、センサカバー51内に収容される。移動部53は、位置検出センサ52を軸方向に移動させる。移動部53は、ナット54aと、可動部54bと、バネ55と、を有する。ナット54aは、センサカバー51の内側面に固定される。ナット54aは、位置検出センサ52よりも後側に配置される。
【0048】
可動部54bは、例えば、軸方向に延びるネジである。可動部54bは、ナット54aに締め合わされて、ナット54aを軸方向に貫通する。可動部54bの前側の端部は、位置検出センサ52の後側(軸方向一方側)の端部に接触する。ネジである可動部54bは、センサカバー51に固定されたナット54aに締め合わされるため、軸方向周りに回転することで、軸方向に移動可能である。
【0049】
バネ55は、位置検出センサ52の前側に配置される。バネ55の前側の端部は、センサカバー51の内側面と接触する。バネ55の後側の端部は、位置検出センサ52の前側(軸方向他方側)の端部に接触する。バネ55は、前側から後側に向かって位置検出センサ52を付勢する。
【0050】
可動部54bを軸方向周りの一方向きに回転させて前側に移動させることで、可動部54bによって位置検出センサ52を前側に押すことができる。これにより、位置検出センサ52を前側に移動させることができる。一方、可動部54bを軸方向周りの他方向きに回転させて後側に移動させることで、可動部54bの移動と共に、バネ55によって付勢された位置検出センサ52が後側に移動する。このようにして、可動部54bを軸方向周りに回転させることで、位置検出センサ52の軸方向位置を調整できる。
【0051】
センサカバー51は開口部51bを有するため、例えば、蓋部56が外された状態で開口部51bからドライバー等をセンサカバー51の内部に挿入して、ネジである可動部54bを軸方向周りに回転させることができる。そのため、電動アクチュエータ10を車体BDに取り付けた後に、位置検出センサ52の軸方向の位置を調整することが容易である。
【0052】
電動アクチュエータ10が車体BDに取り付けられた後、調整者は、可動部材40が初期位置にある状態において、位置検出センサ52の出力を確認する。調整者は、位置検出センサ52の出力が、可動部材40の初期位置に対して、適正な範囲内にあるか否かを判定する。そして、位置検出センサ52の出力が適正な範囲内にない場合、調整者は、位置検出センサ52の出力を確認しつつ、可動部54bを軸方向周りに回転させて、位置検出センサ52の軸方向位置を変化させる。このようにして、調整者は、位置検出センサ52の軸方向の位置調整を行う。
【0053】
カバー60は、アクチュエータハウジング30内に収容される。カバー60は、モータシャフト21の径方向外側を囲む筒状である。そのため、ボールネジ80に車体BD内等からコンタミネーションが入り込むことを抑制できる。これにより、螺旋状通路80aにコンタミネーションが入ることによって、ボール44の転がりが阻害されることを抑制できる。したがって、可動部材40に対するモータシャフト21の回転が阻害されることを抑制できる。なお、コンタミネーションとは、例えば、金属片等である。
【0054】
カバー60は、ベローズ61,62を含む。そのため、可動部材40の軸方向の移動に伴ってベローズ61,62が軸方向に伸縮することで、可動部材40の軸方向位置によらず、モータシャフト21と可動部材40との連結部分、すなわちボールネジ80の径方向外側を囲みやすい。したがって、ボールネジ80にコンタミネーションが入り込むことをより抑制できる。
【0055】
ベローズ61は、本体部41の後側に取り付けられる。ベローズ61の前側の端部は、本体部41に径方向外側から嵌め合わされる。ベローズ61の後側の端部は、後側壁部33に固定される。ベローズ61は、シャフト貫通孔33aを周方向に囲む。そのため、車体BD内等のコンタミネーションがシャフト貫通孔33aからモータ20内に入り込むことを防止できる。
【0056】
ベローズ62は、本体部41の前側に取り付けられる。ベローズ62の後側の端部は、本体部41に径方向外側から嵌め合わされる。ベローズ62の前側の端部は、ベアリング保持部32に取り付けられる。ベローズ62の前側の端部は、ベアリング保持部32に径方向外側から嵌め合わされる。そのため、車体BD内等のコンタミネーションがベアリング70に入り込むことを防止できる。
【0057】
図4に示すように、通信装置13は、図示しない外部機器から指令信号S1を受信して、指令信号S1を制御装置12に伝達する。制御装置12は、位置検出センサ52からの出力と指令信号S1とに基づいて、モータ駆動装置11を制御する。制御装置12には、外部電源Pから電流が供給される。モータ駆動装置11は、制御装置12からの制御信号と回転センサ20bからの出力とに基づいて、モータ本体20aに電流を供給する。制御装置12は、モータ本体20aの状態信号S2を、通信装置13を介して外部機器に送信する。外部機器は、状態信号S2に基づいて指令信号S1を調整する。
【0058】
以上のようにして、モータ20の出力、すなわちモータシャフト21の回転が制御され、可動部材40の軸方向位置が制御される。その結果、可動部材40の軸方向位置によって、車両側シャフトCS1の軸方向位置を制御することができる。
【0059】
