特開2017-53201(P2017-53201A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岩崎 義一の特許一覧

特開2017-53201集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材
<>
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000003
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000004
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000005
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000006
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000007
  • 特開2017053201-集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-53201(P2017-53201A)
(43)【公開日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/12 20060101AFI20170224BHJP
   E04C 3/36 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
   E04C3/12
   E04C3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-196239(P2015-196239)
(22)【出願日】2015年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】315019908
【氏名又は名称】岩崎 義一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 義一
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FA12
2E163FC04
2E163FF06
2E163FF41
(57)【要約】
【課題】 住宅の柱、梁、土台及び外構用の角材は自然乾燥させたものが広く用いられてきたが、自然乾燥だけでは限度があり、この対策として背割りを入れているが背割りは年月とともに大きく開き問題となっている
【解決手段】 芯持ち丸太から得た正方形の芯持ち角材の1隅を鼓状空間用に切り取り、芯持ち角材の中心に向けて背割りを入れ、乾燥含水率を調整しながら乾燥させ、表面加工等で仕上げ等も行い、これらの4本を左右上下に外から背割りが見えないように積層集合させて、デザイン性が優れた、強度も増した、背割りの経時変化によるひび割れや変形がない住宅の柱、梁、土台及び外構用の角材の製造を可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯持ち丸太から、同じ辺長の正方形に製材して得られた芯持ち角材を、4本積層してなる集合角材による柱、梁、土台及び外構用角材において、該4本の芯持ち角材は各々1隅を同形状に切り取られ、該切り取り面中央部から該芯持ち角材の芯即ち中心に向かって背割りが入れられ、乾燥後、該背割りを入れて乾燥させた4本の該芯持ち角材を各々背割りが外から見えないように、該切り取った4つの同形状を左右上下に合した面からなる鼓状空間を形成するように積層し、接着剤を用いたプレス圧力や、ボルト・ナットで固定し、該鼓状空間には鉄棒やピアノ線の補強材が通され強度が増加し、該集合角材の表面に四角形や三角形や円形や半円形や楕円形や半楕円形の突起物で凹凸構造にして滑りを防止する構造にしたことを特徴とする集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材。
【請求項2】
前記集合角材において、前記4本の芯持ち角材の切り取り面が二等辺直角三角形であり、該集合角材の内部空間が該二等辺直角三角形の各々の斜辺を一辺とする正方形の鼓状空間であることを特徴とする請求項1記載の集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材。
【請求項3】
前記集合角材において、前記4本の芯持ち角材の切り取り面が1/4円形であり、該集合角材の内部空間が各々の該1/4円形を合わせた円形の鼓状空間であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材。
【請求項4】
前記芯持ち角材の切り取り面の二等辺直角三角形の斜辺長さが5〜25mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材。
【請求項5】
