【解決手段】スプリングアセンブリ1は、最短状態から最長状態までの使用範囲において伸縮する際、座屈により径方向のうねり部Wが発生する圧縮コイルばね2と、圧縮コイルばね2を径方向からガイドするガイド部材3と、を備える。スプリングアセンブリ1に組み込む前の圧縮コイルばね2の状態である自由長状態において、圧縮コイルばね2は、疎巻部20と、疎巻部20よりもピッチが小さい密巻部21と、を有する。密巻部21は、うねり部Wが発生する部分に設定される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のスプリングアセンブリの実施の形態について説明する。
【0011】
[スプリングアセンブリの構成]
まず、本実施形態のスプリングアセンブリの構成について説明する。本実施形態のスプリングアセンブリは、車両の跳ね上げ式のパワーバックドアに用いられる。
図1(a)に、本実施形態のスプリングアセンブリの軸方向断面図を示す。
図1(b)に、同スプリングアセンブリの軸方向断面図を示す。なお、
図1(a)に示す圧縮コイルばねは、最長状態である。また、
図1(b)に示す圧縮コイルばねは、最短状態である。また、
図1(b)に点線で示すのは、
図1(a)に示す最長状態の外筒30である。
図1(a)、
図1(b)に示すように、本実施形態のスプリングアセンブリ1は、圧縮コイルばね2と、筒部材3と、を備えている。
【0012】
(筒部材3)
筒部材3は、外筒30と、内筒31と、収容筒32と、ナット33と、シャフト34と、モータ35と、を備えている。外筒30は、下向きに開口する有底円筒状を呈している。外筒30の上底壁の下面には、ばね座300が配置されている。外筒30の上端は、車両のバックドア(図略)に揺動可能に取り付けられている。
【0013】
内筒31は、外筒30の下側に配置されている。内筒31は、上向きに開口する有底円筒状を呈している。内筒31の底壁の上面には、ばね座310が配置されている。内筒31は、外筒30よりも小径である。内筒31は、外筒30の径方向内側を、相対的に上下方向(筒部材3の軸であるガイド軸βの軸方向)に移動可能である。内筒31の下端は、車両のドア開口部(図略)に揺動可能に取り付けられている。
【0014】
収容筒32は、外筒30の径方向内側に配置されている。収容筒32は、外筒30の上底壁の下面から、下向きに突設されている。ナット33は、収容筒32の下端開口に取り付けられている。
【0015】
シャフト34は、内筒31の径方向内側に配置されている。シャフト34は、内筒31の底壁を上下方向に貫通している。シャフト34は、ナット33および収容筒32に挿通可能である。シャフト34とナット33とは互いに螺合している。
【0016】
モータ35は、内筒31の底壁の下側(外側)に配置されている。モータ35の回転軸(図略)は、シャフト34の下端に連結されている。モータ35の回転軸が回転すると、シャフト34も自身の軸周りに回転する。このため、ナット33、すなわち外筒30が上下方向に移動する。このように、内筒31に対して外筒30が上下方向に移動することにより、筒部材3は上下方向に伸縮可能である。
【0017】
(圧縮コイルばね2)
圧縮コイルばね2は、内筒31のばね座310と、外筒30のばね座300と、の間に介装されている。バックドア開閉時(スプリングアセンブリ1使用時)における圧縮コイルばね2の使用範囲は、
図1(a)に示す最長状態と、
図1(b)に示す最短状態と、の間である。
【0018】
図2(a)に、本実施形態のスプリングアセンブリに組み込まれる圧縮コイルばねの自由長状態の外観図を示す。
図2(b)に、同圧縮コイルばねの最長状態の外観図を示す。なお、自由長状態とは、スプリングアセンブリ1に組み込む前の圧縮コイルばね2の状態をいう。
図2(a)に示す自由長状態の圧縮コイルばね2に対して、
図2(b)に示す最長状態の圧縮コイルばね2は、バックドアの自重の分だけ、上下方向に圧縮されている。すなわち、圧縮コイルばね2の圧縮に伴う弾性力と、バックドアの自重モーメントと、は釣り合っている。圧縮コイルばね2は、バックドア開閉時の操作荷重の一部を負担している。
【0019】
図2(a)、
図2(b)に示すように、圧縮コイルばね2は、三つの疎巻部20と、二つの密巻部21と、二つの座巻部22と、を備えている。具体的には、圧縮コイルばね2には、上側から下側に向かって、座巻部22、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、座巻部22が並んでいる。
