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特開2017-55512分線金物外し装置及び分線金物の外し方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-55512(P2017-55512A)
(43)【公開日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】分線金物外し装置及び分線金物の外し方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20170224BHJP
   B25B 13/48 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
   H02G1/02
   B25B13/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-176493(P2015-176493)
(22)【出願日】2015年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220572
【氏名又は名称】株式会社トーツー創研
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】長田 豊
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 幸成
(72)【発明者】
【氏名】小林 常夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 真一
(72)【発明者】
【氏名】戸川 裕滋
(72)【発明者】
【氏名】小熊 亨
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AB07
5G352AC02
5G352AE04
(57)【要約】
【課題】地上から一人で容易に、分線金物の回収作業が行える分線金物外し装置及び分線金物外し方法を提供すること。
【解決手段】操作棒10と、その先端に設けられ分線金物100を把持する回収部20と、を備え、回収部20は、ガイドレール50と、その一端側に設けられフック部111の少なくとも基端側を挟むスリットと、ナット150とラチェットレンチ機構30との相対的な位置を規定するとともに、凸部115と係合し、分線金物100を係止する凹部458と、を有する把持部40と、ガイドレール50の他端側に設けられ、操作棒10と連結する摺動機構60と、ガイドレール50に沿って摺動自在に設けられ、ナット150を緩めるラチェットレンチ機構30とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作棒と、
前記操作棒の先端に設けられ、略U字形に曲げられたフック部と、前記フック部の基端側に一体に形成されるボルト部と、前記フック部と前記ボルト部の間に設けられる環状の凸部とを有するフックボルトと、前記ボルト部に挿入され、電信柱間に架設された支持線を挟持する2枚の支持板と、前記2枚の支持板よりも前記ボルト部の基端側に設けられ、前記フックボルトと螺合するナットとを備える分線金物を把持する回収部と、を備え、
前記回収部は、ガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って摺動自在に設けられ、前記ナットを緩めるラチェットレンチと、前記ラチェットレンチの空転を防止する方向に付勢する第1付勢手段と、前記ナットを緩める方向と逆方向に前記ラチェットレンチの柄を付勢する第2付勢手段と、を有するラチェットレンチ機構と、
前記ガイドレールの一端側に設けられ、前記フック部の少なくとも基端側を挟むスリットと、前記ナットと前記ラチェットレンチ機構との相対的な位置を規定するとともに、前記分線金物の前記凸部と係止する凹部と、を有する把持部と、
前記ガイドレールの他端側に設けられ前記ラチェットレンチ機構を操作する、前記操作棒と連結される摺動機構と、
を備えていることを特徴とする分線金物外し装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記分線金物の凸部が前記凹部に向かって嵌め合わされるときに、前記分線金物と当接し、前記分線金物の姿勢を保つガイドプレートを前記把持部の前記ラチェットレンチ機構と対向する位置に備えていることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項3】
前記ラチェットレンチ機構は、前記ガイドレールに設けられた押圧部材の付勢力により前記ガイドレールに沿って移動し、前記ラチェットレンチを用いて前記凹部に係止される前記分線金物の前記ナットを捉えることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項4】
前記摺動機構は、前記操作棒と連結される支持体と、前記支持体の前記操作棒と反対側の端部に連結される回動コマと、前記回動コマと前記ラチェットレンチ機構を連結するリンク部材とを有し、
前記押圧部材の付勢力を前記操作棒の回動動作により作動させ、前記ラチェットレンチ機構を前記凹部に係止された前記分線金物に向かって移動させること特徴とする請求項3に記載の分線金物外し装置。
【請求項5】
前記摺動機構は、前記回動コマが一定の角度回動したときに前記回動コマに設けられた係止突起と嵌合し、前記回動コマの回動を止めるロック機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の分線金物外し装置。
【請求項6】
前記第1付勢手段は、前記ガイドレールの他端側に設けられ前記ラチェットレンチが前記柄の戻り動作に連動して空転することを防止するばね部材であることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項7】
前記第2付勢手段は、前記第1付勢手段と反対側に設けられ、前記柄を停止位置へ付勢するばね部材であることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項8】
前記ラチェットレンチ機構と前記把持部との間に設けられ、
その一辺の中央部分に前記分線金物の前記ナットを挟む切り込みを有し、
前記把持部の前記分線金物の把持動作に連動して、前記ナットを押圧することにより、前記ボルト部を前記ガイドレールと略平行になるように前記分線金物の姿勢を整えるガイド機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項9】
前記把持部は、前記分線金物の前記フック部をガイドするスリットと、
前記凸部と当接し、前記凸部を凹部へガイドするスライド面と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分線金物外し装置。
【請求項10】
略U字形に曲げられたフック部と、前記フック部の基端側に一体に形成されるボルト部と、前記フック部と前記ボルト部の境に凸部と、を有するフックボルトと、前記ボルト部に挿入され電信柱間に架設された支持線を挟持する2枚の支持板と、前記2枚の支持板よりも前記ボルト部の基端側に設けられ、前記フックボルトと螺合するナットとを備える分線金物が固定された前記支持線から前記分線金物を回収する分線金物外し方法であって、
操作棒の先端に取り付けられる回収部の把持部を用いて前記分線金物を捉える工程と、
前記把持部において前記分線金物を捉えるときに、前記フック部の少なくとも基端側を挟むスリットに前記フックボルトを挿入し、前記把持部の前記スリットの一部に設けられる前記凸部の大きさに合わせて形成された凹部と対向する位置に前記凸部をスライドさせ、前記ナットとラチェットレンチ機構との相対的な位置を規定する工程と、
前記ナットとの相対的な位置が規定された前記ラチェットレンチ機構を操作し、前記ナットを捉える工程と、
前記ラチェットレンチ機構に捉えられた前記ナットを緩めるとともに、前記支持線から前記分線金物を外す工程と、
を備えることを特徴とする分線金物外し方法。
【請求項11】
