特開2017-63638(P2017-63638A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-63638(P2017-63638A)
(43)【公開日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】防虫器具及び防虫栽培器具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/34 20110101AFI20170317BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20170317BHJP
   A01G 13/00 20060101ALI20170317BHJP
   A01G 9/02 20060101ALI20170317BHJP
【FI】
   A01M29/34
   A01M29/12
   A01G13/00 301Z
   A01G9/02 101W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-190090(P2015-190090)
(22)【出願日】2015年9月28日
(71)【出願人】
【識別番号】512242158
【氏名又は名称】東 善和
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】東 善和
【テーマコード(参考)】
2B024
2B121
2B327
【Fターム(参考)】
2B024AA01
2B024DC10
2B121AA16
2B121BA40
2B121BB30
2B121BB32
2B121CC02
2B121EA26
2B121FA01
2B121FA12
2B121FA13
2B327ND01
2B327QC11
2B327QC28
2B327QC35
2B327QC45
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】植物の栽培場所を問わず使用することができ、這行虫類による被害を防止することができる防虫器具などを提供する。
【解決手段】防虫器具10は、培地Lで育成される植物Pの茎P1の根元の周りを包囲する状態で、培地Lの表面L1上に載置可能な防虫剤収容部1と、防虫剤収容部1の下面から培地L中に向かって連設され植物Pの根Rの周りを包囲する状態で培地L中に挿入可能な地中挿入部2と、を備えている。防虫剤収容部1の中心線を含む部分は中心線方向に物体が通過可能な貫通領域3となっている。培地Lで栽培中の植物Pの周りを防虫剤収容部1が包囲するような姿勢で、防虫器具10を培地L上に載置し、防虫剤収容部1の下面の地中挿入部2を培地L中に挿入した後、防虫剤収容部1内に水Wなどの防虫剤を入れて使用する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地で育成される植物の周りを包囲する状態で前記培地上に載置可能な樋状の防虫剤収容部と、前記防虫剤収容部から前記培地中に向かって連設され前記植物の周りを包囲する状態で前記培地中に挿入可能な地中挿入部と、を備えた防虫器具。
【請求項2】
前記防虫剤収容部の少なくとも一部を覆う屋根部を設けた請求項1記載の防虫器具。
【請求項3】
前記防虫剤収容部及び前記地中挿入部を横断する方向に形成された接続部を介して互いに着脱可能な複数のセグメント体によって前記防虫剤収容部及び前記地中挿入部が形成された請求項1または2記載の防虫器具。
【請求項4】
前記屋根部に降った雨水を前記防虫剤収容部へ流入させる雨水導入手段を設けた請求項2または3に記載の防虫器具。
【請求項5】
前記防虫剤収容部の少なくとも内周領域が拡径可能である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防虫器具。
【請求項6】
前記防虫剤収容部と連通した状態で前記防虫剤収容部の外周側に延設された補給経路を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の防虫器具。
【請求項7】
培土を収容可能な培土容器部と、前記培土容器部の外周を包囲するように形成された樋状の防虫剤収容部と、を備えた防虫栽培器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナメクジ、カタツムリ、ムカデ、ダンゴ虫などの這行虫類による植物の被害を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭菜園や農場などで栽培される各種野菜に被害を与えるナメクジやカタツムリなどの這行虫類を忌避する方法については、従来、様々な薬剤や器具が提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1記載の「害虫防止鉢受皿」がある。
【0003】
この「害虫防止鉢受皿」は、植木鉢受皿の中に一廻り小さい凸状皿が付いた形状を有する防虫器具である。凸状皿の上に植木鉢を置き、外枠(植木鉢受皿の外周部分)と内枠(凸状皿の外周部)との間に水を入れることにより、凸状皿上に置かれた植木鉢にナメクジなどが侵入するのを防止するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−44262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の「害虫防止鉢受皿」においては、外枠(植木鉢受皿の外周部分)と内枠(凸状皿の外周部)との間に入れられた水がナメクジなどの侵入を防止するので、植木鉢で生育する植物に対しては、所定の防虫効果を得ることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の「害虫防止鉢受皿」は、植木鉢を使用することなく、比較的大容量の栽培容器(例えば、プランターなど)や家庭菜園あるいは農場などの培地で育成されている植物に対して使用することