特開2017-59330(P2017-59330A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-59330(P2017-59330A)
(43)【公開日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】カードコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20170303BHJP
【FI】
   H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-181165(P2015-181165)
(22)【出願日】2015年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】徳橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB17
5E123AC21
5E123BA07
5E123BA09
5E123BB12
5E123CA17
5E123CB22
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123DA05
5E123DB09
5E123DB11
5E123DB25
5E123EA03
5E123GB08
5E123GB12
5E123GC13
5E123GC24
(57)【要約】
【課題】カードの収容されたトレイ等の挿抜物の挿抜の際に、コンタクトの座屈を防止することができるカードコネクタを提供すること。
【解決手段】ハウジング10の一方の面のカード収容部13にカードの収容されたトレイ14を挿抜して、内部のコンタクト32に、カード14bのパッド部を接離するようにしたカードコネクタにおいて、前記コンタクト32の先端部に先端係止部23を形成し、この先端係止部23を、前記ハウジング10他方の面に設けた係止凹部24に潜らせ、前記コンタクト32の復帰時に係止凹部24に設けた係止突部25に前記先端係止部23を係止する。先端係止部23は、L字形、T字形などとし、係止突部25は、係止凹部24内面に突出して形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状のハウジングの一方の面にカード収容部を形成し、前記ハウジングに形成した複数のコンタクト組み込み孔に、前記カード収容部に挿抜するカードのパッド部と接離するコンタクトを設けたカードコネクタにおいて、
前記コンタクトの先端部に先端係止部を形成し、この先端係止部を、前記ハウジングの他方の面に設けた係止凹部に移動自在に潜らせ、この係止凹部側に、前記コンタクトの復帰時に前記先端係止部を係止する係止突部を設けてなることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
先端係止部は、L字形とし、係止突部は、係止凹部内の一方側から突出して形成したことを特徴とする請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
先端係止部は、T字形とし、係止突部は、係止凹部内の両側から突出して形成したことを特徴とする請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項4】
先端係止部は、長孔とし、係止突部は、係止凹部内の他方の面から突出して形成したことを特徴とする請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項5】
複数個のコンタクトのうちの相隣る2個のコンタクトは、コンタクトの方向に直交する方向にわずかな間隔を置き、かつ、一方のコンタクトの弾性片部の先端部と他方のコンタクトの弾性片部の基端部が一部並列するように配置してなることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のカードコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードコネクタからカード(カード収容トレイ、カードアダプタを含む)を抜き取るときにカードコネクタ内部のコンタクトの座屈を防止するようにしたカードコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、カードコネクタにおいて、カードの収容されたトレイを差し込むとき又は抜き取るときにコンタクトの先端部にカードの収容されたトレイや作業者の指先が干渉してコンタクト端子のコンタクト先端部に座屈、曲損などの損傷が発生するのを防止した発明をすでに提案した(特許文献1)。
