【解決手段】本発明に係る乳化組成物は、油相及び水相から構成されるW/O型乳化組成物であって、前記油相中にラノリンアルコール及びジステアリン酸の金属塩が含まれており、前記油相の配合量が22.5〜37.5質量%であり、前記水相の配合量が62.5〜77.5質量%である(ただし油相及び水相の配合量の合計を100質量%とする)ことを特徴とする。
水相に含まれる水の量が50.0〜65.0質量%である(ただし油相及び水相の配合量の合計を100質量%とする)ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の乳化組成物は、シリコーン界面活性剤や有機変性粘土鉱物をその安定性のために多量に使用しているという問題がある。また、シリコーン界面活性剤や有機変性粘土鉱物を使用せず、安定性、使用感、及び/又は、乳化粒子の構造の安定性・均一性等の向上した油中水型乳化物を得ることは、これまで試みられていない。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、その目的は、シリコーン界面活性剤や有機変性粘土鉱物を使用することなく、安定性、使用感、及び/又は、乳化粒子の構造の安定性・均一性等の向上した乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乳化組成物は、以下のものである。
[1] 油相及び水相から構成されるW/O型乳化組成物であって、前記油相中にラノリンアルコール及びジステアリン酸の金属塩が含まれており、前記油相の配合量が22.5〜37.5質量%であり、前記水相の配合量が62.5〜77.5質量%である(ただし油相及び水相の配合量の合計を100質量%とする)ことを特徴とする、乳化組成物。
[2] 前記油相中にステアリン酸の金属塩が含まれていることを特徴とする、[1]に記載の乳化組成物。
[3] 前記油相中に50〜60℃で液状である炭化水素油が含まれていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の乳化組成物。
[4] 前記水相中に硫酸マグネシウムが含まれていることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の乳化組成物。
[5] 水相に含まれる水の量が50.0〜65.0質量%である(ただし油相及び水相の配合量の合計を100質量%とする)ことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の乳化組成物。
[6] 前記ジステアリン酸の金属塩はジステアリン酸アルミニウムであることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の乳化組成物。
[7] 前記ステアリン酸の金属塩はステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、[2]〜[6]のいずれか1つに記載の乳化組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安定性、使用感、及び/又は、乳化粒子の構造の安定性・均一性等の向上した乳化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る乳化組成物は、油相及び水相から構成されるW/O型乳化組成物であって、前記油相中にラノリンアルコール及びジステアリン酸の金属塩が含まれており、前記油相の配合量が22.5〜37.5質量%であり、前記水相の配合量が62.5〜77.5質量%である(ただし油相及び水相の配合量の合計を100質量%とする)ことを特徴とする。
【0011】
本発明の乳化組成物は、例えば、高い乳化安定性、好ましい使用感、乳化粒子の構造の安定性・均一性等を有する。
【0012】
(油相の成分)
本発明に係る乳化組成物は、油相中にラノリンアルコール及びジステアリン酸の金属塩が含まれている。
【0013】
本発明に係る乳化組成物におけるラノリンアルコールの配合量は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましく、2.0〜2.5質量%であることがさらに好ましく、2.3質量%であることが特に好ましい。
【0014】
ジステアリン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム及びカリウム以外の金属であることが好ましく、2価又は3価の金属であることがより好ましく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、及びバリウム等が挙げられる。ジステアリン酸の金属塩は、1種類であっても、複数種類であってもよい。一実施形態において、ジステアリン酸の金属塩は、ジステアリン酸アルミニウムであることが好ましい。また、一実施形態において、ジステアリン酸アルミニウムと他のジステアリン酸の金属塩とが含まれていてもよい。本発明に係る乳化組成物におけるジステアリン酸の金属塩の配合量(複数種類の場合は合計量)は、特に限定されないが、例えば、0.001〜10.0質量%であることが好ましく、0.01〜5.0質量%であることがより好ましく、0.1〜2.0質量%であることがさらに好ましく、0.6〜1.2質量%であることがよりさらに好ましく、0.9質量%であることが特に好ましい。
