【解決手段】あらゆるイボガインの混入が、全く除外されるではないにしても著しく減少するように、考えられるあらゆる混入からノルイボガインの分離をもたらすために、切断可能なリンカーを介してボアカンギン、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸又はそのカルボン酸塩を共有結合した固体担体を使用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ノルイボガインは、アルカロイドのイボガインファミリーのよく知られたメンバーであり、12−ヒドロキシイボガイン(12−hydroxyibogaine)と呼ばれることもある。米国特許第2,813,873号は、イボガインの間違った構造式を示しながらの「12−O−デメチルイボガイン」としてではあるが、ノルイボガインを請求項に記載している。ノルイボガインの構造は、今では十分に調べられており、トリプタミン(tyrptamine)、tetrahydrohavaineおよびインドールアゼピンの特徴を併せ持つことが知られている。ノルイボガインは、下記式により表わされることができる。
【化1】
【0003】
[0003]ノルイボガインおよびその薬学的に許容できる塩は、最近になって、薬物依存症の治療に有用な非中毒性のアルカロイドとして(米国特許第6,348,456号)、および、強力な鎮痛剤として(米国特許第7,220,737号)、大きな注目を浴びている。
【0004】
[0004]慣習的に、ノルイボガインは、西アフリカの低木であるTabernanth ibogaから単離される、自然発生のイボガイン:
【化2】
の脱メチル化により調製される。脱メチル化は、室温で三臭化ホウ素/塩化メチレンと反応させた後に従来型の精製をするような、従来技術によって達成されてよい。あるいは、ノルイボガインは、自然発生のアルカロイドであるボアカンギン:
【化3】
から、米国特許第2,813,873号に記載されるように、脱カルボキシル化に続き脱メチル化することにより調製することができる。そのような方法は、この2ステップ合成における第1中間物としてイボガインを与える。
【0005】
[0005]イボガインは、中毒性があり、幻覚誘発の特性を有する。それは、アメリカ食品医薬品局で規定されているように、スケジュール1規制物質である。したがって、ノルイボガインをイボガインから調製するための方法は、容認できないレベルのイボガインの混入を避ける、高度の保証が必要である。上記のように、脱メチル化によりイボガインからノルイボガインを調製するためのワンステップの方法は、イボガインが可能性のある混入物として常に取り除かれるという、必要不可欠な保証を与えない。これは、上述のボアカンギンから調製されるノルイボガインについても、この合成における最後から2番目の化合物がイボガインなので、同様にあてはまる。
【0006】
[0006]したがって、イボガインの混入の可能性が効果的かつ確実に最小限に抑えられるような、ボアカンギンからノルイボガインを調製するための方法を提供することが現に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]本発明は、ノルイボガインの調製のための方法および組成物を提供し、ここでイボガインによる混入は、全く除外されるのではないにしても予想通りかつ効果的に最小限に抑えられる。特定の実施態様では、本発明は、あらゆるイボガインの混入が、全く除外されるのではないにしても著しく減少するように、考えられるあらゆる混入からノルイボガインの分離をもたらすために、固体担体を使用する。特定の実施態様では、本発明は、あらゆるイボガインの混入が、全く除外されるのではないにしても著しく減少するように、考えられるあらゆる混入からノルイボガインの分離をもたらすために、イオン交換樹脂を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]したがって、その方法の一態様では、本発明は、ノルイボガインを調製するための方法であって、
a)ボアカンギンを、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩またはエステルに変換するステップ、ここでインドール窒素は、場合によりアミノ保護基により保護され;
b)場合により、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩、エステルおよび/またはアミノ保護誘導体を単離するステップ;
c)ステップa)またはb)の生成物を、ノルイボガインに変換するステップ;および
d)ノルイボガインを単離するステップを含む方法に向けられる。
【0009】
[0009]その方法の別態様では、本発明は、ノルイボガインを調製するための方法であって、
a)ボアカンギンを、12−メトキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩またはエステルに変換するステップ、ここでインドール窒素は、場合によりアミノ保護基により保護され;
b)場合により、12−メトキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩、エステルおよび/またはアミノ保護誘導体を単離するステップ;
c)ステップa)またはb)の生成物を、ノルイボガインに変換するステップ;および
d)ノルイボガインを単離するステップを含む方法に向けられる。
【0010】
[0010]その方法の別態様では、本発明は、ノルイボガインを調製するための方法であって、
a)ボアカンギンを12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩に変換するステップ、ここでインドール窒素は、場合によりアミノ保護基により保護され;
