特開2017-61030(P2017-61030A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-61030グリッパおよびグリッパを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-61030(P2017-61030A)
(43)【公開日】2017年3月30日
(54)【発明の名称】グリッパおよびグリッパを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20170310BHJP
【FI】
   B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-170503(P2016-170503)
(22)【出願日】2016年9月1日
(31)【優先権主張番号】10 2015 114 556.1
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516049733
【氏名又は名称】レーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート シュヴァイガート
(72)【発明者】
【氏名】イェンス グレースレ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET01
3C707EU19
3C707EV06
3C707HS12
3C707MS11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業員に安全なグリッパを提供する。
【解決手段】2つの側面2,3を備えていて、両側面2,3は一端において間接または直接的に互いに結合されていて、該側面2,3の間に、操作手段6を含む空間を形成しており、該空間の側部における画定部が、外部からアクセス可能な少なくとも1つの開口を有している、グリッパに関する。開口に沿って延びる少なくとも1つの薄板が、該薄板によって生じる部分面がアクセス可能性を制限または阻止するように、開口を分割している。本発明はさらに、グリッパを製造する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側面(2,3)を備え、前記側面(2,3)は一端において間接的または直接的に互いに結合されていて、該側面(2,3)の間に、操作手段(6)を含む空間を形成しており、該空間の側部における画定部が、外部からアクセス可能な少なくとも1つの開口(10)を有している、グリッパにおいて、
前記開口(10)に沿って延びる少なくとも1つの薄板(11)が、該薄板(11)によって生じる部分面がアクセス可能性を制限または阻止するように、前記開口(10)を分割していることを特徴とするグリッパ。
【請求項2】
前記側面(2,3)の間において該側面(2,3)の自由端部(9)に対して間隔をおいて、前記操作手段(6)を保持する保持プレート(5)が設けられている、請求項1記載のグリッパ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの薄板(11)は、その長手方向を横切るように形成されて少なくとも1つの凹部(12)を有している、請求項1または2記載のグリッパ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの薄板(11)は波形を有している、請求項3記載のグリッパ。
【請求項5】
複数の前記薄板(11)が、前記開口(10)に沿って設けられていて、横ウェブ(13)によって互いに網状に結合されていて格子構造体を形成している、請求項1から4までのいずれか1項記載のグリッパ。
【請求項6】
前記格子構造体の格子セル(14)のサイズは、成人の指が通ることを阻止するように選択されている、請求項5記載のグリッパ。
【請求項7】
前記格子構造体の格子セル(14)は、弾性変形可能である、請求項5または6記載のグリッパ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの薄板(11)は、プレート状に形成されている、請求項1または2記載のグリッパ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの薄板(11)は多重に設けられていて、個々の前記薄板(11)は、少なくとも部分的にずらされて配置されている、請求項8記載のグリッパ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のグリッパを製造する方法であって、前記側面(2,3)を、付加製造ステップにおいて、前記少なくとも1つの薄板(11)と一体に製造することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの側面を備えていて、両側面は一端において間接または直接的に互いに結合されていて、該側面の間に、操作手段を含む空間を形成しており、該空間の側部における画定部が、外部からアクセス可能な少なくとも1つの開口を有している、グリッパに関する。本発明はさらに、グリッパを製造する方法に関する。
【0002】
冒頭に述べた形式のグリッパは、従来技術に基づいて良く知られており、出願人によって例えばRRMGという名称で提供される。このようなグリッパは、特に、ワークを把持して、ワークの位置を加工装置または搬送装置に対して変化させるために用いられる。このようなグリッパはまた、例えばねじ山に閉鎖蓋を螺合させることが望まれるので、対象物をしっかりと保持するためにも使用される。このようなグリッパは、実地において有効性が実証されているので、その使用範囲は連続的に拡大し、かつこのようなグリッパはロボット装置の一部としても解釈される。ロボット装置に関しては、ロボットの使用中もしくはロボットの準備のために操作員が危険にさらされることがないように、安全に関して重要な特定の観点が顧慮されねばならない。
