【実施例】
【0025】
  本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
  本実施例は、前面開口部1aを有するケース体1と、このケース体1の前面開口部1aを閉塞する閉塞体2とを備えた収納ケースである。
【0027】
  以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0028】
  ケース体1は、
図1〜4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成した方形状の前面開口部1aを有する方形箱状体であり、具体的には、底面板部1Aと、左右側面板部1Bと、天面板部1Cと、背面板部(図示省略)で構成されている。尚、天面板部1Cは、左右側面板部1B及び背面板部夫々の上端部と突き合せて着脱自在に係合連結し得るように構成されている。
【0029】
  また、ケース体1の正面開口縁部にして上下対向縁部には、該縁部に沿って長さを有する軸状部7が複数箇所(四箇所)に設けられている。
【0030】
  この軸状部7は、ケース体1の正面開口縁部に後述する閉塞体2を構成する枠材5を突き合せた際、枠材5の開口縁部にして該軸状部7に対設される上下対向縁部に設けられる凹状部8が係脱自在に圧入被嵌係合するように構成されている。
【0031】
  従って、ケース体1に対して枠材5を上下反転(180度回転)させて着脱自在に係合装着可能となる。
【0032】
  尚、ケース体1の正面開口縁部にして左右対向縁部に軸状部7を設け、この軸状部7に着脱自在に圧入被嵌係合する凹状部8を、枠材5の開口縁部にして軸状部7に対設される左右対向縁部に設けるようにしても良いし、ケース体1の正面開口縁部にして上下対向縁部及び左右対向縁部の双方に設けた軸状部7に着脱自在に圧入被嵌係合する凹状部8を、枠材5の開口縁部にして軸状部7に対設される上下対向縁部及び左右対向縁部の双方に設けても良く、更に、枠材5の開口縁部に軸状部7を設け、この軸状部7に着脱自在に圧入被嵌係合する凹状部8をケース体1の正面開口縁部に設けるようにしても良い。
【0033】
  また、ケース体1は、ケース上部(天面板部1Cの上面)に設けた凹状の上係合部3に凹凸係合する凸状の下係合部4をケース下部(底面板部1Aの下面)に設けて、複数のケース体1を凹凸係合状態で積重ね連結し得るように構成されている。
【0034】
  従って、ケース体1を複数用意し、このケース体1同士を上下に積重ねると、一のケース体1のケース上部に設けられた上係合部3に、他のケース体1のケース下部に設けられた下係合部4が凹凸係合し、よって、不意に上下に積重ねたケース体1が崩れたりしない良好な積重ね状態が得られることになる。
【0035】
  閉塞体2は、
図1〜4に図示したようにケース体1の前面開口部1aに着脱自在に係合装着し開口部5aを有する枠材5と、この枠材5の開口縁部に上下回動自在に枢着連結し該枠材5の開口部5aを開閉する蓋材6とから成り、ケース体1の正面開口部1aに対して枠材5を上下反転させて係合装着可能に設けて、蓋材6の開閉方向を上開き若しくは下開きのいずれか一方の方向に設定し得る構成としている。
【0036】
  枠材5は、
図3,4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成したものであり、正面視方形状の開口部5aを有する方形枠状体である。
【0037】
  また、枠材5の開口縁部にしてケース体1に設けられた軸状部7に対設される上下対向縁部に突き合せ方向に開口するC字状の凹状部8が設けられている。
【0038】
  また、枠材5の開口部5aの上側左右開口縁部には、後述する蓋材6の上側左右縁部に突出する枢着軸6aを軸受する軸受部5bが設けられ、更に、枠材5の開口部5aの上側開口縁部には、蓋材6に設けられるC字状の軸受部6bに軸受される枢着軸5cが設けられている。
【0039】
  従って、蓋材6は、蓋材5の上側開口縁部に上下回動自在に枢着連結し該枠材5の開口部5aを開閉する。
【0040】
  蓋材6は、
図3,4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成したものであり、正面視方形状の方形板状体である。
【0041】
  また、蓋材6は、上側左右縁部には、枠材5に設けられた軸受部5bで軸受される枢着軸6aが突設され、更に、上側縁部には、枠材5に設けられた枢着軸5cを軸受するC字状の軸受部6bが設けられている。
【0042】
  また、蓋材6の外面下方中央位置には凹状の指掛け部12が設けられている。
【0043】
  また、本実施例では、蓋材6が枠材5の開口部5aを閉塞した状態に係止保持する係脱自在な蓋閉塞保持手段9を備えている。
【0044】
  この蓋閉塞保持手段9は、蓋材6の先端部(下端部)に閉塞用係止凸部9aを一体成形し、この蓋材6を枠材5に対し閉塞回動させて開口部5aを閉塞した際に閉塞用係止凸部9aが係脱自在に乗り越え係止する閉塞用係合凸部9bを、枠材5の開口縁部(若しくは開口縁部の近傍)に一体成形して構成されている。
【0045】