前記ラチェットレンチ機構に嵌め込まれた前記ナットを緩めることにより、前記フックボルトが移動し、前記凸部が前記凹部と係合されることを特徴とする請求項10に記載の分線金物外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話線や光回線等の回線ケーブルの支持線の一部に取り付けられる、いわゆる分線金物を取り外すための、分線金物外し装置及び分線金物の外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、通信設備の進歩に伴って、図28に示すように、電信柱P間に架設されている回線ケーブルの交換が全国的に実施されるようになってきている。具体的な作業としては、従来のメタル回線によるドロップケーブル(引き込み線)Dを撤去し、新たに例えば光ファイバーケーブルを架設する作業が行われている。ドロップケーブルDは、各建物Hへ引き込まれるときに分線用の金物(以下、分線金物という。)100を介して架設されている。
【0003】
通常、分線金物100を介して引き込まれるドロップケーブルDは、地上から数メートルの位置に架設されている。このため、ドロップケーブルD及び分線金物100の撤去・交換作業は、高所作業車を手配し、高所作業車のバケットに乗った作業者により行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-238632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高所作業車の台数には限りがあり全ての現場へ高所作業車で移動することは難しく、また、高所作業車を使った作業は、少なくとも2人の作業者を必要とし、作業効率の低下を招来している。
【0006】
そこで、本発明においては、高所作業車を使用せずに地上から作業者一人で容易に、分線金物の回収作業を行うことが可能な、分線金物外し装置及び分線金物の外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る分線金物外し装置は、操作棒と、前記操作棒の先端に設けられる回収部とを備えている。回収部は、略U字形に曲げられたフック部と、前記フック部の基端側に一体に形成されるボルト部と、前記フック部と前記ボルト部の間に環状の凸部とを有するフックボルトと、前記ボルト部に挿入され電信柱間に架設された支持線を挟持する2枚の支持板と、前記2枚の支持板よりも前記ボルト部の基端側に設けられ、前記フックボルトと螺合するナットとを備える分線金物を把持する。前記回収部は、ガイドレールと、前記ガイドレールの一端側に設けられ、前記フック部の少なくとも基端側を挟むスリットと、前記ナットと前記ラチェット機構との相対的な位置を規定するとともに、前記分線金物の前記凸部と係止する凹部と、有する把持部と、前記ガイドレールの他端側に設けられ、前記操作棒と連結される摺動機構と、前記ガイドレールに沿って摺動自在に設けられ、前記ナットを緩めるラチェットレンチと、前記ラチェットレンチの空転を防止する方向に付勢する第1付勢手段と、前記ナットを緩める方向と逆方向に前記ラチェットレンチの柄を付勢する第2付勢手段と、を有するラチェット機構と、を備えている。
【0008】
また、本発明に係る分線金物外し方法は、操作棒の先端に取り付けられる回収部の把持部を用いて前記分線金物を捉える工程と、前記把持部において前記分線金物を捉えるときに、前記フック部の少なくとも基端側を挟むスリットにフックボルトを挿入し、前記把持部の前記スリットの一部に設けられる前記凸部の直径に合わせて形成された凹部と対向する位置に前記凸部をスライドさせ、前記ナットと前記ラチェット機構との相対的な位置を規定する工程と、前記ナットとの相対的な位置が規定された前記ラチェット機構に前記ナットを嵌め込む工程と、前記ナットを緩めるとともに、前記支持線から前記分線金物を外す工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高所作業車を使用せずに地上から容易に作業者一人で、分線金物の取り外し及び回収を可能とする分線金物外し装置及び分線金物の外し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置を示す斜視図である。
図2図2は、第2の分線金物を把持した状態の分線金物外し装置の内部構造を示す部分断面図である。
図3図3は、分線金物外し装置の使用時にラチェットレンチ機構を第2位置に移動した状態の内部構造を示す部分断面図である。
図4図4は、第1の分線金物を把持した状態の分線金物外し装置の内部構造を示す部分断面図である。
図5図5は、分線金物外し装置を図1のF5の方向からみた図である。
図6図6は、分線金物外し装置の把持部を示す側面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置の把持部の空転防止部を示す正面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置の把持部の第1プレートを示す正面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置の把持部の第2プレートを示す正面図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置の把持部のガイドプレートを示す正面図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置を図2のF11−F11で切断した状態を示す断面図である。
図12図12は、分線金物外し装置の摺動機構を示す図である(第1位置)。
図13図13は、分線金物外し装置の摺動機構を示す平面図である(第2位置)。
図14図14は、分線金物外し装置の摺動機構の内部構造を示す部分断面図である。
図15図15は、分線金物外し装置の摺動機構に配置されるロック部材の図である。
図16図16は、ロック部材を図15のF16の方向から見た状態を示す側面図である。
図17図17は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置の内部構造を示す平面図である。
図18図18は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置の内部構造を示す側面図である。
図19図19は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置のラチェットレンチ機構が第2位置に移動した状態を示す平面図である。
図20図20は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置のラチェットレンチ機構が第2位置に移動した状態を示す側面図である。
図21図21は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置のガイド機構の第1板材を示す図である。
図22図22は、分線金物外し装置の把持部の変形例を示す背面図である。
図23図23は、把持部を用いて分線金物を把持する動作を説明する動作説明図である。
図24図24は、把持部を用いて分線金物を把持する動作を説明する動作説明図である。
図25図25は、把持部を用いて分線金物を把持する動作を説明する動作説明図である。
図26図26は、第1の分線金物を示す側面図である。
図27図27は、第2の分線金物の別の形態を示す側面図である。
図28図28は、分線金物の設置状況を示す説明図である。
図29図29は、分線金物外し装置を用いて分線金物を取り外す作業を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
始めに、分線金物外し装置1について説明する前に、図26及び図27を用いて代表的な2種類の第1の分線金物100aまたは第2の分線金物100bについて説明する。なお、以下の説明において、第1の分線金物100aと第2の分線金物100bとを特に区別する必要が無い場合には、分線金物100と記載する。
【0012】
また、後述するフックボルト110a及びフックボルト110bについても、これらを特に区別する必要が無い場合には、フックボルト110と記載する。また、同様に後述するフック部111a及びフック部111bについても、これらを特に区別する必要が無い場合には、フック部111と記載する。また、同様に後述する支持板130a及び支持板130bについても、これらを特に区別する必要が無い場合には、支持板130と記載する。
【0013】
分線金物100は、例えば、図28に示すように、電信柱Pの間に架設される支持線Wの途中に設けられ、ドロップケーブルDを建物Hへ引き込む際に用いられる金具である。
