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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-48985(P2017-48985A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】絞り装置及び冷凍サイクル
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/06 20060101AFI20170217BHJP
   F16K 17/30 20060101ALI20170217BHJP
【FI】
   F25B41/06 J
   F16K17/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-174512(P2015-174512)
(22)【出願日】2015年9月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕正
(72)【発明者】
【氏名】當山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】傳田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 義久
(72)【発明者】
【氏名】横田 純一
【テーマコード(参考)】
3H060
【Fターム(参考)】
3H060AA02
3H060BB03
3H060CC40
3H060DA02
3H060DC05
3H060DC12
3H060DD02
3H060DD13
3H060EE08
3H060HH01
3H060HH17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弁開度が増加し始める前の初期開度である弁ポートとニードル弁との最小隙間を保持するとともに、ニードル弁が弁ポートに食い込むのを防止する絞り装置を提供する。
【解決手段】一次室11と二次室12との間を連通する弁ポート21が形成された弁座部2と、弁ポート21内にニードル部43が挿通されるニードル弁4と、ニードル弁4の摺動軸41をガイドするガイド部3と、ニードル弁4を弁閉方向に付勢するコイルばね6と、を備える。ガイド部3とコイルばね6とを一次室11側に配置する。ニードル弁4と弁ポート21との最小隙間を保持するようにニードル弁4の弁閉方向の位置をストッパ部13により規制する。ニードル弁4が弁座部2に着座しない構造とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、
前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートが形成された弁座部と、
前記弁ポートの軸線に沿って移動することにより前記弁ポートの開度を可変にする弁体と、
前記弁体の摺動軸をガイドするガイド部と、
前記弁体を弁閉方向に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記ガイド部と前記付勢手段とが前記一次室側に配置され、前記弁体と前記弁ポートとの最小隙間を保持するように当該弁体の弁閉方向の位置がストッパ手段により規制され、該弁体が前記弁座部に着座しない構造となっていることを特徴とする絞り装置。
【請求項2】
前記弁体の前記ストッパ手段に当接する端部の面の径が、前記摺動軸の外径より小径であることを特徴とする請求項1に記載の絞り装置。
【請求項3】
前記ストッパ手段が前記付勢手段を覆う構造となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の絞り装置。
【請求項4】
前記ストッパ手段内のストッパ室と前記一次室とを連通する均圧路を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の絞り装置。
【請求項5】
流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に接続された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の絞り装置と、を備えたことを特徴とする冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機等の冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられる絞り装置及び冷凍サイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の絞り装置として、例えば特許第4664095号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