  具体的には、
図9〜11に図示したように蓋閉塞保持手段9は、蓋材6の先端部(下端部)の内側に閉塞用係止凸部9aを一体成形し、枠材5の開口部5aの下側開口縁部に閉塞用係合凸部9bを一体成形した構成としている。
【0046】
  従って、蓋閉塞保持手段9は、後述する蓋開放保持手段10と同様、係止凸部が係合凹部に係止する係止保持手段ではなく、凸部9a・9b同士の係止保持手段であるため、この閉塞用係止凸部9aと閉塞用係合凸部9bとの寸法に多少バラつきがあっても、また枠材5や蓋材6に多少の歪みがあっても確実に凸部9a・9b同士は係止でき、従って蓋閉塞保持手段9を具備する枠材5と蓋材6とは、凸部9a・9bに寸法や部材の歪みまで考慮された成形精度を要せずに容易に型成形可能である。
【0047】
  また、本実施例では、蓋材6を開放回動して前記枠材5の開口部5aを開放した状態に係止保持する係脱自在な蓋開放保持手段10を備えている。
【0048】
  この蓋開放保持手段10は、
図5〜8に図示したように蓋材6の基端部(上端部)である枢着側端部に開放用係止凸部10aを一体成形し、この蓋材6を開放回動させて開口部5aを開放した際に開放用係止凸部10aが係脱自在に乗り越え係止する開放用係合凸部10bを、枠材5の開口縁部(若しくは開口縁部の近傍)に一体成形して構成されている。
【0049】
  開放用係止凸部10aは、蓋材6の基端部(上端部)に形成された正面側に下り傾斜する傾斜面に、一本の突条を蓋材6の巾方向に長さを有する状態で形成して構成され、蓋材6の閉塞状態の際には、デザインの一部として機能する。
【0050】
  また、本実施例では、開放用係合凸部10bが一体成形される枠材5の開口縁部(若しくは開口縁部の近傍)を、開放用係止凸部10aが係脱自在に乗り越え係止する際に開放用係合凸部10bが没方向へ移動するよう弾性変形する合成樹脂製の板状部11で構成している。
【0051】
  この板状部11は断面円弧凹状であり、この板状部11の凹状内面には該板状部11の巾方向に複数(4本)の凸条から成る開放用係合凸部10bが一体成形され、この各開放用係合凸部10b同士は等間隔を介して設けられている。
【0052】
  また、蓋開放保持手段10は、蓋材6を、水平より上方の開放回動位置で係止保持するように、少なくとも蓋材6に一体成形する開放用係止凸部10aの成形位置を設定構成している。
【0053】
  従って、この蓋開放保持手段10は、前述した蓋閉塞保持手段9と同様、係止凸部が係合凹部に係止する係止保持手段ではなく、凸部10a・10b同士の係止保持手段であるため、開放用係止凸部10aと開放用係合凸部10bとの寸法に多少バラつきがあっても、また枠材5や蓋材6に多少の歪みがあっても確実に凸部10a・10b同士は係止でき、従って蓋開放保持手段10を具備する枠材5と蓋材6とは、凸部10a・10bに寸法や部材の歪みまで考慮された成形精度を要せずに容易に型成形可能である。
【0054】
  本実施例は上述のように構成したから、例えばケース体1の前面開口部1aを閉塞する閉塞体2を開放操作し、ケース体1内への収納物の出し入れを行う。
【0055】
  具体的には、閉塞体2は、ケース体1の前面開口部1aに着脱自在に係合装着し開口部5aを有する枠材5と、この枠材5の開口縁部に上下回動自在に枢着連結し該枠材5の開口部5aを開閉する蓋材6とから成り、蓋材6を回動操作して枠材5の開口部5aを開放し、この枠材5の開口部5aからケース体1内への収納物の出し入れを行う。
【0056】
  ところで、本実施例は、ケース体1の正面開口部1aに対して枠材5を上下反転させて係合装着可能に設けて、蓋材6の開閉方向を上開き若しくは下開きのいずれの方向に設定し得る構成としており、例えば単独での使用時は勿論、ケース体1を複数用意し、このケース体1同士を上下に積重ねた状態での使用の場合、例えば、上段のケース体1に設けられる閉塞体2の蓋材6を上開きできる状態とし、下段のケース体1に設けられる閉塞体2の蓋材6を、ケース体1の正面開口部1aに対して枠材5を上下反転させて装着することで下開きできる状態とするというような、ユーザーの使い勝手に応じた使用スタイルが得られる。
【0057】
  また、本実施例は、蓋材6が枠材5の開口部5aを閉塞した状態に係止保持する係脱自在な蓋閉塞保持手段9を備えるとともに、蓋材6を開放回動して枠材5の開口部5aを開放した状態に係止保持する係脱自在な蓋開放保持手段10を備えており、前述したように枠材5を上下反転させる作業の際、不意に扉材6が開放してしまうことは無く作業性が良く、また、実際の使用時、下開きするような状態での使用時に閉じ状態の扉材6が不意に開放したり、一方、上開きするような状態での使用時に開いた蓋材6が不意に閉じてしまうことは無いなど、様々な場面において両手段が十分に機能することになる。
【0058】
  よって、本実施例によれば、ユーザーの使い勝手に応じて使用スタイルを適宜選択することができ、しかも、秀れた機能を発揮するなど、非常に便利で実用的な収納ケースとなる。
【0059】
  尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。