【解決手段】医用画像において線状人工物が占める領域を同定する工程200と、前記領域において、前記領域の全信号強度から、前記線状人工物に起因する信号強度成分を分離する工程202と、を含む。当該方法はさらに、前記領域において、前記領域の全信号強度から、前記線状人工物に起因する信号強度成分を差し引くことにより、修正信号強度を取得する工程204と、前記修正信号強度を取得した後、周辺領域におけるコントラストと一致するように前記領域におけるコントラストを修正する工程208と、を含む。
前記信号強度成分を差し引いた後、前記領域と周辺領域との境界領域をぼかすことにより、前記領域の接続性を修正する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記信号強度成分を差し引いた後、前記領域と周辺領域との境界領域をぼかすことにより、前記領域の接続性を修正する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
前記信号強度成分を差し引いた後、前記領域と周辺領域との境界領域をぼかすことにより、前記領域の接続性を修正する工程をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の具体的な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。複数の図に渡る同様の構成要素は、一貫性を保つため、同様の参照符号で示す。
【0009】
以下の本発明の実施形態の詳細な説明には、本発明がより完璧に理解されるよう、数多くの具体的な細部を記す。しかし、当業者にとっては、これらの具体的な細部なしに本発明を実施してもよいことは明らかであろう。他の例では、いたずらに複雑な説明となるのを避けるため、周知の特徴に関しては詳細な説明は省略する。
【0010】
現代の医学では多岐に渡る医用撮像方法、例えばX線撮像やコンピュータ断層撮像等を用いることにより、臨床分析や医療行為のために患者の体内を視覚的に描写する。患者から得られた医用画像は医療業者が検査するかもしれないが、検査の正確性を低減したり複雑にする人工物を含むことがある。
【0011】
先述のとおり、線状または曲線状人工物は医用画像における特定の種類の人工物である。線状の人工物は例えば、わずかに重なる複数のX線平板検出器によって得られた複数の元画像から得られる1枚のX線画像の接合部に起因する。接合が行われる領域では他の領域と比べて画像の明るさ、コントラスト、粒状度等が異なるため、解剖細部を読み取るのが困難になる。
【0012】
医用画像における線状または曲線状人工物は撮像領域内の異物からも発生する。例えば挿管された患者のX線画像を撮る場面を考える。挿管に使用される気管内チューブは、検出パネルに届くX線信号を局地的に減衰させる。気管内チューブの領域内でも解剖細部は表示されるかもしれないが、これらの細部は読み取りにくい。なぜなら、気管内チューブによって減衰されることなくX線信号が検出パネルに届く周辺領域に比べ、例えば明るさ、コントラスト、粒状度といった画像の特性が異なるからである。
【0013】
本発明の実施形態は医用画像における線状または曲線状人工物を低減する方法、システムおよびコンピュータプログラムを提供するものである。
【0014】
本発明の一以上の実施形態において、医用画像はまず線状または曲線状人工物を散らすために分析された後、検出された線状または曲線状人工物を見えにくくするか、または人工物を取り除くように処理される。処理後の医用画像においては、医療業者はもはや線状または曲線状人工物に読み取りを妨害されることはない。本発明の一つ以上の実施形態による医用画像の処理の結果、線状または曲線状人工物は見えなくなるか、ほぼ見えなくなるか、もしくは少なくとも線状または曲線状人工物の領域における画像内容の読み取りを妨げない程度にまで低減される。
【0015】
図1は本発明の一以上の実施形態によるシステム(100)を示す。システム(100)はユーザインターフェース(UI)(102)、医用画像保存部(108)、人工物検出エンジン(110)および画像調整エンジン(112)を備える。これらの構成要素の各々は同じコンピュータ機器(例えばテスクトップパソコン、サーバ、ラップトップパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン、放射線コンピュータ端末装置等)上に配置してもよいし、もしくは、有線および/または無線の区分を有する任意の大きさのネットワークによって接続された、複数の異なるコンピュータ機器上に配置してもよい。
【0016】
