【解決手段】主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3とを制御する端末装置4を備え、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3のそれぞれとを通信可能に構成すると共に、主幹ブレーカ2と端末装置4とを通信可能に構成し、端末装置4は、複数の分岐ブレーカ3それぞれの定格電流の設定値を入力する入力部4bを備え、入力部4bで入力された複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を主幹ブレーカ2に送信するように構成され、主幹ブレーカ2は、受信した複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定値のそれぞれを、対応する分岐ブレーカ3に送信するように構成され、複数の分岐ブレーカ3は、受信した定格電流の設定値を記憶し、対応する分岐電路6を流れる電流が記憶した定格電流以上となったとき当該分岐電路6を遮断するようにそれぞれ構成される。
前記端末装置の前記入力部は、前記複数の分岐ブレーカそれぞれに対して、対応する前記分岐電路に流れる電流と当該電流を検出してから前記分岐電路を遮断するまでの動作時間との関係である電流−動作時間特性を入力可能に構成され、
前記端末装置は、入力された前記複数の分岐ブレーカの電流−動作時間特性を前記主幹ブレーカを介してあるいは直接前記複数の分岐ブレーカに送信するように構成され、
前記複数の分岐ブレーカは、受信した電流−動作時間特性を記憶し、対応する前記分岐電路を流れる電流が定格電流以上となったときに、当該電流で電流−動作時間特性を参照して動作時間を求め、当該電流の検出から動作時間後に前記分岐電路を遮断するようにそれぞれ構成される、
請求項1に記載の分電盤システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る分電盤システムの概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、分電盤システム1は、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、端末装置4と、を主に備えている。ここでは、4つの分岐ブレーカ3を備える場合を示しているが、分岐ブレーカ3の数はこれに限定されるものではない。また、
図1では、図示の簡略化のため、1つの分岐ブレーカ3のみ内部構成を示しているが、各分岐ブレーカ3は同じ構成である。
【0015】
主幹ブレーカ2は、主幹電路5に設けられ、主幹電路5に流れる電流が予め設定された定格電流以上となったときに主幹電路5を遮断するものであり、主幹電路5を遮断するための主幹側遮断回路2aを有している。
【0016】
分岐ブレーカ3は、主幹電路5から分岐する複数の分岐電路6のそれぞれに設けられ、分岐電路6を流れる電流が予め設定された定格電流以上となったときに分岐電路6を遮断するものであり、分岐電路6を遮断するための分岐側遮断回路3aを有している。
【0017】
遮断回路2a,3aの具体的な構成は特に限定するものではないが、例えば、ソレノイドコイルに電流を流した際の磁力を利用して対応する電路5,6の接点を開く電磁式のものを用いることができる。
【0018】
端末装置4は、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3とを制御および管理するためのものであり、例えば、スマートフォン等の携帯端末や、パーソナルコンピュータから構成される。
【0019】
分電盤システム1では、少なくとも、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3のそれぞれとが通信可能に構成され、かつ、主幹ブレーカ2と端末装置4とが通信可能に構成されている。本実施の形態では、主幹ブレーカ2に主幹側通信部2b、各分岐ブレーカ3に分岐側通信部3b、端末装置4に端末側通信部4aをそれぞれ搭載し、これら主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3と端末装置4との間で、相互に通信可能に分電盤システム1を構成した。
【0020】
本実施の形態では、端末装置4と主幹ブレーカ2及び各分岐ブレーカ3とは、無線通信により通信を行うように構成されている。無線通信に用いる通信方式は特に限定するものではないが、例えば、IEEE802.15.1(ブルートゥース(登録商標))に準拠した近距離無線通信方式を用いることができる。
【0021】
