(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-49385(P2017-49385A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】貼付剤服薬指導補助ツール
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20170217BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20170217BHJP
A61F 15/00 20060101ALI20170217BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20170217BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20170217BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20170217BHJP
【FI】
G09F3/00 Q
A61K9/70 401
A61F15/00
G09B19/24 Z
G09F3/10 A
G09F3/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-171614(P2015-171614)
(22)【出願日】2015年9月1日
(71)【出願人】
【識別番号】390000929
【氏名又は名称】祐徳薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘文
(72)【発明者】
【氏名】下園 昭広
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA74
4C076BB31
4C076FF68
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者が貼付剤を使用することなく貼付剤の貼り方を繰り返し練習したり、使用者に貼付剤の貼り方を説明したりするための、貼付剤服薬指導補助ツールの提供。
【解決手段】シート状の支持部と、該支持部の少なくとも片面に設けられた粘着部と、該粘着部に剥離可能に接着された剥離部からなる貼付剤服薬指導補助ツールであって、前記粘着部は、剥がした前記剥離部をもとの場所に戻すことができるように再粘着性を有することを特徴とする前記貼付剤服薬指導補助ツール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の支持部と、該支持部の少なくとも片面に設けられた粘着部と、該粘着部に剥離可能に接着された剥離部からなる貼付剤服薬指導補助ツールであって、前記粘着部は、剥がした前記剥離部をもとの場所に戻すことができるように再粘着性を有する材料で構成されることを特徴とする前記貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項2】
前記剥離部に、さらに使用方法の説明となる表示手段を設けてなることを特徴とする、請求項1記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項3】
前記貼付剤服薬指導補助ツールが、スポンジ、紙、板紙、厚紙、布、プラスチックシート、ゴムシート、金属シート、あるいはこれらの複合材より選ばれた少なくとも1種からなる請求項1〜2のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項4】
前記粘着部が、公知の粘着剤、面ファスナー、両面テープ、接着剤より選ばれた少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項5】
前記粘着部における公知の粘着剤が、再粘着性を有する粘着剤であることを特徴とする請求項4に記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項6】
前記支持部及び剥離部が互いに異なる色である請求項1〜5のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項7】
端部にストラップホールが設けられた請求項1〜6のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項8】
支持部と剥離部とを引き剥がすときの粘着力が1.8N/cm未満である請求項1〜7のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項9】
支持部と剥離部とを引き剥がすときの粘着力が0.1〜1.5N/cmである請求項1〜7のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項10】
支持部と剥離部とを引き剥がすときの粘着力が0.2〜1.0N/cmである請求項1〜7のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項11】
前記剥離部が、切断線によって3つに分割されてなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【請求項12】
前記3分割された剥離部において、中央部分の剥離部(第一剥離部)の大きさが、他の剥離部(第二剥離部、第三剥離部)よりも小さいことを特徴とする、請求項11に記載の貼付剤服薬指導補助ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤の貼り方を説明する際に使用する、貼付剤服薬指導補助ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こり、腰痛等の治療や緩和を目的とする貼付剤が知られている。貼付剤は、通常、貼付時の密着性や使用感を向上させるために柔軟性の高い支持体と、その上に形成された薬剤を含有する粘着剤層と、使用時まで粘着剤層を保護する剥離フィルムとを備えている。
【0003】
