【解決手段】草刈作業機Aと走行装置後部にとの間に連結され、水平回動自在に一対からなり平行リンクを構成する回動アーム60と、回動アーム60の回動端側に設けられた草刈作業部5と、前記草刈作業部5が、走行装置の後方に位置する非作業位置のときに、草刈作業部の走行装置後方から側方への水平移動を阻止する水平移動ストッパ81を設ける。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の一形態に係る第実施例を、
図1乃至
図16に図示する図面に基づいて説明する。
Aは、本発明の実施例に係る草刈作業機である。1は走行装置であり、この実施例では、トラクタからなる。Gは、地面である。草刈作業機Aは、トラクタ1の後方に設けた3点リンクヒッチ機構に装着される。5は、草刈作業部である。草刈作業部5は、トラクタ1からの動力により駆動して使用される。草刈作業部5は、トラクタ1に対して左右水平方向に移動可能に設けられていて、トラクタ1の側方に位置させての作業も可能である。そのため、トラクタ1のタイヤで刈取り前の草を踏まずに前進刈取り作業が可能である。
【0018】
2は装着部である。装着部2は、草刈作業機A前方部に設けられ、トラクタ1に装着するために用いられる。その後方に草刈作業部5が設けられていて、装着部2と草刈作業部5はオフセット機構部6を介して連結されている。
オフセット機構部6は、図示されるように、平面視平行リンクで構成されている。平行リンク前方端が装着部2側に、後方端側が草刈作業部5側に回動自在にそれぞれ連結されていて、草刈作業部5が左右に移動しても進行方向に対して直交姿勢が変化しないように構成されている。
【0019】
前記装着部2には、オートヒッチ装置が設けられている。オートヒッチ装置は、トラクタ1後方に設けられた昇降装置である3点リンク機構にヒッチ枠20を取り付け、3点リンク機構によりヒッチ枠20を上昇させて草刈作業機Aを吊り上げると、自動的に草刈作業機Aが連結されて装着される装置である。
3点リンクヒッチ機構は、トラクタ1の後方に設けた左右一対のロワーリンク11とその中央上方に設けたトップリンク10とからなる。3点リンクヒッチ機構に、これらを定型化するヒッチ枠20(クイックヒッチ又はオートヒッチ等と称される)を取り付ける。次いで、草刈り作業機Aの前方に設けた中央上方部のトップピン210にヒッチ枠20上方のトップフック207を係合させるとともに3点リンクヒッチ機構を上昇させる。すると、草刈作業機A側の前方下方左右に設けたロワーピン205がヒッチ枠20側に引き寄せられ、ヒッチ枠20のロワープレート206のU字溝に係合する。同時に、U字溝部に設けたフック208により抜け止めが行われ、トラクタ1と草刈作業機Aが連結される。
【0020】
3は、ベベルギヤケースであり、草刈作業部5の動力の入力部である。草刈作業部5には、草刈作業部5の片側側方上方部にベベルギヤケース3が設けられている。ベベルギヤケース3は、
図2に示すように、ベベルギヤケース3から前方に向け突設させた第2入力軸30と、装着部2に設けた第1入力軸212が軸方向に伸縮可能なユニバーサルジョイント65で連結されている。第1入力軸212前方側は、トラクタPTO軸13とユニバーサルジョイント12により連結され、動力がトラクタ1から取出されて、草刈作業部5は駆動される。
第2入力軸30と装着部2に設けた第1入力軸212が、軸方向に伸縮可能なユニバーサルジョイント65で連結されていることで、装着部2と草刈作業部5との間に設けた平行リンクで構成したオフセット機構部6の回動時の芯間の変位量を吸収する。
【0021】
ベベルギヤケース3は、草刈作業部5の最側端の刈取り刃51より外側に突設して設けられている。ベベルギヤケース3は、第2入力軸30に入力された動力を内部のベベルギヤ31により第2入力軸30と直行する方向に変換及び変速する。変換された動力は、ベベルギヤケース3の片側側方から水平方向の出力軸32により草刈作業部5の側方端側に伝達される。
