特開2017-52298(P2017-52298A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-52298(P2017-52298A)
(43)【公開日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】潜水用手鏡
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/02 20060101AFI20170224BHJP
   A45D 42/06 20060101ALI20170224BHJP
   A45D 42/00 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
   B63C11/02
   A45D42/06
   A45D42/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-175271(P2015-175271)
(22)【出願日】2015年9月7日
(71)【出願人】
【識別番号】515245114
【氏名又は名称】惠原 弘太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140741
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光彌
(72)【発明者】
【氏名】惠原弘太郎
(57)【要約】
【課題】指、掌、手の甲或いは腕に装着しても水の抵抗が少なく、しかも、伸縮性のバンド3を使用するので装着後に鏡部2の位置を簡便に変更することができる潜水用手鏡1を提供する。
【解決手段】本発明の潜水用手鏡1は、平板形状を有し反射面を正面から見る正面視で横長の鏡部2と、鏡部2の長手方向xにおける両端近傍において鏡部2に係合する伸縮性のバンド3と、を備え、鏡部2は、長手方向xの幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向yの幅が2cm〜10cmの範囲にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状を有し反射面を正面から見る正面視で横長の鏡部と、前記鏡部の長手方向における両端近傍において前記鏡部に係合する伸縮性のバンドと、を備え、
前記鏡部は、長手方向の幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向の幅が2cm〜10cmの範囲にある潜水用手鏡。
【請求項2】
前記バンドは前記鏡部の長手方向における両側面に係合する請求項1に記載の潜水用手鏡。
【請求項3】
前記鏡部の長手方向における両端近傍に前記バンドを通す通し孔が開口し、
前記バンドは前記通し孔に通されて前記鏡部と係合する請求項1に記載の潜水用手鏡。
【請求項4】
前記通し孔は前記鏡部の板厚方向に貫通する貫通孔からなる請求項3に記載の潜水用手鏡。
【請求項5】
前記鏡部は光を入反射する側の表面とは反対側の背面に前記通し孔を有するバンド保持部を備える請求項3に記載の潜水用手鏡。
【請求項6】
前記バンド保持部は前記鏡部の長手方向における一端近傍から他端近傍に亘って設置され、前記通し孔は前記鏡部の長手方向の一端近傍から他端近傍に亘って連通する請求項5に記載の潜水用手鏡。
【請求項7】
前記バンド保持部の両端部において開口する前記通し孔の開口面は前記鏡部の表面から背面に向かう方向の側に向く請求項6に記載の潜水用手鏡。
【請求項8】
前記通し孔は前記バンド保持部の両端部において内径が拡大する末広がりの形状を有する請求項6又は7に記載の潜水用手鏡。
【請求項9】
前記バンドは一本のエンドレス形状を有し、前記通し孔に通されて前記鏡部と係合する請求項5〜8のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項10】
前記バンド保持部は、前記鏡部の短手方向における一端近傍に設置される第一のバンド保持部と他端近傍に設置される第二のバンド保持部とを有し、
前記バンドは前記第一のバンド保持部と前記第二のバンド保持部との間において8の字状に設置される請求項6〜9のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項11】
前記バンド保持部は、前記鏡部の長手方向における一端近傍に設置される第三のバンド保持部と他端近傍に設置される第四のバンド保持部とを有し、
前記第三及び第四のバンド保持部の各前記通し孔は、前記鏡部の短手方向の一端近傍から他端近傍に亘って連通する請求項5に記載の潜水用手鏡。
