特開2017-60921(P2017-60921A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-60921(P2017-60921A)
(43)【公開日】2017年3月30日
(54)【発明の名称】金属切粉破断搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/14 20060101AFI20170310BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20170310BHJP
   B02C 18/22 20060101ALI20170310BHJP
【FI】
   B02C18/14 Z
   B23Q11/00 R
   B23Q11/00 T
   B23Q11/00 U
   B02C18/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-187482(P2015-187482)
(22)【出願日】2015年9月24日
(11)【特許番号】特許第5918890号(P5918890)
(45)【特許公報発行日】2016年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】313009877
【氏名又は名称】環境エネルギー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515266485
【氏名又は名称】日産興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515266496
【氏名又は名称】Jtecホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095603
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田修嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹之内秀樹
(72)【発明者】
【氏名】萩原健二
【テーマコード(参考)】
3C011
4D065
【Fターム(参考)】
3C011BB27
3C011BB31
3C011BB38
4D065CA12
4D065CB10
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD04
4D065EB02
4D065ED03
4D065ED06
4D065ED13
4D065ED25
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で金属切粉を効率的に破断、搬送することができコンパクト性、設置自在性に優れ、破断部において回転軸の外周に突設された板状や棒状の突起部で破断を行うため破断能力が高く破断部での金属切粉の噛み込みが発生し難く、破断部の破損や摩耗等の発生を低減でき耐久性、長寿命性に優れ、破損や摩耗等が発生した場合は容易に部品を交換できメンテナンス性、使用性に優れる金属切粉破断搬送装置の提供。
【解決手段】
上部に金属切粉の投入口を有する筐体と、筐体内に水平方向に離間して平行に横架された第1回転軸及び第2回転軸とこれらの外周に突起部が突設された破断領域と破断領域以外の第1回転軸及び第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成された移送領域とを有する破断部と、破断部から落下する破断切粉を受け止めて搬送し筐体外に排出する搬送部と、搬送部に覆設され破断部から落下する破断切粉を通過させる開口部を有するカバー部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属加工で発生した金属切粉を破断して搬送する金属切粉破断搬送装置であって、
上部に前記金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、前記筐体内に横架された第1回転軸と前記筐体内に前記第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と前記破断領域以外の前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され前記投入口から投入される前記金属切粉を前記破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部と、前記破断部の前記第1回転軸と前記第2回転軸の間の下方に配設され前記破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し前記筐体外に排出する搬送部と、前記搬送部に覆設されたカバー部と、前記破断部の前記破断領域に対向して前記カバー部の上面側に形成され前記破断部から落下する前記破断切粉を通過させる開口部と、を備えたことを特徴とする金属切粉破断搬送装置。
【請求項2】
前記カバー部の前記開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰を備えたことを特徴とする請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置。
【請求項3】
前記第1回転軸及び前記第2回転軸の回転方向が逆方向で、前記破断部の前記移送領域で対向する前記第1回転軸及び前記第2回転軸の前記螺旋羽根のねじれの向きが逆方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属切粉破断搬送装置。
【請求項4】
前記破断部の前記破断領域の各々の前記突起部が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から前記搬送部の前記開口部に向かって回転することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置。