側方端部側の出力軸32先端には、出力プーリ33が固着されていている。出力プーリ33の下方に、前記草刈作業部5の回転軸50の端部に固着された入力プーリ57が設けられている。出力プーリ33および入力プーリ57に伝動ベルトが掛け渡される。出力プーリ33、入力プーリ57および伝動ベルトを介して、第2入力軸30に入力された動力は、草刈作業部5の回転軸50に伝達され回転駆動する。
出力プーリ33、入力プーリ57および伝動ベルトはベルトカバー4により覆われてガードされる。
【0022】
56は、刈取りロータである。草刈作業部5は、トラクタ1進行方向と直交する水平方向の回転軸50に放射状に複数の刈取り刃51を揺動自在に設けた刈取りロータ56を有する。刈取りロータ56を回転軸50の上方を刈取りした草が通過するように前方から後方に掬い上げるように回転させ、雑草等を刈取りするとともに破砕する。
刈取り刃51における回転軌跡の外周上方部は、刈取り部カバー52で覆われていて、切断された雑草等の飛散を防止するとともに刈取られた雑草等の一部を回転軸50の周りに持ち回らせてさらに細かく破砕する。回転軸50の両端部はベアリング550を介して刈取り部カバー52の左右側部のカバーであるサイドプレート55に保持されている。
【0023】
刈取り部カバー52の前方端部は、刈取りロータ56より前方に突設していて、刈取り部カバー52前方から連続して突設する水平面とその前方端から下方の垂直方向に折り曲げられて、逆L字状部を形成している。逆L字状下方端部には、フラップ520が草刈作業部5の幅方向に多数垂れ下げられていて、刈取りロータ56で跳ね飛ばされた異物等が外に飛び出さないように設けられている。
【0024】
草刈作業部5を左右に移動させるオフセット機構部6は、回動アーム60と、油圧シリンダからなるオフセット用電動シリンダである回動シリンダ63と、草刈作業部保持ブラケット64を有する。回動シリンダ63は、電動モータ631により伸縮される。伸縮作動させられれば電動モータ631は電動でなくともよい。
回動アーム60は、前端側を装着部2に水平回動自在に連結されて後方側へ延びる。オフセット用電動シリンダである回動シリンダ63は、一端を装着部側に他端を回動アーム60側にそれぞれ水平回動自在に連結して、その伸縮動作により回動アーム60を水平方向に回動させる。草刈作業部保持ブラケット64は、回動アーム60の回動端側で草刈作業部5を保持する。
【0025】
回動アーム60は、左右一対平行に設けられて平行リンクを構成する。回動アーム60前方端が装着部2側に、回動アーム60後方端側が草刈作業部5側の草刈作業部保持ブラケット64にそれぞれ、
図1等に図示されるように、垂直方向に設けた前方回動軸61および後方回動軸62により連結される。
草刈作業部5は、
図1、
図2、
図6乃至
図10に示すトラクタ1後方位置から
図11乃至
図16に示すトラクタ1の側方側へ双方への左右移動が行われても、進行方向に対して草刈作業部5の直交姿勢が変化しないように構成されている。平行リンクを使用したオフセット機構で構成されているため、構造がシンプルで製造コストを兼価に抑えることが可能である。
【0026】
草刈作業部保持ブラケット64は、回動アーム60の回動端側に垂直方向の後方回動軸62により、平行リンク機構を成して水平回動自在に保持されている。草刈作業部保持ブラケット64は、更に、進行方向と平行にかつ水平に設けた草刈作業部回動軸53により草刈作業部5を進行方向と直行する面において上下方向回動自在に保持している。
草刈作業部5側と、草刈作業部保持ブラケット64側に、それぞれ両端部を回動自在に草刈作業部回動用電動シリンダ54が連結する。草刈作業部回動用電動シリンダ54を伸縮動作させることにより、草刈作業部5を草刈作業部回動軸53を中心に上下に回動させる回動機構部が構成されている。草刈作業部5を上下に回動させることにより、
図3に図示するようにトラクタ1の走行面に対し側方の上下に傾斜した傾斜面の雑草等を刈取ることが可能となる。
【0027】
