【実施例1】
【0015】
本発明の嗜好性飲料抽出用バッグを
図1または
図2に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグ1は、上部開口2を備え内部に被抽出物3を収納した抽出袋4と、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ取り付けられると共に飲用カップの上部開口周縁部に掛止される抽出袋支持シート5a,5bとを有し、抽出袋4は上部開口2を封止すると共に抽出袋支持シート5a,5bを両側方向にそれぞれ引っ張ることにより剥離可能なトップシール部6を有し、トップシール部6は上部6aより下部6bの方がシール強度が高く構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0016】
嗜好性飲料抽出用バッグ1は、焙煎粉砕したコーヒー豆(被抽出物)にお湯を注いでコーヒーを淹れるためのものであり、飲用カップの上部開口周縁部に掛止して使用するものである。ただし、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグ1は、被抽出物が焙煎粉砕したコーヒー豆であるドリップコーヒーパックに限定されるものではなく、被抽出物が紅茶や日本茶など他の飲用被抽出物であるものも本発明の範疇に包含される。
【0017】
抽出袋4は、
図1または
図2に示すように、正面視略三角形状(正面視ダイヤモンド形状)に形成されると共に上部開口2を備えており、内部に焙煎粉砕したコーヒー豆(被抽出物)3を収納するための被抽出物収納空間7を有している。
【0018】
抽出袋4の形成材料としては適度な通湯性に有するものであればよいが、不織布が好ましく、特に、ポリプロピレン繊維又はポリエステル繊維等の熱可塑性繊維を構成繊維としたエンボスタイプの不織布がより好ましい。エンボスタイプの不織布は、構成繊維相互間が部分的に圧縮されると共に圧縮部位で結合されており、圧縮部位で構成繊維相互間の空隙が小さくなると共に空隙率が低くなって、スポット的に湯を通しにくくなっているため、被抽出物を抽出する適度な通湯性を備えた抽出袋を形成することができる。
【0019】
また、抽出袋4は熱可塑性繊維を構成繊維とした不織布を用いることによって、
図1に示すように、抽出袋4の側縁部4c,4bをそれぞれ熱融着して貼着し、有底袋状体として形成されている。抽出袋4は、成形時には上部開口2が形成されるように開放した状態で成形され、この上部開口2を通して予め所定量の被抽出物3が充填され、その後、抽出袋4の正面4aおよび背面4bの上端辺部4eの内面同士が接着され封止(イージーシール:易剥離性シール)されている。
【0020】
具体的には、抽出袋4の正面4aおよび背面4bの上端辺部4eの内面同士には、両者を接着したトップシール部6が形成されている。
このトップシール部6は、抽出袋4は上部開口2を封止すると共に抽出袋支持シート5a,5bを両側方向にそれぞれ引っ張ることにより剥離可能に構成されている。トップシール部6は、
図1に示した上部6aより下部6bの方がシール強度が高く構成されており、これにより、抽出袋4の開封が、従来のイージーシールに比してより容易であると共に、トップシール部6が上部6aより滑らかに剥離するため、一気に剥離して被抽出物3が抽出袋4から飛び出してしまうことを防止できる。
【0021】
この実施例のトップシール部6は、上下方向に複数段(この実施例では2段)のシール部(上部6aと下部6b)を有しており、下方のシール部(下部6b)の方がシール強度が高く構成されている。具体的には、上部6aには多数の接着部gが点在して形成されており、上部6aは抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に2〜4Nで引っ張ることにより剥離可能に構成されている。他方、下部6bには線状の接着部hが形成されており、下部6bは抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に5〜7Nで引っ張ることにより剥離可能に構成されている。より具体的には、この実施例では上部6aは、抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に4N程度で引っ張ることにより剥離するように構成されており、下部6bは、抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に6N程度で引っ張ることにより剥離するように構成されている。
【0022】
なお、この実施例のトップシール部6は、上下方向に2段のシール部(上部6aより下部6b)を有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上下方向に複数段のシール部を有し、下方のシール部ほどシール強度が高く構成されたものを広く包含する。また、この実施例のトップシール部6は、段階的に下方のシール部ほどシール強度が高く構成されているが、段階的ではなく徐々に下方のシール部ほどシール強度が高く構成されたものも本発明の範疇に包含される。さらに、抽出袋4の正面4aおよび背面4bの両側付近の内面であって、トップシール部6の最下部にはそれぞれ、
