【解決手段】センサ取付具10Aは、位置センサ16を位置調整可能に収容保持するためのセンサ挿入溝40を有するレール状のセンサホルダ28と、両端部がセンサホルダ28に連結可能でありシリンダチューブ14の外周面15に周方向に沿って装着されるように構成されたバンド部30と、シリンダチューブ14の外周面15においてセンサホルダ28とは異なる周方向位置に配置され、バンド部30を締め付ける締付機構32とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のセンサ取付具では、センサに一体化された固定金具が取付バンドの両端部を架け止めているため、シリンダチューブに対する位置センサの取付位置を調整するためには、シリンダチューブに対して取付バンドをずらす必要がある。そのため、シリンダチューブに対するセンサの取付位置を調整する作業が煩雑であり、改善が望まれる。また、センサ取付具は、シリンダチューブの外周面からの出っ張りが小さく、コンパクトな構成であることが望ましい。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、シリンダチューブに対するセンサの取付位置の調整を容易に行うことができ且つコンパクトに構成できるセンサ取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、シリンダチューブの外周面にセンサを取り付けるためのセンサ取付具であって、前記センサを位置調整可能に収容保持するためのセンサ挿入溝を有するレール状のセンサホルダと、両端部が前記センサホルダに連結可能であり、前記シリンダチューブの外周面に周方向に沿って装着されるように構成されたバンド部と、前記シリンダチューブの外周面において前記センサホルダとは異なる周方向位置に配置され、前記バンド部を締め付ける締付機構と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
上記のように構成された本発明のセンサ取付具によれば、センサホルダがレール状に形成されるとともに締付機構がセンサホルダからずれた位置に設けられているため、シリンダチューブに対するセンサの取付位置の調整を容易に行うことができ且つコンパクトに構成できる。
【0009】
上記のセンサ取付具において、前記締付機構は、前記バンド部に設けられた雌ネジ部と、前記雌ネジ部に螺合する締付ネジと、前記雌ネジ部に対応する位置において前記バンド部の内側に設けられ前記シリンダチューブの外周面に当接し且つ前記締付ネジにより押圧される当て板とを有してもよい。
【0010】
上記の構成によれば、締付ネジを締めることでバンド部を容易に締め付けることができる。また、締付ネジはシリンダチューブの外周面に直接接触することがないため、締付ネジを締める際のシリンダチューブの外周面の変形を有効に防止することができる。
【0011】
上記のセンサ取付具において、前記バンド部には、前記雌ネジ部が形成されたナットが固着されていてもよい。
【0012】
この構成により、締付ネジが適切に螺合する雌ネジ部を容易に設けることができる。
【0013】
上記のセンサ取付具において、前記センサホルダは、ホルダ本体と、前記ホルダ本体の両側方から突出するとともにフックが設けられた連結腕部とを有し、前記バンド部の両端部には、前記フックが係合可能な係合孔が設けられ、前記締付機構は、前記バンド部の延在方向の略中央位置に設けられていてもよい。
【0014】
この構成により、センサホルダとバンド部との連結を容易に行うことができる。また、締付機構は、センサホルダとバンド部との係合箇所から離れた箇所にあるため、締付ネジを締めるときに連結腕部のフックが係合孔から抜けることを好適に防止することができる。
【0015】
上記のセンサ取付具において、前記センサホルダは、ホルダ本体と、前記ホルダ本体から側方に突出するとともに屈曲した腕部とを有し、前記締付機構は、前記腕部に設けられた雌ネジ部と、前記雌ネジ部に螺合する締付ネジと、前記バンド部の一端部に設けられ前記締付ネジにより押圧されるストッパとを有してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、締付ネジを締めることでバンド部に容易に張力を付与することができる。また、締付ネジはシリンダチューブの外周面に直接接触することがないため、締付ネジを締める際のシリンダチューブの外周面の変形を有効に防止することができる。
【0017】
上記のセンサ取付具において、前記バンド部の前記一端部には、前記バンド部の厚さ方向に貫通する開口部が設けられ、前記腕部は、前記開口部に挿通され、前記バンド部の外側で前記ストッパと対向していてもよい。
【0018】
この構成により、バンド部に好適に張力を付与することができる。
【0019】
上記のセンサ取付具において、前記腕部には、前記雌ネジ部が形成されたナットが固着されていてもよい。