b)12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩および/またはアミノ保護誘導体をノルイボガインに変換するステップ;および
c)ノルイボガインを単離するステップを含む方法に向けられる。
【0011】
[0011]その方法の別態様では、本発明は、ノルイボガインを調製および精製するための方法であって、
a)ボアカンギンを12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルに変換するステップ、ここでインドール窒素は、場合によりアミノ保護基により保護され;
b)場合により、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたはそのアミノ保護誘導体が結合した固体担体の懸濁液を形成するために、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたはそのアミノ保護誘導体を固体担体に、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたはそのアミノ保護誘導体のヒドロキシル基を介して共有結合させるステップ;
c)前記懸濁液から、残存するボアカンギンを除去するステップ;
d)前記固体担体から、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたはそのアミノ保護誘導体を切断して回収するステップ;
e)12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたはそのアミノ保護誘導体を、ノルイボガインに変換するステップ;および
f)ノルイボガインを単離するステップを含む方法に向けられる。
【0012】
[0012]その方法の別態様では、本発明は、ノルイボガインを調製および精製するための方法であって、
a)ボアカンギンが結合した固体担体の懸濁液を形成するために、ボアカンギンを固体担体にボアカンギンのインドール窒素を介して共有結合させるステップ;
b)固体担体に結合したボアカンギンのレベルが0.1重量パーセント未満である条件下で、ボアカンギンを12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたは12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩に変換するステップ;
c)前記固体担体から、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたは12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩を切断して回収するステップ;
d)12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたは12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩を、ノルイボガインに変換するステップ;および
e)ノルイボガインを精製するステップを含む方法に向けられる。
【0013】
[0013]その方法の別態様では、本発明は、ノルイボガインを調製および精製するための方法であって、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩、またはノルイボガインまたはその対応する塩を単離および/または精製するために、イオン交換樹脂を利用するステップを含む方法に向けられる。
【0014】
[0014]その組成物の一態様では、本発明は、切断可能なリンカーを介して共有結合したボアカンギン、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステルまたは12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸またはそのカルボン酸塩を有する、固体担体に向けられる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0015]本発明は、ノルイボガインを含む方法および組成物、特に、高純度のノルイボガインを含む方法および組成物に向けられる。しかしながら、本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語がまず定義される。
【0016】
[0016]本発明は、記載された特定の実施態様に限定されず、したがって、もちろん、変更され得ることが理解されるべきである。また、本明細書中で用いられる専門用語は、特定の実施態様を説明する目的のみであり、限定する意図はなく、したがって、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されることが理解されるべきである。
【0017】
[0017]本明細書および添付の請求項において用いられるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数形の指示対象を含むことを留意しなければならない。したがって、例えば、「薬学的に許容できる賦形剤(a pharmaceutically acceptable excipient)」との言及は、複数のそのような賦形剤(excipients)を含む。
【0018】
[1.定義]
[0018]別段に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書において用いられる以下の用語は、以下の意味を有する。
【0019】
