【解決手段】通信装置1は、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13とを備えている。第1通信部11は、第1通信方式にてゲートウェイ2と無線通信を行う。第2通信部12は、第1通信方式よりも伝送速度が高速である第2通信方式にてゲートウェイ2と無線通信を行う。制御部13は、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12を起動する。制御部13は、第2通信部12の起動後、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立するように構成されている。
前記制御部は、前記第2通信部の起動後であって前記リンクの確立前において、前記第2通信部の動作状態と前記リンクの状態との少なくとも一方を表す状態信号を、前記第1通信部から前記制御装置に送信するように構成されている
請求項1に記載の通信装置。
前記制御部は、前記第2通信部の起動後、前記制御装置からの前記接続要求信号を前記第1通信部が受信するまでは、前記第2通信部と前記制御装置との間に前記リンクを確立しないように構成されている
請求項1〜11のいずれか1項に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る通信装置1は、
図1に示すように、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13とを備えている。
【0012】
第1通信部11は、第1通信方式にてゲートウェイ(制御装置)2と無線通信を行う。第2通信部12は、第1通信方式よりも伝送速度が高速である第2通信方式にてゲートウェイ2と無線通信を行う。制御部13は、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12を起動する。制御部13は、第2通信部12の起動後、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立するように構成されている。
【0013】
ここでいう「伝送速度」とは、一定時間内に伝送可能なデータ量を意味する。伝送速度が高速である程、一定時間内に伝送可能なデータ量が大きくなる。そのため、例えば音声データや映像データなどの大容量のデータの伝送には、第1通信部11よりも第2通信部12が適している。また、ここでいう「リンク」とは、通信ネットワークを構成する複数のノード(例えば通信装置1及びゲートウェイ2)間の通信経路を意味する。ここで、第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32が確立した状態は、第2通信部12とゲートウェイ2との間で物理的に電波の送信及び受信が行われる状態を意味する。つまり、リンク32が確立した状態は、第2通信部12からゲートウェイ2へデータを送信可能で、かつゲートウェイ2から第2通信部12へデータを送信可能な状態を意味する。そのため、第2通信部12とゲートウェイ2との間で双方向にデータが伝送可能な状態は、リンク32が確立した状態に相当する。一方、第2通信部12の待ち受け状態、つまり第2通信部12がゲートウェイ2からの信号を一方的に受信可能な状態は、リンク32が確立していない状態(リンク32が切断された状態)に相当する。
【0014】
すなわち、本実施形態の通信装置1は、制御装置としてのゲートウェイ2との通信用に、第1通信部11と第2通信部12との2つの通信部を備えている。第1通信部11と第2通信部12とはいずれも無線通信によってゲートウェイ2と通信する。ただし、第1通信部11と第2通信部12とでは、使用する通信方式が互いに異なっている。第2通信部12が使用する第2通信方式は、第1通信部11が使用する第1通信方式より高速なデータ伝送が可能である。したがって、第2通信部12を用いることにより、通信装置1は、ゲートウェイ2との間で伝送されるデータの伝送速度を高速化することができる。
【0015】
また、制御部13は、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12を起動する。言い換えれば、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信するまでは、第2通信部12は起動されない。そのため、通信装置1は、必要なときにだけ第2通信部12を起動することで、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。
【0016】
さらに、制御部13は、第2通信部12の起動後においては、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立するように構成されている。言い換えれば、第2通信部12が起動しても、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信するまでは、第2通信部12はゲートウェイ2との間のリンク32は確立されない。そのため、通信装置1は、第2通信部12の起動後においても、第2通信部12でのデータの伝送が開始するまでは、第2通信部12を待ち受け状態、つまりリンク32が切断された状態とすることで、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。
【0017】
したがって、通信装置1によれば、第2通信部12を用いてデータの伝送速度を高速化しながらも、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。その結果、通信装置1では、データの伝送速度を高速化する場合でも、通信に要する電力を小さく抑えることができる、という利点がある。
【0018】
また、無線通信システム10は、
図2に示すように、通信装置1と、ゲートウェイ(制御装置)2とを備えている。この無線通信システム10において、通信装置1とゲートウェイ2とは、第1通信方式と第2通信方式との2種類の通信方式にて無線通信が可能である。
【0019】
本実施形態では、無線通信システム10は、例えば防犯及び防災等を目的とした遠隔監視サービスに用いられる。この遠隔監視サービスは、住宅100に適用される。住宅100には、遠隔監視サービスを提供する事業者(警備会社等)との間で利用契約を結んだユーザ(住人)200が居住する。遠隔監視サービスにおいては、通信装置1及びゲートウェイ2は、いずれも住宅100に設置されている。ゲートウェイ2は、インターネットなどの公衆網4に接続されている。ゲートウェイ2は、公衆網4経由でモニタリング装置5と通信可能に構成されている。モニタリング装置5は、遠隔監視サービスを提供する事業者が運営するコールセンタに設置されている。
【0020】
これにより、住宅100の通信装置1とコールセンタのモニタリング装置5とは、ゲートウェイ2を介して互いに通信可能になる。つまり、ゲートウェイ2は、通信装置1とモニタリング装置5との間でデータを中継する中継器として機能する。したがって、住宅100の遠隔地にいるオペレータ300は、モニタリング装置5を用いて住宅100内の状況を監視することが可能である。例えば通信装置1がマイクロフォンを有していれば、通信装置1は、住宅100内の音声の音声データをモニタリング装置5に送信することができる。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態の通信装置1、及びそれを用いた無線通信システム10について詳細に説明する。
【0022】
また、以下の説明では一例として、無線通信システム10を用いた遠隔監視サービスが適用される住宅100、つまりモニタリング装置5の監視対象となる建物として、戸建住宅を例示する。なお、モニタリング装置5の監視対象となる建物は、戸建住宅に限らず、例えば集合住宅の各住戸などの戸建住宅以外の住宅、又は事務所、店舗、あるいは介護施設等の非住宅であってもよい。
【0023】
(2.1)システム構成
まず、無線通信システム10の全体構成について
図2を参照して説明する。
【0024】
無線通信システム10は、通信装置1及びゲートウェイ2の他、モニタリング装置5及び監視端末6を、構成要素として備えている。監視端末6は、ゲートウェイ2との通信機能を有している。ゲートウェイ2は、監視端末6とモニタリング装置5との間でデータを中継する中継器としても機能する。
