特開2017-59800(P2017-59800A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-59800(P2017-59800A)
(43)【公開日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】半導体検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20170303BHJP
   G01R 31/26 20140101ALI20170303BHJP
【FI】
   H01L21/66 B
   G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-197996(P2015-197996)
(22)【出願日】2015年9月15日
(71)【出願人】
【識別番号】505163349
【氏名又は名称】サントテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 常人
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AG11
2G003AG12
2G003AG20
2G003AH07
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD01
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ01
4M106DJ03
4M106DJ05
4M106DJ06
(57)【要約】
【課題】長期間の使用によって装置自体やこれを設置する床面などに不可避的に塑性変形が生じた場合でもあってプローブピンとプローブカードとを均一に当接させることができ、メインテナンスやパフォーマンスボードの交換作業時、テストヘッドを水平方向に小さな力で移動でき、退避位置へ安全に駆動できる半導体試験装置を提供する。
【解決手段】複数の半導体チップが形成された半導体ウエハを載置するプローバと、前記プローバに対して検査位置または退避位置に駆動されるテストヘッドとを有し前記半導体チップの電気的特性試験を行う半導体装置であって、前記テストヘッドを昇降方向、横方向および縦方向にそれぞれ並進駆動する位置調整機構と、前記テストヘッドを縦軸まわりに回転させるタンブル回転機構と、を備えることを特徴とする半導体試験装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが形成された半導体ウエハを装置する可動式ステージ、及び前記半導体チップと電気的に接続されるプローブカードを備えるプローバと、前記プローブカードに試験信号を伝達する複数本のプローブピンを備え、前記プローバに対して検査位置または退避位置に駆動されるテストヘッドと、を有し前記半導体チップの電気的特性試験を行う半導体試験装置であって、
前記テストヘッドを昇降方向(TZ)及び縦方向(TY)にそれぞれ並進駆動する位置調整機構と、前記テストヘッドを縦軸まわり(RY)に回転させるタンブル回転機構とを備えることを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記テストヘッドをプローバに対して検査位置または退避位置に駆動する場合、テストヘッドを平行移動させることで、テストヘッドが円弧状に旋回させる必要がなく且つ上方に高々と持ち上げる事がないので、安全に作業ができる機能を特徴を有する半導体試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ上に形成された半導体チップの電気的特性試験をおこなって、その良否を判定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するにあたっては、半導体ウエハ上に形成された多数の半導体チップを個々に切り分ける前に、各チップの電気的特性を試験して良否判定している。複数の半導体チップに対して同時に試験信号を入力し、また同時に出力を測定することで効率の良い特性試験が可能となる。
【0003】
半導体試験装置は、大別すると半導体ウエハを載置するプローバと、その上方に対向して設けられるテストヘッドから構成される。
プローバは、微小の位置合わせが可能な可動式ステージと、その上方にて半導体ウエハを覆うように設けられるプローブカードとを備えている。プローブカードの下面からはプローブ針が突出し、これを半導体チップのパット(電極)に当接させることで半導体チップとプローブカードとが電気的に接続される。プローブカードの上面には接触端子が多数配列されており、プローブ針と接触端子とは配線で接続されている。
【0004】
