【実施例】
【0014】
図1に示すように、実施例に係る箱体10は、物品を収容可能な収容室12aを内部に有する箱本体12と、この箱本体12の上部後縁に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられた蓋体14とを備えている。箱体10は、後縁が箱本体12にヒンジで接続された蓋体14が、箱本体12の上部に被さって箱本体12の上部に開口する収容室12aの出し入れ口を塞ぐ閉じ姿勢(
図1(a))と、箱本体12の後縁に立ち上がって出し入れ口を開放する開き姿勢(
図1(b))との間で開閉するようになっている。また、箱体10には、ヒンジの反対側となる前側に、閉じ姿勢にある蓋体14をロックするロック機構16が設けられている(
図4および
図5参照)。箱体10は、ロック機構16のロック操作により蓋体14が閉じ姿勢でロックされ、ロック機構16のロック解除操作により蓋体14を閉じ姿勢から開き姿勢に向けて開放可能になる。
【0015】
図4(a)および
図6に示すように、箱本体12は、該箱本体12の外郭をなす外箱18と、この外箱18の内側に間隔をあけて配置されて、収容室12aを画成する内箱20と、外箱18および内箱20の間に配置されて、スチレン系発泡体などからなる本体断熱材22を備えた断熱構造となっている。ここで、外箱18および内箱20は、ポリプロピレン(PP)からなる樹脂成形品が用いられている。箱体10において、外箱18や内箱20やその他の部品などを樹脂成形品で構成すれば、樹脂特有の可撓性を利用して、後述する弾性変形する係合部40等を有するロック機構16など、箱体10を構成する機構を円滑に作動させることができるので望ましい。外箱18、内箱20および本体断熱材22は、何れも上方に開放した箱状に形成されている。箱本体12は、外箱18の内部に合わせて外形が設定された本体断熱材22が外箱18の内部に隙間なく嵌まると共に、本体断熱材22の内部に合わせて外形が設定された内箱20が本体断熱材22の内部に隙間なく嵌まっている。外箱18の前壁上部には、本体断熱材22が収容される本体部分から前方に張り出して、ロック機構16の構成要素が設けられる外箱設置部24が上方に開放するように形成されている。また、内箱20の上端には、外方へ延出するフランジ部20aが形成されると共に、該フランジ部20aの前縁から前方に張り出して、ロック機構16の構成要素が設けられる内箱設置部26が形成されている。箱本体12において、内箱20のフランジ部20aが本体断熱材22の上端および外箱18の上端の上側に重なっている。外箱設置部24の上部開口に合わせて形成された内箱設置部26は、該上部開口の上側に重なって該上部開口を塞ぎ、外箱設置部24と内箱設置部26との間に区画部27が画成されている。なお、区画部27は、外箱設置部24と内箱設置部26とで囲われる空間であって、この空間の領域において、後述の第1係合突起40aおよび第2係合突起40bを含む係合部40が、ロック部材38の上下動に連係して作動する。
【0016】
図1(b)および
図4に示すように、蓋体14は、該蓋体14の外郭をなす外蓋部28と、この外蓋部28の内側に配置され、スチレン系発泡体などからなる蓋断熱材30と、蓋断熱材30の内側に配置され、チラシなどの書類を蓋断熱材30との間に挟んで保持し得るホルダー部32とを備えている。外蓋部28およびホルダー部32は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂成形品である。蓋体14は、外蓋部28の後縁に一体成形されたホルダー部32を、外蓋部28との間に設けたインテグラルヒンジで内側に折り曲げて、外蓋部28の爪で保持された蓋断熱材30を挟んで外蓋部28の内側に配置している。蓋体14は、外蓋部28の外周縁が下方へ延出するよう形成され、閉じ姿勢とした際に、箱本体12の上部が外蓋部28の外周縁内側に嵌まると共に、箱本体12の上端面をなすフランジ部20aと蓋断熱材30とが当接する。
図7に示すように、蓋体14には、外蓋部28の前縁に、ロック機構16の構成要素が設けられる蓋設置部34が前方へ張り出すように形成されている。箱体10は、蓋体14を閉じ姿勢とした際に、蓋設置部34が箱本体12の内箱設置部26の上面を覆うと共に、外箱設置部24および内箱設置部26が蓋設置部34の内側に嵌まり込むように構成される(