本発明の一以上の実施形態において、システム(100)はUI(102)を備える。UI(102)はユーザ(例えばシステム(100)を操作する医療業者)が医用画像保存部(108)から医用元画像(104)、すなわち線状または曲線状人工物を含む画像を取り出し、処理画像(106)すなわち人工物が取り除かれた画像を医用画像保存部(108)に保存することができるようにしてもよい。UI(102)はさらに人工物検出エンジン(110)および画像調整エンジン(112)による画像処理をユーザが開始し、制御することができるように構成してもよい。例えばユーザが、人工物検出エンジン(110)および/または画像調整エンジン(112)の処理パラメータを調整してもよい(例えばユーザが特定の処理工程を実行または迂回することを選んだり、特定の処理アルゴリズムを選んだり、処理アルゴリズムパラメータを調整する、等)。本発明の一実施態様ではUI(102)は、元画像(104)および処理画像(106)をユーザに表示するために用いられてもよいグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。加えて、GUIは処理中の画像の中間段階を表示してもよい。例えばGUIは、一連の処理工程中の一処理工程を実行した結果得られる画像を表示することにより、この特定の処理工程で用いられた方法の効果をユーザが評価できるようにしてもよい。それによりユーザは処理の実行をインタラクティブに最適化できる。例えばユーザは、GUI中のスライダを操作することによって特定の処理パラメータを調整してもよく、調整されたパラメータ値に基づいて、更新された処理結果をGUIがリアルタイムで表示してもよい。従ってGUIは、GUIの一以上の部品(例えばスライダ、無線ボタン、ドロップダウンリスト、テキストボックス等)を用いたユーザの入力を受け付けるように構成されることにより、ユーザが表示された内容と交流できるようにする。さらに、より近距離での検査のために、表示された医用画像をユーザが拡大できるようにしてもよく、それによりユーザは人工物除去の成功をさらに検査できる。
【0017】
本発明の一以上の実施形態において、システム(100)は医用画像保存部(108)を備える。医用画像保存部(108)は、画像が記憶されるローカルまたは遠隔の記憶装置、例えば画像記録通信システム(PACS)におけるデータベースまたはディレクトリとしてもよい。
【0018】
本発明の一以上の実施形態において、システム(100)は人工物検出エンジン(110)を備える。人工物検出エンジン(110)は、処理される医用元画像(104)中の線状または曲線状人工物を検出するために用いてもよい。本発明の一以上の実施形態において、ユーザインタフェース(102)を介してユーザが選択した、人工物(104)のある医用元画像は医用画像データベース(108)から取り出され、ユーザが選んだ構成パラメータとともに人工物検出エンジン(110)に提供される。構成パラメータは例えば、ユーザが選んだ特定のアルゴリズムや、人工物検出エンジン(110)によるアルゴリズムの実行を形成するパラメータを含んでもよい。一以上の実施形態に沿った、人工物検出エンジン(110)による線状または曲線状人工物の検出の詳細を、
図2を参照しながら以下に述べる。
【0019】
人工物検出エンジン(110)が検出した医用画像中の線状または曲線状人工物を低減または消去するために、システム(100)の画像調整エンジン(112)を用いてもよい。本発明の一実施形態において画像調整エンジンは、実行する複数の処理段階、例えば信号強度修正、粒状度修正、コントラスト修正等を含んでもよい。画像調整を実行するために用いられる処理段階を選択するため、そして選択した処理段階をパラメータで表すため、ユーザはユーザインタフェース(102)を介して画像調整エンジン(112)をパラメータで表してもよい。本発明の一実施形態において、医用画像中で検出された線状または曲線状人工物を低減するために、一つの処理段階または、複数の処理段階の異なる組合せを用いてもよい。一以上の実施形態に沿った、画像調整エンジン(112)が行う画像調整の詳細を、
図2を参照しながら以下に述べる。
【0020】
図1はある複数の要素からなる構成を示すが、本発明の範囲を超えることなく他の構成を用いてもよい。例えば複数の要素を組み合わせて一つの要素を作ってもよい。他の例として、一つの要素が発揮する機能を二以上の要素が発揮してもよい。
【0021】
図2は本発明の一以上の実施形態に係るフローチャートを示す。
図2で描かれる工程を、医用画像中の線状人工物を低減するために用いてもよい。
図1を参照しながら上に述べたシステム(100)の各要素が、
図2の一以上の工程を実行してもよい。本発明の一以上の実施形態において、
図2に示す一以上の工程を省略および/または繰り返してもよいし、
図2に示す順序とは異なる順序で実行してもよい。つまり本発明の範囲は
図2に示す各工程の特定の配置に限定されるとみなしてはならない。また、以下の
図2の説明は医用画像中の一つの線状または曲線状人工物の処理を網羅しているが、同じ方法を医用画像中の複数の線状または曲線状人工物の処理に採用してもよい。
【0022】