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする第1の課題は、植物の栽培場所を問わず使用することができ、這行虫類による被害を防止することができる防虫器具を提供することにあり、第2の課題は、這行虫類による被害を防止する機能を備えた防虫栽培器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防虫器具は、培地で育成される植物の周りを包囲する状態で前記培地上に載置可能な樋状の防虫剤収容部と、前記防虫剤収容部から前記培地中に向かって連設され前記植物の周りを包囲する状態で前記培地中に挿入可能な地中挿入部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る防虫器具を、培地で育成される植物の周りを防虫剤収容部が包囲するような姿勢にして、培地上に載置し、防虫剤収容部に連設された地中挿入部を培地中に挿入した後、防虫剤収容部に防虫剤(水若しくはその他の防虫剤)を入れると、植物の周りが、防虫剤が貯留された連続環濠状の防虫剤収容部で包囲された状態となる。これにより、ナメクジなどの這行虫類が植物に接近不可能となるので、這行虫類による被害を防止することができる。また、防虫剤収容部の内周側は貫通形状であるため、本発明の防虫器具は植物の栽培場所を問わず、植物の周りに設置して、使用することができる。
【0010】
ここで、前記防虫剤収容部の少なくとも一部を覆う屋根部を設けることもできる。
【0011】
また、前記防虫剤収容部及び前記地中挿入部を横断する方向に形成された接続部を介して互いに着脱可能な複数のセグメント体によって前記防虫剤収容部及び前記地中挿入部が形成された構造とすることもできる。
【0012】
また、前記屋根部に降った雨水を前記防虫剤収容部へ流入させる雨水導入手段を設けることもできる。
【0013】
また、前記防虫剤収容部の少なくとも内周領域が拡径可能な構造とすることもできる。
【0014】
一方、前記防虫剤収容部と連通した状態で前記防虫剤収容部の外周側に延設された補給経路を設けることもできる。
【0015】
次に、本発明の防虫栽培器具は、培土を収容可能な栽培容器部と、前記栽培容器部の外周を包囲するように形成された樋状の防虫剤収容部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
植物容器に収容された培土で植物が栽培されているとき、防虫剤収容部に防虫剤(水若しくはその他の防虫剤)を入れると、栽培容器の周りが、水または薬液が貯留された連続環濠状の防虫剤収容部で包囲された状態となる。これにより、ナメクジなどの這行虫類が植物に接近不可能となるので、這行虫類による被害を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、植物の栽培場所を問わず使用することができ、這行虫類による被害を防止することができる防虫器具を提供することができ、また、這行虫類による被害を防止する機能を備えた防虫栽培器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態である防虫器具を示す斜視図である。
図2図1に示す防虫器具の中心線を含む平面における断面図である。
図3図1に示す防虫器具の使用状態を示す垂直断面図である。
図4図1に示す防虫器具の他の使用状態を示す垂直断面図である。
図5】本発明のその他の実施形態である防虫器具の使用状態を示す垂直断面図である。
図6】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図7】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図8】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図9】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図10】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す斜視図である。
図11】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す一部省略分解斜視図である。
図12図11に示す防虫器具の接続構造の一部を示す斜視図である。
図13】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す一部省略分解斜視図である。
図14】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す分解斜視図である。
図15図14に示す防虫器具の一部拡大斜視図である。
図16】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図17】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図18】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す平面図である。
図19図18中のX−X線における垂直断面図である。
図20】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図21】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図22】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図23】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図24】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す斜視図である。
図25図24に示す防虫器具の垂直断面図である。
図26図24に示す防虫器具の使用状態を示す垂直断面図である。
図27】本発明のその他の実施形態である防虫栽培器具を示す垂直断面図である。