図2(a)に示すように、自由長状態において、密巻部21のピッチP2は、疎巻部20のピッチP1よりも、小さい。二つの座巻部22は、圧縮コイルばね2の軸方向(圧縮コイルばね2の軸であるコイル軸αの軸方向)両端に配置されている。上側の座巻部22は、
図1(a)、
図1(b)に示す外筒30のばね座300に環装されている。下側の座巻部22は、
図1(a)、
図1(b)に示す内筒31のばね座310に環装されている。
図2(b)に示すように、二つの密巻部21は、最長状態における圧縮コイルばね2の内筒31に収容される部分だけに、設定されている。
【0020】
ここで、
図2(b)に示す最長状態における圧縮コイルばね2の軸方向長さをL、後述するうねり部Wの数をB、nを自然数として、圧縮コイルばね2の下端(軸方向一端)を始点とする場合の密巻部21の位置Aは、以下の式(1)から算出される。
A=n×(L/B) ・・・式(1)
ただし、n=Bの場合はA=Lとなる。この場合、圧縮コイルばね2の上端(軸方向他端)に密巻部21を設定することになる。したがって、n<Bの場合に限定する。また、内筒31、外筒30のうち、うねり部Wが当接するのは、より小径の内筒31である。このため、密巻部21は、最長状態における圧縮コイルばね2の内筒31に収容される部分だけに設定される。なお、うねり部Wの数Bは、後述する
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、等ピッチの圧縮コイルばね9における測定結果を基に設定される。なお、圧縮コイルばね9と圧縮コイルばね2とは、ピッチ以外は同一である。
【0021】
一例として、圧縮コイルばね2の軸方向長さLが100cm、うねり部Wの数Bが5個、内筒31の軸方向長さが50cmの場合、密巻部21の位置Aは、圧縮コイルばね2の下端から、20cmの位置、および40cmの位置になる。
【0022】
[等ピッチの圧縮コイルばねを備えるスプリングアセンブリの動き]
次に、等ピッチの圧縮コイルばねをスプリングアセンブリ1に組み込んだ場合の、スプリングアセンブリの動きについて説明する。
図3(a)に自由長状態の等ピッチの圧縮コイルばねの外観図を示す。
図3(b)に最長状態の等ピッチの圧縮コイルばねの外観図を示す。
図3(a)、
図3(b)に示すように、圧縮コイルばね9は、二つの座巻部92を備えている。二つの座巻部92は、圧縮コイルばね9の軸方向(圧縮コイルばね9の軸であるコイル軸γの軸方向)両端に配置されている。上側の座巻部92は、
図1(a)、
図1(b)に示す外筒30のばね座300に環装されている。下側の座巻部92は、
図1(a)、
図1(b)に示す内筒31のばね座310に環装されている。
図3(a)に示す自由長状態における圧縮コイルばね9のピッチP3と、
図2(a)に示す自由長状態における疎巻部20のピッチP1と、同自由長状態における密巻部21のピッチP2と、の間には、P2<P3<P1の関係が成立している。
【0023】
図4(a)に、等ピッチの圧縮コイルばねを備えるスプリングアセンブリの圧縮状態(第一段階)における軸方向断面図を示す。
図4(b)に、同スプリングアセンブリの圧縮状態(第二段階)における軸方向断面図を示す。
図4(c)に、同スプリングアセンブリの圧縮状態(第三段階)における軸方向断面図を示す。なお、
図4(a)〜
図4(c)に点線で示すのは、圧縮コイルばね9が最長状態の場合の外筒30(
図1(a)参照)である。圧縮コイルばね9が最長状態の場合、ガイド軸βとコイル軸γとは一致している。
【0024】
図4(a)に示すように、モータ35の駆動力がシャフト34を介してナット33に伝達されると、外筒30は下降する。このため、圧縮コイルばね9は、上下方向から圧縮される。圧縮荷重がある大きさに到達すると、圧縮コイルばね9のコイル軸γは、突然、波形や螺旋状などに湾曲する。すなわち、圧縮コイルばね9は座屈する。圧縮コイルばね9が座屈すると、ガイド軸βに対して、コイル軸γが径方向に変位した部分、つまりうねり部Wが発生する。うねり部Wは、内筒31の内周面に当接する。すなわち、うねり部Wと内筒31の内周面との間には、当接部Sが発生する。当接の際、打音が発生する。
【0025】
図4(b)に示すように、圧縮コイルばね9の圧縮が進行すると、徐々に当接部Sの面積が大きくなる。また、当接部Sの位置が、軸方向や螺旋方向(圧縮コイルばね9の線材の延在方向)にシフトする。また、圧縮コイルばね9に、歪みエネルギが徐々に蓄積される。
【0026】