[0019]本明細書において用いられる用語「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが、他を除外しないことを意味することを意図する。「本質的に、〜からなる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために用いられる場合、記載された意義に関する組み合わせに対して、任意の本質的な意義の他の要素を排除することを意味するものとする。このように、本質的に本明細書中で定義される要素からなる組成物は、請求項に掲げられた発明の基本的かつ新規の特性(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさない他の材料またはステップを除外しない。「からなる(consisting of)」は、他の成分の微量要素だけでなく、実質的な方法のステップを除外することを意味するものとする。これらの推移する用語のそれぞれで定義される実施態様は、本発明の範囲内である。
【0020】
[0020]用語「約」は、温度、時間、量、および濃度など数字表示の前に用いられる場合、範囲を含み、(+)または(−)の10%、5%または1%で変化し得る近似値を示す。
【0021】
[0021]上述したように、本発明は、ノルイボガイン、および血液脳関門を通る輸送を促進するための賦形剤を含む組成物に向けられる。
【0022】
[0022]本明細書において用いられる用語「ノルイボガイン」は、化合物:
【化4】
およびその薬学的に許容できるその塩を指す。慣習的に、ノルイボガインは、西アフリカの低木であるTabernanth ibogaから単離される、自然発生のイボガイン:
【化5】
の脱メチル化により調製される。脱メチル化は、室温で三臭化ホウ素/塩化メチレンと反応させた後に従来型の精製をするような、従来技術によって達成されてよい。本明細書に記載されるように、ノルイボガインを、イボガインのいかなる可能性のある混入も本質的になく、ボアカンギン:
【化6】
から調製することができると考えられる。
【0023】
本発明は、任意の特定のノルイボガインの化学形態に限定されず、薬は遊離塩基として、または薬学的に許容できる付加塩としてのいずれかで、患者に与えられてよい。
【0024】
[0023]用語「12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸」は、式:
【化7】
で表わされる化合物を指す。
【0025】
[0024]用語「カルボン酸塩」は、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸のカルボン酸部分の塩を指す。例示的な塩は、限定されないが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を含む。
【0026】
[0025]用語「エステル」は、1〜12炭素原子を有する、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸のカルボン酸部分のエステルを指す。例示的なエステルは、限定されないが、メチルエステル、アリルエステル、ベンジルエステル、およびアリールエステル、およびそれらの適切な置換誘導体を含む。
【0027】
[0026]用語「固体担体」は、ノルイボガインまたはイボガインをその表面に切断可能なリンカーを介して共有結合させる反応性官能基を含む、または含むために誘導体化することができる、剛体または半剛体の表面を有する材料を指す。そのような材料は当技術分野でよく知られており、例として、シリカ、合成シリケート(synthetic silicates)、生物起源シリケート(biogenic silicates)、多孔質ガラス、ヒドロゲル、シリケート含有鉱物(silicate−containing minerals)、合成ポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、および、ポリスチレン/ポリエチレングリコールとポリアクリルアミド/ポリエチレングリコールの共重合体を含むそれらの共重合体などを含む。
【0028】
[0027]本明細書において用いられる用語「切断可能なリンキングアーム」は、化学基、または、一端で固体担体に共有結合してもう一端でイボガインまたはノルイボガインに共有結合する共有結合であるリンキングアームを指す。イボガインまたはノルイボガインを固体担体に結合させるリンキングアームの共有結合の少なくとも1つは、特異的な化学的または酵素的反応によって容易に切断することができ、その結果、固体担体のないイボガインまたはノルイボガインを与える。リンキングアームの共有結合を切断するために用いられる化学的または酵素的反応は、結合の切断に特異的であるように選択され、その結果、化合物の他のどこかで意図しない反応が生じるのを防止する。切断可能な結合基(linking group)は、イボガインまたはノルイボガインのいずれかの固体担体からの早期の切断を防ぐように、そして、担体上での合成中に行われるいずれの手順も妨げないように、固体担体上に形成されるイボガイン/ノルイボガインに応じて選択される。適切な切断可能なリンキングアームは、当技術分野でよく知られており、カーボネート基、カルバメート基、アミド基などのような基を含んでよい。好ましい実施態様では、切断可能なリンカーアームは、10原子以下を含む。さらに好ましくは、切断可能なリンカーは、1〜4炭素原子および酸素、窒素、硫黄、S(O)およびS(O)
2から選択される2〜4ヘテロ原子を含む。
【0029】