【0003】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のグリッパを改良して、操作員に対する怪我のリスクを減じることである。本発明の課題はさらに、グリッパを製造する方法を提供することである。
【0004】
この課題の、装置に該当する部分を解決するために、本発明に係るグリッパでは、冒頭に述べた形式のグリッパにおいて、開口に沿って延びる少なくとも1つの薄板が、該薄板によって生じる部分面がアクセス可能性を制限または阻止するように、開口を分割している。
【0005】
操作手段は、グリッパを2つの運転位置の間において、つまり、把持すべきワークが側面の自由端部の間に位置決めされる開放された形状(Konfiguration)と、ワークが把持されている閉鎖された形状との間において、移動させるために用いられる。両方の形状の間における移動のために、特に圧力媒体作動式のシリンダとして実現することができる操作手段が用いられる。グリッパの形状の移動のために、操作手段もまた動くので、操作手段の動きおよびこれによって生じる側面の移動によって、特に、操作員がうっかりとまたは故意に外部からアクセス可能な開口内に手を伸ばす場合に、操作員に危険が及ぶ。このようなことは、本発明において設けられた薄板によって困難になるまたは阻止される。薄板は、特に指の進入に対するストッパもしくは障害を形成するからである。
【0006】
本発明の枠内において、特に、側面の間において該側面の自由端部に対して間隔をおいて、操作手段を保持する保持プレートが設けられている。この保持プレートは、2つの側面と一緒に、外部からアクセス可能な開口を画定しており、この開口にはしかしながら、側面の自由端部に追加的な開口が設けられていてもよい。特に、保持プレートと側面とによって画定された、操作手段を含む開口を安全にすることが重要であり、その結果この開口のサイズを考慮して、アクセス可能性を困難にする所望の効果が得られるように、外部からアクセス可能な開口を分割するために、複数の薄板が必要になることがある。
【0007】
また本発明の枠内において特に好適な態様では、少なくとも1つの薄板は、その長手方向を横切るように形成されて少なくとも1つの凹部を有している。
【0008】
外部からアクセス可能な開口に沿って延びている薄板は、その長手方向を横切るように力を加えることなしに変位させることができるストリングもしくはダイヤフラムと解釈することができるので、その形状の間におけるグリッパの移動に関して抵抗が生じることはない。しかしながらまた、グリッパの移動が、薄板に対する該薄板の長手方向における力作用を必要とするような態様も可能である。これに関連して薄板が補強ストラットとして機能しないようにするために、凹部が設けられており、この凹部は、薄板の可撓性を生ぜしめ、特にまたヒンジとしてまたはヒンジに類したものとしてばね弾性に作用することができる。
【0009】
本発明の枠内において別の態様では、少なくとも1つの薄板は波形を有している。この波形は複雑に形成されていてもよく、かつ複数の波の重なりとして解釈することもできる。このような波形もまた、グリッパの移動に抗する薄板の力を最小にするように。
【0010】
外部からアクセス可能な開口が相応に大きく構成されている場合には、複数の薄板が、開口に沿って設けられていて、横ウェブによって互いに網状に結合されていて格子構造体を形成している。このように構成されていると特に、比較的長く伸びた隣接した薄板において、これらの薄板が互いに逆向きに変位され得ることが回避され、これによって、保護すべき空間内に操作員の指が進入し得る空間が、薄板の間に再び発生することが、回避される。
【0011】
特にこのときまた、格子構造体の格子セルのサイズは、成人の指が通ることを阻止するように選択されている。また別の好適な態様では、格子構造体の格子セルは、弾性変形可能であり、つまり同様に、格子構造体の変形に基づいて、形状の間におけるグリッパの移動に抗して作用する力が最小になる。すなわち特に、互いに交差する格子棒の形式によって開口の硬化が生ぜしめられることを回避することが望ましい。
【0012】
さらに別の好適な態様では、少なくとも1つの薄板は、プレート状に形成されている。このように構成されていると、薄板は側面もしくは保持プレートまたはベースプレートとの比較的長い接触領域を有することができるので、薄板の機械的な安定性を高めることができる。このことはさらにまた、本発明に係るグリッパの運転確実性に対してもポジティブに作用する。それというのは、開口内への操作員のうっかりとした進入は、比較的大きな力を加えた場合に初めて可能になるからである。
【0013】
特に好適であると判明している態様では、少なくとも1つの薄板は多重に設けられていて、個々の薄板は、少なくとも部分的にずらされて配置されている。薄板をずらして配置することによって、隣接したプレートによって阻止されることなしに、薄板は相互に動くことができることが保証されている。これに関連して、プレート状の薄板が互いにオーバラップしていると好ましいことが判明している。このように構成されていると、薄板の間において残っている開口が最小になるということが、簡単に保証される。
【0014】