【請求項12】
前記バンドは一本のゴム紐からなる請求項1〜11のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項13】
前記鏡部は、光を入反射する側に凸の凸面鏡からなる請求項1〜12のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項14】
前記バンドは、前記鏡部の長手方向の両端から前記鏡部の長手方向の幅LのL/5以内の領域において前記鏡部に係合する請求項1〜13のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項15】
前記バンドは、前記鏡部の短手方向の両端から前記鏡部の短手方向の幅WのW/3以内の領域において前記鏡部に係合する請求項1〜14のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【請求項16】
前記バンドは、無負荷時の初期長に対し少なくとも1.5倍の長さに伸長可能である請求項1〜15のいずれか一項に記載の潜水用手鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水用の手鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
海や川のレジャーとしてダイビングが普及している。ダイビングは、素潜りで、或いは、潜水服や空気ボンベを着用して潜水する。ダイビングは、水中を単独で遊泳する他に仲間と共に遊泳することが多い。ダイビングは水中メガネを着用するので、振り返って背後を確認する場合に、地上で振り返るよりも視野が狭くなる。特に、ウエットスーツを着用すると振り向き難く、背後を遊泳する仲間の確認が疎かになる場合がある。また、狭い水中岩場を遊泳するときに、振り返って背後を確認することができない場合がある。
【0003】
一方、女性用の化粧道具として古くから手鏡が利用されている。手鏡は、手に鏡を持って手や腕の位置や角度を変えることにより自分の顔や髪型、或いは髪飾り等をいろいろな角度から観察することができる。このような手鏡を手や腕に装着すれば、手や指を使いながら、自分から見えにくい部分や背後の様子を確認することができるので便利である。
【0004】
例えば、特許文献1には、ステンレス板の表面を鏡面研磨した筐体の裏面に指バンドを設け、手の指に装着して用いる手鏡が記載される。鏡面研磨したステンレス板を指に装着するので、掌や指を他の目的の作業に使用することができる。また、特許文献2には、掌よりも大きい鏡本体に保持具が装着された手鏡が記載される。保持具に掌や指を挿入することにより手鏡本体を弱い握力で保持することができる。また、特許文献3には、時計バンドに取り付けた鏡付きミニボックスから成るハンディミラーが記載される。ウオッチほどの大きさの鏡が腕バンドに取り付けられる。腕に装着して使用することができるので、ハンドバックから鏡を取り出すことなく腕時計の時刻を確認するようにして、口紅や顔を確認することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−79421号公報
【特許文献2】実用新案登録第3117881号公報
【特許文献3】実用新案登録第3057309号公報
【特許文献4】実用新案登録第3153530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の手鏡は、バンド本体又は指バンドが鏡体に止着される。バンド本体又は指バンドは鏡体の長手方向の中央部であり鏡体の短手方向に沿って止着される。そのため、鏡体の長手方向の端部付近は指との間に隙間が生じる。この手鏡を指に装着して遊泳すると、鏡体の長手方向の端部付近と指との間に隙間が生じて水の抵抗が大きくなり、手鏡が遊泳の邪魔になってしまう。
【0007】
また、特許文献2に記載の手鏡は、手鏡本体の面積が掌の面積よりも大きい。そして、手鏡本体の中央付近に保持具が装着され、この保持具に掌を挿入して利用する。この手鏡を掌や指に装着して遊泳すると、鏡体本体の水に対する抵抗が大きく、利用者にとって手鏡は遊泳の邪魔になってしまう。
【0008】
