【解決手段】容器1の内面の上端部に、摺り切り突起7が一体に形成されている。このため、違和感はなくて消費者にも受け容れられやすい。シール性にも優れている。容器1は、内型(コア)16がメイン型22とスライド型21とで構成された金型装置を使用して製造できる。スライド型21には摺り切り形成溝24が形成されており、メイン型22の後退動に連れてスライド型21が横移動することにより、型抜きを支障なく行える。
周壁と底部とを有して上向きに開口した有底筒状であり、前記周壁の上端部に、化粧料塗布具を当てて余分を化粧料を掻き落としできる摺り切り突起が、内向きに突出するように一体に形成されている、
樹脂製の化粧料用容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、摺り切り部は任意の部位に配置できる利点があるが、中蓋は容器とは別体であるため、製造コストや組み付けのコストが嵩む問題や、部材管理に手間がかかる問題、或いは、中蓋と容器及び蓋との間のシール性が低下するおそれがあるといった問題が懸念される。更に、中蓋は容器とは別体のものとして人目に触れるため、シンプルさに欠けてデザイン的な評価は低くならざるを得ないといえる。
【0006】
他方、特許文献2,3は、摺り切り部を容器自体に一体にく設けるものであるため、部材管理の手間がかかることはないが、両者とも摺り切り部は容器の底面から立ち上がっているため、化粧料の収容量が相当に少なくなるという問題がある。また、摺り切り部が存在すると通常の容器のイメージが著しく相違するため、ユーザーが違和感を感じるおそれも高いと想われる。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、摺り切り機能を備えた化粧料用容器を、デザイン的にスッキリして違和感もなく、しかも、安価に製造できる態様で提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、化粧料用容器とその製造用金型装置とを含んでおり、化粧料用容器は請求項1〜3で典型例を特定している。請求項1は化粧料用容器の上位概念を成すもので、周壁と底部とを有して上向きに開口した有底筒状の化粧料用容器において、前記周壁の上端部に、化粧料塗布具を当てて余分を化粧料を掻き落としできる摺り切り突起が、内向きに突出するように一体に形成されている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記摺り切り突起は、先端に向けて厚さが薄くなるテーパ状の断面形状になっている。また、請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記底部の上面は、前記摺り切り突起の真下部分が最も高くて摺り切り突起は反対側が低くるように傾斜している。
【0010】
金型装置は、請求項4,5で典型例を特定している。請求項4の発明は上位概念を成しもので、上端部に摺り切り突起が内向き突設された有底筒状の樹脂製化粧料用容器を射出成形法によって製造するための金型装置を対象にしている。
【0011】
そして、前記金型装置は、前記化粧料用容器の外面を成形する外型と、前記化粧料用容器の内部を成形する内型とを備えており、前記内型は、前記スライド型を成形するための摺り切り形成溝が形成されたスライド型と、前記スライド型が装着されたメイン型とを有しており、前記スライド型とメイン型とは、少なくとも前記摺り切り突起の突出方向である横方向に相対動するように嵌まり合っており、スライド型とメイン型とが横方向に相対動する寸法は、前記摺り切り突起の最大突出寸法と略同じか大きい寸法になっている。
【0012】
請求項4の好適な具体例として、請求項5では、前記スライド型とメイン型とは、メイン型が後退動すると、スライド型は後退動することなく横方向に移動するように、傾斜ガイド手段を介して嵌まり合っている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、摺り切り突起は容器の開口部に一体に形成されているため、特許文献1のように中蓋を使用するものに比べて、製造コスト及び組み付けコストを抑制できると共に、部材管理の手間も抑制できる。また、摺り切り突起は容器の内部に張り出した状態に設けられているため、蓋を閉じた状態でシール性が悪化するような問題は皆無である。更に、より重要なこととして、通常の容器に摺り切り突起を付加しただけの形態であるため、シンプルで違和感はなくて、見た目において優れている。
【0014】