【0020】
この構成により、締付ネジが適切に螺合する雌ネジ部を容易に設けることができる。
【0021】
上記のセンサ取付具において、前記センサホルダは、ホルダ本体と、前記ホルダ本体の両側方から突出するとともにフックが設けられた連結腕部とを有し、前記バンド部の両端部には、前記フックが係合可能な係合孔を有するバンド端部が設けられ、前記センサが前記ホルダ本体に装着された状態では、前記バンド端部は前記センサとの干渉によって前記フックから外れることが阻止されてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、センサをセンサホルダから取り外さない限り、バンド端部がセンサホルダのフックから外れることがない。これにより、締付機構が緩むことがあっても、バンド部が外れてセンサが脱落することを防止することができる。
【0023】
上記のセンサ取付具において、前記締付機構は、前記バンド部に設けられた雌ネジ部と、前記雌ネジ部に螺合し、前記センサ取付具が前記シリンダチューブに取り付けられた状態で前記シリンダチューブの外周面に当接する締付ネジとを有し、前記バンド部は、前記センサ取付具が前記シリンダチューブに取り付けられた状態における前記シリンダチューブを基準として前記締付機構の反対側の位置に、内側に突出する突起部を有していてもよい。
【0024】
この構成により、締付機構の締付時においてシリンダチューブの外周面を押圧する力が周方向に分散され、突起部がない場合と比較してシリンダチューブの形状を矯正することができる。これにより、ピストン作動時のスティックスリップ現象(ノッキング)を抑制することができる。
【0025】
上記のセンサ取付具において、前記バンド部は、前記締付機構と前記突起部との間の略中央位置に、内側に突出する別の突起部を有していてもよい。
【0026】
この構成により、締付機構の締付時においてシリンダチューブの外周面を押圧する力が周方向にさらに分散される。これにより、ピストン作動時のスティックスリップ現象を一層効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のセンサ取付具によれば、シリンダチューブに対するセンサの取付位置の調整を容易に行うことができ且つコンパクトに構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るセンサ取付具について好適な第1及び第2実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0030】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るセンサ取付具10Aは、流体圧シリンダ12(例えば、エアシリンダ)のシリンダチューブ14の外周面15に装着されて、位置センサ16を上記外周面15に取り付けるために使用される。
【0031】
流体圧シリンダ12は、シリンダ孔を内部に有する円筒形をしたシリンダチューブ14と、該シリンダチューブ14内にその中心軸線aに沿って摺動自在に収容されたピストンと、ピストンに連結されて外部に延出するピストンロッド20とを備える。
【0032】
上記シリンダチューブ14の一方端に設けられているロッドカバー22のポート23と、他方端のヘッド部24に設けられたポート25とを通じて、上記ピストンの両側の圧力室に圧力流体(例えば、圧縮エア)を交互に給排することにより、該ピストンが前進あるいは後退する。ピストンの外周にはリング状の永久磁石が取り付けられ、位置センサ16はこの永久磁石の磁気を検出することにより、上記ピストンの動作位置の検出信号を出力するようになっている。
【0033】
図1及び
図2に示すように、センサ取付具10Aは、位置センサ16を保持するためのレール状のセンサホルダ28と、センサホルダ28に連結されシリンダチューブ14の外周面15に巻回されるバンド部30と、バンド部30を締め付ける締付機構32とを備える。センサホルダ28は、その長手方向を流体圧シリンダ12の軸方向に沿わせて配置されている。
【0034】
図2に示すように、センサホルダ28は、長方形状の底壁34と、底壁34の両側の長辺から立設されて互いに対向する側壁36a、36bと、底壁34の一端側の短辺から立設された端壁38とを有する。底壁34及び側壁36a、36bにより、位置センサ16を位置調整可能に収容保持するためのセンサ挿入溝40が形成されている。
【0035】
各側壁36a、36bは、センサホルダ28の長手方向に切欠部39を介して離間した2つの壁要素37に分割されている。側壁36a、36bにおける底壁34とは反対側の端縁には、センサホルダ28の内側に向かって突出した張り出し部42が設けられている。センサホルダ28は、例えばステンレス鋼等の金属製であり、金属板をプレス加工及び折り曲げ加工することにより形成することができる。
