【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の金属板部品は、接続タブの剪断抵抗が、同一の構造タイプおよび大きさの加工されていない接続タブと比べて低減される少なくとも1つの脆弱化ゾーンを備える接続タブによってこの問題を解決する。
【0013】
本発明の方法は、金属板を供給すること、前記金属板からコネクタ部、接続タブおよび任意でキャリアストリップを形成すること、少なくとも1つの脆弱化ゾーンにおいて前記接続タブの剪断抵抗を減少することを備えることによってこの問題を解決する。
【0014】
以下では、本発明の更なる有利な実施形態が説明される。本明細書にて説明されるさらなる改良点および/又は特徴は、特定の改善点の特定の利点が特定の用途で必要とされるか否かに応じて、個別に組み合わされてもよい。
【0015】
一般に、前記接続タブは、前記金属板部品に一体的に接続されており、初めから前記金属板部品と共に打ち抜かれていると好ましい。
【0016】
本発明の金属板部品の第1の実施形態では、前記脆弱化ゾーンにおいて、前記接続タブ断面エリアは、少なくとも1つの凹部によって減少される。凹部は、前記接続タブの機械的処理によって容易に製造される、前記脆弱化要素の単純な実施形態である。
【0017】
加工されていない接続タブの前記接続タブ断面エリアは、4つの縁(edge)を備える矩形を有してもよい。少なくとも1つの凹部を備える同一の構造タイプおよび大きさの接続タブ断面エリアは、矩形とは異なってもよい。前記4つの縁(edge)のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの凹部の断面を表す基本的に凹面状の構造を含んでもよい。切断シャーの耐用年数は、接続タブ断面エリアの減少に従って増加し得る。
【0018】
本発明の金属板部品の第2の有利な実施形態では、前記接続タブ断面エリアは、同一の構造タイプおよび大きさの前記加工されていない接続タブの前記接続タブ断面と比べて少なくとも30%だけ減少される。30%よりも多い前記断面エリアの減少により、同一の相対量だけ剪断力を低減し得る。切断シャーの耐用年数は、それに応じて増加し得る。
【0019】
前記断面エリアは、優先的には少なくとも40%、より優先的には少なくとも50%低減されてもよい。実質的に50%より多く、例えば75%だけ前記接続タブ断面エリアが低減すると、前記接続タブの機械的安定性が低下する可能性がある。前記脆弱化ゾーンは、加工されていない接続タブと比べて機械的安定性が実質的に維持された構造を形成する多数の脆弱化要素を含んでもよい。前記脆弱化要素は、例えば、前記接続タブの残った金属板が、ハニカムに似た構造を形成するように前記接続タブ内に配置されてもよい。
【0020】
本発明の金属板部品の他の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの凹部は切欠きである。切欠きは、単に、前記接続タブの機械的処理によって得られてもよい。
【0021】
前記切欠きは、前記接続タブ断面エリアの1つ又は2つ又は3つ又は全ての縁(edges)にあってもよい。前記切欠きは、また、前記接続タブ断面エリアの全ての縁(edges)、例えば4つの縁(edges)に沿って円周方向に位置する連続的な切欠きとして実施されてもよい。
【0022】
さらに、任意の数の切欠きが、任意の組み合わせの断面エリアの縁(edges)に存在してもよい。
【0023】
前記金属板部品の他の本発明の実施形態では、前記少なくとも1つの凹部が孔であれば有利である。前記孔は、穿孔、打ち抜き等で製造されてもよい。
【0024】
前記断面エリアが、一つの単一の孔と同じ量だけ減少されるように、前記接続タブには2つ以上の孔が設けられてもよい。多数の孔により、一つの単一の孔よりも高い前記接続タブの機械的安定性がもたらされる可能性がある。
【0025】
