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特開2017-52845黒色ポリマー組成物に使用される黒色光沢化剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-52845(P2017-52845A)
(43)【公開日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】黒色ポリマー組成物に使用される黒色光沢化剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 91/06 20060101AFI20170224BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
   C08L91/06
   C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-176519(P2015-176519)
(22)【出願日】2015年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000155506
【氏名又は名称】株式会社セラリカ野田
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰三
(72)【発明者】
【氏名】木牟禮 はる香
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002AC091
4J002AE032
4J002BB031
4J002BB121
4J002BB181
4J002BC031
4J002BD041
4J002BF021
4J002BG001
4J002CC041
4J002CC161
4J002CC181
4J002CD001
4J002CK021
4J002DA036
4J002FD096
4J002FD202
4J002GC00
(57)【要約】
【課題】経時で黒色光沢性に優れる黒色ポリマー組成物を与える黒色光沢化剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る黒色光沢化剤は、カルナウバロウとイネ科植物ロウとを含有し、黒色ポリマー組成物に配合して使用される。上記カルナウバロウと上記イネ科植物ロウとの重量比は80:20〜40:60であることが好ましい。上記カルナウバロウは、脱酸カルナウバロウ又は未処理カルナウバロウであり、脱酸カルナウバロウであることが好ましい。上記脱酸カルナウバロウは、粗原料のカルナウバロウを窒素ガス雰囲気中で加熱溶融させ、触媒としてp−トルエンスルホン酸を添加し反応させて脱酸したものであることが好ましい。上記イネ科植物ロウは、水素添加していないイネ科植物ロウ又は水素添加したイネ科植物ロウであり、水素添加していないイネ科植物ロウであることが好ましい。上記イネ科植物ロウは、コメヌカロウであることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルナウバロウとイネ科植物ロウとを含有し、黒色ポリマー組成物に配合して使用される黒色光沢化剤。
【請求項2】
前記カルナウバロウと前記イネ科植物ロウとの重量比は、80:20〜40:60である請求項1に記載の黒色光沢化剤。
【請求項3】
前記カルナウバロウは、脱酸カルナウバロウである請求項1又は2に記載の黒色光沢化剤。
【請求項4】
前記脱酸カルナウバロウは、粗原料のカルナウバロウを窒素ガス雰囲気中で加熱溶融させ、触媒としてp−トルエンスルホン酸を添加し反応させて脱酸したものである請求項3に記載の黒色光沢化剤。
【請求項5】
前記カルナウバロウは、未処理カルナウバロウである請求項1又は2に記載の黒色光沢化剤。
【請求項6】
前記イネ科植物ロウは、水素添加していないイネ科植物ロウである請求項1〜5のいずれか1項に記載の黒色光沢化剤。
【請求項7】
前記イネ科植物ロウは、水素添加したイネ科植物ロウである請求項1〜5のいずれか1項に記載の黒色光沢化剤。
【請求項8】
前記イネ科植物ロウは、コメヌカロウである請求項1〜7のいずれか1項に記載の黒色光沢化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時で黒色光沢性に優れる黒色ポリマー組成物を与える黒色光沢化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム組成物等の黒色ポリマー組成物は、日光中の紫外線等の影響により、経時で劣化することが知られている。そこで、従来、黒色ポリマー組成物の経時劣化を防止するための対策が提案されている。例えば、ゴム組成物には、劣化防止のために、石油ワックスを配合することが公知である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−328144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、石油ワックスを用いた従来の黒色ポリマー組成物においては、石油ワックスによるブルーミングの結果、経時で表面が白色化し、黒色光沢性が低下しやすい。本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、経時で黒色光沢性に優れる黒色ポリマー組成物を与える黒色光沢化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る黒色光沢化剤は、カルナウバロウとイネ科植物ロウとを含有し、黒色ポリマー組成物に配合して使用されるものである。
