【解決手段】揺動マット11は、使用者Mが横たわるためのマット本体12と、マット本体12を往復運動させる揺動部13と、マット本体12および揺動部13を内包するマットカバー14とを備えている。揺動部13は、マット本体12を支持する本体支持部材131と、本体支持部材131の往復移動を支持する揺動支持部材132と、本体支持部材131を往復移動させる駆動部133としてのモータ1331などとを備えている。マットカバー14により、マット本体12と、揺動部13とを覆っているため、使用者Mは、揺動マット11を、容易に、ベッドに設置したり、和室であれば畳の上に設置したり、洋室であればフローリングの板間の上に設置したりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の「ベッド装置」は、使用者が横たわるマットが載置されるマット支持体を往復運動するものであるが、マット支持体に、車輪付きの脚体が設けられているため、大掛かりな装置となっている。従って、簡単に、このベッド装置の揺動部を他のベッドに持っていくことは難しい。
また、特許文献2に記載の「身体支持具」にしても、マットレスを傾斜させる揺動部がベッド内部に組み込まれているため、容易に他のベッドに設置することができない。
【0005】
そこで本発明は、揺動機構の小型化が可能であり、移動や設置が容易な揺動マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の揺動マットは、使用者が横たわるためのマット本体と、前記マット本体を往復運動させる揺動部と、前記マット本体および前記揺動部を内包するマットカバーとを備え、前記揺動部は、前記マット本体を支持する本体支持部材と、前記本体支持部材の往復移動を支持する揺動支持部材と、前記本体支持部材を往復移動させる駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の揺動マットによれば、マットカバーにより、マット本体と、揺動部とを覆っているため、使用者は、本発明の揺動マットを、容易に、ベッドに設置したり、和室であれば畳の上に設置したり、洋室であればフローリングの板間の上に設置したりすることができる。また、駆動部がマット本体と本体支持部を駆動できればよいため、駆動部として小型のものが採用できるので、本発明の揺動マットは、ベッド全体を揺動させるより揺動部を小型化することができる。
【0008】
前記揺動支持部材は、前記本体支持部材の底面に固定された第1平滑部材と、前記第1平滑部材が滑走する第2平滑部材とを備えていることが望ましい。
駆動部によって本体支持部材を往復移動させることで、第1平滑部材が本体支持部材の底面に固定された状態で第2平滑部材を滑走するので、マット本体を往復移動させることができる。
【0009】
前記揺動支持部材は、前記本体支持部材を往復移動自在に連結して支持する柱部材を備えることが望ましい。柱部材が、本体支持部材の往復移動に伴って、一方へ傾斜したり、他方へ傾斜したりして、本体支持部材を支持しながら、本体支持部材を往復移動させることができる。
【0010】
前記駆動部が、前記マット本体と並べて配置されていると、本体支持部材の下方に配置したときと比較して、本発明の揺動マットを薄く形成することができる。
【0011】
前記揺動支持部材は、前記本体支持部材と対向して設置面側に配置された設置用部材を備え、前記駆動部は、前記本体支持部材に設置されたモータと、前記モータの駆動に応じて回転するクランク部材と、前記クランク部材に一端が接続され、前記設置用部材に他端が接続され、前記クランク部材の回転運動を往復運動に変換するシャフト部とを備えていることが望ましい。このような構成とすることで、本体支持部材にモータが設置されていても、クランク部材の回転に伴ってシャフト部により本体支持部材を往復移動させることができる。
【0012】
前記駆動部が、前記本体支持部材の下方に配置されていると、本発明の揺動マットを平面視したときに、駆動部がマット本体に隠れるため、揺動マットは、マット本体のサイズより大きくならない。
【0013】
前記揺動支持部材は、前記本体支持部材と対向して設置面側に配置された設置用部材を備え、前記駆動部は、前記本体支持部材に設置されたモータと、前記モータの駆動に応じて回転するクランク部材と、前記クランク部材に一端が接続され、前記設置用部材に他端が接続され、前記クランク部材の回転運動を往復運動に変換するシャフト部とを備えていることが望ましい。このような構成とすることで、設置用部材にモータが設置されていても、クランク部材の回転に伴ってシャフト部により本体支持部材を往復移動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の揺動マットは、ベッド全体を揺動させるより揺動部を小型化することができるので、揺動機構の小型化が可能であり、移動や設置が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る揺動マットを説明する。本実施の形態に係る揺動マットは、心地のよい睡眠の誘導を求める使用者が使用したり、脳性麻痺により介護が必要な使用者などがリハビリやトレーニングなどに使用したり、運動不足になった老齢の使用者がストレッチ運動に使用したりするものである。