【0015】
本発明に係る乳化組成物の油相には、ラノリンアルコール及びジステアリン酸の金属塩以外の成分がさらに含まれていてもよい。乳化組成物の油相中に含まれる成分としては、例えば、ラノリンアルコール以外の高級アルコール、ジステアリン酸の金属塩以外の金属石鹸、ミネラルオイル、50〜60℃で液状である炭化水素油、脂肪酸エステル、水添ポリイソブテン、パラフィン(高融点)、ワックス、ミツロウ等が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。
【0016】
本発明に係る乳化組成物の油相中に含まれる50〜60℃で液状である炭化水素油としては、一般に化粧料に用いられるものであれば、特に限定されないが、パラフィン(低融点)、スクワラン、スクワレン、グアイアズレン、ワセリン等が挙げられる。
【0017】
本発明に係る乳化組成物の油相中に含まれる高級アルコールは、一般に化粧料に用いられるものであれば、特に限定されないが、炭素数が6以上のアルコールであり、炭素数が8以上のアルコールであることが好ましく、炭素数が14〜24のアルコールであることがより好ましく、炭素数が16〜22のアルコールであることが特に好ましい。油相中に含まれる高級アルコールとして具体的には、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルアルコール、キミルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、デシルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、ヘキシルドデカノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、及び2−デシルテトラデシノール等が挙げられる。油相中に含まれる高級アルコールは、1種類であっても、複数種類であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、特に限定されないが、高級アルコールとして、ラノリンアルコールのみが含まれていてもよく、またラノリンアルコールの他に、オクチルドデカノールが含まれていてもよく、さらにその他の高級アルコールが含まれていてもよく、その他のアルコールとしてはセタノール又はオレインアルコール等が好ましい。本発明の一実施形態において、ラノリンアルコールやオクチルドデカノール以外のその他の高級アルコールが含まれていなくてもよい。本発明の一実施形態において、ラノリンアルコール以外の高級アルコールとして、オクチルドデカノールのみを含んでいてもよい。
【0019】
高級アルコールとしてオクチルドデカノールを含む特定の実施形態において、乳化組成物におけるオクチルドデカノールの配合量は特に限定されないが、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましく、0.8〜2.5質量%であることがさらに好ましく、1.0〜2.0質量%であることが特に好ましい。また、乳化組成物における高級アルコール(ラノリンアルコールも含む)の全配合量は特に限定されないが、一実施形態において、1.0〜10.0質量%であることが好ましく、2.5〜5.5質量%であることがより好ましく、3.0〜4.5質量%であることがさらに好ましく、3.3〜4.3質量%であることが特に好ましい。
【0020】
金属石鹸とは、長鎖脂肪酸とナトリウム・カリウム以外の金属の塩である。本発明に係る乳化組成物の油相中に含まれる金属石鹸の種類は特に限定されない。一実施形態において、金属石鹸を構成する長鎖脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ジミリチン酸、セチルリン酸、リシノール酸、及びオクチル酸等が挙げられる。また、一実施形態において、金属石鹸を構成する金属としては、2価又は3価の金属が好ましく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、バリウム等が挙げられる。油相中に含まれる金属石鹸は、1種類であっても、複数種類であってもよい。金属石鹸として具体的には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム等が挙げられる。油相中に含まれる金属石鹸は、1種類であっても、複数種類であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、金属石鹸として、ジステアリン酸の金属塩の他に、ステアリン酸の金属塩が含まれていることが好ましい。ステアリン酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。本発明の一実施形態において、ジステアリン酸の金属塩以外の金属石鹸として、ステアリン酸の金属塩のみを含んでいてもよい。また、本発明の一実施形態において、ジステアリン酸の金属塩以外の金属石鹸を含んでいなくてもよい。
