(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-55967(P2017-55967A)
(43)【公開日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】装身具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20170303BHJP
【FI】
A44C25/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-182985(P2015-182985)
(22)【出願日】2015年9月16日
(71)【出願人】
【識別番号】509337805
【氏名又は名称】株式会社サン・シャレーヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 一夫
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA03
3B114CC00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】、飾り部材本体の長さ方向の定位置に設けられる飾り部材を備えている装身具を提供する。
【解決手段】柔軟性材料によって形成されたチューブ3と、チューブの両端部を除く全長に亘ってチューブ内部に挿入された複数の磁石片4a〜4eと、チューブの両端部を閉鎖するキャップ8とによって形成された飾り部材本体2と、飾り部材本体に挿通され磁性体の磁気吸引力によって飾り部材本体の長さ方向の定位置に設けられる飾り部材5と、を備え、飾り部材は前記装身具の本体が挿通する部分を磁性材料によって形成された芯体と、芯体の周囲に一体に形成された飾り体とによって形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性材料によって形成されたチューブと、前記チューブの両端部を除く全長に亘ってチューブ内部に挿入された複数の磁石片と、前記チューブの両端部を閉鎖するキャップとによって形成された飾り部材本体と、
前記飾り部材本体に挿通され磁性体の磁気吸引力によって前記飾り部材本体の長さ方向の定位置に設けられる飾り部材と、
を備えていることを特徴とする装身具。
【請求項2】
前記飾り部材は前記装身具の本体が挿通する部分を磁性材料によって形成された芯体と、
前記芯体の周囲に一体に形成された飾り体とによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装身具。
【請求項3】
前記飾り部材は、磁性材料を前記飾り部材本体が挿通するリング形状に形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の装身具。
【請求項4】
前記磁石片は、前記チューブの内部で回転可能となっていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の装身具。
【請求項5】
前記チューブは、前記磁石片が
挿入された内側チューブと前記内側チューブを覆う外側チューブとによって形成され、前記キャップは、内側チューブ及び外側チューブのそれぞれの両端部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装身具に係り、より詳しくは、飾り部材本体の長さ方向の任意の位置に飾り部材を留め置くことが可能な装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
ネックレス等の装身具のペンダントトップ取付部は、その位置を自由に変えることができないという問題がある。また、一般的にペンダントはその装飾体を取り換えることは困難である。
通常ネックレス等の装身具の両端には止め具が設けられている。 装身具の止め具には種々のものがあり、例えば装身具の一端側に出没できるピンを設ける一方、他端側に輪を設け、この輪にピンを通すことにより両者を係止させる構成のもの、あるいは装身具の一端側に開閉できる輪を設け、この輪に装身具の他端側を挿通させて任意の径のリング状にして装着できる構成としたもの等がある。
【0003】
通常、これらの止め具は装身具の装飾効果に影響しないように小さな構成とされている場合が多い。このような止め具の場合、高齢者や低高視力者、手指感覚が良くない人等については装身具の装着および取外し等の操作に困難を生じることがある。
これに対し、装身具の装着操作が容易に行えるように、止め手段として磁石を用いるものがある。例えば、紐状体の材料に磁石粉末を混入し、射出成形や押出成形によりプラスチックマグネット、あるいはゴム磁石として構成したものが提案されている。
【0004】