人工物の処理は、ある面において方向に依存してもよい。以下の取り決めは、人工物の処理の指向性を説明するために、後の工程200〜210の説明全体を通じて用いられる。線状または曲線状人工物は医用画像の一領域を占める。当該領域は画素の行列で形成される。細長い構造の線状または曲線状人工物は2本の短辺と2本の長辺とを有する。画素の行は短辺に平行な方向、すなわち横方向に方向づけられており、画素の列は長辺に平行な方向、すなわち縦方向に方向づけられている。画素の列は1画素の高さでもよく、人工物の幅全体に及んでもよい。画素の列は1画素の幅でもよく、人工物の長さ全体に及んでもよい。本発明の一実施形態において、人工物は医用画像の四角形に沿う必要はなく、傾いていてもよい。また、人工物は曲線状人工物であってもよい。これらの場合において、人工物の画素の行列は、医用画像の画素の行列からそれた方向に方向づけられてもよく、人工物の形状に基づいて決定される。
【0023】
説明のため、
図2に記載する方法の各工程は、
図4Aから
図4Iに示す例の参照を含むことがある。しかしながら、当業者は本発明が
図4Aから
図4Iに示す例に限られないことを理解するであろう。以下は
図4Aから
図4Iに示す例の詳しい説明である。
【0024】
まず、線状または曲線状人工物を含む医用画像が工程200で取得される。医用画像は医用画像保存部から取得されてもよい。
【0025】
工程202では人工物検出エンジンにより、医用画像において邪魔な線状または曲線状人工物が同定される。線状または曲線状人工物は例えば、画像の信号強度、粒状度、および/または鮮明度が周辺領域から外れた、画像中の領域であってもよい。本発明の一以上の実施形態において、線状または曲線状人工物はコンピュータ援用検出を用いて検出される。線状または曲線状人工物は例えばエッジ検出技術を用いて同定される。カニーエッジ検出、ソベル濾波、ファジー理論法等の様々なエッジ検出アルゴリズムをエッジ検出に採用できる。あるいは、デジタル画像における信号強度、粒状度、鮮明度等を含む不連続部分を検出するのに適した、任意の他の方法を用いてもよい。線状または曲線状人工物のエッジを検出するため、人工物検出がさらに形状的特徴を利用するものであってもよい。例えば、人工物が線状または曲線状であるという仮定を用いることにより、検出するエッジを線状または曲線状の形状に限定してもよい。さらには、人工物が矩形であるという仮定を用いることにより、線状人工物に限定して検出してもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、線状または曲線状人工物の予測位置はエッジ検出アルゴリズムを適用する前に同定してもよく、それにより線状または曲線状の解剖構造を誤って人工物に分類する危険を減らすことができる。上記位置は、例えばシステムのGUIが表示する医用画像における人工物をユーザが指し示すことによってインタラクティブに決定してもよいし、線状または曲線状人工物から線状または曲線状構造を識別可能な分類子によって自動的に決定してもよい。あるいは人工物のおおよその位置は例えば、定位置に恒久的に設置されることにより医用画像の再生可能領域における人工物を発生させる、複数のX線平板検出器を有するX線システムにおいて知ることとしてもよい。
【0027】
人工物検出エンジンが作成する検出結果は、線状または曲線状人工物のエッジを同定することにより線状または曲線状人工物を囲む境界線であってもよい。本発明の一以上の実施態様において、工程202で検出された人工物が、異なる特徴(例えば変化する信号レベルやコントラスト等)を持つ区域を有していてもよい。
【0028】
図4Aに示すX線設定によって得られた、
図4Cの見本X線画像について考える。
図4C左側はおおよそ水平方向(x方向)に延びる骨のX線画像を示す。垂直(y方向)に延びる顕著な線状人工物は画像の右側境界線の近くに見える。線状人工物は
図4Aに示すX線検出パネルの重なりによるものである。骨格を部分的に遮る線状人工物は医療業者によるX線画像の分析を困難にする。
図4C右側は人工物が、下にある骨格を異なる度合いで遮る複数の隣り合う縞からなることを明らかにする、線状人工物の拡大図を示す。縞はX線画像の上から下へ人工物の全長に渡って延びる。異なる人工物信号強度を有する少なくとも3つの縦に延びる区域を区別することができる。すなわちX1−X2、X2−X3、X3−X4である。X1−X2範囲の区域において、非人工物領域からX1の左側に及ぶずれは見えにくいのに対し、X3からX4に及ぶ区域においては非人工物領域からX4の右側に及ぶずれはよく見える。工程202の人工物検出は、異なる人工物信号強度を有する全区域(X1−X4)を含む全人工物を1つの人工物として検出する。つまり人工物検出エンジンはX1を人工物の左端と判断し、X4を人工物の右端と判断する。
【0029】
工程204では、工程202で同定された、線状または曲線状人工物が占める医用画像の領域における信号強度が画像調整エンジンによって調整される。本発明の一以上の実施態様において、医用画像はモノクロ画像、例えばグレースケール画像であり、すなわち画像内の各画素は一つの強度情報を有する一つの値である。画像の大半の領域において、信号強度は撮像中の構造、例えば解剖細部によって決まる。ところが撮像中に現れる線状または曲線状構造が、撮像中の構造に重なる医用画像中の線状または曲線状人工物を生じさせることがある。そこで、人工物を有する各領域における信号強度は、撮像中の構造の特徴や、線状または曲線状構造の特徴によって決定してもよい。工程204の処理は、人工物に起因する信号強度値の変化を同定する。続いて、人工物に起因する信号強度の変化のために画像が調整されることにより、修正画像が作り出される。修正画像の内容は線状または曲線状人工物にもはや影響されないか、もしくは影響が小さくなる。工程204の詳細を