【0006】
上記黒色光沢化剤の発明は、前記カルナウバロウと前記イネ科植物ロウとの重量比が、80:20〜40:60であること;前記カルナウバロウが、脱酸カルナウバロウであること;前記脱酸カルナウバロウが、粗原料のカルナウバロウを窒素ガス雰囲気中で加熱溶融させ、触媒としてp−トルエンスルホン酸を添加し反応させて脱酸したものであること;前記カルナウバロウが、未処理カルナウバロウであること;前記イネ科植物ロウが、イネ科植物ロウであること;前記イネ科植物ロウが、水素添加したイネ科植物ロウであること;及び前記イネ科植物ロウが、コメヌカロウであること、を付加的な要件として含むものである。
【0007】
本発明に係る黒色ポリマー組成物は、ポリマー成分と上記黒色光沢化剤とを含有するものである。
本発明に係る黒色成形体は、上記黒色ポリマー組成物を成形して得られるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時で黒色光沢性に優れる黒色ポリマー組成物を与える黒色光沢化剤を提供することができる。
【0009】
また、本発明に係る黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物から得られる黒色成形体は、長期にわたって使用しても、表面が黒く光沢を持ち続けて体裁の良さを維持できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明に係る黒色光沢化剤は、カルナウバロウとイネ科植物ロウとを含有し、黒色ポリマー組成物に配合して使用される。カルナウバロウ及びイネ科植物ロウの各々は、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0011】
前記カルナウバロウと前記イネ科植物ロウとの重量比は、特に限定されず、好ましくは80:20〜40:60であり、より好ましくは70:30〜50:50であり、更により好ましくは60:40である。上記重量比が80:20〜40:60であると、得られる黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物が経時で黒色光沢性に特に優れるものとなりやすい。また、上記重量比が80:20〜40:60であると、得られる黒色光沢化剤は、融点、粘度、比重等の物性が特に良好となりやすく、取り扱い性等の点で特に優れるものとなりやすい。
【0012】
前記カルナウバロウは、特に限定されず、例えば、以下のような一般的特性を有するロウが挙げられる:酸価10以下、ケン化価78〜95、ヨウ素価5〜14、融点80〜88℃、25℃における針入度1以下、100℃における粘度20〜23cP、25℃における比重0.995〜0.999、引火点316〜320℃。前記カルナウバロウとしては、特に限定されず、未処理カルナウバロウであっても、脱酸カルナウバロウであっても、これらの組み合わせであってもよく、得られる黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物が経時で黒色光沢性に優れるものとなりやすいことから、脱酸カルナウバロウであることが好ましい。前記脱酸カルナウバロウとしては、特に限定されず、例えば、粗原料のカルナウバロウを窒素ガス雰囲気中で加熱溶融させ、触媒としてp−トルエンスルホン酸を添加し反応させて脱酸したものが挙げられ、より具体的には、本出願人が特許権者である特許に係る特許第2681097号公報に記載の方法によって得られるものが挙げられる。
【0013】
また、前記イネ科植物ロウとしては、特に限定されず、水素添加していないイネ科植物ロウ(即ち、水素添加しないで、そのまま使用するもの)であっても、水素添加したイネ科植物ロウであっても、これらの組み合わせであってもよく、得られる黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物が経時で黒色光沢性に優れるものとなりやすいことから、水素添加していないイネ科植物ロウが好ましい。特に、脱酸カルナウバロウと水素添加していないイネ科植物ロウとを組み合わせて用いた場合、得られる黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物は、従来、使用されている石油ワックスを配合した黒色ポリマー組成物と比較して、耐候性及び耐オゾン性がほぼ同等となりやすいか、若干向上しやすく、外気に晒された状態と同等の条件が続いても変色やひび割れ等の程度が大きくなりにくい。
【0014】
前記イネ科植物ロウの具体例としては、コメヌカロウ、サトウキビロウ等が挙げられる。コメヌカロウは、特に限定されず、例えば、以下のような一般的特性を有するロウが挙げられる:酸価13以下、ケン化価75〜90、ヨウ素価10以下、融点65〜82℃、25℃における針入度4〜6、100℃における粘度13〜16cP、25℃における比重0.970〜0.980、引火点298〜302℃。コメヌカロウの市販品としては、例えば、三和油脂(株)製又はボーソー油脂(株)製のものが挙げられる。サトウキビロウは、サトウキビ由来のロウであり、コメヌカロウと性質が近似している。
【0015】
カルナウバロウ、イネ科植物ロウ(例えば、コメヌカロウ、サトウキビロウ)等の天然系ロウは、融点が60℃〜90℃の範囲であって、DSCで比較的シャープなピークが見られるので、溶け易く且つ固まり易いものである。