【0025】
この無線通信システム10において、無線通信は、少なくとも通信装置1とゲートウェイ2との間で行われていればよい。つまり、ゲートウェイ2とモニタリング装置5との間の通信、及び監視端末6とゲートウェイ2との間の通信については、無線通信であることは無線通信システム10に必須ではない。なお、無線通信システム10の最小限の構成要素は通信装置1及びゲートウェイ2を最小限の構成要素とし、モニタリング装置5及び監視端末6は無線通信システム10の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0026】
無線通信システム10においては、複数の住宅100からなる監視対象群が、モニタリング装置5の監視対象となる。この場合、監視対象群に属する複数の住宅100に設けられた複数台のゲートウェイ2が、1台のモニタリング装置5と通信することにより、モニタリング装置5とゲートウェイ2とは一対多の関係となる。ただし、本実施形態では説明を簡単にするため、モニタリング装置5の監視対象が1つの住宅100である場合、つまりモニタリング装置5とゲートウェイ2とが一対一の関係にある場合を例に説明する。
【0027】
本実施形態の無線通信システム10において、通信装置1は、マイクロフォン14(
図1参照)及びスピーカ15(
図1参照)を備える通話端末である。つまり、通信装置1は、ゲートウェイ2を介してモニタリング装置5との間で双方向に音声データを伝送する通話機能を有している。これにより、住宅100内のユーザ200とコールセンタのオペレータ300との通話が実現される。通信装置1は、住宅100内において、例えばリビングルームなどの居住スペースに設置されている。ユーザ200の音声が通信装置1に届くように、通信装置1は例えば壁などに取り付けられている。
【0028】
詳しくは「(2.2)通信装置の構成」の欄で説明するが、通信装置1は、ゲートウェイ2との間の音声データの伝送には、第1通信部11(
図1参照)及び第2通信部12(
図1参照)のうち第2通信部12を用いる。そのため、第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32が切断された状態では、通信装置1とモニタリング装置5との通話機能は有効でない。第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32が確立した状態でのみ、通信装置1とモニタリング装置5との通話機能が有効となる。
【0029】
通信装置1は、1軒の住宅100に対して複数台設置されていてもよい。この場合、1台のゲートウェイ2と複数台の通信装置1とが通信することになるので、ゲートウェイ2と通信装置1とは一対多の関係になる。ただし、本実施形態では、とくに断りがない限り、1軒の住宅100に1台の通信装置1が設置されている場合、つまりゲートウェイ2と通信装置1とが一対一の関係にある場合を例に説明する。
【0030】
本実施形態では、第1通信部11が使用する第1通信方式は、免許を必要としない小電力無線である。この種の小電力無線については、用途などに応じて使用する周波数帯域や空中線電力などの仕様が各国で規定されている。例えば欧州においては、868MHz帯の電波を使用する小電力無線が規定されている。日本国においては、420MHz帯や920MHz帯の電波を使用する小電力無線が規定されている。以下、これらの小電力無線をSRD(Short Range Devices)という。
【0031】
一方、第2通信部12が使用する第2通信方式は、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)準拠方式である。第2通信方式は、第1通信方式より高速なデータ伝送が可能な通信方式である。第2通信方式(DECT)は、第1通信方式(SRD)に比べて消費電力の大きな通信方式である。そのため、ゲートウェイ2−第1通信部11間の通信と、ゲートウェイ2−第2通信部12間の通信とを比較すると、ゲートウェイ2−第2通信部12間の通信の方が通信装置1での消費電力は大きい。言い換えれば、第1通信方式は第2通信方式に比べて低消費電力の通信方式である。ここでいう「DECT」には、DECT−ULE(Ultra Low Energy)を含んでいる。
【0032】
監視端末6は、例えば火災感知器、人感センサ、及び窓センサなどである。火災感知器は、住宅100での火災の発生の有無を検知し、火災が発生した場合には警報信号をゲートウェイ2へ送信する。人感センサ及び窓センサは、住宅100への不審者の侵入の有無を検知し、侵入があった場合に警報信号をゲートウェイ2へ送信する。つまり、監視端末6は、住宅100において何らかの異常があった場合、ゲートウェイ2に警報信号を送信する。
【0033】
監視端末6は、1軒の住宅100に対して複数台設置されていてもよい。ただし、本実施形態では、1軒の住宅100に1台の監視端末6が設置されている場合、つまりゲートウェイ2と監視端末6とが一対一の関係にある場合を例に説明する。本実施形態では、監視端末6は火災感知器である。監視端末6は、住宅100内において、例えばリビングルームなどの居住スペースの天井に取り付けられている。
【0034】
本実施形態においては、監視端末6とゲートウェイ2との間の通信は、電波を伝送媒体として用いる無線通信である。監視端末6とゲートウェイ2との間の通信方式は、第1通信部11が使用する第1通信方式と同じ、つまりSRDである。
【0035】
通信装置1及び監視端末6はいずれも電池駆動である。ただし、通信装置1及び監視端末6が電池駆動であることは、無線通信システム10において必須の構成ではなく、通信装置1及び監視端末6の少なくとも一方は、系統電源からの電力供給を受けて動作する構成であってもよい。また、通信装置1及び監視端末6は、住宅100内に設けられていることは本実施形態において必須の構成ではない。通信装置1及び監視端末6の少なくとも一方は、住宅100に付設するように住宅100の外部(外壁等)に設置されていてもよい。
【0036】
ゲートウェイ2は、住宅100内に設置されている。ゲートウェイ2は、住宅100内に設けられた電力アウトレット(コンセント)に接続されることにより、系統電源に電気的に接続されている。ゲートウェイ2は、系統電源からの電力供給を受けて動作する。
【0037】
ゲートウェイ2は、住宅100にある通信装置1及び監視端末6の各々との通信機能を有している。ゲートウェイ2は、通信装置1との通信用に、第1無線部21(
図1参照)及び第2無線部22(
図1参照)を有している。第1無線部21は、第1通信方式(SRD)にて第1通信部11と無線通信する。第2無線部22は、第2通信方式(DECT)にて第2通信部12と無線通信する。本実施形態では、第1無線部21は、監視端末6との無線通信にも用いられる。
【0038】
さらに、ゲートウェイ2は、コールセンタにあるモニタリング装置5との通信機能を有している。ゲートウェイ2は、公衆網4に接続されており、公衆網4を介してモニタリング装置5と双方向に通信する。
【0039】
ゲートウェイ2は、基本的な機能として、通信装置1とモニタリング装置5との間で音声データを中継する機能を有している。さらに、ゲートウェイ2は、監視端末6から警報信号を受信すると、モニタリング装置5へ監視信号を送信する機能を有している。ここでいう「監視信号」は、警報信号をトリガにゲートウェイ2で発生される信号であって、警報信号に含まれる情報を含んでいてもよいし、警報信号に対応する定型のメッセージやコマンドを含んでいてもよい。
【0040】
モニタリング装置5は、コールセンタに設置されている。モニタリング装置5は、公衆網4に接続されており、公衆網4を介してゲートウェイ2と双方向に通信する。モニタリング装置5は、本実施形態ではコンピュータを主構成とし、コンピュータのCPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータをモニタリング装置5として機能させる。
【0041】