また、摺り切り突起は、特許文献2,3のように底部から立ち上げるものではなくて、上端部のみに設けるものであるため、摺り切り突起の存在によって容器の容量が低下することはなく、従って、従来品に対する代替性に優れている。すなわち、本願発明の化粧料用容器は、汎用性が高くて、化粧料のメーカーとユーザーとの両方にとって問題なく受容されるものといえる。よって、商品価値は非常に高いといえる。
【0015】
請求項2のように、摺り切り突起を断面テーパ状に形成すると、筆等に付着した化粧料を擦り切るに際して、化粧料のキレをよくすることができる。また、請求項4のような金型装置を使用して製造するにおいて、テーパをいわゆる抜き勾配として機能させ得るため、製造の容易性を向上できるという利点もある。
【0016】
また、請求項3の構成を採用すると、少なくなった化粧料を底の一部に溜めることができるため、化粧料を最後まで使い切ることが容易になる。この場合、化粧料は摺り切り突起と反対側の部位に溜まるため、僅かに溜まっている化粧料を視認しやすくて、筆先も当てやすい。すなわち、使い勝手に優れている。
【0017】
請求項4の金型装置を採用すると、摺り切り突起が一体成形されている容器でありながら、容易に製造できる。すなわち、容器の製造は、容器外型と内型との間に形成されている空間(キャビティ)に溶融した樹脂を注入してから固まらせ、次いで、型抜きをして容器(製品)を取り出すという手順が取られるが、型抜きに際しては、スライド型が横方向に移動することにより、摺り切り突起からスライド型を離すことができる。これにより、一体成形された摺り切り突起を、容易に型抜きできる状態で成形できる。
【0018】
スライド型を、メイン型に対して、横方向にのみ相対動するように装着して、まずスライド型のみを横方向に後退させてから、メイン型とスライド型とを一緒に後退させるということも可能であるが、この場合は、メイン型にはスライド型の横移動を許容する余裕が必要があるため、ある程度以上の内径(例えば,内径が40〜50mm)の容器にしか適用できない。また、構造も複雑化する。
【0019】
これに対して請求項5の発明を採用すると、メイン型を後退動させつつスライド型を横移動させることができるため、内型(コア)をできるだけ小型化(小径化)できる。従って、内径が20〜30mmといった小型容器の製造にも容易に適用できて、汎用性に優れている。また、構造が簡単になるため、コストダウンの動きの確実化にも貢献できる。更に、移動プレートを使用する等して可動型を後退させる一連の動きによって型抜きをスムースに行えるため、生産性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1).第1実施形態(容器)
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、
図1〜2に示す第1実施形態の容器(容器本体、ジャー)を説明する。本実施形態は、例えば、ネイル用ジェルを包装する容器に適用している。
【0022】
容器1は、例えばPP等の樹脂を材料にした射出成形品であって、周壁2と底部3とを有する上向き開口有底筒状の形態であり、ねじ蓋4で塞がれる。周壁2の上部は小径部2aになっており、この小径部2aに2条の雄ねじ5を設けている。従って、ねじ蓋4の内周には、2条の雌ねじ6が形成されている。容器1の周壁2のうち、小径部2aよりも下方の部分の外周は、下窄まりの緩いテーパ状になっている。すなわち、抜き勾配がついている。
【0023】
容器1の内周面は、下方に向けて僅かに縮径したテーパ状になっており、内周面の上端部のうち周方向の一部に、板状(リブ状)の摺り切り突起7を内向きに突設している。摺り切り突起7は、その先端面7aは直線形状であり、基本的には、弦と円弧とで囲まれた弓形になっているが、先端面7aの一端と他端とは容器1の内周面に到達せずに、摺り切り突起7の左右両端に切り欠き8が形成された状態になっている。従って、摺り切り突起7は、容器1の内周面から凸の形態で内向き突出している。摺り切り突起7は、周壁2の上端よりも僅かに低い高さ位置に設けている。
【0024】
摺り切り突起7の上面7bは、先端に向けて低くなる傾斜面になっており、摺り切り突起7の下面7cは、先端に向けて高くなる傾斜面になっている。従って、摺り切り突起7の縦断面形状は、先窄まりのテーパ状になっている。底部3の下面の中央部には、円形のゲート用凹部9が形成されている。また、
図2のとおり、ねじ蓋4の内部上端には、パッキン10を装着している。
【0025】
容器1における底部3の上面(すなわち底面3a)は、摺り切り突起7の下方が最も高くて摺り切り突起7から遠ざかるほど低くなる傾斜面になっている。このため、