例えば、油圧で車両側シャフトを駆動する場合、車両側シャフトの軸方向の位置を所定位置に保持するときにも油圧を掛ける必要があり、消費エネルギが大きくなる問題がある。これに対して、モータ20を用いて車両側シャフトCS1を駆動することで、車両側シャフトCS1を移動させるときのみモータ20を駆動すればよいため、消費エネルギを低減できる。
【0060】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0061】
可動部材40は、図5に示す可動部材140のような構成であってもよい。図5に示すように、車両側シャフトCS2は、車両側シャフトCS1と異なり、第2溝部CSbを有しない。
【0062】
第2突出部146は、板バネである。そのため、第1突出部145を第1溝部CScに係合させる際に、第2突出部146を弾性変形させることができる。これにより、第1突出部145が第1溝部CScに係合した後に、第1突出部145と第2突出部146とで車両側シャフトCS2を把持することができる。したがって、可動部材140が軸方向に移動して、車両側シャフトCS2から外れることを抑制しやすい。
【0063】
第2突出部146は、作動レバー部本体42aおよび第1突出部145と別部材である。第2突出部146は、固定部146aと、把持部146bと、傾斜部146cと、を有する。固定部146aは上下方向に延びる板状である。固定部146aは、例えばネジ147によって作動レバー部本体42aに固定される。
【0064】
把持部146bは、固定部146aの下端に接続される。把持部146bの形状は、正面視で円弧状である。把持部146bは、車両側シャフトCS2の外周面に沿った形状である。すなわち、第2突出部146は、車両側シャフトCS2の外周面に沿った部分を有する。そのため、把持部146bの車両側シャフトCS2側(−Y側)の面を車両側シャフトCS2の外周面に接触させて、車両側シャフトCS2を第1突出部145と第2突出部146とでより安定して把持することができる。
【0065】
作動レバー部142が車両側シャフトCS2に取り付けられた状態において、把持部146bの下端は、車両側シャフトCS2の下側に配置される。これにより、車両側シャフトCS2が作動レバー部142の下側に抜けることを抑制できる。
【0066】
傾斜部146cは、把持部146bの下端に接続される。傾斜部146cは、下側に向かうに従って、第1突出部145から離れる向きに傾斜する。そのため、作動レバー部142を、上側から車両側シャフトCS2に係合させる際、傾斜部146cに車両側シャフトCS2が接触すると、傾斜部146cに第1突出部145から離れる向き(+Y向き)の力が加えられる。これにより、図5に二点鎖線で示すように、第2突出部146が、固定部146aを支点として第1突出部145から離れる向きに弾性変形する。そして、作動レバー部142が所定位置まで車両側シャフトCS2に挿し込まれると、第2突出部146は復元力によって元の状態に戻る。これにより、第1突出部145と第2突出部146とで車両側シャフトCS2を把持することができる。
【0067】
以上のように、車両側シャフトCS2に対して作動レバー部142を上側から押し付けることのみで、第1突出部145を第1溝部CScに係合させつつ、第1突出部145と第2突出部146とによって車両側シャフトCS2を安定して把持できる。したがって、作動レバー部142を車両側シャフトCS2に容易かつ安定して取り付けることができる。
【0068】
カバー60は、ベローズを含まなくてもよい。カバー60は、軸方向に伸縮しない筒状であってもよい。この場合、カバー60は、2つの筒状のカバーを含んでもよい。2つの筒状のカバーは、例えば、部分的に径方向に重なり合う。
【0069】
車両側シャフトCS1には、第1溝部CSaおよび第2溝部CSbの代わりに、車両側シャフトCS1を上下方向に貫通する孔が設けられてもよい。この場合、第1突出部45および第2突出部46は、それぞれ孔に通されて係合される。
【0070】
車両側連結部CS1は、車両Cにおいて軸方向に可動する部分であれば、特に限定されない。車両側連結部CS1は、シャフトでなくてもよい。車両側連結部CS1は、例えば、回動しつつ、全体として軸方向に可動する回動アームであってもよい。
【0071】
車両側連結部(車両側シャフト)CS1は、車両Cにおいて可動する部分であればよく、特に限定されない。
【0072】
上記実施形態の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
10…電動アクチュエータ、20…モータ、21…モータシャフト、21b…第1螺旋状溝、30…アクチュエータハウジング、40,140…可動部材、41…本体部、41a…貫通孔、41b…第2螺旋状溝、42,142…作動レバー部、43…凸部、44…ボール、45,145…第1突出部、46,146…第2突出部、52…位置検出センサ、53…移動部、54b…可動部、55…バネ、60…カバー、61,62…ベローズ、70…ベアリング、80…ボールネジ、CS1,CS2…車両側シャフト(車両側連結部)、CSa,CSc…第1溝部、CSb…第2溝部、J1…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5