図1(B)に示すように、難剥離性のポイントシール部8が形成されている。これらポイントシール部8はトップシール部6の開封に際してストッパーとして機能し、抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に引っ張ってもポイントシール部8は剥離せず抽出袋4の袋状態を保持すると共に、トップシール部6が一気に剥離して被抽出物が飛び出すことをより防止することができる。さらに、下方のシール部(最下方のシール部)6bは、
図1(A)に示すように、線状に形成され一端部はポイントシール部8に繋がっており、これにより、抽出袋支持シート5a,5bを両側方向に引っ張っても、下方のシール部(最下方のシール部)6bからポイントシール部8へ滑らかに移行するため、トップシール部6が一気に剥離して被抽出物が飛び出すことをより確実に防止することができる。
【0023】
トップシール部6の形成方法としては、抽出袋4の正面4aおよび背面4bの上端辺部4eの内面同士を面接触させ、上端辺部4eをスポット的または線状に超音波融着することにより接着する方法が用いられているが、熱融着法など他の接着方法により、抽出袋4の正面4aおよび背面4bの上端辺部4eの内面同士を接着させてもよい。
【0024】
抽出袋支持シート5a,5bは、飲用カップの上部開口周縁部に抽出袋4を掛止させて保持させるための部材であり、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ取り付けられている。
【0025】
この実施例の抽出袋支持シート5a,5bは、剛性のある紙材で形成されており、
図1(B)に示すように、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ接着固定された接着部9と、接着部9の中央下部で連続し、他の部位は打ち抜き成形により接着部9と分断して形成された引き起こし片10とを有している。引き起こし片10は、飲用カップの上部開口周縁部に掛止される部位であり、引用カップ内に挿入される第1掛止部11と、飲用カップの上部開口周縁部を跨いで飲用カップの外方に配される第2掛止部12が打ち抜き成形により形成されている。
【0026】
つぎに、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグ1の使用方法について説明する。
嗜好性飲料抽出用バッグ1を使用するには、まず、上部開口2が封止(イージーシール)された状態(
図2(A))から、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ取り付けられた抽出袋支持シート5a,5bの引き起こし片10の下部を把持して、
図2(B)に示すように、両側(正面側および背面側)に向かって2〜4N程度の軽い力で引っ張る。これにより、前述したトップシール部6の上部6aの接着部gが剥離して上部開口2が少し開く。さらに、両側(正面側および背面側)に向かって5〜7N程度の少し強い力で引っ張ると、前述したトップシール部6の下部6bの接着部hが剥離して、
図2(C)に示すように上部開口2が大きく開く。このように、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグ1は、上部6aより下部6bの方がシール強度が高く構成されているため、トップシール部6が上部6aより滑らかに剥離するため、一気に剥離して被抽出物3が抽出袋4から飛び出してしまうことが防止される。
【0027】
そして、上部開口2を十分に開口させた状態(
図2(C)の状態)で、第1掛止部11を引用カップ内に挿入させ、第2掛止部12を飲用カップの上部開口周縁部を跨いで飲用カップの外方に配して、嗜好性飲料抽出用バッグ1を飲用カップの周縁部に掛止させる。この状態で抽出袋4の上部開口2の上方よりお湯を注ぐと、抽出袋4により濾過されて飲用カップ内にコーヒーがドリップされる。
【0028】
さらに、
図9に示した本発明の嗜好性飲料抽出用バッグの他の実施例について説明する。
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグ20と前述した嗜好性飲料抽出用バッグ1との相違は、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の上部6aに設けられた接着部gは多数点在して設けられているのに対して、嗜好性飲料抽出用バッグ20のトップシール部6の上部6aに設けられた接着部kは線状に形成されている点であり他は同様である。嗜好性飲料抽出用バッグ1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグのトップシール部に設けられる接着部は点状のものでも線状のものでもよい。
