特開2017-51092(P2017-51092A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-51092(P2017-51092A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】モータの放熱構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20170217BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20170217BHJP
【FI】
   H02K9/06 F
   H02K5/20
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-171430(P2016-171430)
(22)【出願日】2016年9月2日
(31)【優先権主張番号】104129435
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501164676
【氏名又は名称】周 文三
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB09
5H605CC02
5H605DD11
5H605EB01
5H609BB06
5H609BB18
5H609PP01
5H609PP02
5H609PP13
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609RR03
5H609RR21
5H609RR27
(57)【要約】
【課題】複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱するモータの放熱構造を提供する。
【解決手段】モータの放熱構造は、ハウジング1、回転軸8、蓋体2及び放熱ファン4を備える。ハウジング1は、内部空間14を有するとともに、複数の排風口を有する封止面11が一端に形成され、開口12が他端に形成される。回転軸8は、ハウジング1内に回転可能に取付けられるとともに、封止面11から延びた出力端80が一端に設けられ、連結端89が他端に設けられる。蓋体2は、回転軸8が延設される軸孔21を有する中心ハブ20を中央部に有する。放熱ファン4は、回転軸8の連結端89に嵌着されるとともに、回転軸8と同期で回転する。蓋体2の中心ハブ20の外周には、間隔をあけた複数の吸気穴23が形成される。蓋体2の外表面には集風フード24が延設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、回転軸、蓋体及び放熱ファンを備えたモータの放熱構造であって、
前記ハウジングは、内部空間を有するとともに、複数の排風口を有する封止面が一端に形成され、開口が他端に形成され、
前記回転軸は、前記ハウジング内に回転可能に取付けられるとともに、前記封止面から延びた出力端が一端に設けられ、連結端が他端に設けられ、
前記蓋体は、前記回転軸が挿通される軸孔を有する中心ハブを中央部に有し、
前記放熱ファンは、前記回転軸の前記連結端に嵌着されるとともに、前記回転軸と同期で回転し、
前記蓋体の前記中心ハブの外周には、間隔をあけた複数の吸気穴が形成され、
前記蓋体の外表面には集風フードが延設され、
前記集風フードは、前記蓋体と一体成形されるとともに、前記複数の吸気穴の外周に位置し、前記放熱ファンが回転して発生させた円形状に回る空気流が、前記集風フードと前記中心ハブとからなる画成空間を通り、前記モータの前記ハウジングの内部空間へ前記吸気穴を介して直接流入することを特徴とするモータの放熱構造。
【請求項2】
前記蓋体の周面には、隆起した複数の導風カバーが設けられ、
前記導風カバーは、頂板を有し、
前記頂板の2つの側縁には、前記蓋体と連結されて一体化した側板がそれぞれ延設され、2つの前記側板と、前記頂板と、前記蓋体の周面とにより導風口が画成され、2つの隆起した前記導風カバー間には、前後が貫通されて抵抗なく流れ込みやすいようにスリットが形成され、前記ハウジングと前記蓋体とが結合されると、前記導風カバーが前記ハウジングの通風口の上方に位置し、前記放熱ファンが回転して発生する空気流が前記導風カバーの前記導風口から直接流入し、2つの前記導風カバー間の前記スリットを介して前記ハウジング内に流入しない空気流が前記ハウジングの外表面に吹き付けられ、前記ハウジングの外側が同時に放熱され、
前記ハウジングの外表面には、リング状の磁気透過性スリーブが外嵌され、前記磁気透過性スリーブが導磁作用を有する金属材料からなるため、前記モータの運転効率が向上することを特徴とする請求項1に記載のモータの放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの放熱構造に関し、特に、複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱し、モータのハウジング内に熱が溜まることを防ぎ、モータ運転の最高出力パワーを得て、モータの運転効率を高めるとともに、モータの使用寿命を延ばす、モータの放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の科学技術分野においてモータは広く利用されている動力機器である。しかし高パワーの大型モータ又は低パワーの小型モータであっても、モータのロータが回転すると、モータのハウジング内に熱が溜まり易く、モータが運転する際に発生する熱を適時排出させる放熱構造が十分でない場合、モータ内部に溜まった熱により磁石の磁力が低下し、それに伴ってモータの運転効率が次第に低下する上、一定の温度に達すると、電機子中のエナメル線などの絶縁物が損壊したり、エナメル線に短絡が起きてモータ全体が焼損したりするなどの虞があった。