また、特許文献3に記載の手鏡は、腕時計のウオッチ部に鏡を取り付けたものであり、鏡の面積が小さい。この鏡は腕に装着するので、掌、指又は手の甲に装着する場合よりも鏡の向きを変化させる範囲が狭くなり、バックミラーとしての視認範囲が限定される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の潜水用手鏡は、平板形状を有し反射面を正面から見る正面視で横長の鏡部と、前記鏡部の長手方向における両端近傍において前記鏡部に係合する伸縮性のバンドと、を備え、前記鏡部は、長手方向の幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向の幅が2cm〜10cmの範囲にあることとした。
【0010】
前記バンドは前記鏡部の長手方向における両側面に係合することとした。
【0011】
また、前記鏡部の長手方向における両端近傍に前記バンドを通す通し孔が開口し、前記バンドは前記通し孔に通されて前記鏡部と係合することとした。
【0012】
また、前記通し孔は前記鏡部の板厚方向に貫通する貫通孔からなることとした。
【0013】
また、前記鏡部は光を入反射する側の表面とは反対側の背面に前記通し孔を有するバンド保持部を備えることとした。
【0014】
また、前記バンド保持部は前記鏡部の長手方向における一端近傍から他端近傍に亘って設置され、前記通し孔は前記鏡部の長手方向の一端近傍から他端近傍に亘って連通することとした。
【0015】
また、前記バンド保持部の両端部において開口する前記通し孔の開口面は前記鏡部の表面から背面に向かう方向の側に向くこととした。
【0016】
また、前記通し孔は前記バンド保持部の両端部において前記鏡部の表面から背面に向かう方向に内径が拡大する末広がりの形状を有することとした。
【0017】
また、前記バンドは一本のエンドレス形状を有し、前記通し孔に通されて前記鏡部と係合することとした。
【0018】
また、前記バンド保持部は、前記鏡部の短手方向における一端近傍に設置される第一のバンド保持部と他端近傍に設置される第二のバンド保持部とを有し、前記バンドは前記第一のバンド保持部と前記第二のバンド保持部との間において8の字状に設置されることとした。
【0019】
また、前記バンド保持部は、前記鏡部の長手方向における一端近傍に設置される第三のバンド保持部と他端近傍に設置される第四のバンド保持部とを有し、前記第三及び第四のバンド保持部の各前記通し孔は、前記鏡部の短手方向の一端近傍から他端近傍に亘って連通することとした。
【0020】
また、前記バンドは一本のゴム紐からなることとした。
【0021】
また、前記鏡部は、光を入反射する側に凸の凸面鏡からなることとした。
【0022】
また、前記バンドは、前記鏡部の長手方向の両端から前記鏡部の長手方向の幅LのL/5以内の領域において前記鏡部に係合することとした。
【0023】
また、前記バンドは、前記鏡部の短手方向の両端から前記鏡部の短手方向の幅WのW/3以内の領域において前記鏡部に係合することとした。
【0024】
また、前記バンドは、無負荷時の初期長に対し少なくとも1.5倍の長さに伸長可能であることとした。
【発明の効果】
【0025】
本発明の潜水用手鏡は、平板形状を有し反射面を正面から見る正面視で横長の鏡部と、鏡部の長手方向における両端近傍において鏡部に係合する伸縮性のバンドと、を備え、鏡部は、長手方向の幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向の幅が2cm〜10cmの範囲にある。これにより、潜水用手鏡を掌や指に装着しても水の抵抗が少なく、しかも、伸縮性のバンドを使用するので装着後に鏡部の位置を簡便に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第一実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図3】本発明の第三実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図4】本発明の第三実施形態の変形例に係る潜水用手鏡の部分上面模式図である。
図5】本発明の第四実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図6】本発明の第五実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図7】本発明の第六実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
図8】本発明の第七実施形態に係る潜水用手鏡の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図1(a)は潜水用手鏡1の正面模式図であり、図1(b)は潜水用手鏡1の背面模式図であり、図1(c)は潜水用手鏡1の上面模式図であり、図1(d)及び図1(e)は潜水用手鏡1を掌に装着した状態を表す模式図である。
