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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-54780(P2017-54780A)
(43)【公開日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】圧力スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/34 20060101AFI20170224BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
   H01H35/34 E
   G01L9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-179770(P2015-179770)
(22)【出願日】2015年9月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝木 現
(72)【発明者】
【氏名】松山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】濱邉 義弘
【テーマコード(参考)】
2F055
5G056
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB03
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE35
2F055FF43
2F055GG11
5G056DE06
5G056DE33
5G056DG01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、金属製のダイヤフラムを使用したボディアース構造の圧力スイッチにおいて、部品数を少なくし、コストを抑制することができる圧力スイッチを提供することである。
【解決手段】本発明の圧力スイッチ100は、作動媒体の圧力を供給する管路111aを有する導電性の継手111と、作動媒体の圧力に応じて変位し、導電性を有するダイヤフラム200と、ダイヤフラム200が大気圧側に変位したときに、ダイヤフラム200に接触する接点部材が取り付けられる接点部材取付部132aと、外部回路にON/OFF信号を送出する信号送出部132bとが設けられた端子132と、端子132を固定する絶縁性の端子台131とを備え、ダイヤフラム200には、中央部に作動媒体の圧力に応じて変位するお椀形状の圧力応動部200aと、外周部に板ばね200bを備える歯車形状の皿ばね部とが形成されることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体の圧力を供給する管路を有する導電性の作動媒体供給アセンブリと、
前記作動媒体の圧力に応じて変位し、導電性を有し前記作動媒体供給アセンブリを介してボディアースされるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの大気圧側に設けられる端子であって、一方の端部に、前記ダイヤフラムが大気圧側に変位したときに、前記ダイヤフラムに接触する接点部材が取り付けられる接点部材取付部と、前記一方の端部と反対側の他方の端部には、前記ダイヤフラムと前記接点部材が接触すると、前記作動媒体供給アセンブリ、前記ダイヤフラム、前記接点部材、前記端子を介して外部回路にON/OFF信号を送出する前記信号送出部とが設けられた端子と、
前記ダイヤフラムの大気圧側に設けられ、前記端子を固定する絶縁性の端子台とを備え、
前記ダイヤフラムには、中央部に前記作動媒体の圧力に応じて変位するお椀形状の圧力応動部と、外周部に板ばねを備える皿ばね部とが形成され、前記皿ばね部の板ばねの先端が前記導電性の作動媒体供給アセンブリの内周部にばね性を有して接触されることを特徴とする圧力スイッチ。
【請求項2】
前記皿ばね部は、外周部に複数の板ばねを備える歯車形状に形成され、前記複数の板ばねは、大気圧方向に折り曲げられ、水平方向のばねの弾性力を生ずることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項3】
前記接点部材は、前記端子の前記接点部材取付部に取り付けられる導電性材料からなる接点ばねと、前記接点ばねの前記端子に接続される端部とは反対側の端部に接続され、前記ダイヤフラムが大気圧側に変位したときに、前記ダイヤフラムに接触する可動接点とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力スイッチ。
【請求項4】
前記作動媒体供給アセンブリは、管路を有し、前記ダイヤフラムと、前記端子台をかしめて固定する継手であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧力スイッチ。
【請求項5】