オフセット機構部6前端側の装着部2との連結は、装着部2のマストフレーム202の左右一方側の下方部に連結ブラケット203を介しておこなう。連結ブラケット203の後方側に前記回動アーム60を垂直方向に設けた前方回動軸61により保持するとともに、連結ブラケット203の前方側一端を進行方向と直交する水平方向の軸でマストフレーム202に前後回動自在に連結している。この前後回動角は一定範囲に規制されているが、これにより装着部2に対し草刈作業部5が前後に一定範囲で揺動可能となり、作業圃場の凹凸に対し作業時追従できるように構成されている。
【0028】
図4乃至
図16に基づき、本実施例の草刈作業部5の回動と側方への水平移動を阻止するためのストッパ手段について説明する。
草刈作業機Aは、前記草刈作業部5が、走行装置1であるトラクタの後方に位置する、作業をしてもよいが専ら作業をしないで移動時に使用する非作業位置と、前記草刈作業部5が、走行装置1であるトラクタの後方から移動された側方の専ら作業位置とを選択してとることができる。
81は、ストッパ手段である水平移動ストッパである。水平移動ストッパ81は、
図6乃至
図10に図示される状態においては、前記草刈作業部5が、走行装置1であるトラクタの後方に位置する非作業位置のときに、草刈作業部5の走行装置1後方から側方への水平移動を阻止するためのストッパ手段として作用する。水平移動ストッパ81は、平行リンクを構成している回動アーム60の回動を阻止して、草刈作業部の走行装置1後方から左右への移動を阻止するものである。
【0029】
水平移動ストッパ81は、回動アーム60を走行装置後方から左右に回動させる回動シリンダ63の伸縮動作に連動して作動するように設けられている。83は、フックプレートである。フックプレート83は、回動アーム60同士に架け渡して設けられる。フックプレート83先端にはフック85が設けられる。水平移動ストッパ81は、フックプレート83先端のフック85と係合軸91との、係合及び係合解除により作動させる。フック85と、係合軸91との係合により走行装置1後方から左右へ移動を阻止する状態と、フック85と、係合軸91との係合を解除して走行装置1後方から左右へ移動を可能とした状態とを取らせる。それぞれの状態は、回動シリンダを伸縮作動させて取らせる。そのため、特段、フック85を作動させるため、走行装置1から降りて作業する必要はない。
刈取り部回動用電動シリンダ54や、オフセット用電動シリンダである回動シリンダ63の油圧内部リーク等により、走行中に回動シリンダ63が伸縮しても作動を吸収してストッパを作動させ、草刈作業部5が側方に不用意にスライドすることもなく安全である。
【0030】
図6乃至
図10に図示されるのは草刈作業部5がトラクタ後方に位置した状態であり、上下回動ストッパプレート80が保持ブラケット側回動リンクアーム58のU字状の切欠き部580に嵌合している状態を示す。
図11乃至
図16は草刈作業部5がオフセットした状態であって、上下回動ストッパプレート80が保持ブラケット側回動リンクアーム58から離間している状態を示す。
草刈作業部5の上下方向の回動は、草刈作業部保持ブラケット64に設けた進行方向と平行の水平軸である草刈作業部回動軸53を回動中心として回動される。回動は草刈作業部5と草刈作業部保持ブラケット64とに架け渡された草刈作業部回動用電動シリンダ54の伸縮により上下に回動される。
【0031】
図4に図示するように、草刈作業部回動用電動シリンダ54は、一端を草刈作業部5の刈取り部カバー52上面に固設させた取付けブラケットに、進行方向と平行な回動軸により回動自在に取付ける。草刈作業部回動用電動シリンダ54の他端は、保持ブラケット側回動リンクアーム58と、作業部側回動リンクアーム59の二つの回動リンクアームに連結されている。
回動リンクアームのうち保持ブラケット側回動リンクアーム58は、一端を草刈作業部保持ブラケット64に進行方向と平行な回動軸により回動自在に取付ける。
【0032】