【0028】
図1(a)から(c)に示すように、本発明の第一実施形態に係る潜水用手鏡1は、平板形状を有し、反射面を正面から見る正面視で横長の略長方形である鏡部2と、鏡部2の長手方向xにおける両端近傍において鏡部2に係合する伸縮性のバンド3とを備え、鏡部2は、長手方向xの幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向yの幅が2cm〜10cmの範囲にある。鏡部2は、透明板6の背面側の面に金属層7を備え、金属層7の透明板6とは反対側の表面及び鏡部2の側面は保護層8により保護される。金属層7は保護層8により覆われ、使用時の水や海水から保護される。バンド3は、ゴム製の帯から成り、鏡部2の背面に接着剤を介して接合される。バンド3を、鏡部2の背面であり、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域に係合すれば、バンド3と鏡部2の係合地点よりも端部側の鏡部2の背面に当る水流に対する抵抗を小さく抑えることができる。また、バンド3の帯幅を鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以上とすれば、鏡部2が短手方向yに当る水流により煽られて鏡部2の姿勢が不安定となるのを防止できる。
【0029】
図1(d)は、潜水用手鏡1を鏡部2が掌側になるように手に装着した状態を表す。鏡部2とバンド3の間に人差し指から小指の4本の指を通し、鏡部2が掌の略中央に位置するように潜水用手鏡1を掌に装着する。この場合、潜水用手鏡1を装着しながら5本の指を使用することができる。例えば、掌に潜水用手鏡1を装着しながら魚等の対象物を撮影するカメラを操作することができる。また、対象物から目を離すことなく潜水用手鏡1により背後を遊泳する仲間の位置や状況を素早く確認することができる。図1(e)は、潜水用手鏡1を鏡部2が手の甲側になるように装着した状態を表す。潜水用手鏡1を手の甲に装着すれば、手の5本の指と掌を他の目的のために使用することができる。例えば、水中スクータを操作しながら、或いは手に銛を保持しながら手の甲を動かすことにより、装着者は背後を簡便に確認することができる。このように、潜水用手鏡1を掌や手の甲に装着すれば、手首や腕に装着する場合よりも鏡部2を大きく回転できるので、装着者は背後を広く観察することができる。また、潜水用手鏡1を手に装着するのが不便である時は、潜水用手鏡1を腕に装着してもよい。
【0030】
また、潜水用手鏡1を鏡部2が掌側又は手の甲側になるように指に装着することができる。この場合も、潜水用手鏡1を装着しながら5本の指や掌を他の目的に使用することができ、必要に応じて鏡部2を介して装着者の背後を素早く簡便に確認又は観察することができる。
【0031】
潜水用手鏡1は、指や掌等に直接装着してもよいし、水中手袋の上から装着してもよい。これらいずれの利用の際にも、水の抵抗が小さいほうがよい。そのため、鏡部2とバンド3の係合位置は、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域とし、鏡部2の短手方向yの両端(上端UE及び下端DE)から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域とする。また、鏡部2が掌の横幅、或いは、水中手袋を装着したときの掌の部位の横幅を超えない大きさとすることが好ましい。従って、鏡部2は、長手方向xの幅Lが18cmを超えない長さとする。また、潜水用手鏡1を掌や手の甲に装着しながら指や掌を他の作業に使用可能とするために、鏡部2が掌の縦幅、或いは、水中手袋を装着したときの掌の部位の縦幅を超えない大きさとすることが好ましい。従って、鏡部2は、短手方向yの幅Wが10cmを超えない長さとする。また、背後の様子を確認するバックミラーとして機能させるために、鏡部2の長手方向xの幅Lは3cm以上、鏡部2の短手方向yの幅Wは2cm以上とすることが好ましい。
【0032】
バンド3は、潜水用手鏡1を装着しない無負荷時の初期長に対し少なくとも1.5倍の長さに伸長可能とする。これにより、潜水用手鏡1は、鏡部2を掌、手の甲、或いは腕に装着するなどの装着位置の変更が容易となる。
【0033】
なお、鏡部2は、透明板6として透明な合成樹脂板やガラス材料を使用することができる。金属層7としてアルミニウムや銀等の導電性の材料を使用することができる。保護層8として合成樹脂やプラスチック板を使用することができる。鏡部2として、表面を研磨した金属板を使用することができる。鏡部2は、正面視で楕円形或いは多角形であってもよいし、台形形状であってもよい。