一方のテストヘッドにはこれを制御するテスタ本体又は電源ユニットが接続され、テスタ本体で生成された試験信号が、テストヘッドより突出する多数のプローブピン(ポゴピン)に印加される。したがってテストヘッドとプローバとを近距離で対向させ、接触端子にプローブピンの下端を当接することで、テスタ本体からの試験信号が半導体チップに伝達可能となる。半導体チップの入力側のパッドに入力された試験信号は、当該チップで処理されて所定の出力信号となって出力側のパッドから出力される。かかる出力信号は又プローブ針とプローブカードを経由してプローブピンからテストヘッドへと送られる。
【0005】
なお、プローブピンの配置パターンを接触端子の配列パターンと一致させる為、テストヘッドにはプローブピンを脱着可能に保持するパフォーマンスボードが一般的に設けられている。これにより半導体チップの種別を換えて電気的特性試験を行う場合には、パフォーマンスボードから先端(下端)を突出させるプローブピンの位置を変更することでこれが可能となる。
【0006】
テストヘッドは、電気的特性試験を行う際はプローバに近接および対向した検査位置に置かれ、パフォーマンスボードの交換時やメインテナンス時にはこれが上方に引き上げられてプローバから解放される。
従来、テストヘッドはプローバの側面に設けられたヒンジによって起倒可能に取付られることが最も一般的である。このほか、プローバの左右両側から鉛直上方に伸びる支持棒に対して昇降および前後回転を可能にしたテストヘッドが取り付けられた半導体測定装置が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は半導体ウエハのサイズが小さく、その上に形成される半導体チップも大型であった事からウエハ当たりのチップ数は少なく、したがってプローブピンの本数も少なくてすんだことからテストヘッドは小型且つ軽量であった。しかし近年の半導体製造装置の改良に伴い、チップの集積度は向上し、必要なプローブピンの本数は増え、したがってテストヘッドは大型化・重量化が進んでいる。近年のテストヘッドは、上記パフォーマンスボードやプローブピンの他、各種の測定冶具や信号処理装置が取り付けられて400〜600kg程度の大重量となっている。
【0008】
このためテストヘッド全体をヒンジまわり回転させてプローバを起倒させる場合、テストヘッドが片持ち状態でヒンジに保持されることから、ヒンジに負荷されるモーメント
荷重は過大なものとなって経時的な塑性変形が避けられなくなる。
すなわち、使用開始当初の半導体試験装置においてはテストヘッドの自重撓みやヒンジの弾性変形を見越して、基端側(ヒンジ側)のプローブピント、先端側(ヒンジから遠い側)のプローブピンとがともにプローブカードの接触端子と好適に当接するようにテストヘッドとプローバとの位置合わせが為されているところ、半導体試験装置を長期間使用することでテストヘッドの先端側が下方に下がっていき、先端側のプローブピンにおいては接触端子への押圧力が過大となり、基端側のプローブピンにおいては浮きが発生して接触不良が生じることとなる。
【0009】
このようにプローブピンと接触端子との接触不良が生じると、半導体チップとテストヘッドとの間では試験信号や出力信号の教授が正しく行われなくなる為、仮に当該半導体チップが良品であったとしても試験結果は不良と判定され、歩留まりを低下させる要因となる。
【0010】
またテストヘッドを起倒させて検査位置と退避位置と往復させるヒンジ方式の場合は、テストヘッドの移動距離が長くなる為作業性が悪く、検査位置に停止させた際に生じる振動の減衰に長時間を要し、テストヘッドとテスタ本体や電源ユニットとの間の配線類に断線が生じ、さらに検査位置の再現性に劣るという多くの問題もあった。
【0011】
一方、テストヘッドを支持棒に対して昇降させるマニピュレータ(特許文献:特開2002−158266号広報)の場合、テストヘッドは左右の支持棒に両持ちされている事から、ヒンジ方式のように一方側が大きく下がるという問題は解消される。
しかし、この種の半導体試験装置が設置される製造工程では帯電防止と耐腐食性の為一般に導電性のビニール床が用いられるところ、大重量のテストヘッドとプローバとからなるマニピュレータ方式の測定装置では、ビニール床の沈み込み変形が生じた場合に上記の如くプローブピンの接触不良が生じる虞がある。
すなわち上記従来の測定装置におけるテストヘッドは、支持棒に沿った昇降方向(Z方向とする)の位置(TZ)と、支持棒同士を結ぶ左右方向(X方向とする)に伸びる軸まわりのツイスト角度(RX)と、前後方向(Y方向とする)まわりのタンブル角度(RY)については調整可能ではあるものの、その他のX、Y方向の位置(TX,TY)屋、昇降軸周りのシータ角度(RZ)については調整する事ができない。この為、ビニール床に沈み込み変形が生じて重力負荷方向と指示棒の伸びる方向とが不一致となり、例えば駆動機構部分が必然的にもつガタのよってテストヘッドとプローバとの相対位置が経時的に水平面内方向(X,Y方向)にずれあった場合には、これを微調整することができないという問題が生じる。
【0012】
なお、プローバの備える可動式ステージは、載置した半導体ウエハをプローブカードに対して相対的に移動させるものであるため、これを駆動したとしても、プローブカードの接触端子に対するプローブピンの位置や向きを調整することはできない。