図6(c)は、カード収容トレイ14aのカード嵌め込み孔31に2枚のnanoSIMカード等のICカード14bが嵌め込まれている状態を示す。以下の説明で、符号14は、ICカード14bがカード収容トレイ14aのカード嵌め込み孔31に嵌め込まれているカードの収容されたトレイを指すものとする。
このカードの収容されたトレイ14を挿抜する従来のカードコネクタ9を図6(a)(b)に基づいて説明すると、ハウジング10のカード支持部11にシールドカバー21を被せてカードの収容されたトレイ14が挿抜されるカード収容部13が形成される。前記カード支持部11に、コンタクト15がその基部をハウジング10と一体に成型し、この基部からへ字形に折曲し、コンタクト15のコンタクト先端部18には、このコンタクト先端部18をカード収容部13側から覆うコンタクト先端保護部16が形成されている。このコンタクト先端保護部16は、下面から凹部19が形成され、この凹部19の傾斜面部20に、コンタクト15のコンタクト先端部18が係止される。
【0003】
このように構成されたカードコネクタ9にカードの収容されたトレイ14を挿入すると、コンタクト15の接点部17に、カードの収容されたトレイ14のカードのパッド部が接触し、接点部17が押し下げられてコンタクト15の先端部18が基板12の金属箔部22に接触し、コンタクト15が弾性変形する。
ここで、コンタクト15のコンタクト先端部18がコンタクト先端保護部16の凹部19に臨ませているので、カードの収容されたトレイ14をカード収容部13に差し込むとき又はカード収容部13からカードの収容されたトレイ14を抜き取るときに、コンタクト15のコンタクト先端部18にカードの収容されたトレイ14や作業者の指先が干渉しない。このため、コンタクト15の座屈、曲損などの損傷が発生するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−133222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6(a)(b)において、カードの収容されたトレイ14を差し込むときは、コンタクト15は、カード14bのパッド部で接点部17を押し下げるので、コンタクト15のコンタクト先端部18がコンタクト先端保護部16の凹部19における傾斜面部20から離れて基板12の金属箔部22に接触しながら図中のコンタクト15aのように凹部19の奥の方へ摺動しつつ移動する。
しかし、カードの収容されたトレイ14がnanoSIMやminiSIMのような小型のカードでは、トレイ14aに嵌め込んでカード収容部13に差し込まれるが、差し込んだ後でカードの収容されたトレイ14を抜き取るときは、トレイとカードの嵌め込み箇所やコンタクト15の表面にバリ等の突起や傷が生じていると、コンタクト15の傾斜部分にそのバリが引っかかる。接点部17が押し下げられた状態では、コンタクト先端部18が傾斜面部20から外れており基板12の上面をコンタクト先端部18が摺動するので、コンタクト先端部18は傾斜面部20から抜け出してコンタクト15は、図中のコンタクト15bのように座屈する。
また、トレイ14aにカード14bが嵌め込まれていないようなときは、接点部17がカード嵌め込み孔31に突出するので、コンタクト先端部18が傾斜面部20に係止していてもトレイを強引に抜き取ると、コンタクト15がカード嵌め込み孔31に引っかかって座屈することがあった。
さらに、カードアダプタの挿抜時やカード単体の挿抜時にも同様の問題があった。
【0006】
本発明は、カードコネクタのカード収容部に、カード、カード収容トレイ、カードアダプタ等の挿抜物を挿抜する際に、収容された挿抜物がコンタクトに引っかかるようなことがあってもコンタクトが座屈するのを防止することのできるカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるカードコネクタは、薄板状のハウジング10の一方の面にカード収容部13を形成し、前記ハウジング10の他方の面に基板12又は絶縁体を有し、前記ハウジング10に形成した複数のコンタクト組み込み孔27に、前記カード収容部13に挿抜するカード14bのパッド部と接離するへ字形のコンタクト32を設けたカードコネクタにおいて、
前記コンタクト32の先端部に先端係止部23を形成し、この先端係止部23を、前記ハウジング10の他方の面に設けた係止凹部24に移動自在に潜らせ、この係止凹部24側に、前記コンタクト32の復帰時に前記先端係止部23を係止する係止突部25を設けてなることを特徴とする。