[0028]本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる塩」は、ノルイボガイン(noribogine)の薬学的に許容できる塩を指し、その塩は当技術分野でよく知られている様々な有機および無機の対イオンから生じ、単なる例示として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み;分子が塩基性官能基を含む場合は、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩(tartrate)、メシル酸塩(mesylate)、酢酸塩(acetate)、マレイン酸塩(maleate)、シュウ酸塩(oxalate)などのような有機酸塩または無機酸塩を含む。
【0030】
[0029]本明細書において用いられる用語「保護基」または「Pg」は、官能基に結合されると、結果として生じる保護官能基を、化合物の他の部分で行われる反応状態に対して不活性にし、そして、適切なときに、もともとの官能基を再生するために反応することができる、よく知られた官能基を指す。保護基の同一性は重要ではなく、その分子の残りの部分と適合するように選択される。一実施態様では、保護基は、本明細書に記載の反応中にイボガインまたはノルイボガインのアミノ官能基を保護する「アミノ保護基」である。従来のアミノ保護基の例は、例えばベンジル、アセチル、オキシアセチル、カルボキシベンジル(Cbz)などを含む。別の実施態様では、保護基は、ノルイボガインのヒドロキシル官能基を保護する「ヒドロキシ保護基」である。ヒドロキシル保護基の例は、例えば、トシル、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、アリル、トリチル、ジアルキルシリルの各エーテル類、例えばトリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、およびt−ブチルジメチルシリルエーテルなどのトリアルキルシリルエーテル類など;ベンゾイル、アセチル、フェニルアセチル、ホルミル、例えばクロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルなどのモノ−、ジ−、およびトリハロアセチルなどのエステル類;およびメチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、アリル、ベンジル、およびp−ニトロフェニル、メトキシメチルおよびトシルなどの各カーボネート類を含む。ヒドロキシ保護基のさらなる例は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis.,2dEd.,1991,John Wiley&Sonsや、McOmie Protective Groups in Organic Chemistry,1975,Plenum Pressなどの標準的な参考文献中に見られ得る。
【0031】
[ノルイボガインの調製および精製]
[0030]ボアカンギン(12−メトキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル)は、主にVoacanga africanaの木の根皮において、および、Tabernanthe iboga、Tabernaemontana africana、Trachelospermum jasminoidesおよびErvatamia yunnanensisのような他の植物において見られる、アルカロイドである。ボアカンギンは、イボガインの半合成のための前駆体として、これまで用いられてきた(米国特許第2,813,873号参照)。
【0032】
[0031]本出願は、イボガインを中間物として与えずにボアカンギンからノルイボガインを調製するための方法を検討する。そのような方法は、いくつかの理由で有用である。第1に、ノルイボガインの調製のための公知の方法は、最終ステップとしてイボガインを脱メチル化するステップを含む。これは純粋なノルイボガインを与えにくく、イボガインの混入は、スケジュール1規制物質であり重度の幻覚を引き起こすことが知られているため望ましくない。第2に、イボガインはTabernanthe ibogaの根から単離され、したがって、植物は単離をするために傷つけられなければならないので単に半再生可能資源なだけであり、一方で、ボアカンギンは皮から単離され、したがって再生可能である。
【0033】
[0032]本発明の化合物は、下記の一般的な方法および手順を用いて調製することができる。典型的な、または好ましい作業条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他の作業条件もまた、特に記載のない限り、用いることができることが理解されよう。最適反応条件は、用いられる特定の反応物質または溶媒により変化してよいが、そのような条件は、当業者によって、通例の最適化手順により決定されることができる。
【0034】
[0033]さらに、当業者にとって明らかなように、従来の保護基は、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために必要であり得る。様々な官能基のための適切な保護基、および、特定の官能基を保護および脱保護するための適切な条件は、当技術分野でよく知られている。例えば、多数の保護基が、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Fourth Edition,Wiley,N.Y.,2007、およびその引用文献に記載されている。
【0035】