【0036】
位置センサ16は、このように構成されるセンサホルダ28内に挿入されて固定されるようになっている。
図3に示すように、センサホルダ28に装着された位置センサ16の一端部にはナット44が挿入され、そのナット44に止めネジ46が螺合されている。そして、その止めネジ46を締め付けることにより、ナット44がセンサホルダ28の開口縁からセンサホルダ28の内側に向けて突設されている張り出し部42に押さえ付けられることで、位置センサ16がセンサホルダ28に対して固定される。反対に、止めネジ46を緩めることにより、センサ挿入溝40に沿って位置センサ16の移動が許容され、流体圧シリンダ12の軸方向(ストローク方向)に微調整することが可能となっている。
【0037】
また、
図1、
図2及び
図4に示すように、センサホルダ28は、両側方に突出するとともに屈曲する2つの連結腕部48を有する。具体的に本実施形態では、2つの連結腕部48は、底壁34の各長辺から互いに反対方向に突出している。また、各連結腕部48は、シリンダチューブ14の外周面15に沿うように、センサホルダ28の底壁34に対して若干だけ傾斜している。各連結腕部48の外端(底壁34からの突出方向の端部)には上方に屈曲したフック50が設けられている。
【0038】
バンド部30は、両端部がセンサホルダ28に連結可能であり、シリンダチューブ14の外周面15に周方向に沿って装着されるように構成されている。バンド部30は、例えば、帯状の薄板金属板を円弧状に湾曲変形させることにより形成することができる。
【0039】
本実施形態において、バンド部30の両端部には、センサホルダ28の連結腕部48(具体的には、フック50)に係合可能な係合孔52がバンド部30の厚さ方向に貫通して設けられている。
図4に示すように、上述した連結腕部48のフック50を係合孔52に挿入し、当該係合孔52からフック50をバンド部30の外周側に突出させることにより、連結腕部48とバンド部30の端部とが連結される。
【0040】
図1に示すように、締付機構32は、シリンダチューブ14の外周面15においてセンサホルダ28とは異なる周方向位置に配置される。具体的に本実施形態では、締付機構32は、バンド部30の延在方向(周方向)の略中央位置に配置される。従って、センサ取付具10Aがシリンダチューブ14の外周面15に装着された状態では、締付機構32は、シリンダチューブ14を基準にセンサホルダ28とは反対側に配置される。
【0041】
図5に示すように、締付機構32は、バンド部30に固着されるとともに雌ネジ部54が形成されたナット56と、雌ネジ部54に螺合する締付ネジ58と、締付ネジ58により押圧される当て板60とを有する。バンド部30は、ナット56が固着されている部分に平坦な平板部62を有する。ナット56は平板部62の内面62a(バンド部30の内周側の面)に溶接によって固着されている。なお、ナット56は平板部62の外面62bに固着されてもよい。
【0042】
平板部62には貫通孔64が形成されている。締付ネジ58は、貫通孔64に螺合することなく挿通されている。ドライバーや六角レンチ等の工具により締付ネジ58を回転させることができるように、締付ネジ58の頭部66には非円形(クロス、六角形等)の工具挿入溝が設けられている。締付ネジ58の先端67は、ナット56から当て板60側に突出可能である。
【0043】
当て板60は、雌ネジ部54(ナット56)に対応する位置においてバンド部30の内側に設けられており、シリンダチューブ14にセンサ取付具10Aが装着された状態で、シリンダチューブ14の外周面15に当接する。当て板60は、バンド部30の内周側の面から分岐して設けられ、あるいは当該内周側の面に接合され、バンド部30に片持ち支持されている。このような当て板60は、例えばバンド部30の内周面に溶接によって固着することができる。
【0044】
次に、上記のように構成されるセンサ取付具10Aの作用及び効果について説明する。
【0045】
センサ取付具10Aを用いて位置センサ16をシリンダチューブ14の外周面15に取り付けるには、まず、センサホルダ28に位置センサ16を挿入して固定し、この状態のセンサ取付具10Aをシリンダチューブ14の外周面15に沿わせる。このとき、バンド部30の一端部のみをセンサホルダ28に連結し(一方のフック50を一方の係合孔52に係合させ)、且つ締付ネジ58を緩めた状態で、センサ取付具10Aをシリンダチューブ14の外周面15に沿わせる。なお、一方のフック50に代えて、
図4において仮想線で示す形状のフック51が設けられてもよい。フック51は、連結腕部48の基部48aの外端から直角に立ち上がる立上部51aと、この立上部51aからセンサホルダ28側に直角に曲がって突出した返し部51bとを有する。基部48aに対する立上部51aの角度は、直角に限られず、直角に近い角度(例えば、85〜95°)であってもよい。同様に、立上部51aに対する返し部51bの角度は、直角に限られず、直角に近い角度(例えば、85〜95°)であってもよい。上記のような形状のフック51が設けられることにより、バンド部30の一端部をフック51に引っ掛けた後、バンド部30の他端部を反対側のフック50に引っ掛ける間に、バンド部30の一端部がフック51から外れにくい。