図4および
図5参照)。蓋体14には、蓋設置部34の前壁から下方へ延出する開閉操作片36が形成され、閉じ姿勢とした際に、開閉操作片36に貫通形成された掛止開口36aに、箱本体12における外箱設置部24の前壁に突設された掛止突起24aが嵌まる(
図1(a)参照)。そして、蓋体14は、ロック機構16をロック解除した状態で開閉操作片36を手前に引っ張れば、開閉操作片36が弾性変形して掛止突起24aが掛止開口36aから簡単に外れて開放可能となる。
【0017】
図4および
図5に示すように、ロック機構16は、蓋体14の蓋設置部34に取り付けられ、ロック解除位置とこのロック解除位置より下降したロック位置との間で昇降可能なロック部材38と、蓋設置部34に設けられ、ロック部材38の昇降により弾性変形する係合部40とを備えている。また、ロック機構16は、箱本体12の内箱設置部26に設けられ、ロック位置にあるロック部材38により弾性変形した係合部40と係合する係合受部42を備えている。そして、ロック機構16は、蓋体14側の係合部40と箱本体12側の係合受部42とが引っ掛かることで、閉じ姿勢で蓋体14の開放を規制する(
図5(a)参照)。更に、ロック機構16は、箱本体12の外箱設置部24に昇降可能に設けられ、ロック位置にあるロック部材38をロック解除位置に向けて押し上げ可能な解除部材44を備えている(
図3および
図5(b)参照)。実施例のロック機構16は、ロック部材38をロック解除位置からロック位置に下降させる操作を行わない限り、蓋体14をロックすることはなく、専用の鍵などの別部材を用いることなく、解除部材44を上昇操作するだけでロック解除可能である。
【0018】
図7および
図8に示すように、ロック部材38は、蓋体14の外側(上面)に臨むロック操作部46と、このロック操作部46の下面から下方へ延出するように形成され、蓋体14の内側に臨むロック本体部48と、このロック本体部48と並んでロック操作部46の下面から下方へ延出するように形成された制動部50とを備えている。なお、ロック部材38は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂成形品が用いられている。ロック操作部46は、左右方向に長い平板状に形成され、左右方向中央部に柱状のロック本体部48が配置されている。ロック本体部48には、前壁下部がそれより上部分よりも後方に凹んで、前壁下側に偏倚した部位に係合段部48aが設けられている(
図4および
図5参照)。なお、ロック本体部48は、制動部50よりも長く下方へ延びている。制動部50は、ロック本体部48を左右に挟んで2つ設けられ、各制動部50は、少なくとも先端部がロック本体部48に対して接離する方向(左右方向)へ弾性変形可能に構成されている。左右の制動部50,50は、下部に互いに反対向きに延出する抜止爪50aを有し、ロック本体部48を挟んで左右対称な形状となっている。ロック部材38は、ロック本体部48と制動部50との間に、制動部50の弾性変形を調節する変形調節部52を備えている。変形調節部52は、ロック操作部46の下面に連なる板状部分であり、ロック本体部48および制動部50の根元部分に形成されている。
【0019】
図1(a)に示すように、ロック部材38は、外蓋部28の前縁中央に設けられた蓋設置部34に設置されている。蓋設置部34には、ロック操作部46の外形に合わせた開口形状で上方に開放する凹状に形成された収納凹部54が設けられ、この収納凹部54の底にロック設置口56が上下に貫通するように形成されている(
図7参照)。ロック部材38は、ロック本体部48および一対の制動部50,50をロック設置口56に通すと共に、ロック操作部46を収納凹部54に嵌め合わせて設置され、ロック操作部46が収納凹部54より上側に出っ張るロック解除位置(
図2(a)および
図4(b))と、ロック操作部46が収納凹部54に収まるロック位置(
図2(b)および