前記課題の、方法に該当する部分を解決するために、本発明に係るグリッパを製造する方法では、側面を、付加製造ステップにおいて、少なくとも1つの薄板と一体に製造する。この方法によって、側面と少なくとも1つの薄板との間における接点も、既に付加製造時に形成され、ひいては側面に少なくとも1つの薄板を後から取り付けるという必要が回避される。薄板をこのように後から取り付けることは、グリッパの弱点を生ぜしめることがあり、またはこのような弱点を回避するために、補強することが生じ得る。また、付加製造ステップの使用によって、少なくとも1つの薄板または格子構造体を、個々の格子セルの極めて複雑な任意の形態において構成することができ、このとき特に、薄板と横ウェブとの交差箇所としての格子点は、補強のために貢献するのではなく、逆にジョイントとして、格子セルの所望の弾性を促進する。
【0015】
次に、図面に示した実施形態を参照しながら本発明を詳説する:
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るグリッパの第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示した本発明に係るグリッパの正面図である。
図3】本発明に係るグリッパの第1実施形態を示す側面図である。
図4図2の矢印IVの方向から見た図である。
図5】本発明に係るグリッパの第2実施形態を示す斜視図である。
図6】第2実施形態の正面図である。
図7図6の断面VII−VIIに沿った断面図である。
【0017】
図面には、2つの側面2,3を有するグリッパ1が示されており、両方の側面2,3は、湾曲されて構成されていて、かつ一端でベースプレート4によって互いに結合されている。両側面2,3の間で両側面2,3の自由端部に対して間隔をおいて、保持プレート5が設けられており、この保持プレート5には、操作手段6が位置決めされていて、この操作手段6は、図示の実施形態では、圧力媒体作動式のシリンダによって形成されている。このシリンダからは、このシリンダからは、並進移動可能なシリンダロッド7が延びていて、ベースプレート4に固定されており、これによってシリンダロッド7の移動時にグリッパ1は変形され、側面2,3の、緊締ジョー8として機能する自由端部9により、ワークを把持することができる。
【0018】
側面2,3は、その間に空間を成しており、この空間内に操作手段6が配置されている。側面2,3によって形成されたこの空間は、前側および後側において開放されていて、つまり外部からアクセス可能な2つの開口10を有しているので、操作員がグリッパの使用時に操作手段6に手を伸ばす場合、または操作手段6と側面2,3との間において特に指が挟まれる場合には、操作員に危険がある。このような操作員の危険を排除するために、外部からアクセス可能な開口10は、開口10に沿って延びる少なくとも1つの薄板11によって分割されていて、開口10の、薄板11によって生じる部分面が、アクセス可能性を制限または阻止するようになっている。図面に示した実施形態では、アクセス可能性は効果的に阻止されている。なぜならば、その長手方向を横切るように凹部(Delle)12を有する薄板11は、幾つも設けられていて、これらの薄板11は、横ウェブ13によって互いに網状に結合されていて格子構造体を形成しているからであり、そしてこのとき格子構造体の格子セル14のサイズはまた、成人の指が通ることを阻止するように選択されている。
【0019】
既に1つの個別の薄板11が複数の凹部12を有していてもよく、この薄板11は、波形と呼ぶことができるので、格子構造体の格子セル14は弾性変形可能であり、その結果格子構造体の追加的な配置は、グリッパ1の移動およびグリッパ1の有用性を制限する力のいずれをも妨げない。
【0020】
図面に示したグリッパ1は、付加製造ステップにおいて、側面2,3および格子構造体と一体に製造されるので、側面2,3と薄板11もしくは横ウェブ13との接点15を、製造時に直接形成することができる。
【0021】
このとき、図示されていない実施形態において、空間が後続の製造ステップにおいて、外方に向かってベースプレート4によってアクセス不能に閉鎖される前に、操作手段6は保持プレート5に位置決めされることができる。
【0022】
図5には、本発明に係るグリッパ1の第2実施形態が示されている。この実施形態では薄板11はプレート状に形成されていて、側面2,3、ベースプレート4および保持プレート5に取り付けられている。このとき個々の薄板11は、互いにずらして配置されていて、大きな部分において互いにオーバラップしているので、開口10へのアクセス可能性は減じられている。
【0023】
図6からも分かるように、開口10へのアクセス可能性は、プレート状の薄板11の使用によって極めて制限されているので、本発明に係るグリッパ1の第2実施形態においても、薄板11の間に残っている面積は、人間の指が開口10内に差し込まれるのを阻止するのに適したサイズを有している。
【0024】
プレート状の薄板11の互いにずらされかつオーバラップする配置形態は、図6のVII−VII線に沿った断面図である図7からも特に良く分かる。
【0025】
図面に示したグリッパ1の実施形態においては、しかしながら、グリッパ1の使用中に操作員とは反対側に位置する開口10は覆われていない。これによって覆われた開口10内に、操作ユニットを、グリッパ1の残りの構成部材の付加製造後に初めて、挿入すること、もしくはねじ結合することもできる。
【符号の説明】
【0026】
1 グリッパ
2 側面
3 側面
4 ベースプレート
5 保持プレート
6 操作手段
7 シリンダロッド
8 緊締ジョー
9 自由端部
10 開口
11 薄板
12 凹部
13 横ウェブ
14 格子セル
15 接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】