【0016】
本発明に係る黒色光沢化剤は、本発明の効果を損ねない限り、その他の成分、例えば、キャンデリラロウ、モクロウ、ウルシロウ、パームロウ等の他の植物性ワックスを含有してもよい。
【0017】
本発明に係る黒色光沢化剤が配合される黒色ポリマー組成物は、ポリマーを含有する黒色組成物であり、経時で黒色光沢性に優れるものである。具体的には、上記黒色ポリマー組成物は、ポリマー成分と本発明に係る黒色光沢化剤とを含有するものである。上記黒色ポリマー組成物に黒色を付与する方法としては、特に限定されず、例えば、当該組成物の成分として、黒色着色剤、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を配合する方法が挙げられる。即ち、上記黒色ポリマー組成物は、更に、黒色着色剤を含有するものであってもよい。ポリマー成分としては、高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、樹脂、ゴム成分等が挙げられる。樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。ゴム成分としては、天然系ゴム、石油系ゴム、又は種々のプラスチックス等を配合した合成ゴム等が挙げられ、従来、ゴム組成物に使用された全てのゴム成分を対象とするものである。上記黒色ポリマー組成物は、更に、種々の成分、例えば、シリカ、硫黄、加硫促進剤等を含んでいてもよい。黒色ポリマー組成物としては、例えば、樹脂と本発明に係る黒色光沢化剤とを含有する黒色ポリマー組成物、ゴム成分と本発明に係る黒色光沢化剤とを含有する黒色ポリマー組成物が挙げられる。
【0018】
本発明に係る黒色光沢化剤が配合される黒色ポリマー組成物において、黒色光沢化剤の含有量は、ポリマー成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5.0重量部であり、更により好ましくは1.0〜3.0重量部である。黒色光沢化剤の含有量が上記範囲内であると、得られる黒色ポリマー組成物は、経時で黒色光沢性により優れるものとなりやすく、その他の物性の経時劣化も生じにくい。上記黒色ポリマー組成物は、例えば、本発明に係る黒色光沢化剤とポリマー成分とを、ミキサー等の撹拌機を用いて均等に混合することにより調製することができる。
【0019】
上記黒色ポリマー組成物を成形することにより、経時で黒色光沢性に優れる黒色成形体を得ることができる。本発明に係る黒色成形体としては、例えば、上記黒色ポリマー組成物を含む黒色成形体、特に、上記黒色ポリマー組成物からなる黒色成形体が挙げられる。
【0020】
上記黒色ポリマー組成物の具体例としては、ジエン系ゴム成分と本発明に係る黒色光沢化剤とを含有するゴム組成物が挙げられ、より具体的には、ジエン系ゴム成分100重量部と本発明に係る黒色光沢化剤0.1〜10重量部とを含有するゴム組成物が挙げられる。これらのゴム組成物中のジエン系ゴム成分は、上記黒色ポリマー組成物中のポリマー成分に該当する。
【0021】
上記ゴム組成物のジエン系ゴム成分は、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなり、合成ジエン系ゴムとしては、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体、共役ジエン化合物重合体等が挙げられる。芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体又は共役ジエン化合物重合体は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを共重合、又は共役ジエン化合物を重合して製造される。ここで、単量体としての共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。一方、単量体としての芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
合成ジエン系ゴムの具体例としては、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。上記ゴム組成物は、タイヤ用として、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、又はスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を用いることが好ましい。
【0023】
上記ゴム組成物は、充填剤を配合することが好ましく、カーボンブラック及び/又はシリカを配合することが好ましい。カーボンブラック及び/又はシリカの配合量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、好ましくは4〜150重量部である。この配合量が4重量部以上だと、加硫ゴムの破壊特性及び耐摩耗性が良好に得られ、また、150重量部以下だと作業性の悪化を招くこともない。
【0024】
使用し得るカーボンブラックとしては、特に限定されるものではないが、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられる。また、かかるカーボンブラックとしては、ヨウ素吸着量(IA)が30mg/g以上で、且つジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを配合することで、ゴム組成物の諸物性を改善することができるが、低燃費性及び耐摩耗性を向上させる観点からは、GPF,FEF,HAF,ISAF,SAFグレードのものが更に好ましい。