図4(c)に示すように、歪みエネルギがある大きさに到達すると、圧縮コイルばね9は、当接部Sから一気に解放され、再び座屈する。再度の座屈により、うねり部Wの数は増加する。また、うねり部Wの位置は、軸方向や螺旋方向(圧縮コイルばね9を形成する線材の延在方向)にシフトする。そして、うねり部Wは、再び内筒31の内周面に当接する。すなわち、うねり部Wと内筒31の内周面との間には、新たに複数の当接部Sが発生する。当接の際、打音が発生する。
【0027】
このように、等ピッチの圧縮コイルばね9をスプリングアセンブリ1に組み込んだ場合、圧縮コイルばね9の圧縮に伴って、うねり部W(当接部S)が発生し、うねり部W(当接部S)が増加し、うねり部W(当接部S)の位置がシフトする。なお、圧縮コイルばね9が伸張する場合(
図4(c)から
図4(a)に向かう場合)も、うねり部W(当接部S)の位置がシフトするため、やはり打音が発生する。なお、式(1)における、うねり部Wの数Bは、上述の圧縮コイルばね9における測定結果を基に設定される。
【0028】
[本実施形態のスプリングアセンブリの動き]
次に、本実施形態のスプリングアセンブリの動きについて説明する。
図5(a)に、本実施形態のスプリングアセンブリの圧縮状態(第一段階)における軸方向断面図を示す。
図5(b)に、同スプリングアセンブリの圧縮状態(第二段階)における軸方向断面図を示す。
図5(c)に、同スプリングアセンブリの圧縮状態(第三段階)における軸方向断面図を示す。なお、
図5(a)〜
図5(c)に点線で示すのは、圧縮コイルばね2が最長状態の場合の外筒30(
図1(a)参照)である。圧縮コイルばね2が最長状態の場合、ガイド軸βとコイル軸αとは一致している。
【0029】
図5(a)に示すように、モータ35の駆動力がシャフト34を介してナット33に伝達されると、外筒30は下降する。このため、圧縮コイルばね2は、上下方向から圧縮される。
図5(a)に示すように、圧縮荷重がある大きさに到達すると、圧縮コイルばね2は座屈しようとする。しかしながら、
図2(a)、
図2(b)に示すように、圧縮コイルばね2において、うねり部Wが発生しやすい位置(
図4(a)参照)には、式(1)により、予め密巻部21が設定されている。密巻部21は、疎巻部20よりも、径方向(ガイド軸βに対して直交する方向)の剛性が高い。このため、
図5(a)に示すように、うねり部Wの発生を防止することができる。したがって、打音の発生を防止することができる。
【0030】
図5(b)に示すように、圧縮コイルばね9の圧縮が進行すると、徐々にうねり部Wが発生する。しかしながら、
図2(a)、
図2(b)に示す密巻部21は、剛性が高い。このため、発生したうねり部Wは、内筒31の内周面に当接しない。このため、打音の発生を防止することができる。
【0031】
図5(c)に示すように、さらに圧縮コイルばね9の圧縮が進行すると、ようやくうねり部Wが内筒31の内周面に当接する。すなわち、うねり部Wと内筒31の内周面との間には、当接部Sが発生する。しかしながら、
図2(a)、
図2(b)に示す密巻部21は、剛性が高い。このため、うねり部Wが内筒31の内周面に当接する際の衝突エネルギは小さい。したがって、発生する打音も小さくなる。
【0032】
[作用効果]
次に、本実施形態のスプリングアセンブリの作用効果について説明する。密巻部21は、疎巻部20よりも、径方向(ガイド軸βに対して直交する方向)の剛性が高い。この点、本実施形態のスプリングアセンブリ1によると、
図2(a)、
図2(b)に示すように、うねり部Wが発生する部分に、密巻部21が設定されている。このため、うねり部Wの発生自体を抑制することができる。また、うねり部Wが発生する場合であっても、うねり部Wの径方向変位量を小さくすることができる。したがって、うねり部Wが筒部材3に当接しにくくなる。よって、うねり部Wと筒部材3との間に打音が発生しにくくなる。また、打音が小さくなる。
【0033】
また、
図2(a)に示すように、自由長状態において、密巻部21を形成する線材同士は、所定のピッチP2だけ離間している。このため、密巻部21、特に密巻部21において隣り合う線材間の界面に、塗装などの表面処理を施しやすい。
【0034】
また、
図2(b)に示すように、密巻部21の位置Aは、式(1)から算出される。このため、簡単に、密巻部21を、うねり部Wが発生する部分に設定することができる。また、密巻部21は、最長状態における圧縮コイルばね2の内筒31に収容される部分だけに設定されている。すなわち、内筒31は、外筒30よりも内径が小さい。このため、うねり部Wは、内筒31の内周面に当接しやすい。この点、本実施形態のスプリングアセンブリ1によると、うねり部Wが当接しやすい内筒31に、重点的に密巻部21を設定することができる。