[0034]さらに、本発明の化合物は、典型的に、1つまたは複数のキラル中心を含む。したがって、必要に応じて、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして、または立体異性体を多く含む混合物として、調製または単離することができる。全てのそのような立体異性体(および多く含む混合物)は、別段の指示がない限り本発明の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(または多く含む混合物)は、例えば、光学活性の出発物質または当技術分野でよく知られている立体選択的試薬を用いて調製されてよい。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離することができる。
【0036】
[0035]ノルイボガインは下記のスキームに示されるように、固体担体を利用してイボガインから調製および/または精製することができると考えられ、ここでPGはアミン保護基を表し、LGは脱離基(例えばハロゲンまたはアルコール)を表し、Lは切断可能な結合基(例えばカーボネートまたはカルバメートのようなカルボニル化合物)および影付きの円は固体担体を表す。下記のスキームでは、対応するフェノールを得るためのアリールメトキシ基のO−脱メチル化は、当技術分野で知られているいずれかの適切な方法を用いて達成することができる。適切な試薬は、HBrおよびHClのようなプロトン酸、ルイス酸(例えばBBr
3、BCl
3、BF
3、AlCl
3など)、求核試薬(例えばRS−、N
3−、LiPPh
2、SCN−)、低pH(例えばpH12)でのNaCN、およびL−Selectride、NaN(SiMe
3)
2、LiN(
iPr)
2、SnO
2、TMSI、還流DMF中のヨードシクロヘキサンなどを含む。一部の実施態様では、O−脱メチル化は、メチルエステルを対応するカルボン酸に変換させずに、および/または、固体担体への結合に影響を及ぼさずに、行われるべきである。適切な試薬は当業者によって容易に確認されることができ、例えば、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Fourth Edition,Wiley,N.Y.,2007(例えば、1006〜1008ページおよび1022〜1032ページの反応チャートを参照)、およびその引用文献に見ることができる。
【0037】
[0036]ノルイボガイン3は、ボアカンギン1から、スキーム1に示される経路のいずれかにより調製および精製することができる。
【化8】
【0038】
[0037]一実施態様では、ノルイボガイン3を調製するための方法であって、対応する12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル2またはその塩またはエステルを得るために、ボアカンギン1の12−メトキシ官能基を脱メチル化するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施態様では、インドール窒素は、場合により、tert−ブトキシカルボニルまたはpara−メトキシベンジルのようなアミノ保護基によって保護することができる。対応するフェノールを得るための、12−メトキシ官能基の脱メチル化は、限定されないが、HBrおよびHClのようなプロトン酸、ルイス酸(例えばBBr
3、BCl
3、BF
3、AlCl
3など)、求核試薬(例えばLiPPh
2、RS−、N
3−、SCN−)、低いpH(例えばpH12)でのNaCN、およびL−Selectride、NaN(SiMe
3)
2、LiN(
iPr)
2、SnO
2、TMSI、還流DMF中のヨードシクロヘキサンなどを含む、当技術分野で知られているいずれかの適切な方法を用いて達成することができる。後に続くメチルエステルの脱エステル化(典型的に塩基性条件下で)に続いて脱カルボキシル化が、ノルイボガインを与える。これらのステップは、同一のポット中で、または必要に応じて、精製を促進するために2つの独立したステップで、行うことができる。
【0039】
[0038]特定の脱メチル化条件下では、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル2のメチルエステルは加水分解される場合があり得て、その結果、カルボン酸(すなわち、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸4)を形成する。メチルエステル2が加水分解されて4が生成される場合は、当業者は、従来の条件下で4を再エステル化して対応するエステルを与えることができる。あるいは、メチルエステルが残る場合は、従来のエステル交換の手順を行って、特定のエステルに到達することができる。例示的なエステルは、限定されないが、メチルエステル、アリルエステル、ベンジルエステル、およびアリールエステル、およびそれらの適切な置換誘導体を含む。
【0040】
[0039]上述の方法では、ボアカンギン1の12−メトキシ官能基の脱メチル化は、脱カルボキシル化を伴わずに行われなければならない。したがって、特定の実施態様では、掃酸剤を用いてよい。そのような掃酸剤は、脱メチル化反応に干渉してはならない(例えば、ルイス酸を妨害してはならない)。脱メチル化反応で用いることができる例示的な掃酸剤は、限定されないが、ベンズイミダゾール、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、1,8−ビス(ヘキサメチルトリアミノホスファゼニル)ナフタレン、他のプロトン・スポンジなどを含む。
【0041】
