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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-57995(P2017-57995A)
(43)【公開日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】落下防止具
(51)【国際特許分類】
   F16B 41/00 20060101AFI20170303BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20170303BHJP
【FI】
   F16B41/00 C
   F16B41/00 A
   F16B37/14 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-185516(P2015-185516)
(22)【出願日】2015年9月18日
(11)【特許番号】特許第5918428号(P5918428)
(45)【特許公報発行日】2016年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】514228538
【氏名又は名称】株式会社フクデン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福留 太一
(57)【要約】
【課題】ボルトとナットとの間の螺合が容易であり、ボルトおよびナットの落下を確実に防止することができる落下防止具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の落下防止具Tは、ボルトBを保持する第1の保持具1と、ナットNを保持する第2の保持具2とを備え、第1の保持具1のボルト挿入穴13は、ボルトBの頭部Ba外周と係合するボルト係合部13aを有し、ボルトBの頭部Baと軸方向で係合するように内側に突出するボルト抜け止め部11を有し、第2の保持具2のナット挿入穴は、ナットNの外周と係合するナット係合部を有し、ナットNと軸方向で係合するように内側に突出するナット抜け止め部を有していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ボルトが挿入されて前記ボルトを保持する第1の保持具と、
落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ナットが挿入されて前記ナットを保持する第2の保持具とを備えた落下防止具であって、
前記第1の保持具は、
前記ボルトの軸方向に前記ボルトを挿入可能なボルト挿入穴を有し、
前記ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部外周と係合し、前記ボルト挿入穴内での前記ボルトの回転を規制するボルト係合部を有し、
前記ボルト挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ボルトの頭部の前記ボルト挿入穴内への挿入を許容し、前記ボルトの頭部が挿入されると、前記ボルトの頭部と軸方向で係合するように、内側に突出するボルト抜け止め部を有し、
前記第2の保持具は、
前記ナットの軸方向に前記ナットを挿入可能なナット挿入穴を有し、
前記ナット挿入穴は、前記ナットの外周と係合し、前記ナット挿入穴内での前記ナットの回転を規制するナット係合部を有し、
前記ナット挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ナットの前記ナット挿入穴内への挿入を許容し、前記ナットが挿入されると、前記ナットと軸方向で係合するように、内側に突出するナット抜け止め部を有している
落下防止具。
【請求項2】
前記第1の保持具の前記ボルト挿入穴の、前記ボルトの挿入方向における、前記ボルト係合部と前記ボルト抜け止め部との間に、および/または、前記第2の保持具の前記ナット挿入穴が、前記ナットの挿入方向における、前記ナット係合部と前記ナット抜け止め部との間に、ワッシャを保持するワッシャ保持部を有している請求項1記載の落下防止具。
【請求項3】
前記ボルト係合部の前記ボルトの挿入方向に対して垂直な断面が六角形で、
前記ナット係合部の前記ナットの挿入方向に対して垂直な断面が六角形である請求項1または2記載の落下防止具。
【請求項4】
前記ナット係合部が、前記ナットの挿入方向に沿って、前記ナットに加えて、他のナットを収容可能な深さを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の落下防止具。
【請求項5】
前記第1の保持具および/または前記第2の保持具が、略多角柱状または略多角錐台状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の落下防止具。
【請求項6】
前記第1の保持具が弾性材料により形成され、
前記ボルト挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、
前記ボルト挿入穴の開口縁のうち、前記ボルト抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第1の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ボルト抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ボルト挿入穴の開口縁が変形可能である請求項1〜5のいずれか1項に記載の落下防止具。
【請求項7】
前記第2の保持具が弾性材料により形成され、
前記ナット挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、