図2に示すように、ネイル用ジェル11が少なくなると、摺り切り突起7と反対側の部位に溜まることになる。図示の例では、底面3aの全体が傾斜面になっているが、摺り切り突起7は反対側の部位は、部分的に平坦面になっていてもよい。
【0026】
容器1には、化粧料の一例としてのネイル用ジェル11が適当な深さまで充填される。摺り切り突起7は周壁2の上端面よりも少し低い位置にあるので、パッキン10は、周壁2の上端にきっちり密着している。従って、摺り切り突起7を設けたことによってシール性が悪化することは皆無である。また、摺り切り突起7は容器1に一体に設けているため、中蓋方式のような違和感はなくて、消費者にも問題なく受け容れられるといえる。
【0027】
図2に示すように、ネイル用ジェル11は、例えば筆12の先端部に付着させてから爪に塗られるが、余分なネイル用ジェル11は、摺り切り突起7で掻き落とすことができる。また、爪にネイル用ジェル11を均一に塗るために、筆12の先端をしごいて平に伸ばすこともできる。
【0028】
実施形態のように摺り切り突起7の端に切り欠き8を設けると、筆12の先を細くしてジェルの付着量をごく少なくするできる。このため、細い線を描いたり、点状の模様を施したりする場合に便利である。切り欠き8は片側だけに形成してもよい。また、左右に切り欠き8を設ける場合、大きさを異ならせてもよい。
【0029】
実施形態では、摺り切り突起7は先端に向けて厚さが小さくなっているため、余分なネイル用ジェル11を掻き落とすに際して、ネイル用ジェル11が摺り切り突起7に付着することを抑制できる。このため、ネイル用ジェル11が摺り切り突起7に付着したまま乾いてゴテゴテになることも、防止又は著しく抑制できる。
【0030】
更に、本実施形態のように、摺り切り突起7の上面7bを下向きの傾斜面に形成すると、上面7bに付着したネイル用ジェル11を容器1の内部にスムースに戻すことができる。この面でも、ネイル用ジェル11が摺り切り突起7に付着したまま乾いてゴテゴテになる現象を防止又は抑制できる。
【0031】
本願発明の容器1はデザイン的にも優れており、従って、意匠登録の対象になり得る。この場合、容器全体の形態が登録の対象になり得ることは当然として、
図1(B)に一点鎖線で示すように、摺り切り突起7を特徴した部分意匠としての登録を受けることも可能である。
【0032】
(2).第2実施形態の構造(金型装置)
次に、上記した容器1を製造する金型装置に関する第2実施形態を、
図3,4に基づいて説明する。
図3は型締めした状態を示しており、
図3に金型装置の全体が
図3に表示されている。
【0033】
すなわち、金型装置は、容器1の外面のうち小径部2aを除いた部分に対応した空所14aを有する外型(キャビ)14と、雄ねじ5付きの小径部2aを成形するための割型15と、容器1の内面を成形する内型(コア)16と、容器1の頂面を成形するヘッド17とを備えており、内型16とヘッド17とは、割型15がスライド自在に装着された第1プレート18に嵌まっている。ヘッド17は第1プレート18に固定されており、内型16は第1プレート18にスライド自在に嵌まってい)。また、内型16は、第1プレート18に重なった第2プレート19にもスライド可能に嵌まっている。
【0034】
外型14は固定型で、割型15と内型16とヘッドは可動型である(厳密には、ランナー滓の除去のために、外型14も若干は動く。)。外型14には、樹脂を注入するめのゲース20を設けている。割型15は、遠近移動する一対の部材で構成されている。敢えて述べるまでもないが、割型15を使用しているのは、雄ねじ5を形成するためである。ヘッド17はリング状の形態を成しており、第1プレート18に固定されている。
図3では、内型16を上下長手に表示しているが、実際には、内型16は水平姿勢に配置されており、可動型は水平方向にスライドする。
【0035】
内型16は、両プレート18,19にスライド自在に嵌まったストレート状の大径基部16aと、ヘッド17に嵌まった先窄まりのテーパ状先端部16bとから成っている。従って、大径基部16aとテーパ状先端部16bとの境界は、ヘッド17に当接する肩部16cになっており、肩部16cがヘッド16aに当たることにより、内型16の前進位置が規制されている。なお、テーパ状先端部16bのうち、ヘッド17に嵌まっている部分のテーパ角度は、容器1の内面を形成する部分のテーパ角度よりも大きくなっている。
【0036】
内型16は、容器1の摺り切り突起7の個所を成形するためのスライド型21と、摺り切り突起7の個所を除いた部分を成形するためのメイン型22とで構成されている。メイン型22は内型16の大部分を構成している。従って、内型16における大径基部16aの大部分を構成する大径部22aと、内型16におけるテーパ状先端部16bの大部分を構成する先端テーパ部22bと備えている。