本実施の形態に係る揺動マットは、ベッドに設置されたり、和室であれば畳の上、洋室であればフローリングの板間の上に配置されたりして使用される。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る揺動マットを図面に基づいて説明する。
図1に示す揺動マット11は、使用者Mが横たわるためのマット本体12と、揺動部13と、マット本体12および揺動部13を内包するマットカバー14とを備えている。
【0018】
マット本体12は、マット本体12に横たわる使用者Mの身長方向および左右方向に応じたサイズの矩形状に形成されている。マット本体12は、使用者Mが安心して睡眠やトレーニングができるようクッション性を有している。
【0019】
揺動部13は、マット本体12を、使用者Mの身長方向に沿って往復移動させるものである。以下、この往復移動する方向を、往復移動方向F1と称す。
揺動部13は、マット本体12を支持する本体支持部材131、本体支持部材の往復移動を支持する揺動支持部材132と、本体支持部材を往復移動させる駆動部133とを備えている。
【0020】
本体支持部材131は、マット本体12の形状に合わせて矩形状に形成されている。本体支持部材131は、マット本体12の底面を支持できるものであれば、板状部材としたり、枠状部材としたりすることができる。本体支持部材131は、マット本体12と共に往復移動するので、軽量化を図るために、マット本体12の周囲を囲う枠部材と、縦横に格子状に形成された骨部材とにより構成することが望ましい。
【0021】
揺動支持部材132は、本体支持部材131と対向して設置面S側に配置され、揺動マット11の底面を形成する設置用部材1321と、スライド用部材1322とを備えている。
設置用部材1321は、本体支持部材131の形状に合わせて矩形状に形成されている。設置用部材1321は、板状部材としたり、枠状部材としたりすることができる。
スライド用部材1322は、滑りやすくなるように表面処理された平滑部材1322aが第1平滑部材として本体支持部材131に配置されていると共に、平滑部材1322aに対向した状態で接する平滑部材1322bが第2平滑部材として設置用部材1321に配置されている。
【0022】
本実施の形態1に係る平滑部材1322a,1322bは、使用者Mの胸部部分から頭部側のマット本体12の端部までと、脛部分から足先側のマット本体12の端部までの2箇所に設けられている。
この平滑部材1322a,1322bは、フッ素樹脂加工されたテープまたは板材としたり、ポリスライダー(登録商標)としたりすることができる。平滑部材1322a,1322bは、接触面積が狭い方が、摩擦が小さいため、往復移動方向F1に沿ってテープ状のものを複数配置することが望ましい。また、平滑部材1322a,1322bは、スライドレールのような平滑部材でも同様に構成することが可能である。
【0023】
駆動部133は、本体支持部材131に設置されたモータ1331と、モータ1331の駆動に応じて回転する円形部材1332と、円形部材1332に一端が接続され、設置用部材1321に他端が接続され、円形部材1332の回転運動を往復運動に変換するシャフト部1333とを備えている。
【0024】
モータ1331は、マット本体12と並んで、使用者Mの脚側の端部に配置されている。モータ1331は、回転軸が使用者Mの身長方向と直交する左右方向に沿って配置されている。円形部材1332は、円形部材1332の中心が、モータ1331の回転軸に取り付けられてクランク部材として機能するものである。
【0025】
シャフト部1333は、一端1333aが円形部材1332の中心から偏心した位置に、図示しないピン部材により回転自在に連結されている。シャフト部1333は、一端1333aから、マット本体12の切り欠かれた足先側の端部を通過し、本体支持部材131およびを突き抜けて設置用部材1321まで延びている。そして、シャフト部1333は、他端1333bが、取付部材を介して設置用部材1321に、図示しないピン部材により回転自在に連結されている。
【0026】
マットカバー14は、マット本体12と揺動部13との全体を包囲するように形成されている。マットカバー14は、布製であるが、合成繊維、不織布、ネットあるいは柔軟な樹脂等であっても差し支えない。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る揺動マット11の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