図3に示す。
【0030】
工程206では、(工程204で取り除かれた)人工物が以前占めていた画像領域における粒状度が画像調整エンジンによって調整される。線状または曲線状人工物を発生させる線状または曲線状構造は、画像検出器に到達する画像信号(例えばX線信号)を減衰させていてもよく、これにより人工物の位置で撮像信号の振幅が減少することになる。人工物を見えにくくするため、人工物の領域における信号強度は工程204に示すように調整されていてもよい。工程204で行われる信号強度調整は人工物の領域における信号強度を効果的に増幅してもよく、これにより人工物の領域における撮像信号の減衰を補う。ところが信号強度の増幅は、実際の画像内容(例えば解剖構造)に関する信号強度だけでなく、例えば画像検出ノイズのようなノイズをも増幅することがあり、人工物が取り除かれた領域における粒状度が増すことになる。
【0031】
工程206の話に戻ると、本発明の一以上の実施態様においては、人工物が以前占めていた画像領域における粒状度が、医用画像の周辺領域の粒状度と一致するか、粒状度の予め特定されたレベルと一致するように、粒状度を調整することによって修正される。本発明の一実施態様では、人工物が以前占めていた画像領域および周辺の画像領域における粒状度が、これら領域における高周波画像内容を検査することによって、まず評価される。高周波画像内容は、周波数帯分解に適した任意の方法、例えば高域通過濾波を用いて得ることができる。例えば、まず、高域通過濾波を行う画像領域の低周波成分および中周波成分を取得した後、画像領域から低周波成分および中周波成分を差し引くことにより、残りの高周波成分だけを含む画像領域を作り出すことによって、高域通過濾波の行われた画像領域を取得してもよい。本発明の一実施態様では、低域通過濾波を行うことによって低周波成分および中周波成分を得るにあたり、ガウシアン・濾波・カーネル処理を用いる。低域通過濾波の濾波特性は、周知の画像検出パネル特性および/または所望の粒状度に基づいて、あらかじめ決めておいてもよい。追加もしくは代替として低域通過濾波は例えば、特定の応用、人工物の特定の種類、特定の所望の粒状度の値等に特有の校正処理を用いて構成可能としてもよい。
【0032】
図4Fに示すX線画像の見本画像の細部について考察する。
図4F左側は、
図4E右側から得られた画像細部を示す。つまり、工程204に示す方法を用いて人工物が取り除かれた画像の見本を示している。図中央は低域通過濾波後の図左側の画像細部を示す。図右側は、
図4F左側に示す画像の低周波成分、中周波成分、高周波成分から、図中央に示す低周波成分および中周波成分を差し引いた後の画像細部を示す。高周波成分すなわち、画像の粒状度を形成する画像内容が主に残っている。
【0033】
本発明の一実施態様では、人工物が以前占めていた領域および周辺領域における高周波画像内容は、引き続き数値化されて比較される。本発明の一実施態様では、これら領域における高周波画像内容のために分散値を取得する。分散値は粒状度の低下した画像領域に比べて粒状度の増加した領域の方が高いこともある。本発明の一実施態様では、人工物が以前占めた領域における分散値と、周辺領域の分散値との不一致に基づいて減衰要素を定める。減衰要素は、周辺領域における高周波画像内容の分散値と、人工物が以前占めた領域における高周波画像内容の分散値との比としてもよい。算出される減衰要素は0から1の範囲にあってもよい。人工物が以前占めた領域における分散値が他の周辺領域における分散値よりも十分に高い場合、減衰要素はより小さくてもよい。また、人工物が以前占めた領域における分散値が周辺領域における分散値よりも少しだけ大きい場合、減衰要素はより大きくてもよい。上述の減衰要素は分散値の不一致に基づいて決められているが、粒状度を評価するのに適した任意の他の手段を用いて減衰要素を決めてもよいことは、当業者ならわかるであろう。
【0034】
本発明の一以上の実施態様において、人工物が以前占めた画像領域における高周波成分は引き続き、減衰要素によって決まる程度にまで減衰される。減衰は例えば、人工物が以前占めた画像領域における強度値の高周波成分に、減衰要素を掛け算することによって行われる。より小さい減衰要素は粒状度のより大きな減少のために用いられ、より大きな減衰要素は粒状度のより目立たない減少のために用いられる。本発明の一以上の実施態様では減衰要素を掛け算することにより、人工物が以前占めた画像領域における粒状度を、周辺領域における粒状度と同じレベルにまで減少させる。
【0035】
本発明の一以上の実施態様において、工程206で行われる粒状度の修正は、人工物が以前占めた画像領域内の異なる各区域のために個別に行ってもよい。例えば、人工物が以前占めた画像領域は複数のより小さな区域に分けられてもよく、各区域において粒状度修正が個別に行われる。例えば