前記ダイヤフラムの大気圧側には、前記ダイヤフラムの変位を制限し、耐圧性を高めるストッパーが設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧力スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力スイッチに係り、特に、金属製のダイヤフラムを使用したボディアース構造の圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房、空調、自動車、及び、産業装置用のシステムの制御に際して、作動媒体の圧力を検出するダイヤフラム式の圧力スイッチが知られている。ダイヤフラム式の圧力スイッチでは、圧力スイッチが取り付けられた車両機器などへの導電路を形成し、ボディアース構造とすることが行われている。また、金属からなる導電性のボディ内にスイッチの一方の接点となる金属製のダイヤフラムと、端子に接続され、スイッチのもう一方の接点となる可動接点とを収容し、ダイヤフラムと可動接点が接触し、スイッチがオンになると端子からボディまで電気的導通をとるように構成されたボディアース構造の接点式の圧力スイッチも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−322966号公報
【特許文献2】特開2008−300311号公報
【特許文献3】特開2008−300312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1には、ジョイント内に導電性のダイヤフラム構成部材の上に導電性皿ばねを挿入し、その上に弾性アームを固定した導電性の内部ターミナルを載置し、その上からコネクターを挿入し、かしめ部でかしめて一体化する圧力スイッチであって、皿ばねが上部のターミナルと外周のジョイントとに常時その弾性で接触しており、確実なボディアース経路を形成する圧力スイッチが記載されている。
【0005】
また、引用文献2には、皿ばねを有するボディアース構造の圧力スイッチであって、カバーの下端の第2の突設部の先端が平坦部となっており皿ばねの板部に圧接し、また、第2の突設部の平坦部の内側と外側には曲面が形成されているため、皿ばねの内側ばね部及び外側ばね部が塑性変形することなく、ダイヤフラム構造部材の上部又はボディの内周に安定した接触圧をもって圧接する圧力スイッチが記載されている。
【0006】
また、引用文献3には、ダイヤフラム構造部材が金属製のアッパーカバーとロアカバーで金属製のダイヤフラムを挟持し、外周の溶接部をレーザー溶接することにより一体化され、ロアカバーの周縁にプレス加工により発生した下向きの加工ダレが、ボディの収容孔の底面の周縁部に形成されたバリ収容凹部に収容され、レーザー溶接を採用したことにより、ダイヤフラムの熱歪みが少なくなり、バネ特性のバラツキが小さくなりスイッチ特性が安定する圧力スイッチが記載されている。
【0007】
以上のような、引用文献1乃至3に記載の圧力スイッチでは、作動媒体の受圧部構造として、ダイヤフラム、ストッパー、キャップ、の3部品の円周を溶接してダイヤフラムアセンブリを配置し、更に、導電信頼性確保のために皿ばねを使用している。このため、部品数が増え、コストが嵩むという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、金属製のダイヤフラムを使用したボディアース構造の圧力スイッチにおいて、部品数を少なくし、コストを抑制することができる圧力スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の圧力スイッチは、作動媒体の圧力を供給する管路を有する導電性の作動媒体供給アセンブリと、上記作動媒体の圧力に応じて変位し、導電性を有し上記作動媒体供給アセンブリを介してボディアースされるダイヤフラムと、上記ダイヤフラムの大気圧側に設けられる端子であって、一方の端部に、上記ダイヤフラムが大気圧側に変位したときに、上記ダイヤフラムに接触する接点部材が取り付けられる接点部材取付部と、上記一方の端部と反対側の他方の端部には、上記ダイヤフラムと上記接点部材が接触すると、上記作動媒体供給アセンブリ、上記ダイヤフラム、上記接点部材、上記端子を介して外部回路にON/OFF信号を送出する上記信号送出部とが設けられた端子と、上記ダイヤフラムの大気圧側に設けられ、上記端子を固定する絶縁性の端子台とを備え、上記ダイヤフラムには、中央部に上記作動媒体の圧力に応じて変位するお椀形状の圧力応動部と、外周部に板ばねを備える皿ばね部とが形成され、上記皿ばね部の板ばねの先端が上記導電性の作動媒体供給アセンブリの内周部にばね性を有して接触されることを特徴とする。
【0010】
また、上記皿ばね部は、外周部に複数の板ばねを備える歯車形状に形成され、上記複数の板ばねは、大気圧方向に折り曲げられ、水平方向のばねの弾性力を生ずるものとしてもよい。
【0011】
また、上記接点部材は、上記端子の上記接点部材取付部に取り付けられる導電性材料からなる接点ばねと、上記接点ばねの上記端子に接続される端部とは反対側の端部に接続され、上記ダイヤフラムが大気圧側に変位したときに、上記ダイヤフラムに接触する可動接点とを備えるものとしてもよい。
【0012】
