【解決手段】接続材料は、樹脂粒子と、樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が1500〜5000である突起芯材と、第1の導電性被膜と突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒子を含有し、最低溶融粘度が1〜100000Pa・sである。これにより、導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除されるとともに、電極にかかる圧力が十分に得られるため、低い接続抵抗値を得ることができる。
樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が1500〜5000である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒子を含有し、
最低溶融粘度が1〜100000Pa・sである接続材料。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接続材料
2.接続構造体の製造方法
3.実施例
【0012】
<1.接続材料>
本実施の形態に係る接続材料は、樹脂粒子と、樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が1500〜5000である突起芯材と、第1の導電性被膜と突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒子を含有し、最低溶融粘度が1〜100000Pa・sである。これにより、導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除されるとともに、電極にかかる圧力が十分に得られるため、低い接続抵抗値を得ることができる。
【0013】
接続材料の形状は、特に限定されず、フィルム状、ペースト状など用途に応じて適宜選択することができる。接続材料としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Pa・ste)などを挙げることができる。また、導電材料の硬化型としては、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
【0014】
以下、導電性粒子を含有す熱硬化型の異方性導電フィルムを例に挙げて説明する。また、熱硬化型としては、例えば、カチオン硬化型、アニオン硬化型、ラジカル硬化型、又はこれらを併用することができるが、ここでは、アニオン硬化型の異方性導電フィルムについて説明する。
【0015】
アニオン硬化型の異方性導電フィルムは、バインダーとして、膜形成樹脂と、エポキシ樹脂と、アニオン重合開始剤とを含有する。異方性導電フィルム中の導電性粒子の配合量は、バインダー体積に対して5〜15体積%であることが好ましい。これにより、ショートを防止するとともに高い導通信頼性を得ることができる。
【0016】
[バインダー]
膜形成樹脂は、例えば平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等の種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂を好適に用いることが好ましい。市場で入手可能な具体例としては、新日鉄住金化学(株)の商品名「YP−50」などを挙げることができる。
【0017】
エポキシ樹脂は、3次元網目構造を形成し、良好な耐熱性、接着性を付与するものであり、固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。ここで、固形エポキシ樹脂とは、常温で固体であるエポキシ樹脂を意味する。また、液状エポキシ樹脂とは、常温で液状であるエポキシ樹脂を意味する。また、常温とは、JIS Z 8703で規定される5〜35℃の温度範囲を意味する。
【0018】
固形エポキシ樹脂としては、液状エポキシ樹脂と相溶し、常温で固体状であれば特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙られ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
液状エポキシ樹脂としては、常温で液状であれば特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、フィルムのタック性、柔軟性などの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。市場で入手可能な具体例としては、三菱化学(株)の商品名「EP828」などを挙げることができる。
【0020】
アニオン重合開始剤としては、通常用いられる公知の硬化剤を使用することができる。例えば、有機酸ジヒドラジド、ジシアンジアミド、アミン化合物、ポリアミドアミン化合物、シアナートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物、カルボン酸、三級アミン化合物、イミダゾール、ルイス酸、ブレンステッド酸塩、ポリメルカプタン系硬化剤、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。市場で入手可能な具体例としては、旭化成イーマテリアルズ(株)の商品名「ノバキュア3941」などを挙げることができる。
【0021】
また、バインダーとして、必要に応じて、シランカップリング剤、応力緩和剤、無機フィラー等を配合してもよい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、メタクリロキシ系、アミノ系、ビニル系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。また、応力緩和剤としては、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体等を挙げることができる。また、無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0022】
また、異方性導電フィルムの最低溶融粘度は、1〜100000Pa・sであり、より好ましくは、10〜10000Pa・sである。最低溶融粘度の適性化は、導電性粒子の圧縮変形特性にも依存するが、最低溶融粘度が高すぎると、熱圧着時に導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除できないため、接続抵抗が上昇する傾向にある。特に、突起を有する導電性粒子は、熱圧着時に導電性粒子と電極との間のバインダーを十分に排除するのが困難となる。一方、最低溶融粘度が低すぎると、熱圧着時の加重による異方性導電フィルムの変形が大きくなるため、加圧解放時に異方性導電フィルムの復元力が接続部界面等に剥離方向の力として加わる。このため、熱圧着直後に接続抵抗が上昇したり、接続部に気泡が発生したりする傾向がある。
【0023】