図5(a))との間で昇降する。ここで、ロック部材38は、ロック位置とした際に、収納凹部54に収まったロック操作部46の上面と蓋体14の上面とが揃い、ロック操作部46を指先でつまめないようにしてある。また、ロック部材38は、ロック解除位置で両制動部50,50の抜止爪50a,50aがロック設置口56の開口縁下面に引っ掛かり、ロック解除位置を越えた上方変位が規制される。更に、ロック部材38は、左右の制動部50,50がロック設置口56の左右の開口縁に弾力的に当接することで生じる抵抗により、ロック解除位置からロック位置に向けたロック操作時に適度な操作感を与えると共に、ロック解除位置で停止状態を保つように補助している。ここで、ロック部材38は、ロック解除位置で制動部50の変形を規制する変形調節部52の下部がロック設置口56にわずかに重なる一方で、ロック位置で変形調節部52がロック設置口56に重なるように設定され、ロック解除位置側よりもロック位置側で抵抗を大きくしてある(
図8参照)。ロック部材38は、ロック操作部46の左右方向中央部に開口する引掛口53を備え、解除具58の先端を引掛口53から挿入して、解除具58の先端に形成された鉤58aを引掛口53の後側開口縁に引っ掛けてロック位置からロック解除位置に向けて強制的に持ち上げ可能になっている(
図5(b)参照)。
【0020】
図7および
図8に示すように、蓋設置部34には、収納凹部54の下側に保持部材60が取り付けられ、この保持部材60によってロック部材38を所定の経路で昇降させるよう補助している。保持部材60は、上方に開放する略トレイ状に形成された例えばポリプロピレン(PP)などからなる樹脂成形品であり、左右の制動部50,50よりも外側で収納凹部54の底に引っ掛かる爪60aによる係合構造により外蓋体28に取り付けられている。保持部材60の左右中央部には、後側部分がロック本体部48の外形に合わせて形成されたロック保持口62が設けられている。ロック部材38は、ロック設置口56から下方へ延出するロック本体部48が保持部材60のロック保持口62の後側部分を通って、ロック保持口62からロック本体部48が下方へ延出して、蓋体14の内側に臨んでいる。また、ロック部材38は、ロック設置口56から下方へ延出する左右の制動部50,50が保持部材60で覆われて、蓋体14の内側から制動部50にアクセスしてロック部材38を取り外すことが困難にしてある。
【0021】
図4(b)および
図5に示すように、係合部40は、蓋設置部34における収納凹部54の下面から下方へ延出するように、外蓋部28と一体形成されている。係合部40は、収納凹部54に開口するロック設置口56における前側開口縁の左右方向中央部に設けられ、ロック設置口56を通るロック部材38のロック本体部48の前側に隣り合うように配置されている。係合部40は、ロック保持口62の前側部分を通って保持部材60の下側に延出して、蓋体14の内側に臨んでいる。係合部40の下端部には、後方(ロック本体部48側)へ向けて突出する第1係合突起40aと、前方(ロック本体部48と反対側)へ突出する第2係合突起40bとが設けられている。第1係合突起40aは、ロック部材38のロック本体部48が当たる上面が、根元から先端(前から後)に向かうにつれて下方傾斜するように形成されると共に、第2係合突起40bよりも大きく突出している。また、係合部40は、ロック解除位置からロック位置に向かうロック部材38の移動経路に重なってロック部材38をロック解除位置で支持する係合解除位置(
図4(a))と、ロック位置にあるロック部材38に押されてロック部材38の移動経路から退避する係合位置(
図5(a))との間で弾性変形可能に構成される。係合部40は、ロック本体部48と接離する方向である前後方向へ弾性変形可能に形成され、力がかかっていない自然な状態でロック解除位置になるように設定されている。より具体的には、係合部40は、ロック解除位置にある際に、ロック本体部48の前壁に沿って延在すると共に第1係合突起40aがロック本体部48の係合段部48aの下側に重なり、第1係合突起40aに引っ掛かる係合段部48aを支持する。また、係合部40は、ロック解除位置からロック部材38が下降する際に、ロック本体部48の前壁に第1係合突起40aが押し退けられて前側へ傾くように変形する。
【0022】
図4(b)および