さらに、本実施の形態では、主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3とは、無線通信により通信を行うように構成されている。主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3とを電力線通信により通信を行うように構成してもよいが、この場合、通信部2b,3bが大型化してしまい、かつ、端末装置4と無線通信を行う機構を別途設ける必要が生じる。本実施の形態では、主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3とを無線通信により通信を行うように構成することで、通信部2b,3bの小型化を図り、かつ、共通の通信部2b,3bを用いて端末装置4と通信できるように構成しており、これにより主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3の小型化を可能としている。
【0022】
さて、本実施の形態に係る分電盤システム1では、端末装置4から各分岐ブレーカ3の定格電流を一括して設定(あるいは書き換え)可能に構成されている。以下、この点について詳細に説明する。
【0023】
(端末装置4の構成)
端末装置4は、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を入力する入力部4bを備え、入力部4bで入力された各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を端末側通信部4aを介して主幹ブレーカ2に送信するように構成されている。
【0024】
また、端末装置4は、入力部4bで入力された各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を記憶する端末側記憶部4cと、モニタ等の表示器4dと、通信制御や表示器4dの表示制御等を行う端末側制御部4eと、を備えている。
【0025】
本実施の形態では、入力部4bにグラフィカルインターフェイス(GUI)を用い、主幹ブレーカ2と各分岐ブレーカ3の配置と定格電流の設定値を入力画面としてグラフィカルに表示器4dに示し、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を表示器4dを参照しつつ変更できるように入力部4bを構成した。端末装置4をスマートフォンで構成した場合の入力画面の一例を
図2に示す。
【0026】
なお、
図2に示すように、端末装置4をタッチパネル式のモニタ20を有するスマートフォンで構成する場合、当該モニタ20が入力部4bと表示器4dとを兼ねることになる。この例では、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値の変更を行うと、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値が端末側記憶部4cに記憶され、その後表示器4dに表示されている送信ボタン21をタッチすることで、端末側制御部4eが、端末側記憶部4cに記憶された各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を、端末側通信部4aを介して主幹ブレーカ2に一括して送信するように構成している。
【0027】
その後、主幹ブレーカ2から各分岐ブレーカ3の定格電流の設定が成功あるいは失敗した(エラーが発生した)という通知を受信すると、端末側制御部4eがその旨を表示器4dに表示し、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定が終了する。なお、主幹ブレーカ2から所定時間上述の通知が受信されない場合には、端末側制御部4eは、エラーが発生したことを表示器4dに表示する。
【0028】
なお、主幹ブレーカ2からエラーが発生した通知を受信した場合、および主幹ブレーカ2から所定時間上述の通知が受信されない場合には、定格電流の設定値の送信を自動で繰り返す(リトライする)ように端末側制御部4eを構成してもよい。この場合、定格電流の設定が成功するまで、予め設定された最大リトライ回数まで定格電流の設定値の送信を自動で繰り返すようにし、最大リトライ回数まで送信を繰り返してもエラーが発生した場合には、エラーが発生したことを表示器4dに表示するように端末側制御部4eを構成してもよい。
【0029】
また、エラーが発生したブレーカ2,3を表示器4dに表示するように端末側制御部4eを構成してもよい。例えば、主幹ブレーカ2から所定時間上述の通知が受信されない場合には、主幹ブレーカ2でエラーが発生したことを表示器4dに表示し、主幹ブレーカ2からエラーが発生した通知を受信した場合には、例えば主幹ブレーカ2から受信したエラーが発生した分岐ブレーカ3のID等を基に、エラーが発生した分岐ブレーカ3を特定して表示器4dに表示するように端末側制御部4eを構成してもよい。
【0030】
また、この例では、表示器4dに表示されている更新ボタン22をタッチすることで、端末側制御部4eが、主幹ブレーカ2に各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を要求する信号を送信し、その後主幹ブレーカ2から受信した各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を表示器4dに表示するように端末装置4を構成している。つまり、
図2の入力画面は、各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を確認する役割を兼ねている。