モニタリング装置5は、基本的な機能として、ゲートウェイ2を介して通信装置1との間で双方向に音声データを伝送する通話機能を有している。さらに、モニタリング装置5は、ゲートウェイ2から監視信号を受信すると、監視信号に含まれる情報を表示や音声により出力してオペレータ300へ通知する機能を有している。なお、モニタリング装置5には、オペレータ300とユーザ200との通話時に音声の入力及び出力を行うヘッドセット、及びオペレータ300からの操作入力を受け付けるキーボード等のユーザインタフェースを有している。
【0042】
(2.2)通信装置の構成
次に、通信装置1の具体的な構成例について、
図1を参照して説明する。
【0043】
通信装置1は、第1通信部11、第2通信部12、及び制御部13に加えて、マイクロフォン14、スピーカ15、第1処理部16、第2処理部17、及び人検知部18を備えている。その他、通信装置1には電池等が備わっている。
【0044】
第1通信部11は、第1通信方式(SRD)にてゲートウェイ2との通信を行う通信モジュールである。第1通信部11は、送信機能と受信機能とを有している。第1通信部11は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13にて制御される。第1通信部11は、第1記憶部111を有している。ここでは、第1記憶部111は揮発性メモリである。第1記憶部111における少なくとも一部の記憶領域は、リンク32の確立に用いられる認証情報を保存するための記憶部に相当する。ここでいう「認証情報」は、第2通信部12の通信に関する情報であって、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立するのに必要な情報である。具体的には、認証情報はID及び鍵情報を含む情報である。
【0045】
図1では、第1通信部11とゲートウェイ(第1無線部21)2との間にリンク(第1リンク)31が確立した状態を表している。リンク31が確立した状態では、第1通信部11とゲートウェイ2との間で双方向にデータが伝送可能である。本実施形態では、通信装置1が起動すると、第1通信部11は自動的に起動しゲートウェイ2の第1無線部21との間にリンク31を確立する。
【0046】
第2通信部12は、第2通信方式(DECT)にてゲートウェイ2との通信を行う通信モジュールである。通信方式の違いから、第2通信部12の消費電力は第1通信部11の消費電力に比べて大きい。第2通信部12は、送信機能と受信機能とを有している。第2通信部12は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13にて制御される。第2通信部12は、第2記憶部121を有している。ここでは、第2記憶部121は不揮発性メモリである。第2記憶部121における少なくとも一部の記憶領域には、リンク32の確立に用いられる認証情報が保存される。
【0047】
図1では、第2通信部12とゲートウェイ(第2無線部22)2との間にリンク(第2リンク)32が確立した状態を表している。リンク32が確立した状態では、第2通信部12とゲートウェイ2との間で双方向にデータが伝送可能である。通信装置1が起動しても、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信するまでは、第2通信部12は起動しない。
【0048】
本実施形態では、音声データの伝送には第2通信部12が用いられる。そのため、第1処理部16及び第2処理部17は、第2通信部12に電気的に接続されており、第2通信部12に付随して動作する。なお、第1処理部16及び第2処理部17は、第2通信部12と一体に設けられていてもよく、この場合、第1処理部16、第2処理部17、及び第2通信部12は1チップで構成されることになる。
【0049】
第1処理部16は、マイクロフォン14に電気的に接続されている。マイクロフォン14は音声をアナログの電気信号(音声信号)に変換し、第1処理部16に出力する。第1処理部16は、アンプ、A/D変換器、及び信号処理回路を含んでいる。第1処理部16は、マイクロフォン14から入力される音声信号を増幅し、さらにデジタル信号に変換する。第1処理部16は、デジタル信号に対し、自動音量調整や圧縮、暗号化等の処理を施した後、音声データとして第2通信部12に出力する。
【0050】
第2処理部17は、スピーカ15に電気的に接続されている。第2処理部17は、信号処理回路、D/A変換器、及びアンプを含んでいる。第2処理部17は、第2通信部12から入力される音声データに対し、復号、伸長、音量調整等の処理を施し、得られたデジタル信号をアナログの電気信号(音声信号)に変換する。第2処理部17は、音声信号を増幅し、スピーカ15に出力する。スピーカ15は、第2処理部17から入力される音声信号を音声に変換する。
【0051】
人検知部18は、対象エリアにおける人の存在の有無を検知する。対象エリアは、少なくともスピーカ15からの音声が届く範囲に設定される。対象エリアは、例えば住宅100内において通信装置1が設置されている室内に設定される。人検知部18は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13にて制御される。
【0052】
人検知部18は、対象エリアから入力される赤外線量の変化に基づいて、人の存在の有無を検知する受動型の赤外線(PIR:Passive Infrared Ray)センサ181を有している。赤外線センサ181は焦電素子を用いたセンサであって、人検知部18は、焦電素子が受光する赤外線量の変化によって、対象エリアの人の存在の有無を検知する。
【0053】
また、人検知部18は、対象エリアから入力される音の音圧に基づいて、人の存在の有無を検知する音センサを有している。本実施形態では、通話用のマイクロフォン14及び第1処理部16が音センサとして兼用されている。そのため、マイクロフォン14及び第1処理部16が音センサに相当する。具体的には、人検知部18は、第1処理部16に電気的に接続されている。第1処理部16は、マイクロフォン14に入力された音の音圧を表す音圧レベル(Sound Pressure Level)を、人検知情報として人検知部18に出力する。ここでいう「人検知情報」は、人が存在するか否かを検知するための情報である。以下、人検知部18に入力される音圧レベルを「SPL」という。人検知部18は、入力されたSPLを所定の閾値と比較し、SPLが閾値以上であれば対象エリアに人が存在する、と判断する。
【0054】
つまり、人検知部18は、赤外線センサ181の出力、及び音センサの出力(SPL)に基づいて、対象エリアの人の存在の有無を検知している。ここでは、人検知部18は、赤外線センサ181の出力、及び音センサの出力の各々に基づいて、人の存在の有無を判断する。なお、人検知部18は、赤外線センサ181の出力、及び音センサの出力のいずれか一方でも人が存在することを示していれば、人が存在すると判断してもよい。
【0055】
人が存在するか否かを判断する機能は、人検知部18に必須の機能ではなく、ゲートウェイ2又はモニタリング装置5に設けられていてもよい。この場合、人検知部18は、人が存在するか否かを検知するための人検知情報、例えば音センサであればSPLを、ゲートウェイ2又はモニタリング装置5に出力する。つまり、人検知部18の検知結果は、人が存在するか否かを直接的に表す情報に限らず、人が存在するか否かを判断するために用いられる人検知情報(例えばSPL)であってもよい。また、人が存在するか否かは、モニタリング装置5から出力される人検知情報(例えばSPL)に基づいて、オペレータ300が判断してもよい。
【0056】
制御部13は、本実施形態ではCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータなどのコンピュータにて構成されている。言い換えれば、制御部13はコンピュータにて実現されている。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御部13として機能する。プログラムは、ここでは制御部13のメモリに予め記録されているが、インターネットなどの電気通信回線を通じて、あるいはメモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0057】
制御部13は、第1通信部11、第2通信部12、及び人検知部18の各々を制御する。本実施形態においては、制御部13は主な機能として以下に説明する第1〜4の機能を有している。