前記芯持ち角材の切り取り面の1/4円形の元円の半径長さが3〜15mmであることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の集合角材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背割りが形成された芯持ち角材の集合角材による、建築用の柱、梁、土台及び外構用の集合角材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用木材として使用される芯持ち材は、樹芯を含むものであり強度があり、過重のかかる場所、例えば柱、梁などに使用されるが、この芯持ち材は、湿度変化により、伸縮する特性を有し、樹皮の方に近いほど伸縮が大きく起こり、乾燥が進むと表面からひび割れが発生する。
【0003】
そこで、芯持ち材は、建築用木材として使用するとき、四方面にひび割れが出ないように、木材の樹芯まで切れ目を入れ、1か所で木材の伸縮を調節する背割りを設けるようにしている。
【0004】
しかしながら、建築用木材として使用する場合は、背割りが見えるところに現れると、見栄えが悪くなり、芯持ち材は、背割りを設けたとしても、背割り下部分は、木材の吸湿や放湿によって開閉してしまい、建築用木材が変形すると、柱同士又は柱と梁の継ぎ手接続を行いにくくなり、更に、継ぎ手の強度も弱くなってしまう。
【0005】
この問題を解決するために、略V字形状の背割りに沿って切欠溝を一連に形成し、この切欠溝に杉や唐松などからなる板状の接合部材を嵌合させる提案(例えば、特許文献1参照)や、背割りに埋木をして、背割りを目立たなくし見栄えをよくする提案(例えば、特許文献2参照)もされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の建築用木材は、内部に背割りを設けた空間が残ったままであり、強度は不十分であり、特許文献2の建築用木材は、背割りに埋木がされていないものと比べると強度は高いが、まだまだ十分な強度とはいえないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2000−12345号公報
【特許文献2】 特開2010−12345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、住宅の柱、梁、土台及び外構用に用いられる角材としては、自然乾燥させたものが広く用いられてきたが、自然乾燥だけでは限度があり、この対策として背割りを入れているが、背割りは年月とともに大きく開き、問題となっている。
【0009】
このように芯持ち角材に入れた背割りにより、芯持ち角材の表面、内部に多数の割れが生じると、見栄えが悪くなるとともに、強度も低下させるといった問題もある。
【0010】
また、現在多用されている小径の短尺材を接着した集成材による柱、梁、土台及び外構用の集合角材は、コスト高になっているという問題もある。
【0011】
従って、本発明の目的は、小径の芯持ち角材による、芯持ち特有の強度を活かし、合わせて背割りの難点を解消する形で小径木角材を変容させ、組み合わせ方等によって正方形、長方形、直角形、T字型、L字型、十字形等に形を自在に変化させることが可能で、より強度を増し、さらに滑り止め加工等により作業が安全で、容易にできることを可能とした住宅用の柱、梁、土台及び外構用の集合角材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
芯持ち丸太から、同じ辺長の正方形に製材して得られた芯持ち角材の1隅を切り取り、切り取り面の中央部から該芯持ち角材の中心に向かって背割りを入れ、これを乾燥させ、四側面全体に整形を施し集合角材の構成部材木とする。
【0013】
ついで、同じ辺長の集合角材の構成部材木を3本造り、これら4本の集合角材の構成部材木を各々背割りが外から見えないように、左右上下に集合させ、集合材内部に、4つの切り取り面からなる鼓状空間を形成するように左右上下に積層集合させ、集合角材の中心の鼓状空間と背割りにより応力を逃がすことにより、曲りや歪等の変形を減じることを可能とした。
【0014】
この4本の集合角材の構成部材木の積層集合は、接着剤を用いたプレス圧力や、ボルト・ナット等で固定し、形成された鼓状空間には鉄棒やピアノ線等の補強材を通し強度を高め、積層集合された集合角材の表面には四角形や三角形や半円形や楕円形等の突起物で凹凸構造にして滑りを防止し、作業がより安全に、容易にできることを可能とした。
【発明の効果】
【0015】
住宅用の柱、梁、土台及び外構用の角材は天然の大径木が主として使用されているが、現状は天然の大径木等の資源が枯渇しつつあるが、本発明による、小径木或いは中径木を活用した積層集合材による柱、梁、土台及び外構用の角材が可能となり、木造の大規模住宅や神社、仏閣、学校、体育館、役所庁舎等への大規模木造建築の促進を可能とした。
【0016】
本発明は、間伐材の使用も可能であることから、現状やむなく未利用で放置されている間伐材の使用促進を図り、さらに炭酸ガス効果等で地球環境の改善にも寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の積層集合内部に正方形の鼓状空間を形成する一例を示す斜視図。
図2図2は本発明の積層集合内部に円形の鼓状空間を形成する一例を示す斜視図。
図3図3は本発明の芯持ち丸太からの芯持ち角材の取り方の一例を示す斜視図。