また、上記作動媒体供給アセンブリは、管路を有し、上記ダイヤフラムと、上記端子台をかしめて固定する継手であるものとしてもよい。
【0013】
また、上記ダイヤフラムの大気圧側には、上記ダイヤフラムの変位を制限し、耐圧性を高めるストッパーが設けられるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧力スイッチによれば、ダイヤフラムに皿ばね機能を有させることにより、従来品のダイヤフラム、ストッパー、キャップ、及び、皿ばねの4部品を、より少ない部品に簡素化し、コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術によるボディアース構造の圧力スイッチの構成を示す断面図である。
図2】本発明の圧力スイッチの皿ばね機能を有するダイヤフラムを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る圧力スイッチの構造を示す断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る圧力スイッチの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、従来技術によるボディアース構造の圧力スイッチについて説明する。
図1は、従来技術によるボディアース構造の圧力スイッチ100の構成を示す図である。
【0017】
図1において、圧力スイッチ100は、冷暖房、空調、自動車、及び、産業装置用の作動媒体の圧力を検出するものであり、導電性のダイヤフラムアセンブリ120及び導電性の作動媒体供給アセンブリ110を介して冷暖房、空調、自動車、及び、産業装置等のボディに電気的導通をとるボディアース構造の圧力スイッチである。
【0018】
圧力スイッチ100は、作動媒体の圧力を供給する管路111aを有する導電性の継手111を備える作動媒体供給アセンブリ110と、作動媒体の圧力に応じて変位するダイヤフラム121を有するダイヤフラムアセンブリ120と、ダイヤフラム121の変位に応じて電気的なスイッチのON/OFF信号を送出する端子132を固定する電極固定部130とを備える。
【0019】
作動媒体供給アセンブリ110は、継手111と、作動圧側Oリング112と、大気圧側Oリング113とを備える。
【0020】
継手111には、圧力が検出される作動媒体が導かれる配管に連通する管路111aと、管路111aの一端から円錐状に拡大して形成される受圧室111bと、受圧室111bの外周部分の環状の溝であって、リング状の作動圧側Oリング112が配置される溝部111cと、受圧室111bの大気圧側に円柱状に形成される凹部であって、ダイヤフラムアセンブリ120及び電極固定部130とを収容する収容部111dと、電極固定部130の端部をかしめて固定するかしめ部111eとを有する。継手111は、プレス成形、切削加工、ダイキャスト、鍛造等により、例えば、金属材料で成形される。また、ここでは、継手111を使用するものとしたが、代わりに、複数の圧力スイッチを載置できる圧力スイッチモジュールの導電性のターミナル等を使用するものとしてもよい。
【0021】
作動圧側Oリング112は、継手111の溝部111cに配置され、ダイヤフラムアセンブリ120と継手111との間に密着し、受圧室111bからの作動媒体を封止する。
【0022】
大気圧側Oリング113は、後述する電極固定部130の端子台131の溝部131bに配置され、端子台131と継手111の収容部111dと間に密着し、大気圧側の圧力を封止する。作動圧側Oリング112及び大気圧側Oリング113は、環状の弾性部材であり、耐熱性を有する材料で成形されている。
【0023】
ダイヤフラムアセンブリ120は、管路111aから供給された作動媒体の圧力の変化に従い変位するダイヤフラム121と、ダイヤフラム121の大気圧側に配置されるストッパー122と、ダイヤフラム121の作動媒体側に配置されるキャップ123とを備える。
【0024】
ダイヤフラム121は、ここでは、反転動作、すなわち、スナップアクションするばね性を有する金属製のものを使用するが、これには限定されず、スナップアクションしなくても金属製のダイヤフラムであればよい。スナップアクションするダイヤフラム121を使用した場合には、管路111aからの作動媒体の圧力が設定値未満である場合には、下側に膨らんだ形状をなし、管路111aからの作動媒体の圧力が設定値以上になると、この作動媒体の圧力により下側に膨らんだ形状から上側に膨らんだ形状に可逆的に反転する。
【0025】
ストッパー122は、ダイヤフラム121のストロークを制限し、過剰な圧力によりダイヤフラム121が変形し、圧力特性が変化するのを抑制するように耐圧性を高めるために設けられる。また、ストッパー122の中央部には、後述する可動接点134が上下動するための開口部が設けられている。また、キャップ123は、中央に受圧室111bに連通する開口部を有する部材であり、ストッパー122と共にダイヤフラム121を狭持するために設けられる。ストッパー122、及び、キャップ123は、プレス成形、切削加工、ダイキャスト、鍛造等により、例えば、金属材料で成形され、ダイヤフラム121を狭持した状態で、レーザー溶接等により一体化される。