図4Cの人工物を考える。当該人工物は先述のように異なる減衰特性を持つ複数の隣り合う縞を含んでいる。工程204で人工物が取り除かれた後、程度の異なる粒状度を有する縞状領域が、人工物が以前占めた領域に残ってもよい。そのようなシナリオでは、工程206の粒状度修正をこれら縞状領域のそれぞれに対して個別に行ってもよい。本発明の一実施態様では、上記に加え、または代替として、人工物が以前占めた画像領域内の異なる各区域における粒状度から、平均粒状度を計算した後、平均粒状度に基づいて粒状度修正を行ってもよい。
【0036】
工程208では、(工程204で取り除かれた)人工物が以前占めた画像領域におけるコントラストが画像調整エンジンによって調整される。先述のように、線状または曲線状人工物を発生させる線状または曲線状構造は、画像検出器に到達する画像信号(例えばX線信号)を減衰させていてもよく、これにより人工物の位置で撮像信号の振幅が減少することになる。工程204で行われる信号強度の調整は人工物の領域における全信号強度(例えば平均信号振幅)を増幅してもよいが、人工物が以前占めた領域におけるコントラストレベルが回復するほど増幅してはならない。全信号強度(すなわち明るさ)が周辺領域の信号強度と一致してもよいが、人工物が以前占めた領域におけるコントラストは周辺領域よりも弱くなることがある。
【0037】
工程208の話に戻ると、本発明の一以上の実施態様では、人工物が以前占めた領域における画像コントラストは、医用画像の周辺領域におけるコントラストと一致するようにコントラストを調整することによって修正される。本発明の一実施態様では、人工物が以前占めた画像領域および周辺の画像領域におけるコントラストが、これら領域における中周波数範囲の画像内容を検査することによって評価される。中周波数の画像内容は周波数帯の分解に適した任意の方法を用いて取得できる。
【0038】
図4Gに示すX線画像の見本画像の細部について考察する。
図4G左側はX線画像の画像細部を示しており、工程204に示す方法を用いて人工物が取り除かれている。また、工程206で先述したように、高周波成分を無くすように低域通過濾波が行われている。図中央も同じ画像細部を示しているが、中周波成分をも無くすように低域通過濾波が行われている。つまり、濾波に用いられるカットオフ周波数が、
図4G左側に示す画像の場合に用いられるカットオフ周波数よりも低い。取り除かれた中周波数は第一に解剖細部を表すので、
図4G中央における、低域通過濾波が行われた画像細部は、画像全体に渡ってほぼ一定の、非常に低い周波成分を主に示している。
図4G右側の画像細部は、図左側の画像細部から図中央の画像細部を差し引くことにより、第一に解剖細部を表す中周波成分を主に含む画像細部を作り出した結果である。つまりコントラストの調整が必要かもしれない、注目すべき細部である。
【0039】
上述の中周波成分の分離は、人工物が以前占めた画像領域および周辺領域のために行ってもよい。本発明の一実施態様ではコントラストの違いを評価するにあたり、これら領域における中周波数の画像内容のために、引き続き分散値が計算される。
【0040】
本発明の一実施態様では、人工物が以前占めた領域および周辺領域における中周波数の画像内容が引き続き評価され比較される。本発明の一実施態様では、これら領域における中周波数の画像内容のために分散値が取得される。分散値は、低下したコントラストを有する画像領域に比べて、増加したコントラストを有する画像領域の方が高いこともある。本発明の一実施態様では、人工物が以前占めた領域における分散値と、周辺領域における分散値との不一致に基づいて、利得要素を決定する。人工物が以前占めた領域における分散値が他の周辺領域における分散値よりも十分に低い場合、利得要素は高くなることがある。また、人工物が以前占めた領域における分散値が周辺領域における分散値よりも少しだけ低い場合、利得要素は低くなることがある。上述の利得要素は分散値の不一致に基づいて決められているが、コントラストを評価するのに適した任意の他の手段、例えば中周波数帯信号エネルギーを用いて利得要素を決めてもよいことは、当業者ならわかるであろう。
【0041】
本発明の一以上の実施態様において、人工物が以前占めた画像領域における中周波成分は引き続き、利得要素によって決まる程度にまで増幅される。増幅は例えば、人工物が以前占めた画像領域における強度値の中周波成分に、利得要素を掛け算することによって行われる。コントラストのより大きな増加のために、より大きい利得要素を用いてもよい。また、コントラストのより目立たない増加のために、より小さな利得要素を用いてもよい。本発明の一以上の実施態様では利得要素を掛け算することにより、人工物が以前占めた画像領域におけるコントラストを、周辺領域におけるコントラストと同じレベルにまで増加させる。
【0042】