【0029】
つぎに、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置を、
図3ないし
図8に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置(包装機)30は、上部開口2を備え内部に被抽出物3を収納した抽出袋4と、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ取り付けられると共に飲用カップの上部開口周縁部に掛止される抽出袋支持シート5a,5bとを有し、抽出袋4は上部開口2を封止すると共に抽出袋支持シート5a,5bを両側方向にそれぞれ引っ張ることにより剥離可能なトップシール部6を有し、トップシール部6は上部6aより下部6bの方がシール強度が高く構成されている嗜好性飲料抽出用バッグ1の製造装置であって、嗜好性飲料抽出用バッグ1の製造装置30は、トップシール部6を形成するためのシール装置40を有し、シール装置40は、嗜好性飲料抽出用バッグ1の抽出袋4を正面4aおよび背面4bから挟圧してシールするための挟圧体41,42を有し、挟圧体41,42はトップシール部6の上部6aより下部6bを強く挟圧するように構成されている。以下、各構成について順次説明するが、嗜好性飲料抽出用バッグ1については前述した通りであり説明を省略する。
【0030】
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30は、被抽出物3(焙煎粉砕したコーヒー豆)を抽出袋4内に充填して上端辺部4eを封止(トップシール部6を形成する)し、嗜好性飲料抽出用バッグ1を完成させる包装機である。
【0031】
具体的には、嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30は、
図1に示すように、グリップ対31a,31bに両端部をそれぞれ把持された抽出袋4が、
図3に示したそれぞれのステーション(第1ないし第9ステーション)を間欠移動する間に、被抽出物3(焙煎粉砕したコーヒー豆)が充填され上端辺部4eが封止(トップシール部6が形成)されて、嗜好性飲料抽出用バッグ1が量産される装置である。
【0032】
嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30は、包装袋Aの上部両端付近を把持するグリップ対31と、グリップ対31を複数の工程毎に間欠移動させるための移動体32とを有し、トップシール工程が行われる第6ステーションには、ストップシール部6を形成するためのシール装置40が設けられている。
【0033】
嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30は、垂直方向に延在する間欠回転軸(図示せず)を回転自由に支持するスタンド(図示せず)が機台33上に設けられ、その間欠回転軸の上部に取り付けられた移動体(円盤状回転体)32には、抽出袋4を掴着又は釈放するためのグリップ対31が間欠回転軸を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。グリップ対31は、抽出袋4の両端部を把持して、移動体32と共に包装工程毎に間欠回転移動する。なお、この実施例は移動体(円盤状回転体)32を間欠回転駆動させるロータリー方式の包装機であるが、本発明を公知の直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0034】
嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30にて行われる包装工程は、被抽出物3が充填されていない嗜好性飲料抽出用バッグ1(抽出袋4)を機内に供給する給袋工程(第1工程)、姿勢確認工程(第2工程)、開口工程(第3工程)、被抽出物充填工程(第4工程)、トップシール工程(第5工程)および製品排出工程(第6工程)である。
【0035】
具体的には、給袋工程(第1工程)は、第9ステーションにて行われ、給袋コンベア34によって順次搬送される抽出袋4を給袋装置35によって、間欠移動してくるグリップ対31a,31bに順次把持させることにより行われる。姿勢確認(第2工程)は、第1ステーションにて行われ、センサにより抽出袋4の姿勢を確認することにより行われる。開口工程(第3工程)は、第3ステーションにて行われ、グリップ対31a,31bに垂直姿勢で支持された抽出袋4の表裏面をそれぞれ吸盤にて吸着して上部開口2を開口させることにより行われる。被抽出部充填工程(第4工程)は、第4ステーションにて行われ、充填機36から抽出袋4内に被抽出物(焙煎粉砕したコーヒー豆)が充填されることにより行われる。トップシール工程(第5工程)は、第6ステーションにて行われ、シール装置40によりシール抽出袋4の上端辺部4eの内面にトップシール部6が形成されることにより行われる。