【0003】
上記従来の絞り装置(膨張弁)は、冷凍サイクルに適用した場合、凝縮器側(一次側)の冷媒の圧力と蒸発器側(二次側)の冷媒の圧力との差圧に応じて弁開度が変化する絞り装置である。この差圧による力に抗して弁体を弁閉方向に付勢するコイルばね(スプリング)を有している。そして、この差圧とコイルばねのばね定数に対応して弁開度特性が決められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4664095号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の絞り装置(膨張弁)では、弁閉状態においてもブリード流量を得るために、ブリード溝(くぼみ64)を設けている。しかし、このブリード溝が機能するためには、ニードル弁(弁閉鎖部材)が弁ポート(通路口)の周囲の弁座に当接している必要がある。このため、ニードル弁が弁ポートに食い込んでしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたものであり、弁開度が増加し始める前の初期開度を決める弁ポートと弁体との最小隙間を保持するとともに、弁体が弁ポートに食い込むのを防止できる絞り装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の絞り装置は、冷凍サイクルの凝縮器と蒸発器との間に設けられ、前記凝縮器に接続される一次室と前記蒸発器に接続される二次室との間で冷媒を減圧して前記蒸発器に送り出す絞り装置であって、前記一次室と前記二次室との間を連通する弁ポートが形成された弁座部と、前記弁ポートの軸線に沿って移動することにより前記弁ポートの開度を可変にする弁体と、前記弁体の摺動軸をガイドするガイド部と、前記弁体を弁閉方向に付勢する付勢手段と、を備え、前記ガイド部と前記付勢手段とが前記一次室側に配置され、前記弁体と前記弁ポートとの最小隙間を保持するように当該弁体の弁閉方向の位置がストッパ手段により規制され、該弁体が前記弁座部に着座しない構造となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の絞り装置は、請求項1に記載の絞り装置であって、前記弁体の前記ストッパ手段に当接する端部の面の径が、前記摺動軸の外径より小径であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の絞り装置は、請求項1または2に記載の絞り装置であって、前記ストッパ手段が前記付勢手段を覆う構造となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の絞り装置は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の絞り装置であって、前記ストッパ手段内のストッパ室と前記一次室とを連通する均圧路を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の冷凍サイクルは、流体である冷媒を圧縮する圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器との間に接続された請求項1乃至4のいずれか一項に記載の絞り装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の絞り装置によれば、ストッパ手段が弁体の弁閉方向の位置を規制して、弁体と弁ポートとの最小隙間を保持し、弁体が弁座部に着座しない構造としたので、最小隙間を正確に保持できるとともに、弁体が弁ポートに食い込んでしまう虞がない。
【0013】
請求項2の絞り装置によれば、請求項1の効果に加えて、弁体のストッパ手段に当接する端部の面の径が、摺動軸の外径より小径となっているので、ストッパ手段のストッパ面に対する弁体の直角度の精度に僅かなばらつきがあっても、安定したブリード流量が得られる。
【0014】
請求項3の絞り装置によれば、請求項1または2の効果に加えて、ストッパ手段が付勢手段を覆う構造となっているので、付勢手段に異物が付着するのを防止でき、付勢手段の安定した作動性が得られる。また、冷媒の流れにより付勢手段が振動して異音が発生することを防止できる。
【0015】
請求項4の絞り装置によれば、請求項1乃至3のいずれか一項の効果に加えて、ストッパ手段内のストッパ室と一次室とを連通する均圧路を備えているので、一次室の圧力が急激に変化しても、圧力変化の速度によらず、差圧に応じた弁開度を得ることができる。
【0016】