【0035】
また、前出の特許文献1の圧縮コイルばねの場合、自由長状態において、密着巻部を形成する線材同士が互いに密着している。このため、使用時に、密着巻部は伸縮できない。すなわち、密着巻部は、ばねとしての機能を有していない。この点、本実施形態のスプリングアセンブリ1の圧縮コイルばね2の場合、
図2(b)に示すように、最長状態において、密巻部21を形成する線材同士は、離間している。このため、
図1(a)、
図1(b)に示す使用範囲において、密巻部21は伸縮可能である。したがって、圧縮コイルばね2のストロークを大きくすることができる。
【0036】
[その他]
以上、本発明のスプリングアセンブリの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0037】
図6(a)に、その他の実施形態(その1)のスプリングアセンブリの軸方向断面図を示す。
図6(b)に、その他の実施形態(その2)のスプリングアセンブリの軸方向断面図を示す。なお、
図1(a)と対応する部位については、同じ符号で示す。また、
図6(a)、
図6(b)に示す圧縮コイルばねは、いずれも最長状態である。
【0038】
図6(a)に示すように、スプリングアセンブリ1の筒部材4は、筒本体40と移動壁41とを備えている。筒本体40は、上向きに開口する有底円筒状を呈している。筒本体40の底壁の上面には、ばね座400が配置されている。移動壁41は、筒本体40に収容されている。移動壁41は、底壁の上側に配置されている。移動壁41の下面には、ばね座410が配置されている。圧縮コイルばね2は、ばね座400とばね座410との間に介装されている。移動壁41に下向きに荷重が加わると、圧縮コイルばね2が圧縮される。
図6(a)に示すように、内径が一定の筒部材4を配置してもよい。また、モータなどのアクチュエータを用いないで、手動で圧縮コイルばね2を圧縮させてもよい。
【0039】
図6(b)に示すように、スプリングアセンブリ1のガイド部材5は、固定壁50と移動壁51とシャフト52とストッパ53とを備えている。固定壁50の上面には、ばね座500が配置されている。移動壁51は、固定壁50の上側に配置されている。移動壁51の下面には、ばね座510が配置されている。移動壁51には、シャフト挿通孔511が穿設されている。シャフト52は、固定壁50の上面から、上向きに突設されている。シャフト52は、シャフト挿通孔511を貫通している。ストッパ53は、シャフト52の上端付近に固定されている。圧縮コイルばね2は、ばね座500とばね座510との間に介装されている。移動壁51に下向きに荷重が加わると、圧縮コイルばね2が圧縮される。
図6(b)に示すように、ガイド部材5が、圧縮コイルばね2を径方向内側からガイドしてもよい。この場合、圧縮コイルばね2のうねり部は、径方向内側のシャフト52に当接しやすい。
【0040】
図7(a)に、
図6(a)、
図6(b)のスプリングアセンブリに組み込まれる圧縮コイルばねの自由長状態の外観図を示す。
図7(b)に、同圧縮コイルばねの最長状態の外観図を示す。なお、
図2(a)、
図2(b)と対応する部位については同じ符号で示す。
【0041】
図7(a)、
図7(b)に示すように、圧縮コイルばね2は、五つの疎巻部20と、四つの密巻部21と、二つの座巻部22と、を備えている。具体的には、圧縮コイルばね2には、上側から下側に向かって、座巻部22、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、密巻部21、疎巻部20、座巻部22が並んでいる。四つの密巻部21は、
図7(b)に示す最長状態において、
図6(a)に示す筒本体40に収容される部分、および
図6(b)に示すシャフト52と径方向に対応する部分に、設定されている。すなわち、四つの密巻部21は、圧縮コイルばね2の軸方向全長に分散して配置されている。
【0042】
圧縮コイルばね2の下端(軸方向一端)を始点とする場合の密巻部21の位置Aは、前出の式(1)から算出される。一例として、圧縮コイルばね2の軸方向長さLが100cm、うねり部Wの数Bが5個の場合、密巻部21の位置Aは、圧縮コイルばね2の下端から、20cmの位置、40cmの位置、60cmの位置、80cmの位置になる。
【0043】
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)に示すように、筒部材4、ガイド部材5の軸方向全長に亘ってうねり部が当接しやすい場合は、圧縮コイルばね2の軸方向全長に分散して、密巻部21を配置してもよい。