[0040]脱カルボキシル化反応は、当技術分野で知られている標準的な反応条件下で適切な試薬を用いて促進することができる。例えば、脱カルボキシル化は、プロトン酸(例えば、HBr、HClなど)を用いて、ラジカル条件下で、トリブチルスズヒドリドまたはtert−ブチルメルカプタンなどを用いてBartonエステルを経由して、場合により適切なラジカル捕獲剤の存在下で、またはカルボン酸銀(I)塩を経由して臭素を用いるHunsdiecker反応のような他の方法で、行うことができる。他の適切な方法は、当業者に明らかである。
【0042】
[0041]一部の実施態様では、メチルエステルおよびボアカンギンの12−メトキシ官能基を同時に脱メチル化して12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸4をワンステップで得て、それから続けて、12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸を脱カルボキシル化してノルイボガインを得ることができる。
【0043】
[0042]一部の実施態様では、ボアカンギン(21)のリチウム塩は、1−プロパンチオールとともに0℃で、ヘキサン中でボアカンギン(1)をn−ブチルリチウムで処理することにより調製することができる(Kuehne,et al.J.Med.Chem.,2003,46,2716−2730を参照)。カルボン酸アニオンと21のリチウムは堅いイオン対を形成し、その結果、化合物21は単離および精製されることができる。ボアカンギン(21)のリチウム塩は、同様に、DCM中で例えばBCl
3またはBBr
3を用いて脱メチル化して化合物21aを得ることができ、それから、例えばHBrまたはHClを用いた酸触媒の脱カルボキシル化のような標準的な条件下で脱カルボキシル化を受けて、ノルイボガイン3の適切な塩を得ることができる。化合物21および21aはともに、それ自体、化合物として単離および精製することができる。ノルイボガインは、遊離塩基(fee base)またはその塩、例えばその塩酸塩または臭化水素酸塩として単離することができる。一実施態様では、ノルイボガインは、ノルイボガイン塩酸塩として単離される。別の実施態様では、ノルイボガインはノルイボガイン臭化水素酸塩として単離される。当業者であれば従来法を用いて容易にアニオンを交換することができる。
【0044】
[精製]
[0043]ノルイボガイン3および本明細書に記載された様々な中間物は、カラムクロマトグラフィー、結晶化、固体担体化学、イオン交換クロマトグラフィーなどのような当技術分野で知られている標準的な技術を用いて、さらに精製することができる。
ノルイボガイン3、および中間物2および4(スキーム1で調製されるような)は、スキーム2に示されるような固体担体化学を用いて精製することができる。
【化9】
【0045】
[0044]一実施態様では、ボアカンギン1のインドールアミンは、アミン保護基(PG−LG)を用いて保護されて化合物12を得て、その後に、タンデムの脱メチル化/脱カルボキシル化に続くアミン保護基の除去、または連続の脱メチル化(中間物12および13)に続く脱エステル化と脱カルボキシル化およびアミン保護基の除去のいずれかが続けられて、ノルイボガイン3を得ることができる。さらに、一実施態様では、ノルイボガイン3は、当技術分野で知られている方法を用いてボアカンギン1の脱メチル化/脱カルボキシル化から直接調製および精製して、それからノルイボガインを固体担体に付加して(化合物14)、あらゆる混入物質を洗浄して、結合基Lを切断して、そしてノルイボガイン5を回収することにより精製することができる。上記の合成では、上に示される1つまたは複数のノルイボガインまたは中間物は、当技術分野で知られている標準的な精製技術(例えばカラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、HPLCなど)を用いて精製することができる。式11の化合物は市販されており、または市販の出発物質(例えばSigma−Aldrich(登録商標)で市販の樹脂を参照。)から、1または2ステップで合成することができる。スキーム2の化合物では、結合基Lは、用いられる脱メチル化条件下(例えば、BBr
3)で切断されにくい、切断可能な結合を含む。
【0046】
[0045]一実施態様では、ノルイボガインは下記スキーム3に示される方法でN−保護ボアカンギン12からスタートして当技術分野で知られている固体担体化学を用いて調製および精製することができ、ここでPgは水素またはアミノ保護基であり、影付きの円は固体担体を表す。
【化10】
【0047】
[0046]特に、スキーム3では、N−保護ボアカンギン12は、当技術分野でよく知られている条件を用いて塩化メチレン中で三臭化ホウ素と接触させて、化合物15を得ることができる。N−保護ボアカンギン12の固体担体への付着は、従来の条件下で、クロロホルメート(chloroformate)/固体担体、化合物16を用いて達成して化合物17を得ることができ、ここでカーボネート基は切断可能な結合基としての例示を目的としてのみ示される。他の切断可能なリンカーも同様に、スキーム3に示された方法において用いることができる。化合物12は化合物3と反応する官能基を含まないので、化合物15のみが固体担体と反応して化合物17を与える。繰り返して化合物17を洗浄して、この反応に用いられたアミノ保護ノルイボガインのサンプルの混入から任意の未反応の化合物12を除去する。さらに、任意の時間に、固体担体のごく一部を取って、(固体担体の切断とN−脱保護/脱カルボキシル化の後に)ノルイボガイン3のサンプルを得ることができる。サンプルはそれからGC/LCMS、HPLC、NMRなどのような従来法によって、純度分析することができる。
【0048】