全体が方向付けられる際に沿う方向は、前記金属板の表面と実質的に垂直であることが好ましいが、この向きに限定されない。前記接続タブに数個の孔が設けられる場合は、前記孔は、対称的に、すなわち、前記接続タブの両側に配置されてもよい。
【0026】
本発明の金属板部品の他の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの孔は貫通孔である。
【0027】
前記接続タブの1つの側のみに開口する孔だけでなく、前記貫通孔の向きは、好ましくは、前記金属板の表面に実質的に垂直である。前記接続タブを貫通しない孔と比べて、貫通孔は、結果的に、前記接続タブ断面エリアをより大きく減少させ得る。
【0028】
さらに、貫通孔は、前記孔の深さ、例えば、穿孔/打ち抜き深さを制御するためにあまり厳しい必要事項を要求しなくてもよい。すなわち、貫通孔は、所定の深さの孔よりも製造がはるかに容易である。
【0029】
本発明の金属板部品のさらなる有利な実施形態では、前記接続タブは、キャリアストリップに接続される。前記キャリアストリップは、前記金属板部品の向きの基準とみなされてもよい。
【0030】
前記キャリアストリップは、好ましくは、前記接続タブに一体的に取り付けられてもよい。
【0031】
前記キャリアストリップは、前記コネクタ方向に実質的に垂直に方向付けられてもよい。しかしながら、前記キャリアストリップの向きと前記コネクタ方向との間には異なる角度が設けられてもよい。
【0032】
多数の金属板部品が等距離に前記キャリアストリップに接続されてもよく、1つのキャリアストリップに接続された一続きの等方向および/又は等間隔の金属板部品を形成してもよい。
【0033】
前記キャリアストリップは、前記キャリアストリップに接続された全ての前記金属板部品の向きを維持してもよく、前記キャリアストリップおよび前記取り付けられた金属板部品を、適切な巻き付け要素、例えば、リールに巻き付けることによって前記多数の金属板部品を有利に保管するために使用されてもよい。
【0034】
個々の金属板部品を加工装置に供給すると、前記キャリアストリップは、まず、個々の金属板部品を正確な位置へ供給するための正確な基準として機能し、次に、前記キャリアストリップは、前記金属板部品が前記キャリアストリップとともに受動的に移動させられる際に、前記個々の金属板部品同士が接触することを防止し得る。
【0035】
本発明の金属板部品の他の有利な実施形態では、前記脆弱化ゾーンは少なくとも1つの脆弱化要素を備える。1つの脆弱化要素でも、前記接続タブを切断するために必要な剪断力を低減し得る。
【0036】
前記脆弱化要素は、例えば、前記接続タブに位置する中空のキャビティでもよい。前記キャビティは、外部からは見えなくてもよく、前記接続タブの前記断面が観察される場合にのみ見ることができてもよい。
【0037】
前記脆弱化ゾーンにおける前記少なくとも1つの脆弱化要素は、前記接続タブの切断を行う切断シャーの耐用年数が長くなるように前記切断に必要な剪断力を低減し得る。
【0038】
前記剪断力は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%減少されてもよい。前記切断シャーの耐用年数は、前記剪断力が減少する同一の相対量だけ長くなり得る。
【0039】
本発明の金属板部品の他の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの脆弱化要素および/又は前記少なくとも1つの凹部は、前記コネクタ方向に、又は前記コネクタ方向の反対方向に、前記接続タブから前記コネクタ部および/又は前記キャリアストリップ内へ延出する。
【0040】
前記少なくとも1つの脆弱化要素および/又は前記少なくとも1つの凹部が前記コネクタ部内に延出する場合、前記切断シャーが、剪断抵抗が低減した前記脆弱化ゾーンにおいて前記接続タブを切断することが保証され得る。
【0041】