本発明の一以上の実施態様では、工程208で行われるコントラスト修正を、人工物が以前占めた画像領域の異なる区域ごとに行ってもよい。具体的には縦方向の各画素列、つまり以前取り除かれた人工物の長さに沿った各画素ごとに、分散値の決定およびそれに続くコントラスト調整を行ってもよい。その後、各画素列ごとに利得要素を決定する。画素列の利得要素は、周辺領域における平均分散値と、画素列のために取得された分散値との比であってもよい。
図4Cの人工物見本が示すように、人工物は、異なる減衰特性を有する複数の隣り合う縞を含んでもよい。
図4Cの例では、これらの縞は人工物の上端から下端へ垂直に延びている。従って、各画素列ごとに分散値の決定とそれに続くコントラストの調整を行うことにより、人工物の減衰特性が水平方向に変化するにも関わらず適切なコントラストの修正を確実に行うことができる。
【0043】
図4Hの例でコントラストの調整をさらに説明する。左上は、工程204を行うことによって信号強度が前もって修正された、画像細部の中周波成分を示す。人工物は画像細部の右半分だけを占めていた。そのためコントラストは画像細部の右半分では低下させるが、左半分では低下させない。左下は画像細部の中周波成分の分散値を示す。分散曲線の各データ点は画素列から取得する。つまり各データ点は垂直線をなす各画素から算出する。人工物が以前占めた領域、すなわち位置x1とx4との間の領域において、分散値はかなり下降しており、これらの領域でコントラストが低下していることを示している。人工物が以前占めた領域の周辺領域の分散値データから平均分散値を算出し、続いて、人工物が以前占めた領域における分散データ点ごとに利得要素を算出する。
図4H右側は算出された利得要素を示す。利得要素曲線は、各画素列のコントラストを調整するために用いられるかもしれない、各画素列の1つのデータ点を列ごとに含む。周辺領域の平均コントラストと同等のレベルまでコントラストを上昇させるため、人工物が以前占めた領域において利得要素を上昇させる。上述の利得要素曲線は画素列の平均分散値を用いて決定するが、画像コントラストを評価および/または修正するのに適した任意の手段を用いて利得要素曲線を決定してもよいことは当業者ならわかるであろう。例えば、各画素列の中間分散値を用いてもよいし、線形補間を行ってもよい。
【0044】
工程210では、人工物が以前占めた領域と周辺領域との境界に沿った接続性を、画像調整エンジンによって調整する。本発明の一以上の実施態様では、工程204から工程208の一以上で処理された人工物が以前占めた領域と、周辺領域との移行部を見えにくくするため、境界にぼかし機能を適用する。本発明の一実施態様では、境界を見えにくくするため、必要に応じてガウシアン平滑化を境界領域に適用する。
【0045】
図3は本発明の一以上の実施態様に係るフローチャートを示す。
図3に示す処理は線状または曲線状人工物が占める領域における信号強度を修正するものであってもよい。人工物が占める領域における信号強度は、実際の画像内容(例えば撮像中の解剖構造)が生じさせる信号強度成分と、人工物に起因する信号強度成分との組合せであってもよい。
図3に示す処理は最初に、実際の画像内容が生じさせる信号強度成分から、人工物が生じさせる信号強度成分を分離してもよい。続いて、人工物に起因する信号強度成分を医用画像から取り除くことにより、修正された医用画像を作り出してもよい。当該医用画像の信号強度値はもはや邪魔な線状または曲線状人工物に影響されない。医用画像が複数の人工物を含む場合、
図3に示す処理を各人工物に行ってもよい。
【0046】
工程300では、線状または曲線状人工物の領域における背景トレンドを決定する。実際の画像内容(例えば撮像中の解剖構造)が生じさせる信号強度成分から、人工物が生じさせる信号強度成分を分離するにあたり、実際の画像内容は背景とみなされ、線状または曲線状人工物が背景の上に重ねられているとみなされる。背景信号強度は人工物信号強度から容易に分離できないことから、背景信号強度の予測を行ってもよい。人工物の周辺領域、すなわち信号強度が背景のみ(つまり実際の画像内容)から決定される領域であるために背景信号強度を直接取得できる領域、において取得される背景信号強度に基づいて予測を行ってもよい。
【0047】
本発明の一実施態様では、背景トレンドは、人工物の一端から他端にかけて決定される、背景信号強度の予測である。本発明の一実施態様では、線状または曲線状人工物の短辺に沿って背景トレンドを決定する。つまり背景トレンドが横方向の画素列のために決定される。より具体的には、人工物の一辺における人工物外側の信号強度値と、人工物の他辺における人工物外側の信号強度値との間を補間することにより、背景トレンドを決定してもよい。一画素の信号強度、例えば人工物の境界のすぐ隣りの画素を、人工物の各辺で取得してもよいし、あるいは複数の画素から取得した平均信号強度値を補間のために用いてもよい。本発明の一実施態様では、人工物の境界の外の背景信号強度レベルを決定するため、人工物の各辺で信号強度値が最小の画素を選んでもよい。考慮される信号強度値は人工物の境界の外にあるから、それらは背景(すなわち実際の画像内容)だけから決定されてもよく、そうすることで人工物に影響されない。人工物の両辺で背景信号強度値を取得したら、人工物の領域における背景信号強度値すなわち背景トレンドを予測するために、これら背景信号強度値の間の補間を用いてもよい。本発明の一実施態様では、人工物の領域における背景トレンドを予測するために線形補間を用いてもよい。