【0058】
制御部13の第1の機能は、第2通信部12を制御して、第2通信部12を起動し、さらに第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立する機能である。制御部13は、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12を起動する。また、制御部13は、第2通信部12の起動後、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立する。
【0059】
さらに、制御部13の第1の機能には、第2通信部12を制御して、第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32を切断する機能も含まれている。制御部13は、ゲートウェイ2からの切断要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32を切断する。要するに、制御部13は、第1通信部11が受信する接続要求信号及び切断要求信号に従って、第2通信部12とゲートウェイ2との間の通信の開始及び終了を制御する。
【0060】
なお、制御部13は、リンク32を切断後、一定時間が経過すると第2通信部12を停止させるように構成されている。つまり、リンク32が切断された時点からタイマでカウントされる一定時間が経過した時点で、第2通信部12は自動的に停止し、通信装置1の状態は第2通信部12の起動前の状態に復帰する。
【0061】
制御部13の第2の機能は、状態信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する機能である。ここでいう「状態信号」は、第2通信部12の動作状態とリンク32の状態との少なくとも一方を表す信号である。第2通信部12の動作状態は、第2通信部12の起動が完了しているか否かを表す状態を含む。リンク32の状態は、リンク32が確立しているか否かを表す状態を含む。制御部13は、第2通信部12の起動後であってリンク32の確立前において、状態信号を、第1通信部11からゲートウェイ2に送信する。なお、状態信号は、第2通信部12の動作状態とリンク32の状態との一方のみを表す信号であってもよいし、両方を表す信号であってもよい。
【0062】
制御部13の第3の機能は、人検知信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する機能である。ここでいう「人検知信号」は、人検知部18の検知結果を表す信号である。人検知部18の検知結果は、人が存在するか否かを直接的に表す情報であってもよいし、人が存在するか否かを判断するために用いられる情報(例えばSPL)であってもよい。制御部13は、リンク32の確立前において、人検知信号を、第1通信部11からゲートウェイ2に送信する。なお、人検知信号を送信するタイミングは、第2通信部12の起動後でも起動前でもよい。
【0063】
制御部13の第4の機能は、認証信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する機能である。ここでいう「認証信号」は、第1記憶部111に保存された認証情報を表す信号である。ここでいう認証情報は、上述したように第2通信部12で使用される情報であって、ID及び鍵情報を含む情報である。制御部13は、リンク32の確立前において、認証信号を、第1通信部11からゲートウェイ2に送信する。なお、認証信号を送信するタイミングは、第2通信部12の起動後でも起動前でもよい。
【0064】
上述したようにゲートウェイ2は、通信装置1に対して起動要求信号、接続要求信号、及び切断要求信号を送信し、通信装置1を制御する。したがって、通信装置1との関係ではゲートウェイ2は制御装置としても機能する。
【0065】
なお、本実施形態において、通信装置1においてユーザ200との間で情報の入力又は出力を行うための手段は、マイクロフォン14及びスピーカ15のみであり、ユーザ200が手で操作するユーザインタフェース(スイッチ等)は通信装置1には存在しない。ただし、ユーザ200が手で操作するユーザインタフェースが通信装置1に設けられていてもよい。
【0066】
(3)動作
(3.1)基本動作
以下、本実施形態の通信装置1、及びそれを備えた無線通信システム10の基本動作について、
図3を参照して説明する。
図3では、縦軸を時間軸として、ノード(通信装置1、ゲートウェイ2、及びモニタリング装置5)間の信号の流れを時系列的に表し、さらに、第2通信部12の消費電力を「消費電力」として示している。
【0067】
ここでは、住宅100で発生した異常を監視端末6が検知した場合に、オペレータ300と住宅100内のユーザ200との通話が実現されるまでの無線通信システム10の動作を例示する。異常の発生時点においては、通信装置1及び第1通信部11は起動済みであって、第2通信部12は起動されていない状態にあることを前提とする。そのため、
図3において通信装置1とゲートウェイ2との間で伝送されている信号(S14〜S19、S22)は、いずれも第1通信方式(SRD)を用いた第1通信部11にて送信又は受信されている。
【0068】
ゲートウェイ2は、監視端末6から警報信号S11を受信すると、モニタリング装置5に監視信号S12を送信する。その後、モニタリング装置5は、ゲートウェイ2に起動信号S13を送信する。起動信号S13は、ゲートウェイ2に対して、起動要求信号の送信を指示する信号である。
【0069】
起動信号S13を受信したゲートウェイ2は、通信装置1に起動要求信号S14を送信する。起動要求信号S14を受信した通信装置1は、制御部13の第1の機能によって、第2通信部12を起動させる。そのため、
図3に示すように、時点t11にて第2通信部12が起動することで、時点t11以前はゼロであった第2通信部12の消費電力が、時点t11以降は時点t11以前よりも大きくなる。ただし、時点t13にてリンク32が確立されるまでは、第2通信部12は待ち受け状態にあるので、第2通信部12の消費電力は比較的小さく抑えられる。なお、モニタリング装置5が起動信号S13を送信することは無線通信システム10に必須ではなく、ゲートウェイ2は、警報信号S11をトリガにして起動要求信号S14を送信してもよい。
【0070】
第2通信部12が起動すると、通信装置1は、制御部13の第4の機能によって、認証信号S15をゲートウェイ2に送信する。認証信号S15を受信したゲートウェイ2は、認証信号S15で表される認証情報(ID及び鍵情報)を照合する。認証信号S15で表される認証情報がゲートウェイ2で保持されている認証情報と異なる場合には、ゲートウェイ2は新たな認証情報を表す認証通知信号S16を通信装置1に送信する。なお、認証信号S15で表される認証情報がゲートウェイ2で保持されている認証情報と一致すれば、ゲートウェイ2は認証通知信号S16を送信しない。なお、第2通信部12の起動後において通信装置1が認証信号S15を送信することは、無線通信システム10に必須ではなく、第2通信部12の起動前にのみ通信装置1が認証信号S15を送信してもよい。
【0071】
その後、通信装置1は、制御部13の第2の機能によって、状態信号S17をゲートウェイ2に送信する。このとき送信される状態信号S17は、第2通信部12の起動が完了したことを表す信号である。さらに、通信装置1は、制御部13の第3の機能によって、人検知信号S18,S19をゲートウェイ2に送信する。人検知信号S18は、赤外線センサ181の出力に基づく人検知部18の検知結果である。人検知信号S19は、音センサの出力(SPL)に基づく人検知部18の検知結果である。人検知信号S18,S19を受信したゲートウェイ2は、通知信号S20をモニタリング装置5に送信する。通知信号S20は、第2通信部12の起動が完了したこと、及び人検知部18の検知結果を表す信号である。
【0072】
その後、モニタリング装置5は、ゲートウェイ2に接続信号S21を送信する。接続信号S21は、ゲートウェイ2に対して、接続要求信号の送信を指示する信号である。接続信号S21を受信したゲートウェイ2は、通信装置1に接続要求信号S22を送信する。接続要求信号S22を受信した通信装置1は、制御部13の第1の機能によって、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立する。そのため、