【0008】
実施例1では、先端係止部23は、L字形とし、係止突部25は、係止凹部24内の一方側から突出して形成する。
実施例2では、先端係止部23は、T字形とし、係止突部25は、係止凹部24内の両側から突出して形成する。
実施例3では、先端係止部23は、長孔とし、係止突部25は、係止凹部24内の他方の面から突出して形成する。
【0009】
また、各コンタクトのばねスパンをできるだけ大きくとるために、複数個のコンタクト32のうちの相隣る2個のコンタクト32は、コンタクト32の方向に直交する方向にわずかな間隔を置き、かつ、一方の第1コンタクト32aの弾性片部33の先端部と他方の第2コンタクト32bの弾性片部33の基端部26が一部並列するように配置する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、薄板状のハウジングの一方の面にカード収容部を形成し、前記ハウジングに形成した複数のコンタクト組み込み孔に、前記カード収容部に挿抜するカードのパッド部と接離するコンタクトを設けたカードコネクタにおいて、
前記コンタクトの先端部に先端係止部を形成し、この先端係止部を、前記ハウジングの他方の面に設けた係止凹部に移動自在に潜らせ、この係止凹部側に、前記コンタクトの復帰時に前記先端係止部を係止する係止突部を設けたので、
カード収容されたトレイ、カードアダプタ、カード単体を含む挿抜物のカード収容部内での挿抜時、特に抜き取り時に挿抜物のバリ等がコンタクトに引っかかっても先端係止部が係止突部に係止してコンタクトの座屈を防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、先端係止部は、L字形とし、係止突部は、係止凹部内の一方側から突出して形成したので、簡単な構造で座屈を防止できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、先端係止部は、T字形とし、係止突部は、係止凹部内の両側から突出して形成したので、先端係止部が係止突部により確実に係止できる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、先端係止部は、長孔とし、係止突部は、係止凹部内の他方の面から突出して形成したので、コンタクトのずれをなくしつつ座屈を防止できる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、複数個のコンタクトのうちの相隣る2個のコンタクトは、コンタクトの方向に直交する方向にわずかな間隔を置き、かつ、一方のコンタクトの弾性片部の先端部と他方のコンタクトの弾性片部の基端部が一部並列するように配置したので、弾性片部のばねスパンを可能な限り長くでき、長期間の安定した弾性力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるカードコネクタ9の実施例1を示すもので、(a)は、コンタクト32をハウジング10に取り付けた状態の一部の平面図、(b)は、(a)の底面図、(c)は、(b)の一部の斜視図である。
図2図1(a)におけるA−A線拡大断面図である。
図3】本発明によるカードコネクタ9の実施例1を示すシールドカバー21を外した平面図である。
図4】本発明によるカードコネクタ9の実施例2を示すもので、(a)は、コンタクト32をハウジング10に取り付けた状態の一部の平面図、(b)は、(a)の底面図である。
図5】本発明によるカードコネクタ9の実施例3を示すもので、(a)は、コンタクト32をハウジング10に取り付けた状態の一部の平面図、(b)は、(a)の底面図である。
図6】従来のカードコネクタ9を示すもので、(a)は、カードコネクタ9の縦断面図、(b)は、(a)におけるB部分の拡大断面図、(c)は、トレイ14aにカード14bを嵌め込んだ正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
薄板状のハウジング10の一方の面にカード収容部13を形成し、前記ハウジング10の他方の面に基板12又は絶縁体を有し、前記ハウジング10に形成した複数のコンタクト組み込み孔27に、前記カード収容部13に挿抜するカード14bのパッド部と接離するへ字形のコンタクト32を設けたカードコネクタにおいて、
前記コンタクト32の先端部に先端係止部23を形成し、この先端係止部23を、前記ハウジング10の他方の面に設けた係止凹部24に移動自在に潜らせ、この係止凹部24側に、前記コンタクト32の復帰時に前記先端係止部23を係止する係止突部25を設けてなる。