図5に示すように、係合受部42は、内箱20の前縁に形成された内箱設置部26に設けられている。内箱設置部26には、該内箱設置部26の上面から貫通する筒状に形成されたロック挿入部64が、蓋体14の閉じ姿勢時にロック本体部48および係合部40に対応する位置に設けられている。ロック挿入部64は、ロック本体部48および係合部40を挿入可能な開口寸法に設定されると共に、下端が、外箱設置部24および内箱設置部26に囲われて収納室12aおよび外部と区画された区画部27に開口している。ロック本体部48および係合部40は、蓋体14を閉じ姿勢とした際に、ロック挿入部64を通って、ロック挿入部64の下端から突き出た下部が区画部27に位置する。係合受部42は、係合部40の係合解除位置から係合位置へ向けた変形方向前側に位置するロック挿入部64の前壁下端に設けられ、係合位置でロック挿入部64の下部開口の下側に位置する係合部40と上下に重ならず、係合位置に弾性変形した係合部40の第2係合突起40bの上側に重なるように配置される。
図4(b)は、蓋体14が開放可能な状態を示す。このとき、ロック部材38がロック解除位置にあると共に係合部40が係合解除位置にあって、第1係合突起40aは、ロック本体部48の係合段部48aに接触する一方、第2係合突起40bと係合受部42とは離れた位置にある。従って、蓋体14は、掛止開口36aと掛止突起24aとの嵌合のみによって、箱本体12に対して係止されている。そのため、開閉操作片36を箱体10の前方に撓ませ、掛止突起24aと掛止開口36aの嵌合を外せば、蓋体14は容易に開放できる。そして、蓋体14を開放する際、ロック部材38は蓋設置部34に収納されたまま、蓋体14と共に移動する。
図5(a)は、蓋体14がロックされている状態を示す。このとき、ロック本体部48が押下げられており、係合部40が箱体10の前方に撓み、第2係合突起40bが係合受部42に係止されて蓋体14の解放を規制している。
【0023】
図10〜
図12に示すように、外箱18における外箱設置部24の底には、下方へ開放する凹状に形成された設置凹部66が後側に偏倚して設けられている。設置凹部66には、蓋体14の閉じ姿勢でロック挿入部64を介して区画部27に臨むロック部材38におけるロック本体部48の下端面に対向するように、解除部材44が昇降可能に取り付けられている。
図9に示すように、解除部材44は、左右に長い板状の解除操作部44aの上面から上方へ突出するよう形成されて、左右に離間配置された一対の取付部68,68と、一対の取付部68,68の間に位置して、解除操作部44aの上面から突出するよう形成された作動制御部70とを備えている。解除部材44は、上端部に互いに反対向きに延出する鉤状の取付爪68aを有する両取付部68,68および解除操作部44aが、左右対称な形状で形成されている。作動制御部70は、解除操作部44aの長手辺の一方に沿って立ち上がる板状部分である。すなわち、解除部材44は、上下の軸回りに反転することで、作動制御部70を解除操作部44aの前縁に配置した向き(作動向き)と、作動制御部70を解除操作部44aの後縁に配置した向き(不作動向き)とに切り替え可能になっている。
【0024】
図11および
図12に示すように、解除部材44は、設置凹部66の天井面に左右に離間して上下に貫通形成された一対の取付口72に取付部68をそれぞれ嵌め合わせて、外箱設置部24の底に着脱可能に取り付けられる。また、解除部材44は、上下の軸回りに反転して、作動向き(
図11(a)および(b)、
図12(a)および(b))および不作動向き(
図11(c)および
図12(c))の何れの前後向きでも設置凹部66に取り付け可能である。そして、解除部材44は、力がかかっていない自然な状態において、取付口72を介して区画部27に臨む取付爪68aが取付口72の開口縁に引っ掛かって自重により下降位置で保持される(
図11(a)および
図12(a)参照)。解除部材44は、下降位置において設置凹部66の内側に収まって、解除部材44の存在が判り難くしてある。
【0025】
図11(a),(b)および