図28】本発明のその他の実施形態である防虫栽培器具を示す垂直断面図である。
図29】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す垂直断面図である。
図30図29に示す防虫器具の使用状態を示す垂直断面図である。
図31図29に示す防虫器具のその他の使用状態を示す垂直断面図である。
図32】本発明のその他の実施形態である防虫器具を示す平面図である。
図33図32中のY−Y線における垂直断面図である。
図34図32に示す防虫器具の使用状態を示す垂直断面図である。
図35図32に示す防虫器具のその他の使用状態を示す垂直断面図である。
図36図32に示す防虫器具のその他の使用状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図26に基づいて本発明の実施形態である防虫器具10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180について説明する。なお、防虫器具10〜180において、互いに共通する形状、構造及び機能を有する部分については、説明の反復を避けるため、初出の実施形態において説明を行い、その後の実施形態においては、該当図面中に同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
図1図3に示すように、本実施形態の防虫器具10は、培地Lで育成される植物Pの茎P1の根元の周りを包囲する状態で、培地Lの表面L1上に載置可能な防虫剤収容部1と、防虫剤収容部1の下面から培地L中に向かって連設され植物Pの根Rの周りを包囲する状態で培地L中に挿入可能な地中挿入部2と、を備えている。防虫剤収容部1は中心線1cの周りにて、平面視が円形(ドーナツ状)をなす樋状の部材であり、防虫剤収容部1の下面に沿って、下方に突出する短円筒形状をなす地中挿入部2が連設されている。また、円形の防虫剤収容部1の中心線1cを含む部分は中心線1c方向に物体が通過可能な貫通領域3となっている。
【0021】
図2に示すように、防虫剤収容部1の内周上縁部1aは外周上縁部1bより高く突出した状態(中心線1c方向に沿って地中挿入部2の反対側に向かって長く突出した状態)に形成され、防虫剤収容部1の垂直断面は略J字形状をなしている。
【0022】
防虫器具10を使用する場合、図3に示すように、培地Lで育成されている植物Pの周りを防虫剤収容部1が包囲するような姿勢にして、防虫器具10を培地L上に載置し、防虫剤収容部1の下面に連設された地中挿入部2を培地L中に挿入した後、防虫剤収容部1内に水W(若しくはその他の防虫剤)を入れる。これにより、植物Pの周りが、水W(若しくは防虫剤)が貯留された連続環濠状の防虫剤収容部1で包囲された状態となる。
【0023】
このような状態において、植物Pに接近するナメクジSなどの這行虫類は、防虫器具10の防虫剤収容部1の外周面に沿って外周上縁部1bまで這い上がることができても、防虫剤収容部1に貯留された水Wにより、これから先への這行が阻止され、植物Pに接近不可能となるので、ナメクジSなどの這行虫類による被害を防止することができる。
【0024】
防虫器具10を構成する防虫剤収容部1の内周側は、物体が通過可能な貫通領域3となっているため、図3に示すように、培地Lにおいて育成されている植物Pに対して、防虫器具10を被せるように装着し、植物Pの茎P1が貫通領域3を挿通した状態で培地L上に設置することにより、使用することができる。また、防虫器具10は、植木鉢などの栽培容器で育成されている植物(図示せず)の周りに、前述と同様の手順で設置することができる。即ち、防虫器具10は植物の栽培場所を問わず、植物の周りに容易に設置して、使用することができる。
【0025】
防虫器具10の防虫剤収容部1に貯留する防虫剤は水WのみであってもナメクジSなどの侵入を阻止することができるが、ナメクジSなどの這行虫類に対する殺虫作用のある薬剤を添加することもできる。また、貯留中の水Wの中で蚊の幼生やその他の有害虫の幼生が発生するのを防止するための薬剤や、水Wが腐敗して植物Pに悪影響を及ぼしたりするのを防止するための防腐剤などを添加することもできる。
【0026】
なお、本実施形態では、防虫器具10の防虫剤収容部1に水Wあるいは液体状防虫剤を貯留して使用する場合について説明しているが、これに限定しないので、液体防虫剤以外の防虫剤、例えば、粒状、粉状、顆粒状などの防虫剤を防虫剤収容部1に収容することによってナメクジSなどの侵入を防止する効果を発揮させることもできる。この場合、ナメクジSなどは、防虫剤収容部1内へ侵入してくるが、そこに収容されている防虫剤(粒状、粉状、顆粒状などの防虫剤)に接触することによって、死滅したり、退却したりするので、ナメクジSなどが防虫剤収容部1を突破して、植物Pの育成領域まで侵入することはない。
【0027】
防虫器具10の使い方は、図3に示す使い方に限定しないので、例えば、図4に示すような使い方をすることもできる。図4に示すように、培地Lの表面L1にマルチフィルムFを敷設した状態で栽培されている植物Pに対しても防虫器具10を使用することができる。この場合、培地Lで育成されている植物Pの周りを防虫剤収容部1が包囲するような姿勢にして、防虫器具10を培地Lの表面L1を覆うマルチフィルムF上に載置した後、防虫剤収容部1内に水W(若しくはその他の防虫剤)を入れる。この場合、防虫器具10の地中挿入部2は、培地L中に挿入されずに、その下縁部2aがマルチフィルムF上に接触した状態となる。
【0028】
図4に示す防虫器具10の使い方は、図3に示す使い方と同様に、植物Pの周りが、水W(若しくはその他の防虫剤)が貯留された連続環濠状の防虫剤収容部1で包囲された状態となり、ナメクジSなどが植物Pに接近するのを阻止することができる。
【0029】