【0022】
金属石鹸としてステアリン酸マグネシウムを含む特定の実施形態において、乳化組成物におけるステアリン酸の金属塩の配合量は特に限定されないが、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.01〜5.0質量%であることがより好ましく、0.6〜1.2質量%であることがさらに好ましく、0.9質量%であることが特に好ましい。乳化組成物における、金属石鹸の配合量は特に限定されないが、一実施形態において、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましく、0.8〜3.0質量%であることがさらに好ましく、0.8〜2.0質量%であることが特に好ましい。
【0023】
一実施形態において、油相中に50〜60℃で液状である炭化水素油が含まれていることが好ましい場合がある。50〜60℃で液状である炭化水素油が含まれている場合、乳化粒子の粒径をより小さくすることができ、ジャー容器から乳化組成物を掬う際に適した硬さを得ことができる。乳化組成物における50〜60℃で液状である炭化水素油の配合量は特に限定されないが、一実施形態において、0.1〜15.0質量%であることが好ましく、1.0〜12.0質量%であることがより好ましく、5.0〜10.0質量%であることがさらに好ましく、7.0質量%であることが特に好ましい。
【0024】
油剤を含む特定の実施形態において、乳化組成物における油剤の全配合量は、本発明の乳化組成物の所望の形態に応じて適宜選択すればよいが、一実施形態において、例えば10.0〜35.0質量%であり、15.0〜35.0質量%であることが好ましく、18.5〜33.5質量%であることがより好ましい。
【0025】
(水相の成分)
本発明に係る乳化組成物の水相は、主成分として水を含有する。乳化組成物を皮膚外用剤や化粧料等として皮膚に適用する場合には、乳化組成物に含まれる水は不純物を含まないことが好ましいため、イオン交換水や純水を用いることが好ましい場合がある。あるいは、含有する成分による効果が期待される温泉水又は深層水であってもよい。水の配合量は、本発明の乳化組成物の所望の形態に応じて適宜選択すればよいが、一実施形態において、例えば50.0〜70.0質量%であり、50.0〜65.0質量%であることが好ましく、53.3〜63.3質量%であることがより好ましい。
【0026】
水相に含まれる水以外の成分としては、水と相溶性を有するもの、水に溶解あるいは均一に分散し得るものであれば特に限定されず、水性の有機溶媒、各種水溶性、及び水分散性の成分等を併用してもよい。
【0027】
具体的には、例えば、保湿剤、充填剤、乳化安定剤、防腐剤、及び粘度調整剤等が挙げられる。保湿剤として、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールや、ソルビトール、キシリトール、マルチトール等の糖類や、アミノ酸、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。充填剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウケイ酸(Ca/Al)、ホウケイ酸(Ca/Na)、ポリデキストロース、ポリプロピレン等が挙げられる。乳化安定剤として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等が挙げられる。防腐剤として、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、パラベン類等が挙げられる。粘度調整剤としては、キサンタンガム、カルボマー、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、シクロデキストリン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
一実施形態において、水相中に硫酸マグネシウムが含まれていることが好ましい場合がある。硫酸マグネシウムが含まれている場合、ベタつきを抑えることができる。乳化組成物における硫酸マグネシウムの配合量は特に限定されないが、一実施形態において、0.05〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%であることがさらに好ましい。
【0029】
(その他の成分)