貼付剤を貼付するには、剥離フィルムを剥離して露出した粘着剤層を皮膚表面に貼付するが、支持体は柔軟性を有しているため、剥離フィルムを全て剥離してから粘着剤層全面を一度に貼付しようとすると、貼付剤(貼付面)にシワが発生したり、粘着面が折れ曲がって、粘着剤層同士が貼りついて使用できなくなったりするなど、貼付時における貼付剤の取り扱い性(以下、「ハンドリング性」という)の問題が生じている。
【0004】
そこで、近年では、貼付時におけるハンドリング性を向上させるために、使用者が貼付剤を使用しやすい工夫が施されている。例えば、貼付剤の粘着面を保護する剥離フィルムに2本の切断線を設けることで剥離フィルムを3分割し、貼付時に2本の切断線に挟まれた中央部の剥離フィルムを剥離することにより粘着面の一部を露出させ、患部に貼付しやすくした貼付剤が市販されている。このような3分割された剥離フィルムを有する貼付剤は、剥離フィルムを全て剥離してから粘着剤層全面を一度に貼付する従来の貼付剤よりは扱い易い。
【0005】
しかしながら、3分割された剥離フィルムを有する貼付剤を貼付する際も、高齢者や貼付剤の扱いに慣れていない方では、シワや粘着剤層同士の貼りつきが生じ、使用者は貼り難さを感じることがある。このような貼付剤を患部に綺麗に貼付するためには、貼り方の指導を受けたり貼り方を練習したりするなど、使用者が適切な貼付方法を習得することが求められる。
【0006】
そこで、3分割された剥離フィルムを有する貼付剤の適切な貼り方に関して、医療機関等では、写真やイラスト等の説明書を用いて説明がなされている。しかしながら、写真やイラスト等の説明書を用いた説明のみでは、使用者が貼付剤の貼り方を十分理解し習得するには不十分であった。
【0007】
また、特許文献1では、剥離の目印や貼付方法の説明となる表示を設けている貼付剤が提案されており、剥離フィルム側に3分割された剥離フィルムの剥離手順を表示した貼付剤も市販されているが、貼付剤の取り扱い性それ自体は改善されるものではなく、不十分であった。なお、貼付剤の取り扱い性を考慮して、貼付の補助を期待した貼付補助具も提案されているが、使用者は貼付補助具の取扱い方にも不慣れな場合があり、大きな改善は期待できなかった。
【0008】
一方で、使用者が適切な貼付方法を習得するため、貼付剤を使用して貼付方法を練習することも可能である。しかしながら、練習の結果使えなくなる貼付剤が多数発生し、使い捨てるには高価な薬剤も含まれるので経済的な損失が大きく、資源の無駄遣いでもあり、好ましくない。特に、手先があまり器用ではない高齢者にとって貼付剤は取り扱い難く、その損失は顕著である。また、薬剤師等が服薬指導として貼付剤を用いて貼り方を教えることは現実には困難であり、貼付剤を用いて服薬指導や貼付練習をすることは事実上不可能であった。
【0009】
【特許文献1】特許第4632042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、使用者に貼付剤の貼り方を説明したり練習するための、貼付剤服薬指導補助ツールを提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、貼付剤を模したツールを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0012】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールを使用して説明することにより、使用者は貼付剤を使用することなく貼付剤の貼り方を繰り返し練習することができる。さらに、本発明のツールによって、貼付剤がなくても使用者が貼り方を繰り返しシミュレーションすることができる。またさらに、薬剤師等も本発明のツールを使用しながら使用者に貼り方を指導できるため、従来の写真やイラストのみの説明と比較して、使用者の貼付剤の貼り方の習熟度が格段に向上する。
【0013】
また、本発明の貼付剤服薬指導補助ツールは、薬剤が含まれておらず、繰り返し使用できるため、実際の貼付剤を貼付練習に使用する場合と比較して、貼付剤の損失が全くなく、経済的にも有利である。なお、本発明のツールは薬剤を含有しないものであり、治療を必要としない高齢者や子供でも自由に入手して、安全に貼付剤の貼付方法の習得に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の貼付剤服薬指導補助ツールの実施形態の一例を、図面に基づいて具体的に説明する。本発明はこれら実施形態に何ら制約されるものではない。なお、本発明を使用しての貼付作業を、実際の貼付剤の貼付作業に近づけるため、実際の貼付剤の形態に近い形態とすることが好ましい。
【0015】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールは、
図1、
図2及び
図3に示すように、1の第一剥離部、2の第二剥離部、3の第三剥離部、4の支持部、5の粘着部、6のストラップホール及び7の切断線から構成される。
【0016】
本発明の第一剥離部1は、第二剥離部2及び第三剥離部3の間に存在し、切断線7により第二剥離部2及び第三剥離部3と分割されている。第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3と、支持部4は、粘着部5によって接着されている。
【0017】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールの大きさ及び形状は、特に制限はないが、正方形、長方形及び円形等とすることができる。特に、一般的な貼付剤に近い形状である、縦辺が横辺よりも短い長方形で、角部が丸みを帯びていることが好ましい。
【0018】
第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3のそれぞれの大きさは、特に制限はないが、一般的な貼付剤に近い形状である、第一剥離部1は、第二剥離部2及び第三剥離部3よりも小さいことが好ましい。また、これら3つの剥離部は、縦辺が横辺よりも長いことが好ましい。
【0019】