【0014】
図26は、第1の分線金物100aを示す。第1の分線金物100aは、フックボルト110aと、2枚の支持板130aと、ナット150とを備えている。
【0015】
フックボルト110aは、略U字状に曲げられたフック部111aと、このフック部111aの一端に形成されたボルト部113と、フック部111aとボルト部113の境に設けられ、支持板130の移動を規制するストッパーである凸部115と、を有する。
【0016】
フック部111aの先端119は、支持板130aと若干重なる位置まで折り返し延びている。ボルト部113は、フック部111aと略同径の円柱状を有し、フック部111aの基端側に形成されている。凸部115は、フック部111aとボルト部113の境界に設けられるフランジ状(略円環状)の固定物である。
【0017】
支持板130aは、ボルト部113に挿入され支持線Wを挟持する2枚の板状の部材である。支持板130aの略中央部にはボルト部113を挿通する孔(図示せず)が設けられている。また、支持板130aの内面には、支持線Wを挟持する溝131が設けられている。
ナット150は、2枚の支持板130aが配置されたフックボルト110aのボルト部113と螺合し、凸部115との間で支持板130を挟持して固定する。
【0018】
このような、第1の分線金物100aは、2枚の支持板130aの間の溝131に支持線Wを配置し、ボルト部の先端117からナット150をねじ込むことで、支持線Wを2枚の支持板130aの間に挟み固定する。
【0019】
また、第2の分線金物100bは、図27に示すように、第1の分線金物100aと同様にフックボルト110bと、2枚の支持板130bと、ナット150とを備えている。
【0020】
第1の分線金物100aと第2の分線金物100bとの相違点は、図26に示すように、第1の分線金物100aのフック部111aの先端119は、支持板130と若干重なる位置まで折り返し延びている。これに対して、図27に示すように、第2の分線金物100bのフック部111bの先端119は、支持板130bと重なることがない。また、第2の分線金物100bは、フック部111bに掛けられた屋外線引留め金具(図示せず)が外れることを防止する板ばね状の抜け止め部材112がフック部111bの開口部に設けられている。
【0021】
ここで、第1の分線金物100aと同一の符号を付して記載している部分は、同一の部材である。特に、凸部115は、第1の分線金物100a及び第2の分線金物100bで共通の位置に設けられ、略同じ径を有し、略同じ高さを有する円環状の固定部材である。
【0022】
次に、上述の支持線Wに固定されている分線金物100を後述する分線金物外し装置1を用いて回収する様子について、図28及び図29を用いて簡単に説明する。
【0023】
図28に示すように、分線金物100は、通常、電信柱Pの高所に架設されている支持線Wに設けられている。まず、作業者は、図29に示すように、支持線Wに固定されている回収が必要な分線金物100を確認する。作業者は、分線金物外し装置1を使用して作業を開始する。作業者は、後述する操作棒10を分線金物100に向かって伸ばす。その後に、作業者は、操作棒10の先端に設けられている後述する回収部20を分線金物100の周囲を囲むようにセットする。この状態で、作業者は、後述するラチェットレンチ機構30を駆動し、後述する操作ひも318を操作することで、ナット150を緩め、支持線Wから分線金物100を取り外して回収する。
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態に係る分線金物外し装置1について図1から図16を参照して説明する。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置1の斜視図である。図2は、第2の分線金物100bを把持した分線金物外し装置1の内部構造を示す部分断面図である。図3は、分線金物外し装置1の使用時にラチェットレンチ機構30を第2位置に移動した状態を示す部分断面図である。図4は、第1の分線金物100aを把持した状態の分線金物外し装置1の内部構造を示す部分断面図である。図5は、分線金物外し装置1を図1のF5の方向からみた図である。図6は、分線金物外し装置1の把持部40を示す側面図である。図7は、把持部40の空転防止部41を示す正面図である。図8は、把持部40の第1プレート43を示す正面図である。図9は、把持部40の第2プレート45を示す正面図である。図10は、把持部40のガイドプレート47を示す正面図である。図11は、分線金物外し装置1を図2のF11−F11で切断した状態を示す断面図である。図12は、分線金物外し装置1の摺動機構60を示す図である(第1位置)。図13は、分線金物外し装置1の摺動機構60を示す平面図である(第2位置)。図14は、分線金物外し装置1の摺動機構60の内部構造を示す部分断面図である。図15は、分線金物外し装置1の摺動機構60に配置されるロック部材67の図である。図16は、ロック部材67を図15のF16の方向から見た状態を示す側面図である。
【0026】
以下、第1の実施形態に係る分線金物外し装置1の構成について説明する。
【0027】
分線金物外し装置1は、図1に示すように、操作棒10と回収部20とを備えている。
【0028】
始めに、操作棒10について簡単に説明する。図29に示すように、本実施形態に示す分線金物外し装置1の操作棒10は、例えば、複数の円筒部材を伸縮自在に連結した棒状部材を用いることができる。回収部20と接続される側の先端には、例えば、ネジ機構を備え、回収部20と締結される。一方、基端部側には、図29に示すように、操作棒10の操作を安定させるための足で踏むことができるステップSが設けられている。
【0029】
このような構成を有する操作棒10は、回収が必要な分線金物100が取り付けられている高さに合わせて、操作棒10の伸縮量を調整することができる。また、基端部側にステップSを備えていることにより、作業者の手の力だけでは操作棒10を支持することが困難な場合においても、ステップSを踏むことにより、分線金物外し装置1を支えることができる。また、ステップSを脚で支える構造としているため、一方の手で操作棒10を把持しながら、他方の手で後述する操作ひも318を操作することができる。このため、回収操作における、作業性及び安全性を確保することができるとともに、作業者の疲労を軽減することができる。
【0030】
なお、操作棒10の材料としては、軽量であって、ある程度の強度を有し、絶縁性を有していることが好ましい。例えば、樹脂材料やFRP等を採用することができる。
【0031】
次に、第1の実施形態に係る分線金物外し装置1の回収部20の構造について図1図16を用いて説明する。
【0032】
回収部20は、図1及び図2に示すように、2本のガイドレール50と、ガイドレール50の一端側に設けられる把持部40と、他端側に設けられる摺動機構60とを備えている。また、把持部40と摺動機構60の間には、ガイドレール50を摺動可能なラチェットレンチ機構30が設けられている。
【0033】
把持部40は、図1に示すように、ガイドレール50を覆い外殻を形成する略方形のカバー21の一端側に固定される。把持部40は、図2に示すように、分線金物100を把持する。把持部40は、支持線Wに固定されている分線金物100を捉え、ラチェットレンチ機構30とナット150の相対的な位置を規定する。
【0034】
ラチェットレンチ機構30は、図3に示すように、把持部40に把持されている分線金物100のナット150と嵌め合わされナット150を緩める方向に回動する。
【0035】
摺動機構60は、図2及び図3に示すように、操作棒10と連結され、ラチェットレンチ機構30をガイドレール50に沿って摺動させる。
【0036】
把持部40は、図5及び図6に示すように、空転防止部41、第1プレート43、第2プレート45及びガイドプレート47の4つの部材を有している。
第1プレート43は、ほぼ矩形の板部材であり、図5及び図8に示すように、第1プレート43の下辺部432の中央部から、第1プレート43の中心へ向けてスリット430が設けられている。スリット430は、下辺部432から開口幅が徐々に先細になるように傾斜している第1スリット431と、フック部111の径よりも少し大きな幅を有する直線状の第2スリット433とを有している。