本発明に係る乳化組成物には、上記成分の他、例えば通常の皮膚外用剤又は化粧料等に配合される成分、例えば、油剤(天然動植物油脂、半合成油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油、フッ素系油剤等)、ゲル化剤、金属石鹸、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性)、上記以外の粉体(無機粉体、有機粉体、顔料等)、アルコール類(高級アルコール、多価アルコール、ステロール等)、水溶性高分子(動植物系、微生物系、合成系)、皮膜形成剤、樹脂、抗菌剤、香料、精油、塩類、pH調整剤、清涼剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、抗糖化剤、細胞賦活剤、肌あれ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、アミノ酸類、核酸関連物質、酵素、ホルモン類、包接化合物、植物抽出物、動物及び微生物由来の抽出物等を油相及び/又は水相に適宜添加することができる。
【0030】
(油相及び水相の配合量)
本発明に係る乳化組成物における油相及び水相の配合量は、目的の硬さや硬度等に応じて適宜選択すればよい。一実施形態において、油相及び水相の配合量の合計を100質量%とすると、油相の配合量は22.5〜37.5質量%であり、25.3〜35.3質量%であることが好ましく、28〜35質量%であることがより好ましく、30〜31質量%であることが特に好ましい。一実施形態において、油相及び水相の配合量の合計を100質量%とすると、水相の配合量は62.5〜77.5質量%であることが好ましく、64.7〜74.7質量%であることがより好ましく、65〜72質量%であることがさらに好ましく、69〜70質量%であることが特に好ましい。
【0031】
(乳化組成物の形態)
本発明に係る乳化組成物の形態は、油相及び水相を明瞭に区分されている乳化組成物であれば特に限定されず、例えば、水分散液状、乳液状、多層状、ペースト状、ゲル状、クリーム状等であり得るが、本発明の効果を顕著にもたらす点から、クリーム状や乳液状のものが好ましい。本発明の乳化組成物は、その形態に応じて、通常用いられる方法に従って、上記各成分を、乳化組成物の形態に応じて通常適用される基剤に通常用いられる配合条件で配合して調製することができる。
【0032】
本発明に係る乳化組成物における乳化粒子の体積平均粒径は特に制限はないが、例えば、1μm〜100μmであることが好ましく、5μm〜20μmであることがより好ましい。例えば、体積平均粒径が5μm〜20μmであるときは、乳化状態が安定し、使用しやすい硬度となり、また使用感が好ましい。体積平均粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。乳化粒子の粒径測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。乳化組成物の粒径は、乳化組成物の成分以外に、製造方法における攪拌条件(せん断力・温度・圧力)や、油相と水相比率、などの要因によって調整することができる。
【0033】
(乳化組成物の製造方法)
乳化組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(A)油相成分を均一に溶解させて油性組成物を得る工程、(B)水相成分を均一に溶解させて水性組成物を得る工程、(C)油性組成物に水性組成物を添加する工程、並びに(D)油相及び水相を攪拌して乳化させ、乳化組成物を得る工程、を含む方法が挙げられる。
【0034】
一実施形態において、工程(A)では、油相成分を高温(例えば80℃)にすることが好ましい。一実施形態において、工程(B)では、水相成分を高温(例えば80℃)にすることが好ましい。一実施形態において、工程(C)は、高温(例えば80℃)のまま行うことが好ましい。一実施形態において、工程(D)では、高温(例えば80℃)で撹拌することが好ましく、また、撹拌にはパドルミキサーやホモミキサー等の通常の撹拌装置を用いればよい。乳化組成物は、その後冷却してもよい。
【0035】
(乳化組成物の使用例)
本発明の乳化組成物は、例えば、皮膚外用剤や化粧料等として好適に用いられる。より具体的には、保湿クリーム、エモリエントクリーム、マッサージクリーム、保湿美容液、保湿ローション、エモリエント乳液、ハンドクリーム等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
<乳化組成物の調製>
表1〜6に示す組成に従い、実施例1〜13の乳化組成物、及び比較例1〜10の乳化組成物を調製した。具体的には、まず、油相成分を80℃に加熱し、均一に溶解させて、油性組成物を作製した。次いで、水相成分を80℃で均一溶解させたものを、温度を保ちながら、作製した油性組成物に徐々に添加した。さらに、油相及び水相を約10分間80℃でパドル攪拌し、乳化を完了させた。その後、この乳化物を35℃まで冷却した。なお、実施例1〜12及び比較例1〜10については、ジステアリン酸Alを油相に予め溶解し、その後、油相に配合するその他の成分を溶解し、80℃に加熱し、均一に溶解させて、油性組成物を作製した。実施例13については、ジステアリン酸Alを含む全ての成分を油相に溶解し、80℃に加熱し、均一に溶解させて、油性組成物を作製した。その後の工程は何れも同じである。
【0038】
各試薬は、以下の業者から入手した。
ミネラルオイル:カネダ株式会社