【請求項5】
前記筐体が、前記搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され前記搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面と、前記傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体と、前記傾斜底面の最下部に形成された排水口と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄等の金属製品や真鍮、ステンレス等の合金類の切削加工や研削加工等の金属加工で発生する金属切粉を破断、搬送するための金属切粉破断搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属加工で発生する金属切粉の多くは専門の業者により回収され、溶融炉で溶融再生されて、材質別にインゴット材料等の金属資源として再利用されている。
しかし、この金属切粉は一般的に細長く、リボン状或いは螺旋状(スパイラル状)にカールしており、そのままでは嵩高で搬送処理やリサイクル処理を行う際に取扱い難く、作業の効率性に欠けるため、前処理として短い寸法に破断することが行われている。
例えば、(特許文献1)には、一端上部に投入口を開口せしめたトラフ内に、螺旋羽根を有する回転自在なスクリューを収容し、そのスクリューの先端部に破砕ヘッドを設けた破砕処理装置が開示されている。
また、(特許文献2)には、任意の長さに生成された金属の切り屑を回転自在に対向配置された破砕用カッターと破砕用ローラの間に上方から供給することで細かく破砕して下方へ排出する切削加工における切り屑破砕方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−234352号公報
【特許文献2】特開2012−50957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の破砕処理装置は、投入された金属の切り屑などをスクリューによって破砕ヘッドに移送しているが、切り屑を移送するためのスクリューの一部が円筒状のトラフに収容されているため、細長く、リボン状或いは螺旋状(スパイラル状)にカールした金属切粉がトラフとスクリューとの隙間に引っ掛かり易く、移送の効率性に欠ける。
(2)また、トラフの内周面に、スクリューの螺旋羽根の螺旋方向とは逆向きの螺旋凸条を形成し、スクリューを螺旋羽根の螺旋方向とは逆向きに回転駆動させることにより、処理物の推進力を増すことも記載されているが、構成が複雑で量産性に欠けると共に、スクリューの一部や螺旋凸条がトラフで覆われているため、螺旋凸条の交換や清掃作業が困難で、メンテナンス性に欠ける。
(3)破砕ヘッドは、スクリューと同軸上に固定されるヘッド本体と、このヘッド本体の外周から突出する着脱可能な破砕刃とを有し、トラフの先端に連なる破砕ドラム内に収容されているため、破砕刃の損耗等が確認し難く、交換作業にも手間がかかり、メンテナンス性、取扱い性に欠ける。
(4)破砕ドラムの底部に処理物を外部排出するための排出口を有し、その排出口の周縁部が破砕刃と協同して処理物を剪断する固定刃部となっており、破砕刃と固定刃部との間に切り屑を噛み込み易く、破砕の効率性に欠けると共に、破砕刃と固定刃部との隙間を適度に調整、維持する必要があり、使用性、メンテナンス性に欠ける。
(5)(特許文献2)では、破砕用カッターと破砕用ローラは二本の回転軸の軸線方向に交互に取付けられており、破砕用カッターの先端(切れ刃)を破砕用ローラの外周面に圧接させながら正転と逆転を交互に繰り返すことにより、切り屑を切断するものであるため、破砕用カッターが摩耗し易く、長寿命性に欠けると共に、軸線方向に隣り合う破砕用カッターと破砕用カッターとの隙間に切り屑を噛み込み易く、破砕用カッターの側面が摩耗した場合には、隙間が拡がって破砕されていない切り屑が排出されるおそれがあり、保守管理が煩雑で動作の確実性、使用性に欠ける。
(6)破砕用カッターと破砕用ローラは、切り屑を上方向から下方向へ挟み込む正転と下方向から上方向へ巻き戻す逆転を規則的に繰り返さなければならないので、制御が複雑で破砕にも時間がかかり、破砕の効率性に欠ける。
(7)(特許文献1)、(特許文献2)は、いずれも破砕した切り屑をそのまま下方に落下させているだけで搬送機能がないため、別途、破砕した切り屑を回収する装置や回収した破砕後の切り屑を搬送するための搬送装置等が必要となり、システムが大型化し易く、設置自在性、機能性、破砕後の切り屑の利用の効率性に欠ける。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、簡素な構成で金属切粉を効率的に破断、搬送することができ、コンパクト性、設置自在性に優れ、破断部において回転軸の外周に突設された板状や棒状の突起部で破断を行うため、破断能力が高く、破断部での金属切粉の噛み込みが発生し難く、破断部の破損や摩耗等の発生を低減することができ、耐久性、長寿命性に優れると共に、破損や摩耗等が発生した場合には容易に部品を交換することができ、メンテナンス性、使用性に優れる金属切粉破断搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段及びそれによって得られる作用、効果】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の金属切粉破断搬送装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置は、金属加工で発生した金属切粉を破断して搬送する金属切粉破断搬送装置であって、上部に前記金