このような欠点を改善するために、現在よく利用されている技術としては、モータの中心部に設けられた回転軸の一端に有する放熱ファンにより、モータの運転中に上昇する温度を抑制する技術があるが、このような技術は、放熱ファンが空気流をモータのハウジング外周表面に吹き付けるだけであり、モータのハウジング内へ空気流を直接送りこんでモータ内部の熱を適時放出させることはできなかった。そのため、従来技術では、モータのハウジング内に熱が溜まり易いという欠点を改善することはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第1の目的は、複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱するモータの放熱構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、モータのハウジングの開口には蓋体が結合され、蓋体及び放熱ファンに発生する空気流は、両者がモータの回転軸の軸線方向で互いに対向し、蓋体の中心ハブの外周には、間隔をあけた複数の吸気穴が形成され、中心ハブは、円錐状の中心ハブであり、放熱ファンに対向した蓋体には、集風フードが延設され、集風フードは、複数の吸気穴の外周に位置し、円形状に回る空気流が集風フードと円錐状の中心ハブとからなる画成空間を通り、モータのハウジングの内部空間へ吸気穴を介して直接流入し、モータの運転によりハウジングの内部空間に発生する高温の空気流を適時放出するモータの放熱構造を提供することにある。
本発明の第3の目的は、モータのハウジングの開口部に蓋体が結合され、蓋体の周面に複数の導風カバーが設けられ、導風カバーは、頂板を有し、頂板の2つの側縁には、蓋体と連結されて一体化された側板が延設され、2つの側板と、頂板と、蓋体の周面とにより導風口が形成され、ハウジングと蓋体とが結合されると、導風カバーがハウジングの通風口の上方に位置し、放熱ファンが回転して発生する空気流が導風カバーの導風口から直接流入し、モータの回転軸に取り付けた放熱ファンが回転すると、それにより発生した空気流が導風カバーに沿ってモータのハウジングの通風口に進入するとともに、通風口を介してモータのハウジング内部に進入してハウジング内の内部空間を放熱してから、モータのハウジングの封止面に形成された排風口を介して高温の空気流が放出され、放熱作用によりモータに熱が溜まって損壊することを防ぎ、モータの使用寿命を延ばすモータの放熱構造を提供することにある。
本発明の第4の目的は、2つの隆起した導風カバー間には、前後が貫通されて抵抗なく流れ込みやすいようにスリットが形成され、ハウジング内に流入しない空気流がスリットを介してハウジングの外表面に吹き付けられ、ハウジングの外側が同時に放熱されるモータの放熱構造を提供することにある。
本発明の第5の目的は、高温環境下で放熱モータを運転する場合でも、モータが焼損することを防ぎ、モータを70℃の密閉空間で長時間連続運転するテストでも焼損することがなかった、モータの放熱構造を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るモータの一部の部材を示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るモータを示す斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るモータの別の角度からの斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るモータの導風カバーの蓋体を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るモータの導風カバーの蓋体の別の角度からの斜視図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るモータの側面図であり、空気流がスリットを通ってモータのハウジング外表面を放熱する使用状態の説明図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るモータのハウジング内に空気流を案内して熱を放出する使用状態を示す図6の線A−Aに沿った断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るモータを示す正面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るモータの導風カバーに沿って移動する空気流がハウジングの通風口から流入し、熱を放出する使用状態の説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係るモータのハウジング内に空気流を案内して熱を放出する使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
モータの動作原理及び内部構造は、広く一般に知られている技術であるため、本明細書では詳しく述べない。
【0006】
図1図3を参照する。図1図3に示すように、本発明の一実施形態に係るモータの放熱構造は、筒状のハウジング1を含む。ハウジング1の一端には、封止面11が形成される。封止面11には、複数の排風口13が間隔をあけて形成されている。ハウジング1の他端は開口12を有する。ハウジング1の周面には、完全に貫通した通風口10が形成され、モータのハウジング1の内部と、モータのハウジング1の外部とに空気流を流通させる。ハウジング1の内部空間14内には、モータ構造に必要な部品(例えば、ロータ5、コイル6及び磁石7)が設置され、ハウジング1の一端の封止面11及び他端の開口12の軸線上には回転軸8が配設される。封止面11から延びた回転軸8は、一端に出力端80が設けられる。出力端80には、伝動部材が接続される。モータが作動すると回転軸8が回転する。前述したモータのハウジング1の外周には、金属からなる磁気透過性スリーブ(magnetically permeable sleeve)9が外嵌され、磁気透過性スリーブ9が導磁作用を有するため、モータが作動するときの運転効率が向上する。
【0007】