図4に示す使い方の場合、防虫剤収容部1の下面の地中挿入部2は、培地L中に挿入されることなく、マルチフィルムFの表面上に起立した状態に保持されるが、防虫器具10の自重及び防虫剤収容部1内に貯留された水Wの重量により、地中挿入部2の下縁部2aがマルチフィルムF表面に隙間なく密着している。このため、ナメクジSなどが地中挿入部2の下縁部2aとマルチフィルムF表面との間を通過して植物Pに接近することは不可能である。
【0030】
次に、図5に示す防虫器具20は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備えているが、地中挿入部2の下縁部2aに、防虫剤収容部1に向かって凹んだ二つの湾状部2bが形成されている。二つの湾状部2bは、円形をなす下縁部2aにおいて180度離れて互いに対向する位置に形成されている。
【0031】
図5に示すように、二つの湾状部2b(一方のみ図示)が対向する方向が、培地Lに形成された畝L2の長手方向と一致するような姿勢にして、防虫器具20を畝L2上に載置した後、地中挿入部2を培地Lに向かって挿入すると、畝L2の頂上部分に防虫器具20を安定的に設置することができる。この後、防虫剤収容部1内に水W若しくはその他の防虫剤を収容すれば、ナメクジSなどの這行虫類が防虫剤収容部1の内周側の貫通領域3内へ侵入するのを防止することができる。
【0032】
次に、図6に示す防虫器具30は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部31を備えているが、地中挿入部31が、その上縁部31aから下縁部31bに向かって連続的に縮径した形状をなしている。
【0033】
次に、図7に示す防虫器具40は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部41を備えているが、地中挿入部41が、その上縁部41aから下縁部41bに向かって連続的に拡径した形状をなしている。
【0034】
次に、図8に示す防虫器具50は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部51を備えているが、防虫剤収容部1の内周上縁部1aと、地中挿入部51の上縁部(図示せず)とが同じ形状、サイズであり、防虫剤収容部1の内周上縁部1aから地中挿入部51の下縁部51bまでが連続した円筒形状をなしている。このため、防虫剤収容部1の内周側の貫通領域3は、防虫剤収容部1の内周上縁部1aから地中挿入部51の下縁部51bまで同じサイズの直線円筒形状をなしている。
【0035】
次に、図9に示す防虫器具60は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部61を備えているが、防虫剤収容部1の外周上縁部1aと、地中挿入部61の上縁部(図示せず)とが同じ形状、サイズであり、防虫剤収容部1の外周上縁部1bから地中挿入部61の下縁部61bまでが連続した円筒形状をなしている。このため、防虫器具60の外観は、防虫剤収容部1の外周上縁部1bから、地中挿入部61の下縁部61bまで同じサイズの直線円筒形状をなしている。
【0036】
次に、図10に示す防虫器具70は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、さらに、防虫剤収容部1の内部と連通した状態で防虫剤収容部1の外周側に延設された樋状の補給経路71を備えている。防虫器具70を培地にセットした直後、あるいは、防虫器具70の使用中に防虫剤収容部1内に収容されている防虫剤(例えば、水など)が減少した場合、補給容器Kから補給経路71内に防虫剤を注ぎ込めば、補給経路71を経由して防虫剤収容部1に防虫剤を補給することができる。
【0037】
補給経路71は防虫剤収容部1の外周側に突出しているので、貫通領域3内に位置する植物の枝葉によって防虫剤収容部1が覆われているような場合でも、防虫剤の補給作業を容易に行うことができる。
【0038】
次に、図11に示す防虫器具80は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備えているが、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を横断する方向に形成された接続部82を介して互いに着脱可能な二つのセグメント体81,81によって防虫剤収容部1及び地中挿入部2が形成されている。また、図12に示すように、セグメント81の接続部82の対向部分には、互いに嵌入・離脱可能な凸条83及び凹溝84が形成されている。ので、二つのセグメント体81,81を連結して形成された防虫剤収容部1から液漏れが発生することもない。
【0039】
図11に示すように、防虫器具80は、互いに連結・分離可能な二つのセグメント体81,81によって形成されているので、使用する場合、分離状態にある二つのセグメント体81,81の間に植物の茎を挟むようにして二つのセグメント体81,81を連結すれば、防虫器具80を植物にセットすることができる。このため、図1に示す防虫器具10の貫通領域3を通過してセットすることが困難な植物(例えば、枝葉の繁茂領域が貫通領域3より広い植物や作業者の身長より背丈が高い植物など)に対して防虫器具80を容易にセットすることができる。
【0040】
また、図12に示すように、セグメント体81,81の接続部82同士は、凸条83及び凹溝84からなる凹凸嵌合機構で連結されるので、二つのセグメント体81,81を連結して形成された防虫剤収容部1から液漏れが発生することもない。
【0041】
次に、図13に示す防虫器具90は、図11に示す二つのセグメント体81,81の間に、直線状をした二つのセグメント体91,91を介在させた状態で、セグメント体81,91,91,81を連結することによって形成される。セグメント体91の垂直断面形状及びサイズは、セグメント体81の垂直断面形状及びサイズと同様である。セグメント体91の両端部分には接続部92,92が設けられており、これらの接続部92,92は、図12に示すセグメント体81の接続部82における凹凸嵌合機構(凸条83と凹溝84からなる凹凸嵌合機構)と同様の凹凸嵌合機構(図示せず)を形成する。
【0042】