回動リンクアームのうち作業部側回動リンクアーム59は、一端を草刈作業部5の刈取り部カバー52上面に固設させた取付けブラケットに、進行方向と平行な回動軸により回動自在に取付ける。各回動リンクアーム59は、それぞれの他端部と同一軸により回動自在に連結されている。
図4に示すように、草刈作業部5の正面視において保持ブラケット側回動リンクアーム58と作業部側回動リンクアーム59は、草刈作業部回動用電動シリンダ54との連結部を頂点とした三角形状に配置され、底辺部近傍に前記草刈作業部回動軸53が配置されたリンク構成となっていて、草刈作業部回動用電動シリンダ54を伸ばすと草刈作業部5が下方に回動し、縮めると上方に回動する。
【0033】
図4に図示されるように、本実施例においては、草刈作業部回動用電動シリンダ54の前方側は、シリンダカバー540で覆われていて、保持ブラケット側回動リンクアーム58と作業部側回動リンクアーム59及び草刈作業部回動用電動シリンダ54との連結部が、シリンダカバー540に草刈作業部回動用電動シリンダ54の伸縮方向に設けた長孔から前方部側に露出していて、トラクタ運転席から草刈作業部回動用電動シリンダ54の長さ、即ちこれに対応する草刈作業部5の回動角度が長孔上方部に設けた目盛541により確認できる構造となっている。
【0034】
草刈作業部5の上下方向への回動を阻止するためのストッパ手段は、上下回動ストッパプレート80と、切欠き部580とからなる。
保持ブラケット側回動リンクアーム58の草刈作業部回動軸53側である下方端縁に、草刈作業部5が水平位置の時、草刈作業部5の回動端側に向けて開放するU字状の切欠き部580が設けられていて、該切欠き部580に前記回動アーム60に設けた上下回動ストッパプレート80が嵌合されて草刈作業部5の上下回動を阻止する。
【0035】
上下回動ストッパプレート80は、草刈作業部5がトラクタ1後方位置になると草刈作業部5に接近する側の一方の回動アーム60の側方に突設して設けられていている。上下回動ストッパプレート80は、本実施例においては平板の帯状材を回動アーム60の上面からU字状の切欠き部580に向けへの字状に延設して、端部は回動アーム60の上面と平行に水平面となっている。該端部が草刈作業部5が水平のとき保持ブラケット側回動リンクアーム58のU字状の切欠き部580に嵌合される。平板の帯状材の下方部には板状補強部材が断面T字状に固設されている。
【0036】
草刈作業部5が水平移動してトラクタ1後方位置の非作業位置になると、上下回動ストッパプレート80がU字状の切欠き部580に嵌合されて保持ブラケット側回動リンクアーム58の回動を固定する。
草刈作業部5がトラクタ1後方位置からオフセット方向に移動すると、上下回動ストッパプレート80が保持ブラケット側回動リンクアーム58のU字状の切欠き部580との嵌合が外れて、草刈作業部5の上下方向の回動が可能となる。
回動アーム60に設けた上下回動ストッパプレート80と草刈作業部5側との嵌合は、保持ブラケット側回動リンクアーム58のU字状の切欠き部580に限定されるものではなく、草刈作業部5側に設けられて嵌合され回動が阻止されるものであれば良い。また、回動阻止方向が下降方向のみでもよい。
【0037】
図5乃至
図16において、草刈作業部5の側方への水平移動を阻止するためのストッパ手段について説明する。
回動アーム60の水平方向への移動を阻止するストッパ手段8である水平移動ストッパ81を、平行リンクを構成している回動アーム60、60間に設ける。
88は、ストッパブラケットである。ストッパブラケット88は、回動プレートの回動軸である回動プレート回動軸86を保持していて、平行リンク機構を構成する2本の回動アーム60、60の一方に取り付けられる。
82は、回動プレートである。回動プレート82は、板状体からなり、水平方向回動自在である。回動プレート82は、ストッパブラケット88が取り付けられた一方の回動アーム60に対して、回動プレート回動軸86を回動中心として回動可能に取り付けられる。
【0038】