【0044】
特に、圧縮コイルばね2が長尺状である場合、密巻部21による剛性向上効果が大きくなる。ここで、「長尺状」とは、例えば、圧縮コイルばね2の(軸方向長さ/コイル中心径)が4以上であることをいう。
【0045】
スプリングアセンブリ1の配置方向(コイル軸α、ガイド軸βの延在方向)は特に限定しない。垂直方向、水平方向などであってもよい。また、
図1(a)、
図1(b)に示す使用範囲において、スプリングアセンブリ1の配置方向は変化してもよい。
【0046】
また、
図1(a)に示す最長状態や
図1(b)に示す最短状態において、圧縮コイルばね2の密巻部21を形成する線材同士が互いに密着していてもよい。この場合であっても、
図2(a)に示す自由長状態において密巻部21を形成する線材同士が所定のピッチP2だけ離間していれば、密巻部21において隣り合う線材間の界面に、塗装などの表面処理を施すことができる。
【0047】
上記実施形態においては、密巻部21の位置Aを前出の式(1)から算出した。しかしながら、密巻部21の位置Aの設定方法は特に限定しない。例えば、密巻部21の位置Aは、以下の方法により設定することができる。まず、
図3(a)、
図3(b)に示すように、上記実施形態の圧縮コイルばね2に対して、ピッチ以外は同一の密巻部設定用の圧縮コイルばね9(以下、「設定用ばね9」と称す)を用意する。なお、設定用ばね9のピッチP3は等ピッチである。
【0048】
次に、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、設定用ばね9を、実際にスプリングアセンブリ1に組み込む。続いて、使用範囲において設定用ばね9を伸縮させる。うねり部Wは、筒部材3に当接しやすい。このため、設定用ばね9と筒部材3との当接状況から、うねり部Wを検出することができる。
【0049】
例えば、内周面に塗料が塗られた筒部材3の径方向内側で、設定用ばね9を伸縮させ、当該塗料が設定用ばね9に付着した位置から、うねり部Wを検出することができる。また、筒部材3の径方向内側で、塗料が塗られた設定用ばね9を伸縮させ、当該塗料が設定用ばね9から剥離した位置から、うねり部Wを検出することができる。また、筒部材3の径方向内側で、設定用ばね9を伸縮させ、筒部材3や設定用ばね9が摩耗した位置から、うねり部Wを検出することができる。
【0050】
同様に、外周面に塗料が塗られたシャフト52(
図6(b)参照)の径方向外側で、設定用ばね9を伸縮させ、当該塗料が設定用ばね9に付着した位置から、うねり部Wを検出することができる。また、シャフト52の径方向外側で、塗料が塗られた設定用ばね9を伸縮させ、当該塗料が設定用ばね9から剥離した位置から、うねり部Wを検出することができる。また、シャフト52の径方向外側で、設定用ばね9を伸縮させ、シャフト52や設定用ばね9が摩耗した位置から、うねり部Wを検出することができる。このようにして検出されたうねり部Wの位置を、密巻部21の位置Aに設定することができる。また、FEM(Finite Element Method)解析などのシミュレーション解析を用いて、密巻部21の位置Aを設定してもよい。
【0051】
図2(a)、
図7(a)に示す密巻部21のピッチP2は、一定でなくてもよい。例えば、圧縮コイルばね2に複数の密巻部21が設定される場合、最もうねり部Wが発生しやすい部分や、最もうねり部Wが大きくなりやすい部分に設定される密巻部21のピッチP2を、他の密巻部21のピッチP2よりも、小さくしてもよい。
【0052】
図1(a)、
図1(b)に示すように、筒部材3が複数の筒(外筒30、内筒31)を備えている場合は、内径が最小の筒(最もうねり部Wが当接しやすい筒)に収容される部分だけに、密巻部21を設定してもよい。
【0053】
同様に、
図6(b)に示すシャフト52が、例えば伸縮式のアンテナのように、複数の筒を備えている場合は、外径が最大の筒(最もうねり部Wが当接しやすい筒)を収容する部分だけに、密巻部21を設定してもよい。
【0054】
上記実施形態においては、
図4(a)に示す圧縮コイルばね9が
図1(a)に示す最長状態の場合、ガイド軸βとコイル軸γとは一致している。同様に、
図5(a)に示す圧縮コイルばね2が
図1(a)に示す最長状態の場合、ガイド軸βとコイル軸αとは一致している。しかしながら、最長状態において、ガイド軸βとコイル軸γとがずれていてもよい。同様に、最長状態において、ガイド軸βとコイル軸αとがずれていてもよい。すなわち、最長状態において、既にうねり部Wが発生していてもよい。