【0037】
図3,4から理解できるように、スライド型21は、大雑把には、断面角形で角柱状の形態でメイン型22の軸線方向に長く延びており、メイン型22に形成した角形の収納ガイド溝23に嵌まっている。スライド型21の先端は、メイン型21の先端と同一面を成している。従って、容器1の底面3aの一部は、スライド型21によっても形成される。
【0038】
スライド型21は、内型16における大径基部16bの一部を構成する厚肉状基部21aと、内型16におけるテーパ状先端部16bの一部を構成する薄肉状先端21bとを有しており、薄肉状先端部21aに、摺り切り突起7を成形するための摺り切り形成溝24が形成されている。摺り切り突起7は容器1の頂面よりも少し内部(下方)に位置しているので、摺り切り形成溝24は、ヘッド17の端面よりも僅かだけ外型14に寄った部位に設けられている。
【0039】
スライド型21の内面と収納ガイド溝23の底面とは、内型16の軸心25に対して、ある程度の角度θだけ傾斜している。すなわち、先端から基端に行くに従って軸心25から離れるように傾斜している。また、スライド型21の厚肉状基部21aに、収納ガイド溝23の底面と平行なガイド長穴26を形成し、メイン型22には、ガイド長穴26に貫通した板状のガイド体27を固定している。ガイド体27は、メイン型22に形成した装着穴28に嵌め込んでおり、図示しないねじ等でメイン型22に固定している。収納ガイド溝23、ガイド長穴26に、ガイド体27は請求項に記載した傾斜ガイド手段を構成している。
【0040】
図3に表示した型締め状態で、ガイド体27はガイド長穴26の先端部に嵌まっている。また、メイン型22とスライド型21とが軸方向に相対動すると、スライド型21はメイン型22に密着した状態で、軸心25を横切る横方向にスライドする(すなわち横移動する)が、この横移動距離が摺り切り突起7の突出寸法よりも僅かに大きくなるように、ガイド長穴26の長さを設定している。
【0041】
スライド型21には、第2プレート19に当接するストッパー突起21cを設けている。このため、第1プレート18には、ストッパー突起21cが入り込む逃がし溝29を形成している。
【0042】
メイン型22には、軸心25と平行な冷却水穴29を空けており、冷却水穴30には冷却水パイプ31を配置している。なお、1面の金型装置で多数の容器1が成形される。このため、第1プレート18や第2プレート19に、多数の割型15や内型16が整列して配置されている。また、外型14のうち凹所14aの部分を別部材で構成することも広く行われている。
【0043】
本実施形態容器では、擦り切り突起7の左右両端部に切り欠き7を形成しているが、この場合は、切り欠き8がない分だけ擦り切り突起7の幅は短くなり、これに伴って、スライド型21の幅(スライド方向と直交した幅)を小さくできる。これにより、スライド型21をコンパクト化して、内型16の動きの確実性を高めたり、内型16の冷却性を高めたりすることができる。
【0044】
(3).型開き工程
図3の型締め状態で、外型14と内型16とヘッド17とで囲われた空間は容器1の形状になっており、この空間に溶融した樹脂をゲート20から注入し、樹脂を固まらせることにより、容器1が製造(成形)される。そして、成形された容器1(製品)の型抜きは、
図5〜9の工程を経て行われる。
【0045】
すなわち、まず、
図5に示すように、第1プレート18と第2プレート19とを一緒に後退させることにより、容器1を外型14から離す。これにより、容器1の外面が露出する。次いで、
図6,7に示すうに、第1プレート18及び第2プレート19の後退は停止させた状態で、メイン型22のみを後退させる。このメイン型22の後退は、図示しない第3プレートの後退動によって行われる。
【0046】
メイン型22のみの後退において、スライド型21は、ストッパー突起21cは第2プレート19に当接していて後退不能に保持されているため、ガイド長穴26とガイド体27とによるガイド作用により、スライド型21は軸心26に近づくように横移動し、スライド型21とメイン型22とが相対動し切ると、
図7に示すように、スライド型21は、摺り切り形成溝24がスライド型21から離脱する。
【0047】
実施形態のように、容器1の底面を摺り切り突起7から遠ざかる方向に深くなるように傾斜させておくと、スライド型21の横移動において、メイン型22の後退動により、摺り切り突起7の横移動に際して、摺り切り突起7の先端面と容器1の底面3aとの間に隙間が空くため、摺り切り突起7の横移動がスムースに行われる利点がある。