【0031】
なお、
図2に示した入力画面のレイアウトや表示内容はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば、端末側制御部4eを、主幹ブレーカ2に各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を要求する信号を所定の時間間隔で送信し、常に各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値の最新情報を表示器4dに表示するように構成することで、更新ボタン22を省略することも可能である。
【0032】
(主幹ブレーカ2の構成)
主幹ブレーカ2は、端末装置4から送信され主幹側通信部2aを介して受信された各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値のそれぞれを、対応する分岐ブレーカ3に送信するように構成されている。
【0033】
図1及び
図3に示すように、主幹ブレーカ2は、主幹ブレーカ2及び各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を記憶する主幹側記憶部2cと、通信制御や主幹側遮断回路2aの制御等を行う主幹側制御部2dと、主幹電路5を流れる電流を検出する主幹側電流検出部2eと、を有している。
【0034】
主幹側制御部2dは、端末装置4から送信された各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を受信したとき、当該各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を主幹側記憶部2cに記憶させた後、分岐ブレーカ3のそれぞれに主幹側通信部2aを介して定格電流の設定値を送信するように構成される。
【0035】
主幹側制御部2dは、分岐ブレーカ3のそれぞれに主幹側通信部2aを介して定格電流の設定値を送信後、各分岐ブレーカ3から定格電流の設定が成功あるいは失敗した(エラーが発生した)という通知を受信すると、当該通知を一括して端末装置4に送信する。なお、任意の分岐ブレーカ3から所定時間上述の通知が受信されない場合には、当該分岐ブレーカ3についてはエラーが発生したという通知を送信する。また、主幹側制御部2dは、エラーが発生したという通知と共に、当該エラーが発生した分岐ブレーカ3のID等を端末装置4に送信し、端末装置4にてエラーが発生した分岐ブレーカ3を特定できるようにしてもよい。
【0036】
また、主幹側制御部2dは、主幹側電流検出部2eで検出した主幹電路5を流れる電流が主幹側記憶部2cに記憶している主幹ブレーカ2の定格電流の設定値以上となったとき、主幹側遮断回路2aを制御して主幹電路5を遮断するように構成される。
【0037】
主幹側電流検出部2eの具体的な構成は特に限定するものではないが、例えば、変流器(CT)やホール素子等の磁電変換素子を用いた電流検出回路を用いることができる。また、主幹側電流検出部2eは、主幹ブレーカ2に内蔵されていなくともよい。
【0038】
また、本実施の形態では、主幹側制御部2dは、端末装置4から送信された各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を要求する信号を受信したとき、主幹側記憶部2cに記憶している各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を一括して端末装置4に送信するように構成されている。なお、これに限らず、各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を要求する信号を受信したときに、各分岐ブレーカ3と通信して各分岐ブレーカ3の現在の定格電流の設定値を取得した後に、取得した各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を一括して端末装置4に送信するように主幹側制御部2dを構成しても構わない。
【0039】
(分岐ブレーカ3の構成)
各分岐ブレーカ3は、主幹ブレーカ2から送信され分岐側通信部3bを介して受信した定格電流の設定値を記憶し、対応する分岐電路6を流れる電流が記憶した定格電流以上となったとき当該分岐電路6を遮断するようにそれぞれ構成される。
【0040】
図1及び
図4に示すように、各分岐ブレーカ3は、定格電流の設定値を記憶する分岐側記憶部3cと、通信制御や分岐側遮断回路3aの制御等を行う分岐側制御部3dと、対応する分岐電路6を流れる電流を検出する分岐側電流検出部3eと、をそれぞれ有している。
【0041】
分岐側制御部3dは、主幹ブレーカ2から送信された定格電流の設定値を受信したとき、当該定格電流の設定値を分岐側記憶部3cに記憶させるように構成される。すなわち、分岐側制御部3dは、主幹ブレーカ2から送信された定格電流の設定値を受信したとき、定格電流の設定値を受信した設定値に更新する(書き換える)ように構成される。
【0042】