図3に示すように、時点t13にてリンク32が確立されることで、待ち受け状態にあった第2通信部12の消費電力が、時点t13以降は時点t13以前よりも大きくなる。リンク32が確立すると、オペレータ300とユーザ200との間で通話が可能となる。なお、通信装置1が接続要求信号S22を受信した時点t12で、即座にリンク32が確立するのではなく、通信装置1が接続要求信号S22を受信した時点t12から、リンク32を確立する時点t13までにはタイムラグがある。
【0073】
なお、オペレータ300とユーザ200との間で通話が終了すると、モニタリング装置5はゲートウェイ2に切断信号を送信する。切断信号を受信したゲートウェイ2は、通信装置1に切断要求信号を送信する。切断要求信号を受信した通信装置1は、制御部13の第1の機能によって、リンク32を切断する。その後、一定時間が経過すると、第2通信部12は自動的に停止する。切断要求信号は第1通信部11にて受信される。
【0074】
ところで、第2通信部12が起動した時点t11からリンク32が確立する時点t13までには、ある程度(例えば数秒〜10秒程度)の長さの待ち時間が必要である。この待ち時間は一定長さではなく、電波の状況などによって変化する。本実施形態では、第2通信部12の通信のための認証処理、及び人検知信号S18,S19の送信よりも先に、制御部13が第2通信部12を起動している。言い換えれば、リンク32が確立するまでの待ち時間は、第2通信部12の通信のための認証処理、及び人検知信号S18,S19の送信に利用されている。そのため、通信装置1は、接続要求信号S22を受信した後、僅かなタイムラグでリンク32を確立することができる。
【0075】
また、モニタリング装置5は、通知信号S20を受信した時点で、通知信号S20の内容、つまり第2通信部12の起動が完了したこと、及び人検知部18の検知結果を表示又は音声によって出力する。これにより、第2通信部12の起動が完了したこと、及び人検知部18の検知結果がオペレータ300に通知される。ただし、通知信号S20を受信した時点でモニタリング装置5がオペレータ300へ通知することは無線通信システム10に必須の構成ではない。例えば、モニタリング装置5は、リンク32の確立後において、リンク32が確立したこと、つまりユーザ200と通話可能な状態にあることを含めて、オペレータ300へ通知してもよい。
【0076】
なお、リンク32の確立後、つまり時点t13以降において、通信装置1は、制御部13の第2の機能によって、状態信号をゲートウェイ2に送信してもよい。このとき送信される状態信号は、リンク32が確立したことを表す信号である。リンク32の確立後であっても、状態信号は、第1通信部11からゲートウェイ2に送信される。
【0077】
(3.2)通信装置が複数台ある場合の動作
次に、
図4に示すように、1軒の住宅100に対して複数台(図示例では2台)の通信装置101,102が設置されている場合の無線通信システム10の動作について、上述した基本動作と異なる点のみ説明する。
【0078】
複数台の通信装置101,102は、互いに異なる部屋に設置されている。例えば、通信装置101はリビングルームに設置され、通信装置102は寝室に設置されている。ここでは、複数台の通信装置101,102のうち、通信装置101が設置されている室内にのみ人(ユーザ200)が存在する状態で、住宅100で発生した異常を監視端末6が検知した場合を想定する。なお、複数台の通信装置101,102の各々は、上記通信装置1と同様の構成である。
【0079】
この場合において、ゲートウェイ2は、起動要求信号S14を、複数台の通信装置101,102の両方に送信する。その後、複数台の通信装置101,102の各々は、人検知信号S18,S19をゲートウェイ2に送信する。ここで、通信装置101が送信する人検知信号S18,S19は、人が存在することを表している。一方、通信装置102が送信する人検知信号S18,S19は、人が存在しないことを表している。ゲートウェイ2は、通信装置101が設置された室内に人が存在することを表す通知信号S20を、モニタリング装置5に送信する。複数台の通信装置101,102における人検知部18の検知結果を受けて、オペレータ300は、通話を希望する通信装置101を選択する。
【0080】
その後、モニタリング装置5は、通信装置101への接続要求信号の送信を指示する接続信号S21を、ゲートウェイ2に送信する。接続信号S21を受信したゲートウェイ2は、複数台の通信装置101,102のうち通信装置101のみに接続要求信号S22を送信する。これにより、通信装置101の第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32が確立され、オペレータ300とユーザ200との間で通話が可能となる。
【0081】
なお、第2通信方式(DECT)においては、1台のゲートウェイ2に対して同時に最大4台の通信装置1でリンク32を確立することが可能である。したがって、ゲートウェイ2は、複数台の通信装置101,102の両方との間でリンク32を確立してもよい。複数台の通信装置1が同時にリンク32を確立する場合、複数台の通信装置1から送信された音声データはゲートウェイ2にて合成される。
【0082】
(3.3)登録動作
通信装置1の起動時においては、通信装置1は第2通信部12とゲートウェイ2の第2無線部22とのペアリング(登録)処理を実施する。ここでは、ペアリング処理のための通信装置1の動作について説明する。
【0083】
通信装置1が起動すると、通信装置1は、第1通信部11にてゲートウェイ2と通信し、ゲートウェイ2から第2通信部12の通信に関する認証情報(ID及び鍵情報)を取得する。制御部13は、取得した認証情報を、第1通信部11の第1記憶部111、及び第2通信部12の第2記憶部121の両方に保存する。そのため、制御部13は、認証情報を取得すると、第2通信部12を一時的に起動し、第2記憶部121への認証情報の書き込みが完了すると、第2通信部12を停止する。
【0084】
これにより、第2通信方式(DECT)を用いた通信を行うことなく、第2通信部12とゲートウェイ2とのペアリングを行うことができる。したがって、ペアリング処理における通信装置1の消費電力を比較的小さく抑えることができる。
【0085】
また、制御部13は、取得した認証情報が登録済み、つまり第2記憶部121に記憶されているか否かを確認し、登録済みでない場合にのみ、第2通信部12を起動させて第2記憶部121への認証情報の書き込みを行ってもよい。本実施形態では、第2記憶部121は不揮発性メモリであるから、通信装置1の起動時、制御部13は第2通信部12を一時的に起動し、第2記憶部121に保存されている認証情報を読み出すことが好ましい。第2記憶部121から読み出された認証情報は、第1記憶部111にコピーされる。そして、ゲートウェイ2から取得される認証情報が、第1記憶部111にコピーされた認証情報に一致すると、制御部13は、この認証情報は登録済みと判断する。ゲートウェイ2から取得される認証情報が、第1記憶部111にコピーされた認証情報に一致しなければ、制御部13は、この認証情報は登録済みでないと判断し、第2記憶部121への認証情報の書き込みを行う。
【0086】
これにより、通信装置1がゲートウェイから認証情報を取得後においては、取得した認証情報が未登録の場合にのみ、第2通信部12が起動されることになる。したがって、ペアリング処理における通信装置1の消費電力を比較的小さく抑えることができる。さらに、登録済みか否かを判断するために必要な認証情報は、第2記憶部121から第1記憶部111にコピーされるので、第2通信部12を起動する時間を最小限に抑えることができる。
【0087】
(4)効果