【0048】
次いで、第2プレート19が後退することにより、メイン型22とスライド型21とが一緒に後退し、これにより、内型16の全体が容器1の内部から離れる。そして、内型16が後退し切ってから(或いは、内型16の後退動途中で)、
図9に示すように、一対の割型15を互いに離れる方向に後退させる。これにより、容器1は自由な状態になって落下し、収納箱等に受けられる。
【0049】
図示の実施形態では、スライド型21とメイン型22とを密着した状態で相対動させるために、スライド型21にガイド長穴26を形成してメイン型22にガイド体27を設けたが、スライド型21にガイド体27を固定して、メイン型22にガイド長穴26を形成してもよい。この場合は、型締め状態で、ガイド体27はガイド長穴26の下端に位置することになる。
【0050】
(4).他の実施形態
図10では、摺り切り突起7の別例を示している。このうち(A)に示す第3実施形態は、第1実施形態の変形例(或いは基本形)であり、摺り切り突起7は、その先端の左右両端を周壁2の内周面に到達させている。従って、摺り切り突起7は、完全な弓形の形態を成している。
【0051】
図10のうち(B)に示す第4実施形態では、摺り切り突起7の先端面7aを、平面視で軸心側に向けて凹の円弧状に形成している。これとは逆、一点鎖線で示すように、平面視で軸心側に向けて凸の円弧状に形成することも可能である。内向き凹形状の摺り切り突起7と内向き凸形状の摺り切り突起7とを、軸心を挟んだ両側に対称状に形成することも可能である。このことから理解できるように、1つの容器1に複数の摺り切り突起7を設けることが可能である。
【0052】
図10のうち(C)に示す第5実施形態では、摺り切り突起7の先端面7aを、平面視で三角形が連続した凹凸に形成している。(C)では先端面7aの全体を凹凸形状に形成しているが、左右のうち片側の半分だけを凹凸形状に形成して、残りの半分は直線状に形成するといったことも可能である。
【0053】
図10のうち(D)に示す第6実施形態では、摺り切り突起7の先端面7aを、基本的には直線状としつつ、その一部に円弧状の凹部7dを形成している。この実施形態では、凹部7dを使用して札先を細く纏めることができるため、ネイル用ジェル11を細く塗ったり、点状に塗ったりするのに好適である。
図10の各実施形態についても、(A)を代表として取り上げて点線で示すように、摺り切り突起7のみを特徴とした部分意匠として登録を受けるが可能である。
【0054】
図11に示す第7実施形態は、金型装置の別例である。この実施形態では、メイン型22に形成した収納ガイド溝23にスライド型21を装着するにおいて、収納ガイド溝23の底面とスライド型21との間に、先窄まりのくさび部材32を介在させている。くさび部材32とはメイン型22とスライド型21との両方に恋して軸方向に相対動するが、スライド型21は、メイン型22に対して横方向にしか相対動しないように、図示しない横移動ガイド手段によって保持されている。
【0055】
そして、この実施形態では、くさび部材32の後退に連れてスライド型21が軸心方向にスライドしていき、くさび部材32が後退し切ると、スライド型21の軸心方向にスライドしていき、摺り切り形成溝24が摺り切り突起7から離脱する。内型16の外径がある程度以上に大きい場合は、このような実施形態も採用可能である。
【0056】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、摺り切り突起7は、図示のもの以外の形態も採用できる。例えば、先端を、容器1の軸心を中心にして曲率半径の円弧状に形成することも可能である(この場合は、摺り切り突起7は等幅になる。)。或いは、軸心に向けて鈍角に屈曲した山形形状とすることも可能である。
【0057】
更に、実施形態では上面をフラットに形成しているが、軸心側から放射方向を向いた状態で、下向き凸部や上向き凸のような非平坦面に形成することも可能である。容器1はねじ蓋で塞ぐ方式である必要はないのであり、ヒンジ方式の蓋で塞ぐタイプにも適用可能である。底面を傾斜させる場合、傾斜方向に任意に設定できる。従って、摺り切り突起の下方が最も深くなるように形成することも可能である。
【0058】
金型装置についても、図示以外の構造を採用可能である。例えば、スライド型とメイン型との相対動をガイドするガイド手段としては、ガイド長穴とガイド体との嵌めに限らず、スライド型の側面に突設したピンをメイン型のガイド溝に嵌め容れるなど、様々な方法を採用できる。