【0037】
また、図5に示すように、第1プレート43の表面側の第1面435には、第2スリット433の周縁を囲むように、空転防止部41が突設されている。そして、図6に示すように、第1プレート43の裏面側の第2面437には、第2プレート45が固定されている。
【0038】
空転防止部41は、図5に示すように、第2スリット433の周縁に沿って対向して設けられる2つの側壁410と、2つの側壁410を連絡する連絡壁411とを有するほぼU字状の部材である。空転防止部41は、分線金物100のフック部111を2つの側壁410の間に挟み拘束して空転を防止する。すなわち、空転防止部41は、例えば、図2に示すように、第2の分線金物100bを把持した状態でフック部111bがボルト部113の軸方向に回動することを規制するものであればよい。なお、側壁410の突出量については、特に規定してはいないが、分線金物100のフック部111の先端119が側壁410の間に収まるように設けられていればよい。
【0039】
第2プレート45は、図6に示すように、第1プレート43の第2面437に重ねて配置される。第2プレート45は、図9に示すように、第1プレート43と略同形状の部材である。すなわち、第2プレート45は、第1プレート43と同じ位置にスリット450が設けられている。ここで、第2プレート45の第1スリット451の正面形状は、第1プレート43の第1スリット431とほぼ同じである。一方、第2プレート45の第2スリット453の形状は、第1プレート43の第2スリット433とは異なっている。
【0040】
具体的には、図9に示すように、第2プレート45の第2スリット453は、第2スリット453を形成する対向する2辺の一部が湾曲し、湾曲部457を形成する。湾曲部457は、第1プレート43と重ねて配置されたときに、凹部458を形成する。ここで、凹部458の直径は、分線金物100の環状の凸部115よりも若干大きく形成される。また、凹部458の深さは、例えば、図2に示すように、凸部115の高さと略同一またはそれ以上に形成されている。言い換えれば、凹部458は、分線金物100の凸部115が容易にはめ込まれ、且つ、滑り落ちることがない深さを備える。すなわち、図9に示す、凸部115の図示下側と、凹部458のスリット450を跨いで両側とが当接し、分線金物100を支持する。また、第2プレート45は、図6に破線で示すように、2つのガイドレール50の一端を固定するための2つの孔459を有する。
【0041】
ガイドプレート47は、図6に示すように第2プレート45の第1プレート43と反対側の面に取り付けられる板状の部材である。ガイドプレート47は、第2プレート45の図示上端側において、第2プレート45の2つの孔459とそれぞれ重なる位置に2つの孔479が配置される。ガイドプレート47の2つの孔479は、上述の第2プレート45と共に2つのガイドレール50の一端を固定する。また、ガイドプレート47は、図10に示すように、図示下側の辺の中央部からガイドプレート47の中心に向かって湾曲した湾曲部473を備えている。湾曲部473は、分線金物100のフック部111の断面径よりも大きく切り欠かれた略半円状の部分である。湾曲部473は、図4に示すように、第1の分線金物100aが分線金物外し装置1に把持されている状態において、フックボルト110aを内側から支持し、第1の分線金物100aの空転を防止する。
【0042】
また、図6及び図10に示すように、ガイドプレート47の下端には、壁部471を有している。壁部471は、例えば、図4に示すように、第1の分線金物100aが分線金物外し装置1に把持されるときに、支持板130が誤ってガイドレール50と当接することを防止する。また、壁部471は、図2に示すように、フック部111bが短い第2の分線金物100bを把持する場合においては、第2の分線金物100bの図示上方向の移動を規制し、凹部458へ凸部115を係止し易くする。
【0043】
このような構造を備える把持部40は、上記の4つの部材により、図26に示す第1の分線金物100a及び図27に示す第2の分線金物100bのどちらの分線金物100も落下させることなく把持することができる。すなわち、把持部40は、第1の分線金物100aと第2の分線金物100bに略共通する凸部115と支持板130との位置関係を用い、凹部458に凸部115を嵌めこむとともに係止することができる。
【0044】
次に本実施形態に係る分線金物外し装置1のラチェットレンチ機構30について図1乃至図3図11を用いて説明する。
ラチェットレンチ機構30は、図2に示すように、回収部20の一端側の把持部40と他端側に設けられるエンドプレート23の間において、2本のガイドレール50に沿って摺動自在に配置される。
【0045】
ラチェットレンチ機構30は、簡単に言えば分線金物100のナット150をラチェットレンチ31に嵌めこみ、ナット150を緩める方向に回動させるための装置である。
【0046】
ラチェットレンチ機構30は、図2に示すように、ガイドレール50に貫通して配置されるスライド板33及び背板35と、スライド板33及び背板35の間に設けられるラチェットレンチ31とを有する。
【0047】
スライド板33は、図2及び図11に示すように、把持部40と略並行に配置される矩形の板材である。スライド板33は、図11に示すように、図示略中央の下側に分線金物100のナット150を収容する略円形の開口部330を備えている。また、スライド板33は、2本のガイドレール50が挿通する孔部331を有する。スライド板33は、孔部331に挿通されたガイドレール50に沿って摺動可能に配置されている。
【0048】
背板35は、図2に示すように、スライド板33と略並行に配置される板状の部材である。背板35は、スライド板33とラチェットレンチ31を介して設けられる。背板35は、スライド板33と屋根板37により連結される。これにより、背板35は、スライド板33と連動し、ガイドレール50に沿って摺動可能に配置される。
【0049】
ラチェットレンチ31は、円筒部310と柄315と、第1コイルばね(第1付勢部材)311と、第2コイルばね(第2付勢部材)313と、を有する。円筒部310は、図2及び図11に示すように、柄315の一端側に設けられる。円筒部310は、外筒部319と外筒部319の内側に沿って回動可能に設けられ、ナット150と嵌め合いナット150を緩める方向に回すレンチ317とを備えている。レンチ317は、いわゆるラチェット機構を有し、一方向のみ回動可能に構成されている。
【0050】
ラチェットレンチ31は、スライド板33と背板35の間に固定され、スライド板33及び背板35と共にガイドレール50に沿って摺動自在である。
【0051】
第1コイルばね311は、図2に示すように、円筒部310の背板35側から突出した位置に設けられる。第1コイルばね311は、レンチ317の空転を防ぐ方向にレンチ317を付勢する。すなわち、第1コイルばね311は、いわゆるワンウェイばねである。なお、空転とは、ナット150がボルト部113に締め付けられている状態から緩められたときに、柄315の戻し動作(図11において矢印Qで示す反時計回りに回動する動作)に連動してレンチ317とナット150が一緒に回動して、実質的にナット150がその位置よりも緩まなくなることである。
【0052】
第2コイルばね313は、図2に示すように、第1コイルばね311と円筒部310を介して反対側に設けられる付勢手段である。第2コイルばね313は、柄315を矢印Qの方向へ回動させるためのいわゆる戻しばねである(図11参照)。すなわち、第2コイルばね313は、ナット150を緩めるために図示下方向に降ろされた柄315を矢印Q方向へ戻すための付勢手段である。
【0053】
また、図1に示すように、ラチェットレンチ機構30の柄315の他端側には、操作ひも318が設けられる。操作ひも318の一端部は、図1に示すように、柄315の端部に結び付けられる。操作ひも318の他端部は、図29に示すように、地上側の作業者の手元側まで延出されている。作業者は、操作ひも318の他端部を操作棒10の軸方向に沿って引っ張ることにより、柄315を所定の角度の範囲において回動させることができる。なお、柄315は、操作ひも318により引っ張られる力が第2コイルばね313の付勢力よりも小さくなると、操作ひも318により引っ張られる力に抗して所定の位置まで戻る。ここで、操作ひも318の材料は特に限定されていない。本実施形態においては、例えば、絶縁性や強度を考慮して、KEVLAR(登録商標)を含むひもを使用した。