以上説明した通信装置1によれば、第2通信部12を用いることにより、通信装置1は、ゲートウェイ(制御装置)2との間で伝送されるデータの伝送速度を高速化することができる。また、制御部13は、ゲートウェイ2からの起動要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12を起動する。そのため、通信装置1は、必要なときにだけ第2通信部12を起動することで、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。さらに、制御部13は、第2通信部12の起動後においては、ゲートウェイ2からの接続要求信号を第1通信部11が受信すると、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立する。そのため、通信装置1は、第2通信部12の起動後においても、第2通信部12でのデータの伝送が開始するまでは、リンク32が切断された状態とすることで、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。
【0088】
したがって、本実施形態の通信装置1によれば、第2通信部12を用いてデータの伝送速度を高速化しながらも、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。その結果、通信装置1では、データの伝送速度を高速化する場合でも、通信に要する電力を小さく抑えることができる、という利点がある。
【0089】
また、通信装置1によれば、ユーザ200が手で操作するユーザインタフェース(スイッチ等)を備えていなくても、第2通信部12の起動、及び第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32の確立並びに切断が、制御可能である。要するに、第2通信部12の起動、及びリンク32の確立並びに切断は、第1通信部11を用いたゲートウェイ2との通信によって制御されるので、ユーザ200が手で操作するユーザインタフェースは不要である。この場合、リンク32の確立及び切断に第2通信方式は用いられないので、DECTのような音声通話専用の通信方式を、第2通信方式として適用可能である。
【0090】
また、本実施形態のように、制御部13は、第2通信部12の起動後であってリンク32の確立前において、状態信号を、第1通信部11からゲートウェイ(制御装置)2に送信するように構成されていることが好ましい。状態信号は、第2通信部12の動作状態とリンク32の状態との少なくとも一方を表す。この構成によれば、第2通信部12の動作状態とリンク32の状態との少なくとも一方が、ゲートウェイ2に通知されるので、例えば第2通信部12の起動が完了したか否かをゲートウェイ2が知ることができる。ゲートウェイ2からモニタリング装置5にも通知されるようにすれば、オペレータ300が、通信装置1の状態を確認することができる。なお、制御部13が状態信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する構成(第2の機能)は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0091】
また、本実施形態のように、通信装置1は、対象エリアにおける人の存在の有無を検知する人検知部18をさらに備えることが好ましい。この場合、制御部13は、リンク32の確立前において、人検知部18の検知結果を表す人検知信号を、第1通信部11からゲートウェイ(制御装置)2に送信するように構成されている。この構成によれば、人検知部18の検知結果が、ゲートウェイ2に通知されるので、例えば通信装置1の付近に人が存在するか否かをゲートウェイ2が知ることができる。通信装置1が複数台ある場合には、複数台の通信装置1のうち、付近に人が存在する通信装置1とゲートウェイ2との間にリンク32を確立することが可能である。これにより、不要な通信装置1とゲートウェイ2との間にはリンク32が確立されないため、第2通信部12の消費電力の更なる低減を図ることができる。なお、制御部13が人検知信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する構成(第3の機能)は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0092】
また、本実施形態のように、人検知部18は、対象エリアから入力される音の音圧に基づいて、人の存在の有無を検知する音センサ(マイクロフォン14)を有していることが好ましい。この構成によれば、通話に用いられるマイクロフォン14を人の存在の有無の検知に利用でき、人の存在の有無を検知するためのデバイスを追加する必要がない。なお、人検知部18が音センサを有する構成は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0093】
また、本実施形態のように、人検知部18は、対象エリアから入力される赤外線量の変化に基づいて、人の存在の有無を検知する受動型の赤外線センサ181を有していることが好ましい。この構成によれば、通信装置1の周囲の騒音の影響を受けずに、人の存在の有無を検知することできる。なお、人検知部18が赤外線センサ181を有する構成は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0094】
また、本実施形態のように、第1通信部11は、リンク32の確立に用いられる認証情報を保存するための記憶部(第1記憶部111)を有していることが好ましい。この構成によれば、リンク32の確立のための認証処理において、第2通信部12の状態を待ち受け状態に維持できるので、リンク32が確立するまでの第2通信部12の消費電力を、より小さく抑えることができる。なお、第1通信部11が認証情報を保存するための記憶部を有する構成は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0095】
また、本実施形態のように、制御部13は、リンク32の確立前において、認証情報を表す認証信号を、第1通信部11からゲートウェイ(制御装置)2に送信するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、リンク32の確立のための認証処理が第1通信部11にて行われるので、リンク32が確立するまでの第2通信部12の消費電力を、より小さく抑えることができる。なお、制御部13が認証信号を第1通信部11からゲートウェイ2に送信する構成(第4の機能)は、通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0096】
また、本実施形態のように、第2通信方式は、DECT準拠方式であることが好ましい。この構成によれば、第2通信部12は、比較的低消費電力でありながらも、音声通話などの比較的高速なデータ伝送が可能である。
【0097】
また、本実施形態のように、制御部13は、第2通信部12の起動後、ゲートウェイ(制御装置)2からの接続要求信号を第1通信部11が受信するまでは、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立しないように構成されていることが好ましい。この構成によれば、通信装置1は、第2通信部12の起動後においても、第2通信部12でのデータの伝送が開始するまでは、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。
【0098】
また、無線通信システム10は、通信装置1と、ゲートウェイ(制御装置)2とを備えている。この無線通信システム10によれば、第2通信部12を用いてデータの伝送速度を高速化しながらも、第2通信部12での消費電力を小さく抑えることができる。その結果、通信装置1では、データの伝送速度を高速化する場合でも、通信に要する電力を小さく抑えることができる、という利点がある。
【0099】
(5)変形例
以下、実施形態1の変形例について列挙する。
【0100】
第2通信方式は第1通信方式よりも伝送速度が高速であればよく、第1通信方式はSRDに限らず、第2通信方式はDECT準拠方式に限らない。第2通信方式は、例えばWi−Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)などであってもよい。なお、監視端末6とゲートウェイ2との間の通信方式は、第1通信方式と異なっていてもよい。さらに、監視端末6とゲートウェイ2との間の通信については、無線通信に限らず有線通信であってもよい。
【0101】