請求項5の冷凍サイクルによれば、請求項1乃至4と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。
図2】第1実施形態の絞り装置の弁開状態の縦断面図である。
図3】実施形態の冷凍サイクルの概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。
図5】第2実施形態の絞り装置の弁開状態の縦断面図である。
図6】第2実施形態の第1変形例を示す図である。
図7】第2実施形態の第2変形例を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。
図9】本発明の第4実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。
図10】本発明の第5実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の絞り装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図、図2は第1実施形態の絞り装置の弁開状態の縦断面図、図3は実施形態の冷凍サイクルの概略構成図である。
【0019】
まず、図3の冷凍サイクルについて説明する。なお、図3では絞り装置10の主要な構成要素にだけ符号を付記してある。この冷凍サイクルは、圧縮機100と、凝縮器110と、実施形態の絞り装置10と、蒸発器120とを有している。圧縮機100で圧縮された冷媒は凝縮器110に供給され、この凝縮器110で冷却された冷媒は絞り装置10に送られる。絞り装置10は後述のように冷媒を膨張減圧して蒸発器120に送る。そして、この蒸発器120により室内が冷却され、冷房の機能が得られる。蒸発器120で蒸発した冷媒は圧縮機100に循環される。なお、図3では第1実施形態の絞り装置10を図示してあるが、後述の各実施形態及び変形例の絞り装置10も同様に冷凍サイクルを構成するものである。
【0020】
図1及び図2に示すように、絞り装置10は、銅管等の金属管からなる本体ケース1と、弁座部2と、ガイド部3と、「弁体」としてのニードル弁4と、「受け部材」としてのばね受け5と、「付勢手段」としてのコイルばね6と、「ストッパ手段」としてのストッパ部13と、を備えている。なお、弁座部2とガイド部3は金属材の切削等により一体に形成されている。
【0021】
本体ケース1は軸線Lを中心とする円筒状の形状で、前記凝縮器110に接続される一次室11と前記蒸発器120に接続される二次室12とを構成している。弁座部2は本体ケース1の内面に整合する略円柱形状である。弁座部2の外周面にはかしめ溝2aが形成されており、このかしめ溝2aの位置で本体ケース1をかしめることにより、弁座部2(及びガイド部3)が本体ケース1内に固定されている。
【0022】
また、弁座部2には、軸線Lを中心とする円形の弁ポート21が形成されるとともに、弁ポート21から二次室12側に開口する開放穴22が形成されている。ガイド部3は弁座部2から一次室11内に立設され、このガイド部3には、軸線Lを中心とする円筒状のガイド孔31と、弁ポート21と一次室11とを連通する横穴32とが形成されている。
【0023】
ニードル弁4は、ガイド部3のガイド孔31内に挿通される円柱状の摺動軸41と、摺動軸41より径の小さな円柱状の小径部42と、小径部42から二次室12側に向かって次第に径が拡径された円錐状のニードル部43と、ニードル部43から二次室12側の端部に形成されたボス部44と、摺動軸41のストッパ部13側に形成された固定部45と、固定部45からストッパ部13側に向かって次第に径が縮径された円錐台状の当接部46と、を有している。ボス部44の外周一箇所にはDカット面44aが形成されている。また、固定部45には、外周に雄ねじ部45aが形成されるとともに、摺動軸41側の端部にかしめ溝45bが形成されている。
【0024】
ばね受け5は、ニードル弁4に嵌合する円筒状の筒部51と、筒部51の外周に形成されたフランジ部52と、を有している。筒部51のストッパ部13側の内周には固定部45aの雄ねじ部45aに螺合する雌ねじ部51aが形成されている。このばね受け5は、筒部51をニードル弁4に嵌合させるとともに、雌ねじ部51aを固定部45の雄ねじ部45aに螺合することにより、ニードル弁4に取り付けられ、この雌ねじ部51aの雄ねじ部45aに対するねじ込み量により、ニードル弁4に対する取り付け位置が調整される。そして、筒部51をかしめ溝45bの位置でかしめることにより、ばね受け5はニードル弁4に固定されている。コイルばね6は、ガイド部3とばね受け5のフランジ部52との間に圧縮した状態で配設されている。これにより、コイルばね6はニードル弁4を弁閉方向に付勢している。