図13に示すセグメント体81,91,91,81を連結して形成される防虫器具90は、平面視形状が長円形の防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備えているので、直列状に植えられた複数の植物(図示せず)全体を纏めて包囲するようにセットして使用することができる。
【0043】
次に、図14に示す防虫器具100は、平面視形状がコ字状をした二つのセグメント体101,101の両端部分同士を着脱可能に連結することによって形成される。セグメント体101は断面V字状をした樋状部材である。セグメント体101の両端部分には、互いに連結・分離可能なオス型嵌合部102aと、メス型嵌合部102bと、が形成されている。また、必要かつ適切な部分に液漏れを防ぐためのパッキン(図示せず)が設けられている。
【0044】
図15に示すように、二つのセグメント体101,101の両端部分同士を対向させ、V字樋状のオス型嵌合部102aを、V字鞘状のメス型嵌合部102b内に挿入すると、両者が液密状に連結され、防虫器具100が形成される。
【0045】
図14に示すように、二つのセグメント体101,101を連結して形成される防虫器具100は平面視形状が長円形の防虫剤収容部1を備えているので、直列状に植えられた複数の植物(図示せず)全体を纏めて包囲するようにセットして使用することができる。
【0046】
次に、図16に示す防虫器具110は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、防虫剤収容部1の内周上縁部1aを、中心線1cの周りで開花するように延設することにより、防虫剤収容部1の中心線1c寄りの部分を覆う屋根部111が設けられている。
【0047】
次に、図17に示す防虫器具120は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、防虫剤収容部1の内周上縁部1aを、中心線1cの周りで大きく開花するように延設することにより、防虫剤収容部1全体を覆い、さらに、その外周側の領域までを覆う漏斗状の屋根部121が設けられている。
【0048】
防虫器具120は、防虫剤収容部1全体を含む広範囲の領域を覆う屋根部121を備えたことにより、設置場所に降り注ぐ雨水などが防虫剤収容部1に流入するのを防止することができる。従って、防虫器具120の防虫剤収容部1内に、雨水による希釈を回避すべき薬剤を収容する場合に好適に使用することができる。なお、防虫器具120の屋根部121の上面121aに降り注いだ雨水は中心線1cに向かって流動した後、貫通領域3内の培地Lに向かって落下する。
【0049】
また、屋根部121の外周縁に沿って、斜め下方に垂下したリブEが設けられているので、屋根部121の外周縁付近に降り注いだ雨水はリブEを伝わって鉛直下方の培地Lの表面L1に落下する。従って、屋根部121の外周縁付近に降り注いだ雨水が、屋根部121の下面121bを伝わって流下して防虫剤収容部1内に流入するのを防止することができる。さらに、屋根部121の外周縁に沿ってリブEを設けたことにより、屋根部121の強度を高めることができる。
【0050】
次に、図18図19に示す防虫器具130は、図1図2に示す防虫器具10と同様の防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、また、図16に示す防虫器具110と同様の屋根部111を有し、屋根部111の外周側に、図17に示す防虫器具120と同様の漏斗状の屋根部131を備えている。さらに、屋根部131と屋根部111との境界部分の、屋根部111の上縁部(内周上縁部1a)を包囲する位置に、複数の管状部132が鉛直方向に設けられている。管状部132の空洞部132bの上端は屋根部131の上面131aに開口し、管状部132の底部132a側は屋根部131の下面131bから防虫剤収容部1に向かって垂下した状態に形成されている。
【0051】
図18に示すように、防虫器具130の使用前の状態においては、管状部132の底部132a(図19参照)には貫通孔133が存在せず、閉塞された状態にあるが、実際に使用するときは、図19に示すように、必要に応じて、底部132aに貫通孔133を開設して、空洞部132bが鉛直方向に貫通した状態とすることができる。また、底部132aの直上付近において筒状部132を水平方向に切断して、底部132b付近を除去することによって、空洞部132bを鉛直方向に貫通させた状態にすることもできる。
【0052】
図18に示すように、本実施形態の防虫器具130においては、管状部132は屋根部111の内周上縁部1aの周りの4箇所に90度間隔で形成されているが、管状部132の個数や配置間隔などは、これに限定するものではない。
【0053】
管状部132は、屋根部131の最下部より低い位置に設けられ、管状部132の底部132aは、防虫剤収容部1の真上に位置している。屋根部111の上縁部(内周上縁部1a)は、屋根部131の最下部及び管状部132よりも上方へ高く突出している。なお、屋根部131の最下部から下方へ垂下する管状部132の長さが長過ぎると、ナメクジなどが管状部132の外周などを伝わって屋根部131に上がってくる可能性が高まるので、管状部132の底部132aが防虫剤収容部1に接近し過ぎない程度の長さとすることが望ましい。
【0054】
防虫器具130は、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水を防虫剤収容部1へ流入させる雨水導入手段として、防虫剤収容部1全体を含む広範囲の領域を覆う漏斗状の屋根部131及びその中心寄りの部分に位置する複数の管状部132を備えている。従って、図19に示すように、管状部132の底部132aに貫通孔133を設けることにより、空洞部132bが鉛直方向に貫通した状態にしておけば、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水などは屋根部131の上面131aに沿って、中心線1cに向かって流動し、管状部132の空洞部132b内に流れ込む。空洞部132b内に流れ込んだ雨水は、貫通孔133を通過して、防虫剤収容部1に向かって流下し、防虫剤収容部1内に収容される。