【0054】
ガイドレール50は、図2に示すように、把持部40の第2プレート45からエンドプレート23に亘ってカバー21と略平行に配置される2本の棒部材である。ガイドレール50には、上述の通りラチェットレンチ機構30が摺動自在に配置されている。ガイドレール50のラチェットレンチ機構30とエンドプレート23との間には、コイルばね51が配置されている。コイルばね51は、ラチェットレンチ機構30を把持部40へ向かって付勢する。
【0055】
続いて、摺動機構60について図1図3図12図16を用いて説明する。
摺動機構60は、ラチェットレンチ機構30をガイドレール50に沿って移動させるための装置である。摺動機構60は、図1に示すように、回収部20の他端側に設けられるブロック状の筐体61の内部に設けられている。すなわち、摺動機構60は、把持部40、ガイドレール50、ラチェットレンチ機構30とは、別体に構成され、第1連結具71及び第2連結具73により連結される。
【0056】
摺動機構60は、図2に示すように、支持部63と、回動コマ65と、ロック部材67と、を備えている。
【0057】
支持部63は、図2に示すように、筐体61の内側に設けられる筒状の操作棒10の固定具である。すなわち、操作棒10は、支持部63の図示下側から挿入され、その先端を支持部63と固定する。なお、操作棒10の先端にはねじ機構が設けられ、支持部63の先端位置に設けられるねじ穴と螺合することにより連結される(図示せず)。また、支持部63は、図2に示すように、筐体61の内側に配置されたコイルばね631により把持部40側へ向かって付勢される。
【0058】
回動コマ65は、図2に示すように、支持部63の図示上端に配置される円柱状の回動部材である。回動コマ65は、操作棒10と連動し、操作棒10を回すことにより回動する。また、図12に示すように、回動コマ65の支持部63と対向する面と反対側の面には、連結突起651及び係合突起653が並んで設けられている。
【0059】
連結突起651は、図2及び図12に示すように、円柱状の突起であり、その側面に後述するワイヤ69の一端が固定されている。また、係合突起653は、連結突起651よりも突出量が少ない円柱状の突起である。係合突起653は、ロック部材67と係合することにより、回動コマ65の回動を制動する。
【0060】
次に、ロック部材67について、図2図12図15及び図16を用いて説明する。
【0061】
図15は、第1の実施形態に係る分線金物外し装置1のロック部材67を筐体61から取り出した状態を示す平面図であり、図16は、図15に示すロック部材67を図15のF16の方向からみた側面図である。
ロック部材67は、図2に示すように、筐体61の図示上方に配置される。言い換えれば、ロック部材67は、筐体61の内部において、回動コマ65の端面よりも少し上側に隙間を空けて固定されている。ロック部材67は、図15に示すように、略長方形を有し、その一部に凸部671を備えた形状をしている。また、図16に示すように、凸部671の裏側には、内側に凹む凹部675と先端に向かって先細く形成される傾斜面673を有する鉤部677を有している。
【0062】
第1連結具71及び第2連結具73は、図1及び図2に示すように、摺動機構60とカバー21とを連結する。第2連結具73は、複数のねじ止め孔を備えている。作業者は、第2連結具73に設けられた複数のねじ止め孔の一つを選択し筐体61と固定する。そして、選択されたねじ孔により、作業者は、把持部40を複数段階の角度に調節することができる。
【0063】
続いて、摺動機構60の摺動動作について、図2図3図12図13を用いて説明する。図2及び図12は、ラチェットレンチ機構30がナット150を捉える前の状態示している。以後、この位置を第1位置とする。図3及び図13は、ラチェットレンチ機構30がナット150を捉えた状態を示している。以後、この位置を第2位置とする。
【0064】
本実施形態に係る分線金物外し装置1は、分線金物100を捉える前は、第1位置にセットされている(図2参照)。このときの摺動機構60の連結突起651及び係合突起653は、図2及び図12に示す位置にある。すなわち、回動コマ65に設けられた連結突起651は、筐体61の背面611側に配置された状態にある。言い換えれば、第1位置とは、ラチェットレンチ機構30がガイドレール50に沿ってコイルばね51の付勢力に抗してエンドプレート23側へ移動している状態であり。これは、いわゆるスライダリンク機構における一方のスライド死点(第1スライド死点)である。なお、連結突起651は、ワイヤ69によりラチェットレンチ機構30の固定端371と連結される。
【0065】
次に、第2位置について説明する。第2位置は、図3に示すように、ラチェットレンチ機構30がガイドレール50に沿ってコイルばね51の付勢力を受けて把持部40側へ移動している状態をいう。これは、いわゆるスライダリンク機構における他方のスライド死点(第2スライド死点)にある状態である。
【0066】
続いて、摺動機構60を用いた第1位置から第2位置へのラチェットレンチ機構30の移動について説明する。
第1位置にセットされた回動コマ65は、操作棒10の回動動作をトリガーとして第2位置へ向かって回動を開始する。第1位置において、連結突起651は、ワイヤ69の固定端371及び回動コマ65の回動軸655と直線上に位置している(第1スライド死点)。このため、連結突起651に係るコイルばね51の付勢力は、回動コマ65を回転させる力へと変換されることなくラチェットレンチ機構30をエンドプレート23側で支持する。一方、回動コマ65に少しの回動力が付与されると、上述の3点を結ぶ直線から連結突起651が外れる。回動コマ65には、当初に与えられた回動力に加えて、連結突起651に係るコイルばね51の付勢力が付加される。すなわち、回動コマ65は、コイルばね51の付勢力を受けながら回動する。連結突起651がエンドプレート23に最も接近すると、回動コマ65の回転が停止する(図13参照)。連結突起651の回動が停止した位置(第2スライド死点)、すなわち第2位置において、ラチェットレンチ機構30は、分線金物100のナット150を捉える。このようにして、摺動機構60は、ラチェットレンチ機構30をガイドレール50に沿って移動させる。
【0067】
以下、ロック部材67を用いたロック機構について図12乃至図14を用いて説明する。
【0068】
図12及び図13に示すように、回動コマ65が第1位置から第2位置まで回動すると、回動コマ65の端面650に固定されている係合突起653及び連結突起651は、連動して回動する。
【0069】
連結突起651は、エンドプレート23と最も近づく位置まで回動する。係合突起653は、連結突起651よりも前に設けられている。このため、係合突起653は、ロック部材67の凸部671の裏側に設けられた傾斜面673を乗り越え、凹部675へ入り込む。これにより、係合突起653は、図16に示す鉤部677に係止され、回動コマ65の回動を制限する。
【0070】
ここで、図2及び図14に示すように、支持部63は、コイルばね631により、筐体61の表面613側へ押圧されている。言い換えれば、係合突起653は、凹部675の内部において、コイルばね631により底部679へ向かって付勢される。このため、一度、傾斜面673を越えて凹部675へ挿入された係合突起653は、戻ることができなくなる。
【0071】
一方、ロック部材67と係合突起653とのロックの解除方法は、第1にコイルばね631の付勢力に抗して支持部63を押圧する。第2に支持部63への押圧力を維持した状態で、回動コマ65をロック方向とは逆方向に回動する。このようにすることにより、ロック部材67の凹部675に係止されていた係合突起653は、鉤部677を乗り越えロックが解除される。すなわち、係合突起653の先端部が底部679から離間する方向に回動コマ65を傾斜させた状態で回動コマ65を回動させる。これにより、係合突起653と凹部675との係合が解除される。
【0072】
次に、分線金物外し装置1を用いた分線金物100の回収操作について説明する。
【0073】
始めに、図29に示すように、回収部20を操作棒10の先端に連結し固定する。図29に示すように、作業者は、高所に架設されている支持線Wの一部に固定されている分線金物100の位置を確認する。