しかし、これらの磁石を用いる止め手段は、磁石材料を含有する量に制約があるため、得られる吸磁力が低く、装身具の止め手段に適用した場合に強力な止着を行うことができず、人力による引張り作用で容易に外れる。したがって、このような外れ易い装身具を例えば老人等が装着している場合、他人が装着者から装身具を引き剥がすという盗難の被害の恐れもあった 。
一方、吸磁力が高い金属磁石を用いた場合には磁石の吸磁力が過度に強くなり、利用者自身が装身具を外しにくくなる等、使用上での不便を生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−204522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、簡単に装飾体が取り付けられ、スムーズに装飾体の取り付け位置を変えることができ、さらに装飾体そのものを別の装飾体に取り換えることができるほか、簡単に装着及び取り外しが出来る飾り部本体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、柔軟性材料によって形成されたチューブと、前記チューブの両端部を除く全長に亘ってチューブ内部に挿入された複数の磁石片と、前記チューブの両端部を閉鎖するキャップとによって形成された飾り部材本体と、
前記飾り部材本体に挿通され前記磁性体の磁気吸引力によって前記飾り部材本体の長さ方向の定位置に設けられる飾り部材と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記飾り部材は前記装身具本体が挿通する部分を磁性材料によって形成された芯体と、
前記芯体の周囲に一体に形成された飾り体とによって形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記飾り部材は、磁性材料を前記飾り部材本体が挿通するリング形状に形成したものであることを特徴とする。
【0010】
前記磁石片は、前記チューブの内部で回転可能となっていることを特徴とする。
【0011】
前記チューブは、前記磁石片が
挿入された内側チューブと前記内側チューブを覆う外側チューブとによって形成され、前記キャップは、内側チューブ及び外側チューブのそれぞれの両端部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の装身具によれば、飾り部材本体の長さ方向の任意の位置に飾り部材を留め置くことが可能であるほか、飾り部材本体を任意の別の飾り部材本体に取り換えことが可能である。
また、飾り部本体は、簡単に装着及び取り外しが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の概略図で、飾り部材本体に飾り部及びキャップが取り付けられた状態の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により、本発明について詳細に説明する。
本発明の装身具1は、柔軟性材料によって形成されたチューブ3と、チューブ3の両端部を除く全長に亘ってチューブ内部に挿入された複数の磁石片4と、チューブ3の両端部を閉鎖するキャップ8とによって形成された飾り部材本体2と、飾り部材本体2に挿通され磁性体の磁気吸引力によって飾り部材本体2の長さ方向の定位置に設けられる飾り部材5と、を備えている。
図1は装身具1に飾り部材本体2及びキャップ8が取り付けられた状態の断面を示す図であり、装身具1内の磁石構造を示している。
【0015】
チューブ3は、磁石片4が挿入された内側チューブ3aと内側チューブ3aを覆う外側チューブ3bとによって形成され、キャップ8は、内側チューブ3a及び外側チューブ3bのそれぞれの両端部に設けられている。
飾り部材5は装身具1が挿通する部分を磁性材料6によって形成された芯体9と、芯体9の周囲に一体に形成された飾り体7とによって形成されている。
別の実施例では、飾り部材5は、磁性材料6を飾り部材本体2が挿通するリング形状に形成されている。
磁石片4は、チューブ3の内部で回転可能となっているおり、
チューブ3は、磁石片4が挿入された内側チューブ3aと内側チューブ3aを覆う外側チューブ3bとによって形成され、キャップ8は、内側チューブ3a及び外側チューブ3bのそれぞれの両端部に設けられている。
【0016】
図1に示すように、装身具1内には、一端側キャップ8側から一端側磁石4(4a,4b,4c,4d,4e)が直列に配置されている。これらの磁石4(4a,4b,4c,4d,4e)は、それぞれ円柱状に構成されており、各磁石4(4a,4b,4c,4d.4e)のN極(N)とS極(S)とは、円柱の互いに反対側の外周面に配置されている。そして、各磁石4(4a,4b,4c,4d.4e)の互いに隣接するもの同士のN極(N)とS極(S)とが、互い違いの向きに配置されている。具体的には、装身具1の一端側キャップ8側に最も接近した端部側配置の一端側磁石片4aのN極(N)が下向きとされ、S極(S)が上向きとされている。次に、この一端側磁石片4aに隣接する端部側から2番目に配置された一端側磁石片4bのN極(N)は上向きとされ、S極(S)は下向きとなっている。また、この一端側磁石片4bに隣接する端部側から3番目の一端側磁石片4cは、さらに2番目の一端側磁石片4bと逆にN極(N)が下向きとされ、S極(S)が上向きとされている。さらにまた、この一端側磁石片4cに隣接する端部側から4番目に配置された一端側磁石片4dは、3番目の一端側磁石片4cと逆に、N極(N)が上向きとされ、S極(S)が下向きとされている。