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、前記筐体内に横架された第1回転軸と前記筐体内に前記第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と前記破断領域以外の前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され前記投入口から投入される前記金属切粉を前記破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部と、前記破断部の前記第1回転軸と前記第2回転軸の間の下方に配設され前記破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し前記筐体外に排出する搬送部と、前記搬送部に覆設されたカバー部と、前記破断部の前記破断領域に対向して前記カバー部の上面側に形成され前記破断部から落下する前記破断切粉を通過させる開口部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、筐体内に横架された第1回転軸と筐体内に第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と第1回転軸及び第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と破断領域以外の第1回転軸及び第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され投入口から投入される金属切粉を破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部を備えるので、投入口から投入される金属切粉を移送領域の螺旋羽根で確実に破断領域に移動させながら、第1回転軸及び第2回転軸の外周に突設された突起部及び螺旋羽根で効率的に破断することができ、金属切粉の破断作業の確実性、効率性に優れる。
(2)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体内に破断部の第1回転軸及び第2回転軸が横架されているので、破断部における破断状況を外部から目視で確認することができ、突起部の変形や破損等が発生した場合にも発見が容易で、突起部がボルト締めにより固定されている場合は容易に交換を行うことができ、保守管理性、メンテナンス性に優れる。
(3)破断部の第1回転軸と第2回転軸の間の下方に配設され破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し筐体外に排出する搬送部を備えることにより、破断部で破断されて落下する破断切粉を確実に搬送して後工程の処理等を行うことができ、破断切粉の利用の効率性に優れる。
(4)搬送部に覆設されたカバー部を有するので、搬送中に異物が混入したり、破断切粉が周囲に飛散したりすることがなく、破断切粉の搬送の信頼性に優れる。
(5)破断部の破断領域に対向してカバー部の上面側に形成され破断部から落下する破断切粉を通過させる開口部を有するので、破断部で破断され落下する破断切粉を搬送部で受け止めて確実に搬送することができ、搬送の確実性に優れる。
(6)破断部と搬送部が一体化されており、コンパクトで設置自在性、機能性に優れる。
【0007】
ここで、筐体としては鋼鉄製やステンレス製等の金属製のものが好適に用いられる。投入口は破断部の上方から金属切粉を落下させて投入できるものであればよく、その形状、大きさ、配置等は適宜、選択することができるが、筐体の上面全体が開口しているものが金属切粉の投入作業性に優れ、好ましい。尚、投入口には開閉蓋を設けてもよいし、金属切粉を供給するための供給管を接続してもよい。
破断部の第1回転軸及び第2回転軸は筐体内に横架されるが、両端部を筐体の外部に突出させ、筐体の外部に配設した軸受部で回動自在に保持することが好ましい。軸受部を筐体の外部に配設することにより、筐体の内部を有効利用することができると共に、軸受部に金属切粉が噛み込んだり、破断切粉等が付着したりすることがなく、破断部の動作の安定性、メンテナンス性に優れる。
第1回転軸及び第2回転軸の一端側から駆動モーターの動力を入力することにより第1回転軸及び第2回転軸を回転させることができる。このとき、第1回転軸及び第2回転軸を別々の駆動モーターで回転させてもよいし、プーリーやスプロケット等とベルトやチェーン等の動力伝達部材を組合せて1つの共通の駆動モーターで回転させてもよい。尚、第1回転軸及び第2回転軸の回転方向は適宜、選択することができる。
第1回転軸及び第2回転軸の回転数は、金属切粉の材質等によって異なるが、アルミニウムの場合、5rpm〜20rpm好ましくは8rpm〜12rpmが望ましい。回転数が8rpmより遅くなるにつれ、破断能力が低下し易くなる傾向があり、20rpmより速くなるにつれ、破断能力が低下し易くなると共に、噛み込みなどの機械の負担が増加し易くなる傾向が見られ、特に、5rpmより遅くなるか、20rpmより速くなると、破断能力が著しく低下し、十分な破断が困難となり、好ましくない。
【0008】
破断領域の突起部の数や配置間隔等は、適宜、選択することができるが、第1回転軸及び第2回転軸の軸方向に位置をずらして配置した場合、突起部同士が干渉せず、摩耗や金属切粉の噛み込みが発生し難く、金属切粉を効率的に破断することができ、好ましい。特に、第1回転軸及び第2回転軸の各々の外周に複数の突起部を放射状に配置することにより、破断の効率性に優れる。このとき、第1回転軸と第2回転軸の突起部の位相をずらすことにより、金属切粉が突起部で圧縮された状態で破断されることがなく、摩耗や金属切粉の噛み込みが発生し難く、突起部の耐久性、長寿命性に優れると共に、設備の稼働性、破断の効率性に優れる。尚、複数の突起部はランダムに配置してもよい。