使用者Mが揺動マット11の電源を図示しない操作盤により投入して、モータ1331に通電することで、モータ1331が駆動し始める。モータ1331の駆動により円形部材1332が回転し、この回転に伴ってシャフト部1333の一端1333aが回転運動する。
【0028】
シャフト部1333の一端1333aが回転し、シャフト部1333の他端1333bは、その位置が設置用部材1321に固定されている。そのため、モータ1331の回転運動は、シャフト部1333を介して往復運動に変換されるので、モータ1331および円形部材1332は、
図1の状態から
図2に示す状態へ遷移して往復移動方向F1に沿って移動する。
設置用部材1321の上面に設けられた平滑部材1322bが、本体支持部材131の底面に設けられた平滑部材1322aを滑走するため、マット本体12は滑るようにして往復移動する。
これにより、マット本体12に横たわり、身長方向に往復移動する使用者Mは、心地のよい睡眠を得たり、リハビリやトレーニング、ストレッチ運動をしたりすることができる。
【0029】
以上のように、本実施の形態1に係る揺動マット11によれば、マットカバー14により、マット本体12と、揺動部13とが覆われて揺動マット11が形成されているため、使用者は、揺動マット11を、容易に、ベッドに設置したり、和室であれば畳の上に設置したり、洋室であればフローリングの板間の上に設置したりすることができる。マットカバー14が汚れれば、マットカバー14を洗濯したり、代わりのマットカバー14と入れ替えたりすることで、いつでも清潔に保つことができる。
【0030】
また、モータ1331が、モータ1331自体と、マット本体12と、本体支持部材131と、使用者Mとの合計の重量を移動させるだけの出力があればよいので、モータ1331の出力を小さいものとしてもよい。従って、モータ1331として小型のものが採用できるので、マット本体12および揺動部13がマットカバー14により内包された揺動マット11は、ベッド全体を揺動させるより揺動部13を小型化することができる。
また、揺動マット11は、ベッド全体を揺動させる手段よりもはるかに軽量化できるため、揺動マット11は、いろいろな場所へ移動することが容易である。
【0031】
駆動部133によって本体支持部材131を往復移動させることで、平滑部材1322aが本体支持部材131の底面に固定された状態で平滑部材1322bを滑走するので、マット本体12を往復移動させることができる。
【0032】
また、平滑部材1322aと平滑部材1322bとが板状やテープ状に形成され、本体支持部材131の往復移動を支持しているため、本体支持部材131と設置用部材1321との間を接近して配置することができる。従って、揺動マット11の厚みを薄く形成することができる。
【0033】
揺動部13のモータ1331が、本体支持部材131の下方となる設置用部材1321との間ではなく、マット本体12と並んで同じ高さ位置に配置されているため、平滑部材1322a,1322bに厚みの薄い板状または帯状部材が使用できるため、揺動マット11全体の厚みを薄いものとすることができる。
【0034】
更に、駆動部133が、本体支持部材131に設置されたモータ1331と、モータ1331の駆動に応じて回転する円形部材1332と、円形部材1332に一端1333aが接続され、設置用部材1321に他端1333bが接続され、円形部材1332の回転運動を往復運動に変換するシャフト部1333とを備えている。そのため、本体支持部材131にモータ1331が設置されていても、円形部材1332の回転に伴ってシャフト部1333により本体支持部材131自体を往復移動させることができる。
【0035】
なお、本実施の形態1に係る駆動部133では、クランク部材として円形部材1332を例に説明したが、シャフト部1333の一端1333aが回転移動すればよいので、円形部材1332の代わりに、モータ1331の回転軸に一方の端部が取り付けられ、シャフト部1333の一端1333aに他方の端部が取り付けられた細長の板材や偏心カムなどの回転運動を往復運動に変換できる部材としてもよい。
【0036】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る揺動マットを図面に基づいて説明する。なお、
図3および
図4においては、
図1および
図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図3および
図4に示すように、本実施の形態2に係る揺動マット21は、モータ1331が設置用部材1321の上に設置されていることにより、本体支持部材131と設置用部材1321との間に設置されている。
【0037】
本実施の形態2では、使用者Mの身長方向に沿って配置されたモータ1331の回転軸によって回転する円形部材1332の回転軸の方向を、傘歯車などにより身長方向と直交する左右方向へ変換している。