支持部4及び剥離部(第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3)の厚さは、特に制限はないが、支持部と剥離部は同じ厚さであることが好ましく、さらに、粘着部5よりも厚いことが好ましい。
【0020】
剥離部(第一剥離部1、第二剥離部2及び/または第三剥離部3)には、使用方法の説明となる表示手段を設けることが好ましい。
【0021】
切断線7は、剥離部を3分割するための切り込みであればよく、特に制限はないが、例えば、波形状や直線状にすることができる。特に、波形状で左右対称であることが好ましい。
【0022】
ストラップホール6は、剥離部(第一剥離部1、第二剥離部2または第三剥離部3)と、支持部4の間を貫通する貫通孔である。ストラップホール6の形状は、特に制限はないが、例えば、円形、半円形、四角形、またはそれらに類似した形状を適宜選択して使用できる。ストラップホールの位置は、特に制限はないが、4つの角部のうちの一角、特に、左上であることが好ましい。ストラップホール6にストラップ、リング、チェーン、紐、ゴム等を通すことにより、持ち運び性にも優れ、吊り下げることで場所をとらずに収納することができる。
【0023】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールを構成する材料は、特に制限はないが、例えば、スポンジ、紙、板紙、厚紙、布、プラスチックシート、ゴムシート、金属シートあるいはこれらの複合材等が挙げられる。その中でも、紙、板紙及び厚紙等と比較して、耐久性及び柔軟性に優れているため、スポンジであることが好ましい。スポンジを使用することで、実際の貼付剤に比べ、厚み及びコシが出るため、手先の不自由な使用者でも扱い易い。
【0024】
粘着部5を構成する材料は、第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3と、支持部4を接着できるものであれば、特に制限はないが、例えば、再粘着性を有する公知の粘着剤、面ファスナー、両面テープ、接着剤等が挙げられる。その中でも、一般的な貼付剤に近いハンドリング性を再現できる再粘着性を有する粘着剤が好ましい。
【0025】
粘着部5によって、一定の力で第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3を固定する。このときの力は、貼付剤服薬指導補助ツール保存中にこれら剥離部が剥がれることなく、かつ、貼付剤服薬指導補助ツール使用時にスムーズに剥がれる程度であることが好ましい。例えば、粘着部5を公知の粘着剤で構成する場合、その粘着力は、JIS規格に規定する90度剥離(引き剥がし)試験(JIS Z0237)における(引き剥がし)粘着力で1.8N/cm未満、好ましくは0.1〜1.5N/cm、さらに好ましくは0.2〜1.0N/cmである。該粘着力が1.8N/cmでは、上記剥離部を剥がすことが困難で、剥離部が損傷して使用できなくなる場合があり、好ましくない。
【0026】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールの色は、特に制限はないが、支持部4と剥離部(第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3)で異なる色を使用することが好ましい。特に、青とオレンジの組み合わせ等、補色であることが好ましい。異なる色を使用することにより、剥離部を剥す際や、剥した剥離部を元に戻す際にわかり易い。
【0027】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールの使用方法は、特に制限はないが、例えば、医療機関等で患者に貼付剤の服薬指導をする際に、医療関係者が本発明の貼付剤服薬指導補助ツールを用いて、貼付剤の貼付方法を実演することができる。その際、写真やイラスト等の説明書とともに使用すると、より好ましい。
【0028】
また、使用者が本発明の貼付剤服薬指導補助ツールを用いて、実際に貼付練習をすることができる。
【0029】
前記貼付練習の方法としては、例えば、本発明の貼付剤服薬指導補助ツールを皮膚表面以外の任意の場所に、以下の手順で実際に貼りつける方法がある。
【0030】
本発明の剥離部側(第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3)を手前に向け両手で持ち、第三剥離部3を背面側へ折り曲げ(
図4)、片手で持ち、中央の第一剥離部1を剥す(
図5)ことで粘着面の一部を露出させる。露出させた粘着面を任意の場所へ貼付し、そのままの状態で、外側の第二剥離部2を剥しながら貼付する。引き続き、外側の第三剥離部3を剥しながら貼付する。
【0031】
貼付練習後は、剥した第一剥離部1、第二剥離部2及び第三剥離部3を貼付剤服薬指導補助ツールのもとの場所に戻すことができるので、その後も繰り返し使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の貼付剤服薬指導補助ツールは、例えば、医療機関等で患者に貼付剤の貼り方を指導する際に用いることができる。本発明のツールを使用することで、使用者はイメージが湧きやすくなり、さらに、繰り返し貼付練習をすることができるので、貼付剤の貼り方を短時間で習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明のツールの一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明のツールの一実施形態を示す背面図である。
【
図3】本発明のツールの一実施形態を示す平面図である。
【
図4】本発明のツールの第三剥離部を背面側へ折り曲げた状態を表す図である。
【
図5】本発明のツールの第一剥離部を剥す状態を表す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 第一剥離部(中央の剥離部)
2 第二剥離部(外側の剥離部)
3 第三剥離部(外側の剥離部)
4 支持部
5 粘着部
6 ストラップホール
7 切断線