次に、作業者は、図29に示すように、操作棒10を伸ばし回収部20の把持部40の下辺部432が支持線Wを超える高さまで回収部20を持ち上げる。
【0074】
作業者は、操作棒10を操作し、持ち上げられた回収部20の把持部40に設けられたスリット430に分線金物100のフック部111が収まるように調整する。このとき、作業者は、フック部111が空転防止部41の2つの側壁410の間に収まる位置にあることを確認する。
【0075】
分線金物100のフック部111がスリット430に収まる位置において、作業者は、回収部20を支持線Wと当接する位置まで下降させる。これにより、フック部111が第2スリット433に収まる。
【0076】
なお、作業者の技量により左右に回収部20が揺れた場合においても、テーパ状に形成された第1スリット431が第2スリット433へのフック部111の導入をガイドする。そして、作業者は、フック部111を第1スリット431の傾斜に沿って、第2スリット433へ挿入する。
【0077】
作業者は、第2スリット433へフック部111が導入されたことを確認したら、把持部40側の支持板130を把持部40の第2プレート45に接触させるように、上下方向に操作する。すると、分線金物100に設けられている凸部115は、支持板130の一端と把持部40のガイドプレート47の壁部471が当接するよりも、若干下側において、第2プレート45に設けられている凹部458と係合する。分線金物100は、凸部115が凹部458と係合することにより、把持部40に係合される。また、ここで凸部115が凹部458と係合することにより、ラチェットレンチ機構30とナット150との位置決めがされる。
【0078】
続いて、作業者は、分線金物100が把持されたことを確認した後、操作棒10を回動させて、ラチェットレンチ機構30を第1位置から第2位置へ移動させる(図2図3参照)。ここで、作業者は、ラチェットレンチ機構30が第2位置へ移動するとラチェットレンチ機構30の移動を防止するため、操作棒10を更に回動させて上述のロック機構を作動させる。
【0079】
作業者は、ラチェットレンチ機構30の円筒部310がナット150を取り込んだことを確認したら、ラチェットレンチ31の柄315の端部に設けられた操作ひも318を図5に示すように矢印R方向へ向けて引っ張る。これにより、作業者は、ラチェットレンチ機構30の円筒部310の内側に納められているナット150を回動し緩めることができる。
【0080】
作業者は、ラチェットレンチ機構30の柄315を所定の回数往復動作した後、分線金物100が支持線Wから外れていることを確認する。作業者は、支持線Wが支持板130により挟持されていない場合、回収部20を支持線Wよりも高い位置へ持ち上げることにより、分線金物100を支持線Wから取り外すことができる。
【0081】
このような本実施形態における分線金物外し装置1を用いた、分線金物100の取り外し作業において、把持された分線金物100は、把持部40の凹部458とラチェットレンチ機構30により保持されているため、落下することがない。また、緩んだナット150は、円筒部310の内部に収容されているため落下することがない。
【0082】
その後、作業者は、操作棒10を収縮させて回収部20に保持されている分線金物100を回収し、分線金物100の取り外し作業を終了する。
【0083】
このような構造を有する第1の実施形態に係る分線金物外し装置1及び分線金物外し方法は、地上から作業者一人で支持線Wに固定されている分線金物100を容易に回収することができる。
【0084】
また、分線金物外し装置1は、把持部40にスリット430が設けられていることから、多少、回収部20を持ち上げた場所が異なっている場合においても、分線金物100に容易にアクセスできる。また、第1スリット431は、下辺部432に向かって広がる切り込みであるため、容易にフック部111を引っ掛けることができる。
【0085】
また、把持部40には、凹部458が設けられている。凹部458は、凸部115を係合する。凸部115は、種々の形状を有する分線金物100において、一つの共通する部分である。このため、凸部115を基準として分線金物100を取り外す分線金物外し装置1は、どんなタイプの分線金物100を取り外す場合においても用いることができる。
【0086】
また、分線金物外し装置1は、ラチェットレンチ機構30の柄315に第2コイルばね313を設け、柄315を付勢している。このため、ナット150を緩めるストローク毎に柄315を手動で開始位置へ戻す必要ない。
【0087】
また、分線金物外し装置1は、ラチェットレンチ機構30の円筒部310の背板35側に第1コイルばね311を有している。このため、緩み始めたナット150と連動して円筒部310の内側に設けられているレンチ317が空転することを防ぐことができる。このため、作業者は、柄315を単純に往復動させるのみで、レンチ317を確実にナット150が緩む方向に継続的に回動させることができる。
【0088】
また、分線金物外し装置1は、ロック部材67を備えている。このため、回収部20は、ラチェットレンチ機構30とナット150が嵌め合わさった後に、操作棒10の位置の調整等により、分線金物100を誤って取り逃がしてしまうこと防ぐことができる。
【0089】
また、ロック部材67のロック機構は、操作棒10の軸を中心に操作棒10を回動させるだけの簡単な操作である。このため、作業者は、容易にロック機構を動作させることができる。また、作業者は、支持部63をコイルばね631の付勢力に抗して傾斜させながら、操作棒10を逆方向へ回動させることにより、ロックを容易に解除することができる。このため、作業者は、複数の分線金物100の回収が必要な場合においても、一つ目の分線金物100を回収後、すぐに次の作業を始めることができる。
【0090】
また、ガイドレール50に設けられるコイルばね51は、一定の付勢力で分線金物100を押圧している。このため、支持線Wから分線金物100が取り外されたときにも、分線金物外し装置1は、分線金物100を継続して把持することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る分線金物外し装置1及び分線金物外し方法は、把持部40及びラチェットレンチ機構30を含む部分と摺動機構60との連結角度を調節することが可能な第2連結具73を備える。このため、作業者は、支持線Wに固定されている分線金物100の設置角度を確認後、第2連結具73のねじ止め位置を調整して、分線金物100へのアクセス角度を調整することができる。これにより、作業者は、様々な取付け角度を有する分線金物100にも容易に対応することができる。
【0092】
すなわち、作業者は、分線金物100の取り付けられている角度に応じて、もっとも把持しやすい角度に分線金物外し装置1を調節して分線金物100の回収を行うことができる。これにより、作業者は、作業性が向上し、作業時間を短縮することができる。また、第2連結具73は、分線金物100の取付け角度に合わせて、操作棒10を種々の角度に傾ける動作を減少させる。このため、第2連結具73を有する分線金物外し装置1は、作業者の疲労を低減することができる。
【0093】
また、第2プレート45は、図9に示すようにスリット450を介して対向する両辺の図示下側の一部に2ヶ所の切欠き452を有している。
例えば、住宅密集地等において、多数の引き込み線が複雑に架線されている場合、2つの分線金物100が支持線Wに近接して配置されることがある。本実施形態に係る分線金物外し装置1は、切欠き452を把持部40に備えることにより、一方の分線金物100を取り外すために把持するときに、第2プレート45の切欠き452が他方の分線金物100に当接し把持動作が妨げられることを防ぐ。このため、作業者は、複数の分線金物が近接して配置されている場合においても、把持部40を対象の分線金物100のフック部111にセットすることが可能である。
【0094】
また、分線金物外し装置1の回収部20において、把持部40は、カバー21に直接固定されている。このため、作業者が分線金物100を捉えるために支持線Wに把持部40のスリット430を引っ掛けるために強く引っ張った場合においても、ガイドレール50が曲がることがない。このため、ラチェットレンチ機構30は、長時間の使用においても常にガイドレール50に沿ってスムーズに移動可能である。