【0026】
なお、ストッパー122、及び、キャップ123は、上述の例に限定されず、例えば、ストッパー122およびキャップ123が一体に形成される一つの支持部材にダイヤフラム121の外周が支持される構成であってもよい。また、例えば、ダイヤフラム121の外周を支持する支持部材としてのストッパー122およびキャップ123が、継手111の一部、あるいは、他の装置の一部として構成されてもよい。また、ストッパー122とダイヤフラム121のみ、もしくは、キャップ123とダイヤフラム121のみで構成されてもよい。
【0027】
電極固定部130は、ダイヤフラムアセンブリ120の大気圧側に設けられ、端子132を固定する端子台131と、端子台131に設けられた後述する端子収容部131cから接点部材収容部131aにかけてL字形状に延在する金属部品である端子132と、L字形状の端子132の接点部材取付部132aに取り付けられ、U字形状の導電性材料からなる接点ばね133と、U字形状の導電性材料の接点ばね133のダイヤフラムアセンブリ120側の端部に取り付けられた可動接点134と、ダイヤフラムアセンブリ120と端子台131の間に配置される皿ばね135とを備える。
【0028】
端子台131は、端子132の絶縁を確保するため、例えば樹脂等で形成される。端子台131には、ダイヤフラムアセンブリ120側の中央付近に、略円筒形状の凹部であり、内部に接点ばね133と可動接点134の接点部材を収容する接点部材収容部131aと、継手111の収容部111dに接触する円柱形状の中段付近に設けられた凹部であり、大気圧側Oリング113が配置される溝部131bと、継手111の収容部111dに収容される円柱形状より大気圧側に、更に細い略円筒形状であって、内部に後述する端子132の信号送出部132bを収容する端子収容部131cとが形成される。なお、端子台131は、端子の形状に合わせて変更可能であり、他の形状を使用してもよい。
【0029】
端子132には、ダイヤフラムアセンブリ120側に、ダイヤフラム121が大気圧側に変位したときに、ダイヤフラム121に接触する接点部材である接点ばね133及び可動接点134が取り付けられる接点部材取付部132aと、接点部材取付部132aと反対側の端部には、ダイヤフラム121と可動接点134が接触すると、作動媒体供給アセンブリ110、ダイヤフラムアセンブリ120、可動接点134、接点ばね133、端子132を介して図示しない外部回路にON/OFF信号を送出する信号送出部132bとが設けられる。なお、端子132の形状は、ここではL字形状としたが、接点部材など他の構成要素に合わせて変更可能であり、他の形状を使用してもよい。
【0030】
接点ばね133は、端子132の接点部材取付部132aにU字形状が上下方向に横向きになるように取り付けられ、上下方向のばねの弾性力を有する。このため、ダイヤフラム121と可動接点134が接触するときに、上下方向の接触圧を有し、確実な接触を確保できる。なお、接点ばね133の形状は、ここではU字形状としたが、他の構成要素に合わせて変更可能であり、他の形状を使用してもよい。
【0031】
可動接点134は、U字形状の接点ばね133のダイヤフラムアセンブリ120側の端部に取り付けられ、ダイヤフラム121が大気圧側に変位したときに接触する接点となる。なお、可動接点134の形状は、他の構成要素に合わせて変更可能であり、他の形状を使用してもよい。また、接点ばね133及び可動接点134は、接点部材を構成する。
【0032】
皿ばね135には、外周部に複数の大気圧方向に折り曲げられた板ばねを備える歯車形状の外側ばねが形成され、水平方向のばねの弾性力を有するように金属材料で構成される。このため、複数の板ばねの先端が導電性の継手111の収容部111dに常時、ばねの弾性力により接触され、確実なボディアース経路を形成する。なお、皿ばね135には、内側に円形に開口を設け、この開口の内周に複数箇所の切り欠きを入れ、この切り欠きの間の凸部が下向きに折り曲げられた内周に向けた内側ばねが形成されてもよい。内側ばねが形成された場合には、垂直方向のばねの弾性力が生じ、ダイヤフラムアセンブリ120と端子台131との接触が強固なものとなる。
【0033】
圧力スイッチ100の取り付け方法としては、先ず、ダイヤフラムアセンブリ120を溶接などにより組み立てる。次に、作動媒体供給アセンブリ110の継手111の収容部111dに、ダイヤフラムアセンブリ120、及び、その大気圧側に端子132などを固定した端子台131を有する電極固定部130を配置して、継手111のかしめ部111eによりかしめて固定する。なお、この取り付け方法は限定ではなく、作動媒体供給アセンブリ110の形状等により様々な方法が適用可能である。
【0034】