また、突起部の形状は適宜、選択することができ、円柱状や角柱状等の棒状に形成してもよいし、平板状やアングル状等に形成してもよい。特に平板状やアングル状等に形成された突起部は変形等が発生し難く、耐久性に優れると共に、端面を利用して効率的に金属切粉を破断することができ、好ましい。
移送領域は第1回転軸及び第2回転軸の破断領域以外の少なくとも一部に形成されるが、第1回転軸及び第2回転軸の全長の内の破断領域以外の範囲全体に移送領域を形成することにより、投入される金属切粉を効率的に破断領域に集めて短時間で確実に破断することができ、破断の確実性、効率性に優れる。
破断領域と移送領域の配置は適宜、選択することができるが、第1回転軸及び第2回転軸の長手方向の中央部に破断領域を配置しその両側に移送領域を配置することが好ましい。破断領域を中央部に配置することにより、金属切粉を投入後、速やかに破断することができると共に、筐体内の金属切粉を両側の移送領域から中央部の破断領域に集めて効率的に破断することができる。尚、各々の螺旋羽根は金属切粉が破断領域に向かって移動するように、第1回転軸及び第2回転軸の回転方向に応じてねじれの向きを選択する。
搬送部は破断部で破断された破断切粉を搬送できるものであればよいが、スクリューコンベアやスクリューフィーダー等が好適に用いられる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記カバー部の前記開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)カバー部の開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰を有するので、破断部で破断された破断切粉が開口部で絡み合ってブリッジを形成して落下しづらくなることを防止でき、破断切粉が速やかに開口部から搬送部へ落下してスムーズに搬送され、破断切粉の搬送の効率性、確実性に優れる。
(2)搬送部の開口部の外周が開口部囲繞堰で囲まれていることにより、筐体内の破断部の破断領域以外に落下した破断前の金属切粉はカバー部と開口部囲繞堰で遮られるため、搬送部に落下することがなく、破断領域で破断された破断切粉のみを確実に開口部から搬送部に落下させて搬送することができ、破断及び搬送作業の確実性、信頼性に優れる。
【0010】
ここで、開口部の形状は適宜、選択することができるが、破断部の破断領域に合わせて矩形状に形成することが好ましい。また、開口部囲繞堰の高さは第1回転軸及び第2回転軸の突起部の先端から5mm〜100mm好ましくは10mm〜30mm離れた寸法にすることが望ましい。理由は不明だが、このような開口部囲繞堰を設けることにより、突起部の回転により破断された金属切粉が搬送部の開口部で絡み合ってブリッジを形成することがなく、装置の稼働率の向上、破断切粉の搬送作業の確実性、信頼性に優れる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の回転方向が逆方向で、前記破断部の前記移送領域で対向する前記第1回転軸及び前記第2回転軸の前記螺旋羽根のねじれの向きが逆方向である構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)第1回転軸及び第2回転軸の回転方向が逆方向で、破断部の移送領域で対向する第1回転軸及び第2回転軸の螺旋羽根のねじれの向きが逆方向であることにより、移送領域上の金属切粉を第1回転軸と第2回転軸の間に集め、かつ全体を回転軸方向と垂直な方向に揺さ振りながら破断領域に効率的に移送して短時間で破断することができ、破断の効率性に優れる。
【0012】
ここで、第1回転軸及び第2回転軸の螺旋羽根のねじれの向きは、第1回転軸及び第2回転軸の回転方向と、螺旋羽根を形成する位置(破断領域との位置関係)に応じて、適宜、選択することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記破断部の前記破断領域の各々の前記突起部が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から前記搬送部の前記開口部に向かって回転する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)破断部の破断領域の各々の突起部が、第1回転軸及び第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から搬送部の開口部に向かって回転することにより、突起部によって破断した破断切粉を上方に巻き上げることなくスムーズに開口部に落下させ、搬送部で効率的に搬送することができ、破断切粉の搬送の効率性に優れる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記筐体が、前記搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され前記搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面と、前記傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体と、前記傾斜底面の最下部に形成された排水口と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)筐体が、搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面を有することにより、筐体内の底部中央側に金属切粉を集め、破断部で効率的に破断することができ、破断の効率性に優れる。
(2)筐体が、傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体を有することにより、金属切粉を筐体の傾斜底面まで落下させることなくメッシュ体上で保持しながら、移送領域から破断領域に移動させて破断できると共に、金属切粉に付着した金属加工油剤の油分や水分の一部を傾斜底面に落下させて金属切粉から分離することができ、破断切粉の取扱い性を向上させることができる。