前記ナット挿入穴の開口縁のうち、前記ナット抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第2の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ナット抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ナット挿入穴の開口縁が変形可能である請求項1〜6のいずれか1項に記載の落下防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は落下防止具に関する。さらに詳しくは、ボルトやナットの取り付け作業時の落下を防止する落下防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、高所におけるアンテナの取り替えや新設作業などにおいては、アンテナの支持柱とアンテナとを接続する際に、支持柱とアンテナとを繋ぐ取付金物をボルト、ナット、ワッシャなどで締結して取り付けている。このような高所での部材の取付作業時、その他高所での保守、点検作業など、ボルト、ナット、ワッシャなどの取り付け、取り外しが必要となる場合、ボルト、ナット、ワッシャなどの部材が落下しないようにする必要がある。しかし、高所での作業は、作業者が安全帯などによりぶら下がった不安定な状態でボルト、ナット、ワッシャなど、比較的小さな部材を手に持って行われるため、部品を落下させてしまう危険性が高い。これらの部材が落下してしまうと、下方の第三者と接触して怪我をするおそれや、下方の設備が破損するおそれもある。そのため、このような高所作業中にボルト、ナット、ワッシャなどの落下を防止する落下防止具が求められている。
【0003】
このような落下防止具として、特許文献1には、図15に示されるような落下防止具が開示されている。この特許文献1の落下防止具100は、図15に示されるように、ナットNを保持する樹脂製の第1の保持体101と、ボルトBの頭部を保持する樹脂製の第2の保持体102と、第1、第2の保持体101、102にそれぞれ装着された連結体とを備えている。図15に示されるように、第1の保持体101は、外面および内面が円弧状に形成された円筒状の本体101aと、本体101aの側面101bに形成され、ナットNの対向する二辺間の幅よりも狭く、かつ、樹脂の弾性を利用した変形によってナットNを挿入可能な切欠部101cとを有している。第1の保持体101は、本体101aの横方向から切欠部101cを介して圧入されたナットNの外周部を保持する。また、第2の保持体102は、外面および内面が円弧状に形成された円筒状の本体102aと、本体102aの側面102bに形成され、ボルトBの頭部の対向する二辺間の幅よりも狭く、かつ、樹脂の弾性を利用した変形によってナットNを挿入可能な切欠部102cとを有している。第2の保持体102は、横方向から切欠部102cを介して樹脂の弾性を利用して圧入されたボルトBの頭部を保持する。
【0004】
この特許文献1の落下防止具100に、ナットNやボルトBを保持させる場合、第1の保持体101、第2の保持体102の側面101b、102bに形成された切欠部101c、102cから横方向に、すなわち、ナットNやボルトBの回転軸に対して垂直な方向から圧入する。ナットNやボルトBを取り外す際は、ナットNやボルトBの回転軸に対して垂直な方向に、第1の保持体101、第2の保持体102を引き抜く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−139468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の落下防止具100の場合、ナットNやボルトBが保持される第1および第2の保持体101、102の本体101a、102aの内面が円弧状に形成されているため、第1および第2の保持体101、102にナットNおよびボルトBが保持された状態で、ナットNを回しにくいという問題がある。すなわち、たとえば、ナットNをボルトBに対して回転させようとした場合に、第1の保持体101を回転させても、ナットNが第1の保持体101の本体101aの内部で空回りしてしまう。そのため、第1の保持体101の切欠部101cから露出されているナットNの側面を指で押さえながら、第1の保持体101を回転させる必要があり、ナットNのボルトBに対する螺合作業が困難となる。また、接続するボルトBが短い場合等の理由で、ナットNがボルトBにあまり深く螺合していない状態で、第1の保持体101をナットNから外そうとする場合、特許文献1においては、第1の保持体101をボルトBの回転軸に対して垂直な方向に引き抜くため、場合によってはナットNが緩む方向に回転する可能性がある。その場合には、第1の保持体101から外れたナットNがボルトBから外れて、ナットNが落下してしまう可能性もある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みて、ボルトとナットとの間の螺合が容易であり、ボルトおよびナットの落下を確実に防止することができる落下防止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の落下防止具は、落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ボルトが挿入されて前記ボルトを保持する第1の保持具と、落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ナットが挿入されて前記ナットを保持する第2の保持具とを備えた落下防止具であって、前記第1の保持具は、前記ボルトの軸方向に前記ボルトを挿入可能なボルト挿入穴を有し、前記ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部外周と係合し、前記ボルト挿入穴内での前記ボルトの回転を規制するボルト係合部を有し、前記ボルト挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ボルトの頭部の前記ボルト挿入穴内への挿入を許容し、前記ボルトの頭部が挿入されると、前記ボルトの頭部と軸方向で係合するように、内側に突出するボルト抜け止め部を有し、前記第2の保持具は、前記ナットの軸方向に前記ナットを挿入可能なナット挿入穴を有し、前記ナット挿入穴は、前記ナットの外周と係合し、前記ナット挿入穴内での前記ナットの回転を規制するナット係合部を有し、前記ナット挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ナットの前記ナット挿入穴内への挿入を許容し、前記ナットが挿入されると、前記ナットと軸方向で係合するように、内側に突出するナット抜け止め部を有していることを特徴とする。