【0048】
背景トレンド予測をさらに説明するため、
図4D左上に示す線状または曲線状人工物を有する医用画像の見本細部について考察する。
図4Dは
図4Cに示す線状人工物を拡大したものである。
図4D左下は、
図4D左上の水平点線に沿った一画素列に係る信号強度を示す。
図4D左下に示される見本信号強度曲線は、人工物のすぐ左側と右側とで画素値の補間が行われた結果、
図4Dに示される傾斜破線となる。このように破線は
図4D左側の点線に沿った背景(すなわち背景トレンド)に関連する信号強度成分の予測を表す。
【0049】
本発明の一以上の実施態様では、上述の背景トレンド予測は、線状または曲線状人工物の短辺に沿った一画素列、すなわち人工物の横幅に渡る一画素列に係る背景トレンド予測を作り出す。人工物全体に係る背景トレンド予測を行うにあたり、上述の背景トレンド予測を人工物の幅に及ぶ各画素列ごとに繰り返してもよく、それにより各画素列に係る個々の背景トレンド予測が作り出される。結果として得られる一連の背景トレンド予測は、人工物の縦方向全長に及んでもよい。
【0050】
本発明の一実施態様では補間を行う前に平滑化、例えばガウシアン・フィルタ・カーネル処理を、人工物の縦方向両側の背景信号強度値の列に適用してもよい。それにより、隣り合う画素列に係る隣り合う背景トレンド予測が、邪魔な背景信号強度値によって著しく不安定にはならないようにできる。
図4D左上に示す例では、人工物両側で垂直方向の(すなわち人工物の長辺に沿う)各背景信号強度値に対してガウシアン・フィルタ・カーネル処理を適用することにより平滑化が得られる。
【0051】
工程302では、線状または曲線状人工物の領域が、同定された背景トレンドのために修正される。すなわちトレンド除去動作が行われる。本発明の一以上の実施態様では、人工物の横幅に渡る各画素列ごとに背景トレンド修正が行われる。本発明の一実施態様ではトレンド除去動作は、工程300で得られた背景トレンド予測を信号強度値から差し引くことによって行われ、それにより効果的に背景を取り除く。
【0052】
図4Dに示す例では、図の下中央がトレンド除去動作後の図左下の信号を示す。人工物の外の信号強度は0になるが、人工物の領域における信号強度は、人工物に起因する信号強度の初期予測を表す。図の上中央は全画素列についてトレンド除去動作が行われた後の図左上の細部を示す。従って図の上中央は背景なしの人工物の初期予測を表す。
【0053】
工程304では、工程302で得られた信号強度の初期予測に平滑化動作を適用することにより、人工物に起因する信号強度の最終予測が得られる。本発明の一実施態様では、各画素列すなわち人工物の長さに沿った縦方向の画素列ごとに平滑化動作が行われることにより、人工物の幅に渡る方向における違いが維持される。
【0054】
図4Dに示す例では、右上が平滑化動作後の線状人工物の細部を示し、右下が平滑化動作後の図下中央の信号強度曲線を示す。フィルタリングの指向性により、人工物内の異なる信号強度の縞が維持され、かつノイズレベルは低減される。
【0055】
工程306では、線状または曲線状人工物の占める医用画像内の領域のために、修正された信号強度を取得することにより、人工物を取り除くか、少なくとも人工物を見えにくくする。本発明の一実施態様では、工程304で取得された、人工物に起因する信号強度の最終予測を、医用画像における未修正の信号強度から差し引くことにより、修正を行う。
【0056】
説明のため、
図4Eは引き算の例を示す。左側は人工物を有する画像の細部を示す。図中央は、(工程300〜304を適用することで得られる)
図4D右上で先に示した、人工物に起因する信号強度の最終予測を示す。図右側は人工物に関連する信号強度を差し引いた後の医用画像を示しており、線状人工物に遮られていた解剖構造を見えるようにしている。
【0058】
図4AではX線信号源が、3枚組の重なったX線平板検出器の方向にX線信号を発する。患者はX線源とX線平板検出器との間に配置される。X線平板検出器は
図4Bに示す重複したX線画像を撮像する。
図4Cは2枚の画像を接合した後の
図4B下と中央との間の移行部を示す。接合動作の結果、よく目立つはっきりした線状構造すなわち線状人工物が、撮像されている骨に交差する。
図4Cのさらなる詳細は工程202の説明で先述したとおりである。
図4Dおよび
図4Eは、信号強度の修正を表す画像の細部および信号強度曲線である。
図4Dおよび
図4Eの詳細は工程300〜306の説明で先述したとおりである。
図4Fは粒状度の修正を表す画像細部を示す。
図4Fの詳細は工程206の説明で述べたとおりである。
図4Gおよび
図4Hは画像コントラストの修正を表す画像細部および信号分散曲線である。
図4Gおよび
図4Hの詳細は工程208の説明で述べたとおりである。