[導電性粒子]
図1は、導電性粒子の構成の概略を示す断面図である。導電性粒子は、樹脂コア粒子10と、樹脂コア粒子10被覆する第1の導電層11と、導電層11の表面に複数付着される突起芯材12と、第1の導電層11及び突起芯材12を被覆する第2の導電層13とを備える。
【0024】
樹脂コア粒子10としては、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられ、また、これらの樹脂を構成するモノマーに基づく繰り返し単位の少なくとも2種以上を組み合わせた構造を有する共重合体が挙げられる。これらの中でも、テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合体を用いることが好ましい。
【0025】
また、樹脂コア粒子10は、荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が30%以上であることが好ましい。圧縮回復率が低すぎると信頼性試験(高温高湿試験)後に抵抗値が上昇する傾向にある。これは、高温高湿試験にさらされることでバインダーの密着性が低下し、異方性接続された対向した端子間の距離が広がることに起因する。圧縮回復率が低いと、挟持された導電粒子が満足に追随できずに抵抗値が上昇してしまうことがある。圧縮回復率は、樹脂粒子を中心から0.33mN/秒の速度で5mNまで圧縮した後、逆に0.33mN/秒の速度で荷重を減らして行く際の、荷重値と圧縮変位との関係を測定して得られる。荷重を反転させる点から最終除荷値までの変位(L1)と、反転の点から初期荷重値までの変位(L2)との比(L1/L2)を%にて表した値が圧縮回復率である。
【0026】
また、樹脂コア粒子10の平均粒子径は、1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。樹脂コア粒子10の平均粒子径が小さすぎると信頼性試験(高温高湿試験)後に抵抗値が上昇する傾向にあり、樹脂コア粒子10の平均粒子径が大きすぎると絶縁性が低下する傾向にある。樹脂コア粒子10の平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置(日機装社製、商品名:マイクロトラックMT3100)を用いて測定することができる。
【0027】
第1の導電層11は、樹脂コア粒子10被覆する金属メッキ層であることが好ましい。また、金属メッキ層のビッカース硬度は、300〜1200であることが好ましい。金属メッキ層のビッカース硬度が低すぎると、実装時に突起芯材12の樹脂コア粒子10への埋没を防ぐのが困難となり、金属メッキ層のビッカース硬度が高すぎると、メッキが割れる懸念が生じる。ビッカース硬度HVは、対面角が136°のダイヤモンド四角すい圧子を用いて、試験面にピラミッド形状のくぼみをつけたときの荷重を、くぼみの対角線の長さで割った値であり、次のように算出される。
HV=0.18909×(P/d2)
P:荷重[N]、d:くぼみの対角線の平均長さ[mm]
【0028】
金属メッキ層としては、ニッケル又はニッケル合金(HV:500〜700)であることが好ましい。ニッケル合金としては、Ni−W−B、Ni−W−P、Ni−W、Ni−B、Ni−Pなどが挙げられる。
【0029】
第1の導電層11の膜厚は、5nm以上であることが好ましい。第1の導電層11の膜厚が5nm未満であると、実装時に突起芯材12の樹脂コア粒子10への埋没を防ぐのが困難となる。メッキ層の膜厚は、例えば、導電性粒子を収束イオンビーム加工観察装置(FB−2100、日立ハイテクノロジー(株))を用いて断面研磨を行い、透過電子顕微鏡(H−9500、日立ハイテクノロジー(株))を用いて、任意の20個の導電性粒子の断面を観察し、各粒子につきメッキ被膜の5箇所の厚みを測定することによりその平均値とすることができる。
【0030】
突起芯材12は、第1の導電層11の表面に複数付着され、突起14を形成する。突起芯材12のビッカース硬度は、1500〜5000であり、好ましくは1800〜3300である。突起芯材12のビッカース硬度が低すぎると、例えば表面が平滑であるIZO電極において、信頼性試験(高温高湿試験)後に抵抗値が上昇する傾向にあり、突起芯材12のビッカース硬度が高すぎると、第1の導電層11を突き破ってしまう虞がある。
【0031】
突起芯材12としては、タングステン、チタン、タンタル、ホウ素から選ばれる1種以上を含む金属炭化物、金属炭窒化物、又はサーメットであることが好ましい。具体例として、炭化タングステン(HV:1800)、炭化タングステン−炭化チタン−炭化タンタル(HV:2400)、炭化チタン(HV:3500)、炭窒化チタン(HV:1800)、炭化ホウ素(HV:3300)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
また、突起芯材12の平均粒子径は、好ましくは50nm以上300nm以下、より好ましくは100nm以上250nm以下である。また、第1の導電層11の表面に形成された突起の個数は、好ましくは50〜200、より好ましくは100〜200である。これにより、電極間の接続抵抗を効果的に低下させることができる。
【0033】
第2の導電層13は、第1の導電層11及び突起芯材12を被覆し、複数の第1の導電層11により隆起された突起14を形成する。第2の導電層13は、パラジウム、ニッケル、又はニッケル合金であることが好ましい。ニッケル合金としては、Ni−W−B、Ni−W−P、Ni−W、Ni−B、Ni−Pなどが挙げられる。
【0034】
また、第2の導電層13の膜厚は、第1の導電層11との合計が100nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。第1の導電層11と第2の導電層13との合計の膜厚が小さいと、メッキ層が形成されず海島構造となってしまうため、抵抗値が上昇する傾向にあり、第1の導電層11と第2の導電層13との合計の膜厚が大きいと、導電性粒子径が大きくなってしまい、絶縁性が低下する傾向にある。
【0035】
このような構成の導電性粒子は、樹脂コア粒子10の表面に第1の導電層11を形成した後、突起芯材12を付着させ、第2の導電層13を形成する方法により得ることができる。また、第1の導電層12の表面上に突起芯材12を付着させる方法としては、例えば、第1の導電層11が形成された樹脂コア粒子10の分散液中に、突起芯材12を添加し、第1の導電層11の表面に突起芯材12を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させることなどが挙げられる。また、第1の導電層11及び第2の導電層13を形成する方法としては、例えば、無電解メッキによる方法、電気メッキによる方法、物理的蒸着による方法などが挙げられる。これらの中でも導電層の形成が簡便である無電解メッキによる方法が好ましい。
【0036】
<2.接続構造体の製造方法>