【0046】
次に、バンド部30の他端部をセンサホルダ28に連結する(他方のフック50を他方の係合孔52に係合させる)と、センサ取付具10Aがシリンダチューブ14の外周面15に沿って緩く配置される。そして、この状態で、締付機構32の締付ネジ58を締める。そうすると、締付ネジ58の先端67のナット56からの突出長さが長くなるに従って、バンド部30における締付ネジ58が挿通されている部分(平板部62)と、シリンダチューブ14の外周面15との距離が大きくなる。
【0047】
この結果、バンド部30に張力が付与されることとなり、すなわちバンド部30が締め込まれることとなり、センサホルダ28がシリンダチューブ14の外周面15に強く引き付けられる。これにより、位置センサ16がシリンダチューブ14の外周面15に取り付けられる。この場合、センサホルダ28と締付機構32とが互いに周方向にずれて配置されているため、シリンダチューブ14の外周面15からの出っ張りが小さくて済む。
【0048】
シリンダチューブ14に対する位置センサ16の位置を調整したい場合には、止めネジ46を緩めたうえで、位置センサ16をセンサホルダ28の長手方向(流体圧シリンダ12の軸方向)にスライドさせて所望の位置に移動させる。そして、止めネジ46を締め、位置センサ16を固定する。
【0049】
なお、センサホルダ28に位置センサ16が固定されていない状態のセンサ取付具10Aをシリンダチューブ14の外周面15に沿って緩く配置した後、あるいは、センサホルダ28に位置センサ16が固定されていない状態のセンサ取付具10Aをシリンダチューブ14の外周面15に配置して締付ネジ58を締めた後に、位置センサ16をセンサホルダ28に固定してもよい。
【0050】
以上説明したように、センサ取付具10Aによれば、センサホルダ28がレール状に形成されるとともに締付機構32がセンサホルダ28から周方向にずれた位置に設けられているため、シリンダチューブ14に対する位置センサ16の取付位置の調整を容易に行うことができ且つコンパクトに構成できる。
【0051】
また、本実施形態の場合、締付機構32は、バンド部30に設けられた雌ネジ部54と、雌ネジ部54に螺合する締付ネジ58と、雌ネジ部54に対応する位置においてバンド部30の内側に設けられ、シリンダチューブ14の外周面15に当接し、締付ネジ58により押圧される当て板60とを有する。この構成により、締付ネジ58を締めることでバンド部30を容易に締め付けることができる。また、シリンダチューブ14の外周面15と締付ネジ58との間には当て板60が介在しており、締付ネジ58がシリンダチューブ14の外周面15に直接接触することがないため、締付ネジ58を締める際のシリンダチューブ14の外周面15の変形を有効に防止することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の場合、バンド部30には、雌ネジ部54が形成されたナット56が固着されているため、締付ネジ58が適切に螺合する雌ネジ部54を容易に設けることができる。すなわち、薄板のバンド部30にネジ孔を直接形成することは困難である一方、ナット56をバンド部30に固着することは容易である。
【0053】
本実施形態の場合、センサホルダ28は、ホルダ本体29と、ホルダ本体29の両側方から突出するとともに屈曲した連結腕部48とを有するため、センサホルダ28とバンド部30との連結を容易に行うことができる。また、バンド部30の両端部には、連結腕部48に係合可能な係合孔52が設けられ、締付機構32は、バンド部30の延在方向の略中央位置に設けられているため、締付機構32は、センサホルダ28とバンド部30との係合箇所から離れた箇所にある。従って、締付ネジ58を締めるときに連結腕部48のフック50が係合孔52から抜けることを防止することにより、シリンダチューブ14の外周面15への位置センサ16の取付けを確実に行うことができる。
【0054】
[第2実施形態]
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係るセンサ取付具10Bは、流体圧シリンダ12(例えば、エアシリンダ)のシリンダチューブ14の外周面15に装着されて、位置センサ16を上記外周面15に取り付けるために使用される。
【0055】
センサ取付具10Bは、位置センサ16を保持するためのレール状のセンサホルダ70と、第1端部74a及び第2端部74bにおいてセンサホルダ70に連結されシリンダチューブ14の外周面15に巻回されるバンド部74と、バンド部74を締め付ける締付機構76とを備える。