【0095】
次に第2の実施形態に係る分線金物外し装置1bについて図17図21を用いて説明する。なお、分線金物外し装置1bにおいては、第1の実施形態の分線金物外し装置1と同じ部材については、同一の符号を付しその説明は省略する。
【0096】
図17は、第2の実施形態に係る分線金物外し装置1bの内部構造を示す平面図である。図18は、分線金物外し装置1bの内部構造を示す側面図である。図19は、分線金物外し装置1bの内部構造を示す平面図である。図20は、分線金物外し装置1bの内部構造を示す側面図である。なお、図17及び図18は、ラチェットレンチ機構30が第1位置にある状態を示している。また、図19及び図20は、ラチェットレンチ機構30が第2位置にある状態を示している。
【0097】
第1の実施形態に係る分線金物外し装置1と第2の実施形態に係る分線金物外し装置1bとの相違点について説明する。
【0098】
分線金物外し装置1と分線金物外し装置1bとの主要な相違点は、大きく2つある。1つ目の相違点は、支持線Wに固定されている分線金物100を把持するときに、分線金物100の分線金物外し装置1b内における姿勢を調整するガイド機構80が付加されている点である。
【0099】
2つ目の相違点は、摺動機構60bのリンク部材69bである。すなわち、分線金物外し装置1においては、リンク部材としてワイヤ69を用いていた。これに対して、分線金物外し装置1bにおいては、ラチェットレンチ機構30とのリンク部材69bとして略長方形の板材を用いている点である。
【0100】
まず初めにガイド機構80について図18および図21を用いて説明する。
ガイド機構80は、ナット押さえ81と、緩衝ばね87とを備えている。ナット押さえ81は、図18に示すように2枚の大きさの異なる第1板材83及び第2板材85を含む。図21に示すように、第1板材83は、略長方形の板部材である。第1板材83は、図21に示すように、図示下端側に切り込み831を備えている。切り込み831は、ナット150の回転円の直径よりも少し大きな幅を有している。切り込み831の開口部835側は、外側に広がる傾斜辺837が設けられている。一方、第2板材85は、図18に示すように、第1板材83よりも小さく、第1板材83の把持部40側に取り付けられる。第2板材85は、第1板材83を支える補強材である。
【0101】
図17に示すように、ラチェットレンチ機構30とナット押さえ81との間に緩衝ばね87が配置される。具体的には、緩衝ばね87は、一端を第1板材83の端部に固定し、他端をラチェットレンチ機構30のスライド板33に設けられた突起部333に固定される。すなわち、第1位置において、緩衝ばね87は、ラチェットレンチ機構30とナット押さえ81とを所定の幅を空けてばね支持する。
【0102】
続いて、ガイド機構80の動作について図17図20を用いて説明する。
作業者は、分線金物外し装置1bの回収部20の把持部40を支持線Wに固定されている分線金物100に対して、図示上側から分線金物100を覆い、フック部111をスリット430で押さえる。ここで、ガイド機構80に設けられたナット押さえ81は、分線金物100のナット150を図18及び図21に示すように第1板材83で挟持する。
【0103】
ナット押さえ81の作用について簡単に説明する。ナット押さえ81は、回収部20を用いて、支持線Wに固定された分線金物100を把持するときに、分線金物100がガイドレール50に対して傾斜して把持されることある。このように把持された分線金物100は、ラチェットレンチ機構30とナット150との嵌合を難しくする。ナット押さえ81は、把持動作をするときに分線金物100のナット150側を把持するとともに、分線金物100がガイドレール50に対してほぼ並行になるように、ガイドする部材である。
【0104】
以下、支持線Wに傾斜して固定されている分線金物100を把持する場合を例として、ガイド機構80のナット押さえ81について図18を用いて説明する。
【0105】
回収部20を用いてボルト部113側が支持線Wよりも高い位置にある分線金物100を把持する場合、把持部40のスリット430にフック部111が入り始めたときに、既にボルト部113は、ガイドレール50へ向かって斜めに挿入されている状態にある。
【0106】
ここで、ガイド機構80のナット押さえ81は、図21に示す切り込み831でナット150を挟むとともに、ガイドレール50からボルト部113を離間する方向に押圧する。図17に示すように、ガイド機構80は、ラチェットレンチ機構30に弾性支持されている。このため、分線金物100の把持時の力を吸収するとともに、分線金物100の把持姿勢を調整することができる。
【0107】
次に、図19に示すように、摺動機構60bが操作され第2位置にラチェットレンチ機構30が移動する。ラチェットレンチ機構30は、緩衝ばね87の付勢力に抗してナット押さえ81へ向かって移動する。ラチェットレンチ機構30は、ラチェットレンチ31とナット150と嵌め合わす。
【0108】
そして、上述の通り、ラチェットレンチ31が動作し、ナット150が緩む。ここで、緩衝ばね87の付勢力は、支持板130を把持部40へ向かって押圧している。なお、緩衝ばね87の付勢力は、ナット150が緩み2枚の支持板130の間に隙間が生じることを妨げない。すなわち、緩衝ばね87の付勢力は、2枚の支持板130の間に挟まれた支持線Wが2枚の支持板130に向かって作用する反力よりも小さい。
【0109】
なお、緩衝ばね87の取付け位置は上記構成に限られない。例えば、緩衝ばね87は、その一端をナット押さえ81とし、他端をカバー21の上蓋27に取り付けてもよい。この場合においても、緩衝ばね87は、分線金物100の支持板130の厚みに合わせて移動し、ナット150を把持することが可能である。
【0110】
次に摺動機構60bについて図17図20を用いて説明する。摺動機構60bは、第1の実施形態の分線金物外し装置1の摺動機構60とほぼ同じ構成を備えている。
【0111】
すなわち、摺動機構60bは、ラチェットレンチ機構30をガイドレール50に沿って移動させるための装置である。摺動機構60bは、図17及び図18に示すように、回収部20の他端側のエンドプレート23で隔てられる部屋に設けられる。すなわち、摺動機構60bは、把持部40、ガイドレール50、ラチェットレンチ機構30とは、別室に配置される。
【0112】
摺動機構60bは、図17及び図18に示すように、第1の実施形態の摺動機構60と同様に、支持部63と、回動コマ65と、ロック部材67と、を備えている。各部材において、第1の実施形態と同様の働きをするものについては、その詳細な説明を省略するとともに、第1の実施形態で付した符号と同じ符号を用いて示している。
【0113】
以下、摺動機構60bについて、第1の実施形態の摺動機構60の構成と異なる箇所を説明する。
【0114】
回動コマ65は、図17及び図18に示すように、回動コマ65の支持部63と対向する面と反対側の面には、連結突起651及び係合突起653が並んで設けられている。
【0115】
そして、連結突起651には、いわゆるスライダリンク機構に用いられる薄型で板状の略長方形のリンク部材69bの一端が固定されている。リンク部材69bは、他端を背板35に設けられた突起351に取り付けられている。すなわち、リンク部材69bは、図19に示すように、回動コマ65を矢印の方向に回動させる運動をガイドレール50に沿ってラチェットレンチ機構30を往復動させる運動に変換する。
【0116】
このような構成を有する分線金物外し装置1b及び分線金物外し方法においては、支持線Wに種々の角度で固定されている分線金物100に対して、分線金物外し装置1bの把持部40の角度を調節する必要がない。すなわち、分線金物外し装置1bは、支持線Wに固定されている分線金物100を把持するときに、ガイド機構80のナット押さえ81が分線金物100のナット150を挟持するとともに、図18の図示下向へ向かって押圧する。これにより、例えば、分線金物100がガイドレール50に対して斜め方向に図示下側から挿入された場合においても、ガイド機構80のナット押さえ81が分線金物100の支持板130が把持部40と略平行になるように姿勢を整えることができる。これにより、分線金物外し装置1bは、傾斜して固定されている分線金物100についても容易に把持部40に設けられた凹部458に嵌め込むことができる。言い換えれば、ガイド機構80は、分線金物100がガイドレール50に向かって斜めに入り込み、ラチェットレンチ機構30との把持部40との間に挟まれることを防ぐ。