【0009】
また、前記第1の保持具の前記ボルト挿入穴の、前記ボルトの挿入方向における、前記ボルト係合部と前記ボルト抜け止め部との間に、および/または、前記第2の保持具の前記ナット挿入穴が、前記ナットの挿入方向における、前記ナット係合部と前記ナット抜け止め部との間に、ワッシャを保持するワッシャ保持部を有していることが好ましい。
【0010】
また、前記ボルト係合部の前記ボルトの挿入方向に対して垂直な断面が六角形で、前記ナット係合部の前記ナットの挿入方向に対して垂直な断面が六角形であることが好ましい。
【0011】
また、前記ナット係合部が、前記ナットの挿入方向に沿って、前記ナットに加えて、他のナットを収容可能な深さを有することが好ましい。
【0012】
また、前記第1の保持具および/または前記第2の保持具が、略多角柱状または略多角錐台状に形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記第1の保持具が弾性材料により形成され、前記ボルト挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、前記ボルト挿入穴の開口縁のうち、前記ボルト抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第1の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ボルト抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ボルト挿入穴の開口縁が変形可能であることが好ましい。
【0014】
また、前記第2の保持具が弾性材料により形成され、前記ナット挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、前記ナット挿入穴の開口縁のうち、前記ナット抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第2の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ナット抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ナット挿入穴の開口縁が変形可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ボルトとナットとの間の螺合が容易であり、ボルトおよびナットの落下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の落下防止具と、落下防止具に取り付けられるボルト、ナット、ワッシャとを示す斜視図である。
図2図1の落下防止具の第1の保持具を、ボルト挿入穴の開口側から見た上面図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
図5図3のV−V線断面図である。
図6図1の落下防止具の第1の保持具にボルトおよびワッシャが取り付けられた状態を示す図である。
図7図1の落下防止具の第2の保持具にナットおよびワッシャが取り付けられた状態を示す図である。
図8】第2の保持具の他の実施形態を示す断面図である。
図9】落下防止具の使用例を示す図であり、第1の保持具に保持されたボルトがボルト挿通孔に挿入される前の状態を示す図である。
図10】落下防止具の使用例を示す図であり、第1の保持具に保持されたボルトがボルト挿通孔に挿入された状態を示す図である。
図11】落下防止具の使用例を示す図であり、ボルト挿通孔に挿入されたボルトに、第2の保持具に保持されたナットを螺合する状態を示す図である。
図12】落下防止具の使用例を示す図であり、ボルト挿通孔に挿入されたボルトに、第2の保持具に保持されたナットが螺合された状態を示す図である。
図13】ボルトおよびナットから、第1の保持具および第2の保持具が取り外された状態を示す図である。
図14】第1の保持具の側面が押圧されて、ボルト挿入穴が変形した状態を示す図である。
図15】従来の落下防止具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の落下防止具は、たとえば、アンテナの取り替えや新設作業に必要なボルト、ナット、ワッシャなどの取り付け、交換作業や、鉄塔や電柱でのボルト、ナット、ワッシャなどの取り付け、交換作業など、高所での部材の取付作業、その他高所での保守、点検作業に用いられる。作業者は、落下防止具を安全帯などに取り付けて、ボルト、ナット、ワッシャなどの締結が必要な高所まで登って、ボルト、ナット、ワッシャなどの締結作業を行う。以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の落下防止具を詳細に説明する。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の落下防止具Tは、ボルトBが挿入されてボルトBを保持する第1の保持具1と、ナットNが挿入されてナットNを保持する第2の保持具2とを備えている。以下に説明する例では、第1の保持具1と第2の保持具2とは、同じ構造として説明し、第2の保持具2について一部図示は省略している。なお、第1の保持具1と第2の保持具2とは、異なる形状、構造としてもよい。また、以下に説明する実施形態では、第1の保持具1をボルトB用の保持具とし、第2の保持具2をナットN用の保持具として説明するが、第1の保持具1をナット用、第2の保持具2をボルト用としてもよい。
【0019】
第1の保持具1は、本実施形態では、図1および図6に示されるように、ボルトBが挿入されてボルトBを保持する。ボルトBは、ボルトBの頭部Ba側からボルトBの軸部Bbの軸方向(以下、単にボルトBの軸方向という)に沿って第1の保持具1に挿入される。第1の保持具1は、ボルトBおよび後述するワッシャWを挿入することができれば、その形状は特に限定されないが、たとえば、柱状(略多角柱状、略円柱状)、錐台状(略多角錐台状、略円錐台状)などすることができる。なお、本実施形態では、第1の保持具1は、図1図3に示されるように、略直方体状に形成され、後述するボルト挿入穴13の開口が形成された面である、上面S1、上面S1に対向する底面S2、および、上面S1および底面S2の間を繋ぐ側面S3、S4、S5、S6を有している。