【0017】
実施例1では、先端係止部23は、L字形とし、係止突部25は、係止凹部24内の一方側から突出して形成する。
実施例2では、先端係止部23は、T字形とし、係止突部25は、係止凹部24内の両側から突出して形成する。
実施例3では、先端係止部23は、長孔とし、係止突部25は、係止凹部24内の他方の面から突出して形成する。
【0018】
コンタクトのばねスパンをより長くして安定した弾性力を得るために、複数個のコンタクト32のうちの相隣る2個のコンタクト32は、コンタクト32の方向に直交する方向にわずかな間隔を置き、かつ、一方の第1コンタクト32aの弾性片部33の先端部と他方の第2コンタクト32bの弾性片部33の基端部26が一部並列するように配置する。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明によるカードコネクタ9の実施例1を図1図3に基づき説明する。
図3は、本発明によるカードコネクタ9の実施例1を示すシールドカバー21を外した平面図で、図1及び図2は、この図3における第1コンタクト32aを抜き出した拡大図である。
これらの図1及び図2において、10は、ハウジングで、このハウジング10の大きさは、2枚のICカード14bがカード収容トレイ14aのカード嵌め込み孔31に嵌め込まれているものを差し込める大きさであるとする。1枚のICカード14bには、6個ずつのコンタクト32が設けられている例を示す。
【0020】
前記ハウジング10の一方の面には、隙間をもってシールドカバー21が被せられ、この隙間がカード収容部13を構成している。また、ハウジング10の他方の面には、基板12又は絶縁体が設けられている。
なお、以下の例では、カード収容部13には、ICカード14bの収容されているカード収容トレイ14aが挿抜される場合を示しているが、カードアダプタ、カード単体を含む挿抜物が挿抜される場合を含むものとする。
前記ハウジング10の一方の面のコンタクト32は、1枚のICカード14bにつき左右対称形に3個ずつ6個が配置され、それぞれ手前側から第1コンタクト32a,第2コンタクト32b,第3コンタクト32cとする。
【0021】
前記第1コンタクト32aを、図1(a)(b)(c)に基づき詳細に説明すると、ハウジング10に、上下貫通した細長いコンタクト組み込み孔27を形成し、このコンタクト組み込み孔27の図中下端部の一方の面に台座部30を形成し、図中上端部の他方の面に係止凹部24を形成する。前記コンタクト組み込み孔27の中央部には、へ字形の弾性片部33を臨ませ、下端部の基端部26を前記台座部30の上に載せ、この基端部26から左右に前記弾性片部33に沿ってアーム部28を折り返し延長し、このアーム部28の先端の外側に延ばした埋め込み端部29をハウジング10の成型時に埋め込み固定する。前記弾性片部33の中央部には、接点部17を設け、また、弾性片部33の先端部を左方向にL字形に屈曲して先端係止部23とし、この先端係止部23は、ハウジング10の他方の面側に潜らせ、前記係止凹部24に位置させる。この係止凹部24には、前記先端係止部23が係止する係止突部25が係止凹部24の内方に突出し、かつ、係止突部25の他方の面が前記基板12又は絶縁体に隙間なく接して設けられ、また、係止凹部24には、先端係止部23が摺動して移動するための隙間を有する。
【0022】
前記第2コンタクト32bは、第1コンタクト32aの左側のアーム部28と埋め込み端部29を削除し、右側のアーム部28と埋め込み端部29だけを有する形状で、第1コンタクト32aの右隣(コンタクト32の方向に直交する方向)にわずかな間隔を置き、かつ、第1コンタクト32aの弾性片部33の先端部と第2コンタクト32bの弾性片部33の基端部26が一部並列するように配置し、先端係止部23は右方向に屈折している。
同様に、前記第3コンタクト32cは、第1コンタクト32aの右側のアーム部28と埋め込み端部29を削除し、左側のアーム部28と埋め込み端部29だけを有する形状で、第2コンタクト32bの左隣にわずかな間隔を置き、かつ、第2コンタクト32bの弾性片部33の先端部と第3コンタクト32cの弾性片部33の基端部26が一部並列するように配置し、先端係止部23は左方向に屈折している。
【0023】
このように、第1コンタクト32aと第2コンタクト32bと第3コンタクト32cを一直線ではなく、互い違いで、一部並行する位置に配置することにより、それぞれの弾性片部33の長さをより長く形成して、コンタクト32の弾性力が確実に得られるようにすることができる。なお、この場合、それぞれの接点部17は、カードの収容されたトレイ14のカード14bのパッド部からはみ出さないようにすることが必要である。