【0056】
図7及び
図8に示すように、センサホルダ70は、ホルダ本体78と、ホルダ本体78から側方に突出するとともに屈曲した腕部80とを有する。ホルダ本体78は、長方形状の底壁34と、底壁34の両側の長辺から立設されて互いに対向する第1側壁82a及び第2側壁82bと、底壁34の一端側の短辺から立設された端壁38とを有する。底壁34、第1側壁82a及び第2側壁82bにより、位置センサ16を位置調整可能に収容保持するためのセンサ挿入溝40が形成されている。第1側壁82a及び第2側壁82bにおける底壁34とは反対側の端縁には、センサホルダ70の内側に向かって突出した張り出し部42が設けられている。
【0057】
第1側壁82aにおいて、腕部80に対応する部分には切欠部84が形成されている。第2側壁82bの根元部には、バンド部74の第2端部74bとの連結部としての連結孔86が第2側壁82bの厚み方向に貫通して設けられている。連結孔86は、ホルダ本体78の長手方向に細長に延びる挿通孔86aと、挿通孔86aよりも底壁34側に形成され挿通孔86aよりも幅狭の係止孔86bとを有する。
【0058】
腕部80は、ホルダ本体78の底壁34から側方に若干の下り傾斜で突出した突出部88と、突出部88の突出方向の端部から上方に屈曲した立上片90とを有する。立上片90には、立上片90の厚さ方向に貫通した挿通孔92が形成されている。
【0059】
このようなセンサホルダ70は、例えばステンレス鋼等の金属製であり、金属板をプレス加工及び折り曲げ加工することにより形成することができる。なお、位置センサ16のセンサホルダ70に対する固定方法は、上述した第1実施形態と同様である。
【0060】
バンド部74は、第1端部74a及び第2端部74bを有し、第1端部74a及び第2端部74bにおいてセンサホルダ70に連結可能であり、シリンダチューブ14の外周面15に周方向に沿って装着されるように構成されている。本実施形態の場合、バンド部74の第1端部74aは、締付機構76を介してセンサホルダ70と連結可能である。バンド部74は、例えば、帯状の薄板金属板を円弧状に湾曲変形させることにより形成することができる。
【0061】
バンド部74の第1端部74aには、バンド部74の厚さ方向に貫通する開口部94が設けられている。上述した腕部80は、バンド部74の内側から当該開口部94に挿通されており、立上片90が、バンド部74の外側で、締付機構76の後述するストッパ106と対向している。
【0062】
図7に示すように、バンド部74の第2端部74bには、センサホルダ70の連結孔86と連結可能なT型の係止部96が設けられている。具体的に、この係止部96は、基部98と、基部98からバンド部74の幅方向両側に突出した係止突起100を有する。係止部96をセンサホルダ70の外側から連結孔86の挿通孔86aに挿入し、そして基部98を係止孔86b内に移動させると、係止突起100が第2側壁82bの内面に係止され、バンド部74の第2端部74bがセンサホルダ70に連結される。
【0063】
図7及び
図8に示すように、締付機構76は、腕部80に固着されるとともに雌ネジ部103が形成されたナット102と、ナット102に螺合する締付ネジ104と、バンド部74の第1端部74aに設けられ締付ネジ104により押圧されるストッパ106とを有する。本実施形態では、ナット102は、立上片90のホルダ本体78側の面90aに溶接によって固着されている。ナット102は、立上片90のホルダ本体78とは反対側の面90bに固着されてもよい。
【0064】
締付ネジ104は、立上片90に設けられた挿通孔92に螺合することなく挿通されている。ドライバーや六角レンチ等の工具により締付ネジ104を回転させることができるように、締付ネジ104の頭部108には非円形(クロス、六角形等)の工具挿入溝109が設けられている。締付ネジ104の先端105は、ナット102からストッパ106側に突出可能である。
【0065】
バンド部74の第1端部74aに設けられたストッパ106は、例えば、金属製であり、第1端部74aに溶接によって固着されている。ストッパ106は、センサホルダ70のホルダ本体78と立上片90との間に配置され、締付ネジ104によってホルダ本体78側に押圧される。
【0066】
次に、上記のように構成されるセンサ取付具10Bの作用及び効果について説明する。
【0067】
センサ取付具10Bを用いて位置センサ16をシリンダチューブ14の外周面15に取り付けるには、まず、センサホルダ70に位置センサ16を挿入して固定し、この状態のセンサ取付具10Bをシリンダチューブ14の外周面15に沿って緩く配置する。具体的には、ホルダ本体78と緩めた状態の締付ネジ104との間にストッパ106が配置されるようにバンド部74の開口部94にセンサホルダ70の腕部80を挿入し、バンド部74の第2端部74b(係止部96)をセンサホルダ70の第2側壁82b(連結孔86)に連結し、バンド部74をシリンダチューブ14の外周面15に沿って巻回する。