通信装置1は、通話機能を有した通話端末に限らない。通信装置1は、例えばカメラで撮影した住宅100内の映像の映像データをモニタリング装置5に送信する装置であってもよい。この場合、音声データに代えて映像データの伝送に、第2通信部12が用いられる。つまり、第2通信部12とゲートウェイ2との間のリンク32が確立した状態でのみ、通信装置1からゲートウェイ2に映像データが送信可能となる。
【0102】
また、制御部13の第4の機能が省略され、第2通信部12の通信のための認証処理は、第2通信部12で行われてもよい。この場合、ゲートウェイ2への認証信号の送信、及びゲートウェイ2からの認証結果信号の受信は、第2通信部12の起動後において、第2通信部12が行うことになる。この場合、リンク32が確立する前であっても、認証処理のために一時的に第2通信部12がゲートウェイ2との通信を行うので、第2通信部12の消費電力が一時的に大きくなる。とはいえ、第2通信部12がゲートウェイ2と常に通信を行う場合に比べると、リンク32が確立するまでの第2通信部12の消費電力は小さく抑えられる。
【0103】
また、実施形態1では、制御部13は第2通信部12の起動後に人検知信号を送信しているが、これに限らず、制御部13は第2通信部12の起動前に人検知信号を送信してもよい。すなわち、通信装置1が、第2通信部12に付随して動作する第1処理部16を、人検知部18へのSPLの入力として利用しなければ、第2通信部12の起動前であっても、人検知信号の送信が可能である。
【0104】
また、第1記憶部111が不揮発性メモリで、第2記憶部121が揮発性メモリであってもよい。この場合、制御部13は、第2通信部12を起動する度に、第1記憶部111に保存されている認証情報を、第2記憶部121に書き込むことが好ましい。これにより、第2通信部12が起動する度に、第1記憶部111内の認証情報が第2記憶部121にコピーされる。したがって、第2通信部12に不揮発性メモリが設けられていない場合でも、第2通信部12が起動する度に、ゲートウェイ2から第2通信部12の通信に関する認証情報(ID及び鍵情報)を取得する必要がない。
【0105】
(実施形態2)
本実施形態の通信装置1A及び無線通信システム10Aは、
図5に示すように、通信装置1Aが鳴動音生成部19を備える点で、実施形態1の通信装置1及び無線通信システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。なお、本実施形態における通信装置1A、無線通信システム10A、及び制御部13Aは、それぞれ実施形態1における通信装置1、無線通信システム10、及び制御部13に相当する。
【0106】
鳴動音生成部19は、呼出音等の鳴動音を出力する。本実施形態では、鳴動音生成部19は、鳴動音を通話用のスピーカ15から出力するように構成されている。
図5の例では、鳴動音生成部19は第1経路191を介してスピーカ15に電気的に接続されているが、スピーカ15は鳴動音生成部19に含まれていてもよい。鳴動音生成部19は、制御部13Aに電気的に接続されており、制御部13Aにて制御される。鳴動音生成部19は、制御部13Aからの再生指示を受けて、鳴動音に相当する鳴動信号を出力し、スピーカ15から鳴動音を出力、つまり鳴動音を再生する。ここでいう「鳴動音」は、所定の長さかつ所定のパターンの音である。本実施形態における鳴動音は、ユーザ200を呼び出してオペレータ300との通話の開始を知らせるための音である。なお、鳴動音は警報音や警告音であってもよい。
【0107】
さらに、本実施形態では、第2通信部12は、リンク32の確立後において、鳴動音に相当する鳴動信号をゲートウェイ2に送信するように構成されている。具体的には、
図5に示すように、鳴動音生成部19は、第2経路192を介して第2通信部12に電気的に接続されている。これにより、鳴動音生成部19が、鳴動音に相当する鳴動信号を出力したときに、鳴動信号がスピーカ15及び第2通信部12の両方に送られることになる。したがって、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32が確立された状態においては、スピーカ15から鳴動音が出力されるのに併せて、鳴動信号がゲートウェイ2へ送信されることになる。
【0108】
また、本実施形態の通信装置1Aは、第2処理部17の出力端子と第1処理部16の入力端子との間にスイッチング素子193をさらに備えている。スイッチング素子193は、制御部13Aに電気的に接続されており、制御部13Aにて制御される。スイッチング素子193がオフの状態では、第2処理部17の出力端子と第1処理部16の入力端子との間は電気的に切り離されている。一方、スイッチング素子193がオンの状態では、第2処理部17の出力端子と第1処理部16の入力端子との間に、ループバック経路が形成される。なお、スイッチング素子193は、実体を伴う電子部品に限らず、プログラムによって実現される制御部13Aの一機能であってもよい。
【0109】
ループバック経路が形成されると、第2処理部17から出力される音声信号は、第1処理部16に入力されて第2通信部12へループバックされる。したがって、ループバック経路が形成された状態では、第2通信部12がゲートウェイ2から受信した音声データは、第2通信部12からゲートウェイ2にループバックされる。
【0110】
本実施形態では、制御部13Aは第1〜4の機能に加えて、以下に説明する第5,6の機能を有している。
【0111】
制御部13Aの第5の機能は、鳴動音生成部19に鳴動音を出力させる機能である。制御部13Aは、第2通信部12の起動後であってリンク32の確立前において、ゲートウェイ2から鳴動要求信号を第1通信部11が受信すると、鳴動音生成部19に鳴動音を出力させる。
【0112】
制御部13Aの第6の機能は、制御部13Aの動作モードを通常モードと試験モードとで切り替える機能である。制御部13Aは、定常時には動作モードを通常モードとし、ゲートウェイ2からの試験要求信号を第1通信部11が受信すると、動作モードを試験モードに切り替える。制御部13Aは、動作モードが試験モードにあるときに、ゲートウェイ2からの試験終了信号を第1通信部11が受信すると、動作モードを通常モードに切り替える。
【0113】
制御部13Aは、動作モードが試験モードにある場合、第2通信部12がゲートウェイ2から受信した音声データを、第2通信部12からゲートウェイ2に送信する。具体的には、制御部13Aは、動作モードに応じてスイッチング素子193を制御する。制御部13Aの動作モードが通常モードにあれば、制御部13Aはスイッチング素子193をオフにする。制御部13Aの動作モードが試験モードにあれば、制御部13Aはスイッチング素子193をオンにする。したがって、動作モードが試験モードにある場合、ループバック経路が形成され、第2通信部12がゲートウェイ2から受信した音声データは、第2通信部12からゲートウェイ2に送信される。
【0114】
なお、制御部13Aの動作モードが試験モードにあるとき、スピーカ15はミュートされることが好ましい。これにより、試験モードにおいては、通信装置1Aから音を出すことなく、オペレータ300において通信装置1Aの動作を確認することができる。
【0115】
以下、本実施形態の通信装置1A、及びそれを備えた無線通信システム10Aの基本動作について、
図6を参照して説明する。
図6では、縦軸を時間軸として、ノード(通信装置1A、ゲートウェイ2、及びモニタリング装置5)間の信号の流れを時系列的に表し、さらに、第2通信部12の消費電力を「消費電力」として示している。さらに、
図6では、鳴動音の出力の有無を「鳴動音」として示している(斜線部分が鳴動音の出力有り)。
【0116】
ここでは、制御部13Aの動作モードが通常モードにある場合の動作について説明する。
図6のS31〜S41,S43は、それぞれ実施形態1で説明した
図3のS11〜S22に相当する。モニタリング装置5がゲートウェイ2に接続信号S41を送信するまでの動作については、実施形態1と同様であるから、説明を省略する。
【0117】
接続信号S41を受信したゲートウェイ2は、通信装置1Aに鳴動要求信号S42を送信する。鳴動要求信号S42を受信した通信装置1Aは、制御部13Aの第5の機能によって、鳴動音生成部19に鳴動音を出力させる。そのため、