【0034】
(第二実施形態)
図2は、本発明の第二実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図2(a)は潜水用手鏡1の背面模式図であり、図2(b)は潜水用手鏡1の上面模式図である。第一実施形態と異なる点は、バンド3が鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)、即ち鏡部2の両側面に係合する点であり、その他の構成は第一実施形態と同様である。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0035】
図2に示すように、伸縮性のバンド3は鏡部2の長手方向xにおける両端、即ち鏡部2の両側面に係合する。バンド3は、ゴム製の帯から成り、鏡部2の左端LE(即ち左側面)及び右端RE(即ち右側面)に接着剤を介して接合される。バンド3の帯幅は、第一実施形態と同様に、鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以上とする。その他、鏡部2の構成、材料、大きさ、及び、バンド3の無負荷時の初期長に対する伸張性は第一実施形態と同様である。このように、バンド3が鏡部2の両側面に係合するので、鏡部2の端部側の背面に当る水流が減少し、水に対する抵抗が低減する。
【0036】
(第三実施形態)
図3は、本発明の第三実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図3(a)は潜水用手鏡1の背面模式図であり、図3(b)は潜水用手鏡1の上面模式図である。図4は本発明の第三実施形態の変形例に係る潜水用手鏡1の部分上面模式図である。第一実施形態と異なる点は、鏡部2の背面にバンド保持部5を設置し、バンド保持部5はバンド3を通す通し孔4を備え、この通し孔4にバンド3を挿入し、バンド3と鏡部2が係合する点である。その他の構成は第一実施形態と同様である。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0037】
図3に示すように、潜水用手鏡1は、平板形状を有し、鏡を正面から見る正面視で横長の略長方形である鏡部2と、鏡部2の長手方向xにおける両端近傍において鏡部2に係合する伸縮性のバンド3とを備え、鏡部2は、長手方向xの幅が3cm〜18cmの範囲にあり、短手方向yの幅が2cm〜10cmの範囲にある。鏡部2の反射面は第一実施形態と同様である。鏡部2の背面にバンド3を通す通し孔4を有するバンド保持部5を備える。バンド3を通す通し孔4は鏡部2の長手方向xの両端近傍において開口し、バンド3は通し孔4に通されて鏡部2と係合する。
【0038】
具体的には、バンド保持部5は、鏡部2の短手方向yにおける一端近傍(上端UE)に設置される第一のバンド保持部5aと他端近傍(下端DE)に設置される第二のバンド保持部5bとを有する。第一及び第二のバンド保持部5a、5bは、それぞれ鏡部2の長手方向xにおける一端近傍(左端LE)から他端近傍(右端RE)に亘って設置され、第一及び第二のバンド保持部5a、5bの各通し孔4a、4bはそれぞれ鏡部2の長手方向xの一端近傍(左端LE)から他端近傍(右端RE)に亘って連通する。従って、第一及び第二のバンド保持部5a、5bは、バンド3を鏡部2に係合させるとともに、鏡部2の補強部材としても機能する。バンド保持部5として金属材料や樹脂材料を使用することができ、例えばゴム等の弾性体を使用すれば、装着時の肌触りがよい。
【0039】
バンド3は、一本のエンドレス形状を有し、2つの通し孔4a、4bを通して鏡部2と係合する。バンド3は、第一のバンド保持部5aと第二のバンド保持部5bの間において8の字状に、つまり襷掛けに交差して設置される。バンド3が一本のエンドレス形状であるため、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲或いは腕に装着したときに、バンド3の張力が均等化し、第一のバンド保持部5aと第二のバンド保持部5bがほぼ同じ張力で指、掌、手の甲等に巻きつく。そのため、遊泳中の水流によって潜水用手鏡1が短手方向yの一方側に傾くのを防止することができる。
【0040】