【0068】
次に、締付機構76の締付ネジ104を締める。そうすると、締付ネジ104の先端105のナット102からの突出長さが長くなるに従って、立上片90とストッパ106との距離が大きくなる。この結果、バンド部74に張力が付与されることとなり、すなわちバンド部74が締め込まれることとなり、センサホルダ70がシリンダチューブ14の外周面15に強く引き付けられる。これにより、位置センサ16がシリンダチューブ14の外周面15に取り付けられる。この場合、センサホルダ70と締付機構76とが互いに周方向にずれて配置されているため、シリンダチューブ14の外周面15からの出っ張りが小さくて済む。
【0069】
なお、センサホルダ70に位置センサ16が固定されていない状態のセンサ取付具10Bをシリンダチューブ14の外周面15に沿って緩く配置した後、あるいは、センサホルダ70に位置センサ16が固定されていない状態のセンサ取付具10Bをシリンダチューブ14の外周面15に配置して締付ネジ104を締めた後に、位置センサ16をセンサホルダ70に固定してもよい。
【0070】
シリンダチューブ14に対する位置センサ16の位置を調整したい場合には、止めネジ46を緩めたうえで、位置センサ16をセンサホルダ70の長手方向(流体圧シリンダ12の軸方向)にスライドさせて所望の位置に移動させる。そして、止めネジ46を締め、位置センサ16を固定する。
【0071】
以上説明したように、センサ取付具10Bによれば、センサホルダ70がレール状に形成されるとともに締付機構76がセンサホルダ70から周方向にずれた位置に設けられているため、シリンダチューブ14に対する位置センサ16の取付位置の調整を容易に行うことができ且つコンパクトに構成できる。
【0072】
また、本実施形態の場合、締付機構76は、センサホルダ70の腕部80に設けられた雌ネジ部103と、雌ネジ部103に螺合する締付ネジ104と、バンド部74の一端部に設けられ締付ネジ104により押圧されるストッパ106とを有する。この構成により、締付ネジ104を締めることでバンド部74を容易に締め付けることができる。また、締付ネジ104はシリンダチューブ14の外周面15に直接接触することがないため、締付ネジ104を締める際のシリンダチューブ14の外周面15の変形を有効に防止することができる。
【0073】
さらに、腕部80は、開口部94に挿通され、バンド部74の外側でストッパ106と対向しているため、バンド部74に好適に張力を付与することができる。特に、腕部80には、雌ネジ部103が形成されたナット102が固着されているため、締付ネジ104が適切に螺合する雌ネジ部103を容易に設けることができる。
【0074】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0075】
[第3実施形態]
図9に示すように、本発明の第3実施形態に係るセンサ取付具10Cは、先行する実施形態と同様に、シリンダチューブ14の外周面15に装着されて、位置センサ16を外周面15に取り付けるために使用される。このセンサ取付具10Cは、第1実施形態に係るセンサ取付具10Aに対する変形例である。以下、このセンサ取付具10Cについて、センサ取付具10Aと異なる部分を中心に説明する。なお、
図9では、シリンダチューブ14を簡略化して仮想線で示している。
図11及び
図13についても同様である。
【0076】
図9において、センサ取付具10Cは、位置センサ16を保持するためのレール状のセンサホルダ28と、取外し可能にセンサホルダ28に連結されシリンダチューブ14の外周面15に巻回されるバンド部110と、バンド部110を締め付ける締付機構112とを備える。センサ取付具10Cのセンサホルダ28の構成は、センサ取付具10Aにおけるセンサホルダ28と同じである。
【0077】
バンド部110は、帯状に延びるバンド本体114と、バンド本体114の両端部に連結された補強板116とを有し、これらの補強板116が、バンド部110の両端部であるバンド端部118を構成している。
【0078】
各バンド端部118には、センサホルダ28のフック50に係合可能な係合孔120が補強板116の厚さ方向に貫通して設けられている。上述した連結腕部48のフック50を係合孔120に挿入し、当該係合孔120からフック50をバンド部110の外周側に突出させることにより、連結腕部48とバンド部110の端部とが連結される。
【0079】