87は、規制孔である。規制孔87は、長孔状からなり、ストッパブラケット88に略回動シリンダ63の長手方向あるいは長手方向の延長上に沿って設けられ、回動プレートの回動範囲を規制する。
回動シリンダ63の先端である伸縮端には、
図5、
図6等に図示されるように、回動シリンダ軸632が連結され回動シリンダ63の長手方向と直角方向に突設される。回動シリンダ軸632は、規制孔87に挿通され、先端は回動プレート82に固着立設され、規制孔87中の長手方向に摺動自在に規制孔87に嵌合される。
832は、長孔状の規制孔である。規制孔832は、回動プレート82の回動プレート回動軸86とは反対側端部側に回動プレート82の長手方向と直角方向に設けられる。89は、フックプレート回動軸であり、回動プレート82の中間部に貫通して設けられる。
【0039】
83は、フックプレートである。フックプレート83は、板状からなり、回動プレート82と積層されて、回動プレート82の中間部で、フックプレート回動軸89を貫通させて、回動プレート82に回動軸89を回動中心として回動可能に取り付けられる。回動プレート82は、フックプレート回動軸89を回動中心として、回動プレート82に対して水平回動自在である。
フックプレート83の先端を係合軸91に嵌めるとき、フックプレート83を一枚で構成すると、全体が板状体となるため、中間部で方向を変えて移動することができず、係合軸91に嵌りにくいので、中間部で作動可能に、フックプレート83と、回動プレート82の2枚の別体に分け、相互に一部積層して相互に回動軸89を回動中心として回動可能に設ける。
【0040】
831は、フックプレートガイドピンである。フックプレートガイドピン831は、フックプレート83から回動プレート82に向けて突設させて設け、長孔状の規制孔832に長孔の長手方向に摺動自在に嵌合される。
84は、スプリングである。スプリング84は、フックプレート回動軸に取り付けられる。スプリング84はネジリスプリングであり、フックプレートガイドピン831両側と接することで、フックプレート83の回動プレート82に対する回動を阻止する方向に付勢力を作用させる。
841は、スプリングストッパであり、スプリング84の移動を規制する。
【0041】
91は、係合軸である。係合軸91は、フックプレート83のフック85が係合する他方の回動アーム60に突設させて固着させる。
フックプレート83の係合軸91との係合及び係合解除は、電動モータ631により作動される、回動シリンダ63の伸縮に応じて移動する、回動シリンダ軸632が前記規制孔87を摺動することで行われる。
【0042】
水平移動ストッパ81は、回動シリンダ軸632が、長孔状の規制孔87の中を移動することで作動する。回動シリンダ軸632が、長孔状の規制孔87の長さを超えて移動しようとすると、移動側の規制孔87の移動対向辺の縁に当接し、回動アーム60を回動シリンダ63の移動方向に回動させる。更に規制孔87の範囲で、回動プレート82自体を回動プレート回動軸86を回動中心として回動させる。
規制孔87分移動することで、係合軸91と、フックプレート83に設けられたフック85の一方が係合し、あるいは係合を解除したりする。係合するときは、フックプレート83と回動プレート82とはフックプレート回動軸89で相互に回動する必要があり、別体でないと嵌りにくいが、係合解除するときはフックプレート83と回動プレート82とは一体で動く。
スプリング84は、回動プレート82に対するフックプレート83の回動を付勢していて、フックプレート83が回動すると、元の位置に戻すように作用する。
【0043】
図6乃至
図10に図示する、草刈作業部5が上下方向への回動を阻止するための上下回動ストッパプレート80が作動している状態において、水平でトラクタ1後方位置の草刈作業部5非作業位置における水平移動ストッパ81の作動について、更に説明する。
図6、