[0047]要望通りに、アミノ保護ノルイボガインのヒドロキシル基を介して化合物3を固体担体に結合し、任意の混入ボアカンギンを懸濁液から洗浄するプロセスを繰り返すことによって、非常に純粋なノルイボガイン3を得ることができる。このプロセスを必要な回数、好ましくは5回以下、繰り返すことにより、検出可能な量のイボガインを有さない(すなわち100ppt未満)、ノルイボガイン3を調製することができると考えられる。
【0049】
[0048]別の実施態様では、ノルイボガインは下記スキーム4に示される方法でボアカンギン1から調製および精製することができる。
【化11】
【0050】
[0049]スキーム4では、ボアカンギン1は、結果として生じる化合物18において単なる例示のためにカルバメート結合として示される切断可能なリンカーアームを介して、従来技術により、固体担体、化合物16に結合することができる。化合物18はそれから、当技術分野でよく知られている条件を用いて塩化メチレン中で三臭化ホウ素と接触させて、化合物19を与えることができる。化合物19における切断可能なリンカーの切断は、ノルイボガイン3を与える。
【0051】
[0050]一実施態様では、ノルイボガイン3は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む従来技術により精製することができ、結果として生じる精製化合物の純度はGC/LCMSにより確認することができる。さらに、ノルイボガインおよび中間物のいずれか(すなわち、化合物2または4のいずれか)は、イオン交換クロマトグラフィーを用いてさらに精製することができる。原理上、固定相は荷電官能基を有するイオン交換樹脂であり、保持する化合物の逆荷電基と相互作用する。そのような方法は、イオン化フェノールのようなイオン官能基を有する化合物を精製する分野においてごく普通に使用される。したがって、2、3、または4、またはそれらのアニオンを含む溶液は、適切なカチオン樹脂上にロードすることができる。それから、残りの未反応のイボガインの存在はいずれも、適切な溶媒(例えば、アセトン、酢酸エチルなど)を用いて溶出することができる。いったん溶離液がイボガインを含まないと決定されれば(例えばHPLC、LCMSなどによって)、精製された2、3、および4をレジンから溶出することができる。適切なカチオン樹脂は、商業的供給源(Aldrich(登録商標)、Fisher Scientific(登録商標)など)から購入することができる。
【0052】
[0051]下記の合成的および生物学的な実施例は、本発明を説明するために提案され、本発明の範囲を限定するようないかなる方法にも解釈されるべきでない。特に記載のない限り、全ての温度はセ氏温度である。
【実施例】
【0053】
[0052]下記実施例では、下記の略語は下記意味を有する。略語が定義されない場合は、それが一般に認められる意味を有する。
【0054】
(実施例1)ボアカンギンからのノルイボガインの合成
[0053]実施例1は、イボガインからのノルイボガインの合成および精製のための一方法を説明し、その方法は下記スキーム5に従う。
【化12】
【0055】
[0054]ボアカンギン1は、ジクロロメタン/エタンチオール溶液中に取り込まれて0〜−10℃(氷塩浴(ice salt bath))に冷却することができる。過剰(1〜3モル相当)の適切なルイス酸(三塩化ホウ素、三臭化ホウ素または三塩化アルミニウム)が少しずつ加えられる。結果として得られる混合物は、TLCによって十分に完了と決定されるまで、25〜50℃で2〜24時間撹拌される。それから反応混合物は、新しいジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO
3溶液で洗浄して、減圧下で乾燥および蒸発させることができ、それは対応する12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル2を得るものと考えられ、それから、ヘキサンと酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製してよく、または精製せずに次のステップで用いてよい。
【0056】
[0055]上記で得られるカリウム/メタノール溶液中の12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸メチルエステル2の溶液は、加熱して還流に約6時間保持することができ、その時に、溶媒を取り除くことができ、水を加え、結果として生じる水溶液をエーテルで洗浄して、約pH2に酸性化(conc HCl)して、蒸発乾固させる。それから、残渣をクロロホルム/メタノール混合物中に取り込み、塩化カリウムをフィルター除去して、ノルイボガイン1の塩酸塩を得ることができる。ノルイボガインの遊離塩基は、ノルイボガイン1の塩酸塩の水溶液を塩基性化して(例えば固体の重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどで)、塩基性水溶液をエーテルで抽出(少なくとも3回)することにより得ることができる。合わせたエーテルの画分を合わせて蒸発させて、ノルイボガイン1を得ることができる。
【0057】
(実施例2)固体担体を用いた、ボアカンギンからのノルイボガインの合成および精製
[0056]実施例2は、ボアカンギンからのノルイボガインの合成および精製のための一方法を説明し、その方法は下記スキーム6に従う。
【化13】
【0058】
[0057]特に、スキーム6では、ボアカンギンは、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中で、化学量論的に過剰のクロロギ酸ベンジル(BzCO