バンド3は、ゴム製の紐から成り、無負荷時の初期長に対し少なくとも1.5倍の長さに伸長可能である。そのため、潜水用手鏡1は、鏡部2を指、掌、手の甲、或いは腕に装着するなどの装着位置の変更が容易となる。第一及び第二のバンド保持部5a、5bの長手方向xの端部は、第一実施形態と同様に、鏡部2の背面であり、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域に位置する。また、第一及び第二のバンド保持部5a、5bは、鏡部2の背面であり、鏡部2の短手方向yの両端(上端UE及び下端DE)から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域に位置する。従って、バンド3は、鏡部2の背面であり、鏡部2の長手方向xの両端から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域に係合するとともに、鏡部2の短手方向yの両端から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域に係合する。そのため、鏡部2は水流に煽られて姿勢が不安定となることがない。
【0041】
なお、本実施形態ではバンド3は一本のエンドレス形状を有するが、これに代えて、第一のバンド保持部5aに第一のバンドを、第二のバンド保持部5bに第二のバンドをそれぞれ通して、バンド3を2本に分割してもよい。また、鏡部2は第一実施形態と同様の構造とすることができるが、例えば、保護層8を保護カバーとして用いる場合、或いは保護層8とは別に保護層8の背面側に保護カバーを用いる場合は、第一及び第二のバンド保持部5a、5bをこの保護カバーにより覆ってもよい。保護カバーが金属層7の背面の全面を覆う場合は、第一及び第二のバンド保持部5a、5bの通し孔4が開口する位置の保護カバーに貫通孔を設け、バンド3を保護カバーの貫通孔を通して第一及び第二のバンド保持部5a、5bに通してもよい。保護カバーを設けることにより鏡部2の背面が平坦化するので、潜水用手鏡1が指、掌、手の甲等にフィットする。
【0042】
また、鏡部2の背面に保護カバーを設ける場合は、第一及び第二のバンド保持部5a、5bを除去し、第一及び第二のバンド保持部5a、5bが開口する保護カバーの位置に貫通孔を設け、この貫通孔にバンド3を通してもよい。また、保護層8の背面側にモールド樹脂を設置し、第一及び第二のバンド保持部5a、5bをモールド樹脂に埋め込むことができる。これにより、鏡部2の背面側が平坦化し、潜水用手鏡1が指、掌、手の甲等により一層フィットする。
【0043】
(変形例)
図4に示すように、バンド保持部5の両端部において開口する通し孔4の開口面Kは鏡部2の背面方向H(鏡部2の表面から背面に向かう方向)の側に向く。また、バンド保持部5の通し孔4はバンド保持部5の両端部において内径が拡大する末広がりの形状を有する。また、通し孔4は、バンド保持部5の両端部において鏡部2とは反対側の内側面がバンド保持部5の長手方向に沿って曲面形状Rを有する。これにより、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲等に装着する際の装着位置の変更が容易となる。
【0044】
図4において、実線で示すバンド3は、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲等に装着しているときの状態を表し、破線で示すバンド3’は、潜水用手鏡1を装着後に鏡部2を移動させるときの状態を表す。鏡部2を移動させるときは、鏡部2を掴んで引っ張って移動させるのでバンド3は伸長し、通し孔4の開口部で折り曲がる。そのため、バンド3は通し孔4の角部、特に通し孔4の鏡部2とは反対側の内側面に強く当たり、バンド3の引っ張る方向に大きな摩擦力が働く。そこで、バンド保持部5の両端部において、開口する通し孔4の開口面Kを背面方向Hの側に向け、通し孔4の内径が拡大する末広がりの形状とし、また、通し孔4の鏡部2とは反対側の内側面をバンド保持部5の長手方向に沿って曲面形状Rとする。これにより、バンド3に対する摩擦力が低下し、バンド3が通し孔4を移動し易くなる結果、バンド3の張力が低下して鏡部2の移動が容易となる。
【0045】
(第四実施形態)
図5は、本発明の第四実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図5(a)は潜水用手鏡1の背面模式図であり、図5(b)は潜水用手鏡1の上面模式図である。第三実施形態と異なる点は、バンド保持部5が鏡部2の短手方向yにおける一端近傍(上端UE)から他端近傍(下端DE)に亘って設置される点であり、その他の構成は第三実施形態と同様である。従って、以下、主に第三実施形態と異なる点について説明し、同一の構成については説明を省略する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0046】