以上のような、従来技術の圧力スイッチ100では、受圧部構造として、ダイヤフラム121、ストッパー122、及び、キャップ123の3部品の円周を溶接してダイヤフラムアセンブリ120を構成して配置され、更に、導電信頼性確保のために皿ばね135を使用している。このため、部品数が多くなりすぎ、コストが嵩むという問題がある。そこで本発明の圧力スイッチは、ダイヤフラムに皿ばね機能を有させることにより、従来品のダイヤフラム121、ストッパー122、キャップ123、及び、皿ばね135の4部品を、より少ない部品に簡素化し、コストダウンすることができる。
【0035】
次に、本発明の圧力スイッチに使用される皿ばね機能を有するダイヤフラム200を説明する。
【0036】
図2は、本発明の圧力スイッチの皿ばね機能を有するダイヤフラム200を示す図である。
図2において、ダイヤフラム200は、中央部に作動媒体の圧力に応じて変位するお椀形状の圧力応動部200aと、外周部に複数の大気圧方向に折り曲げられた板ばね200bを備える歯車形状の皿ばね部とが形成され、水平方向のばねの弾性力を有するように金属材料で形成される。このため、ダイヤフラム200は、複数の板ばね200bの先端が導電性の作動媒体供給アセンブリ110の内周部に常時、ばねの弾性力により接触され、確実なボディアース経路を形成する。なお、ここでは、皿ばね部の板ばね200bが8本備えるものとしたが、これには限定されず、1本でも構わない。但し、円柱形状の作動媒体供給アセンブリ110の内周部に安定して接触する必要があるため、ある程度の本数の板ばね200bを備えたほうがよい。板ばね200bを1本備える場合には、作動媒体供給アセンブリ110の内周部と、ダイヤフラム200との間に銅部材を挟み込んで接触信頼性を上げてもよい。
【0037】
次に、図2に示す皿ばね機能を有するダイヤフラム200を使用する本発明の第1の実施形態について説明する。
【0038】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る圧力スイッチ300の構造を示す断面図である。
図3において、圧力スイッチ300は、主に、図1に示す従来技術の圧力スイッチ100と比較して、ダイヤフラムアセンブリ120の代わりに、図2に示す皿ばね機能を有するダイヤフラム200を使用することを特徴とする。図1に示す圧力スイッチ100と同じ構成要素には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
圧力スイッチ300は、作動媒体の圧力を供給する管路111aを有する導電性の継手111を備える作動媒体供給アセンブリ110と、作動媒体の圧力に応じて変位し、皿ばね機能を有するダイヤフラム200と、ダイヤフラム200の変位に応じて電気的なスイッチのON/OFF信号を送出する端子132を固定する電極固定部330とを備える。
【0040】
電極固定部330は、ダイヤフラム200の大気圧側に設けられ、端子132を固定する端子台331と、端子台331に設けられた後述する端子収容部331cから接点部材収容部331aにかけてL字形状に延在する金属部品である端子132と、L字形状の端子132の接点部材取付部132aに取り付けられ、U字形状の導電性材料からなる接点ばね133と、U字形状の導電性材料の接点ばね133のダイヤフラム200側の端部に取り付けられた可動接点334とを備える。
【0041】
端子台331は、端子132の絶縁を確保するため、例えば樹脂等で形成される。端子台331には、ダイヤフラム200側の中央付近に、略円筒形状の凹部であり、内部に接点ばね133と可動接点334との接点部材を収容する接点部材収容部331aと、継手111の収容部111dに接触する円柱形状の中段付近に設けられた凹部であり、大気圧側Oリング113が配置される溝部331bと、継手111の収容部111dに収容される円柱形状より大気圧側に、更に細い略円筒形状であって、内部に後述する端子132の信号送出部132bを収容する端子収容部331cとが形成される。
【0042】
第1の実施形態の圧力スイッチ300では、従来技術と比較して、ダイヤフラムアセンブリ120の代わりに、ダイヤフラム200を使用しているため、端子台331及び接点部材収容部331aは、従来技術の端子台131及び接点部材収容部131aと比較して高さが高く取られている。また、可動接点334の形状もダイヤフラム200の変位に合わせて調整されている。
【0043】
第1の実施形態の圧力スイッチ300では、皿ばね機能を有するダイヤフラム200を使用するため、板ばね200bを備える歯車形状の皿ばね部による水平方向のばねの弾性力により、複数の板ばね200bの先端が導電性の継手111の収容部111dに常時、ばねの弾性力により接触され、確実なボディアース経路を形成する。また、上下方向の固定は継手111の収容部111dと、端子台131との間に挟まれ、継手111のかしめ部111eによりかしめて固定されるため、強固なものとなっている。
【0044】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態による圧力スイッチによれば、皿ばね機能を有するダイヤフラムを使用することにより、従来品のダイヤフラム、ストッパー、キャップ、及び、皿ばねの4部品を、ダイヤフラムの1部品に簡素化し、コストを抑制することができる。
【0045】