分岐側制御部3dは、受信した定格電流の設定値の分岐側記憶部3cへの記憶(書き換え)が成功したとき、定格電流の設定が成功したという通知を主幹ブレーカ2に送信するように構成される。分岐側制御部3dは、受信した定格電流の設定値の分岐側記憶部3cへの記憶(書き換え)が何らかの理由で失敗したとき、定格電流の設定が失敗した(エラーが発生した)という通知を主幹ブレーカ2に送信するように構成される。
【0043】
また、分岐側制御部3dは、分岐側電流検出部3eで検出した分岐電路6を流れる電流が分岐側記憶部3cに記憶されている定格電流の設定値以上となったとき、分岐側遮断回路3aを制御して分岐電路6を遮断するように構成される。
【0044】
分岐側電流検出部3eの具体的な構成は特に限定するものではないが、例えば、変流器(CT)やホール素子等の磁電変換素子を用いた電流検出回路を用いることができる。また、分岐側電流検出部3eは、分岐ブレーカ3に内蔵されていなくともよい。
【0045】
なお、変流器(CT)を用いる場合には既存の分岐ブレーカから取り換える際に別途変流器(CT)を取り付けるための工事が必要になるが、分岐側電流検出部3eとしてホール素子等の磁電変換素子を用いた内蔵型の電流検出回路を用いる場合には、このような工事は不要になり、既存の分岐ブレーカからの取り換えが容易になる。
【0046】
(各分岐ブレーカ3の電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性について)
本実施の形態では、各分岐ブレーカ3の定格電流だけでなく、各分岐ブレーカ3の電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性についても、端末装置4から一括して設定可能に構成されている。
【0047】
ここで、電流−動作時間特性とは、例えば
図5に示すように、分岐電路6に流れる電流と当該電流を検出してから分岐電路6を遮断するまでの動作時間との関係を表すものである。
図5では、一例として、検出した電流毎に動作時間の最少時間Aと最大時間Bが設定された電流−動作時間特性を示しており、
図5にハッチングした動作時間内、すなわち最少時間A以上最大時間B以下の時間内に分岐電路6を遮断する必要があることを示している。なお、
図5では、縦軸は動作時間を対数で示し、横軸は検出した電流の定格電流に対する割合(%)を対数で示している。
【0048】
また、定格電流の温度補正特性とは、例えば
図6に示すように、周囲温度に対する定格電流補正率の関係を表すものである。定格電流の温度補正特性により求めた定格電流補正率を定格電流の設定値に掛け合わせることで、定格電流の温度補正が行われる。
【0049】
本実施の形態では、端末装置4の入力部4bは、各分岐ブレーカ3に対して電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性とを入力可能に構成される。このとき、予め端末装置4の端末側記憶部4cに複数の電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性のパターンを記憶させておき、いずれのパターンを使用するかを選択するように入力部4bを構成してもよい。端末装置4の端末側制御部4eは、入力された各分岐ブレーカ3の電流−動作時間特性や定格電流の温度補正特性を一括して主幹ブレーカ2に送信するように構成される。
【0050】
主幹ブレーカ2の主幹側制御部2dは、端末装置4から各分岐ブレーカ3の電流−動作時間特性や定格電流の温度補正特性を受信したとき、受信した各分岐ブレーカ3の電流−動作時間特性や定格電流の温度補正特性のそれぞれを、対応する分岐ブレーカ3に送信するように構成される。
【0051】
各分岐ブレーカ3は、主幹ブレーカ2から電流−動作時間特性や定格電流の温度補正特性を受信したとき、受信した電流−動作時間特性や定格電流の温度補正特性を分岐側記憶部3cに記憶する。
【0052】
各分岐ブレーカ3の分岐側制御部3dは、対応する分岐電路6を流れる電流が定格電流以上となったときに、当該電流で分岐側記憶部3cに記憶した電流−動作時間特性を参照して動作時間(最少時間Aと最大時間B)を求め、当該電流の検出から動作時間後(最少時間A以上最大時間B以下の時間内)に分岐電路6を遮断するようにそれぞれ構成される。
【0053】
また、各分岐ブレーカ3の分岐側制御部3dは、周囲温度で分岐側記憶部3cに記憶した定格電流の温度補正特性を参照して定格電流補正率を求め、当該定格電流補正率を分岐側記憶部3cに記憶した定格電流の設定値に掛け合わせることにより定格電流の温度補正を行い、補正した定格電流を用いて分岐電路6の遮断制御を行うようにそれぞれ構成される。
【0054】
周囲温度を検出する手段は特に限定するものではないが、例えば、各分岐ブレーカ3に個別に温度センサを設けてもよいし、共通の温度センサを主幹ブレーカ2に備え、温度センサの検出値を主幹ブレーカ2から各分岐ブレーカ3に送信するように構成してもよい。
【0055】