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、第1の回路部材上に、導電性粒子を含有する接続材料を介して第2の回路部材を搭載する工程と、第2の回路部材を圧着ツールによって加熱押圧し、接続材料を硬化させる工程とを有する。ここで、導電性粒子は、前述のように、樹脂粒子と、樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、第1の金属被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が1500〜5000である突起芯材と、第1の金属層と突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、接続材料の最低溶融粘度は、1〜100000Pa・sである。これにより、導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除されるとともに、電極にかかる圧力が十分に得られるため、低い接続抵抗値を得ることができる。
【0037】
第1の回路部材及び第2の回路部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1の回路部材としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネル用途、プラズマディスプレイパネル(PDP)用途などのプラスチック基板、ガラス基板、プリント配線板(PWB)などが挙げられる。また、第2の回路部材としては、例えば、IC(Integrated Circuit)、COF(Chip On Film)などのフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、テープキャリアパッケージ(TCP)基板などを挙げることができる。
【0038】
第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子との圧着では、第2の回路部材上から、所定温度に加温された圧着ツールによって、所定の圧力及び所定の時間、熱加圧され、本圧着される。これにより、異方性導電フィルムのバインダーが流動し、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子との実装部の間から流出するとともに、バインダー中の導電性粒子が第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子との間に挟持されて押し潰され、この状態でバインダーが硬化する。
【0039】
本圧着時の所定の圧力は、回路部材の配線クラックを防止する観点から、1MPa以上150MPa以下であることが好ましい。また、所定温度は、圧着時における異方性導電フィルムの温度であり、80℃以上230℃以下であることが好ましい。また、UVなどの光照射を併用してもよい。
【0040】
圧着ツールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、押圧対象よりも大面積である押圧部材を用いて押圧を1回で行ってもよく、また、押圧対象よりも小面積である押圧部材を用いて押圧を数回に分けて行ってもよい。圧着ツールの先端形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平面状、曲面状などが挙げられる。なお、先端形状が曲面状である場合、曲面状に沿って押圧することが好ましい。
【0041】
また、圧着ツールと第2の回路部材との間に緩衝材を介装して熱圧着してもよい。緩衝材を介装することにより、押圧ばらつきを低減できると共に、圧着ツールが汚れるのを防止することができる。緩衝材は、シート状の弾性材又は塑性体からなり、例えばテフロン(商標)、シリコンラバーなどが用いられる。
【0042】
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、硬い突起を有する導電性粒子を用いているため、例えば表面が平滑であるIZO電極でも十分に圧力を加えることができ、抵抗値を低下させることができる。このため、本法により製造された接続構造体は、低抵抗であり、消費電力を低下させることができる。
【実施例】
【0043】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、樹脂粒子が第1の導電性被膜で被覆されてなる金属被膜樹脂粒子に突起芯材を付着させ、これをさらに第2の導電性被膜で被覆し、突起を有する導電性粒子を作製した。そして、導電性粒子を含有する異方性導電フィルムを用いて接続構造体を作製し、接続構造体の導通抵抗について評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
[導電性粒子の作製]
第1の導電性被膜の被覆工程:
テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合体からなる平均粒子径3μmの樹脂粒子を基材として使用した。樹脂粒子の荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率は45%であった。この樹脂粒子に、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ脱脂、酸中和、二塩化錫溶液によるセンシタイジングを行った。その後、二塩化パラジウム溶液によるアクチベイチングを行った。濾過洗浄後、基材粒子を水で希釈し、メッキ安定剤を添加後、この水溶液に硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びメッキ安定剤の混合溶液を定量ポンプにて添加し、所定厚みのニッケルメッキ被膜となるように無電解メッキを行った。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発砲が停止するのを確認した。そして、メッキ液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥し、樹脂粒子が第1の導電性被膜としてニッケルメッキ被膜で被覆された金属被膜樹脂粒子を得た。
【0045】
突起芯材の付着工程:
金属被膜樹脂粒子を脱イオン水で攪拌により分散させた後、その水溶液に突起心材を添加し、ニッケルメッキ被膜上に突起芯材を付着させた粒子を得た。粒子1つ当たりに付着した突起芯材の個数は、約150であった。
【0046】
第2の導電性被膜の被覆工程:
次に、突起芯材が付着された粒子に、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ脱脂、酸中和、二塩化錫溶液によるセンシタイジングを行った。その後、二塩化パラジウム溶液によるアクチベイチングを行った。濾過洗浄後、基材粒子を水で希釈し、メッキ安定剤を添加後、この水溶液に硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びメッキ安定剤の混合溶液を定量ポンプにて添加し、所定厚みのニッケルメッキ被膜となるように無電解メッキを行った。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発砲が停止するのを確認した。そして、メッキ液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥し、第2の導電性被膜としてニッケルメッキ被膜で被覆された粒子を得た。