(3)筐体が、傾斜底面の最下部に形成された排水口を有することにより、メッシュ体で分離されて傾斜底面に落下した油分や水分を排水口から排出して回収することができ、筐体内に油分や水分が残り難く、油分や水分の回収作業性、メンテナンス性に優れる。
【0015】
ここで、メッシュ体は、金属切粉に付着した油分や水分を分離できるものであればよいが、パンチングメタル等の多孔性の板材が好適に用いられる。尚、メッシュ体の孔の大きさは、破断前の金属切粉が通過しない大きさに形成することにより、確実に油分や水分のみを分離できる。また、排水口の位置は適宜、選択することができるが、傾斜底面の最下部が排水口に向かって低くなるように勾配を設けることにより、傾斜底面に落下した油分や水分を排水口から確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1の金属切粉破断搬送装置の模式平面図
図2】実施の形態1の金属切粉破断搬送装置の要部断面模式側面図
図3図2のA−A線矢視模式断面図
図4図2のB−B線矢視模式断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における金属切粉破断搬送装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1の金属切粉破断搬送装置の模式平面図であり、図2は実施の形態1の金属切粉破断搬送装置の要部断面模式側面図である。
図1及び図2中、1はアルミニウム、亜鉛、銅、鉄等の金属製品や真鍮、ステンレス等の合金類の切削加工や研削加工等の金属加工で発生する金属切粉を破断、搬送するための実施の形態1における金属切粉破断搬送装置、2は上部に金属切粉が投入される投入口2aを有する金属切粉破断搬送装置1の筐体、2bは筐体2の一側部に形成された排水口2cに向かって低くなるように勾配を設けた傾斜底面、3は筐体2内で金属切粉を破断する金属切粉破断搬送装置1の破断部、4aは筐体2内に横架された破断部3の第1回転軸、4bは筐体2内に第1回転軸4aと水平方向に離間して平行に横架された破断部3の第2回転軸(図1)、4c,4dは筐体2の両側から突出した第1回転軸4a及び第2回転軸4bの両端部を筐体2の外部で回動自在に支持する軸受部、5は第1回転軸4a及び第2回転軸4bの長手方向中央部に形成された破断部3の破断領域、6は矩形平板状に形成され破断領域5における第1回転軸4a及び第2回転軸4bの外周に軸方向の位置をずらして2枚ずつ放射状に突設された突起部、7a,7bは第1回転軸4a及び第2回転軸4bの破断領域5の両側部の外周に形成された螺旋羽根8a〜8dにより投入口2aから投入される金属切粉を破断領域5に移動させる破断部3の移送領域、9は破断部3の下方の第1回転軸4aと第2回転軸4bの間に配設され破断部3で破断された破断切粉を搬送して筐体2外に排出するスクリューフィーダーを用いた金属切粉破断搬送装置1の搬送部、10は搬送部9の回転軸、10a,10bは搬送部9の回転軸10の両端部を回動自在に支持する軸受部、11は回転軸10の外周に形成された搬送部9の螺旋羽根、12は搬送部9の外周に覆設されたカバー部、13は破断部3の破断領域5に対向して搬送部9のカバー部12の上面側に形成された開口部、14はカバー部12の開口部13の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰、15は搬送部9の下流側の底部に形成された排出口、16a,16bは破断部3の第1回転軸4a及び第2回転軸4bの一端部に固設されたスプロケット、17は搬送部9の回転軸10の一端部に固設されたスプロケット、18は破断部3の第1回転軸4a,第2回転軸4b及び搬送部9の回転軸10を回転させるためのギヤードモーターを用いた金属切粉破断搬送装置1の駆動モーター、18aは駆動モーター18の出力軸に固設されたスプロケット、19はスプロケット16a,16b,17,18に掛け回されて駆動モーター18の出力を第1回転軸4a,第2回転軸4b及び回転軸10に伝達するチェーンを用いた動力伝達部材、20は軸受部4c,10a及びスプロケット16a,16b,17,18が収容されたギヤーボックスである。
【0018】
次に、駆動モーターによる破断部及び搬送部の駆動方法について説明する。
図3図2のA−A線矢視模式断面図である。
図3に示すように、動力伝達部材19を各々のスプロケット16a,16b,17,18に掛け回すことにより、1つの駆動モーター18で破断部3の第1回転軸4a,第2回転軸4b及び搬送部9の回転軸10を回転させることができる。このとき、破断部3の第1回転軸4aと第2回転軸4bは逆方向に回転するが、図1に示したように、第1回転軸4aの螺旋羽根8a,8bと第2回転軸4bの螺旋羽根8c,8dは、投入される金属切粉を破断領域5に移動させるようにねじれの向きがそれぞれ選択されている。
【0019】
次に、破断部の詳細について説明する。
図4中、21は傾斜底面2bの上方に離間して覆設されたパンチングメタル等を用いたメッシュ体である。
図4に示したように、筐体2の傾斜底面2bは、搬送部9の長手方向と直交する断面がV字状に形成されており、その上方に離間してメッシュ体21が搬送部9の長手方向に沿うように筐体2内に配設されている。
メッシュ体21の孔の大きさは、破断前の金属切粉が通過しない大きさに形成することにより、金属切粉に付着した大粒の油分や水分を分離できる。
【0020】
以上のように構成された実施の形態1の金属切粉破断搬送装置の動作について説明する。