図4図4は本発明の芯持ち角材の一例を示す斜視図。
図5図5は本発明の芯持ち角材の切り取りの一例を示す斜視図。
図6図6は本発明の芯持ち角材の切り取り後の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の積層集合内部に正方形の鼓状空間を形成する一例を示す斜視図であり、図2は本発明の積層集合内部に円形の鼓状空間を形成する一例を示す斜視図であり、図3は本発明の芯持ち丸太からの芯持ち角材の取り方の一例を示す斜視図であり、図4は本発明の芯持ち角材の一例を示す斜視図であり、図5は本発明の芯持ち角材の切り取りの一例を示す斜視図であり、図6は本発明の芯持ち角材の切り取り後の一例を示す斜視図であり、以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0019】
本発明の実施形態においては、図3及び図4に示すような芯持ち丸太1から製材された芯持ち角材2を集合角材の構成部材木として用い、芯持ち角材2を芯持ち丸太1から製材する方法としては各種公知の方法により可能であり、芯持ち丸太1をその中心線に平行な四つの切断線3において切断し、得られた横断面方形の芯持ち角材2を集合角材の構成部材木として用いる。
【0020】
また、本発明で使用する芯持ち角材2は横断面形状が正方形に限定されることはなく、長方形のものでも可能で、さらに、図2に示すように円形でも可能であり、また、その断面寸法は目的とする柱、梁、土台及び外構用の集合角材の寸法等に応じて適宜に設定することができる。
【0021】
次いで、芯持ち丸太1から製材された芯持ち角材2を、図4及び図5に示すように芯4を含む切り取り面5を長手方向に沿って切断し、芯持ち角材2を図6に示すような切り取り面5の切り取り線中央6から芯持ち角材2の芯4即ち中心に向かって背割り7を入れる。
【0022】
次いで、図6に示す芯持ち角材2については、従来知られている、自然乾燥と人工乾燥とを組み合わせ、芯持ち角材2の乾燥含水率の調整をすることで、4本の集合木材の構成部材木同士の接着性を向上させる乾燥方法で乾燥する。
【0023】
また、本発明においては、芯持ち丸太1から製材して得られた芯持ち角材2は1隅を切り取り、背割りしてから乾燥するので、含水率の急激な変化が少なく、表面や内部にひびや割れが発生するのを抑制している。
【0024】
次いで、乾燥後の芯持ち角材2は反りや歪みが生じている場合もあり、従来知られている公知の、プレーナー、モルダー等の装置を用いて反りや歪みを除去する整形を施して集合木材の構成部材木とする。
【0025】
次いで、別に3本の同様の整形を施した芯持ち角材2を造り、4本の整形を施した芯持ち角材2を、各々、外から背割りが見えなく、内部に鼓状空間を形成するように積層集合して、各種公知の例えば、接着強度が大きく、硬化後の加工もし易い水性ビニルウレタン樹脂接着剤等の、接着剤で接着する。
【0026】
また、左右上下に積層集合した4本の集合木材の構成部材木である整形を施した芯持ち角材2のうち、まず左上下の各々該芯持ち角材2の上下面間を均等に圧締めしながら接着し、次に右上下の上下面間を同様に行う。
【0027】
左右上下に積層集合した4本の該芯持ち角材は上下面間を均等に圧締めしながら接着させることが好ましく、プレス装置としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、4本の該芯持ち角材の設置面の全体に亘って均一な圧力を加えながら接着することができる平盤プレス等が好ましく、接着剤も全体に亘って均一に塗布することが好ましい。
【0028】
本発明の実施形態においては、左右上下の積層集合した集合角材は、外から背割りは見えず、四側面総てに対してモルダーにて仕上げ加工を施しており、表面は一層デザイン性にも優れた自然観のある木材模様を有した美しく、強度にも優れた柱、梁、土台及び外構用の本願発明の集合角材8を経済的に得ることを可能とした。
【実施例】
【0029】
4本の断面寸法60mmX60mmの芯持ち角材2から115mmの柱用の角材を得たが、左右上下に積層集合して得られる鼓状空間が正方形の場合は一辺長さが5mm以下の3mm、4mmでは鉄棒やピアノ線等の補強材を通す作業がし難く、25mm以上の30mm、40mmでは集合角材としては強度不足となり、該正方形の一辺長さは、5〜25mmが好ましい。
【0030】
同様に、鼓状空間が円形の場合は1/4円の元円の半径長さが3mm以下の2mmでは鉄棒やピアノ線等の補強材を通す作業がし難く、15mm以上の20mm、30mmでは集合角材としては強度不足となり、該半径長さは3〜15mmが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、木造建築に、より大きな木材を使うことにより強度を高め安全性を増すとともに、現在使用されずに蓄積されている間伐材の使用を促進することをも可能とするものです。
【符号の説明】
【0032】
1 芯持ち丸太
2 芯持ち角材
3 切断線
4 芯持ち角材の芯
5 切り取り面
6 切り取り線中央
7 背割り
8 本願発明の集合角材
図1
図2
図3
図4
図5
図6