【0047】
[メッキ被膜の膜厚の測定]
メッキ被膜の膜厚は、導電性粒子を収束イオンビーム加工観察装置(FB−2100、日立ハイテクノロジー(株))を用いて断面研磨を行い、透過電子顕微鏡(H−9500、日立ハイテクノロジー(株))を用いて、任意の20個の導電性粒子の断面を観察し、各粒子につきメッキ被膜の5箇所の厚みを測定することによりその平均値を算出した。
【0048】
[異方性導電フィルムの最低溶融粘度の測定]
異方性導電フィルムの最低溶融粘度を、回転式レオメータ(TA Instruments社)を用い、昇温速度 10℃/分;測定時の力 1N一定;使用測定プレート直径8mmという条件で測定した。
【0049】
[接続抵抗の評価]
IZO配線の実装体の作製を行った。評価基材として、COF(デクセリアルズ(株)評価用COF、50μmピッチ、Cu8μmt−Snメッキ38μm)と、IZOベタガラス(デクセリアルズ(株)評価用IZOベタガラス、IZO厚300nm、ガラス厚0.7mm)との接続を行った。先ず、IZOベタガラス上に、1.5mm幅にスリットされた異方性導電フィルムを、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度80℃、圧力1MPa、2秒の仮圧着条件で仮貼りし、剥離PETフィルムを剥がした。続いて、COFを同圧着機で、温度80℃、圧力0.5MPa、0.5秒の仮固定条件で仮固定を行った、最後に、本圧着として、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度190℃、圧力3MPa、10秒の圧着条件で圧着を行い、実装体を得た。
【0050】
実装体を85℃85%RHの恒温恒湿槽中に500時間保持する高温高湿試験を行った後、実装体の抵抗値を、デジタルマルチメータを用いて4端子法で測定した。接続抵抗の評価は、抵抗値が2.0Ω未満の場合を「A」(最良)、抵抗値が2.0Ω以上の場合を「C」(不良)とした。
【0051】
[絶縁性の評価]
ITO配線の実装体の作製を行った。評価基材として、IC(デクセリアルズ(株)評価用IC、1.5mm×130mm、0.5mm厚、金メッキバンプ、バンプ間スペース10μm、バンプ高さ15μm)と、ガラス基板(デクセリアルズ(株)評価用ガラス基板、櫛歯パターン、バンプ間スペース10μm、ガラス厚0.5mm)との接続を行った。先ず、ガラス基板上に、1.5mm幅にスリットされた異方性導電フィルムを、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度80℃、圧力1MPa、2秒の仮圧着条件で仮貼りし、剥離PETフィルムを剥がした。続いて、ICを同圧着機で、温度80℃、圧力0.5MPa、0.5秒の仮固定条件で仮固定を行った、最後に、本圧着として、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度190℃、圧力3MPa、10秒の圧着条件で圧着を行い、実装体を得た。
【0052】
実装体の隣接するバンプ間の抵抗値を2端子法にて測定し、108Ω以下をショートとしてカウントした。評価用ICには10組のバンプからなる電極パターンが8か所形成され、10組中1組以上のショートが発生した電極パターンの数をカウントした。絶縁性の評価は、ショートが発生した電極パターンの数が0の場合を「A」(最良)、ショートが発生した電極パターンが2か所以下の場合を「B」(普通)、ショートが発生した電極パターンが3か所以上の場合を「C」(不良)とした。
【0053】
<実施例1>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Aを作製した。導電性粒子Aの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は20nmであり、第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。尚、突起芯材は以下に記載するものも含めて、PVD法やCVD法など公知の手法で調整したものを適宜用いた。突起芯材の粒子径は、電子顕微鏡によりN=200以上を計測して求めた。
【0054】
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(ノバキュアHX3941、旭化成ケミカルズ(株))を50質量部、液状エポキシ樹脂(EP828、三菱化学(株))を14質量部、フェノキシ樹脂(YP50、新日鉄住金化学(株)製)を35質量部、シランカップリング剤(KBE403、信越化学工業(株))を1質量部配合し、熱硬化性バインダーを作製した。この熱硬化性バインダーに、導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、これをシリコン処理された剥離PETフィルム上に厚み20μmになるように塗布し、シート状の異方性導電フィルムを作製した。この異方性導電フィルムの最低溶融粘度は、100Pa・sであった。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0055】
<実施例2>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン−炭化チタン−炭化タンタル粒子(ビッカース硬度2400)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Bを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0056】
<実施例3>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化チタン粒子(ビッカース硬度3500)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Cを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0057】
<実施例4>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmのサーメット粒子(ビッカース硬度2800)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Dを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0058】