図12(a),(b)に示すように、解除部材44は、作動向きで設置凹部66に取り付けた際に、作動制御部70が設置凹部66の天井面に左右の取付口72,72の間に設けられた挿通口74の前側部分に相対すると共に、解除操作部44aが挿通口74を介して区画部27に挿入されたロック本体部48の下端面に相対する。ここで、挿通口74は、前側部分の左右幅が作動制御部70の左右幅よりも大きく形成され、作動向きで取り付けた解除部材44の作動制御部70が挿通口74の前側部分に挿入可能になっている。解除部材44は、作動向きで設置凹部66に取り付けた際に、作動制御部70が挿通口74の前側部分を通ることで上昇が許容され、下降位置から上昇位置へ向けた押し上げ操作が可能となる。すなわち、解除部材44は、作動向きで取り付けることで、ロック位置で挿通口74を通って設置凹部66の内側(外箱設置部24の下側)に臨むロック部材38のロック本体部48を、ロック解除位置に向けて押し上げてロック解除することが可能となる。
【0026】
図10に示すように、挿通口74は、後側部分の左右幅が作動制御部70の左右幅よりも小さく形成されて、該後側部分における左右の開口縁の作動規制部76,76が、不作動向きで取り付けた解除部材44の作動制御部70に相対する。すなわち、解除部材44は、不作動向きで設置凹部66に取り付けた際に、作動制御部70が作動規制部76に阻まれて上昇が規制され、下降位置から上昇位置へ向けた押し上げ操作が不能となる(
図11(c)および
図12(c)参照)。従って、解除部材44は、不作動向きで取り付けることで、ロック位置で挿通口74を通って設置凹部66の内側(外箱設置部24の下側)に臨むロック部材38のロック本体部48を、ロック解除位置に向けて押し上げてロック解除することができない。このように、ロック機構16は、解除部材44を取り付ける向きに応じて、解除部材44によるロック解除機能の有無を選択できる。なお、挿通口74は、設置凹部66に取り付けた解除部材44によって、取り付け向きにかかわらず塞がれる。
【0027】
〔実施例の作用〕
次に、実施例の作用について説明する。ロック機構16は、ロック部材38がロック解除位置にあって係合部40が係合解除位置にある際に、係合部40がロック挿入部64の開口内に収まり、係合部40およびロック本体部48がロック挿入部64に挿脱可能となる(
図4(b))。仮に蓋体14を開いた状態でロック部材38をロック位置にしたとしても、係合位置になった係合部40が内箱設置部26に干渉して蓋体14を閉じることができず、使用者はロック部材38がロック解除位置にないことが判る。なお、蓋体14を開いた状態でロック部材38をロック位置にしたとしても、蓋体14の内側に突出するロック部材38の下端部を押し上げるだけで簡単にロック解除位置に戻すことができる。また、ロック機構16は、蓋体14を閉じ姿勢としてロック部材38をロック解除位置からロック位置へ向けて押すロック操作を行うことで、係合部40が係合解除位置から係合位置へ向けて前側へ傾くように変形し、係合部40の第2係合突起40bが係合受部42の下側に重なる。これにより、ロック機構16は、蓋体14を開き姿勢へ向けて持ち上げようとしても、係合部40の第2係合突起40bが係合受部42に引っ掛かって係合部40の上昇を規制することで、蓋体14の開放を規制する(
図5(a))。このように、ロック機構16は、ロック部材38をロック解除位置からロック位置に押すだけのロック操作により弾性変形した係合部40と係合受部42とが引っ掛かって蓋体14をロックする簡単な構成である。また、ロック機構16は、ロック部材38をロック解除位置からロック位置に下降させる操作を行わない限り、蓋体14を閉じ姿勢としてしまっても自然にロックがかかって蓋体14を開けなくなることはない。すなわち、使用者が意図することなくロックがかかって蓋体14をロックすることを防止でき、使い勝手を向上できる。
【0028】
前記ロック機構16は、作動向きで取り付けた解除部材44の解除操作部44aを押し上げ操作することで、ロック部材38の下端に当たった解除操作部44aによりロック部材38がロック位置からロック解除位置へ持ち上げられ、係合位置に弾性変形した係合部40が自身の弾力により係合解除位置に戻る(
図5(b))。これにより、係合部40と係合受部42との係合が外れると共に、係合解除位置ににある係合部40がロック挿入部64の開口内に収まり、係合部40およびロック本体部48がロック挿入部64から抜き出し可能となる。そして、ロック機構16のロック解除により、蓋体14の開放が許容される。このように、ロック機構16は、解除部材44の押し上げ操作によりロック部材38をロック位置からロック解除位置に上昇させる簡単な構成でロックを解除できる。また、ロック機構16は、解除部材44が箱本体12に予め組み込まれているので、別体の解除具を必要としない。すなわち、解除具を紛失するなどの不都合の発生もなく、蓋体14を開閉するたびに解除具を用意する必要もないので、使い勝手をより向上することができる。