【0020】
第1の保持具1の材料は、後述するボルト抜け止め部11が弾性変形可能であれば、特に限定されないが、たとえば、ゴムや合成樹脂等の弾性変形可能な弾性材料であることが好ましい。本実施形態では、第1の保持具1は、全体がEPDM等のゴム材料により形成されている。
【0021】
第1の保持具1は、ボルトBを保持した状態の第1の保持具1が落下しないように、図1および図3に示されるように、落下防止用の連結体Cが取り付けられる連結部12(図3参照)を有している。連結体Cは、たとえば安全帯などを介して作業者に取り付けるための細長い部材であり、第1の保持具1を作業者に取り付けることができれば任意の連結体Cを用いることができる。連結部12は、この連結体Cを第1の保持具1に取り付けるための部位である。連結部12を設ける位置は特に限定されないが、本実施形態では、底面S2に形成されている。連結部12は、本実施形態では、底面S2の中央に形成された孔として形成され、その孔に取り付けられたピンPを介して連結体Cが取り付けられている。しかし、連結部12は、連結体Cを取り付けることができれば、図示するものに限定されず、第1の保持具1の底面S2または他の面などから突出して、連結体Cを係合するものなどであっても構わない。
【0022】
また、図1図3に示されるように、第1の保持具1は、ボルトBの軸方向にボルトBを挿入可能なボルト挿入穴13を有している。ボルト挿入穴13は、図3に示されるように、ボルトBの頭部BaをボルトBの軸方向に収容することができる深さに形成されている。
【0023】
ボルト挿入穴13は、ボルトBの頭部Baの外周と係合し、ボルト挿入穴13内でのボルトBの回転を規制するボルト係合部13aを有している。ボルト係合部13aの形状は、本実施形態では、図4に示されるように、ボルト係合部13aのボルトBの挿入方向(軸方向)に対して垂直な断面が六角形として示されている。しかし、ボルト係合部13aは、ボルトBとナットNとの螺合時に、ボルトBの頭部Baと係合して、ボルトBの回転が規制されるものであれば、たとえば、断面が矩形や三角形など、他の形状であってもよい。また、ボルト係合部13aのボルトBの挿入方向の深さは、本実施形態では、ボルトBの頭部Baの軸方向の長さよりも大きくなるようにされているが、ボルト係合部13aは、ボルトBの頭部Baが係合することができる深さであればよい。
【0024】
また、本実施形態の第1の保持具1は、ボルト挿入穴13の、ボルトBの挿入方向における、ボルト係合部13aとボルト抜け止め部11との間に、ワッシャWを保持するワッシャ保持部13bを有している。ワッシャ保持部13bは、図5に示されるように、ワッシャWを収容可能な形状にされており、本実施形態では断面が円形として示されている。ワッシャ保持部13bの挿入方向の深さは、ワッシャWが収容できるように設定される。本実施形態では、ワッシャ保持部13bは、2つのワッシャWを収容できる深さとされている。なお、本明細書における「ワッシャ」は、平ワッシャ、スプリングワッシャなどの他、後述する仮止め用ゴムワッシャGW(図1参照)も含まれる。
【0025】
また、本実施形態の第1の保持具1は、図1および図2に示されるように、ボルト挿入穴13の開口縁に、弾性変形してボルトBの頭部Baのボルト挿入穴13内への挿入を許容し、ボルトBの頭部Baが挿入されると、ボルトBの頭部Baと軸方向で係合するように、内側に突出するボルト抜け止め部11を有している。ボルト抜け止め部11は、ゴムや樹脂等の弾性材料から形成され、ボルトBの頭部Baのボルト挿入穴13内への挿入時に弾性変形して、ボルトBの頭部Baの挿入を可能にしている。また、ボルト抜け止め部11は、ボルトBが第1の保持具1から外されるときに弾性変形して、ボルトBの取り外しが可能になる。また、本実施形態では、ボルト抜け止め部11は、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)のボルト挿入穴13への挿入時に弾性変形して、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)の挿入を可能にし、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)がボルトBとともに第1の保持具1から外されるときに弾性変形するように構成されている。
【0026】
本実施形態では、ボルト抜け止め部11は、ワッシャ保持部13bにワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)を取り付けることにより、ボルトBの抜け止めを確実にしている。具体的には、ボルトBがボルト挿入穴13内に収容された後、ワッシャ保持部13bにワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)が収容され、ボルト抜け止め部11と軸方向で係合することにより、ボルトBよりも幅の広いワッシャWが、ボルトBの頭部Baが軸方向で外れる方向に移動することを規制する。そのため、ボルトBの脱落が確実に防止される。また、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)によりボルトBの脱落が確実に防止されるため、ボルト抜け止め部11とボルトBとの間の係合をそれほど堅固にする必要がない。したがって、本実施形態の第1の保持具1を、ボルトBの頭部Baをボルト抜け止め部11に通すときは通しやすく、かつ、ボルトBが外れにくい構造とすることができる。
【0027】
なお、仮止め用ゴムワッシャGWは、ワッシャWが取り付けられるときは不要であるが、ワッシャWがボルトBに取り付けられない場合に用いられる。仮止め用ゴムワッシャGWは、図1に示されるようにワッシャWと略同形状とすることができる。仮止め用ゴムワッシャGWは、ゴム製の略円環状の部材であり、第1の保持具1がボルトBから外されるときに同時に外れるように、径方向に切り込みが形成されている。また、本実施形態では、仮止め用ゴムワッシャGWは、第1の保持具1からボルトBが取り外されたときに落下しないように、連結部12(連結部12に取り付けられたピンP)に接続されている。
【0028】