エチルヘキサン酸セチル:日本精化株式会社
オクチルドデカノール:花王ケミカル
オレイン酸デシル:Ashland社
水添ポリイソブテン:日油株式会社
50〜60℃で液状である炭化水素油:カネダ株式会社
マイクロクリスタリンワックス:日興リカ
ジステアリン酸Al:日油株式会社
ステアリン酸Mg:日油株式会社
パラフィン:日本精▲蝋▼株式会社
ラノリンアルコール:日本精化株式会社
セタノール:日光ケミカルズ株式会社
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル):日本精化株式会社
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル:日清オイリオグループ株式会社
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル):味の素株式会社
オレイルアルコール:高級アルコール工業株式会社
水
グリセリン:阪本薬品工業株式会社
硫酸Mg:富田薬品株式会社
安息香酸Na:DSP五協フード&ケミカル株式会社
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
製造した各乳化組成物について、乳化状態、乳化安定性、硬度、各種使用感、及び偏光顕微鏡写真撮影について、以下の要領で評価を実施した。
【0046】
<乳化状態>
調整方法を統一した乳化組成物の外観を目視により確認し、また、顕微鏡で乳化状態の確認を行った。乳化状態が良好なものは◎、乳化状態がやや不安定であるが、商品価値に影響を与えないものは○、乳化するが、その状態が不安定なものは△、分離し、乳化状態とならないものは×と評価した。
【0047】
<乳化安定性>
乳化組成物を5℃又は40℃に調整された恒温槽に72時間保管し、加速試験を行うことによって、乳化状態や使用感等の変化について確認を行った。加速試験においてもその安定性が良好に保たれるものは◎、加速試験において、乳化状態がやや変化するが、商品価値に影響を与えないものは○、加速試験において乳化状態が変化するものは△、加速試験において、乳化組成物が分離し、乳化状態が維持できないものは×と評価した。
【0048】
<硬度>
レオメーター(レオテック社製)を用いて硬度を測定した。
【0049】
<使用感>
乳化組成物のうち、乳化したものについて一定量肌にのせて、乳化組成物を掬う際の硬さ、塗布時の伸び、肌なじみ等の使用性及び、塗布後のベタつき、テカリ及び肌のツッパリ感について評価を行った。
【0050】
乳化組成物を掬う際の硬さについては、乳化組成物をジャー容器からスパチュラや手で取る際の硬さについて評価を行った。硬さが程よく、商品価値の高いものを◎、硬さがやや軟らかいか、又はやや硬いが、商品価値に影響を与えないものは○、軟らかいか、又は硬く、商品価値に影響を与えるものを×と評価した。
【0051】
塗布時の伸びについては、乳化組成物がよく伸びるものを◎、やや伸びが悪いものを○、伸びが悪いが使用できるものを△、伸びが悪く使用できないものを×と評価した。
【0052】
肌なじみについては、よくなじむものを◎、ややなじみが悪いものを○、なじみが悪いが使用できるものを△、なじみが悪く使用できないものを×と評価した。
【0053】
塗布後のベタつきについては、乳化組成物を塗布し、塗り広げた際の皮膚の感触を基に、ベタつきのないものを◎、ややベタつきのあるものを○、ベタつくが使用できるものを△、ベタつき、使用できないものを×と評価した。
【0054】
塗布後のテカリについては、テカリがないものを◎、テカリがややあるものを○、テカリがあるものを×と評価した。
【0055】
塗布後の肌のツッパリ感については、ツッパリ感のないものは○、あるものは×と評価した。
【0056】
<偏光顕微鏡写真撮影>
偏光顕微鏡で液晶構造の有無、粒径の大きさなどについて評価を行った。倍率は200倍で観察し、デジタルカメラで10μmスケールバーを付けて乳化粒子を撮影及び測定した。
【0057】
結果を表7〜12にまとめた。
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
表7〜12の結果から、本発明の乳化組成物は乳化状態、乳化安定性、硬度、各種使用感が優れることが確認された。使用感の評価のうち、乳化組成物を掬う際の硬さに関して、◎評価となった実施例については、ジャー容器やチューブ容器の何れに充填して用いても、好ましい硬さであった。またやや軟らかく、○評価となった実施例1、4及び8〜10については、ジャー容器から掬う際に、必要量を一度で掬うことに若干の支障があるが、チューブ容器に充填して用いる際には好ましい硬さであった。さらにやや硬く、○評価となった実施例6、7及び11については、ジャー容器から掬う際に、好ましい硬さであった。
【0065】
特に、実施例2、実施例3については他の実施例よりも、乳化状態、乳化安定性が優れ、使用感もよく、さらに乳化組成物を一定量肌にのせて、バニシングを評価したところ、塗り広げた際に白さが残らず透明になり、他サンプルと較べてバニシングにも優れることが確認された。