なお、予め端末装置4の端末側記憶部4cに複数の電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性のパターンを記憶させておき、いずれのパターンを使用するかを選択するように入力部4bを構成する場合には、各分岐ブレーカ3の分岐側記憶部3cにも予め複数の電流−動作時間特性と定格電流の温度補正特性のパターンを記憶させておき、どのパターンを使用するかという情報のみを端末装置4から分岐ブレーカ3に送信するように構成してもよい。
【0056】
(変形例)
本実施の形態では、入力部4bにて入力した定格電流の設定値、電流−動作時間特性、および定格電流の温度補正特性を、端末装置4から主幹ブレーカ2を介して各分岐ブレーカ3に送信する場合を説明したが、端末装置4と各分岐ブレーカ3とを主幹ブレーカ2を介さずに直接通信可能に構成し、端末装置4から各分岐ブレーカ3に直接定格電流の設定値、電流−動作時間特性、および定格電流の温度補正特性を送信可能に構成しても構わない。つまり、端末装置4から各分岐ブレーカ3に対して、個別に定格電流の設定等を行えるように構成しても構わない。
【0057】
また、本実施の形態では、主幹ブレーカ2と分岐ブレーカ3とを通信可能に構成しているため、これを利用し、各分岐電路6に流れる電流(消費電力)を監視する機能を主幹ブレーカ2に備えることも可能である。この場合、各分岐ブレーカ3の分岐側制御部3dは、分岐側電流検出部3eで検出した電流の値を逐次主幹ブレーカ2に送信するように構成される。
【0058】
さらに、主幹ブレーカ2は、各分岐ブレーカ3から受信した電流の値を基に、複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を自動更新し、当該自動更新した定格電流の設定値を各分岐ブレーカ3に送信するように構成されてもよい。この際、主幹ブレーカ2は、各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値が主幹ブレーカ2に設定された定格電流以上とならないように、各分岐電路6における電力の使用状況に応じて各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を自動変更するように構成される。これにより、各分岐電路6に接続される電気機器等に応じて各分岐ブレーカ3の定格電流の設定値が柔軟に設定されることになり、新たな電気機器の使用を開始する際等に定格電流の設定値を変更する作業が不要になる。
【0059】
また、分岐側電流検出部3eで検出した電流の値を各分岐ブレーカ3から端末装置4、あるいは専用の装置に送信し、端末装置4や専用の装置にて、消費電力の確認や分析を行えるようにしても構わない。この際、分電盤システム1にインターネット通信を行う通信ユニットを別途設置し、当該通信ユニットからインターネットを介して所定のサーバに各分岐ブレーカ3で検出した電流の値をアップロードするように構成し、パーソナルコンピュータ等によりインターネットを介して上述のサーバにアクセスすることで、消費電力の確認や分析を行えるように構成しても構わない。
【0060】
また、本実施の形態では、分電盤システム1に備えられる分岐ブレーカ3の全てが、定格電流の書き換え可能に構成されている場合を説明したが、定格電流の書き換えができない既存の分岐ブレーカを含んでいてもよい。
【0061】
さらに、本実施の形態では、分岐ブレーカ3の定格電流の設定値、電流−動作時間特性、および定格電流の温度補正特性を設定する場合について説明したが、主幹ブレーカ2についても、定格電流の設定値、電流−動作時間特性、および定格電流の温度補正特性を設定可能に構成してもよい。
【0062】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る分電盤システム1では、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3のそれぞれとを通信可能に構成すると共に、主幹ブレーカ2と端末装置4とを通信可能に構成し、端末装置4は、複数の分岐ブレーカ3それぞれの定格電流の設定値を入力する入力部4bを備え、入力部4bで入力された複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定値を主幹ブレーカ2に送信するように構成され、主幹ブレーカ2は、受信した複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定値のそれぞれを、対応する分岐ブレーカ3に送信するように構成され、複数の分岐ブレーカ3は、受信した定格電流の設定値を記憶し、対応する分岐電路6を流れる電流が記憶した定格電流以上となったとき当該分岐電路6を遮断するようにそれぞれ構成されている。
【0063】
このように構成することで、複数の分岐ブレーカ3の定格電流の設定を一括して行うことが可能になり、特に多数の分岐ブレーカの定格電流の設定を行う場合に、定格電流の設定作業が容易になる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0065】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。