【0025】
ストッパ部13は略円柱状の形状であり、軸L周りに複数の導通孔131が形成されている。このストッパ部13は、かしめ溝13aの位置で本体ケース1をかしめることにより本体ケース1内に固定されている。そして、このストッパ部13のストッパ面132にニードル弁4の当接部46が当接し、ニードル弁4の軸線L方向の位置が規制される。
【0026】
以上の構成により、凝縮器110からの高圧冷媒はストッパ部13の導通孔131から一次室11に流入し、一次室11の冷媒は、ガイド部3の横穴32から、弁ポート21とニードル部43との隙間を通って開放穴22に流出し、二次室12に流れ出す。図1の弁閉状態では、ニードル弁4の当接部46の端面はストッパ部13のストッパ面132に当接しており、ニードル弁4は弁座部2に対して着座していない状態である。このニードル部43と弁ポート21との隙間は、一次室11から二次室12側への冷媒の流れを絞って膨張減圧する「オリフィス」となる。そして、一次室11の冷媒の圧力と二次室12側の冷媒の圧力との差圧による力は、ニードル弁4に対して弁開方向に作用し、一次室11の圧力が高くなると、図2のような弁開状態となる。この差圧による力はコイルばね6の付勢力とバランスしてニードル弁4の位置すなわち弁ポート21の開度が決まる。
【0027】
このように、弁開度が増加し始める前のニードル部43の軸線L方向の位置はストッパ部13により位置決めされる。すなわち、ブリード流量を決める初期開度である、弁ポート21とニードル弁4との最小隙間は、ストッパ部13、ニードル弁4及び弁座部2の設定位置により決められている。
【0028】
ストッパ部13によりニードル弁4が弁座部2に着座しない構造になっているので、例えば、コイルばね6の付勢力、等によりニードル部43が弁ポート21に食い込んでしまうようなことがない。さらに、ストッパ部13によりニードル部43と弁ポート21との最小隙間(オリフィス)を確保する構造となっているので、仮に、この隙間に異物が詰まっても、ニードル弁4を開動作させることで、この異物を流してしまうことができる。すなわち、弁ポートの周囲やニードル部43に小孔などのブリードポートを設ける構造では異物が詰まった状態のままになる可能性があるが、実施形態ではそのようなことがない。
【0029】
また、ニードル弁4の当接部46は円錐台状の形状をしており、ストッパ部13のストッパ面132に当接する面の径が、摺動軸41の外径よりも小径となっている。このため、部材の形状のばらつき等による軸線Lからの僅かな傾き、すなわちストッパ面132に対するニードル弁4の直角度の精度に僅かなばらつきがあっても、軸線L方向のニードル弁4の位置の変化が小さくなる。したがって、特にニードル弁4が初期組立状態から回転した場合であっても、初期開度を決める初期ブリード面積が変化することがなく、安定したブリード流量が得られる。特に、実施形態のように、一次室11側にガイド部3、コイルばね6、ばね受け5を配置することで弁ポート21からストッパ面132までの距離が長くなる場合に効果的である。
【0030】
ニードル弁4は、摺動軸41がガイド部3のガイド孔31に挿通されることで、軸線Lに沿って移動するようにガイドされるが、このガイド部3は一次室11側に配置されている。また、コイルばね6及びばね受け5も一次室11側に配置されている。
【0031】
ここで、弁ポート21で膨張された冷媒は二次室12側では気液混合状態となるが、一次室11側では、冷媒は比較的速度の遅い液冷媒の液状である。したがって、ガイド部3を一次室11側に配置したことで、ガイド孔31と摺動軸41との間の摺動動作に対する冷媒の影響を低減でき、ニードル弁4の安定した作動を確保できる。また、コイルばね6及びばね受け5を一次室11側に配置したことで、比較的速度の遅い液冷媒がコイルばね6の周囲を流れるため、コイルばね6の振動による異音発生を防止できる。
【0032】
なお、実施形態では、ニードル弁4の二次室12側に位置するボス部44は、Dカット面44aを有することで軸線L回りに非回転対称な形状となっている。これにより、弁ポート21を通過した冷媒の流れによる力は、ニードル弁4に対して軸線Lの両側に対して非対称に作用し、ニードル弁4の振動を防止することができる。
【0033】
図4は第2実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図、図5は第2実施形態の絞り装置の弁開状態の縦断面図である。この第2実施形態において第1実施形態との大きな違いは、ストッパ部の構成である。以下、各実施形態及び変形例において、第1実施形態と同じ要素及び対応する要素には同符号を付記する。これらの同符号を付記した要素は、同様な構造で同様な作用効果を奏するものであり、重複する説明は適宜省略する。