図7に図示の状態は、草刈作業部5が側方に移動した状態からトラクタ後方へ移動している状態を示していて、電動モータ631の駆動により、回動シリンダ63は伸状態をとらされる。すると、回動シリンダ63の先端である伸縮端には、図示されるように、回動シリンダ軸632が連結され、回動シリンダ63の長手方向と直角方向に突設されている。回動シリンダ軸632は、更に、先端は回動プレート82に固着立設され、規制孔87に挿通され、規制孔87の長手方向に摺動自在に嵌合されている。そのため、回動シリンダ軸632は、回動シリンダ63の先端の伸状態の移動に伴い規制孔87中を移動し、規制孔87の対向辺の縁に当接し回動アーム60を回動させるとともに、規制孔87の移動範囲で回動プレート82自体を、回動プレート回動軸86を回動中心として回動移動させる。
【0044】
フックプレート83はフックプレート回動軸89に取り付けられているため、回動プレート回動軸86の移動に伴い、回動プレート82とともに移動すするとともに、回動プレート82との取付軸であるフックプレート回動軸89を回動中心として回動する。
図6は、フックプレート83が、係合軸91へ当接し、回動プレート82に対し回動した状態でフックプレート83のフック85が係合軸91へ係合する格納手前状態であり、草刈作業部5の上下回動ストッパプレート80が係合して上下回動を阻止している状態である。
【0045】
図8、
図9に図示の状態では、回動シリンダ63は、
図6、
図7に図示される状態から、更に回動シリンダ63の先端は伸状態をとり、フックプレート83のフック85が係合軸91に係合した状態で、草刈作業部5がトラクタ1後方位置の格納状態を示している。
フックプレートガイドピン831は、長孔状の規制孔832に長孔長手方向に摺動自在に嵌合されていて、フックプレートガイドピン831は、スプリング84によって、回動プレート82に対する回動を付勢し規制孔832の中央部に復帰される。すなわち、フックプレート83の回動が復帰してロック状態をとる。
【0046】
そのため、草刈作業機Aの草刈作業部5の、上下方向への回動を阻止するための上下回動ストッパプレート80が作動している状態において、回動アーム60は縮状態をとり、かつ、水平方向への回動を阻止するための水平移動ストッパ81のフックプレート83のフック85は、係合軸91へ格納ロック状態となる。
すなわち、回動アーム60を格納状態側に最回動させ、回動シリンダ63先端が伸状態をとると、回動シリンダ63の伸状態により自動的に、ストッパがかかる。回動シリンダ63の油圧がリークしてもストッパにより移動が阻止され、草刈作業部5の回動と側方への水平移動が阻止された状態となる。この状態では、草刈作業部回動用電動シリンダ54やオフセット用電動シリンダ63の内部リーク等により不用意に走行中に草刈作業部が下方に回動することや側方に移動することを防止でき安全である。
【0047】
図10に図示の状態では、回動シリンダ63に
図8図9に図示される状態から逆に縮状態をとらせている。そのため、回動シリンダ63先端は、回動シリンダ63基部方向に移動する。そのため、回動シリンダ軸632が長孔状の規制孔87の中を回動シリンダ63基部方向に移動する。このとき、回動プレート82とフックプレート83とは一体で、係合軸91から外れる方向に回動し、回動アーム60の回動ロックが解除される。更に、回動シリンダ63が縮んでいくと、回動シリンダ軸632が規制孔87の端縁に当接しているため、回動アーム60をトラクタ1の側方側へ回動させる。回動が更に進むと、上下回動ストッパプレート80の係合も外れ、草刈作業部5は上下回動も可能となる。
【0048】
図11は草刈作業部5をオフセットさせた状態の、本実施例の草刈作業機Aの要部平面図である。
図11に図示されるように草刈作業部5をオフセットさせることにより、トラクタが水平の状態で傾斜した側方の部分の草刈作業が可能となる。
図3では下方に傾斜した場合を示したが、上方に傾斜した場合でも同様に作業が行える。
図11乃至
図16に図示する、草刈作業部5をオフセットさせた、トラクタ1側方位置の草刈作業部5作業位置における水平移動ストッパ81の作動について更に詳細に説明する。
図11乃至