図5に示すように、バンド保持部5は、鏡部2の長手方向xにおける一端近傍(左端LE)に設置される第三のバンド保持部5cと他端近傍(右端RE)に設置される第四のバンド保持部5dとを有する。第三及び第四のバンド保持部5c、5dは、それぞれ鏡部2の短手方向yにおける一端近傍(上端UE)から他端近傍(下端DE)に亘って設置され、第三及び第四のバンド保持部5c、5dの各通し孔4c、4dはそれぞれ鏡部2の短手方向yの一端近傍(上端UE)から他端近傍(下端DE)に亘って連通する。バンド3は、一本のエンドレス形状を有し、2つの通し孔4c、4dに通されて鏡部2と係合する。バンド3は、第三のバンド保持部5cと第四のバンド保持部5dの間において8の字状に、つまり襷掛けに交差して設置される。バンド3が一本のエンドレス形状であるため、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲或いは腕に装着したときに、バンド3の張力が均等化し、第一のバンド保持部5aと第二のバンド保持部5bがほぼ同じ張力で指、掌、手の甲等に巻きつく。
【0047】
第三及び第四のバンド保持部5c、5dは、鏡部2の背面であり、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域に位置する。また、第三及び第四のバンド保持部5c、5dの短手方向yの端部は、鏡部2の背面であり、鏡部2の短手方向yの両端(上端UE及び下端DE)から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域に位置する。従って、バンド3は、鏡部2の背面であり、鏡部2の長手方向xの両端から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域において鏡部2に係合するとともに、鏡部2の短手方向yの両端から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域において鏡部2に係合する。そのため、鏡部2は水流に煽られて姿勢が不安定となることがない。その他の構成は第三実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0048】
なお、鏡部2は第一実施形態と同様の構造とすることができるが、例えば、保護層8として、又は保護層8の背面側に保護カバーを用い、第三及び第四のバンド保持部5c、5dをこの保護カバーにより覆ってもよい。保護カバーが金属層7又は保護層8の背面の全面を覆う場合は、第三及び第四のバンド保持部5c、5dの通し孔4が開口する位置の保護カバーに貫通孔を設け、バンド3を保護カバーの貫通孔を通して第三及び第四のバンド保持部5c、5dに通してもよい。保護カバーを設けることにより鏡部2の背面が平坦化するので、潜水用手鏡1が掌にフィットする。また、鏡部2の背面に保護カバーを設ける場合には、第三及び第四のバンド保持部5c、5dを除去し、第三及び第四のバンド保持部5c、5dが開口する保護カバーの位置に貫通孔を設け、この貫通孔にバンド3を通してもよい。また、第三実施形態の変形例は本実施形態における第三及び第四のバンド保持部5c、5dに適用することができる。
【0049】
(第五実施形態)
図6は本発明の第五実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図6(a)は潜水用手鏡1の正面模式図であり、図6(b)は潜水用手鏡1の背面模式図である。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0050】
図6に示すように、鏡部2の長手方向xにおける両端近傍にバンド3を通す通し孔4a〜4dが開口し、バンド3は通し孔4a〜4dを通して鏡部2と係合する。具体的には、鏡部2は、長手方向xの一端近傍(左端LE)に通し孔4a、4bを、他端近傍(右端RE)に通し孔4c、4dを備える。なお、通し孔4a、4cは鏡部2の短手方向yの一端近傍(上端UE)に位置し、通し孔4b、4dは短手方向yの他端近傍(下端DE)に位置する。各通し孔4a、4b、4c、4dは鏡部2の板厚方向に貫通する貫通孔から成る。バンド3は一本のエンドレス形状を有し、鏡部2の表面側では通し孔4aと通し孔4bの間、及び、通し孔4cと通し孔4dの間に平行して掛り、鏡部2の背面側では通し孔4aと通し孔4dの間、及び、通し孔4bと通し孔4cの間に襷掛けに交差して掛る。バンド3は一本のエンドレス形状であるため、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲或いは腕に装着したときに、バンド3の張力が均等化し、ほぼ同じ張力で指、掌、手の甲等に巻きつく。