【0029】
前記ロック機構16は、解除部材44を不作動向きで取り付けることで、解除操作部を押し上げ操作しても、作動制御部70が設置凹部66の作動規制部76に当たって、ロック部材38を押し上げることができなくなる。すなわち、ロック機構16は、解除部材44を作動向きから180°回転した不作動向きに付け替えるだけで、解除部材44によるロック解除機能が働かないようにすることができる。ここで、ロック機構16は、ロック位置にあるロック部材38で係合部40を係合位置に弾性変形するように押し退ける構成であるので、ロック機構16の機能を知っている使用者であればロック部材38の引掛口53の開口縁に例えば
図5(b)に示すような解除具58の鉤58aを引っ掛けて持ち上げるだけで、弾性変形していた係合部40を係合解除位置に自然に復帰させて、ロックを解除することができる。このように、ロック機構16は、解除部材44を取り付ける向きに応じて、解除部材44によるロック解除機能の有無を選択することができ、簡単な構成で製品のラインナップを増やすことなく機能に幅を持たせることができる。なお、解除具58は、特に専用品であることは必須ではなく、引掛口53の開口縁に引っ掛けてロック部材38を持ち上げ可能であればよい。
【0030】
前記ロック部材38は、弾性変形可能な左右の制動部50,50が蓋体14の設置凹部66に設けられたロック設置口56の開口縁に弾力的に当接する構成であるので、制動部50とロック設置口56との抵抗により、ロック部材38を設置凹部66の底から間をあけたロック解除位置から下降しないように保持するのを補助できる。また、制動部50とロック設置口56との抵抗により、ロック位置にあるロック部材38が係合位置から係合解除位置に弾力的に戻ろうとする係合部40に押されて、がたついたり、持ち上がったりするなどを防止できる。更に、制動部50とロック設置口56との当接によりかかる抵抗により、ロック部材38のロック操作に際して、適度な操作感を与えることができる。しかも、ロック本体部48と制動部50との間に設けられた変形調節部52によって制動部50の弾性変形を調節しているので、ロック設置口56と制動部50との当接でロック部材38に付与される抵抗を、ロック部材38をロック解除位置でより確実に停止させるなど、適切な度合いにすることができる。
【0031】
前記箱体10は、ロック部材38をロック位置とした際に、ロック部材38のロック操作部46が蓋体14の収納凹部54に収まって、ロック操作部46を指先でつまめなくなるから、ロック部材38を無理矢理持ち上げる不正なロック解除を阻むことができる。また、箱体10は、外箱18の外箱設置部24と内箱20の内箱設置部26とに囲われて、収容室12aおよび外部と区画された区画部27内で、ロック機構16の係合部40と係合受部42とが引っ掛かる構成であるから、外部から係合部40および係合受部42にアクセスすることができず、不正なロック解除を阻むことができる。箱体10は、解除部材44が箱本体12の設置凹部66内に収まる構成であるから、箱本体12を下から見た場合を除いて前や横などから見ても解除部材44があることを判り難くすることができる。箱体10は、解除部材44の解除操作部44aが該解除操作部44aの外形に合う開口形状の設置凹部66内に収まると共に、取付部68の取付爪68aが区画部27内に配置されているので、外箱18から内箱20を取り外して外箱設置部24の上部開口を開放しなければ、解除部材44を取り外すことができない。すなわち、解除部材44を外部から取り外して、挿通口74から係合部40またはロック本体部48に不正にアクセスすることを防止できる。
【0032】
(変更例)
前述した実施例に限らず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)実施例では断熱材を有する3層構造の箱本体を例示したが、1層の単層構造、2層または4層以上の複層構造であってもよい。
(2)実施例では断熱材を有する蓋体を例示したが、1層の単層構造、3層以上の複層構造であってもよい。