【0055】
このように、管状部132の底部132aに貫通孔133を設けた状態にある防虫器具130においては、雨天などの際に、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水などが、管状部132の空洞部132b及びその底部132aの貫通孔133を経由して流下し、防虫剤収容部1内に回収されるので、防虫剤収容部1に対する水Wの補給回数を低減することができる。
【0056】
一方、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水などが防虫剤収容部1内へ流入するのを希望しない場合は、管状部132の底部132aが閉塞されたままの状態で使用する。この場合、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水は、屋根部111の周りに集まり、その水位が内周上縁部1aに達すると、その後は雨水が内周上縁部1aを越流して貫通領域3内へ流れ込み、培地Lに向かって落下する。
【0057】
次に、図20に示す防虫器具140は、図1図2に示す防虫器具10と同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、防虫剤収容部1の内周上縁部1aを、中心線1cの周りに拡径する方向に延設することにより、防虫剤収容部1全体を覆い、さらに、その外周側の領域までを覆う傘状の屋根部141が設けられている。
【0058】
防虫器具140は、防虫剤収容部1全体を含む広範囲の領域を覆う屋根部141を備えているため、設置場所に降り注ぐ雨水などが防虫剤収容部1に流入するのを防止することができる。従って、防虫器具140の防虫剤収容部1内に、雨水による希釈を回避すべき薬剤を収容する場合に好適に使用することができる。なお、防虫器具140の屋根部141に降り注いだ雨水は、屋根部141の外周縁(外周上縁部1a)に向かって流動した後、貫通領域3内に位置する植物(図示せず)の周辺の培地Lに向かって落下する。
【0059】
次に、図21に示す防虫器具150は、図1図2に示す防虫器具10同様、防虫剤収容部1及び地中挿入部151を備えている。図21に示すように、防虫器具150の地中挿入部151の垂直断面は倒立三角形状をなしており、その下縁部151aは鋭角状に尖った形状をなしている。従って、防虫器具150の地中挿入部151を培地L中に向かって挿入するとき、地中挿入部151の下縁部151aが楔作用を発揮するので、挿入作業が容易である。
【0060】
次に、図22に示す防虫器具160は、培地Lで育成される植物(図示せず)の周りを包囲する状態で、培地Lの表面L1上に載置可能な防虫剤収容部161と、防虫剤収容部161と一体的に形成された地中挿入部162と、を備えている。防虫剤収容部161及び地中挿入部162は境界なしで連続的に形成されており、その平面視形状は中心線160cの周りにて、円形(ドーナツ状)をなしている。
【0061】
防虫器具160は、その垂直断面がV字状をなす樋状の部材で形成され、地中挿入部162の下縁部162aは鋭角に尖った形状をなしている。防虫剤収容部161の内周上縁部161aの位置は外周上縁部161bの位置より高位側に設定されている。
【0062】
防虫器具160においては、防虫剤収容部161及び地中挿入部162は、境界なしで連続的に形成されているので、培地Lに対する地中挿入部162の下縁部162aの挿入深さを、使用条件に応じて変更することができる。また、地中挿入部162の下縁部162aは鋭角に尖った形状をなしているので、培地L中への挿入作業も容易である。
【0063】
次に、図23に示す防虫器具170は、培地Lで育成される植物(図示せず)の周りを包囲する状態で、培地Lの表面L1上に載置可能な防虫剤収容部171と、防虫剤収容部171の下面部分に形成された地中挿入部172と、を備えている。防虫剤収容部171及び地中挿入部172の平面視形状は中心線170cの周りにて、円形(ドーナツ状)をなしている。
【0064】
防虫剤収容部171は、垂直断面が略倒立台形状の樋状をなし、地中挿入部172は垂直断面がV字状の樋状をなし、防虫剤収容部171内と地中挿入部172内とは上下方向及び周方向に連通しているため、防虫剤収容部171と地中挿入部172とは連続した樋形状をなしている。また、防虫剤収容部171の内周上縁部171aの位置は、外周上縁部171bの位置より高位側に設定されている。
【0065】
図23に示すように、防虫器具170においては、防虫剤収容部171及び地中挿入部172が深さ方向(高さ方向)に連続した樋形状をなしているので、防虫剤収容部171内に比較的大量の水Wなどの防虫剤を収容することができる。このため、防虫剤収容部171に対する水Wなどの防虫剤の補給回数の低減を図ることができる。
【0066】
次に、図24図25図26に示す防虫器具180は、図23に示す栽培容器170と同様、培地Lで育成される植物Pの周りを包囲する状態で、培地Lの表面L1上に載置可能な防虫剤収容部181と、防虫剤収容部181の下面部分に連通状に形成された地中挿入部182と、を備えている。防虫剤収容部181及び地中挿入部182の平面視形状は、中心線180cの周りにて、円形(ドーナツ状)をなしている。
【0067】
図24図25に示すように、防虫器具180においては、防虫剤収容部181は互いに対向状に配置された内周壁183及び外周壁184などで形成されている。内周壁183は、伸縮可能なギャザ部183gと平板状のセグメント部183sとが周方向に沿って交互に連続した形状をなし、内周壁183の下縁部183aはヒンジ機能を有している。このため、内周壁183は、下縁部183aを変曲部として、中心線180cを中心に拡径、縮径するように塑性変形することができる。また、内周壁183が拡径・縮径範囲のどの位置にあっても、内周壁183の上縁部183bは、外周壁184の上縁部184bより高位側に位置するようになっている、