【0034】
この第2実施形態に係る「ストッパ手段」としてのストッパ部14は、円筒部14Aと底部14Bにより円柱状のストッパ室141を形成する有底円筒状の形状をしている。円筒部14Aはガイド部3の外周に嵌合されている。ガイド部3の外周面にはかしめ溝3aが形成されており、このかしめ溝3aの位置で円筒部14Aをかしめることにより、ストッパ部14がガイド部3に固定されている。これにより、ばね受け5、コイルばね6、ニードル弁4の摺動軸41の一部、固定部45及び当接部46は、ストッパ室141内に配置されている。底部14Bのストッパ室141側の面は、ニードル弁4の当接部46が当接するストッパ面142となっている。また、円筒部14Aには、ストッパ室141と一次室11とを連通する「均圧路」としての均圧孔143が形成されている。
【0035】
この第2実施形態でも、ストッパ部14によりニードル弁4が弁座部2に着座しない構造になっているので、例えば、コイルばね6の付勢力、等によりニードル部43が弁ポート21に食い込んでしまうようなことがない。さらに、ストッパ部14によりニードル部43と弁ポート21との最小隙間を確保する構造となっているので、第1実施形態と同様に、この隙間に異物が詰まっても、ニードル弁4を開動作させることで、この異物を流してしまうことができる。
【0036】
この第2実施形態では、ストッパ部14によりコイルばね6を覆う構造となっており、コイルばね6に異物が付着するのを防止でき、コイルばね6が最圧縮されるまで、安定した作動性が得られる。また、冷媒の流れによりコイルばね6が振動して異音が発生することをさらに防止できる。
【0037】
また、ストッパ部14はガイド部3に固定されているため、仮に配管の曲がり等により本体ケース1に変形が生じた場合でも、ストッパ部14のストッパ面142とニードル弁4の当接部46との位置関係がずれることなく、性能を維持することが可能になる。
【0038】
また、ストッパ部14には均圧孔143が形成されているので、一次室11の圧力が急激に変化しても、これに追従してストッパ室141の内部の圧力も変化するため、圧力変化の速度によらず、差圧に応じた弁開度を得ることができる。
【0039】
図6は第2実施形態の第1変形例を示す図、図7は第2実施形態の第2変形例を示す図であり、本体ケース1は図示を省略してある。図6(A)は図6(B)におけるA−A断面、図7(A)は図7(B)におけるB−B断面である。
【0040】
図6に示す第1変形例は、ガイド部3とストッパ部14の円筒部14Aとの間に「均圧路」としての隙間144を設けたものである。なお、図6(A)に一点鎖線Pで示すように、ストッパ部14をガイド部3に固定するための円筒部14Aのかしめ部分は、両サイドの一部だけとなっている。これにより、隙間144は、第2実施形態の均圧孔143と同様に、ストッパ室141の内部の圧力を一次室11の圧力変化に追従させることができ、圧力変化の速度によらず、差圧に応じた弁開度を得ることができる。
【0041】
図7に示す第2変形例は、ガイド部3の側面の一部にDカット面を形成することにより、ガイド部3とストッパ部14の円筒部14Aとの間に「均圧路」としての隙間145を設けたものである。この場合も、図7(A)に一点鎖線Pで示すように、ストッパ部14をガイド部3に固定するための円筒部14Aのかしめ部分は、両サイドの一部だけとなっている。これにより、隙間145は、第2実施形態の均圧孔143と同様に、ストッパ室141の内部の圧力を一次室11の圧力変化に追従させることができ、圧力変化の速度によらず、差圧に応じた弁開度を得ることができる。
【0042】
図8は第3実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。この第3実施形態において第2実施形態との大きな違いは、ガイド部とストッパ部の構成である。この第3実施形態に係るガイド部3′は、一次室11内に延びる円筒状のスリーブ3Aを有している。また、「ストッパ手段」としてのストッパ部15は、円筒部15Aと底部15Bにより円柱状のストッパ室151を形成している。そして、底部15Bのストッパ室151側の面は、ニードル弁4の当接部46が当接するストッパ面152となっている。円筒15Aはかしめ溝15aを有し、このかしめ溝15aの位置でスリーブ3Aをかしめることにより、ストッパ部15がガイド部3′に固定されている。第2実施形態と同様に、ストッパ部15はストッパ室151を有し、ばね受け5、コイルばね6、ニードル弁4の摺動軸41の一部、固定部45及び当接部46は、ストッパ室151内に配置されている。また、円筒部15Aには、ストッパ室151と一次室11とを連通する「均圧路」としての均圧孔156が形成されている。