図4及び図5を参照する。本発明の一実施形態に係るモータの放熱構造は、蓋体2を含む。蓋体2は、軸孔21を有する円錐状体22の中心ハブ20を中央部に有する。円錐状体22の中心ハブ20の断面直径は、蓋体2の底端から上方にかけて徐々に縮小する断面直径であり、中心ハブ20の外周には、間隔をあけた複数の吸気穴23が形成される。蓋体2の外表面には、集風フード24が延設されている。集風フード24は、蓋体2と一体成形される。集風フード24は、複数の吸気穴23の外周に位置する。蓋体2の内表面には、装着筒281,282が設けられるとともに、完全に貫通した貫通孔271,272を有する(図5を参照する)。蓋体2の周面には、隆起した複数の導風カバー25が設けられる。導風カバー25は、頂板251を有する。頂板251の2つの側縁には、蓋体2と連結されて一体化される側板252,253が延設されている。2つの側板252,253と、頂板251と、蓋体2の周面とにより導風口254が形成され、2つの隆起した導風カバー25間には、前後が貫通されて抵抗なく流れ込みやすいようにスリット26が形成されている。蓋体2を結合して前述のハウジング1の開口12を封止すると、導電用途の導電挿入片81,82が蓋体2の貫通孔271,272に挿通されて貫通孔271,272から露出され、ハウジング1内に設けたダボロッド83,84が装着筒281,282に嵌着されると、ハウジング1の開口12に蓋体2が固定されて蓋体2がハウジング1に結合され、回転軸8の最外端(即ち連結端89)が中心ハブ20の軸孔21から延びて中心ハブ20内で軸受(図示せず)が覆われるため、回転軸8を円滑に回転させることができる。
【0008】
図1に示すように、放熱ファン4は、軸孔40を有する。放熱ファン4は、軸孔40を介して回転軸8の連結端89に嵌着される。
【0009】
図2及び図3は、ハウジング1、蓋体2及び放熱ファン4を組み合わせた状態を示す。図6図10に示すように、モータの回転軸8が動作すると、放熱ファン4が同期で回転して円形状に回る空気流が発生し、放熱ファン4の右側(図6で示された方向で見て右側)の空気流が吸引されて放熱ファン4の左側へ案内され、複数の放熱経路によりハウジング1の内部空間14に空気流が流入し、図7に示すように、モータの運転によりハウジング1の内部空間14に発生する熱を適時、効率良く放出することができる。本発明の複数の放熱経路の構造設計及びその効果を図6図10に示す。蓋体2及び放熱ファン4に発生する空気流は、両者がモータの回転軸8の軸線方向で互いに対向し、円錐状体22の中心ハブ20により、円形状に回る空気流が放熱経路Aに沿って集風フード24及び円錐状体22の中心ハブ20の画成空間を介し、吸気穴23からモータのハウジング1の内部空間14へ直接流入される。放熱経路Aは、図8及び図10に示すように、モータの運転により内部空間14に発生する高温の空気流をハウジング1の封止面11の排風口13から排出し、モータの運転によりハウジング1の内部空間14に発生する高温の空気流を適時放出する。円形状に回る空気流が、蓋体2の集風フード24により画成される円形面積範囲の外側部分より大きい部分により放熱経路B及び放熱経路Cが作られる。空気流の放熱経路Bは、蓋体2の導風カバー25の導風口254を介してモータのハウジング1の通風口10に直接進入する。2つの側板252,253と、頂板251と、蓋体2の周面とにより画成された導風口254を介して空気流が進入すると空気流が効果的に集中し、空気流が通風口10を介してモータのハウジング1の内部空間14に進入し、ハウジング1内の内部空間14に放熱作用が発生し(図7及び図9を同時に参照する)、ハウジング1内に熱が溜まり易いという欠点がある。また、放熱経路Cに示すように、ハウジング1内に流入しない空気流は、2つの導風カバー25間のスリット26を介してハウジング1の外表面に吹き付けられ、ハウジング1の外側を同時に放熱する。図6に示すように、複数の放熱経路により、効果が高い放熱作用を得る。放熱経路Cと放熱経路A,Bとを一緒に使用することにより相乗効果を得て放熱効果を高めることができるため、モータの焼損を防ぐことができる。
【0010】
上述したことから分かるように、本発明のモータの放熱構造は、モータの一側に取り付けた放熱ファン4の運転により発生する空気流が複数の放熱経路を有するため、放熱効果が非常に高い。また、本発明は、ハウジング1の開口12を封止する蓋体2を含み、蓋体2に設けた間隔をあけて形成した複数の吸気穴23は、放熱経路Aを有する。蓋体2の周面に形成した複数の導風カバー25は、ハウジング1上の通風口10の上方に位置する上、導風カバー25の導風口254を介し、放熱ファン4が回転して発生する空気流を直接案内し、放熱経路Bが作られる。2つの導風カバー25間のスリット26の構造により形成される放熱経路Cにより、ハウジング1内に案内されない空気流は、2つの導風カバー25間のスリット26を介してハウジング1の外表面に吹き付けられてハウジング1の外側が同時に放熱される。このように、複数の放熱経路により効果的な放熱作用を得て、モータのハウジング1内に熱が溜まることを防ぎ、モータ運転の最高出力パワーを得てモータの運転効率を高めるとともに、モータの使用寿命を延ばす。このように本発明は、高温環境下で放熱モータを運転しても、放熱モータが焼損することを防ぐことができるため、実用的で進歩性を有する。
【符号の説明】
【0011】
1 ハウジング
2 蓋体
3 磁気透過性スリーブ
4 放熱ファン
5 ロータ
6 コイル
7 磁石
8 回転軸
10 通風口
11 封止面
12 開口
13 排風口
14 内部空間
20 中心ハブ
21 軸孔
22 円錐状体
23 吸気穴
24 集風フード
25 導風カバー
26 スリット
40 軸孔
80 出力端
81 導電挿入片
82 導電挿入片
83 ダボロッド
84 ダボロッド
89 連結端
251 頂板
252 側板
253 側板
254 導風口
271 貫通孔
272 貫通孔
281 装着筒
282 装着筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10