なお、ボルト抜け止め部11は、上述した機能を有するものであれば、任意の形状とすることができるが、本実施形態では、図2に示されるように、ボルト挿入穴13の開口縁が、略円形の仮想円Ciから、仮想円Ciの中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部11が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈している。ボルト抜け止め部11は、ボルト挿入穴13の挿入側の開口幅がボルトBの頭部Baの幅よりも狭くなるように形成される。より具体的には、ボルト抜け止め部11の最も幅の狭い部位の幅W1(図2参照)は、ボルトBの頭部Baの対向する二辺間の幅W2(図6参照)よりも短くなるように構成されている。
【0029】
つぎに、第2の保持具2について説明する。なお、第2の保持具2は、第1の保持具1と同様の構成とすることができるため、一部説明は省略する。なお、第2の保持具2およびその構成要素については、第1の保持具1に関して用いた図2図5において、参照符号を括弧書きで示している。
【0030】
第2の保持具2は、本実施形態では、図1および図7に示されるように、ナットNが挿入されてナットNを保持する。ナットNは、ナットNの中心軸(ナットNの回転軸)に沿って、すなわち、ナットNの中心軸の延び方向がナットNの挿入方向となるように、第2の保持具2に挿入される。
【0031】
第2の保持具2は、ナットNおよびワッシャW(図1では、平ワッシャWおよびスプリングワッシャSW)を挿入することができれば、その形状は特に限定されないが、たとえば、柱状(略多角柱状、略円柱状)、錐台状(略多角錐台状、略円錐台状)などすることができる。なお、本実施形態では、第2の保持具2は、第1の保持具1と同様に、略直方体状に形成されている。
【0032】
第2の保持具2は、ナットNを保持した状態の第2の保持具2が落下しないように、図1および図3に示されるように、落下防止用の連結体Cが取り付けられる連結部22を有している。連結部22は、本実施形態では、第2の保持具2の後述するナット挿入穴23の開口が形成された上面S1に対向する底面S2に形成されている。連結部22は、第1の保持具1の連結部12と同様の構成とすることができる。
【0033】
また、図2および図7に示されるように、第2の保持具2は、ナットNの軸方向(ナットNの中心軸が延びる方向)にナットNを挿入可能なナット挿入穴23を有している。ナット挿入穴23は、図7に示されるように、ナットNをナットNの軸方向に収容することができる深さに形成されている。
【0034】
ナット挿入穴23は、ナットNの外周と係合し、ナット挿入穴23内でのナットNの回転を規制するナット係合部23aを有している。ナット係合部23aの形状は、本実施形態では、図4に示されるように、ボルト係合部13aと同様に、ナット係合部23aのナットNの挿入方向(軸方向)に対して垂直な断面が六角形として示されている。しかし、ナット係合部23aは、ボルトBとナットNとの螺合時に、ナットNの側面と係合して、ナットNの回転が規制されるものであれば、たとえば、断面が矩形や三角形など、他の形状であってもよい。また、ナット係合部23aのナットNの挿入方向の深さは、本実施形態では、ナットNの軸方向の長さよりも大きくなるようにされているが、ナット係合部23aは、ナットNの外周が係合することができる深さであればよい。
【0035】
なお、ナット係合部23aは、図8の変形例に示されるように、ナットN以外に他のナット(本実施形態では低ナット)N2も収容できるように構成しても構わない。ナットN以外の他のナット(低ナット)N2を収容する場合、図8に示されるように、他のナットN2を収容可能なように、ナット係合部23aの軸方向の長さを、図7に示されるものよりも長くすればよい。また、ナット係合部23aの挿入方向の奥側には、ナットN(および他のナットN2)とボルトBとを深く螺合させるために、螺合時にナットN(および他のナットN2)を貫通したボルトBの先端が入り込むことができるように、ナット係合部23aの挿入方向で奥側に形成された、ボルト先端収容部24を有している。ボルト先端収容部24は、他のナットN2は入り込まず、ボルトBの軸部Bbは入るような寸法に設定されている。なお、このボルト先端収容部24は、図2図5に示される第2の保持具2には設けられていないが、図2図5に示される第2の保持具2にボルト先端収容部24を設けても構わない。
【0036】
また、本実施形態の第2の保持具2は、図7に示されるように、ナット挿入穴23の、ナットNの挿入方向における、ナット係合部23aとナット抜け止め部21との間に、ワッシャWを保持するワッシャ保持部23bを有している。ワッシャ保持部23bは、第1の保持具1のワッシャ保持部13bと同様の構成を有している。本実施形態では、ワッシャ保持部23bには、ワッシャWの他、スプリングワッシャSWが収容されている。
【0037】
また、本実施形態の第2の保持具2は、図2および図7に示されるように、ナット挿入穴23の開口縁に、弾性変形してナットNのナット挿入穴23内への挿入を許容し、ナットNが挿入されると、ナットNと軸方向で係合するように、内側に突出するナット抜け止め部21を有している。ナット抜け止め部21は、ゴムや樹脂等の弾性材料から形成され、ナットNのナット挿入穴23内への挿入時に弾性変形して、ナットNの挿入を可能にしている。また、ナット抜け止め部21は、ナットNが第2の保持具2から外されるときに弾性変形して、ナットNの取り外しが可能になる。また、本実施形態では、ナット抜け止め部21は、ワッシャWおよびスプリングワッシャSW(または仮止め用ゴムワッシャGW)のナット挿入穴23への挿入時に弾性変形して、ワッシャWおよびスプリングワッシャSWの挿入を可能にし、ワッシャWおよびスプリングワッシャSW(または仮止め用ゴムワッシャGW)がナットNとともに第2の保持具2から外されるときに弾性変形するように構成されている。
【0038】