【0025】
使用し得るシリカも、特に限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
【0026】
上記ゴム組成物には、その他任意成分として、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、シランカップリング剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記ゴム組成物は、各種配合剤を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、二軸押出機等による混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を示し、本発明について更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
[未加硫ゴム組成物の調製]
下記のゴム混合物168重量部を所要のミキサーに投入すると共に、下記の天然系ロウ又は石油ワックス2重量部を投入し、排出温度が150℃となるように5分程度混練し、続いて、加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーNS)0.8重量部及び硫黄1.5重量部を加えて、排出温度が100℃となるように3分間程度混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0029】
・ゴム混合物
天然ゴム(RSS−3)30重量部、ポリブタジエンゴム(JSR(株)製、BR01)70重量部、カーボンブラック(N550カーボン、旭カーボン(株)製、旭#65)50重量部、アロマティックオイル(プロセスオイル、富士興産(株)製、フッコール アロマックス 3B)10重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華3重量部、及び老化防止剤(大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C)3重量部を含む混合物
【0030】
・天然系ロウ又は石油ワックス
比較例1:石油ワックス(従来品、日本精蝋(株)製、オゾエース0280)
実施例1:脱酸カルナウバロウ−CN(製品名、(株)セラリカ野田製、脱酸カルナウバロウ)と水素添加していないコメヌカロウ(ボーソー油脂(株)製、ライスワックスSS−II)との組み合わせ(重量比60:40)
実施例2:脱酸カルナウバロウ−CNと水素添加コメヌカロウ(ボーソー油脂(株)製、ライスワックスSS−I)との組み合わせ(重量比60:40)
実施例3:未処理カルナウバロウ−CN(製品名、(株)セラリカ野田製、上記脱酸カルナウバロウ−CNを脱酸処理する前のカルナウバロウ)と水素添加していないコメヌカロウ(三和油脂(株)製、ライトール)との組み合わせ(重量比60:40)
比較例2:脱酸カルナウバロウ−CNのみ
【0031】
[耐オゾン性の評価]
JIS K 6259:2004の規定に従い、加硫ゴム試験片の作製(加硫温度160℃、加硫時間20分)と耐オゾン性の評価とを行った。具体的には、温度40℃、オゾン濃度50pphm、及び伸び2%の条件で50時間放置後の上記試験片の劣化状態、即ち、当該試験片に生じた亀裂の状態を観察することで、耐オゾン性を評価した。石油ワックスを用いた比較例1をコントロールとして、上記亀裂の状態が比較例1と同等か、比較例1よりも悪いかを観察した。結果を表1に示す。
【0032】
[耐変色性の評価]
色度計(日本電色工業(株)製、機種名NF333)を用いて、上記と同様に作成した加硫ゴム試験片のL*値を測定し、以下の通りにして変色度を評価した。なお、L*値は明度を示す。まず、加硫直後の上記試験片のL*値を測定した。次に、夏季の屋外環境(具体的には、雨は当たらない屋根の下で、1日のうち特定の時間のみ直射日光が当たる環境)の下に1ヶ月放置した当該試験片のL*値を測定した。最後に、放置後に測定したL*値と加硫直後に測定したL*値との差ΔL*を計算し、比較例1のΔL*を100としたときの相対的なΔL*値に変換し、変色度とした。結果を表1に示す。変色度の数値が小さいほど、耐変色性が良好であり、経時で黒色光沢性に優れることを示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、カルナウバロウとイネ科植物ロウとを含有するゴム組成物は、従来の石油ワックスを含有するゴム組成物と比較して、耐オゾン性は同程度であり、耐変色性は優れていることが判明した。
更に、コメヌカロウを使用せず脱酸カルナウバロウのみを使用してゴム組成物を生成し、同様に試験した場合には、表1に示すように、石油ワックスを用いた場合より悪化する結果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る黒色光沢化剤を配合した黒色ポリマー組成物は、従来から使用されている石油ワックスを配合した黒色ポリマー組成物と比較して、経時で黒色光沢性に優れ、耐オゾン性は同程度である。この黒色光沢化剤は、建築用、家電製品用、タイヤ用、及びその他の用途の黒色ポリマー組成物等に広く利用することができるものである。