シャフト部1333は、一端1333aが円形部材1332の中心から偏心した位置に、図示しないピン部材により回転自在に連結されている。シャフト部1333は、一端1333aから本体支持部材131まで延びている。そして、シャフト部1333は、他端1333bが、取付部材を介して本体支持部材131に、図示しないピン部材により回転自在に連結されている。
【0038】
本体支持部材131と設置用部材1321との間に配置されたモータ1331の高さを確保するために、揺動部13は、揺動支持部材134として、本体支持部材131を往復移動自在に連結して支持する柱部材1323を備えている。
柱部材1323は、矩形状に形成された本体支持部材131の4つの角部を支持している。
【0039】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る揺動マット21の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
使用者Mが揺動マット21の電源を図示しない操作盤により投入して、モータ1331に通電することで、モータ1331が駆動し始める。モータ1331の駆動により円形部材1332が回転し、この回転に伴ってシャフト部1333の一端1333aが回転運動する。
【0040】
シャフト部1333の一端1333aが回転し、シャフト部1333の他端1333bは、その位置が本体支持部材131に固定されている。そのため、モータ1331の回転運動は、シャフト部1333の往復運動に変換されるので、本体支持部材131は往復移動する。
図3に示すように、本体支持部材131が使用者Mの頭方向へ移動すると、柱部材1323が頭方向へ向かって傾斜し、本体支持部材131が使用者Mの足先方向へ移動すると、設置用部材1321の柱部材1323が足先方向へ向かって傾斜する。
これにより、
図3に示す状態から
図4に示す状態へ遷移するように、本体支持部材131および本体支持部材131に支持されたマット本体12が身長方向に沿って往復移動する。従って、マット本体12に横たわり、身長方向に往復移動する使用者Mは、心地のよい睡眠を得たり、リハビリやトレーニング、ストレッチ運動をしたりすることができる。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る揺動マット21は、モータ1331が、マット本体12と、本体支持部材131との合計の重量を移動させるだけの出力があればよいので、更に、モータ1331の出力を小さいものとしてもよい。従って、モータ1331として小型のものが採用できるので、マット本体12および揺動部13がマットカバー14により内包された揺動マット21は、ベッド全体を揺動させるより揺動部13を小型化することができる。揺動マット21は、揺動機構の小型化が可能であり、設置が容易である。
【0042】
また、揺動支持部材134は、本体支持部材131を往復移動自在に連結して支持する柱部材1323を備えているため、柱部材1323が、本体支持部材131の往復移動に伴って柱部材1323が一方へ傾斜したり、他方へ傾斜したりして、本体支持部材131を支持しながら、本体支持部材131を往復移動させることができる。
【0043】
また、モータ1331が、本体支持部材131と設置用部材1321との間に配置されているため、揺動マット21を平面視したときに、マット本体12の下に駆動部133が隠れるため、マット本体12のサイズより大きくならない。
【0044】
更に、駆動部133が、設置用部材1321に設置されたモータ1331と、モータ1331の駆動に応じて回転する円形部材1332と、円形部材1332に一端1333aが接続され、本体支持部材131に他端1333bが接続され、円形部材1332の回転運動を往復運動に変換するシャフト部1333とを備えている。これにより、設置用部材1321にモータ1331が設置されていても、円形部材1332の回転に伴ってシャフト部1333により本体支持部材131を往復移動させることができる。
【0045】
以上、本実施の形態1,2について説明したが、例えば、実施の形態1に係る揺動マット11は、揺動支持部材132が、平滑部材1322a,1322bによるスライド用部材1322によってマット本体12の揺動が支持されていた。しかし、スライド用部材1322は、実施の形態2に係る柱部材1323によって構成されていてもよい。
【0046】
また、実施の形態2に係る揺動マット21は、揺動支持部材134が、柱部材1323によってマット本体12の揺動が支持されていた。しかし、柱部材1323は、実施の形態1に係る平滑部材1322a,1322bによるスライド用部材1322によって構成されていてもよい。この場合、本体支持部材131と設置用部材1321との間に、モータ1331の高さを確保するために、本体支持部材131と平滑部材1322aとの間、または平滑部材1322bと設置用部材1321との間のいずれか一方、または両方に、厚み部材を配置するのが望ましい。
【0047】
更に、本実施の形態1,2に係る揺動マット11,21は、身長方向に往復移動していたが、左右方向に往復移動するように構成してもよい。