図10に示すように、バンド端部118がフック50に係合した状態で、バンド端部118は、センサホルダ28の切欠部39を介して、センサホルダ28内(つまり、センサ挿入溝40)に突出する。位置センサ16がセンサホルダ28に装着されている状態では、バンド端部118の縁部は、位置センサ16に当接又は近接する。また、センサ取付具10Cがシリンダチューブ14の外周面15に取り付けられた状態で、各フック50は、当該各フック50が位置する箇所の外周面15の法線に対して、ホルダ本体29側に傾斜している。なお、仮想線で示すように、センサ取付具10Cにおいて、一方のフック50に代えて、
図4に示したフック51を採用してもよい。後述するセンサ取付具10D、10Eにおいても、同様に、一方のフック50に代えて、フック51を採用してもよい(
図12及び
図14参照)。
【0080】
締付機構112は、バンド本体114に設けられている。また、締付機構112は、バンド端部118に比較的近い位置に設けられている。この場合、係合孔120の中心と締付機構112の中心との間の、シリンダチューブ14の中心周り角度は、例えば、90°以下、好ましくは45°以下である。この構成により、センサ取付具10Cがシリンダチューブ14に取り付けられた状態では、締付機構112はセンサホルダ28に近い位置に配置されるため、締付機構112に対する操作がしやすい。
【0081】
締付機構112は、バンド本体114に固着されるとともに雌ネジ部122が形成されたナット124と、雌ネジ部122に螺合する締付ネジ126とを有する。バンド本体114は、ナット124が固着されている部分に平坦な平板部128を有する。ナット124は平板部128の外面に接合されて固定されている。
【0082】
平板部128には貫通孔(図示省略)が形成されており、締付ネジ126は、当該貫通孔に螺合することなく挿通されている。締付ネジ126の先端127は、平板部128からバンド部110の内側(シリンダチューブ14側)に突出可能である。センサ取付具10Cがシリンダチューブ14に取り付けられた状態で、締付ネジ126の先端127はシリンダチューブ14の外周面15に当接する。締付ネジ126を締めると、バンド部110が締め込まれることで、センサホルダ28がシリンダチューブ14に対して強く固定される。
【0083】
本実施形態に係るセンサ取付具10Cは、以下の作用効果を奏する。
【0084】
バンド端部118がフック50に係合した状態から、バンド端部118をフック50から外すためには、バンド端部118をセンサホルダ28の内側に向かって押し込んで移動させる必要がある。しかし、位置センサ16がセンサホルダ28に装着されている状態で、バンド端部118を押し込もうとしても、バンド端部118が位置センサ16と干渉するため、バンド端部118をセンサホルダ28の内側(位置センサ16側)に移動させることができない。
【0085】
すなわち、位置センサ16がセンサホルダ28に装着されている状態でバンド端部118を押し込んでも、バンド端部118の縁部が位置センサ16に突き当たるため、バンド端部118はフック50との係合が解除される位置に移動することができない。このため、位置センサ16がセンサホルダ28に装着された状態では、バンド端部118は、位置センサ16との干渉によってフック50から外れることが阻止される。つまり、位置センサ16をセンサホルダ28から取り外さない限り、バンド端部118がセンサホルダ28のフック50から外れることがない。従って、締付機構112の締付ネジ126が緩んだり、締付ネジ126が脱落したりすることがあっても、バンド部110が外れて位置センサ16がシリンダチューブ14から脱落することを防止することができる。
【0086】
[第4実施形態]
図11及び
図12に示す本発明の第4実施形態に係るセンサ取付具10Dは、上述したセンサ取付具10Cに対する変形例である。具体的に、このセンサ取付具10Dのバンド部110aは、センサ取付具10Dがシリンダチューブ14の外周面15に取り付けられた状態におけるシリンダチューブ14を基準として締付機構112の反対側の位置(シリンダチューブ14の中心周りに略180°あるいは175°〜185°ずれた位置)に、内側に突出する突起部130を有する。この場合、締付ネジ126aの中心を締付機構112の位置とし、突起部130の頂部を当該突起部130の位置とする。
【0087】
図示例の突起部130は、バンド本体114の周方向の一部を内側に変形させて形成したものであり、円弧状に湾曲している。図示例の構成に代えて、突起部130は、バンド本体114の内周面に適宜の固定手段(溶接等)によって固定された部材であってもよい。
図11において、締付ネジ126aの頭部に設けられた工具挿入用の直線状の溝部129の両端は、締付ネジ126aの周囲壁によって閉じられている。これにより、締付用の工具(マイナスドライバ等)の先端部を溝部129に挿入して締付ネジ126aを回転させる際に、工具の先端部が溝部129から外れにくい。上述したセンサ取付具10C及び後述するセンサ取付具10Eにおいて、締付ネジ126に代えて、上述した締付ネジ126aが採用されてもよい。
【0088】