図16に図示される状態では、水平移動ストッパ81は、草刈作業部5が、走行装置1であるトラクタの側方に位置する作業位置のときの草刈作業部5の走行装置1側方から後方への水平移動、あるいは、過剰な側方移動を阻止するためのストッパ手段として作用する。水平移動ストッパ81は、平行リンクを構成している回動アーム60の回動を阻止して、草刈作業部の走行装置1左右から後方へあるいは過剰な側方への移動を阻止する。
【0049】
図11、
図12に図示の状態では、電動モータ631の駆動により、回動シリンダ63は縮状態をとらされる。すると、回動シリンダ63の先端である伸縮端には、図示されるように、回動シリンダ軸632が連結され、回動シリンダ63の長手方向と直角方向に突設されている。回動シリンダ軸632は立設され、先端は回動プレート82に固着され、規制孔87に挿通され、規制孔87の長手方向に摺動自在に嵌合されている。そのため、回動シリンダ軸632は、回動シリンダ63の先端の縮状態の移動に伴い規制孔87中を移動し、規制孔87の回動シリンダ63基部寄りの縁に当たり、回動アーム60をオフセット方向に回動させる。
回動シリンダ軸632の規制孔87の移動によって、回動プレート82は、回動シリンダ63の基部寄りに回動される。更に、回動シリンダ63を縮めて回動アーム60を回動させていくと、草刈作業機Aの草刈作業部5の、上下方向への回動を阻止するための上下回動ストッパプレート80が解除している状態で、回動アーム60の水平方向への回動を阻止するための水平移動ストッパ81のフックプレート83のフック85と係合軸91が当接し未係合状態であり、草刈作業部5が最オフセット手前状態となる。
【0050】
図13は、回動シリンダ63が更に縮み、フックプレート83が、回動プレート82に対してフックプレート回動軸89を回動中心として回動して、係合軸91を乗り越え係合する直前の状態を示す。
図14、
図15に図示の状態では、回動シリンダ63は、
図13に図示される草刈作業部5がオフセットロック手前状態から、更に回動シリンダ63の先端は縮状態をとり、草刈作業部5の最大オフセット位置であり、フックプレート83のフック85が係合軸91に係合して回動アーム60の回動がロックされた状態を示している。
【0051】
草刈作業機Aの草刈作業部5の、上下方向への回動を阻止するための上下回動ストッパプレート80が解除している状態であって、回動アーム60伸状態、かつ、水平方向への回動を阻止するための水平移動ストッパ81のフックプレート83のフック85が係合軸91へ係合状態であって、草刈作業部5がオフセットロック状態をとる。
すなわち、回動アーム60を縮状態とさせると、回動シリンダ63の縮状態により自動的に、ストッパがかかる。回動シリンダ63の油圧がリークしてもストッパにより移動が阻止され、草刈作業部5の回動と側方への水平移動が阻止された状態となる。この状態では、草刈作業部回動用電動シリンダ54やオフセット用電動シリンダ63の内部リーク等により不用意に走行中に草刈作業部が下方に回動することや側方に移動することを防止できる。安全である。
規制孔87分移動することで、係合したり、係合を解除したりする。
【0052】
図16に図示の状態では、回動シリンダ63に
図14、
図15に図示される草刈作業部5がオフセットロック状態から伸状態をとらせ、回動シリンダ63先端は、回動シリンダ63基部側から離れる方向に移動する。そのため、回動シリンダ軸632が長孔状の規制孔87の中を移動する。
同時に、回動プレート82とフックプレート83は、一体で係合軸91から外れる方向に回動し、草刈作業機Aの草刈作業部5の、上下方向への回動を阻止するための上下回動ストッパプレート80が解除している状態で、回動アーム60伸状態、かつ、水平方向への回動を阻止するための水平移動ストッパ81のフックプレート83のフック85が係合軸91へオフセットロック解除状態をとる。更に、回動シリンダ63を伸ばすと、規制孔87の端縁に当接した回動シリンダ軸632が回動アーム60を押して、トラクタ1後方側へ草刈作業部5を移動させる.