図4において、筐体2の投入口2aから金属切粉が投入されると、図3で説明したように駆動モーター18(図3参照)により、破断部3の第1回転軸4aと第2回転軸4b及び搬送部9の回転軸10が矢印の方向に回転する。このとき、第1回転軸4a及び第2回転軸4bの外周に配設された各々の突起部6は、上方から搬送部9の開口部13に向かって回転し、図1に示した破断部3の破断領域5に落下してくる金属切粉や移送領域7a,7bの螺旋羽根8a〜8dによって破断領域5に移送されてくる金属切粉を大きな剪断力で破断する。
破断された破断切粉は開口部13から搬送部9へ落下し、螺旋羽根11によって下流側へと搬送されて排出口15(図2参照)から排出されて後工程へと送られる。
尚、搬送部9の開口部13の外周が開口部囲繞堰14で囲まれているので、破断部3で細かく破断された破断切粉が開口部13で絡み合ってブリッジを形成して落下しづらなくなることを防止でき、破断切粉が速やかに開口部13から搬送部9へ落下してスムーズに搬送される。また、金属切粉に付着した油分や水分の一部は破断途中でメッシュ体21で分離されて傾斜底面2bに溜まり、排水口2c(図2参照)から排出される。
本実施の形態では、破断領域5における第1回転軸4a及び第2回転軸4bの外周に2枚の突起部6を対向させて配置したが、突起部6の数や配置は破断する金属切粉の材質(硬さ)等に応じて、適宜、選択することができる。また、図4では第1回転軸4a及び第2回転軸4bに対して突起部6が同じ位相で配置されているが、位相をずらして配置してもよい。
【0021】
以上説明したように、実施の形態1における金属切粉破断搬送装置によれば、以下の作用を有する。
(1)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、筐体内に横架された第1回転軸と筐体内に第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と第1回転軸及び第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と破断領域以外の第1回転軸及び第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され投入口から投入される金属切粉を破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部を備えるので、投入口から投入される金属切粉を移送領域の螺旋羽根で確実に破断領域に移動させながら、第1回転軸及び第2回転軸の外周に突設された突起部及び螺旋羽根で効率的に破断することができ、金属切粉の破断作業の確実性、効率性に優れる。
(2)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体内に破断部の第1回転軸及び第2回転軸が横架されているので、破断部における破断状況を外部から目視で確認することができ、突起部の変形や破損等が発生した場合にも発見が容易で、突起部がボルト締めにより固定されている場合は容易に交換を行うことができ、保守管理性、メンテナンス性に優れる。
(3)破断部の第1回転軸と第2回転軸の間の下方に配設され破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し筐体外に排出する搬送部を備えることにより、破断部で破断されて落下する破断切粉を確実に搬送して後工程の処理等を行うことができ、破断切粉の利用の効率性に優れる。
(4)搬送部に覆設されたカバー部を有するので、搬送中に異物が混入したり、破断切粉が周囲に飛散したりすることがなく、破断切粉の搬送の信頼性に優れる。
(5)破断部の破断領域に対向してカバー部の上面側に形成され破断部から落下する破断切粉を通過させる開口部を有するので、破断部で破断され落下する破断切粉を搬送部で受け止めて確実に搬送することができ、搬送の確実性に優れる。
(6)破断部と搬送部が一体化されており、コンパクトで設置自在性、機能性に優れる。
(7)カバー部の開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰を有するので、破断部で破断された破断切粉が開口部で絡み合ってブリッジを形成して落下しづらくなることを防止でき、破断切粉が速やかに開口部から搬送部へ落下してスムーズに搬送され、破断切粉の搬送の効率性、確実性に優れる。
(8)搬送部の開口部の外周が開口部囲繞堰で囲まれていることにより、筐体内の破断部の破断領域以外に落下した破断前の金属切粉はカバー部と開口部囲繞堰で遮られるため、搬送部に落下することがなく、破断領域で破断された破断切粉のみを確実に開口部から搬送部に落下させて搬送することができ、破断及び搬送作業の確実性、信頼性に優れる。
(9)第1回転軸及び第2回転軸の回転方向が逆方向で、破断部の移送領域で対向する第1回転軸及び第2回転軸の螺旋羽根のねじれの向きが逆方向であることにより、移送領域上の金属切粉を第1回転軸と第2回転軸の間に集め、かつ全体を回転軸方向と垂直な方向に揺さ振りながら破断領域に効率的に移送して短時間で破断することができ、破断の効率性に優れる。
(10)破断部の破断領域の各々の突起部が、第1回転軸及び第2回転軸の外周から放射状に配設され、上方から搬送部の開口部に向かって回転することにより、突起部によって破断した破断切粉を上方に巻き上げることなくスムーズに開口部に落下させ、搬送部で効率的に搬送することができ、破断切粉の搬送の効率性に優れる。
(11)筐体が、搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面を有することにより、筐体内の底部中央側に金属切粉を集め、破断部で効率的に破断することができ、破断の効率性に優れる。
(12)筐体が、傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体を有することにより、金属切粉を筐体の傾斜底面まで落下させることなくメッシュ体上で保持しながら、移送領域から破断領域に移動させて破断できると共に、金属切粉に付着した金属加工油剤の油分や水分の一部を傾斜底面に落下させて金属切粉から分離することができ、破断切粉の取扱い性を向上させることができる。