図4Iは
図4Cで紹介したX線画像の画像細部を示す。
図4I左側は解剖細部の要部を遮る線状人工物を有する元のX線画像を示す。右側は、
図2および
図3に表す工程を適用することによって線状人工物の除去に成功したX線画像を表す。
【0059】
本発明のさまざまな実施態様は以下のうち一以上の効果を有する。すなわち、人工物の位置を予め知らなくても、医用画像における線状または曲線状人工物を検出できる。人工物の減衰特性を予め知らなくても、人工物を取り除くか、少なくとも見えにくくできる。人工物によって遮られていた画像内容を修復できることにより、医用画像を読み取りやすくする。操作者による監視が要らないか、もしくは最小限で、人工物を処理できる。
【0060】
使用するプラットホームに関係なく、実質的にあらゆる種類のコンピュータシステムに本発明の実施態様を実装してよい。例えばコンピュータシステムは、本発明の一以上の実施態様を実現するための最低限の処理電力、メモリ、入出力装置を少なくとも備えた、一以上のモバイル機器(例えばラップトップパソコン、スマートフォン、個人用デジタル補助器、タブレットコンピュータ、その他のモバイル機器)、デスクトップパソコン、サーバ、サーバ台の平たい部分、その他あらゆる種類のコンピュータ機器であってよい。例えば
図5に示すように、コンピュータシステム(500)は一以上のコンピュータプロセッサ(502)、付随メモリ(504)(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ等)、一以上の記憶装置(506)(例えばハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブや多目的デジタルディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリスティック等)、その他多数の素子および機能を備えてもよい。コンピュータプロセッサ(502)は処理命令のための集積回路であってもよい。例えばコンピュータプロセッサは一以上のコア、またはプロセッサのマイクロコアであってもよい。また、コンピュータシステム(500)は一以上の入力機器(510)、例えばタッチ画面、キーボード、マウス、マイク、タッチパッド、電子ペン、その他あらゆる種類の入力機器をも備えていてもよい。さらに、コンピュータシステム(500)は一以上の出力機器(508)、例えば画面(例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、ブラウン管(CRT)モニタ、プロジェクタ、その他のディスプレイ機器)、プリンタ、外部記憶装置、その他あらゆる出力機器を備えてもよい。一以上の出力機器は入力機器と同じであってもよいし、異なっていてもよい。コンピュータシステム(500)はネットワークインタフェース接続(図示せず)を介してネットワーク(512)(例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、モバイルネットワーク、その他あらゆる種類のネットワーク)に接続してもよい。入出力機器はその場で、もしくは遠隔で(例えばネットワーク(512)を介して)コンピュータプロセッサ(502)、メモリ(504)、記憶装置(506)に接続されてもよい。種類の異なる多数のコンピュータシステムが存在するが、上述の入出力機器は他の形態であってもよい。
【0061】
本発明の実施態様を実現するための、コンピュータ読取可能なプログラムコードの形でのソフトウエア命令が、コンピュータ読取可能な不揮発性媒体、例えばCD、DVD、記憶装置、ディスケット、テープ、フラッシュメモリ、物理的メモリ、その他あらゆるコンピュータ読取可能な記憶媒体に、全体的または部分的に、一時的または恒久的に保存されてもよい。具体的にはソフトウエア命令は、プロセッサが実行する際に本発明の実施態様を実現するように構成された、コンピュータ読取可能なプログラムコードに対応していてもよい。
【0062】
また、上記コンピュータシステム(500)の一以上の要素を遠隔地に配置し、ネットワーク(512)を通じて他の要素に接続してもよい。さらに、本発明の一以上の実施態様を、複数の中継点を有する分散型システムに実装してもよく、その場合、分散型システム内の異なる中継点に本発明の各部を配置してもよい。本発明の一実施態様では、中継点が別個のコンピュータ機器に対応する。あるいは中継点が、関連する物理的メモリを備えたコンピュータプロセッサに対応してもよい。あるいは中継点が、コンピュータプロセッサまたは、共有のメモリおよび/またはリソースを有するコンピュータプロセッサのマイクロコアに対応してもよい。
【0063】
限られた数の実施形態に関連して本発明を説明したが、本開示の恩恵に浴する当業者であれば、ここに開示された本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案可能であることを理解するであろう。従って本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。