磁石片4(4a,4b,4c,4d,4e)は、チューブの内部で回転可能となっている。
【0017】
一端側キャップ8は、チューブ3の外径と同一径の円盤形キャップと、装身具1の孔径と同一径で円盤形キャップの平坦面から突出する円柱状の挿入部とから構成されている。そして、この一端側キャップ8の円柱状の挿入部を、装身具1の一端側開口部に挿入することにより、この一端側開口部をキャップ8によって閉塞することができるようになっている。 同様に、他端側キャップ8は、装身具1の外径と同一径の円盤状キャップと、装身具1の孔径と同一径でキャップ8の平坦面から突出する円柱状の挿入部とから構成されている。そして、この他端側キャップ8の円柱状の挿入部を、装身具1の他端側開口部に挿入することにより、この他端側開口部をキャップ8によって閉塞することができる。
【0018】
磁石片4に使用される永久磁石には、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石 ネオジム磁石がある。
永久磁石の原料には、酸化鉄、コバルト、ニッケルがあり、単体が室温で強磁性を示すのは、これら3つの元素のみである。サマリウム、ネオジムも磁石の原料として挙げられ、これらは単体では強磁性を示さないが、これらを原料とすることで強力な磁石が得られる。
フェライト磁石は、酸化物磁石の一つで、酸化鉄を主原料にして焼き固めて作る。 磁束密度は低いが、保磁力が高く減磁しにくい。 電気抵抗が大きく渦電流損が低く、高周波まで適用できるが、 硬度は比較的に高く割れやすい。
磁器なので薬品に強く、錆びることはない。焼く前は粉末のため自由な形にできる。 酸化鉄にバリウムやストロンチウムを微量加えたものを焼き、1μmほどの粒子に粉砕したものを成型し焼結する。酸化鉄を主原料としているため安価かつ化学的に安定しており、様々な用途に用いられている。
【0019】
サマリウムコバルト磁石は、サマリウムとコバルトを原料としている。組成比の異なる「2−17系」と「1−5系」がある。「1−5系」は高価なサマリウムの比率が高いため、「2−17系」の登場以降あまり用いられなくなってきた。強い磁力を持ち、高い耐腐食性と良好な温度特性(200℃程度まで使用可能)を有するのが特徴である。
ネオジム磁石は、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石の一つである。磁束密度が高く、強い磁力を持つ。鉄を含み錆びやすいため普通は表面に鍍金を施す。熱減磁が大きく−0.12%/K程度。キュリー点は約310℃。非常に磁力が強いため、ハードディスクやCDプレーヤーの駆動部分、携帯電話の振動モーターから、電車・ハイブリッドカー・エレベーター駆動用の永久磁石同期電動機の界磁にまで使用される。
【0020】
装身具1の任意の位置の外周部には、
図2,3に示すような円筒形の磁性体からなる飾り部材5を設けることが出来る。飾り部材5の内周部は、永久磁石からなるため、同じく永久磁石からなる装身具1の外周部に強力に接合できる。
飾り部材5は装身具1が挿通する部分を磁性材料によって形成された芯体9と、芯体9の周囲に一体に形成された飾り体7とによって形成される。
飾り部材5の他の実施例では、磁性材料6を飾り部材本体2が挿通するリング形状に形成したものとし、これに飾り体7を装着することも出来る。
図2の飾り部材5は、円筒形の芯体9の外周部に装飾を施したものである。
図3の飾り体7は、円筒形の飾り部材本体2の外周部に磁性材料6を装着し飾り体7を吊り下げられるようにしたもので、飾り体7は自由に変更できる。
【0021】
本発明の飾り部材本体2は、磁性体で出来ているため、飾り部材本体2の端末に止め金具を取り付けないでも、飾り部材本体2の両端部を重ねるだけで飾り部材本体2の磁力により飾り部材本体2の両端部が接合できるため、首への取り付けなどが極めて容易である。
また取り外しも飾り部材本体2の両端部の磁力が取り外し容易なレベルに設定してあるため、少ない力で取り外すことが可能である。
本発明の装身具1によれば、飾り部材本体2の長さ方向の任意の位置に飾り部材5を留め置くことが可能であるほか、飾り体7を任意の別の飾りに取り換えことが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 装身具
2 飾り部材本体
3 チューブ
3a 内側チューブ
3b 外側チューブ
4、4a,4b,4c,4d,4e 磁石片
5 飾り部材
6 磁性材料
7 飾り体
8 キャップ
9 芯体