(13)筐体が、傾斜底面の最下部に形成された排水口を有することにより、メッシュ体で分離されて傾斜底面に落下した油分や水分を排水口から排出して回収することができ、筐体内に油分や水分が残り難く、油分や水分の回収作業性、メンテナンス性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、簡素な構成で金属切粉を効率的に破断、搬送することができ、コンパクト性、設置自在性に優れ、破断部において回転軸の外周に突設された板状や棒状の突起部で破断を行うため、破断能力が高く、破断部での金属切粉の噛み込みが発生し難く、破断部の破損や摩耗等の発生を低減することができ、耐久性、長寿命性に優れると共に、破損や摩耗等が発生した場合には容易に部品を交換することができ、メンテナンス性、使用性に優れる金属切粉破断搬送装置の提供を行うことができ、破断切粉は溶融再生によって各金属資源として有効に再利用することができ、省資源化、環境負荷の低減に貢献することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 金属切粉破断搬送装置
2 筐体
2a 投入口
2b 傾斜底面
2c 排水口
3 破断部
4a 第1回転軸
4b 第2回転軸
4c,4d 軸受部
5 破断領域
6 突起部
7a,7b 移送領域
8a〜8d 螺旋羽根
9 搬送部
10 回転軸
10a,10b 軸受部
11 螺旋羽根
12 カバー部
13 開口部
14 開口部囲繞堰
15 排出口
16a,16b,17,18a スプロケット
18 駆動モーター
19 動力伝達部材
20 ギヤーボックス
21 メッシュ体
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2016年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属加工で発生した金属切粉を破断して搬送する金属切粉破断搬送装置であって、
上部に前記金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、前記筐体内に横架された第1回転軸と前記筐体内に前記第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と前記破断領域以外の前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され前記投入口から投入される前記金属切粉を前記破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部と、前記破断部の前記第1回転軸と前記第2回転軸の間の下方に配設され前記破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し前記筐体外に排出する搬送部と、前記搬送部に覆設されたカバー部と、前記破断部の前記破断領域に対向して前記カバー部の上面側に形成され前記破断部から落下する前記破断切粉を通過させる開口部と、前記開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰と、を備えたことを特徴とする金属切粉破断搬送装置。
【請求項2】
前記第1回転軸及び前記第2回転軸の回転方向が逆方向で、前記破断部の前記移送領域で対向する前記第1回転軸及び前記第2回転軸の前記螺旋羽根のねじれの向きが逆方向であることを特徴とする請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置。
【請求項3】
前記破断部の前記破断領域の各々の前記突起部が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から前記搬送部の前記開口部に向かって回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属切粉破断搬送装置。
【請求項4】
前記筐体が、前記搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され前記搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面と、前記傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体と、前記傾斜底面の最下部に形成された排水口と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の金属切粉破断搬送装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置は、金属加工で発生した金属切粉を破断して搬送する金属切粉破断搬送装置であって、上部に前記金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、前記筐体内に横架された第1回転軸と前記筐体内に前記第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と前記破断領域以外の前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され前記投入口から投入される前記金属切粉を前記破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部と、前記破断部の前記第1回転軸と前記第2回転軸の間の下方に配設され前記破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し前記筐体外に排出する搬送部と、前記搬送部に覆設されたカバー部と、前記破断部の前記破断領域に対向して前記カバー部の上面側に形成され前記破断部から落下する前記破断切粉を通過させる開口部と、前記開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体と、筐体内に横架された第1回転軸と筐体内に第1回転軸と水平方向に離間して平行に横架された第2回転軸と第1回転軸及び第2回転軸の外周に突起部が突設された破断領域と破断領域以外の第1回転軸及び第2回転軸の外周に螺旋羽根が形成され投入口から投入される金属切粉を破断領域に移動させる移送領域とを有する破断部を備えるので、投入口から投入される金属切粉を移送領域の螺旋羽根で確実に破断領域に移動させながら、第1回転軸及び第2回転軸の外周に突設された突起部及び螺旋羽根で効率的に破断することができ、金属切粉の破断作業の確実性、効率性に優れる。