【0051】
より具体的には、通し孔4a、4b及び通し孔4c、4dは、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域に位置する。また、通し孔4a、4c及び通し孔4b、4dは、鏡部2の短手方向yの両端(上端UE及び下端DE)から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域に位置する。従って、バンド3は、鏡部2の長手方向xの両端(左端LE及び右端RE)から鏡部2の長手方向xの幅LのL/5以内の領域において鏡部2に係合するとともに、鏡部2の短手方向yの両端(上端UE及び下端DE)から鏡部2の短手方向yの幅WのW/3以内の領域において鏡部2に係合する。そのため、鏡部2は水流に煽られて姿勢が不安定となることがない。
【0052】
なお、本実施形態では3は一本のエンドレス形状を有するが、これに代えて、通し孔4aと通し孔4cの間に第一のバンドを、及び、通し孔4bと通し孔4dの間に第二のバンドをそれぞれ通して、バンド3を2本に分割してもよい。この場合、各通し孔4a、4b、4c、4dを通すバンド3の先端に各通し孔4a、4b、4c、4dの内径よりも直径の大きなストッパーを設置しておく。また、バンド3を2本に分割し、通し孔4aと通し孔4dの間に第一のバンドを通し、通し孔4bと通し孔4cの間に第二のバンドを通し、鏡部2の正面側において各バンドの端部にストッパーを設け、鏡部2の背面側で襷掛けに交差させてもよい。
【0053】
(第六実施形態)
図7は本発明の第六実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図7(a)は潜水用手鏡1の上面模式図であり、図7(b)は潜水用手鏡1を長手方向xから見る側面模式図である。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0054】
図7に示すように、潜水用手鏡1は、平板形状を有し、反射面を正面から見る正面視で横長の鏡部2と、鏡部2の長手方向xにおける両端近傍において鏡部2に係合する伸縮性のバンド3と、を備える。鏡部2は、光を反射する側に凸の凸面鏡からなる。具体的には、鏡部2は長手方向x及び短手方向yに関し凸形状を有する。そのため、潜水用手鏡1を指、掌、手の甲或いは腕に装着して背後を観察する際に、背後の左右方向と上下方向を広く観察することができる。なお、鏡部2の凸面は、長手方向xのみ凸面であっても、また、短手方向yのみに凸面であってもよい。また、バンド3及び通し孔4は第四又は第五実施形態と同様であってもよい。なお、本実施形態における鏡部2は第1〜第5実施形態の鏡部2に適用することができる。
【0055】
(第七実施形態)
図8は本発明の第七実施形態に係る潜水用手鏡1の説明図である。図8(a)は潜水用手鏡1の正面模式図であり、図1(b)は潜水用手鏡1を掌に装着した状態を表す模式図である。第一〜第六実施形態の潜水用手鏡1と異なる点は鏡部2の形状であり、その他の構成は第一〜第六実施形態と同様である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0056】
図8(a)に示すように、本発明の第七実施形態に係る潜水用手鏡1の鏡部2は、平板形状を有し、反射面を正面から見る正面視で略台形形状を有する。鏡部2の上端UEが台形の下底であり、鏡部2の下端DEが台形の上底である。図8(b)に示すように、台形の下底(上端UE)を指側に、台形の上底(下端DE)を手首側にして鏡部2を掌や指に装着すれば、掌や指を他の目的のために自由に動かすことができ、必要に応じて鏡部2を介して装着者の背後を素早く確認又は観察することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 潜水用手鏡
2 鏡部
3 バンド
4、4a、4b、4c、4d 通し孔
5 バンド保持部、5a 第一のバンド保持部、5b 第二のバンド保持部、5c 第三のバンド保持部、5d 第四のバンド保持部
6 透明板
7 金属層
8 保護層
UE 上端、DE 下端、RE 右端、LE 左端、K 開口面、R 曲面形状
x 長手方向、y 短手方向、H 背面方向
L 長手方向の幅、W 短手方向の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8