<実施例5>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化ホウ素粒子(ビッカース硬度3300)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Eを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0059】
<比較例1>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmのニッケル粒子(ビッカース硬度500)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Fを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0060】
<比較例2>
前述の導電性粒子の作製において、樹脂粒子にセンシタイジング、及びアクチベイチングを行い、濾過洗浄後、脱イオン水で攪拌により分散させた後、その水溶液に炭化タングステン粒子スラリーを添加し、樹脂粒子上に突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を付着させ、第2の導電性被膜の被覆工程にてニッケルメッキ被膜で被覆し、導電性粒子Gを作製した。導電性粒子Gの第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は120nmであった。そして、実施例1と同様に、導電性粒子Gを用いて異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0061】
<実施例6>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Hを作製した。導電性粒子Hの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は5nmであり、第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Hを用いた以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0062】
<実施例7>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Iを作製した。導電性粒子Iの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであり、第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Iを用いた以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0063】
<実施例8>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Jを作製した。導電性粒子Jの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は150nmであり、第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は350nmであった。導電性粒子Jを用いた以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0064】
<実施例9>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Kを作製した。導電性粒子Kの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は150nmであり、第2の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は500nmであった。導電性粒子Kを用いた以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0065】
<実施例10>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Lを作製した。導電性粒子Lの第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は20nmであり、第2の導電性被膜としてのパラジウムメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Lを用いた以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0066】
<比較例3>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が1000000Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0067】
<実施例11>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が100000Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0068】
<実施例12>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が1Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0069】
<比較例4>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が0.1Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
比較例1のように突起芯材のビッカース硬度が低い場合、抵抗値を低下させることができなかった。また、比較例2のように樹脂粒子に直接突起芯材を配置した場合も、抵抗値を低下させることができなかった。また、比較例3、4のようにバインダーの最低溶融粘度が最適範囲内にない場合も、抵抗値を低下させることができなかった。
【0072】
一方、実施例1〜12のように樹脂粒子を被覆するニッケルメッキ被膜上にビッカース硬度が高い突起芯材が複数配置された導電性粒子と、最低溶融粘度が最適化されたバインダーとを含有する接続材料を用いることにより、抵抗値を低下させることができた。また、第1の導電層と第2の導電層との合計の膜厚が、100nm以上500nm以下であり、第1の導電層の膜厚が、5nm以上であることにより、優れた絶縁性が得られることが分かった。
択することができる。接続材料としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive
Ω以下をショートとしてカウントした。評価用ICには10組のバンプからなる電極パターンが8か所形成され、10組中1組以上のショートが発生した電極パターンの数をカウントした。絶縁性の評価は、ショートが発生した電極パターンの数が0の場合を「A」(最良)、ショートが発生した電極パターンが2か所以下の場合を「B」(普通)、ショートが発生した電極パターンが3か所以上の場合を「C」(不良)とした。