(2)上部に金属切粉が投入される投入口を有する筐体内に破断部の第1回転軸及び第2回転軸が横架されているので、破断部における破断状況を外部から目視で確認することができ、突起部の変形や破損等が発生した場合にも発見が容易で、突起部がボルト締めにより固定されている場合は容易に交換を行うことができ、保守管理性、メンテナンス性に優れる。
(3)破断部の第1回転軸と第2回転軸の間の下方に配設され破断部で破断され落下する破断切粉を受け止めて搬送し筐体外に排出する搬送部を備えることにより、破断部で破断されて落下する破断切粉を確実に搬送して後工程の処理等を行うことができ、破断切粉の利用の効率性に優れる。
(4)搬送部に覆設されたカバー部を有するので、搬送中に異物が混入したり、破断切粉が周囲に飛散したりすることがなく、破断切粉の搬送の信頼性に優れる。
(5)破断部の破断領域に対向してカバー部の上面側に形成され破断部から落下する破断切粉を通過させる開口部を有するので、破断部で破断され落下する破断切粉を搬送部で受け止めて確実に搬送することができ、搬送の確実性に優れる。
(6)破断部と搬送部が一体化されており、コンパクトで設置自在性、機能性に優れる。
(7)カバー部の開口部の上面側の外周に立設された開口部囲繞堰を有するので、破断部で破断された破断切粉が開口部で絡み合ってブリッジを形成して落下しづらくなることを防止でき、破断切粉が速やかに開口部から搬送部へ落下してスムーズに搬送され、破断切粉の搬送の効率性、確実性に優れる。
(8)搬送部の開口部の外周が開口部囲繞堰で囲まれていることにより、筐体内の破断部の破断領域以外に落下した破断前の金属切粉はカバー部と開口部囲繞堰で遮られるため、搬送部に落下することがなく、破断領域で破断された破断切粉のみを確実に開口部から搬送部に落下させて搬送することができ、破断及び搬送作業の確実性、信頼性に優れる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の回転方向が逆方向で、前記破断部の前記移送領域で対向する前記第1回転軸及び前記第2回転軸の前記螺旋羽根のねじれの向きが逆方向である構成を有している。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)第1回転軸及び第2回転軸の回転方向が逆方向で、破断部の移送領域で対向する第1回転軸及び第2回転軸の螺旋羽根のねじれの向きが逆方向であることにより、移送領域上の金属切粉を第1回転軸と第2回転軸の間に集め、かつ全体を回転軸方向と垂直な方向に揺さ振りながら破断領域に効率的に移送して短時間で破断することができ、破断の効率性に優れる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記破断部の前記破断領域の各々の前記突起部が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から前記搬送部の前記開口部に向かって回転する構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)破断部の破断領域の各々の突起部が、第1回転軸及び第2回転軸の外周から放射状に突設され、上方から搬送部の開口部に向かって回転することにより、突起部によって破断した破断切粉を上方に巻き上げることなくスムーズに開口部に落下させ、搬送部で効率的に搬送することができ、破断切粉の搬送の効率性に優れる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の金属切粉破断搬送装置であって、前記筐体が、前記搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され前記搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面と、前記傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体と、前記傾斜底面の最下部に形成された排水口と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下の作用、効果を有する。
(1)筐体が、搬送部の長手方向と直交する断面がV字状に形成され搬送部の長手方向と平行に配設された傾斜底面を有することにより、筐体内の底部中央側に金属切粉を集め、破断部で効率的に破断することができ、破断の効率性に優れる。
(2)筐体が、傾斜底面の上方に離間して覆設されたメッシュ体を有することにより、金属切粉を筐体の傾斜底面まで落下させることなくメッシュ体上で保持しながら、移送領域から破断領域に移動させて破断できると共に、金属切粉に付着した金属加工油剤の油分や水分の一部を傾斜底面に落下させて金属切粉から分離することができ、破断切粉の取扱い性を向上させることができる。
(3)筐体が、傾斜底面の最下部に形成された排水口を有することにより、メッシュ体で分離されて傾斜底面に落下した油分や水分を排水口から排出して回収することができ、筐体内に油分や水分が残り難く、油分や水分の回収作業性、メンテナンス性に優れる。