製品排出工程(第6工程)は、第8ステーションにお行われ、被抽出物3が充填されシールされた嗜好性飲料抽出用バッグ1が機外の搬送コンベア37に排出されることにより行われる。そして、嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30では、これら一連の包装工程が移動体32の間欠回転によって間欠移動してくるグリップ対31a,31bに支持された抽出袋4に順次行われることにより嗜好性飲料抽出用バッグ1が量産されるように構成されている。なお、嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30における第2ステーション、第5ステーションおよび第7ステーションは空きステーションとなっており包装工程は行われない。
【0036】
トップシール工程(第5工程)が行われる第6ステーションに設置されたシール装置40は超音波融着装置であり、
図6に示すように、嗜好性飲料抽出用バッグ1の抽出袋4を正面4aおよび背面4bから挟圧してシールするための挟圧体(ホーン)41と挟圧体(アンビル)42を有し、挟圧体41,42はトップシール部6の上部6aより下部6bを強く挟圧するように構成されている。これにより、開封に際して、抽出袋4の開封が容易であると共に、トップシール部6が上部6aより滑らかに剥離するため、一剥離して被抽出物3が抽出袋4から飛び出してしまうことのない嗜好性飲料抽出用バッグ1を製造することができる。
【0037】
より具体的には、挟圧体(アンビル)42は、
図7に示すように、挟圧する抽出袋4側に向かって突出する突出部43,44を有し、突出部43,44は、
図8に示すように、トップシール部6の上部6aより下部6bに対する方(突出部44)が抽出袋4側に向かってより突出するように構成されている。これにより、下部6bに対する方(突出部44の方)が上部6aに対する方(突出部43の方)より強く抽出袋4を押圧するため、この状態で超音波融着を施すことで、トップシール部6の上部6aより下部6bに対する方が、シール強度を高く構成することができる。
【0038】
なお、
図6中、45は超音波振動子、46aは挟圧体(ホーン)41を水平方向に往復動させて抽出袋4を挟圧体(アンビル)42と共に挟圧するためのホーン側シリンダー、46bは挟圧体(アンビル)42を水平方向に往復動させて抽出袋4を挟圧体(ホーン)41と共に挟圧するためのアンビル側シリンダー、47は水平方向に延在するガイドレール48に沿って往復動可能に取り付けられ挟圧体(ホーン)41の水平方向における往復動を保持するためのスライドガイド、49は水平方向に延在するガイドレール48に沿って往復動可能に取り付けられ挟圧体(アンビル)42の水平方向における往復動を保持するためのスライドガイドであり、これらの作用により、シール装置40は、抽出袋4を挟圧した状態で超音波振動によりトップシール部6を形成できるように構成されている。また、この実施例のシール装置40は超音波融着装置であるが、本発明におけるシール装置はこれに限定されるものではなく熱融着装置などの他のシール装置であってもよい。さらに、この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置30は、1つのステーションに配された1つのシール装置40を有し、挟圧体(アンビル)42が上下方向に、水平方向への突出度が異なる複数の突出部43,44を有しているが、これに限定されるものではなく、嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置が、複数のステーションに複数のシール装置を有し、複数のシール装置のそれぞれの挟圧体が、水平方向への突出度が異なる突出部をそれぞれ有し、複数工程で、シール強度が異なるシール部を有するトップシール部を形成するものも本発明の範疇に包含される。
【0039】
つぎに、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法を、
図3ないし
図8に示した嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置に適用した一実施例を用いて説明する。
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法は、上部開口2を備え内部に被抽出物3を収納した抽出袋4と、抽出袋4の正面4aおよび背面4bにそれぞれ取り付けられると共に飲用カップの上部開口周縁部に掛止される抽出袋支持シート5a,5bとを有し、抽出袋4は上部開口2を封止すると共に抽出袋支持シート5a,5bを両側方向にそれぞれ引っ張ることにより剥離可能なトップシール部6を有し、トップシール部6は上部6aより下部6bの方がシール強度が高く構成されている嗜好性飲料抽出用バッグ1の製造方法であって、トップシール部6を形成するためのシール工程を有し、このシール工程は、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の上部6aを形成する工程と、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の下部6bを、トップシール部6の上部6aのシール強度より高くシールして形成する工程とを有している。以下、各工程について順次説明するが、嗜好性飲料抽出用バッグ1については前述した通りであり説明を省略する。