【0117】
また、分線金物外し装置1b及び分線金物外し方法においては、ガイド機構80により分線金物100の把持姿勢を調整することができる。このため、分線金物外し装置1bは、把持部40及びラチェットレンチ機構30と、摺動機構60とを別体に形成し、その間を第1連結具71及び第2連結具73を用いて接続する必要がない。このため、第2の実施形態においては、部品点数を減らすことができる。
【0118】
また、本実施形態に係る分線金物外し装置1b及び分線金物外し方法において、ラチェットレンチ機構30と摺動機構60bとのリンク部材69bは、板材を採用している。このため、構成が単純であり壊れにくい。
【0119】
次に、本実施形態に係る分線金物外し装置1の把持部40の変形例について図22図25を用いて説明する。図22は、把持部40の変形例である把持部40bの背面図である。図23図25は、把持部40bを用いた分線金物100の把持手順を説明するための説明図である。
【0120】
図22及び図23に示すように、把持部40bは、空転防止部41b、第1プレート43b、第2プレート45b及び第3プレート47bの4つの部材を有している。
第1プレート43b、第2プレート45b及び第3プレート47bは、積層されて把持部40bを形成する。ここで、それぞれのプレートには、それぞれ固有のスリットが設けられる。そして、それぞれのスリットの位置を合わせて重ねると図22図23に示すような固有の段差を有するスリット470bを形成する。スリット470bは、第1スリット451bと第2スリット473bを含む。なお、本変形例においては、複数のプレートを積層してスリット470bを形成しているが、一枚の厚みのあるプレートから所定のスリット形状を切削加工等により形成することも可能である。
【0121】
続いて、把持部40bを用いて分線金物100を把持する動作について図23図25を用いて説明する。図22は、把持部40の変形例である把持部40bをラチェットレンチ機構30側からみた状態を示す図である。図23は、把持部40bが分線金物100を把持し始めた状態を示す図である。図24は、把持部40bが分線金物100の把持を開始して、凸部115が凹部458bに嵌め込まれる手前の状態を示している。図25は、分線金物100の凸部115が凹部458bに嵌め込まれた状態を示す図である。
【0122】
まず、作業者は、図22及び図23に示すように、分線金物100のフック部111を把持部40bのスリット470bに導入する。ここで、フック部111は、第2プレート45bの第1スリット451bに保持される。同時に凸部115の環状面116は、第2プレート45bのスライド面453bと当接する。また、凸部115の外周面114は、第3プレート47bの第1スリット471bに当たる。
【0123】
次に、作業者は、フック部111が把持部40bに収まっていることを確認した後、回収部20の位置を支持線Wへ向かって下げる。この動作により、把持部40bに把持されている分線金物100は、図24に示す位置に移動する。この状態において、分線金物100は、フック部111を第1プレート43bによりガイドされている。また、凸部115の外周面114は、第3プレート47bの湾曲部475bと当接する。
【0124】
作業者は、分線金物100が第3プレート47bの湾曲部475bと当接したことを確認する。これは、湾曲部475bに凸部115を当接させることにより、ラチェットレンチ機構30と、ナット150との相対的な位置関係を規定している。その後、作業者は、摺動機構60を作動させ、ラチェットレンチ機構30を第2位置へ移動させる。
【0125】
図25に示すように、ラチェットレンチ機構30が第2位置へ移動し、ナット150を捉える。作業者は、ラチェットレンチ31を回動させてナット150を緩める。ここで、ナット150が緩まる方向へ回動すると、フックボルト110が把持部40bへ向かって移動する。すると、分線金物100の凸部115は、把持部40bの凹部458bへ嵌め込まれ、凹部458bの底面431bと凸部115の環状面116とが当接する。分線金物100の凸部115が凹部458bと嵌め合うことにより、分線金物100は把持部40bに係止され落下することがない。また、ナット150は、ラチェットレンチ機構30に保持されている。
【0126】
なお、空転防止部41bは、上述の分線金物外し装置1と同じ部材であるため、その詳細な説明は省略する。
【0127】
このような構造を備える把持部40bは、図26に示す第1の分線金物100a及び図27に示す第2の分線金物100bのどちらの分線金物100も落下させることなく把持することができる。すなわち、把持部40bは、第1の分線金物100aと第2の分線金物100bに略共通して略同じ位置に設けられている凸部115に凹部458bを嵌めこむとともに係止することができる。
【0128】
さらに、把持部40bは、凸部115と凹部458bとの係合動作において、作業者に多数の動作を要求することがない。すなわち、作業者は、凹部458bと凸部115との係合動作においては、フック部111をスリット470bに合わせるとともに、回収部20を支持線Wへ向かって動かすだけでよい。
【0129】
このため、分線金物取外し装置1に熟達していない作業者であっても、容易に分線金物100の取り外し作業を行うことができる。
【0130】
なお、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、摺動機構60として用いられているリンク機構は、上述のリンク機構に限定されない。往復可能なスライダクランク機構を備えていれば、他の構成により形成することも可能である。また、第2の実施形態に示した分線金物外し装置1bに角度調整のための構造を設けてもよい。また、レンチ部の操作部材として、操作ひも318を採用しているが、単一の操作棒により構成され、絶縁性を有し、軽量化できるのであれば、機械式の操作部材を適用することもできる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0131】
1…分線金物外し装置、1b…分線金物外し装置、10…操作棒、20…回収部、21…カバー、23…エンドプレート、27…上蓋、30…ラチェットレンチ機構、31…ラチェットレンチ、33…スライド板、35…背板、37…屋根板、40…把持部、40b…把持部、41…空転防止部、41b…空転防止部、43…第1プレート、43b…第1プレート、45…第2プレート、45b…第2プレート、47…ガイドプレート、47b…第3プレート、50…ガイドレール、51…コイルばね、60…摺動機構、60b…摺動機構、61…筐体、63…支持部、65…回動コマ、67…ロック部材、69…ワイヤ、69b…リンク部材、71…第1連結具、73…第2連結具、80…ガイド機構、81…ナット押さえ、83…第1板材、85…第2板材、87…緩衝ばね、100…分線金物、100a…第1の分線金物、100b…第2の分線金物、110…フックボルト、110a…フックボルト、110b…フックボルト、111…フック部、111a…フック部、111b…フック部、112…抜け止め部材、113…ボルト部、115…凸部、117…先端、119…先端、130…支持板、130a…支持板、130b…支持板、131…溝、150…ナット、310…円筒部、311…第1コイルばね、313…第2コイルばね、315…柄、317…レンチ、319…外筒部、330…開口部、331…孔部、333…突起部、351…突起、371…固定端、410…側壁、411…連絡壁、430…スリット、431…第1スリット、432…下辺部、433…第2スリット、435…第1面、437…第2面、450…スリット、451…第1スリット、451b…第1スリット、452…切欠き、453…第2スリット、457…湾曲部、458…凹部、458b…凹部、459…孔、470…スリット、470b…スリット、471…壁部、471b…第1スリット、473…湾曲部、475b…湾曲部、479…孔、631…コイルばね、651…連結突起、653…係合突起、655…回動軸、671…凸部、675…凹部、677…鉤部、679…底部、831…切り込み、835…開口部、837…傾斜辺。
図1
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