【0043】
この第3実施形態でも、ストッパ部15によりニードル弁4が弁座部2に着座しない構造になっているので、ニードル部43が弁ポート21に食い込んでしまうようなことがなく、さらに、第1実施形態と同様に、隙間に異物が詰まっても、ニードル弁4を開動作させることで、この異物を流してしまうことができる。
【0044】
また、この第3実施形態では、ガイド部3のスリーブ3Aによりコイルばね6を覆う構造となっており、第2実施形態と同様に、コイルばね6に異物が付着するのを防止でき安定した作動性が得られる。また、冷媒の流れによりコイルばね6が振動して異音が発生することをさらに防止できる。また、均圧孔156により、一次室11の圧力の急激な変化に対して、差圧に応じた弁開度を得ることができる。
【0045】
図9は第4実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。この第4実施形態において第3実施形態との大きな違いは、ストッパ部の構成である。この第4実施形態に係る「ストッパ手段」としてのストッパ部16は中心に導通孔161が形成されており、かしめ溝16aの位置でスリーブ3Aをかしめることによりスリーブ3A内に固定されている。この第4実施形態では、ばね受け5の筒部51が導通孔161内に挿通されている。そして、このストッパ部16のストッパ面162に対して、ばね受け5のフランジ部52が当接し、ニードル弁4の軸線L方向の位置が規制される。
【0046】
この第4実施形態でも、ストッパ部16によりニードル弁4が弁座部2に着座しない構造になっているので、ニードル部43が弁ポート21に食い込んでしまうようなことがなく、さらに、第1実施形態と同様に、隙間に異物が詰まっても、ニードル弁4を開動作させることで、この異物を流してしまうことができる。
【0047】
この第4実施形態においても、ガイド部3のスリーブ3Aによりコイルばね6を覆う構造となっており、第3実施形態と同様に、コイルばね6に異物が付着するのを防止でき安定した作動性が得られる。また、冷媒の流れによりコイルばね6が振動して異音が発生することをさらに防止できる。
【0048】
図10は第5実施形態の絞り装置の弁閉状態の縦断面図である。この第5実施形態において第2実施形態との大きな違いは、ストッパ部の構成である。この第5実施形態に係る「ストッパ手段」としてのストッパ部17は、円筒部17Aと底部17Bにより円柱状のストッパ室171を形成している。また、底部17Bの中心には導通孔173が形成されている。そして、ストッパ部17は、ガイド部3′のかしめ溝3bの位置で円筒部17Aをかしめることによりガイド部3′に固定されている。また、この第5実施形態では、底部17Bに導通孔173が形成されており、ばね受け5の筒部51が導通孔173内に挿通されている。そして、底部17Bのストッパ室171側の面は、第4実施形態と同様に、ばね受け5のフランジ部52が当接するストッパ面172となっている。これにより、ニードル弁4の軸線L方向の位置が規制される。
【0049】
この第5実施形態でも、ストッパ部17によりニードル弁4が弁座部2に着座しない構造になっているので、ニードル部43が弁ポート21に食い込んでしまうようなことがなく、さらに、第1実施形態と同様に、隙間に異物が詰まっても、ニードル弁4を開動作させることで、この異物を流してしまうことができる。
【0050】
また、この第5実施形態においても、ストッパ部17によりコイルばね6を覆う構造となっており、第2実施形態と同様に、コイルばね6に異物が付着するのを防止でき安定した作動性が得られる。また、冷媒の流れによりコイルばね6が振動して異音が発生することをさらに防止できる。
【0051】
以上の実施形態では、弁体がニードル弁である例について説明したが、本発明はこれに限らず、弁体はボール弁や頂角の大きな円錐形状の弁などでもよい。この場合も、弁体が、弁座部に着座しない構造とすればよい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 本体ケース
11 一次室
12 二次室
13 ストッパ部(ストッパ手段)
132 ストッパ面
14 ストッパ部(ストッパ手段)
15 ストッパ部(ストッパ手段)
16 ストッパ部(ストッパ手段)
17 ストッパ部(ストッパ手段)
2 弁座部
21 弁ポート
3 ガイド部
31 ガイド孔
4 ニードル弁(弁体)
41 摺動部
43 ニードル部
46 当接部
5 ばね受け(受け部材)
6 コイルばね(付勢手段)
L 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10