本実施形態では、ナット抜け止め部21は、ワッシャ保持部23bにワッシャW、スプリングワッシャSW(または仮止め用ゴムワッシャGW)を取り付けることにより、ナットNの抜け止めを確実にしている。具体的には、ナットNがナット挿入穴23内に収容された後、ワッシャ保持部23bにスプリングワッシャSW、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)が収容され、ナット抜け止め部21と軸方向で係合することにより、ナットNよりも幅の広いワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)が、ボルトNが軸方向で外れる方向に移動することを規制する。そのため、ナットNの脱落が確実に防止される。また、スプリングワッシャSW、ワッシャW(または仮止め用ゴムワッシャGW)によりナットNの脱落が確実に防止されるため、ナット抜け止め部21とナットNとの間の係合をそれほど堅固にする必要がない。したがって、本実施形態の第2の保持具2を、ナットNをナット抜け止め部21に通すときは通しやすく、かつ、ナットNが外れにくい構造とすることができる。
【0039】
なお、ナット抜け止め部21は、上述した機能を有するものであれば、任意の形状とすることができる。ナット抜け止め部21は、ボルト抜け止め部11と同様に、図2に示されるように、ナット挿入穴23の開口縁が、略円形の仮想円Ciから、仮想円Ciの中心を対称として、一対の扇状のナット抜け止め部21が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈している。ナット抜け止め部21は、ナット挿入穴23の挿入側の開口幅がナットNの幅よりも狭くなるように形成される。より具体的には、ナット抜け止め部21の最も幅の狭い部位の幅W1(図2参照)は、ナットNの対向する二辺間の幅よりも短くなるように構成されている。
【0040】
つぎに、本実施形態の脱落防止具Tの使用方法について説明する。なお、以下の例では、アンテナの支持柱とアンテナとの取り付け作業を例にあげて説明するが、脱落防止具Tは、他の対象の取り付け作業に用いてもよい。また、以下で説明する脱落防止具Tの使用方法はあくまで一例であり、以下の説明に限定されるものではなく、順序なども適宜変更することができる。
【0041】
まず、作業者は、ボルトBおよびナットNを第1の保持具1および第2の保持具2にそれぞれ取り付ける。ボルトBを第1の保持具1に取り付ける際には、ボルトBの頭部Ba側から、第1の保持具1のボルト挿入穴13に向けて、ボルトBの軸方向に沿ってボルトBを差し込む。ボルトBの頭部Baの挿入時には、ボルト抜け止め部11が弾性変形して、ボルトBを容易に挿入することができる。ボルトBの頭部Baがボルト抜け止め部11を超え、そのままボルトBを挿入すると、ボルトBの頭部Baは、ボルト挿入穴13のボルト係合部13aに収容される。つぎに、ボルトBの軸部Bbに挿通されたワッシャWをボルト抜け止め部11を変形させてワッシャ保持部13bに取り付ける。これにより、図6に示されるように、ボルトBの第1の保持具1への取り付けが完了し、第1の保持具1からの脱落が防止される。なお、ワッシャWが不要な場合は、仮止め用ゴムワッシャGWがボルトBの軸部Bbを囲んだ状態で、ワッシャ保持部13bに取り付けられる。
【0042】
ナットNを第2の保持具2に取り付ける際には、ナットNを第2の保持具2のナット挿入穴23に向けて、ナットNの軸方向に沿ってナットNを差し込む。ナットNの挿入時には、ナット抜け止め部21が弾性変形して、ナットNを容易に挿入することができる。ナットNがナット抜け止め部21を超え、そのままナットNを挿入すると、ナットNは、ナット挿入穴23のナット係合部23aに収容される。つぎに、本実施形態では、スプリングワッシャSW、ワッシャWを、ナット抜け止め部21を変形させてワッシャ保持部23bに取り付ける。これにより、図7に示されるように、ナットNの第2の保持具2への取り付けが完了し、第2の保持具2からの脱落が防止される。なお、ワッシャWが不要な場合は、仮止め用ゴムワッシャGWがワッシャ保持部23bに取り付けられる。
【0043】
ボルトBおよびナットNを第1の保持具1および第2の保持具2にそれぞれ取り付けると、第1の保持具1および第2の保持具2に連結部12、22を介して取り付けられた連結体Cを、安全帯や、接続金具などに連結する。これにより、第1の保持具1および第2の保持具2が、作業者から外れなくなる。
【0044】
第1の保持具1および第2の保持具2を身に着けた作業者は、ボルトBおよびナットNにより部材を締結する必要のある高所まで移動する。この移動中に、ボルトBおよびナットNは第1の保持具1および第2の保持具2から脱落することがないため、作業者は、ボルトBおよびナットNを気にせずに、高所まで移動することができる。ボルトBおよびナットNにより部材を締結する必要のある場所まで作業者が移動すると、ボルトBおよびナットNがセットされた第1の保持具1および第2の保持具2を準備する。
【0045】
ボルトBおよびナットNの取付部位まで移動すると、まず、図9および図10に示されるように、接続金具J(本実施形態では、アンテナAとアンテナAの支持柱SPとを接続する金具)のボルト挿通孔Jaに、第1の保持具1に保持されたボルトBの軸部Bbを挿通する。ボルトBの軸部Bbがボルト挿通孔Jaに挿通されると、次にナットNが保持された第2の保持具2を持ち、ボルトBの軸部Bbの先端が、第2の保持具2のナット挿入穴23に入るように第2の保持具2をボルトBの軸方向に沿って近付ける。ボルトBの軸部Bbの先端が、第2の保持具2内のナットNにわずかに螺合すると、次に、図11に示されるように、第1の保持具1を持ちながら、第2の保持具2をボルトBの軸回りに回転させる。このとき、ボルトBの頭部BaおよびナットNの外周は、第1の保持具1のボルト係合部13aおよび第2の保持具2のナット係合部23aにそれぞれ係合しているため、第2の保持具2を回転させるだけで、ボルトBとナットNとを容易に螺合することができる。そして、この螺合時には、図11に示されるように、第2の保持具2の側面S3〜S6(図2参照)を図11中、上から下に向けて撫でるように操作すると、第2の保持具2は簡単に回転する。上述した特許文献1のような構造の場合は、ナットNを螺合させる際に、図15に示されるように第1の保持体101の内面が円弧状に形成されているため、第1の保持体101の切欠部101cからナットNを持ちながら第1の保持体101を回転させる必要があり、ナットNを回転させるのに細かい操作が必要となる。しかし、本実施形態の第2の保持具2の回転には、強い力や細かい操作は不要であり、簡単にボルトBとナットNとを螺合させることができる。また、本実施形態の第2の保持具2では、連結部22が底面S2の中央部に設けられ、連結部22に取り付けられた連結体Cが、第2の保持具2に対して、ボルトBの軸回りに回転可能に取り付けられている。そのため、第2の保持具2の回転に伴って、連結体Cが第2の保持具2とともに、ぐるぐる回転することがなく(すなわち、連結体Cは、第2の保持具2を回転させても、図11中、ほぼ下方向に延びた状態のままとなる)、第2の保持具2の回転の邪魔とならない。