図6に示すように、通信装置1Aが鳴動要求信号S42を受信した時点t22から、鳴動音の出力が開始する。鳴動要求信号S42は第1通信部11にて受信される。
【0118】
その後、所定時間が経過した時点t23において、ゲートウェイ2は通信装置1Aに接続要求信号S43を送信する。接続要求信号S43を受信した通信装置1Aは、制御部13Aの第1の機能によって、第2通信部12とゲートウェイ2との間にリンク32を確立する。時点t24にてリンク32が確立すると、オペレータ300とユーザ200との間で通話が可能となる。さらに、リンク32が確立された時点t24以降は、鳴動信号がゲートウェイ2へ送信されることになる。
【0119】
ゲートウェイ2がモニタリング装置5に鳴動信号を転送し、モニタリング装置5が鳴動信号を再生することで、オペレータ300は、いわゆるバックトーンのように鳴動音を聞くことができる。そのため、オペレータ300は、鳴動音が鳴り終わるのを待って、ユーザ200との通話を開始することができる。
【0120】
ところで、上述したようにゲートウェイ2が、鳴動要求信号S42を送信した時点t22から、接続要求信号S43を送信する時点t23までに、所定時間のタイムラグを設けたことには、以下のようなメリットがある。すなわち、リンク32が確立されても、鳴動音が出力されている期間(以下、「鳴動期間」という)には、オペレータ300はユーザ200との通話を行わない。上記タイムラグを設けることで、リンク32が確立されるタイミングを遅らせて、リンク32が確立されている期間と鳴動期間との重複を減らすことができる。その結果、第2通信部12での消費電力をより小さく抑えることができる。なお、鳴動要求信号S42と接続要求信号S43との間にタイムラグを設けることは、通信装置1Aに必須の構成ではなく、例えば1つの信号が鳴動要求信号及び接続要求信号として共用されてもよい。
【0121】
本実施形態のように、通信装置1Aは、鳴動音を出力する鳴動音生成部19をさらに備えることが好ましい。この場合に、制御部13Aは、第2通信部12の起動後であってリンク32の確立前において、ゲートウェイ(制御装置)2から鳴動要求信号を第1通信部11が受信すると、鳴動音生成部19に鳴動音を出力させるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、鳴動音生成部19の制御が第1通信方式(SRD)にて行わされるので、リンク32の確立前に鳴動音の出力を開始させることができる。したがって、鳴動音の出力とリンク32の確立とが並行して行われ、通話開始までの時間を短縮することができる。さらに、第2通信部12の消費電力を小さく抑えることができる。
【0122】
また、本実施形態のように、第2通信部12は、リンク32の確立後において、鳴動音に相当する鳴動信号をゲートウェイ(制御装置)2に送信するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、鳴動音の出力状況がゲートウェイ2に通知されるので、例えばオペレータ300は、鳴動音が鳴り終わるのを待って、ユーザ200との通話を開始することができる。さらに、ゲートウェイ2において、鳴動音生成部19の動作の確認が可能である。なお、第2通信部12が鳴動信号をゲートウェイ2に送信する構成は、通信装置1Aに必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0123】
また、本実施形態のように、制御部13Aの動作モードは通常モードと試験モードとで切替可能であることが好ましい。この場合、制御部13Aは、動作モードが試験モードにある場合、第2通信部12がゲートウェイ(制御装置)2から受信した音声データを、第2通信部12からゲートウェイ(制御装置)2に送信するように構成されている。この構成によれば、試験モードでは第2通信部12がゲートウェイ2から受信したデータは、第2通信部12からゲートウェイ2にループバックされる。そのため、ゲートウェイ2において、通信装置1Aの動作を確認することが可能である。なお、制御部13Aが動作モードを切り替える構成(第6の機能)は、通信装置1Aに必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0124】
実施形態2の構成は、実施形態1の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0125】
以上説明したように、第1の態様の通信装置(1,1A)は、第1通信部(11)と、第2通信部(12)と、制御部(13,13A)とを備えている。第1通信部(11)は、第1通信方式にて制御装置と無線通信を行う。第2通信部(12)は、第1通信方式よりも伝送速度が高速である第2通信方式にて制御装置と無線通信を行う。制御部(13,13A)は、制御装置からの起動要求信号を第1通信部(11)が受信すると、第2通信部(12)を起動する。制御部(13,13A)は、第2通信部(12)の起動後、制御装置からの接続要求信号を第1通信部(11)が受信すると、第2通信部(12)と制御装置との間にリンク(32)を確立するように構成されている。
【0126】
第2の態様の通信装置(1,1A)は、第1の態様において、制御部(13,13A)は、第2通信部(12)の起動後であってリンク(32)の確立前において、状態信号を、第1通信部(11)から制御装置に送信するように構成されている。状態信号は、第2通信部(12)の動作状態とリンク(32)の状態との少なくとも一方を表す。
【0127】
第3の態様の通信装置(1,1A)は、第1又は2の態様において、鳴動音を出力する鳴動音生成部(19)をさらに備える。制御部(13,13A)は、第2通信部(12)の起動後であってリンク(32)の確立前において、制御装置から鳴動要求信号を第1通信部(11)が受信すると、鳴動音生成部(19)に鳴動音を出力させるように構成されている。
【0128】
第4の態様の通信装置(1,1A)は、第3の態様において、第2通信部(12)は、リンク(32)の確立後において、鳴動音に相当する鳴動信号を制御装置に送信するように構成されている。
【0129】
第5の態様の通信装置(1,1A)は、第1〜4のいずれかの態様において、対象エリアにおける人の存在の有無を検知する人検知部(18)をさらに備える。制御部(13,13A)は、リンク(32)の確立前において、人検知部(18)の検知結果を表す人検知信号を、第1通信部(11)から制御装置に送信するように構成されている。
【0130】
第6の態様の通信装置(1,1A)は、第5の態様において、人検知部(18)は、対象エリアから入力される音の音圧に基づいて、人の存在の有無を検知する音センサを有している。
【0131】
第7の態様の通信装置(1,1A)は、第5又は6の態様において、人検知部(18)は、対象エリアから入力される赤外線量の変化に基づいて、人の存在の有無を検知する受動型の赤外線センサ(181)を有している。
【0132】
第8の態様の通信装置(1,1A)は、第1〜7のいずれかの態様において、制御部(13,13A)の動作モードは通常モードと試験モードとで切替可能である。制御部(13,13A)は、動作モードが試験モードにある場合、第2通信部(12)が制御装置から受信した音声データを、第2通信部(12)から制御装置に送信するように構成されている。
【0133】
第9の態様の通信装置(1,1A)は、第1〜8のいずれかの態様において、第1通信部(11)は、リンク(32)の確立に用いられる認証情報を保存するための記憶部を有している。
【0134】
第10の態様の通信装置(1,1A)は、第9の態様において、制御部(13,13A)は、リンク(32)の確立前において、認証情報を表す認証信号を、第1通信部(11)から制御装置に送信するように構成されている。
【0135】
第11の態様の通信装置(1,1A)は、第1〜10のいずれかの態様において、第2通信方式は、DECT準拠方式である。
【0136】
第12の態様の通信装置(1,1A)は、第1〜11のいずれかの態様において、制御部13は、第2通信部(12)の起動後、接続要求信号を第1通信部(11)が受信するまでは、第2通信部(12)と制御装置との間にリンク(32)を確立しない。
【0137】
第13の態様の無線通信システム(10,10A)は、第1〜12のいずれかの態様の通信装置(1,1A)と、制御装置とを備える。