【0024】
図3において、右下に3個のコンタクト32がハウジング10に設けられているが、同様に、左下に3個のコンタクト32が右下と対称形に設けられ、6個のコンタクト32で1枚のICカード14bに対応する。図3における右上と左上も同様にして3個ずつ6個のコンタクト32が設けられ、他の1枚のICカード14bに対応する。
【0025】
以上のような構成による作用を説明する。
図2において、カードコネクタ9のカード収容部13にカードの収容されたトレイ14を差し込む前は、コンタクト32の実線のように立ち上がっており、コンタクト32の先端係止部23は係止突部25に係止している。
ここで、カード収容トレイ14aのカード嵌め込み孔31にICカード14bを嵌め込み、カードコネクタ9のカード収容部13に差し込む。すると、カード14bのパッド部にコンタクト32の接点部17が接触して押し下げられ、先端係止部23が基板12の金属箔部22を摺動して係止凹部24の隙間内に押し込まれる。このとき、第1コンタクト32aは、基端部26が台座部30に載せられているだけで、弾性片部33の基端部26で両側から折り返したアーム部28の先端の埋め込み端部29でハウジング10に固定され、かつ、第2コンタクト32bと一部並行する位置に配置されているので、ばねスパンが長くなり、第1コンタクト32aとしての長期間の安定した弾性力が得られる。
【0026】
また、第2コンタクト32bと第3コンタクト32cも同様に、基端部26が台座部30に載せられているだけで、弾性片部33の基端部26で片側から折り返したアーム部28の先端の埋め込み端部29でハウジング10に固定され、かつ、第1コンタクト32aと第2コンタクト32bと第3コンタクト32cが一直線ではなく、互い違いで、一部並行する位置に配置することにより、それぞれの弾性片部33のばねスパンが長くなり、第2コンタクト32bと第3コンタクト32cとしての長期間の安定した弾性力が得られる。
【0027】
図1における左下の3個のコンタクト32、右上、左上のそれぞれの3個のコンタクト32についても同様に長期間の安定した弾性力が得られる。
【0028】
ここで、カードの収容されたトレイ14を引き抜くときに、トレイ14aの下面のバリ等の突起や傷が生じていて、コンタクト32の弾性片部33の部分にそのバリが引っかかり、コンタクト32が引き抜かれようとする。しかし、コンタクト32が押し下げられた状態では、コンタクト32の先端係止部23が係止突部25に係止し、引き抜かれることはなく、引っかかった部分がすぐに外れてコンタクト32の座屈を防止することができる。
なお、カードの収容されたトレイ14の差し込みと引き込み動作は、ハートカムロック機構を有するプッシュ・プッシュタイプでもよいし、このような機構のないプッシュ・プルタイプであってもよい。
【実施例2】
【0029】
前記実施例1では、コンタクト32の先端係止部23の形状をL字形としたが、これに限られるものではなく、図4(a)(b)に示すように、先端係止部23の先端をT字形とし、係止凹部24の内側に両側から突出させて形成した係止突部25に係止するようにしてもよい。
【実施例3】
【0030】
前記実施例1では、コンタクト32の先端係止部23の形状をL字形とし、前記実施例2では、T字形としたが、これらの例に限られるものではなく、図5(a)(b)に示すように、先端係止部23に丸、角、切欠きなどの長孔を設け、この長孔に遊嵌しつつ係止する突起等の係止突部25を設けてもよい。
【0031】
前記実施例では、ICカードのパッド数が6個で、カードコネクタのコンタクト数も6個の場合を例示したが、本発明は、ICカードの種類、外形寸法、パッドの数などに限定されるものではない。また、カード収容トレイ、カードアダプタの有無、形状等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
9…カードコネクタ、10…ハウジング、11…カード支持部、12…基板、13…カード収容部、14…カード収容されたトレイ、15…コンタクト、16…コンタクト先端保護部、17…接点部、18…コンタクト先端部、19…凹部、20…傾斜面部、21…シールドカバー、22…金属箔部、23…先端係止部、24…係止凹部、25…係止突部、26…基端部、27…コンタクト組み込み孔、28…アーム部、29…埋め込み端部、30…台座部、31…カード嵌め込み孔、32…コンタクト、33…弾性片部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6