【0046】
図12に示されるように、ボルトBとナットNとの間の螺合がある程度完了すると、図13に示されるように、ボルトBおよびナットNから、第1の保持具1および第2の保持具2を取り外し、ボルトBおよびナットNを固く締結し、ボルトBおよびナットNの締結作業が完了する。
【0047】
このボルトBおよびナットNを第1の保持具1および第2の保持具2から取り外す場合、第1の保持具1および第2の保持具2を、図13に矢印で示すように、ボルトBの軸方向に互いに離れるように引き抜くだけで完了し、複雑な操作は不要である。より具体的には、第1の保持具1を図中右側に引き、第2の保持具2を左側に引っ張ると、ワッシャ保持部13b、23bに保持されたワッシャW等が、ボルト抜け止め部11およびナット抜け止め部21を変形させて、第1の保持具1および第2の保持具2が取り外される。この時点では、ボルトBとナットNとは既にある程度螺合されている状態であるため、ボルトBとナットNとは軸方向に力が加わっても、それぞれのねじ山が障害となりナットNがボルトBから外れることがない。そして、第1の保持具1および第2の保持具2は、ボルトBの軸方向に沿って引き抜かれるため、第1の保持具1および第2の保持具2の引き抜き時に、ボルトBの軸方向に垂直な方向など、ナットNが緩む方向に力が加わらない。したがって、第1の保持具1および第2の保持具2の引き抜き時に、ナットNが緩むことがなく、作業者があまり深く螺合せずに第1の保持具1および第2の保持具2を取り外した場合であっても、ナットNが緩んで脱落するという危険性がない。以上のように、本実施形態の落下防止具Tによれば、高所までの移動過程から、ボルトBとナットNとの螺合の完了まで、安全かつ確実に作業を行うことができる。
【0048】
なお、第1の保持具1および第2の保持具2を引き抜くときに、図14に示されるように、ボルト挿入穴13の開口縁のうち、ボルト抜け止め部11が形成されていない円弧状の部位13cの外側に対応する第1の保持具1の外周、および/またはナット挿入穴23の開口縁のうち、ナット抜け止め部21が形成されていない円弧状の部位23cの外側に対応する第2の保持具2の外周を押圧することにより、第1の保持具1および第2の保持具2を引き抜きやすくすることもできる。すなわち、弾性材料から形成された第1の保持具1および第2の保持具2を押圧することにより、図14に示されるように、一対のボルト抜け止め部11および/またはナット抜け止め部21の間の間隔が広くなるようにボルト挿入穴13および/またはナット挿入穴23の開口縁が変形可能に構成されている。本実施形態では、図14に示されるように、ボルト抜け止め部11やナット抜け止め部21が形成されていない円弧状の部位13c、23cに対応する側面S3、S4を押圧すると、弾性材料(ゴム)が変形して、ボルト挿入穴13またはナット挿入穴23の開口が、図14中、上下方向に延びて、ボルト抜け止め部11またはナット抜け止め部21の間の間隔が広がる。このように、ボルト挿入穴13またはナット挿入穴23の中で最も狭い間隔のボルト抜け止め部11またはナット抜け止め部21の間の間隔が広がることにより、ワッシャWがワッシャ保持部13b、23bから抜けやすくなり、第1の保持具1、第2の保持具2の引き抜きが容易になる。
【0049】
なお、本実施形態では、このボルト挿入穴13、ナット挿入穴23の開口縁の変形を容易にするために、図2および図3に示されるように、側面S3、S4が、第1の保持具1および第2の保持具2の底面S2側から上面S1側に向かって幅が狭くなるようにテーパー状に形成されたものを示している。しかし、ボルト挿入穴13および/またはナット挿入穴23の開口縁が変形可能であれば、側面S3、S4がテーパー状に形成する以外に、単に底面S2側よりも上面S1側を薄肉にするなど、他の方法でボルト挿入穴13、ナット挿入穴23の変形を容易にしてもよい。
【0050】
なお、本明細書において、「略円形」、「略多角柱状」、「略円柱状」、「略多角錐台状」、「略円錐台状」という用語は、それぞれ、真円、厳密な多角柱、円柱、多角錐台、円錐台を含み、また、概ね円形、多角柱、円柱、多角錐台、円錐台である形状を含む概念である。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の保持具
11 ボルト抜け止め部
12 連結部
13 ボルト挿入穴
13a ボルト係合部
13b ワッシャ保持部
13c 円弧状の部位
2 第2の保持具
21 ナット抜け止め部
22 連結部
23 ナット挿入穴
23a ナット係合部
23b ワッシャ保持部
23c 円弧状の部位
24 ボルト先端収容部
A アンテナ
B ボルト
Ba ボルトの頭部
Bb ボルトの軸部
C 連結体
Ci ボルト挿入穴の開口縁の仮想円
GW 仮止め用ゴムワッシャ
J 接続金具
Ja ボルト挿通孔
N ナット
N2 他のナット(低ナット)
P ピン
S1 上面
S2 底面
S3、S4、S5、S6 側面
SP アンテナの支持柱
SW スプリングワッシャ
T 落下防止具
W ワッシャ
W1 ボルト抜け止め部の最も幅の狭い部位の幅
W2 ボルトの頭部の対向する二辺間の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2016年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ボルトが挿入されて前記ボルトを保持する第1の保持具と、
落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ナットが挿入されて前記ナットを保持する第2の保持具とを備えた落下防止具であって、
前記第1の保持具は、