【0013】
本発明は上記課題を解決する為になされたものであり、すなわち長期間の使用によって装置自体やこれを設置する床面などに不可避的に塑性変形が生じた場合であってもプローブピンとプローブカードとを均一に当接させることのできる。 またパフォーマンスボードの交換時、テストヘッドを円弧状に旋回させることがないのでテストヘッドが天上近くまで高い位置に行かないので安全な作業が可能となる半導体試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半導体試験装置は、
(1)複数の半導体チップが形成された半導体ウエハを載置する可動式ステージ、および前記半導体チップと電気的に接続されるプローブカードを備えるプローバと、
前記プローブカードに試験信号を伝達する複数本のプローブピンを備え、前記プローバに対して検査位置または退避位置に駆動されるテストヘッドと、を有し前記半導体チップの電気的特性試験を行う半導体試験装置であって、
前記テストヘッドを昇降方向(TZ)、横方向(TX)および縦方向(TY)にそれぞれ並進駆動する位置調整機構とテストヘッドを縦軸まわり(RY)に回転させるタンブル回転機構とを備える特徴とする半導体試験装置。
(2)テストヘッドを退避位置まで移動させる場合、
テストヘッドを適当な高さまで昇降させ、テストヘッドスライド用ハンドルを回してテストヘッドを左右1対の支柱まで移動させ、保持フレームを最後部までスライドさせて、テストヘッドを最大180℃まで回転させて、テストヘッドが搭載されている保持フレームを下降させる機能を有する半導体試験装置。
【発明の効果】
【0015】
本説明の上記請求項1に記載の半導体試験装置は、そのテストヘッドをプローバに対して直交三軸方向への並進位置と軸まわりの回転角度とをそれぞれ個別に調整可能である。これにより、駆動機構部分に代表される装置自体や、これが設置される床面などに塑性変形が生じてテストヘッドとプローバとの相対位置が経時的に変化した場合であっても、かかる経時変下の向きや傾向によらず両者の位置関係を微調整することができる。
この為、半導体試験装置を長期間にわたって使用した場合もプローブピンとプローブカードとの接触不良が生じることがなく、したがって、試験以上に起因する半導体チップの不良判定の発生を防止して歩留まりを改善することができる、
なおテストヘッド自体の経時的な塑性変化については、一般にテストヘッドが剛に作製され、また駆動機構部分のように大きな荷重が負荷されるものではないことからこれは無視できる。
【0016】
また本発明のさらに具体的な態様である上記請求項2に記載の半導体試験装置は、テストヘッドスタンドの支柱に保持されたリニアモーションガイドを介して搭載された保持フレームのリニアモーションガイド上にテストヘッドが搭載されていることを特徴とする。これにより、テストヘッドのメインテナンスやパフォーマンスボードの交換などの作業を行う場合には、小さな力で水平方向にテストヘッドを保持している保持フレームをスライドさせることでテストヘッドをプローバから容易に引き離すことができ、安全で作業性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の実体形態にかかる半導体試験装置の正面図、
図2はテストヘッドを保持している保持フレームをメインテナンスまたは退避位置に移動するためスライドさせた図、そしてテストヘッドを45度回転させた図、
図3はテストヘッドを退避位置まで下降させた図。
【0018】
本発明の半導体試験装置により安全で容易にテストヘッドを検査位置から退避位置へ駆動するには、保持枠上に搭載されたリニアモーションガイド上のテストヘッドを保持フレームの最も奥側の端へ移動させ、テストスタンドの支柱の昇降部のリニアモーションガイドを介して保持フレームをさらに同じ方向にスライドさせることにより、保持フレームがプローバと干渉することなくテストヘッドを退避位置まで下降できる。
そして、ウォームジャッキに搭載された保持フレームを昇降させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態にかかる半導体試験装置10の正面図である。(プローバとテストヘッドが接続され稼働中)
図2】テストヘッドを退避位置へ移動中の状態を示す正面図である。(テストヘッドをタンブル回転途中を示す図)
図3】テストヘッドが退避位置に到達した状態を示す正面図である。(テストヘッドは180度タンブル回転した状態を示す図)
【符号の説明】
【0020】
10 半導体試験装置
20 ウォームジャッキ
21 テストヘッドスタンド支柱
22 保持フレームスライド用リニアモーションガイド
23 保持フレーム
24 テストヘッドスライド用ハンドル
25 テストヘッドスライド用リニアモーションガイド
26 テストヘッドタンブル回転用ハンドル
27 テストヘッド回転機構
28 テストヘッド
29 横方向調整機構(押しネジ式)
30 プローバ
31 分散板
図1
図2
図3