【0040】
この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法は、抽出袋4に被抽出物3(焙煎粉砕したコーヒー豆)を充填して上端辺部4eを封止(トップシール部6を形成する)し、嗜好性飲料抽出用バッグ1を完成させるものである。
【0041】
具体的には、この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法では、
図1に示すように、グリップ対31a,31bに両端部をそれぞれ把持された抽出袋4が、
図3に示したそれぞれのステーション(第1ないし第9ステーション)を間欠移動する間に、被抽出物3(焙煎粉砕したコーヒー豆)が充填され上端辺部4eが封止(トップシール部6が形成)されて、嗜好性飲料抽出用バッグ1が量産される。
【0042】
そして、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法の特徴的工程は、トップシール部6を形成するためのシール工程にあり、このシール工程は、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の上部6aを形成する工程と、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の下部6bを、トップシール部6の上部6aのシール強度より高くシールして形成する工程とを有している。
【0043】
嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の上部6aを形成する工程は、トップシール工程(第5工程)が行われる第6ステーションにおいて行われる。具体的には、超音波融着装置であるシール装置40が、
図6に示すように、嗜好性飲料抽出用バッグ1の抽出袋4を正面4aおよび背面4bから挟圧してシールするための挟圧体(ホーン)41と挟圧体(アンビル)42を有し、この挟圧体(アンビル)42が、
図7に示すように、トップシール部6の上部6aを形成する突出部43を有しており、この突出部43が、挟圧体(ホーン)41と共に抽出袋4を挟圧した状態で超音波融着が施されることにより、この工程が行われる。
【0044】
他方、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の下部6bを、トップシール部6の上部6aのシール強度より高くシールして形成する工程は、トップシール部6の上部6aを形成する突出部43より、下部6bを形成する突出部44の方が抽出袋4側に向かってより突出するように構成されていることにより、下部6bに対する方(突出部44の方)が上部6aに対する方(突出部43の方)より強く抽出袋4を押圧し、この状態で超音波融着を施すことで、トップシール部6の上部6aより下部6bに対する方が、シール強度が高いシール部が構成されることにより行われる。
【0045】
なお、この実施例の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法は、1つのステーションに配された1つのシール装置40を有し、挟圧体(アンビル)42が上下方向に、水平方向への突出度が異なる複数の突出部43,44を有するものにより行われているが、これに限定されるものではなく、嗜好性飲料抽出用バッグの製造装置が、複数のステーションに複数のシール装置を有し、複数のシール装置のそれぞれの挟圧体が、水平方向への突出度が異なる突出部をそれぞれ有し、複数の工程で、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の上部6aを形成する工程と、嗜好性飲料抽出用バッグ1のトップシール部6の下部6bを、トップシール部6の上部6aのシール強度より高くシールして形成する工程とを行うものも本発明の範疇に包含される。
【0046】
このように、本発明の嗜好性飲料抽出用バッグの製造方法では、シール工程が、嗜好性飲料抽出用バッグのトップシール部の上部を形成する工程と、嗜好性飲料抽出用バッグのトップシール部の下部を、トップシール部の上部のシール強度より高くシールして形成する工程とを有することで、開封に際して、抽出袋4の開封が容易であると共に、トップシール部6が上部6aより滑らかに剥離するため、一剥離して被抽出物3が抽出袋4から飛び出してしまうことのない嗜好性飲料抽出用バッグ1を製造することができる。