前記ボルトの軸方向に前記ボルトを挿入可能なボルト挿入穴を有し、
前記ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部外周と係合し、前記ボルト挿入穴内での前記ボルトの回転を規制するボルト係合部を有し、
前記ボルト挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ボルトの頭部の前記ボルト挿入穴内への挿入を許容し、前記ボルトの頭部が挿入されると、前記ボルトの頭部が外れる方向に移動することを規制する、内側に突出するボルト抜け止め部を有し、
前記第2の保持具は、
前記ナットの軸方向に前記ナットを挿入可能なナット挿入穴を有し、
前記ナット挿入穴は、前記ナットの外周と係合し、前記ナット挿入穴内での前記ナットの回転を規制するナット係合部を有し、
前記ナット挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ナットの前記ナット挿入穴内への挿入を許容し、前記ナットが挿入されると、前記ナットが外れる方向に移動することを規制する、内側に突出するナット抜け止め部を有し
前記第1の保持具の前記ボルト挿入穴の、前記ボルトの挿入方向における、前記ボルト係合部と前記ボルト抜け止め部との間に、および/または、前記第2の保持具の前記ナット挿入穴が、前記ナットの挿入方向における、前記ナット係合部と前記ナット抜け止め部との間に、ワッシャを保持するワッシャ保持部を有し、
前記ワッシャ保持部は、前記ボルト係合部またはナット係合部よりも幅広に形成され、
前記第1の保持具および/または第2の保持具が、前記第1の保持具および/または第2の保持具の連結部に接続され、前記ワッシャ保持部に取り付け可能な仮止め用ゴムワッシャを備え、
前記仮止め用ゴムワッシャは、前記第1の保持具が前記ボルトから外されるときに同時に外れるように、径方向に切り込みが形成された略円環状の部材である
落下防止具。
【請求項2】
前記ボルト係合部の前記ボルトの挿入方向に対して垂直な断面が六角形で、
前記ナット係合部の前記ナットの挿入方向に対して垂直な断面が六角形である請求項1記載の落下防止具。
【請求項3】
前記ナット係合部が、前記ナットの挿入方向に沿って、前記ナットに加えて、他のナットを収容可能な深さを有する請求項1または2記載の落下防止具。
【請求項4】
前記第1の保持具および/または前記第2の保持具が、略多角柱状または略多角錐台状に形成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の落下防止具。
【請求項5】
前記第1の保持具が弾性材料により形成され、
前記ボルト挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、
前記ボルト挿入穴の開口縁のうち、前記ボルト抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第1の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ボルト抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ボルト挿入穴の開口縁が変形可能である請求項1〜のいずれか1項に記載の落下防止具。
【請求項6】
前記第2の保持具が弾性材料により形成され、
前記ナット挿入穴の開口縁が、略円形の仮想円から、仮想円の中心を対称として、一対の扇状のボルト抜け止め部が中心に向かって所定の幅で突出した形状を呈し、
前記ナット挿入穴の開口縁のうち、前記ナット抜け止め部が形成されていない円弧状の部位の外側に対応する第2の保持具の外周を押圧すると、一対の前記ナット抜け止め部の間の間隔が広くなるように前記ナット挿入穴の開口縁が変形可能である請求項1〜のいずれか1項に記載の落下防止具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の落下防止具は、落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ボルトが挿入されて前記ボルトを保持する第1の保持具と、落下防止用の連結体が取り付けられる連結部を有し、ナットが挿入されて前記ナットを保持する第2の保持具とを備えた落下防止具であって、前記第1の保持具は、前記ボルトの軸方向に前記ボルトを挿入可能なボルト挿入穴を有し、前記ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部外周と係合し、前記ボルト挿入穴内での前記ボルトの回転を規制するボルト係合部を有し、前記ボルト挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ボルトの頭部の前記ボルト挿入穴内への挿入を許容し、前記ボルトの頭部が挿入されると、前記ボルトの頭部が外れる方向に移動することを規制する、内側に突出するボルト抜け止め部を有し、前記第2の保持具は、前記ナットの軸方向に前記ナットを挿入可能なナット挿入穴を有し、前記ナット挿入穴は、前記ナットの外周と係合し、前記ナット挿入穴内での前記ナットの回転を規制するナット係合部を有し、前記ナット挿入穴の開口縁に、弾性変形して前記ナットの前記ナット挿入穴内への挿入を許容し、前記ナットが挿入されると、前記ナットが外れる方向に移動することを規制する、内側に突出するナット抜け止め部を有し、前記第1の保持具の前記ボルト挿入穴の、前記ボルトの挿入方向における、前記ボルト係合部と前記ボルト抜け止め部との間に、および/または、前記第2の保持具の前記ナット挿入穴が、前記ナットの挿入方向における、前記ナット係合部と前記ナット抜け止め部との間に、ワッシャを保持するワッシャ保持部を有し、前記ワッシャ保持部は、前記ボルト係合部またはナット係合部よりも幅広に形成され、前記第1の保持具および/または第2の保持具が、前記第1の保持具および/または第2の保持具の連結部に接続され、前記ワッシャ保持部に取り付け可能な仮止め用ゴムワッシャを備え、前記仮止め用ゴムワッシャは、前記第1の保持具が前記ボルトから外されるときに同時に外れるように、径方向に切り込みが形成された略円環状の部材であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】