【0068】
図26に示すように、植物Pの周りに防虫器具180を設置した後、防虫剤収容部181内に位置する植物P(例えば、白菜やキャベツなどの植物)が成長して内周壁183を外側に向かって押圧する状況が生じたとき、内周壁183全体が拡径するように塑性変形することにより、植物Pの成長を阻害しないように対応することができる。
【0069】
次に、図27図28に基づいて、本発明の実施形態である防虫栽培器具200,210について説明する。
【0070】
図27に示すように、防虫栽培器具200は、培土L3を収容可能なカップ状の培土容器部201と、培土容器部201の外周面201bの上縁部201a付近を連続的に包囲するように形成された樋状の防虫剤収容部202と、を備えている。
【0071】
防虫栽培器具200中の培土L3で植物(図示せず)を栽培しているとき、防虫剤収容部202内に水W(若しくはその他の防虫剤)を収容しておけば、培土容器部201の外周面201bに沿ってナメクジSなどが這い上がることがあっても、防虫剤収容部202内に収容されている水Wなどの防虫剤により、ナメクジSの進行が阻止される。従って、培土L3にて栽培中の植物にナメクジSが接近することができず、ナメクジSによる被害を防止することができる。
【0072】
図28に示すように、防虫栽培器具210は、培土L3を収容可能なカップ状の培土容器部211と、培土容器部211の外周面211bの底部211a付近を連続的に包囲するように形成された樋状の防虫剤収容部212と、を備えている。
【0073】
培土L3で植物(図示せず)を栽培しているとき、防虫剤収容部212内に水W(若しくはその他の防虫剤)を収容しておけば、防虫剤収容部212の外周面212bにナメクジSが接近することがあっても、防虫剤収容部212内に収容されている水Wなどの防虫剤により、ナメクジSの進行が阻止される。従って、培土L3にて栽培中の植物にナメクジSが接近することができなくなり、ナメクジSによる被害を防止することができる。
【0074】
防虫栽培器具200,210はそれぞれの培土収容部201,211と一体的に防虫剤収容部202,212を備えているため、防虫栽培器具200,210の設置場所が変更されても、ナメクジSなどによる植物の被害を防止することができる。
【0075】
次に、図29図31に基づいて、本発明のその他の実施形態である防虫器具230について説明する。なお、図29図31に示す防虫器具230は、図18図19に示す防虫器具130と共通する形状、機能を有する部分が多いので、共通する部分については図18図19中に示す符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
次に、図29に示す防虫器具230は、図18図19に示す防虫器具130と同様、防虫剤収容部1と、地中挿入部2と、屋根部111と、屋根部111の外周側の漏斗状の屋根部131と、を備えている。また、屋根部131と屋根部111との境界部分の、屋根部111の上縁部(内周上縁部1a)を包囲する位置に、複数の管状部232が中心線1cを中心に放射状に拡がりながら、且つ、防虫剤収容部1に接近していくような状態で設けられている。管状部232の空洞部232bの上端は屋根部131の上面131aに開口し、空洞部232bの下端は底部232aで閉塞され、この底部232aは防虫剤収容部1の外周上縁部1bより外側に位置するように延設されている。
【0077】
図29に示すように、使用前の防虫器具230は、管状部232の下端が底部232aで閉塞された状態にあるので、このままの状態で使用することができるが、これに限定するものではなく、図30に示すように、管状部232を底部232a(図29参照)の近傍で切断した状態で使用したり、図31に示すように、管状部232を屋根部131の下面131bの近傍で切断した状態で使用したりすることもできる。
【0078】
即ち、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水などが防虫剤収容部1内へ流入するのを希望しない場合は、図29若しくは図30に示すような状態で使用し、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水などを防虫剤収容部1内に導入したい場合は、図31に示すような状態で使用することができる。
【0079】
図29に示す防虫器具230においては、管状部232の下端が底部232aで閉塞された状態にある。この状態の防虫器具230において、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水は、屋根部111の周りに集まり、その水位が内周上縁部1aを越えると、内周上縁部1aを越流して貫通領域3内へ流れ込むので、雨水は地中挿入部2で囲まれた範囲内にある培地Lに向かって落下し、当該培地L内へ浸透する。
【0080】
次に、図30に示す防虫器具230においては、管状部232の下端部分が底部232a(図29参照)の近傍で切断され、管状部232の下端部232cが開口した状態にある。また、管状部232の下端部232cは、防虫剤収容部1の外周上縁部1bよりも外周側(中心線1cから離れた側)に位置している。
【0081】
図30に示す防虫器具230においては、管状部232の下端部232cが開口した状態にあるので、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水は、屋根部111の周りに集まり、管状部232の空洞部232b内へ流入し、傾斜した空洞部232b内を下方へ向かって流下していき、下端部232cから流出する。管状部232の下端部232cから流出した雨水は、防虫剤収容部1の外周上縁部1bよりも外周側に位置する培地Lに向かって落下し、当該培地L内へ浸透する。
【0082】
次に、図31に示す防虫器具230においては、管状部232の下端部分が屋根部131の下面131bの近傍で切断され、管状部232の下端部232dが開口した状態にある。また、管状部232の下端部232dは、防虫剤収容部1の外周上縁部1bよりも内周側(中心線1cに近い側)に位置している。