このように構成されたセンサ取付具10Dをシリンダチューブ14の外周面15に配置(外周面15に沿って巻回)し、締付ネジ126aを締めると、締付ネジ126aの先端127がシリンダチューブ14の外周面15に突き当たる。そしてさらに締付ネジ126aを締めることに伴ってバンド部110aが締め込まれ、センサホルダ28がシリンダチューブ14の外周面15に強く引き付けられる。これにより、位置センサ16がシリンダチューブ14の外周面15に取り付けられる。この場合、締付ネジ126aの先端127がシリンダチューブ14の外周面15に直接突き当たるため、先端127が突き当たった部分に大きな荷重が作用する。
【0089】
ところで、上述した第3実施形態に係るセンサ取付具10Cでは、バンド部110に突起部130が設けられていないため、バンド部110の締込み時にバンド部110の内側に突出することで外周面15に強く突き当たる構造物は締付ネジ126のみである。このため、シリンダチューブ14の外周面15において、締付ネジ126が突き当たる部分に荷重が集中し、その部分に凹状の変形を発生させやすい。この凹状の変形がある程度の大きさ以上になると、変形部がシリンダチューブ14内に配置されたピストンと干渉し、ピストン作動時にスティックスリップ現象(ノッキング)が発生するおそれがある。
【0090】
これに対し、本実施形態に係るセンサ取付具10Dでは、バンド部110aにおいて締付機構112(締付ネジ126a)の反対側に突起部130が設けられている。このため、締付機構112の締付け時には、締付ネジ126aだけでなく突起部130もシリンダチューブ14の外周面15に突き当たる。従って、締付機構112の締付け時においてシリンダチューブ14の外周面15を押圧する力が周方向に適度に分散され、突起部130がない場合と比較して外周面15における凹状の変形を抑制し、シリンダチューブ14の形状(真円度)を矯正することができる。これにより、ピストン作動時のスティックスリップ現象を抑制することができる。
【0091】
なお、
図11において仮想線で示すように、バンド部110aにおいて、バンド本体114を厚さ方向に貫通するとともにバンド本体114の延在方向に延びるスリット131が設けられてもよい。この場合、スリット131は、バンド本体114において、締付機構112と突起部130との間の部分、及び突起部130とバンド端部118との間の部分にそれぞれ設けられてよい。このようなスリット131が設けられることにより、シリンダチューブ14の外周面15とバンド本体114との密着性が向上し、シリンダチューブ14に対するセンサ取付具10Dのずれやバンド部110aの振れによるガタツキを抑制することができる。
【0092】
[第5実施形態]
図13及び
図14に示す本発明の第5実施形態に係るセンサ取付具10Eは、上述したセンサ取付具10Dに対する変形例であって、別の突起部132を追加した実施形態である。具体的に、センサ取付具10Eのバンド部110bは、締付機構112と突起部130との間の略中央位置(内側に配置されるシリンダチューブ14を中心として締付ネジ126から周方向に略90°ずれた位置)に、内側に突出する別の突起部132を有する。この場合、締付ネジ126の中心を締付機構112の位置とし、突起部132の頂部を突起部132の位置とする。
【0093】
図示例の突起部132は、バンド本体114の周方向の一部を内側に変形させて形成したものであり、円弧状に湾曲している。なお、突起部132は、バンド本体114の内周面に適宜の固定手段(溶接等)によって固定された部材であってもよい。
【0094】
このように構成されたセンサ取付具10Eによれば、締付機構112の締付け時には、締付ネジ126だけでなく2つの突起部130、132もシリンダチューブ14の外周面15に突き当たる。従って、締付機構112の締付時においてシリンダチューブ14の外周面15を押圧する力が周方向にさらに分散される。これにより、ピストン作動時のスティックスリップ現象を一層効果的に抑制することができる。
【0095】
なお、
図13において仮想線で示すように、バンド部110bにおいて、バンド本体114を厚さ方向に貫通するとともにバンド本体114の延在方向に延びるスリット133が設けられてもよい。この場合、スリット133は、バンド本体114において、締付機構112と突起部132との間の部分、突起部130と突起部132との間の部分、及び突起部130とバンド端部118との間の部分にそれぞれ設けられてよい。このようなスリット133が設けられることにより、シリンダチューブ14の外周面15とバンド本体114との密着性が向上し、シリンダチューブ14に対するセンサ取付具10Eのずれやバンド部110bの振れによるガタツキを抑制することができる。
【0096】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。