次に、図2に示す皿ばね機能を有するダイヤフラム200を使用する本発明の第2の実施形態について説明する。
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る圧力スイッチ400の構造を示す断面図である。
図4において、圧力スイッチ400は、主に、図3に示す本発明の第1の実施形態に係る圧力スイッチ300と比較して、ダイヤフラム200の代わりに、ストッパー422をさらに有するダイヤフラムアセンブリ420を使用することを特徴とする。図3に示す第1の実施形態の圧力スイッチ300と同じ構成要素には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0047】
圧力スイッチ400は、作動媒体の圧力を供給する管路111aを有する導電性の継手111を備える作動媒体供給アセンブリ110と、作動媒体の圧力に応じて変位し、皿ばね機能を有するダイヤフラム200を有するダイヤフラムアセンブリ420と、ダイヤフラム200の変位に応じて電気的なスイッチのON/OFF信号を送出する端子132を固定する電極固定部430とを備える。
【0048】
ダイヤフラムアセンブリ420は、管路111aから供給された作動媒体の圧力の変化に従い変位し、皿ばね機能を有するダイヤフラム200と、ダイヤフラム200の大気圧側に配置されるストッパー422とを備える。
【0049】
ストッパー422は、ダイヤフラム200のストロークを制限し、過剰な圧力によりダイヤフラム200が変形し、圧力特性が変化するのを抑制するように耐圧性を高めるために設けられる。また、ストッパー422の中央部には、可動接点434が上下動するための開口部が設けられている。ストッパー422は、プレス成形、切削加工、ダイキャスト、鍛造等により、例えば、金属材料で成形される。なお、ストッパー422は、ダイヤフラム200とレーザー溶接等により一体化されてもよいし、一体化されていなくても良い。
【0050】
第2の実施形態の圧力スイッチ400では、ダイヤフラムアセンブリ420としてダイヤフラム200の大気圧側にストッパー422を設ける構成としたため、過剰な圧力によりダイヤフラム200が変形し、圧力特性が変化するのを抑制することができ、第1の実施形態の圧力スイッチ300と比較して、耐圧性を高くすることができる。
【0051】
電極固定部430は、ダイヤフラムアセンブリ420の大気圧側に設けられ、端子132を固定する端子台431と、端子台431に設けられた端子収容部431cから接点部材収容部431aにかけてL字形状に延在する金属部品である端子132と、L字形状の端子132の接点部材取付部132aに取り付けられ、U字形状の導電性材料からなる接点ばね133と、U字形状の導電性材料の接点ばね133のダイヤフラムアセンブリ420側の端部に取り付けられた可動接点434とを備える。
【0052】
第2の実施形態の圧力スイッチ400では、図3に示す第1の実施形態の圧力スイッチ300と比較して、ダイヤフラム200の代わりに、ストッパー422を有するダイヤフラムアセンブリ420を使用しているため、端子台431及び接点部材収容部431aは、第1の実施形態の圧力スイッチ300の端子台331及び接点部材収容部331aと異なる形状に形成されている。また、可動接点434の形状もダイヤフラム200の変位に合わせて調整されている。それ以外の電極固定部430の構成は、第1の実施形態の圧力スイッチ300の電極固定部330の構成と同じである。
【0053】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態による圧力スイッチによれば、皿ばね機能を有するダイヤフラムを使用することにより、従来品のダイヤフラム、ストッパー、キャップ、及び、皿ばねの4部品を、ダイヤフラムとストッパーの2部品に簡素化し、コストを抑制することができる。
【0054】
なお、以上のように第1の実施形態及び第2の実施形態について、皿ばね機能を有するダイヤフラムのみ、あるいは、ストッパーを更に備える構成について説明したが、キャップを更に備える構成としても、従来の皿ばねを使用する必要がなくなるため、部品を簡素化し、コストを抑制することができるという本発明の効果を得ることができる。
【0055】
以上説明したように、本発明に係る圧力スイッチによれば、皿ばね機能を有するダイヤフラムを使用することにより、従来品のダイヤフラム、ストッパー、キャップ、及び、皿ばねの4部品を、より少ない部品数とすることができ、コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
100、300、400 圧力スイッチ
110 作動媒体供給アセンブリ
111 継手
112 作動圧側Oリング
113 大気圧側Oリング
120、420 ダイヤフラムアセンブリ
121、200 ダイヤフラム
122、422 ストッパー
123 キャップ
130、330、430 電極固定部
131、331、431 端子台
132 端子
133 接点ばね
134、334、434 可動接点
125 皿ばね
201a 皿ばね部
201b 圧力応動部
図1
図2
図3
図4