【0053】
次にこの発明の草刈り作業機の作動について説明する。草刈り作業機の前方部に設けた装着部2によりトラクタ1に装着し、装着部2の第1入力軸212とトラクタPTO軸13をユニバーサルジョイント12で連結し、トラクタ1からの動力により回転駆動させる。
このとき、オートヒッチ装置による連結の場合、
図1に示すように、トラクタ1の左右一対のロワーリンク11とその中央上方に設けたトップリンク10とからなる3点リンクヒッチ機構に、これらを定型化するヒッチ枠20を取り付け、草刈り作業機の前方に設けた中央上方部のトップピン210にヒッチ枠20上方のトップフック207を係合させるとともに3点リンクヒッチ機構を上昇させる。すると、草刈作業機A側の前方下方左右に設けたロワーピン205がヒッチ枠20側に引き寄せられ、ヒッチ枠20のロワープレート206のU字溝に係合するとともに、U溝部に設けたフック208により抜け止めが行われ、トラクタ1と草刈り作業機が連結される。
【0054】
入力された動力は、ユニバーサルジョイント12から装着部2の第1入力軸212とユニバーサルジョイント65を介してベベルギヤケース3の第2入力軸30へ伝達される。ベベルギヤケース3の内部のベベルギヤ31により第2入力軸30の動力は出力軸32により動力を草刈作業部5の側方端側に伝達する。
出力軸32先端には出力プーリ33が固着されていて、その下方に前記草刈作業部5の回転軸50の端部に固着された入力プーリ57が設けられていて、これらのプーリに掛け渡された伝動ベルトにより動力は草刈作業部5の回転軸50に伝達され回転駆動する。
【0055】
回転軸50には放射状に複数の刈取り刃51が揺動自在に設けられていて、これを切断された雑草等が回転軸50の上方を通過して前方から後方に掬い上げるように回転させ、トラクタの進行により雑草等を刈取りするとともに破砕させる。刈取り刃51回転軌跡外周上方部は、刈取り部カバー52で覆われていて、切断された雑草等の飛散を防止するとともに刈取られた雑草等の一部を刈取り刃51の掬い面の作用により回転軸50周りに持ち回らせてさらに細かく破砕させる。
【0056】
草刈作業部5は、装着部2に対してオフセット機構部6のオフセット用電動シリンダ63を伸縮させることにより左右に移動させてトラクタ1からのオフセット位置を調整して作業を行う。トラクタ1のタイヤ側方から草刈作業部5を外側にオフセットさせ、トラクタ1を刈取り後の圃場部面を走行させるとともに、草刈作業部5を未刈取り部に位置させて作業を行うことで、タイヤが未作業部の雑草等を踏み倒すことによる刈残し発生を防止できる。
【0057】
トラクタ1のタイヤ側方から草刈作業部5を外側にオフセットさせ、さらに、刈取り部回動用電動シリンダ54を伸縮させて草刈作業部5を進行方向と直交する方向の上下に回動させることにより、トラクタ1の走行面に対して上下に傾斜している側方部の法面の草刈り作業が可能となる。草刈作業部5の移動及び回動操作は、運転席近傍に設けたコントロールボックスにより操作する。
容易な操作により草刈作業部が回動又は移動しないようにするとともに、ストッパとしてのピンを設けることなく、シリンダの動作により、自動的にストッパを掛け、トラクタから降りずに、側方への移動を自動ロックできるため、効率よく作業することができるようにされた草刈作業機を提供する。