前記接続タブの方を向く前記金属板部品の領域の機械的安定性の要求事項によって、前記切欠き、孔、又は貫通孔の前記コネクタ部への数ミリメートルを超える延出が可能になる場合、前記金属板部品は、前記金属板部品の重量が軽減するという更なる利点を有し得る。
【0042】
一般に、前記接続タブに凹部を形成することにより、キャリアストリップの長さに対する又は金属板部品の数に対する材料の量および重量が軽減する。
【0043】
前記さらなる廃棄材料は、本発明の金属板部品の製造時に除去されてもよく、前記接続タブから除去された後に直接リサイクルされてもよい。
【0044】
さらに、前記接続タブによって前記金属板部品に接続された前記キャリアストリップは、前記少なくとも1つの凹部を有しない同一の構造タイプおよび大きさのキャリアストリップ、金属板部品および接続タブの組み合わせと比べて、例えばリールなどの適切な手段に巻き付けられた際の全体的な重量の軽減を示す。この重量の軽減は、1又は2%に達し得る。
【0045】
当該金属板部品の他の有利な実施形態では、前記少なくとも1つの脆弱化要素および/又は前記少なくとも1つの凹部は、接続タブ長さの少なくとも約50%を超えて前記コネクタ方向に、又は前記コネクタ方向の反対方向に延出する。
【0046】
前記脆弱化要素および/又は前記凹部は、前記接続タブの全長に渡って、すなわち、前記キャリアストリップから前記金属板部品の前記コネクタ部まで延在してもよい。
【0047】
前記接続タブの全長に渡って延在する孔又は貫通孔は、実質的に楕円形のスロット孔すなわち長孔として実施されてもよい。
【0048】
上述した本発明の金属板部品の製造方法の有利な実施形態では、前記剪断抵抗は、凹部を形成することによって機械的に軽減される。この実施形態は、前記コネクタ部、前記接続タブ、および任意で前記キャリアストリップを形成するステップと同時に前記凹部を機械的に形成するステップを適用してもよい。
【0049】
上述した本発明の金属板部品を製造する方法のさらに有利な実施形態では、前記凹部は、以下の方法、すなわち、
孔又は貫通孔を打ち抜くこと、
孔又は貫通孔を穿孔すること、
凹部をベベリング加工すること又はミリング加工すること
のうちのいずれか1つ又は幾つかの組み合わせに従って形成される。
【0050】
接続タブの幾何学的形状が改良された金属板部品を製造する本発明の方法によれば、前記脆弱化要素は、上記に開示された一部の方法のいずれか1つ又は任意の組み合わせによって製造されてもよい。前記脆弱化要素を生成する前記方法は、前記金属板部品の打ち抜きと同時に行われることが特に好ましく、従って、脆弱化要素として孔、貫通孔又は凹部を打ち抜くことは、前記脆弱化要素を生成するための最も好ましい方法とみなされてもよい。
【0051】
金属板部品を製造する上述の本発明の方法の他の有利な実施形態では、前記剪断抵抗は、前記少なくとも1つの脆弱化ゾーンにおいて前記接続タブの材料強度を低減することによって低減されてもよい。前記材料強度は、前記接続タブ材料を化学的、熱的(例えば、アニーリング)および/又は冶金的に処理することによって低減されてもよい。前記熱処理は、例えば、誘導加熱、又は、エネルギービーム、例えば、レーザビーム又は電子ビーム等の適用によって行われてもよい。
【0052】
前記接続タブは、エッチング法又はレーザ操作において化学物質で処理されてもよい。さらに、前記接続タブ材料の剪断抵抗は、例えば前記接続タブ材料の硬度を低減するために例えば材料成分の組成を変化させる冶金処理を用いて低減させてもよい。
【0053】
金属板部品を製造する上記の本発明の方法のさらに有利な実施形態では、前記金属板部品の上述の実施形態に係る本発明の金属板部品が製造される。
【0054】
以下、図面を参照して本発明およびその改良点をより詳細に説明するために例示的な実施形態が用いられる。これらの実施形態に示す様々な特徴は、特定の用途において個別に用いられてもよい。