【0083】
図31に示す防虫器具230においては、管状部232の下端部232dが開口した状態にあるので、屋根部131の上面131aに降り注いだ雨水は、屋根部111の周りに集まり、管状部232の空洞部232b内へ流入し、傾斜した空洞部232b内を下方へ向かって流下していき、下端部232dから流出する。管状部232の下端部232dから流出した雨水は、外周上縁部1bよりも内周側に位置する防虫剤収容部1に落下し、防虫剤収容部1内に貯留される。従って、防虫剤収容部1に対する水Wなどの防虫剤の補給回数の低減を図ることができる。
【0084】
次に、図32図33に示す防虫器具240は、図1図2に示す防虫器具10と同様の防虫剤収容部1及び地中挿入部2を備え、また、図16に示す防虫器具110と同様の屋根部111を有し、屋根部111の外周側に、図19に示す防虫器具130と同様の漏斗状の屋根部241を備えている。
【0085】
さらに、屋根部241と屋根部111との境界部分の、屋根部111の上縁部(内周上縁部1a)を包囲する複数の位置に、長円筒状部242が鉛直方向に設けられている。長円筒状部242の空洞部242a,242bの上端は屋根部241の上面241a側に開口し、長円筒状部242の底部242c,242d側は屋根部241の下面241bから鉛直下方に向って垂下した状態に形成されている。
【0086】
図33に示すように、長円筒状部242の内側(中心線1cに近い側)に設けられた空洞部242bの底部242dは防虫剤収容部1の直上に位置し、長円筒状部242の外側(中心線1cから遠い側)に設けられた空洞部242aの底部242cは防虫剤収容部1の外周上縁部1bより外側に位置している。
【0087】
図33に示すように、使用前の防虫器具240においては、空洞部242a,242bの底部242c,242dは閉塞された状態にあるが、図34に示すように、空洞部242bの底部242dに貫通孔243を開設すれば(若しくは底部242dを削除すれば)、屋根部241の上面241aに降り注いだ雨水を防虫剤収容部1内へ流入させることができる。
【0088】
また、図35に示すように、空洞部242aの底部242cを削除すれば(若しくは底部242cに貫通孔(図示せず)を開設すれば)、屋根部241の上面241aに降り注いだ雨水を培地Lの表面L1に向かって落下させることができる。
【0089】
さらに、図36に示すように、空洞部242a,242bの底部242,242dにそれぞれ貫通孔242を開設して使用することもできる。このような状態で使用した場合、屋根部241の上面241aに降り注いだ雨水は、空洞部242aの底部242cの貫通孔243を通過して培地Lの表面L1に向かって落下するとともに、空洞部242bの底部242dの貫通孔243を通過して防虫剤収容部1内へ流入する。
【0090】
このように、防虫器具240においては、空洞部242a,242bの底部242c,242dをそのまま残した状態で使用することができるが、これに限定するものではなく、底部242c,242dのいずれかに貫通孔243を開設したり、底部242c,242dのいずれかを削除したりすることにより、空洞部242a,242bのいずれかを鉛直方向に貫通させ、通水性を持たせた状態で使用することもできる。
【0091】
図32に示すように、本実施形態の防虫器具240においては、長円筒状部242は屋根部111の内周上縁部1aの周りの4箇所に90度間隔で形成されているが、長円筒状部242の個数や配置間隔などは、これに限定するものではない。
【0092】
なお、図1図36に基づいて説明した防虫器具10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,230,240及び防虫栽培器具200,210は、それぞれ本発明を例示するものであり、本発明に係る防虫器具及び防虫栽培器具は、前述した防虫器具10〜240及び防虫栽培器具200,210に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る防虫器具及び防虫栽培器具は、ナメクジやカタツムリなどの這行虫類の被害を防止する手段として農業あるいは農業資材製造業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1,161,171,181,202,212 防虫剤収容部
1a,161a,171a 内周上縁部
1b,161b,171b 外周上縁部
1c,160c,170c,180c 中心線
2,162,172,182 地中挿入部
2a,31b,41b,51b,61b,151a,162a,183a 下縁部
2b 湾状部
3 貫通領域
10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,230,240 防虫器具
2,31,41,51,61,151 地中挿入部
31a,41a,183b,184b,201a 上縁部
71 補給経路
81,91,101,102 セグメント体
82,92 接続部
83 凸条
84 凹溝
102a オス型嵌合部
102b メス型嵌合部
111,121,131,141,241 屋根部
121a,131a,241a 上面
121b,131b,241b 下面
132,232 管状部
132a,232a 底部
132b,232b,242a,242b 空洞部
133,243 貫通孔
183 内周壁
183g ギャザ部
183s セグメント部
184 外周壁
200,210 防虫栽培器具
201,211 培土容器部
202,212 防虫剤収容部
201b,211b,212b 外周面
211a,242c,242d 底部
232c,232d 下端部
242 長円筒状部
E リブ
F マルチフィルム
K 補給容器
L 培地
L1 表面
L2 畝
L3 培土
P 植物
P1 茎
R 根
S ナメクジ
W 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36