2Cl)と接触させる。反応混合物は、反応中に生産される酸を除去するために、少なくともボアカンギンに対して化学量論的に等量のジイソプロピルエチルアミンをさらに含む。反応は、例えば薄層クロマトグラフィーによって証明されるように反応が実質的に完了するまで、不活性雰囲気下で室温に維持される。その時に、O−脱メチル化試薬(例えば三臭化ホウ素または三塩化アルミニウム)、および好ましくは、化学量論的に過剰のO−脱メチル化試薬が反応混合物に添加され、それから、適切な条件下(例えば0℃〜室温)に維持され、その条件ではボアカンギンのアリールメトキシ基は対応するヒドロキシル基に変換されている。これらの反応条件下では、メチルエステルが脱エステル化して対応する酸を与えると考えられる。
【0059】
[0058]上記で生産されるフェノールは、それから、固体担体の付着のために、相補的官能基として用いられる。特に、固体担体に結合した過剰のクロロホルメートは、切断可能なカーボネート結合が形成されるように、従来の条件下で使用される。固体担体に結合したクロロホルメートは、ヒドロキシを有するポリマー担体(例えばヒドロキシメチルポリスチレンまたはポリマー結合ベンジルアルコール、両方ともSigma−Aldrich(登録商標)から市販されている)および二塩化カルボニルから調製することができる。
【0060】
[0059]特定の一例では、CBZ保護12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸を含む1kgの固体担体を、カラム上にロードする。カラムを通る流速が1時間あたり0.5リットルに保たれるように、カラムのストッパーを部分的に開放する。塩化メチレンを継続的にカラムの上部に供給して、カラムの基部で回収する。新しい溶媒の溶出を、流出物がもはや未反応の出発物質のいずれも含まなくなるまで続ける。その時に、固体担体の一部を、メタノールおよび触媒量のパラジウム炭素とともに水素化容器(hydrogenation vessel)の中にロードする。水素化は高圧下でおよそ5時間続けられる。それから、反応を止めて、メタノールを回収し除去して12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸を得る。12−ヒドロキシイボガミン−18−カルボン酸の脱カルボキシル化は、還流メタノール中で金属(すなわちカリウム、銅など)を用いて達成することができる。結果として得られるノルイボガイン3のさらなる精製/分析は、要望通りにHPLCにより与えられることができる。
【0061】
(実施例3)リチウムまたはナトリウム塩を経由した、ボアカンギンからのノルイボガインの合成
[0060]実施例3は、ボアカンギンからのノルイボガインの合成のための一方法を説明し、その方法は下記スキーム6に従う。
【0062】
[0061]ボアカンギン1のノルイボガイン3への変換は、1957年もの早くに報告されている(Janot and Goutarel,米国特許第2,813,873号)。これは、いかなる中間物の分離も伴わずに、HOAc/HBr(48%、還流)を用いてボアカンギン(1)からノルイボガイン(3)にする1ステッププロセス、またはボアカンギン(1)をイボガインに変換する(KOMe)ステップで始まり、イボガインをノルイボガイン(3)に変換する(HBr、48%/HOAc/還流)ステップが続く2ステッププロセスの、いずれかで行われた。この合成は、再現可能であるが、本発明者らは、本明細書において、イボガインの仲介を含まない1から3のプロセスを提供する。
【化14】
【0063】
[ボアカンギンカルボン酸ナトリウムの、ノルイボガインへの変換]
[0062]ボアカンギン(1)を、DMF中でNaO
tBuのような塩基を用いてボアカンギン酸ナトリウム塩(20)に変換して、続いて脱メチル化(例えばBBr
3またはLiPPh
2)して、ノルイボガイン(3)を得ることができる。
【化15】
【0064】
[ボアカンギンカルボン酸リチウムの、ノルイボガインへの変換]
[0063]ボアカンギンのリチウム塩(21)は、0℃で1−プロパンチオールとともに、ヘキサン中でボアカンギン(1)をn−ブチルリチウムで処理することにより調製することができる(Kuehne,et al.J.Med.Chem.,2003,46,2716−2730を参照)。21のカルボン酸アニオンとリチウムは堅いイオン対を形成し、その結果、化合物21は単離および精製することができる。ボアカンギンのリチウム塩(21)は、同様に、DCM中で例えばBCl
3またはBBr
3を用いて脱メチル化して化合物21aを得ることができ、それから、例えばHBrまたはHClを用いた酸触媒の脱カルボキシル化のような標準的な条件下で脱カルボキシル化を受けて、ノルイボガイン3を得ることができる。化合物21および21aはともに、それ自体、化合物として単離および精製することができる。ノルイボガイン3は、遊離塩基またはその塩、例えばその塩酸塩または臭化水素酸塩として単離することができる。一実施態様では、ノルイボガインは、ノルイボガイン塩酸塩として単離される。別の実施態様では、ノルイボガインはノルイボガイン臭化水素酸塩として単離される。当業者であれば従来法を用いて容易にアニオンを交換することができる。
【化16】
【0065】
[イボガインを含まない、ノルイボガイン生産のために研究中の他の方法]
[0064]ボアカンギンカルボン酸塩(20または21)は、脱メチル化および脱保護してノルイボガイン3を得ることのできる、他のカルボキシル基保護の誘導体に変換することができる。
【0066】
[0065]例えば、保護誘導体は、ベンジル保護のボアカンギンカルボキシレート(22)(接触水素化を用いて脱保護することができる)を含み、アリル保護のボアカンギンカルボキシレート(23)(Pd(IV)で脱保護、環脱メチル化(A−ring demethylation)することができる)を中間物として使用することができる。
【化17】